Polluted crystal

21話 Polluted crystal


開催式にて、一人の女性が首輪を爆破され殺される光景を見てから、
少年――小山田耕太はその光景が頭に焼き付いて離れなかった。
いくら他の事を想像しても、必ず頭の片隅にその映像は再生されたままになっている。
いや、到底忘れる事は出来ないだろう、何せ生まれて初めて、
目の前で人が死ぬのを見てしまったのだから。そしてこれからも見る事になるだろうきっと。

エリアC-6の橋の上で、耕太は自分の支給品を確認していた。
黒いデイパックの中には様々な物が入っていたが、一際異質な物を見付ける。

「こ、これは…」

それは本物の銃だった。
コルト ガバメント――銃に疎い耕太でも知っている、
有名なアメリカ製の大型自動拳銃である。
予備のマガジンが三つ入っており、主催者の言葉を借りるなら「アタリ」の支給品だ。
手に持てば金属の重みが手から伝わる。

(これで殺し合いをしろって言うのか…あの香取って言う人は)

ごくりと息を飲み、銃のグリップを握り締める耕太。
この殺し合いには自分の通う学校の先輩であり、
ある事がきっかけで親しくなった――を通り越して一線を越えようとあの手この手を
繰り出してくる――妖狐の美少女、源ちずるが呼ばれている。
彼女と戦うなど、耕太には考えられない事であった。
それだけでは無い、この殺し合いに呼ばれている大勢の見知らぬ人々を殺すなど、
彼の性格からしてとても無理だった。

「駄目だ、殺し合いなんて出来る訳が無い…でも」

首にはめられた首輪に指を触れる。
この首輪は無理に外そうとしたり、ゲームの進行を邪魔したりするだけで無く、
24時間一人も死者が出無かった場合も、爆発するらしい。
爆発すれば、あのディオナという女性と同じ運命を辿る。
つまり自分達は殺し合いを「しなければならない」。
だが、それでも――――小山田耕太は殺し合いを、拒絶した。

「とにかく、ちずるさんを捜そう……きっと、何とかなる…はず」

ちずるの捜索に向かおうと、耕太が動こうとしたその時だった。


ダダダダダダダダダダダダッ!!


「え――――」

機関銃のような音と同時に耕太は身体中に熱を感じた。
喉の奥から熱い液体が溢れ、身体中の力が抜ける。
銃を落とし、血塗れの蜂の巣と化した耕太はそのまま崩れ落ち、
血溜まりの中で動かなくなった。

耕太の元へ、学生服姿の銀髪の少女が近寄る。
その手には突撃銃――AKS‐74が装備されていた。
銃口の先でうつ伏せに倒れた少年をつつき、反応が無い事を確認する。

「ふん、簡単ね……」

少女――銀鏖院水晶は、不敵な笑みをもらし、
落ちていた拳銃を拾い上げ、少年のデイパックから予備のマガジンを抜き取る。

「それにしても、また殺し合いだなんて……」

水晶は、本来ならば既に死んでいる身であった。
クラスメイト同士での別の殺し合いにおいて、玉堤英人に殺害されたはず。
死の瞬間の事ははっきりと、鮮明に覚えている。
だが、どういう訳かは知らないが、自分は生き返った。
生き返り、身体の傷も癒え、今度は香取亮太と名乗る男が催す、
別の殺し合いに参加させられていた。

「何人か、クラスメイトもいるみたいだけど――」

開催式の場には、同じように殺し合いをさせられていたクラスメイトが数人確認出来た。
中には放送で名前が呼ばれたはずのノーチラス、
自分が殺したはずの森屋英太の姿も見られた。
もっとも、水晶にとっては大した問題でも無かったが。

「……今度こそは、生き残ってやるわ」

AKS‐74を携え、水晶は橋を渡り、南の方角へと消えて行った。


銀色の獣を退けた後、狐耳の美少女、源ちずるは宛ても無く南下していた。

「耕太君…どこにいるんだろう」

右手にナイフ機能を出したアーミーナイフを持ち、
捜し人である小山田耕太の姿を捜すちずる。
先刻戦った銀色の獣のように、殺し合いに乗った危険な人物が、
この会場内にはまだ大勢いると見て間違い無いだろう。
心優しい少年である耕太が生き抜いていけるとは、ちずるには思えなかった。
良い武器が支給されていたり、誰か殺し合いに乗っていない人物と一緒に
行動出来ていれば良いのだが。

――ダダダダダダダダダダダダッ……。

「!!」

不意に銃声が遠方から響いた。遠方とは言っても、やや近い。
しかも、今まさに進んでいる道の先から聞こえたような気がした。

「……」

この時、ちずるは言い知れぬ胸騒ぎを覚えた。
単なる銃声ならば殺し合いが始まってからどこか遠くから幾度となく鳴り響いている。
だが、たった今聞こえた銃声は何かが違った。

「……耕太君?」

気付いた時には、ちずるの身体は勝手に走り出していた。
最悪の事態が、ちずるの頭の中をよぎる。

(耕太君、耕太君、耕太君―――!)

髪が振り乱れるのも構わず、ちずるはひたすらに銃声のした方向へと走る。


小山田耕太は橋の欄干に寄り掛かるように座り込んでいた。
周囲には夥しい量の血痕が残っていた。
精一杯の力を振り絞り、耕太は倒れていた地点から欄干へと移動した。
だが、そこまでだった。

身体中を5.45㎜弾が貫き、内臓を抉られ、破壊され、
傷口から大量の血液が流れ出た耕太の身体はもはや、
生命活動を維持出来なくなっていた。
もう痛みも感じない、いや、感覚が麻痺しているのだろう。
耕太は自分がもうすぐ死ぬ事を悟った。

「……ちずる…さん………」

身動きを取る事も出来なくなった耕太少年は、ただ、死の瞬間を待つのみだった。



【一日目/深夜/C-6橋】
【小山田耕太@かのこん】
[状態]胴体に十数発被弾(深刻な内臓損傷、出血多量により虫の息)
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:…………。
 1:ちずるさん……。
[備考]
 ※参戦時期は少なくとも漫画版で源ちずると親密になった後です。
 ※このままだと間違い無く死にます。

【一日目/深夜/C-6橋南部方面の住宅街】
【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]AKS-74(14/30)
[所持品]基本支給品一式、AKS-74マガジン(30×5)、コルト ガバメント(7/7)、
 コルト ガバメントマガジン(7×3)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:クラスメイトと会っても容赦しない。
[備考]
 ※本編死亡後からの参戦です。
 ※超能力は封印され、使えなくなっています。

【一日目/深夜/C-6橋北部方面の住宅街】
【源ちずる@かのこん】
[状態]健康、C-6橋へ走っている、胸騒ぎ、不安
[装備]アーミーナイフ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:耕太君を捜す。この殺し合いから脱出する方法を探る。
 1:殺し合う気は無いが襲われたら対処するつもり。
 2:耕太君が死んだら……?
[備考]
 ※参戦時期は少なくとも漫画版で小山田耕太と親密になった後です。
 ※妖狐状態で容姿は固定されています。また妖力その他は封じられています。
 ※ギンギライガー(名前は知らない)の容姿を記憶しました。


※C-6一帯と周辺に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【コルト ガバメント】
1911年に米軍制式となった大型軍用自動拳銃。コルトM1911。
登場から一世紀近く経った現在でもその洗練された外観や、シンプルで信頼性が高く、
バランスの取れた完成度の高い銃として多くの愛好家が存在する。

【AKS-74】
1974年に旧ソ連制式となった突撃銃AK74を折畳式銃床にし携行性を向上させたモデル。
元になったAK74はそれ以前の旧ソ連制式だった傑作突撃銃AK47を小口径化し
改良を加えたもので、AK47より威力は小さいが射程は長くなりコントロールが容易になった。



爆乳猫少女はNEETと出会う 時系列順 じっくりコトコト煮込んだ脳汁
爆乳猫少女はNEETと出会う 投下順 じっくりコトコト煮込んだ脳汁

ゲーム開始 小山田耕太 I don't want to miss a thing
ゲーム開始 銀鏖院水晶 復讐の女神
Gold&Silver 源ちずる I don't want to miss a thing

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最終更新:2010年09月26日 17:53
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