逃亡、追撃、既視感


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4話 逃亡、追撃、既視感


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

女賢者は走っていた。森の中に作られた山道を。
体力にも持久力にも自信は無かったが、走るしか無かった。
背後に危険が迫ってきているから。
青い髪の美少女の十数メートル後ろから、右手に鉈を持った豹獣人の青年が、
血走った目で女賢者を追走していた。

「ゼエ、ゼエ、逃がすか……!」

殺気が籠ったその口調から、青年が女賢者を殺そうとしているのは明らかだった。

(何で、何でこんな事になってるの!? 誰か、誰か助けて……!)

勇者達仲間と共に大魔王ゾーマを打倒し、平和な毎日を送っていたと言うのに。
いきなりバトルロワイアルという殺し合いゲームの参加者となってしまった。
首には無理に外そうとしたりすれば爆発する首輪。
そして、自分が肩から提げているデイパックに入っていた、鋭い刃を持つ大型ナイフと、
なぜか何の変哲も無いラッパ。
何より、自分が今、豹の頭をした獣人に追われているという事実が、
殺し合いの場に立たされているという現実を否応無しに自覚させられた。

とにかく足場の余り良く無い山道を走る女賢者。
だがこのままでは明らかに体力に勝る豹青年に追い付かれるだろう。
疲労と焦りで思考回路も上手く働かない。
分かってはいても走り続けるという選択肢しか彼女は選べなかった。



茶髪セミロングの少女、北沢樹里は、自分のスタート地点の山道で、
周囲の風景を見回していた。
木漏れ日の差し込む森が広がっている。

「まさか、生き返ってまた殺し合いをやる事になるなんて……」

彼女は、一度別の殺し合いで死んだ身のはずだった。
死んだ理由は――痴情のもつれ、である。これ以上は言うまい。
とにかく死んだ筈なのに、自分は今こうして生きており、立っている。呼吸もしている。
それに――。

「足、治ってる……」

失った筈の右足が、何事も無かったかのように元通りになっていた。
走る事が何よりの生きがいで、それを失い絶望し自暴自棄になっていた彼女にとって、
これ程嬉しい事は無い。
しかし――殺し合いという状況からは抜け出せていない。

「これ……愛餓夫が使ってた銃に良く似てるけど」

自分の支給品であるレバーアクション式小銃――ウィンチェスターM1873を持ち、
まじまじと見詰める樹里。
この他にもう一つの支給品として、栄養ドリンクセットが入っていた。
説明書がかなり親切だったため、M1873の使い方は一通り覚えた。
次の問題は、これを使い殺し合いに乗るか、それとも抗うか、だが。

「ど、どいてえっ!!」
「え? ……べっ!?」

背後から聞こえた声に振り向いた直後、かなりの勢いで走ってきた何者かと激突する樹里。
そのまま、その人物と共に地面に倒れ込んでしまう。

「いたたた……ちょっと何……?」

強かにぶつけた尻を擦りながら樹里が自分にぶつかった人物を確認する。
それは青い髪の、同じく青いマントに白い丈の短いローブを身に纏った、
そしてかなりスタイルの良い美少女。自分と同年代と思われる。

「ご、ごめんなさい……」
「い、いや……どうしたの? 誰かに追われ――!」
「ゼエ、ゼエ、やっと追い着いたぜ」

樹里が青髪の少女が走ってきたと思われる道の向こうから、
殺気立った豹獣人の青年が現れたのを確認する。
どうやら少女はあの豹青年に追われてきたらしい。

「ん? もう一人増えてるな……まあいい、二人とも殺るだけだ!!」

豹青年が手に持った鉈で樹里と少女――女賢者に襲い掛かる。

(やばい!)

身の危険を感じた樹里は咄嗟に落ちていたM1873を手に取り、
豹青年に銃口を向け、引き金を引いた。

「がっ……!」

銃声が響き、豹青年の右肩から鮮血が噴き出した。

「があああああ!! いってえええ……!!」

余りの激痛に傷口を左手で押さえて苦しむ豹青年。
そして樹里を一度睨み付けると、元来た道を走って逃げて行った。
M1873のレバーを操作し空薬莢を排出、次弾が撃てる状態にし、
樹里はまだ地面にへたり込んでいる女賢者の元へ近付いた。

「貴方大丈夫? 随分走ってきたみたいだけど」
「は、はい……ありがとうございます。助かりました」

女賢者は死に直面し必死に走ってきたせいか、息が荒く震えていた。

「私は北沢樹里。貴方は?」
「私は……フィーナって言います」
「フィーナ? 名簿にはそんな名前無かったけど……」

既に名簿は確認していた樹里は、女賢者の本名、フィーナには覚えが無かった。

「はい、私、『女賢者』という名前で名簿には書かれているんです」
「女賢者? ……何それ」
「私、賢者なんです」
「……はぁ??」

樹里には女賢者の言っている事がまるで理解出来なかった。
当然である、樹里の世界で言う賢者と、女賢者の世界で言う賢者は全くの別物なのだから。
話が上手く通じない事に困惑する女賢者。

「……まあいいわ。こんな所で立ち止まってても危ないから歩きながら話しよう」
「は、はい」

余りじっとしているのも危険だと考え、樹里はまだ震えている女賢者をそっと立たせ、
山道を歩きながら話し合ってみる事にした。

(あれ、そう言えばさっきの状況、どこかで見たような……どこだったっけ……?)

先程自分が女賢者と遭遇してから銃で豹獣人を撃退するまでの流れと、
よく似た体験を樹里はしていたのだが、よく思い出せないでいた。




豹青年――篠原昌信はある木の根元にもたれ掛かり、
上着を破いて銃弾を受けた右肩に巻き応急処置を施していた。

「くそっ、あのアマ……血が止まらねえぞ」

激痛に耐えながら鋭い牙の並んだ口で破いた上着の切れ端を引っ張る。
銃創からは少なくない量の血液が流れ落ち、黄色い毛皮に黒い斑点模様のある、
豹獣人の毛皮を赤く濡らす。

「次会ったら、絶対殺してやるっ……」

僅かに葉の間から空が覗く天を仰ぎながら、怒りの籠った口調で昌信は言った。



【一日目/朝方/G-7山道西】

【女賢者@ドラゴンクエストⅢ】
[状態]肉体的疲労(中)、恐怖(中)
[装備]サバイバルナイフ
[所持品]基本支給品一式、信号ラッパ
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。生き残りたい。
 1:樹里さんについて行く。
[備考]
 ※ゾーマ打倒以降からの参戦です。
 ※呪文に制限が掛かっている事を知りました。
 ※北沢樹里を自分と同じ世界の人間だと思っています。
 ※本名は「フィーナ」という設定です。

【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスターM1873(13/14)
[所持品]基本支給品一式、.44-40ウィンチェスター弾(28)、栄養ドリンクセット(8)
[思考・行動]
 基本:今の所殺し合いをする気は無い。襲われたらそれなりに対処。
 1:フィーナ(女賢者)から話を聞く。
 2:クラスメイト達については保留。
[備考]
 ※自作ロワ死亡後からの参戦です。

【一日目/朝方/G-7山道東】
【篠原昌信@オリキャラ・新規組】
[状態]右肩に銃創(応急処置済だが出血が酷い)
[装備]鉈
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:茶髪セミロングの学生服姿の少女(北沢樹里)は今度会ったら絶対に殺す。
[備考]
 ※女賢者、北沢樹里(いずれも名前は知らない)の容姿を記憶しました。


※G-7一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【サバイバルナイフ】
大型のシース(鞘付き)ナイフ。刃の背に金属を切断する鋸刃が付いている。

【信号ラッパ】
音楽を演奏する普通の楽器としてでは無く、
信号を周りに伝える道具(連絡手段)として主に用いられるラッパの一種。

【ウィンチェスターM1873】
1873年に発売されたレバーアクション小銃。
銃身下に長い筒型弾倉を持ち最大14発を装填可能。
美しい外観から登場から100年以上経過した現代でも人気の有る銃。
本ロワに登場する本銃が使用する弾薬、.44-40ウィンチェスター弾は拳銃弾。

【栄養ドリンクセット】
栄養ドリンクが8本でセットになっている物。

【鉈】
枝打ち、木を削る、雑草を払う、動物を解体するなどの目的で使われる刃物。
刀身が厚く丈夫で、刀身の重さを利用して叩き切る。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】篠原昌信(しのはら・まさのぶ)
【年齢】20
【性別】男
【職業】大学生、ガソリンスタンドのバイト
【性格】明るく陽気だが、非常時には器の小ささを露呈する事も
【身体的特徴】豹の獣人。それなりに引き締まっている身体
【服装】黒いタンクトップの上に半袖の白い薄手のジャケット、灰色のズボン
【趣味】ツーリング
【特技】手先が器用
【経歴】高校一年の時に両親から、自分は父親が母親を強姦した結果生まれたのだと
    聞かされた時、一時的に軽い鬱になった
【備考】狼や狐、竜ばかりじゃなくって猫科の獣人出そうとした結果がこれだよ!



黒き獣達 時系列順 [[]]
黒き獣達 投下順 [[]]

ゲーム開始 女賢者 [[]]
ゲーム開始 篠原昌信 [[]]
ゲーム開始 北沢樹里 [[]]
ツールボックス

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