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中田 翔(大阪・大阪桐蔭)投手 183/80 右/右


~衝撃~

 

あの出会いから一ヶ月あまり、衝撃の現場を目撃することになる。夏の大阪地区予選は、「なにわ四天王」の活躍で、異様な盛り上がりを魅せていた。その四天王が、揃って同じ会場に登場することになったのだ。



岡本太郎作・「太陽の塔」が近くにそびえ立つ大阪万博球場。バックネット裏にはイスがなく、朝露で濡れた草の上に座り込む背広姿のスカウト達。普段はのんびりと犬の散歩でもしている人が、時々立ち止まり覗いて行くような、のどかなグランドだ。



この年の夏は、本当に暑かった。朝露の湿り気が、朝から35度を超える猛暑でいつの間にか蒸気に変わって行く。普段はまったりとした時の流れが、この日ばかりは違っていた。その第三試合、衝撃の瞬間が訪れた。



大阪桐蔭の先発は、あの辻内崇伸ではなく、1年生の中田翔だった。たかだか、一ヶ月も観てから経っていないだけに、私は正直それほど期待していなかった。しかし、それが大いなる誤りであることを実感させられる。


彼の繰り出す球の一つ一つが、手元での勢い・キレとも尋常ではなかったからだ。プロで1年目から二桁勝利を記録するような投手達の球を、バックネット裏から見続けてきた私の目からしても、彼の球質は、大学・社会人選手の希望枠レベルのような異彩を放っていた。


当然、並の高校生がまともに打ち返せる代物ではない。球速は、常時145キロ前後。その投球は、高校1年生の夏にして、希望枠レベルの投球を、彼は実践出来るレベルにあったのだ。


あのダルビッシュ・有(東北高校-日本ハム)を、一年秋の神宮大会で観た時などとは、比べものにならなかった。ダルを観た当時の印象は、持ち得る能力がありながら、変化球の割合が多く、何か爺臭い投球をするなと思った。時より腕の角度を変えてみたり、何か野球を小馬鹿にしたような器用貧乏さを感じさせた。それでいて、まだまだ本当の意味での洗練さには欠けていた。しかし中田の投球は、純粋な投球でその実力を示していた。


ただ人間とは面白いもので、そのダルビッシュ・有に対し、私は最高評価である☆☆☆☆☆を最終的に下した。その一方で、この衝撃の投球を魅せられながら、私は中田翔と言う男を投手よりも野手で評価している。その訳に関しては、また次の機会に触れてみたい。




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