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阿部 慎之助(28歳・巨人)捕手 179/91 (安田学園高-中大)



巨人の正捕手……であるはずの阿部慎之助選手。


安田学園では高校通算38本塁打。2000年9月、中央大学在学中にシドニーオリンピック野球日本代表に選ばれる等アマチュア時代の経歴も輝かしい。00年ドラフト1位逆指名で巨人入団。この年のドラフトは凶作の部類。渡辺俊介(ロッテ4位)や赤星憲広(阪神4位)、岡本真也(中日4位)のように下位指名された一部の選手が早い段階で活躍したが肝心の上位指名選手が低調。そんな中賛否両論はあろうが阿部は1年目から活躍した数少ない即戦力選手だろう。巨人の長い長~い捕手難をようやく解消させた選手である(とはいっても村田善則が守備面だけなら結構な働きをしていたのだが……)。


01年ルーキーイヤーはいきなり山倉和博以来23年ぶりの新人捕手開幕スタメン。いきなり初打席で満塁の走者一掃のタイムリーツーベースを放ちその日4打点でお立ち台に立つ。最終的には打率は低かったものの13本塁打と打撃面では新人では大したものだ。特にインコースベルトのボールを巻き込んでライトスタンドに叩き込む技術は天才的(横浜でのプロ初ホームランもまさにこういうバッティングだった)。しかし当初から苦労すると言われていたとおり守備面ではかなり苦しむ。ただ当時の正捕手村田真一が高齢で弱肩、将来の正捕手育成が急務だった事もあり見ている方が「よく我慢するなぁ」と驚く程起用された。この年の経験が阿部の成長を手助けしたといっても良いだろう。その代わりに巨人のV逸の責任まで新人なのに押しつけられるハメに(前年の疲労の影響かダレル・メイ以外総崩れだった先発陣に本来責任があると思うのだが)。


02年原政権で大躍進。故障者が続出するなか打率.298、
18本塁打73打点と大活躍。「サヨナラ慎ちゃん」と呼ばれたようにここぞという時に強かった(「最高です!」のお立ち台のセリフは阿部の代名詞にもなる)。守備面でも前年の経験を生かし成長を見せベストナイン・ゴールデングラブを同時受賞。優勝の立役者となる。しかしリード面などはその時絶頂期を迎えていた投手陣の勢いに助けられた印象が強かったので評価過剰な気もしてはいたのだが……。03年は故障の影響もあり94試合にとどまる(しかし相変わらず規定打席不足ながら打率.303と打撃は好調)。


04年は開幕から本塁打量産。4月の16本塁打は王貞治の球団記録を超え門田博光・江藤智並んだ日本タイ記録。後半怪我の影響か失速したものの規定打席到達で打率.301、33本塁打を記録し共に巨人の捕手としては初の快挙。しかし05年は右肩の故障の影響か盗塁阻止率が極端に低下。終盤には打撃専念という事で一塁手に回された。相変わらず打撃は好調で打率3割26本塁打で出塁率.365、得点圏打率.352。この好成績が災いした、と考えるのも妙な話だがかねてより疑問視されていた阿部のリードが槍玉に挙がる。そう、いわゆる「阿部コンバート論」の活発化を生む事になる。


06年原第二次政権誕生で捕手専念。阿部の強い希望が通った。打撃の方は久しぶりに3割を割り本塁打も自己最低の10本。しかし守備面では大きな成長を見せる。チーム防御率を前年の4.79から3.65にまで向上させ、盗塁阻止率も.443でリーグトップ。しかしこれだけの成績を残しながら「阿部コンバート論」は根強く残っている。やはり一度根付いてしまったイメージを払拭するのは難しいという事なのだろうか。


最初に断っておくが私は「キャッチャー阿部」に大賛成だ。

むしろ彼がキャッチャーとして一本立ちしなければ巨人の黄金時代などあり得ないと思っている。そもそも、何故プロ入りして5,6年の選手に此処までリード面を酷評し、敗戦の責任を押しつけなくてはならないのだろうか。キャッチャーのリードとは一朝一夕で身に付くわけものではない事は周知の事実だ。おそらく阿部が本当に投手の全幅の信頼を得るようなキャッチャーに成長するには後5年はかかるだろう。それだけ正捕手を育てるのは難しいからこそ、正捕手が確立すればチームの貴重な財産として扱われるのだ。それともう一つ、阿部のコンバートを主張する人たちに聞いてみたい言葉がある。


『――――阿部をコンバートして何処で使うのか?』、と。


05年終盤に守った一塁手だろうか。おそらくは厳しいだろう。巨人はほぼ毎年のように一塁手としてFAや他球団の外国人を引っ張ってくる。今現在もイ・スンヨプが長期契約を結んでおり、例え彼が成績不振で解雇されても三塁守備に不安のある小笠原が優先されるだろう。2人揃って不振だったとしてもまた翌年にはFA選手や外国人選手を獲得する事が十分予測される。巨人のファーストとはそういう選手の為に使われる。そもそも05年は清原らの離脱などで打線に悪影響が出た為というかなり暫定的な起用だった事を忘れてはならない。


強肩を活かして外野はどうだろうか。レフト程度ならこなせそうな気もする。しかし巨人の悪しき伝統として『他球団で他のポジションを守ったクリンナップ選手を無理にレフトで起用する』というものが存在する。この伝統は残念ながらおそらく今後も続くだろう。大体あれほどの打撃力がありながら満足に起用されない清水隆行の境遇を見れば、外野にコンバートされた末の阿部など見えてくる。亀井・矢野など楽しみな選手や谷や小関などの他球団で実績のある選手も多く、正直な所阿部をコンバートするメリットは薄いのではないだろうか。つまり逆説的な考え方になるが阿部という選手を一番活かせるポジションはキャッチャーと言うことになる。


良く解説で聞かれる言葉に「阿部は(投手が)調子の良いときは問題ないが、悪いときは……」というのを良く聞く。つまり『悪いなりのリード』が出来ないという事かなのだろうか。個人的な意見ではリードの特徴は谷繁(横浜→中日)に似ているような気がする。打者を観察して意表を突いたりする『古田型』ではなく投手の持ち味を最大限に活かそうとする風に考える『谷繁型』。だからこそハマった時は良いが駄目なときはとことん駄目という傾向に見える。あくまで個人的な意見だが。


今年のドラフトで倉重友二(ドラフト時25歳・大阪ガス)を3,4巡で囲い込み指名するという話も出てきている。しかし阿部との年齢的なバランスを見てもそんな順位で捕手を獲得するメリットがあるのだろうか、と正直な所疑問に思う(くれぐれも倉重本人を馬鹿にしている訳ではないのでその点ご留意願いたい)。これはキャッチャーに限らない事だが、選手というのは『試合に出て初めて本当に成長する』のだと私は考えている。何というかこの球団のドラフトというのはチームの補強方針と関係なしに手当たり次第に獲得し結局満足に起用しないまま腐らせていくケースが多いように思える。獲得した以上はある程度育てるという意志を見せて欲しいものだ。


少々話がずれたが阿部は間違いなくこれからの巨人を担っていく存在だ。だからこそ今求められるのは首脳陣やフロントが我慢すること。阿部は着実に成長している。しかし経験が第一とされる捕手で10年以上プロで飯を食ってきたベテラン捕手と同じような能力を求めるのはあまりにも「虫の良い」話だ。将来阿部はV9時代の正捕手・森を押しのけ巨人の歴史上No.1の捕手となりうる存在だと思っている。これからの時期が阿部にとっては本当に大事な時期。周りを黙らせるような成長を期待したい。

(アマチュア時代の蔵のコメント)

 

 全日本でも必要不可欠な選手で大学球界でも屈指の打者。打撃は長距離打者でないものの、ボ-ルをぎりぎりまで呼び込んで、おもっいきり振りぬく。フォロ-スル-もしっかりしていて申し分ないし、近めの球を全く開かずさばく打撃は非凡。勝負強さが売りだが、ある一定レベルの球速を誇る投手の速球が打てないのが最大の課題。強肩で、特に捕ってから投げるまでのスロ-イングの速さは一級品。リ-ド、キャッチングもまずまずだが、プロで即戦力なるかは疑問。しかし、今年の野手では目玉的存在。

(プロ入り前の蔵の将来像予想)

打者としての潜在能力は抜群も一定レベル以上の投手相手だと極端に弱さをみせる打撃、また研究されてくると苦手な外角への対応の克服が迫られる。特に流して強烈な打球を放てないために内角への投球は警戒され外角中心の攻めをされた時に彼の真価が問われる。デイフェンス面はリ-ド、キャッチング、ワンバウンド処理など課題は多い。とりあえず肩を中心にアピ-ルしてゆくことになりそうだが、プロで安心して任されるレベルになるには数年の時間を要するであろう。本人の努力のみならず、球団がいかに我慢して育成してゆく覚悟があるか注目したい。1年目に関しては、常時一軍に置かれるとは思うが派手な数字は期待せず将来性を見込んでの起用になりそうである。将来を託せる逸材かどうかの方向性を示せれば御の字ではないのだろうか。

永年の課題であった待望の大型捕手獲得だけに今後の巨人黄金時代到来には彼の成長なくしてあり得ないだろう。

蔵の入団前評価:☆☆☆

(プロ入り後の実績をスカウティング通信簿で点数化)

指名       01年 02年 03年 04年 05年 06年 通算P 平均P

阿部慎之助 捕手  7P 11P 10P 11P 13P 10P 62P 10.3P


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