7-236 臥竜の家にて


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48 名前:臥竜の家にて 1/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:40:25
「よぉ、士元!」
「…うわ、ほんとにいやがったよ、こいつ」
劉封・ホウ統・蔡文姫の3人が臥竜岡の諸葛亮の家に着いたのは、4日目の夕暮れであった。

何故孔明が若いのか。何故この家に留まったままだったのか。
聞きたいことは山ほどあったが、出された食事の前に3人は沈黙する。


根菜たっぷりの汁。
竹の子と鶏の煮物。
鳥の臓物と卵を使った炒め物。
そして、白い飯。

「こないだ来た奴もまあ、すごい食いっぷりだったが」
諸葛亮は茶をすすりながら一心不乱に丼を抱える3人を眺める。
「お前らも負けず劣らずだな」
「まあ、ング、ここんところくな、モン…食って、なかったからな。」
飯をかきこみながら、ホウ統が答える。
"こないだ来た奴"も気になったが、今は劉封がすごい勢いで摘んでいる煮物を奪う方が重要だ。
「ああ、風呂も沸いてるから順番に入って来いよ。お前さんがた、えらい素敵な臭いがするぜ」
ニヤニヤと諸葛亮が言うのを聞いて、蔡文姫が真っ赤になる。
男2人よりも胃が細い分、蔡文姫の食事は終っていた。
「こいつらまだ当分食いそうだから、お嬢さん先に行ってこいや」
諸葛亮に促され、蔡文姫は先に風呂場へと向かう。



49 名前:臥竜の家にて 2/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:41:45
「……」
そして残される男3人。
「……おい」
「あ?」
「覗きたいとか思ってるな、孔明」
「そりゃお前だろ、士元」
(…この2人ってこういう人だったのか…)
劉封は無言で汁を啜った。


蔡文姫が体を擦ると、手ぬぐいは真っ黒になった。
必死に泥や垢をこそげ落す。そういえば3日も風呂に入らず山道を歩き詰めだったのだ。
生前の生活を思うと、信じられないことだった。
体を洗ってから、ゆっくりと湯船に浸かる。
ほう、と息が漏れる。湯の感触が気持ちよくて、口の辺りまで沈んだ。
こうしていると、過酷な遊戯の最中とはとても思えない。
やはり、こういったことが人間には重要なのだなと思う。
暖かい食事、清潔な体。屋根の下での生活。
そんな何でもないことが、得がたい幸せなのだ…。



50 名前:臥竜の家にて 3/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:42:40
ぱき

「…?」
と、聞きなれぬ音が浴室に響いた。なんだろう。

ぱき…かちん

音の元に気付き、戦慄が走る。
これは…この音は
首輪から、している。
どうして?何が、いったい…。
悲鳴を上げたい気持ちを抑え、おそるおそる首輪に手をあてる。
…首輪が、緩んでいる。首輪と首輪を繋いでいる箇所に、僅かに隙間が出来ていた。
どうして?!一体何が―――
騒ぐ心臓を押え、自分が何をしたか考えを巡らす。
変化が起こる、何か…何が…

……湯?
……………熱?



51 名前:臥竜の家にて 4/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:44:08
「…で、この部分が読めないんだよ」
「あ~…この字形、どっかで見たことある」
「本当か?」
「読めんが」
「なんだよ」
食事の後、諸葛亮とホウ統は、今日までの出来事を話しあい、解読不明な書物に向き合っていた。
劉封は、その輪に混ざれるはずもなく、ただ満腹の腹を抱えて床に転がっていた。
いいのかな…こんなんで。
そうは思いつつも、張り詰め続けた日々を思うと、この心地よい誘惑からは逃れられそうもない。
「…お先に失礼しました」
そこへ蔡文姫が戻ってきた。
「おう、さっぱりしたかい?」
「はい、ありがとうございました」
蔡文姫が諸葛亮に向けて微笑む。その、どこか陰のある笑顔にホウ統が眉をひそめた。
「どうかしたのかい?」
「…驚かないで、下さいね」
そういって、静かに自分の首輪を指差す。
「…これは…」
「湯船に浸かったら、こうなりました」
首輪はあと少しで外れそうなほど、継ぎ目が緩んでいた。
「もしかして、このまま外せるんじゃ…?!」
「で、それを試して文姫さんの首がふっ飛んだら?」
興奮した劉封をホウ統が諌める。
「構いませんわ。…成功すれば、皆様が助かるんですから」
「馬鹿言うんじゃない」
「うん、失敗したら死ぬってなこと、試すもんじゃない」
諸葛亮がホウ統に続く。



52 名前:臥竜の家にて 5/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:46:50
「多分…他にも何かいるんだろうなあ。」
蔡文姫の首をしげしげと眺めて諸葛亮が言う。
「なんか、首輪の継ぎ目に小さい穴が見える。ここになんか入れるんじゃないか?」
確かに首輪と首輪の間を繋ぐ留め金に、小さな穴が開いていた。
「鍵か?」
「そんなもんじゃないか。でなきゃ…油とか」
「湯では、何も起こらなかったんですよね?」
「はい…水ではないと、思います」
うーん、と考えこむ一行。
「…ダメだ、手がかりが少なすぎる」
一番初めに音を上げたのは、諸葛亮だった。
「大体何か試すにも分が悪すぎる。失敗したら爆発、だろ?お嬢さんもそうだが、試す方も命がけじゃ割にあわん」
降参、というように肩をすくめる。
「お前、相変わらずだなあ…もうちょっとなんとか考えてみろよ」
「無理なもんは無理だろ。情報が足りなさ過ぎる」
「じゃあ、その情報を探せばいいんですよね?!」
劉封が瞳を輝かせる。
「…そんな情報が、あるんでしょうか…」
「あるとすれば誰かの支給品かな。書物とか」
先ほどまで囲んでいた諸葛亮伝を摘んで、ホウ統が言った。



53 名前:臥竜の家にて 6/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:49:00
諸葛亮伝の中には読めない物が混じっている。
異国の言葉で書かれた諸葛亮伝だと思っていたが、もしかしたら全く違うことが書かれているのかもしれない。
そうでなくても、もしかしたら首輪に関する書物を支給された人間がいるかもしれない。
「まあ、持ってる奴が死んでる可能性もあるが」
諸葛亮の言葉に一同は沈黙する。しばらく、重苦しい空気が流れた。
「…首輪が外れりゃ、そりゃいいだろうが」
沈黙を破ったのは、ホウ統。
「やはりまずは劉備殿と合流して、今後を考えた方が良いと思う。
首輪に気をとられて、他が疎かになるんじゃ本末転倒だ」
「そう…ですね」
「劉備に合流すりゃ、なんとかなるのか?」
胡散臭げに諸葛亮が尋ねる。
「かもしれない、と思わせる人なんだよ」
「ふうん…」
諸葛亮はどうにも腑に落ちない、という様子だった。
「…義父上をそんな風に言う孔明殿って、新鮮ですね」
「そうか?」
「ええ。僕が知る孔明殿は、義父上に心酔されてましたから」
「…心酔…ねえ…」
ますます胡散臭そうな顔をする。
「まあ、会ってみりゃいいんじゃないか。劉備殿が、お前がまた心を動かされる人物なのかどうか」
「…う~ん…そうだなあ…」
ホウ統までがそう言う人物。…確かに、会ってみたいかもしれない。



54 名前:臥竜の家にて 7/7 投稿日:2006/10/12(木) 01:51:37
「…ところで、この首輪…元のように留めるのは、問題ないのでしょうか」
「え」
確かに首輪は緩んでいて、今にも外れそうだ。
何かにひっかけてしてしまって、無理矢理外すようなことになってしまったら…。
とはいえ、自然とそうなった物を元に戻すというのも…どうなんだろう。
「…一応そのままにしておこう。危険だし」
「そ、そうですね」
緊張した面持ちで蔡文姫が答えた。
「劉封殿、私達も首輪が湯船には浸からないように注意しよう」
「あ、はい」
ふと、そこでホウ統はおかしなことに気付いた。
「…孔明、お前は今まで風呂に入っても何も起きなかったのか?」
「あー、俺、ぬるい湯が好きだから」
「…………」

<<親子の面影+水鏡門下生/4名>>
蔡文姫[首輪が緩んでます]【塩胡椒入り麻袋×5 無花果×6】
劉封【ボウガン・矢×20、塩胡椒入り麻袋×5】
ホウ統【ワイヤーギミック搭載手袋、塩胡椒入り麻袋×5】
諸葛亮【諸葛亮伝(色んな諸葛亮が満載。諸葛亮と直接関係ない事柄については書かれていない)】

※現在臥竜岡。夜が明けたら劉備を探すために移動を始めます。益州へ。
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