7-191 忠臣

169 名前:忠臣 1/2 投稿日:2006/08/12(土) 02:37:44
春には、見渡す限りの美しい桃を咲かせる、豫州は[言焦]県。
此処には、三国志の最たる英雄といえる曹孟徳の、生家があった。
朱や銀で彩られた雅やかな佇まい。麗しい女人の肌を思い出させるような、白い庭園。
今でこそ、がらんどうの内部にただ一人が腰を下ろすのみだが、
その優美な面影はまるで失われては居なかった。
「―――いらっしゃいませんでした、ね・・・」
優麗な面持ちに、夕日が落ちた。気づけばもう、三日目も空が赤い。
荀イクは、緩やかに寝台から立ち上がると、左手の窓を閉めた。

そう。もう、三日目も半ばを過ぎたのだ。

私は漢室最後の忠臣、荀文若。
皇帝陛下の御望みを叶え、その無聊を慰めるために、戦う者。
なのに。
なのに、未だ三人しか殺せていないのだ。
なんと不甲斐無い。自分の余りの情けなさに、自殺したくなった。
それではいけない。何とか殺さねばと思い、真っ先に曹操を求めた
天に心を遊ばせ、期待を胸に[言焦]へとやってきたものの、しかしこの有様である。
荀イクの落胆のどれほどであった事か。
(残念です・・・)
ガリルARを愛しげに撫でる。
美しい流線型。艶の有る銃身。陛下は、私にとてもいい武器を下さった。
その期待に、応えたいと思う。応えなくては、いけない。
「曹操様だけに拘ったのがいけなかったのかもしれませんね・・・」
逆賊は、まだまだ生き残っているではないか。
劉性を頂きながら、不遜にも皇帝を名乗った蜀の逆賊、劉備。
たかが田舎の一豪族の癖に、冠を被るという大逆を犯した、呉の逆賊、孫権。
まだまだ。そう、まだまだ殺すべき者は沢山居る。
それを思うと、不思議と元気が湧いてきた。
さあ、私が頑張らなくては!



170 名前:忠臣 2/2 投稿日:2006/08/12(土) 02:38:18
降り続ける雨は北を蹂躙し尽くし、段々南へと去っていく。
溢れ出した河が大地に染み込んでいくのを見て、思い出した。
悲しみの復讐者は、その本懐を遂げたのであろうか。
彼もまた、荀イクと同じ復讐者なのだ。
まったく、曹家というのは親子そろって性質が悪い。
荀イクは微笑みながら、桃仙院から抜け出した。
美しい夕焼けが目の前に広がる。血の様に、赤い夕焼けが。
ああなんて美しいのだろう。
この空のように、大地を赤く染め上げたいと思った。
そうしたら、陛下はきっと喜んでくださるから。
まずは、呉だ。
それから、蜀。そして、曹操様。
愚かしくも陛下から帝位を奪い取った彼の息子は、任せておいてもいいだろう。
自分が出張るならば、彼が失敗した後だ。
(じゃないと、可哀想ですからねっ!)
荀イクは、その影を緩やかに、赤い空へと消えた。
誰もが見惚れ、慈しんだ微笑を其処に残して。


私は漢室最後の忠臣、荀文若。
逆賊どもには等しく死の裁きを。


@荀イク[洗脳されている?]『現在地 豫州・[言焦]県・曹操の生家』
【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)】
※劉備、曹操、孫権を中心に、無差別に殺戮を望んでいます。
※また、ゲームに乗らない者を狙います。
 積極的にゲームに参加している者は殺しません。
 殺意はありますが冷静です。
※取りあえずは呉に向かうようです。

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最終更新:2007年11月17日 18:31
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