7-176 流れ流れていつか消えゆくとしても


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96 名前:流れ流れていつか消えゆくとしても 1/5 投稿日:2006/08/04(金) 12:07:57
魏延文長。
一兵卒からの叩き上げの軍人であり、その勇猛果敢さと統率力から蜀軍の中核にまで登りつめた人物である。
五虎将にこそ選ばれていないがその実力は決して彼らに劣るものではなく、劉備にその才を愛された。

夏侯淵妙才。
曹操軍の誇る名将であり、急襲戦に於いては並ぶものがないと称えられた。
魏軍最古参のひとりにして曹操の親族でもあり、弓術の名手である。

彼らは共に優秀な武人であり、平素であれば決してお互いそこまでの接近を気付かずに許しはしなかっただろう。
バトルロワイアル三日目。
魏延は右腕と顔面に負った傷が癒えておらず、
さらに戦闘の起こっている北へ向かおうとするも慣れぬ道と森で道に迷ってしまったことによる疲労。
また夏侯淵は遊戯に乗っているといっても、
自らの息子達をその手で討つという非情な行動に、やはり心のどこかが疲弊していたのかもしれない。
肉体精神両面での単純な疲れもある。何時襲われるか分からない状態がもう三日目に入っているのだから。

そんなわけで、清らかな小川に向けてちょろちょろと用を足していた夏侯淵と、
川に水が流れる音を聞きつけて水を汲むためにやってきた魏延は、小川を挟んで鉢合わせしてしまったのだった。



97 名前:流れ流れていつか消えゆくとしても 2/5 投稿日:2006/08/04(金) 12:11:16
「「…………」」
なんとも気まずい空気が漂う。
魏延は支給された水筒を、夏侯淵は自らのブツを手にしばし固まった。
夏侯淵の立てる小さい水音だけが響き、やがて消える。
夏侯淵が発した第一声は、
「み、見たなアあぁ!!」
着替えを覗かれた乙女のようなそんな言葉だった。裏返った上に野太い声だったが。
「見てない! 見てない見たくない! 失礼した!」
「見られたからには生かしておけん! 武器持ってくるからそこから動くなアァ!!」
らしくもなく動揺して、自分が武器をいま手にしていないことを暴露してしまう夏侯淵。
「誰だか知らんが落ち着け!
 仮性包茎くらい気にする事無かろうが! 案外人数多いと聞くぞ!」
そしてつられて動揺して、焦点のおかしい事を口走る魏延。
しかし夏侯淵の周りの空気は、すっと温度を下げた。
瑕無き珠の如き勇将、夏侯淵の秘密にして最大のコンプレックス。
―――それを魏延はピンポイントでどついてしまったのであった。



98 名前:流れ流れていつか消えゆくとしても 3/5 投稿日:2006/08/04(金) 12:17:18
「……死ねぇ! もはや武器など要らん、その首この手でねじ切ってやる!」
「うおっ」
小川を恐るべき跳躍力で飛び越え、鬼気迫る表情で魏延に飛び掛る夏侯淵。
さすがに勇将だけあって魏延はそれを回避するが、間髪おかずに猛攻を繰り出す夏侯淵と
足場の悪さに負けて、木の根に足を取られて尻餅をつくかたちで転倒してしまう。
しかし頭に血が上っている夏侯淵も同時に別の根に足を取られ、こちらは前のめりに転倒する。
結果、尻餅をついている魏延の片足を地に伏せた夏侯淵ががしっと握って双方動きを止めた。
得体の知れない恐怖を覚え、引きつった顔でにじにじと逃れようとする魏延。
逃すまじ、と魏延の足をしっかり握り、血走った目でふふふふふと不気味な笑いを漏らす夏侯淵。
嫌な感じに凍る空気。

「ははははは捩じ切ってやる! 俺をコケにした罰だァ!!」
「コケになどしていない! していないってうわちょっと貴様何を……ッ」
着物を引っ剥がそうとする夏侯淵に、『捩じ切』ろうとしている対象がいつのまにか
首ではなく別のモノになっていることに気付き、魏延は本気で泣きそうになった。
「やめてくれ! 俺は宦官にはなりたくない!!」
狂気じみた笑いを漏らしながら魏延の着物をむしろうとする夏侯淵と、
脂汗を浮かべて逃れようともがく魏延。

まさしく、地獄絵図だった。



99 名前:流れ流れていつか消えゆくとしても 4/5 投稿日:2006/08/04(金) 12:22:13
―――それから数時間後。
夏侯淵と魏延は木陰で雨宿りをしながら、並んで昼食を摂っていた。
しばらく殴りあった結果双方とも疲れて、一時休戦となったためである。
ちなみに、魏延もまだ捩じ切られていない。
微妙な沈黙に、先に口火を切ったのは魏延だった。
「……いい医者を知っているから、なんなら紹介するぞ。口も堅い」
「…………気持ちだけ受け取っておく」
そしてまた、しばらく沈黙。今度は夏侯淵が口を開く。
「お前、強いな。俺は夏侯淵、字は妙才だ。お前の名は」
「貴殿が夏侯妙才殿か。お噂はかねがね伺っている。俺は魏延、文長だ」
「魏文長か。なるほど強いはずだ。……この遊戯には乗っているのか」
「恨みのある奴を探している。諸葛亮、馬岱、姜維、そして楊儀だ。どこかで見なかったか」
「いや……。もしかしたら見たかもしれないが、顔が分からんからな」
軽く首を傾げて夏侯淵が答える。馬岱と姜維には出会っているのだが、一方的に遠隔攻撃を加えたのみで
名を聞くような機会は無かった。
「そうか。貴殿は?」
「乗っている。息子も殺した」
「そうか。では俺も殺すか」
「そのつもりだ。しかし今は殺さん。その力を借りられるならばな」
「……何?」
「この場を一人で生き抜くのは不利だ。背中を任せられる相棒が欲しい。
 組んでいる間は決して危害を加えぬこと、お前の目的に協力することを名と誇りにかけて誓おう」
先ほどまでのテンパりっぷりが嘘のような真面目な目と落ち着いた口調で夏侯淵が言う。
「受けてくれるか?」
しばらく逡巡し、一人で生き抜くのは不利、と夏侯淵と同じ結論に行き着いた魏延は頷いた。
「判った。受けさせていただこう。そして俺も貴殿と同じことを誓おう」

酒は無いが、水筒の水で乾杯を交わす。
ここに夏侯淵と魏延、ふたりの猛将による同盟が締結された。



100 名前:流れ流れていつか消えゆくとしても 5/5 投稿日:2006/08/04(金) 12:29:14
「どこへ向かう、魏文長。目的地はあるのか」
「いや……、漢中周辺に馬岱と姜維が居ると思うのだが、もう移動しているかもしれんな」
「そうか。俺はできれば北には行きたくない」
「何故だ?」
「奇っ怪な連中が居た。変な歌を歌いながらおそらく女物の服を来て、踊り狂うように戦っていた。
 あと全裸の獣っぽい男の尻が月光にてらてら照り輝いていた」
良くわからない夏侯淵の言葉から、良くわからないなりに想像する。
凄く嫌な図が魏延の脳裏に広がった。
「それは……気色悪いな」
「あぁ、心底おぞましかった。虫唾が走って背筋が寒くなった。
 一応離れた場所から攻撃を加えてきたが、生きているかもしれん。なにしろ人間離れして不気味だったからな」
「……北は止めて置こう。では東はどうだ?」
「そちらには特に何も問題は無いな」
「では、そちらへ向かうとするか」



<<猛将同盟/2名>>
魏延[右腕・顔面右側に火傷(痛み止め済)、軽い打撲傷]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】
夏侯淵[軽い打撲傷]【ベレッタM92F、弓と矢、トンプソンM1A1、発煙手榴弾、AK-47(弾倉あと5)】
※地図の魏延の位置から東へ向かいます。好戦的。
※「言い忘れたが、俺の秘密を誰かに漏らした場合は三秒で殺すからな」「……了解した」
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