7-158 忘却の空

4 名前:忘却の空1/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:45:13
(誰の仕業か知らないが・・・ずいぶんと惜しい事をする)
歴史に残るであろう華美な宮殿。
質素だが美しい木々が飾る街道。
人々が生の活気を見せた市場。
・・・既にそれらは灰になっているのだろう。
遠目にもわかる、ひどく雄々しげな炎を巻き上げている許都。
それを遠くの平地から眺めながら、張コウは懐かしさと喪失感、そして軽い怒りを覚えた。
が・・・。
(・・・まあ、いいか。オレのものじゃないし・・・)
怒りを覚えたところで火をつけた者の正体がわかるわけでは無し。
万が一わかったところで、己の身を危険に晒してまで報復するほどでもない。
それよりは『今後どうするか』と考えた方が己のためになる。
そう考えた彼は衣服から地図を取り出し、軽く眼を向けた。
夜陰だが、月光に照らせば読めないことはない。
(・・・まあ、曹操殿はまずここにいないと考えていいだろう。だがあそこに誰か・・・)
そこまで考えた途端、背筋に寒いものが走る。
「・・・!?」
そう、たしか戦場でも幾度となくこの感覚は自分を襲った。
だからわかる。これは『殺気』『殺意』と呼ばれる類のものだ。
燃える許都から届いたのか、乾いた風が己に吹く。頬を撫でた手に冷や汗が伝った。
(これは・・・かなりヤバイな・・・)
即座に地図をしまい、周囲を見回す。
少し離れたところに木々が茂った小さな林ならあるが、どうも殺気はそこからは感じられない。
(なら・・・こっちか?)
感覚に任せた方向に視線を向ける。
そこには、自分と同じように乾いた風をその身に受ける『見覚えのある男』がこちらに向かって歩いてきていた。


5 名前:忘却の空2/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:45:56
「・・・徐庶・・・か?」
誰に向けるともなく・・・いや自分に向けるように、張コウはそう呟いた。
そうだ・・・見覚えのある男。記憶にある風貌とやや違うが、あの男は徐庶に違いない。
だが、今の自分に同じ魏将との再会を喜ぶ余裕はない。
もともと徐庶と自分は親しい間柄でもないが、そんな事は要素とならない。
徐庶の衣服は返り血に染まっているし、手には抜き身の剣が握られている。
何より、明らかに徐庶は殺意を自分に向けてきている。
(志を理解してもらう・・・それどころじゃないな・・・)
『おそらく戦闘になるだろう』という予感が張コウの胸を過ぎった。

「・・・よし、そこまでだ。徐庶・・・そこで止まれ」
徐庶が近づき両者の距離が五歩ほどになった時、ふと張コウが掌を徐庶に向け制止の構えを取る。
張コウ自身が止まるとはあまり思っていない。期待せずに発した言葉だった。
が、その予想に反して
「・・・」
無言のまま、五歩の距離で徐庶は足を止めた。
とはいえこちらを攻撃する意志はしっかりしているようで、ゆっくりと剣を構えだす。
その姿は空から照らされる月光に映え、異様な神々しさを兼ね備えたように見えた。
(なんだろう・・・何か・・・異常だ・・・異常な感覚だ)
光に照らされた徐庶の顔。
後悔も苦悩も憎悪も、そして悦楽も含んだ形容しがたい顔。
何度も殺されたような、自分の意志ではない何かによって動かされているような顔。
すぐに異常だと感じ取れるほど、徐庶の表情は人間離れしている。
(・・・一つ二つ質問してみるか)
「徐庶・・・それは一体何の真似だ?」


6 名前:忘却の空3/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:46:32
意を決して、張コウが口を開く。
もっともこの問いの答えなど、張コウもわかりきっているのだが。
そして、徐庶は・・・。
「曹操・・・か?・・・」
とギリギリ聞こえるぐらいの小声で返し、構えたまま張コウへ突進した。
(ヤバイ!)
思った瞬間、張コウも右へ飛ぶ。数瞬後、滑らかな斬撃音が響く。
(オレが斬られた!?いや違う!)
一瞬の安堵の後地面に着地し、張コウは先ほどまで自分がいた場所に眼を向けた。
「な・・・!?」
まさか・・・と驚愕する。
徐庶が持っていた剣は、地面に深々と突き刺さって・・・。
いや、堅い石もろとも綺麗に地面を『真っ二つに切り裂いて』いた。
(なんだ!?あれは・・・)
石を斬ったとしても、鈍い残撃音など一切聞こえなかった。
いやそもそも、剣とはあそこまで石を綺麗に斬れるものなのか。
(徐庶の力・・・?いや、あの剣の力か・・・!?)
危機感を感じ、次の攻撃を避けるために身を立て直し距離を取る。
そんな張コウを目に捉えながら刀を構え、徐庶はただ静かに呟いた。
「曹操じゃあない・・・が、まあいい。名は思い出す気もないが、お前も魏将だったな・・・」
『殺す』・・・徐庶の目は確かにそう言っていた。

一足飛びで張コウの前へ行き、斬鉄剣を振り下ろす。
全力で地面を蹴って徐庶の振り下ろしを飛び避ける。


7 名前:忘却の空4/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:47:06
追いかけて薙ぐ。
伏せて薙ぎを空かす。
伏せた体勢へ突き下ろし。
横転し身を立て直し。
突けば飛ぶ。飛べば払う。払えば退く。
初太刀から、『攻撃する徐庶、避ける張コウ』の図式は変わらない。
だが、幾度振り回しても斬鉄剣の斬撃はことごとく空を切り、斬撃の手ごたえを感じることはない。
(くっ・・・さすがに今の状態では易々と殺すことはできないか・・・)
息を荒げながら、徐庶は自身の体を顧みる。
燃え上がる許都から脱出する際、肩を少々火傷し、体を打った。
それは大した事はないのだが、斬鉄剣を軽々と扱うには少々体が疲れすぎている。
それに、相対している敵もなかなか反応が早い。身のこなしも見事だ。
反撃をしてこないのは、手に持つ玩具の様な剣ではいかんともしがたいからだろう。
とにかく、仮に撃剣の使い手である自分がもし万全の状態であったとしても
不意を突かねば一太刀で仕留めるのは難しい相手だ。
(では、そうするか・・・)
その『不意をつく』手段を思いつき、徐庶は笑みを浮かべる。
そのまま張コウへの攻撃を止め、彼は少し後ずさりを始めた。
「・・・なんだ?打ち止めか?」
片膝は地面につけたままの張コウが軽口を叩く。
瞬発しやすいようにか、武器を持たない手と片膝は地面につけている。
「そう・・・思うか?」
徐庶は笑みを浮かべたまま、一足飛びでギリギリ届く場所まで後ずさりする。
そして足を止めた後、懐に手を入れ・・・。
「そいつは残念だったなッ!」
懐中電灯を取り出し、張コウの顔面に向けて照射した。


8 名前:忘却の空5/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:47:41
「ぐ・・・あッ!?」
闇に慣れた目に突然の大量光射を受け、うめき声とともに張コウは武器を持った手で目を抑えた。
「(動きが)止まった!今だッ!」
叫び懐中電灯を放り投げ、一足飛びの体勢を取る。が・・・。
「同じ事考えてたのかよッ!」
その張コウの叫びと共に、大量の冷たい何かの粉末が徐庶の顔にぶつかる。
「うッ!?」
一足飛びの動作が一瞬遅れる。
だがすぐに『張コウがいるはずの場所』に向かい飛び、全力を込めて斬鉄剣を振り下ろした。
(斬った・・・が!?)
ひどく乾いた小さな斬撃音とともに、軽い手ごたえが伝わる。
(いや浅い!全身ではない!手か足か・・・末端の部分!)
「ぬおおおおおおおおォォォォォッ!!」
目をつぶったまま斬鉄剣を幾度も振り回す。
右から左へ、前から後ろへ、上から下へ。
だが、どれだけ振り回そうとも飛び掛った初太刀以外に斬り応えが手に伝う事はなかった。
(ちっ、逃げたか!)
すぐさま眼をこすり、先ほど顔に飛び散った粉末を払う。
「土か・・・奴め、土をぶつけたのか・・・」
払った手についた土の感触で、先ほどの粉末の正体を推測する。
そしてようやく開いた眼でそのまま周囲を見渡すと、近くにあった小さな林が目に付いた。
周囲に張コウの姿は見えない。おそらく、そこに逃げ込んだのだろう。
「大した瞬発力だ・・・だが、林とは・・・ふん、己で己の首を絞めたな」
自身の頭に次なる戦略を浮かべ、徐庶は林に向かい歩き出す。
(孔明、士元、待っていろ。すぐに終わらせて、お前たちの元へ行こう。
 お前達と私の絆を引き裂いた愚物・・・それに従う腐った犬を、すぐにバラバラにしてやるかな)
友を心に浮かばせながら。



9 名前:忘却の空6/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:48:45
「・・・僥倖・・・って、言ってもいいのかもな・・・」
林の中心にある一番大きな木に背中をあずけながら、張コウはそう呟いた。
斬鉄剣の斬撃で綺麗な鋭角に先端を吹き飛ばされ、少し束がばらけた竹刀を眺める。
先ほど徐庶が感じた手ごたえは竹刀のもので
張コウ自身は斬鉄剣による攻撃での手負いはない。
(さっきのは、この光か・・・)
懐から懐中電灯を取り出し、先ほどの光の正体に勘付く。
少し気にしてはいたが、光による痛みも体の不具合も見受けられないところから察するに
これはただ光を発するだけのものなのだろう。
それにしても。
(・・・確か徐庶は撃剣の使い手だとは聞いていたが・・・脅威なのは剣の方だな・・・)
切れ味を思い出すだけで冷や汗が頬を伝い、背筋に寒気が走る。
だが、その感覚をどこか心地良いと感じ、笑う自分がいる。
―笑う?―
命を削る凌ぎ合いに、やはりどこか自分も惹かれているのだろうか?
・・・いや、違う。そこから勝った時の・・・なんというのだろうか、充実感、達成感・・・。
生を勝ち取った満足のようなものを、自分は欲しているのだ。たぶん。
(とは言っても、勝てなきゃ話にならないわけだ)
さて、これからどうするか。張コウはしばし思案に耽る。
竹刀であの剣閃を受け流す事はできない。そんなことをすれば竹刀ごと自分は真っ二つだ。
かと言って受けずにかわし続けてもいずれは追いつかれ斬り伏せられる。
憔悴しきっていた顔から、徐庶に疲労が溜まっているのは推測できたが
だからといってマトモにぶつかり合い勝機が見えるかというと、決してそれはない。
(傷を負ったわけでなし、あっちもまだ諦めないだろう。光を照らしてオレを探しに来るか・・・)
そこまで考えた時。
地面を揺るがす雷のような大激音が耳に入った。


10 名前:忘却の空7/11 投稿日:2006/07/30(日) 02:49:17
「な・・・!?」
木の陰から音のした方向を覗き込む。
さほど遠くない場所で、先ほどまでは天に向かっていたはずの木が倒れている。
「まさか、あいつ・・・」
嫌な予感がして、木の陰から出る。
直後、大きくも心地良い斬撃音とともに倒れた木の近くの木が傾き始めた。
(まさか・・・木を斬ってるのか!?なんでもありかよ・・・あの剣・・・!)
傾いた木がゆっくりと倒れ始める。
そして先ほどと同じ雷のような激音とともに、木は完全に地に伏した。
「二本目で驚き登場か・・・意外と早く出てきたな。まあ、その方が手間が少なくていいんだが」
その木の奥に徐庶は居た。
夜陰の中でも、月光を受け光り輝く刀を手に持ちながら。

「オレが出てこなければ、木を全部切り倒すつもりだったのか?」
「さあな。仮定の話をするつもりはない」
「全部切り倒せる体力なんて、もう残ってないだろ?顔を見ればわかる」
「体力がなくてもやりきれるさ。曹操の犬を殺すためなら、どうってことはない」
「・・・林で剣を振るつもりか。木が邪魔になるだろうぜ?」
「私が木を切り倒したのを見た上でまだそう言えるのなら、お前はただの阿呆だ」
「・・・刃こぼれは・・・」
「いい加減黙れ」
少々の会話の後言葉を打ち切り、張コウに向かい歩き出す。
木を切り倒すのは確かに少々骨が折れたが、今の自分にはどうということはない。
いや、林に逃げ込んで逆に苦境に詰まったのはこの曹操の犬だろう。
ここは平地ではない。木々が動きの邪魔をして、先ほどまでの様に俊敏にかわす事はできない。
動きが鈍った剣閃でも、おそらく攻撃を当てる事はそうそう難しい事ではない。
仮に今度は反撃をしてきたとしても、急所に当たらなければ玩具のような剣など痛くも痒くもない。
「終わりだ」
負ける要素はない―徐庶は勝利を確信し、五歩の距離で剣を上段に構えた。


11 名前:忘却の空8/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:00:50
そしていざ跳躍しようとした瞬間
「今度はお前だッ!」
という張コウの雄叫びとともに、懐中電灯の光が瞳に飛び込んでくる。
(やはりただの阿呆だ!この徐元直様に既知の戦術を使うとは!)
近づいた時見えたが、懐中電灯を手にしていた事からこれが来るのではないかと予想していた。
来るとわかっていれば怯むことはない。視界は眩めこうとも距離も掴んでいる。
(飛び込み振り下ろしで一刀両断!)
なんの怯みもなく跳躍する。そして曹操の犬がいるはずの場所に向かって全力で刀を振り下ろす!
確かな手ごたえあり!

―――の、はずだった。

―――地には着地した。だが、なぜか足に力が入らない。
(おかしい)
―――体躯を斬った感覚はない。それどころか、軽い手ごたえも感じられなかった。
(・・・おかしい)
―――右肩に激痛が走る。何か刃物のようなものを突き刺されたような鋭い、痺れるような痛みが。
(・・・・・・おかしい)
眩めいた眼で徐庶は痛む場所を見る。
玩具の剣が深々と突き刺さり、己の血を外へ押し出している右肩。
そしてその玩具の剣をしっかりと握り締める、真っ二つにしたはずの曹操の犬。
徐庶の眼には、彼にとってある事がおかしいはずのものが二つ、確かに映っている。
「おか・・・しい・・・」
「そう思うか?」
そのまま蹴り飛ばされ、徐庶は勢い良く地面に叩きつけられる。
はずみで視界に入った玩具の剣の先端は、赤く染まりながらも確かに鋭く尖っていた。


13 名前:忘却の空9/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:01:47
「不思議に思うか?だが、こうしてくれたのはお前だ。オレにも予想外の嬉しい偶然だったよ」
・・・自分が?どういうことだ?
虚ろな頭で記憶を反芻する。確か・・・そう、確か思い当たる事と言えば・・・。
「・・・あ・・・」
そして気づいた。
懐中電灯を照らして斬りかかった時、確かにひどく軽い手ごたえを感じた。
指でも切り落としたのかと思ったが、そういえば目の前のこの男は傷一つ負っていない。
(あの時か・・・)
まさか敵に利してしまうとは・・・そんな悔しさと、まさかという驚きが胸中を深く占めた。
「なぜ気づかなんだ・・・そんな簡単な事に・・・」
「疲労と油断・・・だろうな。木を切り倒してオレを見つけた時、勝ちを確信したんだろ?
 剣を上段に構えたのも、跳躍と剣の重さに助けられる振り下ろしが一番楽だから・・・違うか?
 稀代の軍略家、徐元直らしくない失敗だったな」
確かにそうだ。
玩具の剣を持った男を見た時、当たろうとも痛くも痒くもないと確かに慢心していた。
懐中電灯の光を己に向けた時、同じ策を二度使う阿呆と侮っていた。
曹操の犬だと侮り、目の前の男の力など度外視していた。
油断はいつ何時、いかなる時も決してしてはいけないと教わっていたのに。教わっていたのに!
「・・・がっ・・・」
動かない右肩に見切りをつけ、左手に剣を持ち返る。
「だが・・・まだ右腕を奪われただけだ・・・!」
「左腕一本で今までの様には振り回せないだろう。それを狙ったんだ。
 一瞬視界を奪っても、さすがに振り下ろしに真っ向から行けば真っ二つだからな」
わずかに嬉しさと侮蔑を含蓄させるように呟くと、張コウはまた尖った竹刀を構えた。
「だが、次は殺す・・・決して逃がさない。来るなら来い。来ないならこちらから刺す」
その言葉を受け徐庶は立ち上がり、剣を構える。


14 名前:忘却の空10/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:02:26
(・・・孔明・・・士元・・・)
懐かしい記憶が頭を過ぎる。過去、大切な友人達と語り合った、かけがえのない過去を。
「孔明・・・!士元・・・!・・・お前たちと会うまで・・・ッ!」
「三度目の正直ってなぁッ!」
叫び、張コウは足元の土を蹴り上げた。眼に入り照準が狂い、徐庶の斬鉄剣は地を斬る。
張コウはすぐ接近し、その地を斬った斬鉄剣の棟を足で押さえつけ
「俺は死なっ・・・」
「死ね」
勢い良く竹刀をノドに突き刺した。
「さよならだ、徐元直」
喉からの返り血を浴びながらそう言い放った張コウの顔には、どこか歪んだ笑みが浮かんでいた。

(さすがに・・・疲れたな)
倒れ伏した徐庶を一瞥し、動かない事を確認すると、途端に緊張の糸が切れた。
そのままどっと疲れが押し寄せ、冷や汗が流れてくる。
もし徐庶の疲労がたまっていなかったら?
もし徐庶が油断せず、軽々に飛び込んでこなかったら?
もし竹刀が皮膚に刺さるほど鋭角に削ぎ取られなかったら?
偶然に偶然、もう一つ偶然が重なった上での勝利だ。もう、奇跡といっていい。
(もう、こんな勝ち方は絶対できないだろうな)
運命に感謝すると、張コウは徐庶が持っていた斬鉄剣を手に取る。
多少血脂が付着し、腰が伸びているのが気に入らないが
先ほどの戦闘で束が完全にばらけ、もう刺さらないだろう竹刀よりははるかにマシだ。
(これじゃもう拷問ぐらいにしか使えそうもないよな、この武器)
軽く竹刀で地面を叩きそれを確認すると、少し離れたところにある徐庶のバッグを手に取る。
(やっぱり備品はこの中に入れたほうがいいな・・・持ち運ぶか)
そう思いながらバッグを手に取り、張コウは徐庶の死体を一瞥し声をかけた。


15 名前:忘却の空11/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:05:06
「もらっていくぞ・・・ああ、そう言えば孔明と士元だったか?」
ふと、徐庶が最後に漏らした人名を思い出す。
孔明とは蜀漢の功労者諸葛亮。士元とはこれまた劉備についた名軍師ホウ統の事だろう。
「まあ・・・心配するな。そいつらともすぐにそっちで会えるだろうからな」
(徐庶は降将だが、魏将ですら特定の人間以外はほとんど信用は置けないことが再確認できた。
 他国の人間など、当然信用できないな)
そう心で吐き捨てたが、顔には先ほどの様に歪んだ笑みが浮かんでいた。

ふと空を仰ぐと、闇を打ち消す陽光が見え始めた。そろそろ朝が来るのだろう。
どれだけ長い間戦っていたのか。いや、戦闘後の休息を多く取りすぎたのか。
空には雲ひとつ見えない。きっと太陽は綺麗に大地を照らすのだろう。
張コウには、なぜだかそれが異常に腹立たしかった。

【徐庶 死亡確認】

@張コウ【竹刀(束バラバラ)、斬鉄剣(腰伸び)、首輪解体新書?】
※燃えている許都に近寄ります。現在地はそこから少しだけ離れている許都西方面。
※魏将や袁紹とは手を組むか考えますが、他国の人間は攻撃。けっこう邪悪になってきました。
※首輪解体新書?は難解すぎて張コウには読めませんでした。

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最終更新:2007年11月17日 16:32
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