7-127 連なる回旋

326 名前:連なる回旋 1/2 投稿日:2006/07/23(日) 15:36:40
「む……これは」
……むきゅっ。
先を歩いていた姜維が急に止まるものだから、馬岱はその背に額を突っ込んでしまう。
「あ、すみません」
「どうした、急に」
「これ、見てください」
姜維が指で示したところの地面に、幾つもの小さな穴が穿たれている。血痕と焦げた形跡もある。
ここで戦闘があったという何よりの証拠である。(>>229)
「この弾の跡は単発のようですね。こちらの小さいのは連射できるもの、あちらのはもっと遥かに出力の大きな――
 少なくとも魏延どの(が持っているタイプの銃)ではなさそうです。ですが、これらの武器を持った者が
 未だ近くにいる可能性は十分にありますね」
そう言って眉根をしかめる。殊更強調したのは、やはり魏延のことを未だ気にしているところから来るのだろう。
(……そう、今魏延どのに遭遇する訳にはいきませぬ。いずれ対等な条件で――)
軽く渦巻いた思考を馬岱の声が遮る。
「ああ。それも気になるが、オレとしては、戦闘があったってことは『乗ってる奴がいる』って事の方が気になるね。
 ……隠れられるところも多そうだしな」
辺り一面を見渡して、馬岱は頬に右手の人差し指を当てて思考を巡らせる。その指先が額まで移動する。
もっとも、戦闘があったのは結構前のようで、運良く武器など拾えればなどとも思ったが、暫く放置されていた故か
それは叶わなかった。爆散している、おそらくもと人間であろうものは残されていたが。

良く見ると食事の跡があった。この状況下でのんびり食事をしているということは……
「武器か仲間、或いは両方が充実している、といったところでしょうか? 的確な判断能力があるという前提での話ですが……」
「あとは、状況からして周りの奴を全部倒してしまってから食事にした、って感じか」
冷静に現状の分析を進めるふたり。
「何れにせよ、この様子だとまだあまり遠くへは行ってないようですね」
軽く握った左手を顎に添えて姜維は呟いた。
この先。彼らにとっては地の利があるが、その分、城などに篭られて迎撃されたら厄介であることも解っている。


327 名前:連なる回旋 2/2 投稿日:2006/07/23(日) 15:38:45
往くか退くか。
このまま西へ進めば、ここで行われた戦闘の主が待ち構えている可能性があるし、そうでなくとも他の誰かが篭城しているかも知れない。
南――蜀なら、他の皆が集結しているという期待もあるが、既に魏延が待っているのでは、という危機感もある。
かといって、来た道を引き返すのは余り有益では無い気がする。
となると、南東……?
いや、むしろ余り動かずに誰かを待つべきか?

考えながら無言の会話をしていた姜維と馬岱の思考を途切れさせるものがあった。
何者かが大声で歌いながら近づいてくる。……歌いながら!? 何て無防備な……
しかもその歌声は実は二人分で、一人が途中まで歌った後、一文節遅れて同じ箇所を歌っている。輪唱!?
耳を疑いながらも、二人目が次の区切りに入ったところで、姜維はついつられて歌い始めてしまう。但し小声で。
「静かな湖畔の……」
(バッ、何やってるんだよ!)
(いや、つい……)
止めかけた馬岱だったが、姜維が次の段落に入ったところで何となくつられてしまった。一応小声で。
「しっずかっなこっはんっの……」
近づいて来た人影が僅かに見える。こちらには気付いていないらしく、歌が止む様子は無い。しかもかなりヤケクソっぽい。
そう、明らかに「相手に敵意が無い」のだ。歌うことについてはさておき、この歌声の主に話を聞こうと思った。

「なくー、なくー、なくっなくっなくー……」


<<丞相を捜せ!/2名>>
姜維【なし】
馬岱【赤外線ゴーグル】
※現在五丈原辺り。今後何処に行くかを少し熟考したいようです(荊州が候補に入っています)。
 歌いながら近づいて来る二人組がとても近くにいます(大変気になります)。敵意はなさそうです。
 この近辺に放置されていたアイテム類は全て消失しています。

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最終更新:2007年03月13日 02:30
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