7-101 妖刀対妖槍


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

244 名前:妖刀対妖槍(訂正)[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 22:41:21
―俺はどうしたんだ―
確か、入り口を出た。そこに荀イク殿がいた。声をかけた。荀イク殿は笑っていた。笑いながら、俺に斬りかかった。咄嗟の事で反応が遅れ、腕を少し斬られた。荀イク殿とその槍から尋常じゃない気配が感じられた。
殺される。そう思って、俺は逃げた。奴をまくため、近くの茂みに、身を隠した。すぐにばれた。殺される。濁った双眸に睨まれながらそんな事を感じた。そして槍が振り下ろされた。
斬られたというより殴られた感じだった。途切れる意識の中、荀イク殿の呟きが聞こえた。
「あなたにも手伝ってもらうとしましょう、曹彰殿。これを差し上げます。かわりにあなたの支給品は頂いていきますよ」
それから、どうなったんだ?
目が覚めた気がする。近くに槍が落ちていて、俺の鞄が荒らされていた。わけもわからずにその槍を取った。鈍く、妖しく光る刃が美しかった。
『コロセ』
頭の中に声が聞こえた。やさしく言い聞かせるように何度も何度も聞こえてくる。
『コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、我ニ血ヲ、主二悦楽ヲ…共二参ロウ修羅ノ道ヲ』
…ソウダ、殺サナケレバ、誰を?参加者ヲ。どうして?ドウシテモ。家族や仲間もいるのにか?家族ヤ仲間ナンテ関係ナイ。唯殺セバイイ。血ヲ、悦楽ヲ…
―ソレコソガ、我ガ望ミ。イザ征カン修羅ノ道―


239 名前:妖刀対妖槍 2/6[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 21:05:27
「息子達、それに、文醜達までもが…」
『旦那…』
朝霧の中聴いた、第二回放送。その中には自分の息子達、そして優秀な配下の名前が挙がっていた。
「残ったのは沮授に顔良、それに顕歩か、我が精鋭達がこうもあっさり逝くとは…」
目を瞑ると脳裏に浮かぶ、散っていった配下と息子達。その一人、一人に誓うかのように袁紹は声を上げる。
「お前達よ、見守っていてくれ。この袁紹本初、必ずやお前たちの仇を討ち、あの劉協めの首をお前達の墓前に奉げるのを」
そう言って、瞑っていた目を開く袁紹。その瞳、その声には先ほどまでの悲しみはなく、より一層の決意が伺えた。
(それでこそ俺が見込んだ人だ)
新たに決意を固めた袁紹を満足そうに見る(?)村正、と、その時、強烈な殺気、そして狂気を、村正は感じとった。
『旦那、気をつけな。敵が近づいてきてるみたいだ。』
「なんだと!?本当か?」
村正の言葉に刀を構える袁紹。そして袁紹も、村正が感じとった殺気と狂気がこちらに向かってくるのが感じられた。
「な、なんだ?この殺気と狂気は?かつて、私も何回かは感じた事はあるが、これほどの物は感じた事が無いぞ!?」
今まで感じた事のない物に戦慄を覚える間にも、一歩、また一歩とそれは近づいてくる。
『もしかしたら、旦那もこうなってたかもしれない』
いつもとは違う真剣な口調で答える。


240 名前:妖刀対妖槍 3/6[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 21:06:14
「どういう意味だ?」
『旦那も俺と会ったあの時、運が悪ければこうなってたんだぜ?』
その言葉だけで、袁紹は理解できた。
「つまり、あいつは…」
『ああ、武器に取り付かれてる。しかも…』
深い霧の中、一人の男が現れた。その目は狂気に取り付かれ、その手には袁紹の持っている、妖刀・村正と同じ光を放っている槍があった。
『どうやら俺の兄弟らしい。よぉ、妖槍・村正』
「妖刀ノ、貴様、ドウシテ、使命ヲ果タサヌ?我等ハ殺戮コソ使命ノ筈」
完全に精神を乗っ取られてる故か、その槍が言っているであろう言葉が曹彰の口から出てくる。その声は低く、どこか薄ら寒い物を感じる。
『妖槍の、生憎だが俺は一抜けさせてもらうぜ。俺は、この旦那に着いていくと決めたのでな。』
武器同士、声が聞こえるのだろうか、曹彰、いや、妖槍・正宗は顔をしかめる。
「貴様、我等ガ使命ヲ果タサヌト言ウカ!!」
『もうそんなもんに従う気もねぇよ』
妖槍の怒号を妖刀は飄々と受け流す。
「ナラバ、叩キ折ッテクレルワ!」
「己等だけで話をすすめるなぁ!」
武器同士の会話に、置いてけぼり状態だった袁紹は一喝すると荷物を持って森へと駆け出した。


241 名前:妖刀対妖槍 4/6[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 21:08:00
『ちょ、逃げるのかよ、旦那ぁ!』
「黙って従え!こんな平野であんな長物とやりあえるか!」
妖刀・村正の不平を一喝し、森へと逃げ込む。
「逃ガサンゾ…同胞!」
それだけを呟くと、妖槍もまた森へと入っていく。
霧深い森の中、妖槍はぬかるんだ地面にある足跡を見つけ、ほくそ笑む。
「フン、足跡ヲ残シテノ逃走トハ。妖刀モ馬鹿ナ主君ヲ持ッタ物ダ」
そうして足跡を辿る事数分、妖槍は、茂みに入っていく足跡と、茂みからはみ出している服の一部を見つけた。そのあまりにもおざなりな隠れぶりに、妖槍は呆れ返った。
(ココマデ抜ケテイルトハ…妖刀ニハ憐レミスラ感ジルガ、ソレモ自業自得ダナ…消エロ!)
歪んだ笑みを浮かべながら妖槍は自らを茂みへと穿つ。茂みの中にあった物に深々と刺さる感触がした。
だが、それは人を刺したそれではない。それは…
「コノ感触、木ダトォ!?」
妖槍が驚愕の声をあげた、その時、横合いから衣服を脱いだ袁紹が妖槍の寄代、曹彰へと突進する。その突進を諸に受け、曹彰は妖槍を放し、地面に伏す。
「まんまとひっかかったな阿呆めが」
『旦那の策、見事に決まったなぁ』
「ふん、名門たる者、知略にも通じておかねばな」


242 名前:妖刀対妖槍 5/6[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 21:10:11
事の顛末はこうである。
『旦那旦那ァ!足跡がついてますぜ!これじゃぁ見つけてくれって言ってるようなもんでしょう!』
「わざとだ」
袁紹の答えに、村正は袁紹が何を考えているか理解できなかった。
「理解できぬようだな。何、ただ疑似餌を仕掛けるだけだ。」
そう言うと袁紹は、茂みに入り込み、服を脱ぎ、それを茂みから外へ、少し出した。
『これが疑似餌ですか』
どうやら村正も合点がいったようだ。
「うむ、すぐ近くに木の節くれもある。勢いよく刺してくればあの節くれに刺さり、抜けにくくなるだろう」
『しかしそうそう引っ掛りますか?』
村正の疑問に袁紹が答える。
「狩る側は自分が有利だと知れば自然と心に油断が生まれる物だ。それにそのために足跡までつけたのだ。まぁ、歴戦の武将ならば、少しはいぶかしむかもしれんが、殺す事のみを考えている、ああいうのはひっかかりやすいだろう。」
『確かに』
仮に自分が妖槍の立場なら確実にひっかかっていたな、などと、村正は妙に納得してしまった。
そして待つこと数分、妖槍は現れ、ものの見事に、袁紹の策にひっかかったのであった。


243 名前:妖刀対妖槍 6/6[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 21:11:15
「さて、それではこんな危険物は処分してしまうか」
袁紹が妖刀を構える。
『貴様ァァァァァァァッ!!!』
『じゃあな、妖槍。旦那に手を出したのが運の尽きだ。それに…』
妖刀が何回か閃き、妖槍は断末魔と共に、粉微塵となった。
『“村正”は二つもいらねーよ』

@袁紹【妖刀村正】 
@曹彰【なし】(気絶)

※とりあえず曹彰をどうしようか考え中、妖槍村正は消滅しました
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。