ゆっくりいじめ系518 盲目の子れいむ

森の中にゆっくりれいむの家族が住んでいた。両親と数匹の子供という平均的な規模だ。仲良くゆっくり暮らしている。
しかし最近生まれた末娘は生まれつき目が見えなかった。
母れいむがその子を妊娠していたとき、餌が不足してしまったのが原因だった。
両親は悲しんだが、どんな子でも大切な我が子。愛を持って育てることにした。
幸い姉たちともうまくいっている。それにその子はとても利口だった。
ほかの子達よりも早く言葉を覚えたし、数を数えたりもできた。
少し大変ではあったがその一家は幸せだった。

しばらくして目の見えない赤れいむは姉たちの世話もあり元気な子れいむになった。
人間は適当にサイズで判断するが、ゆっくり達の中でも赤ゆっくり、子ゆっくり、大人ゆっくりの区別があるようだ。

「きょうはおちびちゃんがこれいむになったおいわいをするよ!!」
「「「おいわいおいわい!」」」

はしゃぐ姉れいむ達。おちびちゃんと呼ばれた子れいむもうれしそうである。
ところがその時、子れいむに何かが聞こえてきた。足音のようだ。近づいてきている。
当然、子れいむは親に知らせる。

「誰かがこっちに来る音がするよ」
「ゆっ? おかあさんにはなにもきこえないよ?」
「きのせいだよおちびちゃん それよりはやくおいわいしようよ!」
「そうだよおなかすいたよ!」

どうやら他の家族には聞こえていないようだ。しかし子れいむには気のせいだとは思えなかった。
動物的勘というやつだろうか、ここにいたらゆっくりできなくなると子れいむは感じた。
親に必死で訴える。

「どんどん音が大きくなるよ! ここにいたらきっとゆっくりできない!!!」
「やっぱりなんにもきこえないよ?」
「でも、でも! ゆぅぅぅぅ…」

子れいむにはどう伝えればいいのかわからなかった。
しかしいつもはおとなしいおちびちゃんが取り乱す様子に親れいむも何か感じたようだ。

「みんな! ゆっくりおそとでおいわいをすることにしようね!!」
「ゆゆっ! それもいいね!! ゆっくりはやくいこうね!!」
「おそとー!!」

こうして一家は巣を離れた。親が聞き入れてくれたことに子れいむはほっとした。
そしてお祝いをみんなで楽しんで戻って来ると巣の中は無残に荒れ果てていた。
何があったのかわからなかった。集めていた食料は無くなり、子供達が大切にしていた宝物は壊れている。
なんだかよくわからない汚いものが散らばっていた。少し前まで仲良くゆっくりしていた我が家はどこにも無かった。
子供達はあまりのことに泣き叫んでいる。自分も泣きたかった。だが自分は親だ。子供の前で涙を見せるわけにはいかない。

「れいむのだがらものがぁあぁっぁ!!!!!!」
「どうじでぇえぇっぇぇぇ!!!」
「うわああああぁぁぁああぁん!!!!」
「ゆっぐりでぎないよおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「「みんな!!! ないてたらゆっくりできないよ!!!! ゆっくりげんきになってね!!」」
「わかった。ゆっくりしたいから……なかないよ……」
「「いいこだね。えらいよ!」」

両親の懸命な励ましで子供達は少し落ち着いたようだ。
そしてこれはどうやらニンゲンのせいだろうと親れいむは考えた。
あの子が気になることをいったから、巣にいなくて助かったのだ。もしつかまっていたら……
だとしたら、ここはゆっくりできない場所になってしまった。引っ越さなければならない。

「みんなここはあぶないからとおくへいっておうちをさがすよ!」
「「「「どうしてあぶないの?」」」」

子供には巣が荒れていたこととこの場所が危ないということは結びつかないようだ。

「これはニンゲンがやったにちがいないよ!!! またきたらつかまっちゃうんだよ!!!」
「ニンゲン!? はっはやくとおくにいこうね!!」
「つかまるのやだぁあぁああ!!!!!」
「だいじょうぶだよ!! さあみんなでおひっこしだよ!!!!」

こうしてこの家族は引っ越した。しかしそこでも同じようなことが起こった。
だが毎回おちびちゃんの聞く音のおかげでつかまらずにすんでいた。
どうやら目が見えない子れいむはその分聴覚が発達しているようだった。
勿論ゆっくりにそんなことがわかるはずも無いが、家族は以前にもましておちびちゃんを大切にしていた。

だがある日、森の中で大きな音がなった。
普通のゆっくりはひどく驚く程度で済んだがおちびちゃんは気絶してしまった。
あわてる家族のもとに一人の男がやってきた。

「やあ、どうしたんだい? ゆっくりしてないねぇ」
「おちびちゃんがあぁぁぁ おにいさんこのこをたすけてあげてえぇぇええ!!!!」

巣の中を見ると、なるほど一番小さな子れいむが目を回している。
ほおっておけば目を覚ますだろうが、親は気が気でないのだろう。

「よし。助けてあげよう。みんな付いてきな」
「はやくたすけてあげてね!!!」
「心配しなくていいよ。ゆっくりに詳しい人に見てもらうからね」

そうして彼らが向かったのは加工所だった。

「おにいさんここはゆっくりできないよ!!!」

親れいむが抗議の声を上げる。どんな所かよく知らないがここはだめだとわかる。

「いいの? この子助からないけど?」
「ゆっ! それはだめだよ!! ちゃんとたすけてね!!!!」
「じゃあここに入らないと」
「わかったよ……ぜったいたすけてね」
「はいはい」

男はその手に子れいむを一匹のせ、その他を引き連れて加工所内を進んでいく。
ゆっくり達は特に怖いことも無いので安心していた。しばらく歩いて、男とゆっくりはある部屋に入る。
そこには白衣を着た男が一人、コーヒーを飲みくつろいでいた。

「よう。暇そうだな」
「いや、忙しいさ。なにせ君が来たからね」

二人は知り合いのようだ。のんびり世間話をしている。その様子を眺めていた親れいむが口を突っ込む。

「おちびちゃんをはやくたすけてね!!!」
「おちびちゃん?」
「ああ、こいつだ。このれいむの子供らしい。気絶してる」
「ふぅん、別に外傷も無い。ほっとけばいいだろう。まっ一応水でも飲ませてみるか」

そう言うと白衣の男は子れいむの口に水を注ぐ。すると子れいむは目を覚ました。
ずいぶん適当な生き物だ。改めて二人の男は思う。

「ほれ、元気になったぞ」
「よかったよ!! おにいさんありがとう!!!」
「「「「ありがとう!!!」」」」

男は(やれやれ加工所にいるってのに暢気なものだ)なんて考えていると、ふと妙なことに気づいた。
目を覚ましたはずの子れいむの目が開いていないのだ。

「なあ、そいつは何で目を閉じてるんだ?」
「おちびちゃんはめをあけてもみえないんだよ。だからとじてるの」

なんと盲目のゆっくりとは。たいていの野生動物は障害のある子供を育てたりしないもんだが
こいつらはよくできたゆっくりらしいな。男は俄然このれいむ一家に興味を持った。
白衣の男に研究してもらうつもりのようだ。

「適当に言いくるめてお前のところで調べてみてくれよ。」
「なんでそんなこと、といいたいところだが確かに興味深い。いいだろう」

白衣の男がゆっくり達に近づき話しかける。
少し怯えるゆっくり達

「ゆっくりしていってね」
「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
「ははっ元気だね。さて、そこのおちびちゃんなんだけど、本当に大丈夫かどうか調べたいんだけどいいかな?」
「ゆ? おちびちゃんはげんきだよ? へんなことしなくていいよ」
「別に変な事はしないよ。ともかく今は元気でも後で大変なことになったりもするんだよ。心配じゃないかな?」
「ゆうぅ……」
「お母さん心配しないでね。この人たちはいい人だよ」
「これいむがそういうなら」
「よし決まりだ。それじゃ君達の家を用意しないとね。それにご飯もだ」
「「「「「わーい! おにいさんだいすきーゆっくりしていくね!!!!」」」」

さっきまでの不安そうな様子は微塵も無い。

「つくづく単純なやつらなんだな」

男は一人つぶやいた。




一ヶ月後、男は白衣の男の部屋に訪れていた。
彼は過程には興味が無いのだ。何か面白いことがわかっていないか様子を見に来たのだった。

「ゆっくりしていってね」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」

部屋に入るとまずはゆっくりに挨拶をする。ずいぶんいい暮らしをしているようだ。
元気百倍といった感じだ。あれはアンパンだが。

「どうだい調子は?」
「ああ、君か。なかなか面白いことがわかったよ」
「へえ、聞かせてくれよ」

白衣の男は咳払いをひとつして、語り始めた。

目の見えない個体は家族の中でも特に大事に扱われているらしい。
親れいむに訳を聞いたところ、

「おちびちゃんがきくおとのおかげでかぞくがたすかったから」

だそうだ。よくわからなかったが本人に聞くと理解できた。
本人はまともな会話ができ、おかげで無駄に疲れることも無かった。
その結果判明した事実は非常に価値ある発見となった。

  • 子れいむになる少し前から他のゆっくりに聞こえていない音が聞こえた (極端に小さい音や遠くの音)
  • 音の動く方向が鮮明に把握できるようになっていった 
  • 似たような音の聞き分けができた (通常ゆっくりでは一緒くたにされる)
これらの能力で外敵に見つかる前に引越しができたということらしい
他には

  • 数を数えられる 簡単な加減算すら可能
  • 論理的思考

そう。知能レベルと聴覚の発達が異常に高レベルでゆっくり種とは思えないほどである。
おそらく視覚が存在しないことがその原因なのだろう。
ともあれこのゆっくりには利用価値がある。
これからどう人間のために役立てるか考えるつもり。とりあえず本部の研究者には報告済みだ。

興奮した様子で白衣の男は語った。目が輝いている。
あまり妙なことをしでかさないといいが、と男は思った。

さしあたってこいつを使って野良ゆっくりを捕まえることになった。
最近はゆっくり共も捕まえにくくなった。意外とうまいこと隠れたりするのだ。
人海戦術という手もあるが面倒だ。そこでこいつの聴覚を利用して、隠れたゆっくり共を見つけ出そうというわけだ。
協力させるに当たっては、他のゆっくりもここでゆっくりさせてあげたいからだ、といったらあっさり信用した。
こいつら一家はここで快適に暮らしているからだろう。
いくら頭がよくても、加工所の本当の姿を知らなければ疑う余地も無い。
おかげで馬鹿な野良ゆっくりをずいぶんと捕まえられた。役に立つゆっくりなどはじめてみた気がする。
その後もこの一家は丁重に扱われた。

加工所である実験が始まった。後天的に視力、聴力などを失った場合の変化を調べることにしたのだ。
実験用のゆっくりは大量に確保できているので遠慮は要らなかった。
殺さなければやり方は問わないとのことだったので、職員達は嬉々としてゆっくりの目や耳(と思われる部位)
を様々な方法で痛めつけた。加工所内にゆっくりの悲鳴がこだまする。

「ゆぎゃあぁぁぁあぁっぁぁぁあっぁ!!!!! めがめがめがいだびいぃぃ!!!!!!!」
「だずげでぇぇぇええぇぇ!!!!!! わるいごどじでないびょおおぉぉぉぉおお!!!!!!!!!!!!」
「ぎごえないぃいぃいいぃいぃぃ!!!!! なんにもぎごえないよぉおおぉぉぉ!!!!!」
「まりざのめがえじでえぇえぇえぇええ!!!!!!!」
「どおじでまっぐらなのおおぉぉぉぉ!!!!みんなどごおぉぉぉぉおおおお!!!!!!!」
「おじざんがなにいっでるがわがんないぃぃっぃいぃ!!!!!!!」

中にはやりすぎて殺してしまう者もいたが概ね上手くいった。
しかしながら、その後残った感覚が発達したり知能が向上したりはしなかった。

次に寝ているうちに感覚を奪う実験が行われたが結果は変わらなかった。
どうやら先天的に障害が無ければならないようだ。ゆっくりの場合は。
となれば障害を持ったゆっくりを繁殖させるしかない。
これまでにも障害のある、畸形ゆっくりは生まれたことがある。しかし特に役にも立たないということで
他のゆっくりの餌にするか適当に処分するかだった。基本的に親は育てようとしないし、時には自ら殺してしまう。
だが今回は意図的に作るのである。だがあの子れいむはまだ繁殖には耐えられないだろうし、今では「上手くいかなかった」ではすまない存在になっている。通常のゆっくりで実験は行われた。

方法としては
  • 劣悪な環境での妊娠
  • 妊娠してからの環境の悪化
  • 有害物質を餌として与える
  • 適齢期で無い個体の使用
  • 同一個体に対しての複数回の交尾
といったところである

実験により多くの畸形ゆっくりが生まれた。その多くは見るに耐えないものであった。
あの子れいむのように目を閉じているだけなどといったものはいない。
髪の生えていないもの、飾りの無いものなどマシなほうだ。
片目のもの、歪な形のもの、口が無いもの、色のおかしなもの、二箇所口があるもの
三つ目以上目があるもの、いわゆるシャム双生児てきなもの、ほか様々であった。
役に立ちそうも無かった。
ほとんどの親は

「ごんなのまりざのごどもじゃないぃいぃ!!!」とか
「なにごれぎぼぢばどぅいぃいぃ!!!!」だの

わめき散らしていた。まあ無理も無いだろうがやはり醜いものだ。
だが極一部は必死で育てようとしていた。そいつらに期待するしかなさそうだった。

幸せそうに眠るれいむ一家
しかし"おちびちゃん"子れいむは眠れなかった。自分だけにはずっと聞こえていたのだ。ゆっくり達の悲鳴が。
そして頭がよいから理解していた。そんな目にあわせたのが自分であることを。
これほどまでに音が聞こえる自分をいやだと思ったことは無かった。
色々なことをきちんと覚えておけることを恨めしく思ったことは無かった。
どうせなら音も聞こえなければいいのに、何もかも朝になったら忘れていればいいのに
せめて家族も同じ思いをしてくれればいいのに。だが叶わぬ願いである。
子れいむの閉じた目からとめどなく涙が流れていた。

おわり




あとがき
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
初めて書いたのでだいぶ読み難かったかと思います。
他の人の作品を読んでいるとなんだか自分にも書けそうな気がしてくるんですが
甘すぎました。
精進あるのみですね。

ペンネーム ALSUS



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最終更新:2008年09月14日 06:49
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