ゆっくりいじめ系2851 お前なんかドスじゃない

いままで書いたもの
  • とかいはコーディネイター
  • 植物型ゆっくり
  • 魔理沙とゆっくり~邂逅篇~
  • 取替えられた子







ドスまりさ、と呼ばれる種類のゆっくりがいる。
外見はただ大きいだけのゆっくりまりさだが、通常のゆっくりは持っ
ていない様々な能力を持っている。
周囲のゆっくりをゆっくりした気分にさせるゆっくりオーラ。
ゆっくりしていない者には見えなくなる透過能力。
そして人間すら焼き尽くしかねない威力の熱線を放つドスパーク。
前者二つは全てのドスが習得している技能というわけではなく、片方
だけ使えるドス、両方使えるドス、どちらも使えないドスと様々だ。
つまり、最後の一つの技能が、ただ巨大なだけのまりさとドスを明確
に分かち、ドスをドスたらしめている要因であると言える。
ドスまりさは、多くの場合自信を頂点としたコミュニティを管理して
いる。自身がゆっくりしているという自負と、仲間とゆっくりしたい
というささやかな欲求。それに加え、一般のゆっくりが持っている、
『ドスならゆっくりさせてくれる』という根拠の無いドスへの期待が
重なり、自然とドスはゆっくりの群れの長となる。
その山に居を構えていたドスも、その例に漏れず山の中でそれなりに
大きな群れを作っていた。
ゆっくりれいむ8匹、ゆっくりまりさ12匹、ゆっくりありす6匹、ゆっ
くりぱちゅりー3匹、ゆっくりちぇん5匹、ゆっくりみょん2匹。そし
てドスまりさが1匹。
総勢37匹のゆっくりの群れは、賢いドスの元で静かに暮らしていた。
そして、その群れの噂を聞きつけて現れたゆっくりれいむが一匹。
れいむはドスの姿を見つけると、すぐさま傍に駆け寄って懇願した。

「どす! れいむもどすのむれでゆっくりさせてね!」

ドスはそのれいむの申し出を二つ返事で了承し、こうしてれいむは晴
れてドスの群れの一員となった。
これは、険しい生を乗り越えてドスと成ったまりさの元を訪れた一匹
のれいむの物語である。















れいむがドスの傘下に入って、一週間の時が過ぎた。
れいむは早くもここでの生活が嫌になっていた。
ドスは優秀な長だった。
外敵に見つかりづらい家の作り方も、食料が簡単に取れる場所も知っ
ていた。仮にれみりゃやふらんがやってきてもその強さですぐに追い
返し、群れのゆっくりが被害に遭うことはなかった。……それなのに
群れのゆっくりがどこかしら怪我をしているのは腑に落ちなかったが。
ドスは優秀な長だった。
皆にちやほやされて下の者を甘やかすようなドスとは違い、自分はど
う進めばいいのかだけを示し、あとはその当事者に事に当たらせた。
ドスがやるのは、あくまでドスでなければ不可能な事柄か、仲間の命
に関わるような事だけであった。
全部、すべてなにもかもドスが教えてくれた。大きな問題から小さな
問題まで。
頼んでもいないのに解決してくれた。食べ物が少なくてゆっくりでき
ないのも、家の中が湿って少しだけゆっくりできないのも、隣の子供
が夜中に騒いでゆっくりできないのも。誰にも教えていないはずの、
ワイルドで素敵だと思っていたまりさに告白するのも手伝おうとした。
それが、れいむにはとてつもなく不快だった。
れいむは、そのどれもドスに相談などしなかった。自分でなんとかし
ようと、微力ながら頑張っていたのだ。
それを、どうやって知ったのかドスはいきなり現れてどうすればいい
かを指示すると、すぐにその問題は解決した。れいむが自分で考えて
乗り越えたかったのに。
確かにゆっくりできるようにはなったが、何もかもドスの掌の上とい
うのは凄まじく苛立ちが募る。
れいむがドスに求めていたのは、ただ困ってどうしようもなくなった
時、自分ではどうにもならない問題に直面した時にだけ助けてくれる
ような、そんな存在だった。まるで親のように頼んでもないのにやる
事為す事全てに口を出してくるような存在では、断じてない。
れいむは子供ではない、もう自立した大人なのだ。ドスの行いはれい
むのちっぽけな自尊心を深く傷つけた。
そして、れいむがまりさとつがいになってさほど日も経たぬうちに。
れいむの不満は爆発した。









「ふざけないでね! そんなんじゃちっともゆっくりできないよ!」

群れの有力なゆっくり達が集まった広場で、れいむはドスを怒鳴りつ
けた。

「むきゅう、おちついてれいむ」
「そうよ、いまのれいむちっともとかいはじゃないわ」
「ちゃんとはなせばわかるんだよー、わかってねー」
「ひーんひょ」

目の無いぱちゅりー、顔中傷だらけのありす、足が不自由でのろのろ
動くちぇん、舌が切られてうまく喋れないみょんがおろおろしながられいむを宥めようとする。その背後では、傷だらけの帽子をかぶった
れいむの伴侶のまりさがれいむとドスの顔を交互に見ながら困り果て
た顔をしていた。
れいむは、四匹の前で狂ったように全身を揺する。

「なんどいわれてもわからないよ! おちびちゃんはたくさんいたほ
うがゆっくりできるんだよ! そんなこともわからないの?! ばか
なの?!」

この状況下においてもにこにこと笑い続けるドスの顔を睨みながら、
れいむはそう吐き捨てた。
れいむが怒っている理由、それはれいむとまりさの子作りについての
事だった。
今日の晩、れいむとまりさはついにすっきりをするつもりだった。
つがいになってすぐに子作りに励む事が多いゆっくりにしてはむしろ
遅めの子作りだ。
その日の昼間に、その意思をまりさに告げるとまりさも喜んで承諾し
た。
が、その日の昼間、唐突にドスと親しいぱちゅりーがやってきてこう
言ったと同時に、れいむは激昂した。

『むきゅ、あんまりたくさんこどもをつくるとゆっくりできなくなっ
ちゃうから、こどもはいっぴきかにひきにしなさいってどすがいって
いたわ』

ぱちゅりーがそれを言い終えると同時に、れいむは家を飛び出してド
スの元へと駆けつけた。
れいむは、最初から子供は一匹だけ作るつもりだった。
産まれて初めての子育て、たくさんの子供を作ってそれがうまくいく
とはとても思えない。少し寂しくても、たった一人の子供を大事に育
てよう。
れいむが必死に考えて、そう決めた。
一人で。
自分だけで。
自分だけの力で。
それなのに、後から来たドスが自分と同じ事を言ってきた。
これで黙っていたら、ドスに言われたからそうした事になってしまう。
ふざけるな、れいむの赤ちゃんはれいむとまりさの子供だ。どうする
かを決めるのはれいむとまりさだ。ドスなんかが口を挟むな。
他のゆっくりよりも母性が強いとされるれいむ種故の暴走であるとい
えるだろう。
憎悪すら孕んだ視線を向けるれいむを、対照的に穏やかな顔で見下ろ
しながらドスは言う。

『ねぇれいむ、たしかにおちびちゃんがたくさんいればすごくゆっく
りしたきぶんになれるけど、そのぶんまりさがたくさんがんばってご
はんをあつめなくちゃならなくなっちゃうよ?』

そんな事は知ってる。ちゃんと考えてそうしようと思ったんだから。

「なにいってるの! かわいいおちびちゃんのためならかりなんてつ
らくもなんともないよ!」

れいむは、自らの思いを自らの言葉で打ち砕いた。
ドスは穏やかな顔で続ける。

『それにもしおちびちゃんがけがやびょうきになったられいむはその
こにかかりっきりになっちゃうよね。そのあいだ、あいてにしてもら
えないほかのこはさびしくなっちゃうよ?』

そんな事は知ってる。ちゃんと考えてそうしようと思ったんだから。

「けがもびょうきもさせないよ! れいむがずっとみてるもん!」

れいむは、自らの思いを自らの言葉で打ち砕いた。
ドスは穏やかな顔で続ける。

『ずっとみてるなんてできないよ。れいむはこどもたちをおうちのな
かにとじこめるつもりなの? ちゃんとおそとにだしてあげないとか
わいそうだよ』

そんな事は知ってる。ちゃんと考えてそうしようと思ったんだから。

「ばかいわないでね! こどもたちはれいむとまりささえいればしあ
わせなんだよ! おそとなんかださなくてもいいんだよ!」

れいむは、自らの思いを自らの言葉で打ち砕いた。
ドスは、一度溜息をつき、呆れたような顔で、諭すように言った。

『れいむ、こどもをそだてるのはむずかしいんだよ』

……そんなわかりきった事を!

「こそだてなんてかんたんだよ! れいむはどすなんかとはちがうん
だよ!」

れいむが、欠片も思っていない事を口にし、れいむとドスの視線が交
錯した。ドスの瞳は、れいむの言葉を受けてもまったく揺らぎもしな
い。れいむごときの言葉は自分には届かないと言われているようで、
それがまたれいむの怒りを掻き立てた。
その時、ドスがれいむから視線を外して、唐突にこう言った。

『ねぇ、まりさはどうおもう?』
「まりさ! わからずやのどすにはっきりいってあげてね!」
「ゆっ?!」

突然矛先を向けられたまりさは、面食らったような表情を一度だけ浮
かべて、その後すぐに顔を引き締めて、迷わずにこう言った。

「れいむ、わがままいっちゃだめなんだぜ! どすのいうとおりにす
るのがいちばんゆっくりできるんだぜ! どすはいつだってただしい
んだぜ!」

まるで聞き分けの無い子供に言い聞かせるように、れいむの顔を見な
がらそう言った。
まりさは、ドスの……れいむが考えたのと同じ内容の……主張が正し
いと思ったから、ドスの味方をしたんじゃない。仮に主張の内容が逆
だったとしても、まりさはドスが正しいと言っただろう。
正しいから、ドスの味方をしたんじゃない。
ドスだから、ドスの味方をした。
短い間だが、まりさと伴侶として過ごしてそういった事もわかるよう
になっていた。
それが、れいむにはわかってしまったからこそ。

れいむは、切れた。

「どぼじでぞんなごどいうのー?! ばりざはでいぶのごどがずぎな
んじゃないのー?! でいぶより……でいぶよりもどずのほうがずぎ
なのー?!」

れいむはまるで子供のように大声を上げて泣き始める。
その場に集まっていた、れいむの伴侶のまりさを含むゆっくり達は、
先程まで起こっていたれいむの変貌ぶりに驚いて凍り付いてしまう。
その間もれいむはひたすらに泣き続けた。

「みんな! みんなでいぶのごどなんがどうでもいいんだ! でいぶ
のごどがぎらいなんだ! だがら、だがらでいぶが……でいぶがゆっ
ぐりでぎな……ゆ゛あ゛ー!」
『れいむ、こうふんしすぎだよ。ゆっくりおちついて――』
「うるざいよ! ゆっぐりじないでだまっでね!」

唯一声を上げたドスにれいむは牙をむく。
そもそも、ドスがいなければれいむがこんな目に遭うことは無かった。
悪いのは全部ドスだ。ドスがれいむをゆっくりできなくした、ゆっく
りできない悪いドスだ。
そもそも好き好んでドスの所に来たのはれいむの方である。こんな短
期間の間にそれを忘れるほどれいむはバカではない。ドスを責めるた
めに、意識的にそれを忘れているのだ。……最も、それも、褒められ
たものではないが。

「どずのどごろにぎでがらでいぶはずごじもゆっぐりでぎないよ!
どずはゆっぐりをゆっぐりざぜでぐれるはずなのに! でいぶをゆっ
ぐりざぜないどずなんが……おまえなんがどずじゃないよ!」

言った。ドスへの不満を、ドスへしっかりと叩き付けた。れいむの心
にささやかな達成感のようなものが満ちる。
自分がやりたかった事を、自分で決めて自分でやる。久しく感じる事
のなかったその感覚に、れいむの心に少しばかりの余裕ができた。
そして、余裕ができたから気付いた。
場の空気が一変している事に。

「……、ゅ……」

何処がどう変わったのかはよくわからない。何も変わっていないよう
にも感じるし、何もかも変わってしまったかのようにも思える。

『れいむ』

戸惑うれいむにドスが声を掛けた。れいむはおそるおそるドスの顔を
見る。

『どうしてそんなこというの?』

声が響く。
れいむは答えない。余りの威圧感を持つその言葉を受けて、答える事
ができなくなっている。
れいむが答えないのを見て、ドスはれいむから視線を外して他のゆっ
くり達へ声を掛ける。

『きっとれいむはどこかわるいんだね。みんなはどこがわるいんだと
おもう?』

ドスに聞かれて、ゆっくり達は口々に答えた。

「むきゅ。きっとおめめがわるいのよ。ぱちゅみたいにどすにとって
もらえばゆっくりできるようになるわ」
「きっとびようでなやんでいらついてるのよ。ありすみたいにどすに
ひきさいてもらえばばゆっくりできるようになるわ」
「きっとあんよがわるいんだよー。ちぇんみたいにどすにちぎっても
らえばゆっくりできるようになるんだよー」
「ひっひょひひゃひゃんははひゅいんひゃひーんほ。ひょんひひゃい
ひひひゃひゃんほひょっへひょはへはひゅっふひへひふひーんほ
(きっとしたさんがわるいんだちーんぽ。みょんみたいにどすにした
さんをとってもらえばゆっくりできるちーんぽ)」

その、ゆっくり達の語った言葉にれいむは戦慄した。
その言葉の意味は、つまり。この群れの全てのゆっくりが負っている
怪我は全てどすが与えたものだという事。
なんで? どうして? ドスはゆっくりをゆっくりさせるはずなのに。
混乱するれいむの背中を、突如ちくりとした痛みが襲う。それより速
いか、襲いか判断がつかないようなタイミングで、ドスが声を発した。

『まりさはどこがわるいんだとおもう?』

そして。ちくりとした痛みは。

べりべりべり、という異音を引き連れて、身を裂かれる激痛へと変化
した。
痛い。痛い。痛い痛い痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
今まで感じた事のないほどの激痛。声を上げることすら忘れるほどの
激痛。
あまりに痛みが激しすぎて、逆に意識がはっきりして何をされたのか
わかってしまった。
背中を、全て剥がされたのだ。
何故、どうして。激痛の中で困惑するれいむの視界の端からまりさが
現れ、口に加えていた何かをぺっと吐き出して、言った。
言ってしまった。

「きっとれいむはおみみがわるくてどすのいってることがわからない
んだぜ! まりさのいもうとみたいにぜんしんのかわをはいじゃえば
ゆっくりできるいいこになるんだぜ! どす、れいむをゆっくりでき
るようにさせてあげてほしいんだぜ! れいむがゆっくりできないと
まりさはいやなんだぜ!」

れいむのこの後の運命を、余りに惨く、辛いものとする言葉を。







ドスまりさ、というものになるには、およそ二つの道がある。
ひとつは、ドスまりさに成るべくして生まれ、徐々に力をつけてドス
パークを筆頭にするスキルを習得しドスとなる道。
もう一つは、非常にゆっくりしている、もしくはゆっくりしたいと思
っているただのまりさが突然変異を起こし、巨大化すると共に様々な
スキルを習得してドスとなる道だ。
この群れのまりさは、その後者であった。
まりさはさる研究所で生まれ、研究所で育った。ゆっくりが、どこま
で悲惨な状況下で生きれるかの実験の、被験体として。
生まれた時から一人ぼっちで、目を抉られ帽子を燃やされ全身を刺し
貫かれ、熱され冷やされ、引き伸ばされ圧迫され、ありとあらゆる苦
痛を受けながら紙一重で生かされ続けた。
まりさは自分が何なのかすらわからないまま、ひたすらに死なないだ
けの生を続けていた。
ある日、起きると体が大きくなり、目も帽子も元通り直っていた。体
が大きくなった拍子に研究所は崩れ、まりさはよくわからないままそ
こから逃げ出した。
それからしばらくして、自分がドスという、周りをゆっくりさせるゆ
っくりだという事を知ったドスは、その使命を遂げるために尽力した。
しかし、ドスはゆっくりした事がなかった。故に、ゆっくりというの
がどういう事かわからない。
当然、群れはうまくいかなかった。ドスは困り果て、何日も物思いに
耽った。
そして、ふと昔に……自分がドスであると知った時に聞いた話を思い
出した。
『ドスには、とてもゆっくりしたゆっくりがなれる』。
つまり、自分はドスになるまで凄くゆっくりしてた事になる。
そしてドスは、その余りに惨く、哀れな経験から、恐ろしい勘違いを
してしまった。
じゃあ、ゆっくりできてないゆっくりには自分がやられた事をやって
あげればゆっくりできるようになるんじゃないか? という事だ。
この時、ドスにとってゆっくりとは、目を抉られ飾りを取られ全身を
刺し貫かれ高熱に晒され氷点下に放置され巨大な錘に潰されたり万力
で挟まれ引き伸ばされたりする事になった。
結果、当時の群れはドスを残して壊滅した。
どうして駄目だったか。ドスはそれにこう結論づけた。
自分はドスになれたからゆっくりしても生きていた。みんなはドスに
なれないから、あんまりゆっくりさせすぎると死んじゃうんだ。
ドスはそれからまた群れを作り、ゆっくりできていないゆっくりは、
ゆっくりさせてあげる為に悪い部分を取り除く処理を行うようになっ
た。
頭の良さを鼻にかけて仲間を見下したもの、己の美貌に酔って高飛車
に振舞ったもの、足の速さを自慢して天狗になったもの、卑猥な言葉
を吐いたものを。
目を潰して容易に知識を得られないようにし、顔を引き裂いて目も当
てられぬようにし、足を千切って走ることができないようにし、舌を
千切ってろくにしゃべれないようにした。
無論誰もがこの暴挙にドスに苦言を呈した。しかし、ドスが自分がこ
うなったおかげでドスになれたと言うと、誰もが引き下がるばかりか、
処置を受けたゆっくりがドスを崇拝するようになった。事実、ドスは
この奇行を除けば賢く強い素晴らしいゆっくりであった。群れを運営
する知識は前の群れで手に入れていた)。そしてそのドスと同じゆっ
くりを体験したと思い込んだゆっくりは、不思議と自身の内に満足感
を覚えたのだ。
こうして、狂った指導者と壊れた信者を抱えたこの群れは、余りに歪
に捻じ曲がったまま、平和に時を重ねてここまでやってきたのだ。




ドスは、言葉を切って大きく息をつく。
ここまで長く喋ったのは久しぶりだ。今の群れは、皆がドスの生い立
ちを知ってるから、ゆっくりさせてあげてもいちいち説明する必要が
なかったから。
ドスは視線を下ろして、れいむを見下ろした。
れいむは先程までと変わらず、黒々と艶を放っている。何匹か蟻がた
かっていたので、舌でそっとどけてやると、触れた拍子にびくりと蠢
いた。この黒々とした餡子の山が、まだちゃんと生きている証拠だ。
ここまでゆっくりさせたのは、前に群れが壊滅させて以来だ。ひょっ
とすると、このれいむもドスみたいに特別なゆっくりになれるかもし
れない。

『だから、これはわるぐちをいったばつじゃないんだよ。こうすれば
れいむも、ちゃんとゆっくりできるようになるからね』

ドスは、赤いリボンのついた餡子の山の前で、にこにこと笑いながら
そう言った。
きっとこれでれいむもゆっくりできると、信じきった顔で。


終わり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年07月29日 18:05
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。