ゆっくりいじめ系731 ある復讐の結末(後-2)


※これはfuku2240「ある復讐の結末後-1」の続きになります





「ゆっくりども!!!! 死んでくれ!!!」

虐殺お兄さんの発した声が、ビリビリと大気を揺らす。
筋骨隆々の鋼の肉体を持つその青年をれいむが恐れたのは当然。
彼の体には魂の髄にいたるまで、死んだゆっくりの餡子が染み付いているのだ。

「自殺するなら今のうちだぞ!!!」

虐殺お兄さんのその勧告に、ゆっくりの大軍は嘲笑で返した。
この人間はバカか。死ぬのはそっちの方だ、と。

「ならば致し方ない。虐殺だ!!」

虐殺お兄さんが槍を構える。竹と包丁という簡素なものであるにも関わらず、数多の血(餡子)を吸った呪いの武器のように見えてくる。

「さて、流石に僕は目の前でゆっくりが苦しんだり死ぬのは見たくないからね。家の中に入ってるよ。
 終わったら呼んでください。ふらん、頼むよ」
「……このゆっくり、つぶしていいの?」
「ああ、そうだよ。そのゆっくり達はクイーンありすと同じく悪いゆっくりだからね」
「そう、うん。わかった」

大軍の相手はふらんに任せるのか、愛でお兄さんは扉を開き、家の中に入ろうとする。
だが体を半分入れたところで振り返り、

「ほら、れいむも早く」

れいむに呼びかけた。
このまま戦場にいれば裏切り者のれいむは危ない。身を守るために家に入れということなのだろう。
だが、れいむは断った。

「ゆっ! れいむはここでみまもりたいよ!」
「…………そうか。うん、分かった。ふらん、れいむのことを守ってあげてくれ」
「わかった。ともだち、まもる」

友達。
ふらんがそう言ってくれたことが、この状況でれいむにとってはこの上なく嬉しく頼もしい言葉に聞こえた。

愛でお兄さんが家の中に入っていく。
扉が閉まっていき、バタンと音を立てて閉められる。
その音を合図に、両者が動き出した。

「ゆっくりぢねぇぇぇぇぇ!!!」
「うらぎりものはじねぇぇぇ!!!」
「くいーんのかたきぃぃぃぃぃぃ!!!」
「ゆっくりできないれいむはしねぇぇぇぇ!!!」
「にんげんなんかまりさにかかればちょちょいのちょいなんだぜ!!」

千数百の饅頭の大軍が動いた。怒りと殺意に身を任せた突撃だ。
それに合わせて突撃していく虐殺お兄さん、虐待お兄さん。両者はあっという間に饅頭の絨毯に飲み込まれた。
ここに、戦いの火蓋が切って落とされた。










「あのおおきいにんげんをやっつけるよ!!」
「みんなでかかればあっというまだよ!!」

口に先の尖った木の枝や竹を咥えたゆっくり達が虐殺お兄さんに殺到していく。他にもその後方から石を咥えたゆっくりが続いていく。
そして遂に両者が戦闘圏内に入った。
ゆっー!! と掛け声をあげながらジャンプするゆっくり達。その口には鋭利な先端を向けた武器がある。

「愚か者め! 槍とはこうやって使うものだ!!」

暴風一閃。
虐殺お兄さんはその手に持つ槍を横薙ぎに払った。
それだけで先端の包丁部分で六匹のゆっくりが切り裂かれ即死。三匹が柄の部分で薙ぎ払われた。
圧倒的にリーチが違う。

その惨劇に後方から迫っていたゆっくり達がたたらを踏む。虐殺お兄さんはその隙を見逃さない。
動きを止めたゆっくり達を足で踏み潰し、槍で薙ぎ払い、石突で潰していく。
そのどれもが一撃でその命を奪われ餡子を散らしていく。
その様はまさに虐殺の権化。

「手もないくせに道具を使うとは、なんたる愚か!!!!」

右手一本で槍を振るい更に三匹のゆっくりを斬り飛ばしながら、左手で腰からクナイを引き抜く。
左手でクナイを投擲し、そのクナイは石を投げようとしたゆっくり達の眉間に見事に刺さり絶命させる。
わずか三十秒で五十匹のゆっくりが餡子を撒き散らした。

「ゆ゛う゛ぅぅぅぅぅぅ!? な゛に゛あ゛れ゛ぇぇぇぇぇぇ!!!」
「よぐもちぇんだぢをごろぢだなぁぁぁぁ!! ぢねぇぇぇぇ!!!」

今度は武器をもたないゆっくり達が大口を開き突っ込んできた。噛み付いてくる気だ。
しかしそれは、武器を持っていたゆっくりよりも愚かだった。

「なんだそれは、殺して欲しいのか!?」

武器を持つゆっくりよりも更にリーチが短い。
虐殺お兄さんの放った槍の刺突によってその口を貫かれる。高速三連撃。
まるで串団子のように槍に三匹のゆっくりが刺さった。虐殺お兄さんは槍を振るいその死骸を槍から抜き、飛ばす。
死骸によって視界をふさがれた、今にも突撃しようとしたゆっくりの息の根をまたクナイで止めていく。

虐殺お兄さんに近づいた饅頭は餡子に変わっていく。
だがそれも今のうちだとゆっくり達は思った。
戦闘開始から一分。正面からぶつかっていただけの戦闘は、いつの間にか虐殺お兄さんを包囲する形になっていた。
前方からではない。横、後方からも攻撃が出来る陣形となったのだ。

そして実際その通りとなった。
虐殺お兄さんが石を投げようとしたゆっくりに向かってゆっくりの死骸をぶつけているその隙を狙い、虐殺お兄さんの後方に回り込んだゆっくりが口の竹槍を構えて突進する。
この戦いにおいてゆっくりの最大の武器は数だ。
確かにゆっくりは個々の戦闘能力は低い。だが数が多ければ単純な戦力はもちろん、様々な戦術もとれるし、多数を相手にすれば少数の人間は、どれだけ強くても疲弊する。
戦争は数だと言ったのはどこの誰だったか。

二匹のゆっくりが見事に虐殺お兄さんの背後をとった。これはいくら虐殺お兄さんでも反応できないタイミング。
殺すことはできなくてもケガは追うだろう。そんな一撃が同時に二発。
ゆっくり達は既に勝利を確信していた。
だが、そんな思い上がった二つの饅頭は、横合いからの攻撃によって吹っ飛ばされた。

「「ゆぶべっ!!」」
「「「「ゆっ!?」」」」

その光景を見ていたゆっくりは驚愕する。
彼らは忘れてはいけない者を忘れていた。彼こそはゆっくりのゆっくりに対する反逆者。
ゆっくりをゆっくりさせないことに至上の喜びを見出す、ゆっくり最大の天敵。
虐待お兄さんである。

「後ろ、狙われてましたよ虐殺お兄さん!!」
「ちっ、私としたことが不覚をとった。すまないな、虐待お兄さん」

先の二匹のゆっくりを吹き飛ばしたのは虐待お兄さんのただの蹴りである。しかも蹴られたゆっくりは死んでいない。
ただし、逃げることも戦闘を行うことも不可能な状態にあるのだが。彼はあの一撃で殺すことなく戦闘能力を奪ったのだ。

虐待お兄さんと虐殺お兄さんは互いに背中合わせで構える。
これで死角はほぼ無くなる。ゆっくりにとっての有利が一つ消えた。

「ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! にんげんのくせになまいきなんだぜぇぇぇぇ!!!」
「ひとりころすのもふたりころすのもかわんないよ!!!」

それに構わずゆっくりは雲霞の如く押し寄せる。
圧倒的数によって飲み込む気だ。
しかし、しかしだ。どれだけ多数いようとも、一度に襲いかかれる数には限度がある。
それもゆっくりにとって最大の天敵ともいえるような相手だ。背後の憂いがない以上、正面からくるゆっくりならばほぼ全て対応できる。

「ゆっ! ゆべっ! やべでぇぇぇぇ!!!」
「ゆぶぶぶぶぶぶ」
「ゆぼげぇぇぇ!!」
「やべでぇぇぇぇぇ!! ゆっぐり゛じだい゛ぃぃぃぃぃ!!」

虐殺お兄さんが悲鳴も残さず殺していくのに対し、虐待お兄さんは可能な限り悲鳴を残させて倒していく。
虐待お兄さんは徒手空拳。その全てが己の肉体から生まれる攻撃。
虐待お兄さんは正面、横からくる全てのゆっくりに対し、武術の達人顔負けの身のこなしでいなしていく。
虐待お兄さんの攻撃を受けたゆっくりは一匹たりとも死んではいない。全て餡子を吐き出したり痛みで気絶したりと戦闘能力を奪う程度に収めている。
滝のように襲い掛かるゆっくり達に対し、このような曲芸ができるとも、一重にこれまでの経験とゆっくりの愛故だ。

虐殺お兄さんに比べれば撃破効率は確かに低い。だが体が壊れて死ぬゆっくりに対し、虐待お兄さんが倒したゆっくりは原型を留めている。
それが戦場に倒れて残っていれば、後から進軍するゆっくりの邪魔になり、必然的にそれをどかそうとるすゆっくりが現れる。
そのため一時的に戦闘に参加されないゆっくりが生まれ、全体的な撃破の効率に役立っている。

「やべでぇぇぇぇ!! でいぶふんでいがない゛でぇぇぇぇ!!」
「ゆっ!! やくにたたないゆっくりはそのまましんでいくんだぜ!!」

もちろん、中にはそんなことを無視するゆっくりもいるが、

「ゆぶごべっ!?」

そんなゆっくりは虐待お兄さんによる念入りな虐待が行なわれる。
正拳一閃。動けないゆっくりれいむを踏み台にしたゆっくりまりさの口に虐待お兄さんの拳が突き刺さる。

「ひゅぅぅぅぅぅ!? ふぁりはのはふぁぁぁぁぁ!!(ゆぅぅぅぅぅぅ!? まりさのはがぁぁぁぁぁ!!!)」

そして脳天からの一撃によって大地に伏すまりさ。
平等に一撃ずつお見舞いする虐待お兄さんであったが、中でも屑なゆっくりには愛をこめて二連撃をプレゼントする。
一見非効率に見えるが、ゆっくりの放つ悲鳴によって虐待お兄さんのボルテージは上昇し、戦闘能力はアップするのだ。

「っひゃぁぁぁ!!! さぁ来てくれゆっくりたちよぉぉ!! 一緒にゆっくりしようや!!」

既に群れの一部のゆっくりは逃走を始めていた。














戦闘開始直後。
一部のゆっくり達は虐殺お兄さん達を狙わず、れいむの狙って殺到した。
もちろん、裏切り者への粛清である。

「よぐもくいーんをごろぢだなぁぁぁぁ!!」
「うらぎりも゛の゛ぉぉぉぉぉ!!!」

突出した二匹が挟み込むようにれいむの両側に回りこむ。

「ぢねぇぇぇぇぇ!!!」

同時に飛び掛るゆっくりまりさとゆっくりありす。二匹によるボディプレスによって押しつぶすつもりだ。
れいむはどうしてよいか分からずおろおろとするばかり。今にも潰されそうなその瞬間。

「ゆぶっ!?」
「ゆぐぼっ!?」

上空からの一撃によって地面に餡子の花を咲かせるゆっくりまりさとゆっくりありす。
ふらんが二匹を踏み潰したのだ。

「ゆっ、ありがとう。ふらん」
「ちょっと、ごめんね」

ふらんはれいむを持ち上げると小脇に抱えた。れいむが襲われないためにだ。
ふらんはれいむを小脇に抱えたまま、れいむに向かってくるゆっくりの大軍に向き直る。

「ゆっぐぢでぎないでいぶはぢねぇぇぇぇ!!!」
「くいーんのがだぎぃぃぃぃ!!!」
「ふらんをたおしてどすのもとにつれでいぐんだぜぇぇぇぇ!!!」

一斉にふらんに殺到するゆっくり達。
その数は虐殺お兄さん達が相手にしている者より数は少ないが、人間の子供ならばあっという間に飲み込む勢いだ。
その勢いを、ふらんは蹴りだけで止めた。
一番前列にいたゆっくり三匹を見事な蹴り技で仕留める。

餡子を吐き出しながら吹き飛ぶゆっくりの体が、更に後ろからやってくるゆっくりの勢いを止める。
更にふらんはその巻き添えを逃れたゆっくりの一匹を右手で掴むと、同じく逃れた一匹にぶつけて両者を潰した。

「ゆがぁぁぁぁ!! よぐもみょんをぉぉぉぉ!!!」
「かごめぇぇぇぇぇ!! みんなでいっせいにいぐんだぜぇぇぇぇ!!」

そんなふらんに対し虐待お兄さん達にしたように囲んで一斉に飛び掛るゆっくり達。
だがそれも無駄。
ふらんはその攻撃を飛んでやり過ごした。

「ゆぶぅぅぅぅ!! とぶなんてひきょうなん────ぜっ!?」

文句を言うゆっくりまりさを容赦なく上空からの踏み潰しで黙らせる。
そして他のゆっくりが襲いかかってくる前に上空へ退避。その際一匹のゆっくりを手に掴み、上空から爆撃の道具にする。
ヒットアンドアウェイ。空を飛べるとはそれだけで脅威なのだ。

ふらんも虐殺お兄さん達に負けず劣らずの活躍を見せる。そもそもクイーンありすを殺したのもふらんなのだ。
いくら捕食種とはいえゆっくりにしては異常なこの戦闘能力は、捕食種本来の身体能力に加えて、愛でお兄さんが一人で外にいても大丈夫なようにと施した英才教育の賜物である。

「う~、たべちゃんうだど~」

そこへ一匹の胴付きれみりゃが現れた。
目には目を。歯には歯を。捕食種には捕食種を。
だが、そんな安易な考えが更なる惨劇を生んだ。

捕食種は数が少ない。それもドゲスまりさの群れに属しているのは更に少ない。
この戦闘に参加しているのもわずか二十匹だ。それも大半は虐待お兄さん達に回っている。
この時ふらんに襲いかかったのは一匹だけ。愚かとしかいいようが無かった。

「ゆっ、そらをとべるれみりゃならふらんをたおせるね!」
「はやくこっちにおとしてね!!」

地面から胴付きれみりゃに声援を送るゆっくり達。だがそれは数秒後に阿鼻叫喚の地獄絵図となる。

「おそい」

ふらんは襲い掛かってくるれみりゃをかわすと、後方に回り込んでその羽をもぎ取った。

「う゛ぎゃぁぁぁぁ!? れ゛み゛り゛ゃのはね゛どらないでぇぇぇ!!」

千切ったのは片方だけ。だがそれでも激痛だ。
激痛によって動きが止まった瞬間、足でれみりゃの胴体を挟み込み、逃れられないようにする。
左手はれいむを抱えているので右手でれみりゃの腕を掴むと、そのまま引きちぎった。
そして千切った腕を地面に投げつける。それで一匹潰れた。
そのまま続けて頭、左腕、右足、左足、胴体と千切っては投げ千切っては投げを繰り返す。

地面にいて何もできないゆっくり達はただふらんの肉まん爆撃を受けるのみ。
ふらんはその光景を見届けると、上空にあるものを見つけ、れいむを抱えたままそっちに向かっていった。












大軍の一部は虐待お兄さんにも虐殺お兄さんにもふらん達にも向かわず、家に向かっていった。
戦闘開始前に家に愛でお兄さんが篭ったのを見たからだ。きっと弱いから逃げたに違いないと思っている。
そのため数十匹のゆっくり達がなんとか家に侵入しようと試みる。
だが扉は鍵がかけられていた。ゆっくりの体当たりで壊せるものでもないし、取っ手にももちろん届かない。
日本家屋と違って洋風の愛でお兄さんの家は窓が高い位置にあってそこから侵入も出来ない。
困り果てていたところへ胴無しれみりゃと胴付きれみりゃが来た。

「ゆっ、れみりゃ、これあけてっ!」
「まかせるんだど~」

扉が開かないのは取っ手のせいだと思ったゆっくりは、手のあるゆっくりゃなら扉を開けられるだろうと託した。

「う~? あかないんだど~?」

ガチャガチャと取っ手を鳴らすだけのれみりゃ。鍵がかかっているのだから当たり前。
人間の子供程度の腕力しか無いれみりゃが力づくで開けられるわけもなかった。

だが胴無しれみりゃは窓へ向かっていた。空を飛べるれみりゃなら高いところにある窓から入れるからだ。
窓は何故か開いていた。これならば楽に入れると胴なしれみりゃは判断し、窓から侵入を試みる。

「う~♪ たべちゃう────」

そこで言葉は途切れた。
何故か。
壊されることを恐れ窓は開けられていたが、そこには既に虐待お兄さん謹製のトラップ、ワイヤーが仕掛けられていたのだ。
何も知らず突撃したれみりゃは見事ワイヤーに切り裂かれ、バラバラ死体となって愛でお兄さんの家の中に落ちた。

「できればこっちには来て欲しくなかったなぁ」

家の中で紅茶を飲みながら、その光景を見ていた愛でお兄さんは嘆息した。









ふらんが見つけたのはうーぱっくの編隊だった。
実はこのうーぱっく、この大軍の主力の一角を担う戦力なのだ。
この編隊のうーぱっく全てに、拳大のものから漬物石クラスまで大小さまざまな石が詰め込まれている。
それを上空から投下する爆撃部隊なのだ。
全体的に非力なのがゆっくりなのだが、うーぱっくはこと運送においてはゆっくり随一の力持ちだ。

いくら虐待お兄さん、虐殺お兄さんといえど人間。上空から石の雨を降らされればただではすまない。
このうーぱっくの編隊が人里に爆撃を敢行すればそれだけのかなりの被害になるだろう。
だがこのうーぱっく。直接的な戦闘力は無いに等しいので、飛べる敵がやってきたらあっという間に壊滅する。

「ゆゆっ! ふらん、あのうーぱっくたちなにかしようとしてるよ!」
「うん、わかってる」

れいむを小脇に抱えたままふらんは加速する。
その速度はクイーンありすを殺した時に匹敵する。ふらんはその速度のまま、今にも石を投下しようとしていたうーぱっくの顔面に拳を叩き込んだ。

「うーーーーー!!??」

突然の攻撃に錯乱するうーぱっく。後続のうーぱっく達も半狂乱に陥っていた。

「ちょっと、ごめんね」
「ゆっ?」
「たかい、たか~い」
「ゆぅぅぅぅ!?」

突然ふらんはれいむを上空に放り上げた。すると両腕が自由になる。
その自由になった両腕で、ふらんはうーぱっくの両翼をもぎ取ると、うーぱっくの体を挟み込むようにして持った。
そしてそのまま、中身をぶちまけるように後続のうーぱっく達に向かって振るう。
その衝撃に堪えられず中身をぶちまけるうーぱっく。
ふらんによって後続のうーぱっく達に石のシャワーが襲い掛かった。

「うー!! うー!!」
「うぅぅぅぅ!?」

後続の中で戦闘にいたうーぱっくが一番その被害を受け、衝撃と痛みに堪えられず中身をこぼしてしまった。
その中身は本来の目標ではなく、下で戦っているゆっくり達に降り注いだ。

「ゆ゛うぅぅぅぅ!? なに゛ごれ゛ぇぇぇぇぇ!!」
「ゆぶべっ!」
「ゆごっ!」
「ゆぶびばっ!!」
「うーぱっぐ、なにじでるんだぜぇぇぇぇ!!」

人間ですら危ない石のシャワーに、ゆっくりが耐えられるわけもなく、次々と戦うことなく潰されていくゆっくり達。
ふらんは空になったうーぱっくでさっき放り投げたれいむをキャッチした。

「ごめんね」
「ううん、ふらんかっこよかったよ」
「……ありがと」

ふらんはそのままうーぱっく達に襲い掛かる。その猛攻に成す術もなくやられていくうーぱっく達。
さっさと石を投下すればいいじゃないか、と思うかも知れないが、今回爆撃の対象は少数。狙いを定めなければならない。
狙いを定めて投下しなければ味方に被害が出るため、そう簡単に落すことはできないのだ。

だがやはり数が多かった。
ふらんの魔の手を逃れ、ようやく虐殺お兄さん達に爆撃可能なうーぱっくが現れた。
もうすぐ狙いを定められる。

間に合わない。今まさに別のうーぱっくの翼を千切ったふらんはそう判断した。
距離が若干離れている。止めることができない。

「ゆっ! ふらん、れいむをなげて!」
「……え?」
「れいむもたたかうよ!」

その言葉の意味を察したふらんは、れいむを両手で持ち、頭の後ろまで振りかぶる。
そして全身をバネのようにして、うーぱっくに向かってれいむをスローイン。
ふらんとれいむの合体技。れいむミサイル。
弾丸のようにかっ飛ぶれいむは、見事にうーぱっくにぶつかった。
うーぱっくはその衝撃でボロボロと中身を零し、れいむは反動でふらんのほうへ跳ね返っていた。
ふらんはそのれいむを落さないようにしっかりとキャッチした。

「だいじょーぶ?」
「ゆへへっ、ちょっといたいけどだいじょうぶだよ」

制空権は、完全にふらんとれいむによって掌握された。













しまった!
槍を振るった後の僅かな隙を付かれた。
度重なる虐殺からの疲れか、隙を生んでしまった虐殺お兄さん。
今三匹のゆっくりが口に竹槍を咥え、その隙をついて襲い掛かっていた。

なんたる不覚。虐殺お兄さんは腹に力をこめて堪えようとするが、それは必要が無くなった。
上空から大小様々な石が降ってきて、今まさに襲いかかろうとしていたゆっくり達を押しつぶしたのだ。

「ゆべぇぇぇ!?」
「なんでぇぇぇ!?」

二匹は声を出すことができたが、体中から餡子が漏れ出ていて瀕死。一匹は即死だ。
なんだか知らんが助かった。
虐殺お兄さんは死に損ねた二匹を踏み殺すと気を引き締めた。

「虐殺お兄さん、疲れてるんじゃないんすかぁ!?」
「たわけ。そちらこそそろそろ疲れてきたのではあるまいか?」
「冗談。こちとらアドレナリン出まくりの脳汁出まくりで、疲れる余裕なんてないですよ!」
「全くだ! 私にとってこんな最高の舞台はない!」

背中合わせのままそれぞれ襲い掛かってくるゆっくりを返り討ちにしていく虐待お兄さんと虐殺お兄さん。
既に趨勢は決していた。千数百匹居たゆっくりの群れはその半数以上が死に、残りの半数も戦闘不能に陥っていた。
既に巣に逃げ帰ったゆっくりもいる。
いくらゆっくりといえど、これだけの数は脅威だ。
この数が人里に襲い掛かってくれば、ドゲスまりさ抜きといえどかなりの被害を受けていたはずだ。
だが虐待お兄さん達が圧勝できたのは何故か。
それは受けるべき被害が、人的被害ではないからだ。

人間ならばゆっくりにやられることは、あまりない。
だが襲い掛かってくるゆっくりを相手にしている間に、他のゆっくりが畑や家屋を襲う。
被害とはそのような被害だ。
だがこの場合、虐待お兄さん達が守るべきなのは己の体のみ。
愛でお兄さんの家はしっかりと施錠し中にもトラップがある。

つまり、他に守るべき対象がある戦いならば痛手を被っていただろうが、このような体と体のみのぶつかり合いや、人間がゆっくりに向かって攻める状況ならば殆ど人間側は被害を受けず圧勝できるのだ。
もっとも、たった二人でここまで壊滅させられるのは、この二人ぐらいだろうが。

「ゆぶぅぅぅぅ!? なんでかてないんだぜぇぇぇぇ!?」

信じられないというように大軍のリーダーのだぜまりさは叫んだ。運良く虐殺お兄さんと虐待お兄さんの魔の手から逃れたようだ。
だぜまりさの目は餡子まみれになった二人の暴君を捉える。その悪魔のごとき姿に恐れをなし、だぜまりさは逃げ出した。

「ゆゆゆっ!! おまえたちなんか、どすにかかればいちころなんだぜ! せいぜいくびをあらってまってるんだぜ!」

負け惜しみの捨て台詞を残し去って行っただぜまりさに続き、他の生き残ったゆっくり達も逃走を始める。
後に残されたのは死んだゆっくりの死骸か、虐待お兄さんが無力化し仲間にも見捨てられたゆっくりだけである。

「ゆぅ……ゆぅ……」
「なんで……おいでぐんだぜ……」
「いだいよぉぉぉぉ!! ゆっぐぢでぎないよ゛ぉぉぉぉ!!」

呻いたり泣き喚くゆっくり達を虐殺お兄さんが潰そうとするが、虐待お兄さんが慌てて「ちょっと、それは後で虐待するんだから殺さないで下さいよ」と止めに入った。

戦意のあるゆっくりがすべていなくなったところで、ふらんが空から降りてきた。うーぱっく達も全部殺すか追い払ったようだ。
ふらんは余裕綽々という顔をしていたが、れいむの顔は勝利の余韻に浸るでもなく、脅えていた。

「れいむ、どうしたんだ?」

心配になって虐待お兄さんが訊ねる。
れいむは脅え震えなかなか口を開かなかったが、やがて「どすが……」と呟いた。
どうやらドゲスまりさが出てくることを恐れているようだ。
なるほど、確かにドゲスまりさは脅威だ。正面からぶつかれば虐殺お兄さんも殺されかねない。
だが、

「安心しろれいむ。ドゲスまりさはもう死んでる」






───────────
あとがきのようなもの

今回は全編虐殺シーン
次でいよいよ完結です
完結シーンをいれるとwikiの容量オーバーになりそうだったので切りのいいところで分割しました


これまでに書いたもの

ゆっくり合戦
ゆッカー
ゆっくり求聞史紀
ゆっくり腹話術(前)(後)
ゆっくりの飼い方 私の場合
虐待お兄さんVSゆっくりんピース
普通に虐待
普通に虐待2~以下無限ループ~
二つの計画
ある復讐の結末(前)
ある復讐の結末(中)
ある復讐の結末(後-1)

byキノコ馬





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最終更新:2008年09月14日 05:53
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