ゆっくりいじめ系2175 ゆっくりぴこぴこ

ゆっくりぴこぴこ

	書いた人 超伝導ありす



初投稿。
某絵師さんの「ぴこぴこ」が余りにも可愛かったので。絵師さんには、最大限の感謝を。
このSSは以下の要素を含みます。苦手な方は読むのをお控えください。

  • ぴこぴこ
  • 罪のないゆっくりがひどい目に遭います





「ゆっくりしていってね!」
 ぴこぴこ。

 一匹のゆっくりれいむが、草原で出会ったゆっくりまりさに挨拶した。
 れいむの体のサイズは20cmほどで、成体になりつつある子ゆっくり。
 まりさの方は、それよりも小さい、10cmほどの子ゆっくりだ。
 この草原は、近くに住むゆっくりたちの遊び場になっている。
 子まりさは群れのおともだちとゆっくり遊んだ後で、これから帰る所だった。

「ゆっくりしていってね!」

 本能に従い、返事をする子まりさ。
 相手は、初対面の子れいむだった。
 しかも、自分の群れでは見かけたことのない子れいむである。

 通常、ゆっくりたちは他の群れ同士で交流するのを好まない。
 リーダーのやり方が違えば争いの種になってしまうからだ。
 しかし、まりさはまだ子供。
 大人たちの都合なんて知らないし、群れはおおむね安泰ですっかり平和ボケだった。
 それに、おともだちが増えて困ることなんてない。

 …はずだった。

「きょうはいいおてんきだね!ゆっくりできるね!」
 ぴこぴこ。

 その子れいむは、自分のもみあげを上下にぴこぴこ振っていたのだ。
 根元を軸にして、上下だけでなく前後にも揺らしている。
 この子れいむは以後、ぴこぴこれいむと呼称しよう。
 他の普通の子れいむと並べてしまっては、あまりに失礼であるし。

「ゆ!?れいむ、ゆっくりしてね!?」
「ゆっくりしてるよ!まりさもゆっくりしてね!」
 ぴこぴこ。

 どうにも落ち着かない。

「れれれ、れいむ、そのぴこぴこはやめてね!ゆっくりできないよ!」

 こんなにゆっくりできないものを見たのは、子まりさにとってはじめてのことだった。
 子まりさは、その落ち着かない動きに、目を真ん丸くして拒否の意思を伝える。
 顔はすっかり怯えていた。

「どうしてそんなこというの!?まりさはゆっくりしてないね!」

 しかし、ぴこぴこれいむにとってぴこぴこは、親愛の印でもあった。
 挨拶を交わし、全身で喜びを表現しているというのに、なんて失礼なゆっくりだろう。
 頬を精一杯膨らませ、ばいん、ばいんと大きく跳ねて怒る。

 その際、もみあげがさらに激しく上下すると、子まりさの餡子脳はとうとう処理落ちした。

「ゆっぐりでぎなあいいいい!!!」

 子まりさは悲鳴を上げてその場から逃げ出した。
 逃げた後には、だばだばと流した涙の跡がなめくじのように続いている。

「ゆゆっ!?れいむは怒ったよ!ゆっくりていせいさせるからね!」
 ぴこぴこぴこ!

 どう見てもゆっくりしていないのはぴこぴこれいむだ。
 だが、生まれた時からぴこぴこしていた当人にその自覚はない。
 むしろ自分の尊厳を傷つけられて、ひどくご立腹だった。

「おかあさんもゆっくりできるってほめてくれるよ!うそをつくまりさはゆっくりしね!」

 …訂正させたいのか粛正したいのか。
 この「ぴこぴこ」、人間から見れば愛嬌ある動作に見えるだろう。
 愛でお兄さんであればその姿に癒され、虐待お兄さんであれば虐待の新たな要素になるに違いない。
 だが、一般的なゆっくりにとってその動きは早すぎる。
 きめえ丸のすばやいうごき!と同様なのだ。





 ぴこぴこれいむが子まりさに追いついたのは、すぐのことだった。
 子まりさが逃げ込んだ群れの集会場は近くだったし、一度に跳ねられる距離も多いからだ。

「まりさは、ゆっくりぜんげんてっかいしてね!」
 ぴこぴこ。

「ゆぐう!?」

 おうちの近くにまでたどり着き、ほっと一息ついたのも束の間。
 子まりさは飛び上がって再び逃げ出す。
 ゆっくりした結果がこれだよ!

「ゆっくりできないれいむがいじめるよおおお!」

 子まりさがそう叫ぶと、周囲にいた群れの仲間達が集まってきた。

「ゆっくりしていってね!」

 子まりさの親であり群れの長でもあるリーダーまりさが、ぴこぴこれいむに声を掛ける。
 よそ者とはいえ、同じゆっくり。
 争いを回避できる可能性を模索するべく声を掛けたのだ。

「ゆゆ!ゆっくりしていってね!」

 ぴこぴこれいむは声を掛けられたのが嬉しかったのか、さきほどまでの怒った表情はどこへやら。
 満面の笑みでリーダーまりさと周囲のゆっくりたちに返事をした。
 ぴこぴこぴこ!
 群れのゆっくりたちにどよめきと、剣呑とした雰囲気が発せられる。

「みんなでなかよくしようね!ゆっくり~♪」

 ぴこぴこぴこぴこ!

「このれいむとは、ゆっくりできないね!」
「とかいはじゃないわ!」
「むきゅう。みんな、あのれいむをみてはいけないわ!」
「わからないよ~!」
「しかたがないね。ゆっくりできないよそものはたいじするよ!」

 皆の意見を元に、リーダーまりさが号令を掛けた。

「ゆっ?ゆっぐり?」

 気が付くと、ぴこぴこれいむは他のゆっくりたちに取り囲まれていた。

「ゆっくりできないゆっくりはしね!」
「れいむ、ゆっくりしてるよおおお!?」

 どすん!
 先陣を切ったリーダーまりさが、ぴこぴこれいむを正面から吹き飛ばした。
 リーダーまりさだけあって、相手が子供サイズであろうと容赦しない。
 ゆっくりたちがぴこぴこれいむを押さえつける。
 ほぼ同時にありすが右のもみあげに噛み付き、ひっぱり上げた。

「やべでえええ!でいぶのぼみあげがああああ!」

 抵抗する暇もなく。
 ぶちん!

「ゆぎゃああああああ!!」

 子れいむの右のもみあげが根元から引っこ抜ける。
 皮が破れ、汁っ気の多い餡子が飛び散った。

 ゆっくりの体は非常に脆弱である。
 とはいえ、まったくの治癒能力が無いわけではない。
 通常、れいむ種の中身はしっとり餡子だが、怪我をすると傷を癒すために周囲の餡子が液状化し、新陳代謝を促すのだ。
 もっとも、今の状況ではまったくの無意味ではあったが。

「びだりのばゆるじでえええ!!」

 今度はちぇんが左のもみあげを引っ張った。

「びこびこなくなっぢゃったらゆっぎゅりでぎだいいよおおおお!?」

 しかし、所詮は子ゆっくり。
 ちぇんが本気を出すまでも無く、左のもみあげも引っこ抜かれてしまう。

「でいぶのおおおお!!いだいいいいいい!!おがーじゃあああん!?」

 もみあげの根元に神経が集中していたのか、半端ない痛みに絶叫する、ぴこぴこれいむ。
 いや、もはやぴこぴこれいむと呼べはしないが。
 押さえつけられているので、悶絶して地面を転げまわることも、そして痛みを紛らわすこともできなかった。

「れいむ、ごかくご~!だみょん!」

 木の枝を銜えたみょんが、ぴこぴこれいむの正面に立ち。
 ずぶうう!!
 よだれを撒き散らし、だらしなく開いた口から脳天へと、木の枝が貫通した。

「えげあががががが!!?」

 傷口から餡子がびちびちと吹き出す。

「も…えげっ…ゆ…」

 餡子中枢を貫かれたぴこぴこれいむは、えずきながら白目をむいて絶命した。
 もっとゆっくりしたかった。
 お決まりの遺言も残せない無慈悲な死である。
 二本のもみあげは、引き抜かれた後も力なく地面で踊っていたが、本体の死とともに動かなくなった。

「さあ、まりさ、ゆっくりできないれいむはやっつけたよ!あんしんしてゆっくりしてね」
「ゆっくり~♪」 

 リーダーまりさが優しく語り掛けると、震えていた子まりさは、ようやく安堵の声を漏らした。





 その光景を、遠目で見ているれいむ親子がいた。
 ぴこぴこれいむの母親と、妹の赤れいむである。

「これでじゃまなこはきえたね!」
「ぴこぴこする、あちゃまのおかしぃおねーしゃんはしんでよかったにぇ!」

 あのぴこぴこれいむは、親れいむが初めて生んだ子供だった。
 しかし、お腹を痛めて生まれてきたのは、もみあげをぴこぴこさせて喜ぶおかしな子。
 それでも、ぴこぴこれいむは最初に産んだ、大切な我が子だ。

『れいむのぴこぴこはゆっくりできるね!』

 どこかゆっくりできない事を我慢しながら、子れいむを褒める親れいむの生活。
 たとえおかしな子でも責任を持って育てなければ。
 しかし。
 最愛の夫は愛想を尽かして出て行き、遅れて生まれた第二子が正常だと知った時。
 親れいむの決意は脆くも崩れ去っていた。

「さあ、かえってすーりすりしましょうね、おちびちゃん」
「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」

 感慨もなく振り返った、れいむ親子。
 と。

「おお、おろかおろか」
「ゆっ!?」

 突然、れいむ親子の目の前に降り立ったのはきめえ丸。

「まいどおなじみ、きめえ丸です」
「ゆゆゆ、ゆっくりしてね!?」

 きめえ丸の姿を見て、動揺するれいむ親子。
 相手はれみりゃのような捕食種ではないが、自分達をからかって楽しむ油断ならない相手である。

「ガバディガバディ!!」

 掛け声とはまったく関係なく、きめえ丸はれいむ親子の周囲を回り始めた。
 その速さたるや、秒間2回転。

「ゆっぎゅりでぎにゃいいいいいよおおおお!」
「おぢびじゃあああああああ!?」

 姉との生活でゆっくり出来ないことに耐性があるかと思いきや、赤れいむはあっさりと致死量の餡子を吐き出してしまう。

「おお、もろいもろい」

 きめえ丸はそれを見ると満足そうに空へと飛び立って行った。

「おちびじゃん!へんじじでね!?おちびじゃああああん!!」

 親れいむは赤ゆっくりの亡骸を前に、いつまでも泣いていたとさ。
 おお、おろかおろか。





「さあ、この死体はまりさが片付けるからね!」

 群れの集会所では、リーダーまりさがぴこぴこれいむだった餡子の塊を処分しようとしていた。
 この群れには、ゆっくりの死体はずっと遠くへ捨てなければならない、という風習があった。

 リーダーまりさは自分たちゆっくりが、とても意志の弱い生き物であることを自覚している。
 一度共食いを許してしまえば、傷を癒すための『ぺーろぺろ』すら引き金となって争いが起きるかもしれない。
 この風習はまりさの前リーダーよりずっと続いていた。
 現在も副官であるぱちゅりーの説得により、群れのすべての親にも徹底されてもいる。
 だが。

「あまあまなにおいがするよ!おいしそうだよ!」

 死体に駆け寄ったのは、今回、一番の被害者である子まりさ。

「だめだよ、まりさ!これはあまあまさんじゃないよ!」

 しかし、子まりさは食べ盛り。
 なおかつ遊び疲れてお腹の減った子まりさにとって、その匂いは魅力的すぎた。

「がーつ!がーつ!」
「だめだよおおおお!?なんでおとーさんのいうことがきけないのおおお!?」

 餡子を頬張ったまりさは。

「しししし、しあわしぇええええええ!!」

 あまりのおいしさに目を輝かせていた。
 …そして。

 ぴこぴこ。
 子まりさは気がつかなかった。
 不完全ではあるが、自分の三つ編みがゆれ始めていることに。
 群れのゆっくりたちの視線が、自分に集中していることに。

「めっちゃうめえええ!!」

 ぴこぴこぴこ!

「ゆっぎゅりできないいい!!」

 再び、ゆっくりの群れに動揺と悲鳴が広がったのだった。





 翌日。
 群れの遠くの遠くの森の中。
 そこには捨てられた餡子の塊があった。
 餡子の塊の中には、赤いリボンや金色の三つ編みがまじっていたそうな。
 めでたしめでたし。





あとがき

 ぴこぴこ萌え。
 初投稿ということで、大人しめなお話にしてみました。
 (まあ、ハード系は苦手ですけど)

 超伝導ありすと申します。
 是非、感想をお聞かせください。

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最終更新:2009年02月16日 09:00
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