注意書き
- 現代物です。現代的なアイテムが多数登場します。
- 体つきのれみりあとふらんが登場します。
- 多少の愛で要素を含んでいます。
- ゆっくりが死んでしまうような虐待はしてません。
- 落ちなしやまなしと感じる可能性が高いと思います。
- 作者名はありません。
ある日、友人が唐突にうちを訪れた。
玄関のドアを開けて友人を迎えると、意外な事に友人は二人の女の子を連れていた。
「預かってくれ!頼む!」
友人は随分と焦った様子でそう言った。
そしてそれだけ言うと手にしていたビニール袋を俺に押し付け、そのままどこかえ走り去ってしまった。
残された俺は状況が理解できずに、二人の女の子と呆然と立ち尽くしていた。
「う~♪」
突然聞こえて来た奇妙な鳴き声に正気を取り戻した俺は二人の女の子の方をみた。
二人は女の子などではなく、フリフリな洋服と大きめな帽子をかぶったゆっくりれみりあとゆっくりふらんだった。
電話で友人がゆっくりを育てている事は聞いていたが、実際に見たのはこれが初めてだ。
ふたりの身長は俺の腰よりすこし小さいぐらい、人間の小学生で言うと……と思ったが、
子供にしては頭が大きく、体の横幅もあるので、人間の子供にたとえるのは難しい。
そんな事を考えている間、れみりあはこちらを見上げてニコニコと笑顔を投げかけてくれた。
一方ふらんは、れみりあより一歩後ろに放れた所に立ち、こちらではないどこか別の方をじっと見ていた。
とりあえず話しかけてみよう。友人が普段なんと呼んでいるかは知らないが、適当に呼んでみることにする。
「れみりあ?」
「う~!」
すこし疑問系な俺の言葉にれみりあは元気一杯に答えてくれた。
何時もれみりあと呼ばれているのだろう。ゲームでもデフォルトの名前を使う友人らしい。
同じ調子でふらんの方も呼んでみる。
「ふらん?」
ふらんは何も答えなかった。ちょっと違うのか?俺は思いつく限りの名前で呼んでみた。
「ふらんさま~?ふらんちゃ~ん?ふらんどの?ら・ふら~ん?」
と何度呼びかけても返事は返ってこなかった。
どうしたものかと考えあぐねていると、れみりあがふらんに声を掛けた。
「ふ~らん?」
その言葉にようやくふらんは声を発した。
「うー…っ!」
いかにも不機嫌といった感じで返事をしていた。
語尾が荒いのは俺に何度も名前を呼ばれたのが気に入らなかったのだろうか。
アクセントが違う?
「ゆっくりするぞー♪」
「うー…」
ちょっと考え事をした隙に、ふたりは俺の横をすり抜けて家の中に入っていった。
すこし待って、友人が戻ってくる気配は無かったので俺も家に入ることにした。
ドアを閉め、鍵を掛け、ついでにチェーンも掛けておこうかと考えていると、
家の奥からガシャーンと何かが割れたような音がした。
何かが割れたような音がした事に嫌な予感を抱きながら、音がしたであろう部屋へ急ぐ。
部屋の入り口に立った俺が目にした光景は、
さっきまでショボくれた顔をしていたふらんが嬉々としてれみりあを追い掛け回し、
さっきまで笑顔だったれみりあが泣きわめきながら逃げ回っているというもの。
テーブルの上に乗っていたガラスのコップが床に落ち破片が散乱している。
そんな事お構い無しとふたりは部屋中を駈けずり回っていた。
もちろんガラスの破片を何度も踏んで。
痛がっている様子は無いが、とりあず追い掛け回しているふらんを捕まえる。
腕でガッシリと押さえて動けない様にすると激しく暴れだした。
ジタバタと振り回す腕が体のいたるところに当たるが、ぬいぐるみの様な柔らかいな感触で痛みはなかった。
しばらくして、ふらんは暴れても無駄と判ったのかようやく大人しくなり、やっと一息つくことができた。
「うー♪うー♪」
さっきまで泣きわめいていたれみりあが、笑顔で不思議な踊りを踊っている。
まるでふらんを挑発しているようだ。案の定、ふらんが再び激しく暴れだしてしまった。
しかし、いま放す訳にもいかないのでふらんを捕まえている腕の力は弱めない。
暴れだしたふらんに一瞬れみりあはビクッとしたが、拘束されていてこっちに来れないという事がわかると、
より一層楽しそうに踊っていた。こっちに向けてお尻までふっている。
「う゛ー!う゛ー!」
いつの間にかふらんは泣いていた。暴れる体力はもう残っていないのか、
ぐったりと体の力は抜けているが唇だけは震えるほど強くかみ締めていた。
いまがチャンスと、俺はふらんを抱えたまま、れみりあと反対を向いて座り、ガラスを踏んづけていた足の裏を見る。
が、血が出ていたり、ガラスの破片が刺さっていたりという事はない、なぜなら靴を履いたままだったからだ。
土足で上がりこんでいた事にはこの際なにも言わないことにして、
俺はふらんの靴を脱がしから、クローゼットの中に放り込んだ。近くにあった椅子をクローゼットの前に置き扉が開かない様にしておく。
この隙にガラスの破片をちゃっちゃと慣れない手つきで片付け、椅子をどかしふらんの居るクローゼットの扉を開ける。
クローゼットの中では、ふらんが静かに寝息を立てていた。
しばらく様子を見ていると時折右手が前に突き出すような動きをし、その度にすこしだけ笑っていた。
夢の中でれみりあに仕返ししているのだろうか。
ふらんはしばらく寝かせておく事にして、れみりあの方はと言うと…。
れみりあは未だに踊っていた。それもベットの上で。もちろんれみりあも土足だ。
俺がれみりあに近づくと、れみりあもこちらに気づいたようだ。が、かまわず踊り続けている。
ここでれみりあの足をサッと払う。
「うっうー♪うあ♪う゛あ゛っ!?」
足を払われたれみりあはズコーッと宙を舞い、お尻からドスンと落ちた。
ベットの上なので痛がる様子は無いが、呆気にとられた表情をしている。
れみりあの靴も脱がせたところで友人から受け取ったビニール袋の中身を確認する。
中にはレトルトのミートボールとトマトジュースの缶がそれぞれ2つづつと、一枚のメモが入っていた。
メモにはこう書かれている。
お昼に食べさせること、どちらも人肌程度に暖めること、おやつにはプリンを与えること。
袋の中にプリンは入っていない。
それをどうするかは後で考えるとして、
そろそろお昼によい時間帯なので早速準備する。
ミートボールはレンジでチン、トマトジュースは鍋で温める。
人肌という微妙な温度に調節するのがめんどくさい。
温めたミートボールはお皿に、トマトジュースはコップに移しストローも挿してあげる。
テーブルに運び準備ができた所でふらんが起きてきた。れみりあは既に正座で待機している。
「いただくぞー♪」
「うー♪」
れみりあはフォークをグーで握るとミートボールを突き刺し口に運んだ。
ふらんもフォークを握りながらトマトジュースに刺さっているストローに口をつけチューッと吸った。
「う゛あ゛あ゛あ゛つ゛い゛い゛ぃ゛い゛そ゛ー!!」
「う゛あ゛あ゛あ゛つ゛い゛い゛ぃ゛い゛!!」
ふたりとも一口目を口にしたところで盛大に声を上げた。
人肌というのは大事なことだったらしい、めんどくさがるべきではなかった。
熱いのが判ると二人はふーふーと息を掛けミートボールとトマトジュースを冷まし始めた。
しばらく息を吹きかけた後、れみりあがミートボールを口に運んだ。
モグモグと噛んだ後、ほっぺたに手をあててうーうー唸っていた。
本当においしそうに食べる。見ているだけでこっちのお腹が一杯になりそうだ。
それを見ていたふらんもストローに口をつけチューッと吸った。
「う゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!」
トマトジュースの方はまだ冷めていなかった。
すこし温めすぎたかもしれない。グツグツ言うまで温めたのは失敗だったろうか…。
ふらんがトマトジュースを恨めしそうに見つめていると、
それに気づいたれみりあが、ふらんのトマトジュースに息を吹きかけ一緒に冷まし始めた。
「もういいぞー♪」
れみりあがふらんに声を掛けた。ゆげも消えそろそろ飲み頃だと判断したのだろう。
それを聞いたふらんがストローに口をつけチューッと吸った。
「う゛あ゛あ゛ぁ゛!あ゛あ゛っ!!」
どうやらまだ熱かった様だ…。
このままでは可哀そうなので冷蔵庫から氷を一つ入れ軽くかき混ぜる。
コップを触って温度を確かめるが、熱くも無く、ぬるくも無く丁度いい温度だろう。
俺はトマトジュースをふらんに返し飲むように進めるが、飲もうとしない。
トマトジュースをジーッと見つめたまま、ふらんは動かなかった。
「だいじょうぶだぞー♪」
れみりあがふらんに声を掛けた。
それを聞くとふらんはストローに口をつけトマトジュースを飲み始めた。
ふらんの顔が一気に明るい笑顔になった。
ふらんはトマトジュースを一息で飲み干すと、次はミートボールに手を付けた。
れみりあも自分のお皿へと向き直り、ミートボールを口に運んだ。
それから小一時間ほどしてようやく食事か終わった。
ふたりともお腹が膨れてご機嫌だ。そして食べたら直ぐに眠り始めた。
れみりあは豪快に大の字に寝転んで、ふらんは器用に座ったまま眠っている。
器用にと言ってもすこしフラフラとして倒れそうになっている。
後一歩の所で倒れないが、頬をチョンと押すだけで倒れてしまいそうなのでをチョンチョンとしてやった。
両側から同時に頬をつついてやったので大丈夫だ。
ふたりが寝ているところで、友人がメモだけ残していったプリンを用意することにする。
以前、別の友人からカボチャプリンの作り方を教わったので早速作ることにした。
友人に教わった作り方とは…
1.材料を用意する
2.プリンを作る
これだけである。どんなプリンが出来るか楽しみだ。
作ったプリンを冷蔵庫にいれる。後は冷えるのを待つだけなので二人が寝ている部屋へと戻る。
いつの間に起きていたふらんがれみりあの前に立っている。
何をしようとしているのか、しばらく様子を見ることにする。
ふらんは寝ているれみりあをおもむろに持ち上げると、そのまま後ろに倒れた。
「ぶりゃあああんばすたぁぁああ!!!」
ドッスーンとれみりあを床に叩きつけたふらんは満足そうに起き上がった。
激しく床に叩きつけられたれみりあは、仰向けに寝たままピクリとも動かない。
しばらく様子を見ていたが、一向に動く気配が無い。
段々心配になって来たのかふらんがれみりあに近づき肩をポンポンと叩いている。
それでも起きないれみりあに、こっちもすこし不安になって来たその時…、
「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!!」
れみちはガバッと起き上がり両手を構えてふらんに向かって大声を挙げた。
ふらんだけでなくこっちまでビックリしてしまった。
「うー♪びっくりしてたぞー♪」
ビックリしてしまったのが恥ずかしいのか、ふらんは顔を赤くしうつむいてプルプルしている。
れみりあは、また例の不思議な踊りを踊っている。
「うーりゃぁああっとー!!!」
ふらんは顔を上げ、れみりあをにらみつけると、腕をれみりあの首にめり込むほど強く思い切り振り回した。
れみりあが頭から床に叩きつけられたところに、ふらんがマウントポジションをとりポカポカとれみりあの顔を殴りだした。
しばらく一方的にやられていたれみりあであったが、たまたま手元に転がってきた野球の応援用のメガホンを手にしたことで形成が逆転した。
「うっ……うー!!」
れみりあが、手にしたバット上のメガホンを見せ付けるように振りかざすと、ふらんはジリジリと後ずさりしていく。
「…ゆ、ゆっくりしね!」
ふらんの声は震えていた。あんなメガホンが怖いのだろうか?
れみりあがゆっくりと近づいていく。
ふらんは恐怖に耐え切れなくなったのか、両手で頭をキュッと抑えてしゃがんでしまった。
そこに容赦なくれみりあはメガホンを振り下ろしていく。
「…や、やめろー!」
調子に乗っているれみりあに、その言葉は火に油を注ぐようなもの。
れみりあは一層激しくメガホンをふり、ふらんをポコポコにしていく。
ここでふらんにまだ使っていないカレンダーを渡してやる。
形勢が逆転した。今度はふらんがれみりあをボコボコにしていく。
「…や、やめるんだぞー!」
先ほど自分が有利だった時の事を覚えていないのか。
ふらんの攻撃もより一層激しくなった。
対等な状態で戦うとどうなるだろうか?れみりあにもカレンダーを渡してみる。
結果はれみりあがボコボコにされていた。
やはり、卓上カレンダーではビームサーベルには勝てないのか…。
れみりあはすっかり戦意を失い、うずくまってされるがままだ。
ふらんも反応の薄いれみりあに飽きてきたのか、段々と叩く間隔が長くなっていた。
れみりあはもうダメそうなので、代わりにふらんの相手をしてあげる事にする。
何か棒状のいいものは無いだろうか…。
丁度いいものを発見した。
ビームサーベルにはライトセイバーというのがお約束である。
このライトセイバーはスイッチを入れるとピカピカ光り、振ったり、何かにぶつかると音がなる優れものだ。
早速スイッチをいれると刀身が赤く輝いた。
綺麗に光る刀身にふらんも見とれているようだ。
俺は、ボーっとしているふらんを腕にチョンと切りつけた。
ブオン、デューン!
「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
ふらんは悲鳴を上げながらパンパンと切られた所をはたいた。
それほど強く切りつけた訳ではないので、音にビックリしての反応だろう。
調子にとっていろんなところを切りつけていく。その度にふらんは面白い反応を返してくれた。
「やめるんだぞ!!!」
れみりあが俺とふらんの間に割って入った。
仲が良いのか悪いのか、両手を大きく広げてふらんを庇っている様だ。
ふらんを庇おうとしているれみりあは無視して、回り込みながらふらんだけをチクチク攻める。
ふらんの悲鳴は大きくなる一方だ。れみりあに後ろからガッシリ抱き付いて泣いている。
れみりあの方も瞳に涙を浮かべながらふらんを庇っている。
「う゛わ゛あ゛あ゛!う゛わ゛あ゛あ゛!お゛ね゛え゛ち゛ゃーん゛!!」
「ふり゛ゃーん゛!!!」
ふたりとも泣かせてしまった……。
軽い罪悪感を覚えながら、ライトセイバーを置きふたりのご機嫌をとる事にする。
それにしても姉妹だったのか。
れみりあの方は直ぐに泣き止んでくれたが、ふらんの方はぐずって泣き続けていた。
色々話しかけてみるが答えてはくれない。
お手上げ状態になっていると、ふらんはおもむろにテーブルの上に置かれたライトセイバーを指差した。
これで機嫌が直ればとふらんにライトセイバーを渡してみる。
すると…
「うあー♪ゆっくりしねぇえええ!!」
その後、俺は友人が二人を迎えにくるまでボコボコにされた。
あれは嘘泣きじゃなくて、途中までは本当に泣いてなんだと思うことにして
ふたりの気が済む様に遊んでもらった。
迎えに来た友人が一声掛けると、ふたりとも嬉しそうに友人に駆け寄って抱きついていた。
お別れのときもふたりはずっとゆっくりしねと言っていた。
ふたりと友人が帰った後、部屋の片づけをしないと思いつつ、その前に何か飲もうと冷蔵庫を開けるとおやつのプリンが残っていることに気がついた。
ふたりとも帰ってしまったので自分で食べることにする。
我ながらいい出来だ。ふたりにも是非食べてもらいたかった。台所の流しに顔をうずめながら俺はそう思っていた。
↓以下、後書きのみです。
後書き
- 愛でにいけと言われても仕方ないかもしれない内容ですね。
最後にふらんを虐めているところは途中で心が痛くなってきたのでマイルドな方向にしてしまいました。
- あんまりゆっくりや幻想郷に関係ないネタが多い気がしました。
ライトセイバーといった現代的な単語をだすのもちょっと場違いな感じが…。
次回は別の方向でSSが掛ければと思います。
最終更新:2009年01月03日 16:22