ゆっくりいじめ系1057 万能お兄さん3_01

※かなり俺設定があります
それでも大丈夫な方は、お暇なときにどうぞー。

万能お兄さん2(fuku2757)の続編です。
初めてのSS、初めての続編物です。よろしくお願いします。


















村にドスが襲ってきたのは真昼だった。
突如鳴り響く地響き。最初は小さかったが次第に大きくなってくる。

直感で悟る4人の青年達。村では「ゆっくり四天王」と「勝手に」呼ばれているスペシャリストだ。
村以外でもその名は轟いている。
轟いているのは、むしろ4人がひとつの村に集中しているというのが珍しいという意味合いが強いが、
3人そろうだけでも珍しいのに、3人の特徴を中途半端に受け継いだような万能お兄さんの存在自体が非常に珍しいのである。
天然記念物並みといってもよい。




そして、同時に四天王はつぶやいた



「「「「来たか」」」」


4人はそれぞれ準備をする。




その中で、万能お兄さんは自分の部屋の箪笥の上に飾ってある、2つの写真立てを見る。
左は強面のおじさんだ、猟銃を持っているとこから猟師だとわかる。右の写真はかわいい少女の笑顔の写真だった。ほかでもない彼の妹だった。
お兄さんは、左の写真に手を合わせた。
「養父さん…」
強面の猟師だが、「あの村」から命からがら逃げ、山で行き倒れたところを助けてもらい、
自分と妹を養子として引き取ってくれた優しい養父。死んだ実の父も優しかったが、養父も負けないくらい優しかった。

手を合わせた後、右の写真立てを見る。かわいい少女で、彼の自慢の妹。だが、その妹は今は病院のベッドで寝ている。
顔の色も、何も問題なく、今起きても問題ないくらいのかわいい寝顔。ただ、彼女は目覚めることはない。それには理由があった…。

「…お前が望んだ、ゆっくりと一緒の楽しい生活は、僕がこの家で作り上げたよ。あとは…、お前が目覚めるだけだ」

彼女を目覚めさせるための鍵は、今日来るドスまりさが持っている。
このときのために何年も費やした。そして、自分達を陥れ、養父を殺し、妹を目覚めさせぬようにした「あの村」を滅ぼすこと。
温厚な彼が、一時たりとも忘れたことのない復讐だった。
全てはこのために作り上げた。村人には「協力」と言ってあるが、その実は利用である。虐待お兄さん達心友ですら利用する。

彼には底知れぬ深い闇があった。
そんな闇を一切表に出さず胸に秘め、「万能お兄さん」として、彼は家を出た。






万能お兄さんの畑の近くに現れた、ゆっくりの群れ。
お兄さんの畑がゆっくり被害を一挙に引き受けるのは、山に近いからだ。ドスまりさが村(というかお兄さんの家)にたどり着き

「この村の実力者をだしてね!!」

と大声で吼えた。
しばらくすると村人が集まってきた。ちなみに、村人達の手には鍬や鎌などの農具が握られている。
ゆっくりたちは村人の数にひるんだが、負けじと警戒するときのように体を膨らませる。

「この村の実力者をだしてね!!」
「実力者っていうと、村長でいいのかい?」
村人が尋ね
「ゆっ!!そうだよ!!いちばんえらくて、実力者な村長をだしてね!!」
と言う。
しばらくすると、村長がやってきた。後ろには四天王が待機している。

「わしが、この村の村長だが、こんな辺鄙(へんぴ)な村になんのようかね?」
「ゆっ!!私達、冬を越すための食料が集まらないの!!」
「ふむ、で?」
「協力しましょう!!」
「で?」
「だから食料を分けてください!!」

「…は?」

村人達は騒ぐどころか、黙った。万能お兄さんの言うとおりになってしまった。これでは協力ではなく脅迫である。
村長があきれたように口を開き
「…本気で言っているのかね?」
「ゆっ!!そうだよ!!」
「それは協力とは言わない、脅迫だ。ちゃんと考えていっているのかね?」

「もちろんだよ!!」
「ドスのいっていることがわからないなんてばかなの?しぬの?」
「やっぱりじじいはじじいだね!!」

取り巻きのゆっくりたちが、バカにしたようにゲラゲラとあざ笑う。なんともむかつく光景だ。
「なぁ、万能お兄さん。こいつら殺したいんだが」
「だめだよ、虐殺お兄さん。もう少し待たないと」
「後どれくらい待つんだよ、我慢できないぜ」
「大義名分っていうのは必要なものだから、もう少し我慢してね、虐待お兄さん」
「なんということだ…。少しはいいゆっくりだと思っていたけど、これはひどいな…。こんなやつらとはゆっくりできないよ」
「愛でお兄さんが失望するのも無理はないよ。彼女達は悪いゆっくりだからね。」
4人は会話をする。まさかこれほどまでとは思ってもいなかった。向こうの言い分がおかしすぎる時点であきれて、失望していた。

村長はあきらめずに尋ねる。
「きみたち、協力とはお互いが助け合うことを言うのだ。君達は私達に食料をよこせというが、君達は私達になにをくれるのかね?」
「ゆっ!!そこのお兄さんの家のゆっくりが、わたしたちの仲間を殺したんだよ!!だからそれでおあいこだよ!!」

と、ドスは万能お兄さんを指して言う。
つまりゆっくりたちは村に復讐をしに来たということだ。その復讐の代価として食料よこせということである。
仲間の死すら利用するとは、見下げ果てたやつらだ。
「…あれを見られていたのか、まぁいい。どちらにせよ、餡子脳ごときが人間の、僕の頭脳に勝てる道理などない」
誰にも聞こえないように呟く。彼の腹黒さが如実に現れているような台詞だった。


村長は答える
「彼が殺した?何かの間違いではないのかね?」
「そんなことはないよ!!だってまりさがみていたんだもん!!」

と、ドスのうしろからまりさがあらわれた
「おれはみたんだぜ!!そこのにんげんのいえのゆっくりが、れいむをころしているのを!!」
まりさが証言した。その言葉を聴き、
「おにいさんがれいむをころさなければこんなことにはならなかったんだよ!!」
「おにいさん!!さっさとあやまるんだぜ!!」
「おにいさんはとかいはじゃないわ!!ゆっくりどこかにいってね!!!」

野次馬たちが騒ぎ始める。なんという騒音、聞くに堪えがたい。虐殺お兄さんが一歩前に出ようとしたのを、万能お兄さんが制した。


万能お兄さんはゆっくりたちに話し始めた。

「君達は誤解をしている。僕の家にきたあのれいむは、うちのルールを破ったのだ。彼女は僕の家で働きたいといったが、
その実働きもせず、家の作物を勝手に食べるということをした。僕の家の作物を勝手に食べたらいけないというルールを、
あのれいむは破ったんだ。だから殺した」

「だからなんなんだぜ!!ころしたのにかわりないんだぜ!!なかまをころされて、わたしたちはおこっているんだぜ!!」

証言をするまりさが反論をする。それをお兄さんは冷ややかな目でみて答えた。
「殺したのに変わりはない、か。確かにそうだ。だが、ルールを破った者は誰しも罰するのは当然だろう?君はそんなこともわからないのか?」
「ゆぐっ!!…でも」
「でもなんだ?君達の群れにはルールは存在しないのか?ドスよ、まさか君は群れにルールを作っていないということはないよな?」



「ゆっ…。ルールは…あるよ」
「あるだろう?では、君はルールを破ったものはどうするのだ?」




「…罰を…与えるよ」


「では、私が殺したのもなんら問題はないだろう?私の家のルールを破ったのはあのれいむだ。だから私は処罰した。
ここで私のどこが悪いのか、教えてほしいものだなぁ?」
「ゆぐぐぅぅぅ!!」

ドスは反論できなかった。ルールを破れば処罰する。どこでもやっていることだ。
私達は仲間の復讐をできると思ったのに、それをネタにして有利になるはずだった。だが形勢が逆転した。
ほかのゆっくりたちも、押し黙る。

「復讐…か」
万能お兄さんはゆっくり達が言った復讐という単語に反応し、呟いた。


静かに目を閉じると蘇るあの光景。むかし住んでいた村で起きたこと。
幸せな生活だったが、ある日突然あらぬ嫌疑により村八分者にされたこと。自分達に降り注ぐ罵倒。耐え切れなくなった父の自殺。
村長宅で盗み聞いた話によりわかる、事の真相。
妹と一緒に逃げた日。山で過ごしたサバイバル。行き倒れたところをこの村の猟師に拾われ、養子として迎えられ生まれ変わった時の感動。
その後に起こった謀略による養父の死と、眠ったまま起きない妹。





一瞬の出来事だったが、お兄さんにとっては長く感じた。頭を振り気を取り直す。
「あと少しだ…。うまくいけば後少しなんだ…。」
誰にも聞こえないように呟いた。そして改めてドスを見た。



ドスは仲間に責められている
仲間の死をネタにして、食料をもらえると思ったらいつまでたってももらえないからだ。

「どすうぅぅぅ!!!しょくりょうがもらえるんじゃなかったのぉぉぉぉおおお!!??」
「なんでにんげんのいうことをきいているのおおおおおお!!!!」
「わるいのはあいつらでしょおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
「どずのばがああぁあぁぁぁぁぁ!!はやくしょくりょうをもらってよおおおおおおおお!!!!!」

口々に攻められるドス。彼女はくやしそうに、黙って仲間の批判を聞いているだけだった。
群れを統率するゆえの苦悩が、今ここに表れている。そうだ、もっと悩め、そうすれば君は僕の「計画」通りになる。そうすれば僕の妹ははれて…。
と思ったのも束の間。ドスが思い出したように喋った

「ゆっ!!そういえばまりさ!!あなたルールを破ったね!!」


と、証言をしたまりさにたずねた
「ゆっ!?まりさルールをやぶっていないぜ!!」
「私は村に近づくなっていったでしょ!!れいむのことを見たのなら村に近づいたって事なんでしょ!!」
「ゆっ!!でもそれはれいむがころされたから…」




「ルールをやぶった子はいらないよ!!ゆっくりしんでね!!」



すると、ドスは巨体を生かしてまりさをつぶし始めた。
「ゆ゛ぅぅぅうううううう!!!ごべんなざいいいいぃぃいいいいいいいい!!!」
「もうおそいよ!!ゆっくりしんでね!!」


はちきれんばかりに膨れるまりさ。もはや限界に近づいており
「もっどゆっぐり…じだが…」

パンッ!と乾いた音がして、まりさは破裂した。あたりに餡子が飛び散る。
ドスが皆を見渡して言う
「こいつがルールをやぶらなければこんなことにはならなかったんだよ!!」
ドスは自らの責任を、全てはこのまりさのせいということにした。
ゆっくりたちはしばらく黙ったが、餡子脳が理解していき。

「そうだね!!こいつのせいだね!!!」
「ドスはなにもわるくなかったね!!ごめんね!!!」
「さすがドスだね!!!」

とドスを褒め称えた。


「…ちっ」


なんとまぁ、見苦しいものだ。自分が起こした脅迫の責任転嫁とは。仲間も仲間で、簡単に信じるところはさすが餡子脳というしかない。
だが、このままこいつらを帰らせては「計画」に支障が出る。
「計画」を実行するためには、もう一押ししないといけないな。と思って、万能お兄さんはドスに語りかけた

「そういやドス、君達はこの村にいったい何をしにきたんだっけ?」
「ゆっ!!それは…」






「村を襲いにきたんじゃなかったの?」






「ゆぐっ!!」
そうなのだ。ドスは仲間の死をネタにして、お願いをするつもりだった。
だが、群れの仲間達には「村を襲う」と言っている。お願いするとは一言も言っていない。本音を隠していたのだ。
このままでは人間達にはかなう筈はない、交渉でも勝てそうにない、ここは引き下がろうとしたが。

「そうだ!!ドスはむらをおそいにきたんだよね!!」
「このにんげんどもをころしてしょくりょうをうばうんだよね!!!」
「ばかなにんげんはゆっくりしんでね!!!」

ゆっくりたちは思い出したように喋り始めた。
万能お兄さんが黒い笑みを浮かべ
「へぇ…。この村を襲いにきたんだねぇ。だったらそれなりの対処をするけど?」
「この腐れ饅頭が、やっと本性をあらわしおったか」
と虐殺お兄さんが竹に包丁を括り付けただけの、簡素な槍を構える。実にシンプルだが、この武器は虐殺お兄さんの
長年ともに戦ってきた武器であり、包丁は数々の餡子を吸ってきた業物である。なんとなく呪われてそうな気がしなくもない。
「ふう、ようやく運動ができるってわけだ。待ちくたびれたぜ、このときをよぉっ!」
虐待お兄さんは、虐殺お兄さんとは違い、得物を持たない。代わりに総合格闘技のように、自らの拳で戦う。
得物を使ってもいいが、たまに加減がわからなくなり殺してしまうことがあるからだ。だが拳だと殺さずに戦闘能力を奪える。
お兄さんは、オープンフィンガーグローブをゆっくりとはめ、その感触を楽しむように手を開閉する。

「ゆっ!!ちがうよ!!むらはおそわないよ!!わたしたちはゆっくりかえるよ!!!」
「ゆっ!!ドスむらをおそうっていったじゃない!!」
「なんでうそつくの!!れいむたちをだましたの!?」
「うそつくドスはドスじゃないよ!!ゆっくりしね!!!」

「ゆうぐぐぐぐぐぐぐぐ!!!」
おお、苦しんでる苦しんでる。本音と建前を両方喋っていれば、こんなことにはならなかったのに。
きちんと、「襲う」を「お願いする」とすればなんら問題はなかったのに。

「で、どっちなの?襲うの、襲わないの?襲うのならさっさとしてよ。それともできないの?ばかなの?」
お兄さんは挑発するようにして尋ねた。
「「「「ゆぐっ・・・!!!」」」」
「なんだ口だけのゴミクズだったなんてがっかりだよ。襲う気がないのならゆっくり山にかえってね」
挑発に激怒したれいむがとびかかってきた
「ゆぐぐぐがぁぁぁ!!!ゆっくりしねえぇぇぇ!!わたしたちをばかにするにんげんはしねぇぇぇぇ!!」



「だめえ゛え゛え゛え゛ええ゛ぇぇぇ゛ぇ゛ぇえ゛え゛!!!」




ドスまりさが必死で止めようとしたが、もう遅かった。
一匹のれいむが万能お兄さんに飛び掛り、ぶつかる寸前のところで虐殺お兄さんの鮮やかな槍さばきにより絶命する。
万能お兄さんは微動だにしていない。彼がとめてくれると信じていたから。
「ありがとう、虐殺お兄さん」
「気にするな、万能お兄さん。だがこいつらは俺たちを攻撃した」
「ああ、攻撃したね」
「じゃあ、もうやっちゃってもいいよな?」
「虐待お兄さん、遠慮はいらないよ」
「私はせめてみないようにしておくよ。悪いゆっくりとはいえ、死ぬ所や苦しむのは見たくないからね。
ただ、せめてできることを、村で飼われているゆっくりを万能お兄さんの家に集めて避難させて置くよ」
「うん、愛でお兄さん見ないほうがいいよ。あと、飼いゆっくりの避難は任せたよ。僕の家のゆっくりなら、愛でお兄さんも
他の飼いゆっくりも守ってくれるよ。」
「ついに始まるのか、久々に血が騒ぐのぉ」
「村長以下、村の皆さん。戦闘準備に入ってください。これより敵を殲滅します」


もはや止められない。
戦いの火蓋は切って落とされた。


「「「「「「「「「「にんげんたちはゆっくりしねええぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!!!!」」」」」」」

ゆっくりたちが怒声を上げながら襲い掛かる。その数100匹以上。



万能お兄さんも叫ぶ

「総員抜刀!!敵を撃滅せよ!!突撃いぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」

「よろしい!!ならば虐殺だ!!ゆっくりどもしにさらせぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!」
「俺の虐待パンチを味あわせてやる!!!人間の恐ろしさをおもいしれぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!」
「皆のもの!!わしらにつづけぇいい!!!勝利はわれらにありぃぃいい!!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」

ゆっくりたちと、村との戦争が始まった。














戦争といえば、いかにも互角の争いをしているように思える。
だが、所詮人間と戦って勝てるものなど存在しない。
戦争という名の、一方的な虐殺だった。数ではゆっくりたちが多いものの、武器を持った人間にかなうはずもなく、
一方的に数を減らされていく。



目の前の惨劇が始まってもドスはうごけなかった。自分の落ち度により、群れのゆっくりたちが死んでいく。

自分がちゃんとしていれば…。ちゃんとしていればこんなことには…。どこでなにをまちがったのだろうか…。
彼女は呆然としていた。



数は多いが、武器を使った人間に勝つなど到底無理だ。
最前衛を虐殺お兄さんが暴れまくり、虐待お兄さんは虐殺お兄さんの背中を守るようにして戦う。
万能お兄さんは、体力こそ愛でお兄さんよりあるものの、二人には劣る。戦闘はするが、2人ほど激しく動けないのが欠点だ。
だが持ち前の頭脳をいかして村人達を的確に指示し、虐待お兄さんと虐殺お兄さんが戦いやすいように戦術的に有利なポジションを獲得する。
村人達も、万能お兄さんの指示により連携をとっているのでかなり強い。中でも村長は張り切ってゆっくりを殺している。
愛でお兄さんは飼いゆっくりを集めて、万能お兄さんの家に向かっている。飼いゆっくりたちは、万能お兄さんの家のゆっくりたちに守られ、
尚且つ、家のゆっくりは村に被害が行かないように、捕食種を先頭に所々を見張って防衛線を張っている。
ゆっくりの群れは捕食種に立ち向かう勇気などないので、村には近づかない。

4人は的確に、自分達の役割をこなしている。村人や、万能お兄さんのゆっくり達もがんばる。
皆が一丸となって戦うとは、このことと言わずして何と言おうか。おかげで、戦闘開始で10分も経たないうちに半数近くの
ゆっくりが命を落とした。

時間が経つにつれ、確実に減っていくゆっくりたち。
だが彼女は…、ドスはまだ頼られている。仲間が彼女を頼っている。

「どずううううぅぅぅ!!だずげでえええええええええええ!!!!!!」
「いだいよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」
「なんでどずはだずげでぐれないのおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

ゆっくりたちの悲鳴が聞こえる。彼女達は自分を呼んでいる。



それを聞いて、ドスの心に火がつく。







助けないと…。みんなをたすけないと…。
なぜならわたしはドスだから。群れのリーダーだから。




人間を…倒す!!

「ゆっくりしねえええええええええええ!!!!!!」

ドスが意を決して襲い掛かってきた。村の皆が危惧していたことが起こった。

「うわぁぁぁあ!!!ドスだ!!ドスがきたぁぁああああ!!!」

腰を抜かして逃げ惑う村人達。無理もない。3mは優に超える巨体が襲い掛かってくるのだ。
誰だって怖い。
だが、立ち向かう3人の戦士が村人を守るようにして立ちふさがる。


「村の皆さんは雑魚をよろしくおねがいします!!ドスは僕らが倒します!!」
「ふん、やっと殺しがいのあるやつがでてきたか」
「ちょっと虐殺お兄さん、殺さないでくださいよ。俺はあいつを徹底的に虐待したいんすよ」
「ふん、私に手加減をしろなど無理な話だ」
「…いや、虐待お兄さんの言うとおり。殺さないでください」
「なんだと!!」


虐殺お兄さんが、万能お兄さんの答えに思わず振り向く

「それは本気で言っているのか…万能お兄さん」
「一生に一度のお願いです。あいつの命は僕にください」
「…正直、君にゆっくりの生死について頭を下げられたのははじめてだな。わかった。だが私は手加減ができないから雑魚を殺しにいく」
「ありがとう、虐殺お兄さん」
「へっ!じゃああいつは俺がいたぶるぜ!!」
「援護するよ、虐待お兄さん。では行って下さい!!」
「おっしゃあああああああああああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!」


虐待お兄さんが突撃する。
「ゆ゛っぐりじ゛ね゛え゛え゛え゛ええええええええぇぇぇぇ!!!!!!みんなのがだぎぃぃぃぃいいいいい!!!!」
と、ドスは虐待お兄さんに向かって突進する。お兄さんは懐からナイフを取り出し、ドスの目にむかって投げた。

「いだいぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!!!めがぁぁぁぁああ!!めがあああああぁぁぁぁ!!!!!!」

狙ったところにナイフを当てるというのはかなり難しい。それを難なくこなすところは、さすが熟練の技といったところか。
思わぬ攻撃と、激痛、そして片目が見えなくなったことによりもだえ苦しむ。スピードを落としたため突進が遅くなる。
そこを狙って虐待お兄さんは跳躍し

「しゃぁぁぁぁらああああぁぁぁぁぁぁああああああああっっっっっっ!!!!!!!!!!」

とび蹴りをドスの顔面のど真ん中へと叩き込んだ。
巨大な饅頭のおかげでやわらかい、おかげでメリメリとお兄さんの足が深く、深く、食い込んでいく。普通なら3分の1しか入らないが、
ドスが突進してきたところもあり、中枢餡子まで深く突き刺さった。見事なカウンターであった。

「ゆがぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁああ!!!!!!!」
今度は顔に激痛が走る。大声で泣き叫ぶドスまりさ。
お兄さんはすかさず目に刺さったナイフを抜き取り、ドスの頭に上った。
「がぁぁぁぁああああああ!!!!!は゛な゛れ゛ろ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!」

頭に取り付いた虐待お兄さんを振り払おうとするドスまりさ。彼女は今、虐待お兄さんを振り払うことしか考えていなかった。

虐待お兄さんに注意がいっている所を狙った万能お兄さんが
「ドス!!これでもくらえ!!!」

と、ピンポン玉サイズの赤いボールを投げた。名前を呼ばれたドスがふりむき、万能お兄さんが投げたボールは口の中に見事に入っていった。
ボールは軽い衝撃で割れるように作られている。中の真っ赤な液体が流れ出し、ドスの口の中に広がった。

「ゆぎょぇぇぇぇえええええええ!!!!!がらいいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!!!
ぐぎょあぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁ!!!!!!」

投げたのはこの世でもっとも辛いトウガラシを使ったもので、名前はジョロキアグレネード。
その名の通り、ブート・ジョロキアと呼ばれるトウガラシをふんだんに使ったものだ。トウガラシ以外にも「ある薬」が入っている。
ブート・ジョロキアの辛さはハバネロのほぼ2倍である。ギネス認定されたのは伊達ではない。
万能お兄さんと虐待お兄さんが、対ドススパーク兼捕獲対策のために共同開発したものだった。今では対ドス用装備として広く使われている。
中身はピンポン玉ほどの量だが、その威力は折り紙つきである。ドスサイズだろうと、場合によってはそのギネス認定された辛さにより
良くて気絶、悪くて一撃死できるほどの破壊力を持つ。
普通の成体ゆっくりでは辛さと強烈なにおいにより、一発のジョロキアグレネードで一気に10匹ものゆっくりを一瞬で、
においだけでも気絶、直撃なら死に至らしめる。飛沫を一滴飲んだだけでも死、もしくは後遺症が残るほどの破壊力がある。
(加工所での実験結果による報告)

片目を潰され、中枢餡子まで届くほどのとび蹴りをくらい、世界一の辛さを誇るジョロキアグレネードが口の中を焼き尽くし、
ドスは度重なる激痛に気絶した。
ドスと戦い、一気に気絶までもちこんだ、かなりの早業である。これも二人の見事なコンビネーションがものをいった。

「やっぱり、このグレネードは使えるね。作った甲斐があるよ。もっとも、河童の作ったものには遠く及ばないけどさ。」
「ああ、だが発想は万能お兄さんのおかげだけどな。それのおかげで、危険なドスに対する被害はへっているぜ」
「いやいや、僕は発想だけさ。僕だとさじ加減がわからないから、どれくらいでドスを気絶できるほどの量なのか、がわからない。
それを虐待お兄さんはすぐにわりだしたんだからすごいよ」
「へっへっへ。だが、世界一の辛さを誇るトウガラシを集めるっていうのは簡単なことじゃねぇ。
加工所を中心に、いまでも広く使われるようになったのは、ひとえに万能お兄さんの人脈のおかげだぜ」
「その人脈を作り上げるのに10年はかかったけどね」

そう…。この10年は長かった…。ひとえに愛する妹のためと、復讐のためだった。それだけのために作り上げたといってもいい。
人脈のみならず、あの家も、ゆっくりたちも、人付き合いも、頭脳も、肉体も、すべて。

これがなければ、彼は万能お兄さんとはよばれなかった。



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最終更新:2008年10月07日 18:54
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