ゆっくりいじめ系1026 ゆっくり宅に挨拶

里からそう離れていない森の中、人一人分くらいの高さの小さな崖の斜面に不自然な穴を発見した。
崖下の地面の高さに洞窟のように開いているが、穴の高さはひざよりも低い。
申し訳程度に葉っぱが詰まれた入り口の内側には、葉のついた枝が何本も立てかけてあり、
枝の下には結構な数の石が置かれ、枝がずれたり倒れたりしないように固定している。

土の見える斜面にそこだけ葉っぱが敷かれているので、入り口こそバレバレであるが
枝の数はそれなりに多く、日中でも中は暗い為奥の方を覗き見ることが出来ない。
この様な偽装を行うのはゆっくり位なもの、間違いなくゆっくりの巣だろう。

耳を済ませてみるが、中からゆっくりの声は聞こえてこない。
内側から枝が立てかけてあるので、少なくとも中に1匹もゆっくりが居ないと言う事は無いはずだが、
1匹しかいないのか、パートナーに留守を任せて餌集めにでも出かけているのだろうか。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆ!ゆっくりしていってね!」

巣穴の中に呼びかけてみると返事が返ってきた。在宅のようだ。
巣の中からぽよんぽよんとゆっくりの跳ねる音が聞こえ、
少しするとゆっくりの舌が入り口の枝を内側から外し始めた。

見つかって餌をたかられても困るので、すぐ側にある木の陰に移動し様子を見ると、
枝を外し終えた1匹のまりさがぽよんぽよんと巣から飛び出して来た。
先ほどの返事も1匹分しか帰って来ていないので、巣にはこのまりさしか居ないのだろう。

まりさは辺りをきょろきょろと見回すが、声の主は見当たらない。
首をかしげるかのように体を傾け、眉をひそめて「ゆ~?」とつぶやくとまた巣に戻って行った。
体を使って、巣から出るときに踏み散らかした葉っぱを出来るだけ元に戻し、
外した枝も舌を使って器用に立てかけて行く。
その作業はお世辞にも速いとは言えず、枝が元通りになるまで数分は掛かっている。

まりさが入り口を塞ぎきり、奥に跳ねていった所で巣の前に戻る。
見つからない相手を探すまりさの様子は滑稽なものだった。
もう一度呼び出せばまた見られるだろうか、再度呼びかけてみる事にする。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆうっ?ゆっくりしていってね!」

すぐに木の陰に隠れると、再びまりさが跳ねてくる。ゆっくりにしては早く跳ねており
急いでいる事がわかるが、入り口の枝が多い為中々出て来れない。
しばらくして、少し息を切らしながら出てきたまりさはきょろきょろと声の主を探すが、
やはり木の陰に隠れている相手を見つける事が出来なかった。

「ゆーっ!なんなの?ゆっくりでてきてね!」

不機嫌そうに呼びかけるも一向に現れない相手に、まりさはぷくぅぅと頬を膨らませると巣に帰って行く。
何度も入り口を戻すのはゆっくりにとって楽な作業ではないが、それでも外敵に襲われるよりは良いのだろう、
もたもたとした動きではあるが、しっかりと入り口を封鎖して奥に戻って行った。

穴の中からは「ゆーっ!」と言う苛立ち気味な声と共に、ぽいんぽいんと饅頭が跳ねる音が聞こえて来る。
ストレスでも溜め込んでいるのだろうか、名前の割にゆっくりしていない生き物だ。
さすがに3度も同じセリフでは警戒されるかもしれないので、言葉を変えて呼びかける。

「ち────んぽっ!!」
「ゆうぅーっ!なんなの!?」

言うや否や、まりさは乱暴に跳ねながら入り口に向かい、枝を無理矢理引っこ抜いては投げ捨てて行く。
体を膨らませて威嚇状態のまま飛び出すが、またも姿を見せない声の主にまりさは声を張り上げた。

「かくれてないで、でてきてねっ!ゆっくりできないみょんはいたずらをやめてね!」

ちーんぽ、と言えばみょんなのだろう。居もしないみょんに対し威嚇を続けるが誰も現れない。
まりさは顔を真っ赤にして、「むぅぅーっ!」と地団駄を踏むように跳ね続けるが、
誰も出てこないとわかると再び巣に戻って行った。
入り口前の葉っぱには手をつける気も起こらず、乱暴に捨てた枝をおざなりに立てかけて奥に向かう。

未だに地団駄を踏んでいるのだろう、時折ぼいんぼいんと跳ねる音が聞こえる巣穴に4度声を掛けてみる。

「んほおーっ!まりじゃ!愛しいまりじゃ!二人で愛の金字塔を建立しましょうねーっ!!」
「ゆっくりじねっ!ありすとはゆっくりしないよ!」

さすがにありすでは無理か。しかも「ゆっくりできない」ではなく「ゆっくりしない」とまで言われた。
名乗らずともありすと断定されるあたり、ゆっくりの間でも変態キャラで通っているのかと関心するが、
今はありすよりまりさである。
鼻息荒く「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」と繰り返すまりさのプライドをくすぐってみる。

「まりさは全然ゆっくりしてないね!」
「ゆ…ゆがっ!?」
「ゆっくりしてないね!ゆっくりしてぬゎいねぇぇ~!」
「だまれぇぇっ!」

突然の指摘に頭に餡子が上ったまりさは、一刻も早く声の主を見つけようと入り口に突進し、
そのままの勢いで立てかけてあった枝に「ゆべっ!」と衝突してしまった。
反動で後ろにごろんと1回転するが、余計に怒りが高まったのか、八つ当たりするかのように
枝を固定する石を乱暴に蹴散らし、体当たりで枝を跳ね除けながら飛び出して来る。

「ゆふーっ、ゆふーっ!ゆっくりしないであやまってね!まりさはゆっくりしているよ!!」

息を切らし、全然ゆっくりしていない様子で、自分はゆっくりしていると主張するまりさ。
それでも現れない声の主に、じたばたと暴れながら泣き出してしまった。

「ゆぎいぃっ!なんでかくれ゛でるのお゛ぉぉぉ!?ゆっぐりさぜでよお゛ぉぉ!
 ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁん!」

わんわんと泣いて、その場から動こうとしないので、足元にあった石をまりさの向こう側に放り投げる。
人間の居る方向とは反対側に着地した石の音に、まりさは音の主がそちらに居ると確信し、

「ゆゆっ!そっちにいるんだね!もうあやまってもゆるさないからね!」

と音のする方に跳ねていったが、居るはずの無い相手を見つけられるはずも無く
数分もするととぼとぼと帰ってきた。そのまま巣の入り口に入るが、葉っぱも枝も元に戻さず
巣の外側に振り返ってじっと動かない。

「もうおこったよ!ぜったいにみつけてやるからね!」

入り口を塞ぐ枝が邪魔で、巣の外に出るのに時間が掛かると気がついたようだが、
自分が姿を見せている事でいたずらの犯人が現れなくなるとは考えていないのだろう。
どうしたものかと辺りを確認したところ、遠くの木々の間にゆっくりれいむの姿を見つけた。
まりさの視界に入らないようにれいむに近づき声を掛ける。

「やあ、ゆっくりしていってね」
「ゆっくりしていってね!にんげんさんはゆっくりできるひと?」
「ああ、ゆっくり出来るよ、とてもゆっくりできる方法を知ってるからね」
「ゆゆ?れいむにもおしえてね!れいむもゆっくりしたいよ!」

ゆっくり出来る方法に興味津々のれいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて催促してくる。
そのれいむを空中でキャッチし、遠くの穴の入り口で頬を膨らませているまりさを指差して見せてやる。

「ほら、あそこにまりさが居るだろ?あのまりさに元気良く挨拶すると
 とてもとてもゆっくりした巣に招待してくれるんだ」
「ゆゆっ!れいむもしょうたいされたい!」
「ああ、ゆっくりしておいで」

とれいむを放してやると、一直線にまりさの元に向かって行く。
程なくしてまりさの前に到着すると、そのまりさの後ろに巣穴が続いているのが見えた。
これが人間の言っていたゆっくり出来る巣なのだろう。期待が膨らんだれいむは、
いつも以上に元気な挨拶をまりさに贈った。

「ゆっくりしていってね!!」
「お…お…」
「ゆ?」

突然ぶるぶると震えだしたまりさに、れいむは首をかしげる。なんで巣に案内してくれないのだろうか。

「ゆっくりしていってね!!!れいむをすにあんないしてね!」
「おまえかぁぁぁ!」
「ゆべえっ!」

目の前のれいむをいたずらの犯人と判断したまりさは、怒りに任せてれいむに突進した。
れいむの顔面の中央、鼻っ柱にあたる部分を突き上げるように自分の体をぶつけると、
後ろに突き飛ばされたれいむは痛みに顔を歪ませ、我慢できずに泣き出してしまう。

「ゆ゛うっ!?いだい゛い゛ぃ!な゛んでごんなごどずるの゛お゛ぉぉ!?」
「うるざい!ゆっくりできないれいむはゆっぐりじねぇぇ!」

相手がひるんだとみるや、まりさは大きく跳ねてれいむの頭上に飛び乗ると、
そのまま何度も跳ねてれいむを押しつぶし始めた。

「ゆ゛べっ!やめ゛っ!や゛め゛でっ!」
「ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!」

まりさが跳ねる度にれいむは口から餡子を吐き出し、やがて餡子が足りなくなったのか痙攣を始める。
このまま放っておけば死ぬだろう。もう十分と判断したまりさはれいむから飛び降り、
ゆひゅー、と満足げに息を吐いた。

「ゆっぐり…じだがっっだ…」
「まりさにいたずらしたけっかがこれだよ!れいむはあのよでゆっくりはんせいしてね!」

もう自分のゆっくりを邪魔する奴は居なくなったと、安心したまりさは意気揚々と巣に戻る。
荒れたままになっていた葉っぱを入り口の前に積みなおし、散らかした石を戻して
丁寧に枝を立てかけて行く。
これで安心と巣の奥に跳ねて行った所で、もう一度声を掛けてみた。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆ、ゆぅっ!?」

いたずらをするれいむは退治したはず。何が起こっているのかわからず混乱したまりさは、
またゆっくりと枝を外して飛び出したが、そこに居るのは先ほど踏み潰したれいむのみ。
れいむはもう、うめき声すら上げる事が出来ずにぷるぷると震えている。

「ゆ、ゆぅ…?」

自分が踏み潰した事で、れいむがもう死を待つだけの姿になっている。
さっきは夢中だったが、同族殺しを目撃されていたら自分も殺されてしまう。

「ま、まりさがわるいんじゃないよ、れいむがいたずらするからだよ!」

誰にともなく言い訳をしたまりさは、そそくさと巣に入って行く。
もたもたと枝を戻している間に、れいむの震えは止まり、まったく動かなくなった。
れいむの死体を掴み上げて、巣の入り口の枝の目の前に置いて声をかける。

「れいむを殺したまりさはゆっくり出来ないよ!」
「ゆ、ゆうっっ!?」

突然の指摘にまりさはパニックに陥る。誰かに目撃されていたのだろうか。
それでもれいむのいたずらを説明すれば許してもらえる、
そう判断したまりさは巣から出ずに説明を試みる。

「ま、まりさはわるくないよ!れいむが…」
「もうゆっくりさせないよ!れいむのお化けがまりさに会いに行くからね!」
「ゆひっ!?お、おばけはこないでね!おばけはあっちにいってね!」

化けて出ると聞いた途端、まりさはひどく怯えだした。
ゆっくりにも幽霊が出るって風習があるのだろうか。

「だめだよ、れいむはもうまりさの後ろまで来てるよ」
「ゆひいっ!!!」

まりさは顔面蒼白になって固まり、振り返る事が出来ない。
誰も居ないはずの後ろ側に気配を感じ、背筋に強烈な寒気が走る。
声が巣の外側から聞こえるのだがパニックになったまりさには正常な判断が出来ない。

「まりさぁー、れいむと一緒に地獄に行こうねぇぇ~っ」
「い゛やだぁぁぁぁっ!ゆっぐりざぜでぇぇー!」

れいむがお化けになって自分を殺しに来た。圧倒的な恐怖に支配され、
まりさは一刻も早く暗い巣穴から出ようと枝を外し始めるが、
恐怖で震えた舌ではうまく枝を掴む事が出来ない。

「ゆ゛っゆ゛ぅっ、だして!だしでっ!」

焦りながらもまりさは、枝を固定する石をどかして行く。
支えを失った多くの枝がばらばらと倒れると、目の前にれいむの死体が現れた。

「ゆぎゃぁぁぁ!なんでぇぇぇぇぇぇ!?」

自分の後ろに居ると言ったれいむが、いつの間にか巣の外へ先回りしていた。
逃げ場を失ったまりさは跳ねる事も出来ず、ずりずりと後ずさりする。
れいむの死体に目が釘付けになり、その後ろに居る人間には気付いていないようだ。

死体れいむの後頭部をわっしとつかみ、左右にがくがくと揺らしながら巣穴に押し込み、
ゆっくりとまりさに近づけて行く。

「ま゛~~~~り゛~~~~ざぁ~~~~!」
「………!!」

ゆっくりらしからぬ異常な動きで迫って来るれいむのお化けに、
恐怖が限界に達したまりさは白目を向いて気絶してしまった。
見ればあごにあたる部分から砂糖水を漏らしている。恐怖のあまり失禁までしたようだ。



死体のれいむを巣の中に残したまま、石を集めて巣穴の入り口を塞ぐように積み上げ
土や枝で石の隙間を埋めた。これをゆっくりが中からどかす事は出来ないだろう。

気絶から立ち直ったまりさが入り口を塞がれた真っ暗な巣穴で、
自分が殺したれいむと一緒だと知った時どんな顔をするだろうか。
これからのまりさの様子を確認する手段がないのが残念だが、
暫くしたら石をどかして中の様子を見る事にしようと、帰路についた。


おわり。



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最終更新:2008年10月18日 14:28
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