アリス×ゆっくり系3 お食事タイム

ゆっくり魔理沙のお食事タイム

「ゆっくりしていってね!」
腕の中で憎たらしく叫ぶ土饅頭。説明は不要だろうが、最近幻想郷に現れた摩訶不思議な生き物?ゆっくりだ。
今日はこの子を可愛がってあげよう、そうアリスは思った。
決して魔理沙に約束を反故にされたことへの八つ当たりではない、決してない。
「おねーさん!」
ゆっくりが、アリスが肘にかけた籠の中身を見ながら聞く。
「このきのこたべてゆっくりしたい!」
それを聞いて嬉しそうに笑うアリス。
「ちょっと待ってね。」
「どうして!いますぐゆっくりたべたい!おねえさんのいじわる!」
腕の中で飛び跳ねようとするゆっくり。しかしアリスがしっかり抱きかかえているので、すこし身動きできた程度だった。
「今すぐ食べてもいいけど、私の家の周りには野良猫が集まっているの。ここでゆっくり食べたらあなたが餌になっちゃうのよ?」
その言葉を聞いて、泣き出す魔理沙。危険を理解できるほどの知能はあるらしい。
「い゛や゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!だべら゛れ゛だら゛ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛い゛!!」
「でしょう?だから、私の家でゆっくりしましょ?おいしいきのこ料理も出してあげる」
現金にも一瞬で泣き止むゆっくり。涙は出し入れ自由のようだ。
「きのこ!ゆっくりできる!」
そんなゆっくり魔理沙を見て、アリスは黒めの笑顔を浮かべる。
家の周りに住み着いた猫に、ゆっくりはおびえなかった。
アリスに守られていると言う安心感だろう。そのアリスが、自分に何をしようとしているのか知っていたら安心などできなかったはずだ。
だが、悲しいかなゆっくりにそんな知能はない。考えが甘いのだ。…餡子だけに。
ちなみに、籠に入っているきのこはベニテングダケと言った。


「ゆっくり!ゆっくり!」
アリスの家の中。上海とゆっくりするゆっくりの姿があった。アリスは今、ゆっくりのための料理を作っている。
「ゆっくりできるよー!」
机の上で飛び跳ねるゆっくり。少し埃っぽいが、暖炉の火は暖かいし、何よりこれからおいしいきのこ料理が食べられるとあって上機嫌だ。
棚の上にある意味深なガラスケースも目に入らない。今、ゆっくりはゆっくり人生の有頂天に居た。
お待たせ、とアリスがほかほか湯気の上がるお皿を持って現れた。
「ゆっくりたべるよー!!!」
それまで以上に高く飛び跳ねる。その振動でテーブルの花瓶が落ちる。しかし、ゆっくりも、そして、なぜかアリスも気にしなかった。
テーブルの上に銀の皿を置き、イスに腰掛ける。そしてゆっくりを促した。
「さあ、ゆっくりお食べ。」
その言葉を待つまでもなく、一心不乱に皿の上の料理を食べ続けているゆっくり。
汚らしい犬食いで、手縫いと思しきレースのテーブルクロスにも食べかすが飛び散る。
にもかかわらず、嫌な顔もせず、笑顔で眺めるアリス。アリスの顔に付いた食べかすをふき取る上海。
「ゆ!ゆ!ゆっくりたべるよ、おいしいよー!」
山と盛られていたきのこ料理が、ものの5分と経たずになくなる。
「おいしかったよ、おねえさん!ありがとう!」
「いいえ、どういたしまして。もっとゆっくりしていってね。」
変わらず笑顔のアリス。
「おねえさんもゆっくりしようよ!」
アリスがきのこ料理に口をつけなかったことにまったく疑問を持たないゆっくり。だって⑨以下だから。


上海や蓬莱とゆっくりするゆっくり。
アリスは時計を見て言った、そろそろね、と。
「ゆ?おねえさんいっしょにゆっくりするの?」
おもむろに立ち上がったアリスを見ながら、嬉しそうに言う。
しかしアリスはそんなゆっくりに向かって言う。
「残念だけど、あなたとはゆっくり出来ないわ」
なにか言いかけたゆっくりをさえぎって、アリスはまくし立てる。
「あなたがいけないのよ、魔理沙と同じ顔してるから!
今日は一緒に魔道書読もうって言ったのに、『フランと遊ぶから』ですって!?
私なんかどうでもいいって言うの?!せっかく昨日遅くまで掃除して、きれいに見えるように服を選んだのに!」
そこまで言って、ゆっくりを睨みつける。
「あなたがた食べたのはね、ベニテングダケっていうきのこよ。これを食べて20分程経てば、ムスカリンっていう神経毒が…神経毒?」
ふと何かに気付いたようにゆっくりをもう一度見る。
「ゆ?」
アリスの話などまったく聞いていない、無神経そうな顔でこちらを見上げている。
うるさくしたらゆっくりできないよ、とでも言いたそうだ。
こんなのに神経なんかあるはずない。中身は餡子だ。
アリスは一つため息を吐くと、ゆっくり魔理沙の頭をムンズと掴み、窓の外へブン投げた。
「ゆ゛!?」
地面に叩きつけられるゆっくり。
幸いなことに、魔法の森の雑草がクッションになったようで、身体に傷一つついていなかった。
「ひどいよおねえさん!もっとゆっくりしたかったのに!」
非難の声を上げるゆっくり。
しかし、それは自分の死刑執行書にサインしたも同然だった。
猫たちがゆっくりの存在に、声で気付いたのだ。
自分の住処に帰ろうと、飛び跳ねはじめるゆっくり。そんなゆっくりに、猫が襲い掛かった。
「ゆ゛ーーーーー?!」
その悲鳴に引き寄せらて、猫たちがますます集まってくる。
「だずげでぇぇぇぇぇ?!」
ゆっくりの断末魔に答えるものは誰一人居なかった。
「これこれ、これが聞きたかったのよね」
にんまりと笑みを浮かべるアリスしか居なかった。
「恨むなら、魔理沙を恨みなさい…」
そういって、猫に食べられるゆっくりを、じっくり眺めた。

ちなみにその夜、アリスは猫のための解毒剤を作るために眠れなかったそうである。うっかりした結果がこれだよ!

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最終更新:2008年09月14日 10:52
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