ゆっくりれみりゃ系いじめ17 れみりゃうーー!!

 人間の小屋の中にまた勝手に住み着くゆっくりがいた。
 それ自体はよくあることである。
 そして、子持ちである事もよくあるが、今回は少し変わったゆっくりが住み着いていた。
「う~♪ れみりゃのぷりてーなあがちゃん~♪」
「う~~♪」
 一匹のお母さんれみりゃと赤ちゃんれみりゃ。
 出生は不明だが、どこかのお屋敷から抜け出してきたのかもしれない。
 こーまかんと、この小屋を重ね合わせているのかもしれないからだ。
 邪魔な農具の類は全て乱雑にぶちまけ、開いたスペースにお尻を着いたお母さんれみりゃはニコニコと赤ちゃんれみりゃを眺めている。
「うっう~♪ おながへっだどーー!!」
 突然、何の脈絡も無しにお母さんれみりゃが立ち上がり、天を指指し高らかに宣言する。
「う~ごひゃん~♪」
 赤ちゃんれみりゃも純粋な瞳をお母さんに向けて微笑む。
 どうやら、こちらもお腹が減ったようだ。
「う~~~いぐどぉ~~♪」
 その声を聞いたお母さんれみりゃは、少しスピードを殺して、そのまま母屋の方へ戻る。
 この小屋は、母屋の人間が倉庫として使っていたものだったようだ。
 しかし、最近は使っていなかったらしく、それゆえゆっくりの進入を許してしまったらしい。

 そんな事をこれっぽっちも知らない二匹は、さも当然のように、今まで来た事のない母屋に向かって歩を進めてゆく。
 後ろからヨチヨチと赤ちゃんれみりゃが付いて来るのでお母さんはご機嫌だ。
 お母さんは歩いて、赤ちゃんはお母さんの顔の高さまで浮かび上がって、仲良く歌いながら母屋の中へ。
「がぁ~お~た~べちゃ~うぞ~!!!」
「じょーー!!」
 障子を破り捨てて更に奥へ進む。
 目指すは台所。
「う~~♪」
 台所へ着いたお母さんれみりゃは、おいしそうな香りを出しているおかずには一切目もくれずに戸棚や氷室の中を調べ上げる。
「う~!! ぽいするのぽい!!」
 自分が食べたいもの以外を処理する事も忘れない。
 ここも自分のお屋敷、だから何をやっても良い、自分の好きなように振舞う。
 笑顔のまま、台所の棚という棚を漁りまくっているれみりゃの顔は、飛びっきりの笑顔であった。
「うーー!! ざぐやにいいづけでやるーーーーー!!!」
 どうやらお気に入りの食べ物が無かったようで、家の中をめちゃくちゃにしてから、笑顔でれみりゃ親子はこの家を後にした。

「う~~~~……」
 出来る限り高く(2メートル)飛んで辺りを見回すお母さんれみりゃ。
 めぼしい家が見当たらないようで、迷っているようだ。
「うーーーおかーしゃん!! あのおーち!!」
 赤ちゃんれみりゃが指差した家は、手前の家が陰になってよく見えないがそれなりに豪華そうな家だった。
「う~~~♪ いっくどぉ~~~~♪」
 元気百倍肉饅頭のポーズでその家まで飛んでゆく。
「うーーーー!!!」


 門の前まで来ると、やはり、なかなか大きな家のようだ。
「うっう~♪」
 塀を飛び越え庭に、そこから家の中へ入っていく。
「うーーー!! がぁおーーー!! がぁおーーー!!!」
「ぎゃおーーー!!」
 先ほどと同じように、障子を破り捨てて奥へ奥へと進んでゆく親子。
 直ぐにお目当ての台所が見つかった。
 しかも、この家には大きな冷蔵庫もある。
「う~~!!」
 喜び勇んで早速お目当てのものを探し出す。
 こっちをあけたらポイ。
 あっちをあけてもポイ。
 今回も全て捨てるだけなのかと思われたそのとき、親子から嬉しい悲鳴があがった。
「う~♪ ぷっでぃ~ん♪ れみりゃのぷっでぃ~ん♪」
「うーーー!! ぷっでぃーーん!!」
 その手に握られていたのは、大きなプリンだった。
「「う~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー」」
 自分の一丸の好物、しかもこんなにも大きなものを手に入れたれみりゃはご機嫌だ。
 さっそく、食べようと蓋を剥がす。
「う~~~♪ ……う~? うーーーーーーー!!!!!!!」
 おかあさんれみりゃが懸命に蓋を外そうとするが、なかなか剥がせない。
 それもその筈、剥がすための出っ張りは、綺麗に切り落とされていたのだから。
「まぁまーーがんばっでーーー!!!」
「ううーーーーー!!! ううーーーーーーー!!!!」
 愛娘の応援を受け、必死になって蓋を剥がそうと奮闘するお母さんれみりゃだが、小さなその手で開けられるほど、幻想郷の包装技術は遅れていない。
「ううーーーー!!! ざぐやにいいづけでやるどぉーーーー!!!!!!」
 結局開けられないことが分かると、興味をなくしたようにプリンを投げ捨て更に物色し始める親れみりゃ。
「う~~~うっう~~♪」
 次に見つけたのはカステラだった。
 買ってきたばかりなのであろうそれは、親れみりゃの顔ほどの大きさがあった。
「う~~~~♪ おがじ~♪ むっしゃむっしゃ♪」
 床に腰を下ろし、両手でしっかりと掴んで食べ始める。
「う~~? れみりゃのぷっりでーなあがじゃ~ん♪ おっがじ~あるどぉ~♪」
 近くに居るはずの赤ちゃんに呼びかける、しかし、返事は意外なほど遠くから聞こえた。
「うーーーー♪ まぁまぁーー♪ れみりゃごれかいだのーーー!!!」
 赤ちゃんれみりゃが手渡したのは一枚の画用紙だった。
 そこにはクレヨンで満遍なく線が書いてあるだけだ。
「う~~~♪ れみりゃのこどかいてくれだの~~?」
「うーーー♪ まぁまぁをかいだのーーー!!!」
 どうやら、それは自分の事を描いた絵だと認識したらしく、お母さんれみりゃはにこにこしながら両手でそれを持って眺めている。
「うーー♪ これおいじーー♪」 
 一方の赤ちゃんれみりゃは、先ほどの母親と同じような格好で残ったカステラに齧り付いていた。
「うっう~♪ れみりゃもかくどぉ~♪ ぐれよんどぉごぉ~?」
「うーー♪ こっぢーーーー!!!」
 赤ちゃんに連れられてお母さんれみりゃが向かった部屋には、沢山のクレヨンと画用紙がばら撒かれていた。
「うっう~♪ れみりゃはぷっりでぃ~なあかちゃんど、さぐやのえをかくど~♪」
「れみりゃももっとまぁまぁのえをかくどー♪」
 その楽しい一家団欒は、この家の主が帰ってくるまで続いた。


 その間に、絵を描く事に飽きた親子は、先ほどの家と同じように全てをめちゃくちゃにし、クレヨンで家中の飾り付けを終えたようだ。
 親子とも大の字になってぐっすり眠っていた。
「……オラ、起きろ」
 帰ってくるなり、我が家の変わり果てた様子に愕然とした男は、お腹に蹴りをぶち込み二匹を叩き起こす。
「うぎゃーー!!! ざぐやーーどごーー!!」
「まぁまぁーー!!! しゃくやーー!!!」
 たいしたダメージにはならなかった様で、二匹とも元気にのたうち回っている。
「おい! 俺のうちで何してんだ?」
「う~ここはれみりゃのおーぢなの♪ ざぐやにいっでべっどど~、ぷっでぃ~んをはこんでもらうの♪」
「うーー♪」
 早くも回復した親子がニコニコと男に語りかける。
「う!! うっう~♪」
 母親が何かに気付いたようその場を後にする。
 残ったのは男と赤ちゃんれみりゃだけ。
「うーーー!! うあうあ~~~♪ うぎゃ!!!」
 好き勝手に踊っている赤ちゃんれみりゃを掴み上げ、引きちぎる。
 中からは、おいしそうな肉まんの匂いが漂ってきたが、男はそれを食べようとはせず、お母さんれみりゃが
戻ってくるのをじっと待っていた。

「うっう~♪ はやぐこのぷっでぃ~んあげでね~♪」
 先ほどのプリンを持ってきたれみりゃが、有無も言わさぬ態度で男に命令してきた。
「そのまえに、ここは俺の家だよ。そして、お前達は俺の家をめちゃくちゃにしたんだよ。分かる?」
「うーーーー!! いいがらはやぐあげるの!! ざぐやにいいつげるどぉーーーー!!!!」
 あくまで聞く耳が無い。
 まさに饅頭に説教である。
「わかったよ。じゃあその間これでも食ってろ。うまいぞ~♪」
「う~♪ れみりゃちゃべりゅ~~~♪」
 男から渡された、モノを両手でしっかりと受け取るれみりゃ。
「う~♪ あーーn? うあーー!!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
 口に入れるその段階で漸く、それが自分の子供だと気付いたれみりゃは、どうして良いのか分からず持ったままおろおろとしている。
「ほら、開いたぞ。それじゃあ交換な」
 ヒョイっとれみりゃの手からソレを取り上げて変わりにプリンを載せる。
 なかなかゆっくり思いの男のようで、しっかりと安っぽい紙皿の上にプッチンされていた。
「……ううううう……」
「どうした? くわないのか?」
 右手をバリッと食いちぎる男。
 手に持っているプリンを男が持っているソレを交互に見比べながら、れみりゃは必死に何かを考えているようだ。
「うーーー!! それはれみりゃのあがちゃんなの!! たべものじゃないの!!!」
 漸く考えが纏まったようで、顔を真っ赤にしてそれだけを叫んだ。
「ん? そうなのか? そいつは悪いことしたな」
「ほら、返すよ」
 お母さんれみりゃの前に子供れみりゃを投げ捨てる。
「うーー……まぁまぁ……」
 まだ息はあるようで、しきりに母親の名前を連呼している。
「うあーーー!! れみりゃのぷりでーなあがちゃん!! あがちゃーーん!!!」
 手に持っていたプリンを投げ捨てて、必死に赤ちゃんの元へ駆け寄る。
 しかし、後一歩の所で男の足が気持ち悪い親子の再会を阻んだ。
「うあーーー!! まぁまぁ!! まぁまぁ!!!」
「ああああ!!! ざぐやーーー!!! ざぐやーーー!!! ごわいひどがいるどぉーーー!!!」
 必死に自分の面倒をみてるれる者の名前を叫ぶが聞こえるはずも無い。
「さて。もう一度聞くけど、お前たちが勝手に家をめちゃくちゃにした事は分かってるかい?」
「はいーー!!! だがらゆるじてーー!!!」
「ごめんにゃしゃいーーー!!!!」
 何処で覚えたのか、お母さんれみりゃは必死に土下座までして男に謝っている。
 そんな様子を見ていた男は、ゆっくりと赤ちゃんれみりゃを踏んでいた足から力を抜いていく。
「う!! う~~♪」
 その事に気が付いた赤ちゃんれみりゃは、必死の泣き顔から一転、100万発の笑顔に早変わりした。
「おっと、そうだここは誰の家かな?」
 勿論、ここまでされたゆっくりが次に言う台詞はお決まりのものである。
「「うっう~♪ れみりゃのおへやだどぉ~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー♪」」
 何も言わずに再び足に力を込める。
「いっぎゃーーー!!!! ぎゃーーーー!!!!」
 更に、足を捻っていく。
「あああ!! ぎゃは!! あががががが!!!!!!」
 赤ちゃんがボロボロになったところで、持ち上げて母親に投げつける。
「うぎゃあ!!」
「あああ!! あがじゃんがーーー!!!!」
「もう一度だけ聞くけど? ここは誰のお家?」
「おにーざんのおーじ!! ゆるじでーーーー!!!」
「漸く分かってくれたかい? それなら良いんだ」
「うーー!! でもれみりゃたちにがわいおもいざぜたがら、ざぐやにいいつげてやるど~♪」
「そうだった。家をめちゃくちゃにしたお仕置きと、折角のプリンを落としたお仕置きが済んで無かったね♪」
 子供を抱いて逃げ様としていたれみりゃの羽を掴んで、勢いよく叩き落す男。
「あががが!!!」
 突然の衝撃に、お母さんれみりゃは何がなんだか分からず、痛みだけをこらえている。
 その様子を笑みを浮かべて見ていた男は、ノコギリでゆっくりと四肢と胴体をばらしてゆく。
「いだい!! いだい!!!」
 質の悪いノコギリのようでなかなか上手く切断する事ができない。
「うががが!!!」
 ギーコ
「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーー!!!!!!!」
「まぁまぁーーーー!!!!」
「お前はこっち」
「う? ああああじゅいーーー!!!」
 子供は大きな寸胴の中へ、蓋をして数時間じっくりと煮詰める。
「ああああああ!! れみりゃのあがじゃんどーずるのーーー!!!」
「食べるんだよ? どうしてそんな事聞くの?」
「なんでーー!! れみりゃはたべものじゃないどぉーーー!!!」
「何でって言われてもね。君一匹だけ売ればお金は十分だからね」
 四肢を落とし終えた男は、れみりゃの目の前でソレも鍋の中に放り込んでいく。
 必死に泣き叫んでいるれみりゃの声をものともせず、再度蓋をし終えた男は、れみりゃの方に向き直りニッコリとして呟いた。
「はい。これお口に入れるよ」
「う? うぐぐ!!」
「はい縫い付けるよー♪」
「うぎゃあ!! あが!! はが!! げほ!! おえ!!!」
 入れられたのは先ほど楽しく描いていたクレヨン当然美味しくも無いが、吐き出すこともできない。
「人が趣味で使ってたものでこんな事するなんてねー」
 口を縫い付けると、そのまま頬を思いっきり殴りつけた。
「!!! うううーーーー!!!」
 何度も、何度も殴る。
「ううーーーーー!!!!」
 口の中では涎とクレヨンがごちゃごちゃに混ざっている事だろう。
「よし。これ位で良いか」
 ひとしきり殴り終わり、四肢も再生したソレを今度は土間まで連れ戻す。
「このままじゃ売り物にならないからね」
 スプーンを使って口の中をくり貫いてゆく。
「いだい!! いだい!!! いだいーーーーー!!!!!!!」
 当然、歯もボロボロと床に落ちる。
「ざぐあy---!!!! ざぐああーーーー!!!!! どごーーー!!!!」
 それでも、口の中を書き出す手を休めない。
 いや、既に口の中は存在していない。
「ああーーーーーーーーー!!! あーーーーー!!!」
 最後の方になると、もはや喋る事もできないようで、ただ空気を吐き出しているだけになった。
 しかし、直ぐに再生するので余り深く考えなくても良いだろう。
 寧ろ、恐怖を与えて旨みを増幅させる事が大事なのだ。
 男は、ソレを狭苦しい箱に無理矢理収めると、ダシを取っておいた寸胴で料理を始めた。

 翌日。
 紅魔館では、珍しく美味しい餡が入ったとびっきりの餃子が振舞われたという。


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最終更新:2022年01月31日 01:26
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