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壊乱

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壊乱


町の中心に行く道すがら現在の状況を聞く。
まず大聖堂は散発的な襲撃はあれど強い固体は来ていないので被害はほとんどない。
媒体が壊されたことにより、他の場所の媒体を警備していた連中が散開し始めているそうだ。
そんな話を聞いていると丁度目の前に狼が出てきたので切り裂いていく。足は止めない。
幸いにも巨人クラスまで遡って蘇ることはなかった。不幸中の幸いと言えよう。
ずんと何か大きなものが動く音が聞える。場所は中央近くの広場だろうか。あの巨体を置ける場所はそのくらいだろう。
やがて中央広場への一本道に入り、その姿を見ることとなった。
「あれがこの町を襲ったドラゴンか」
赤錆びた姿に振るえば建物を粉砕する大きな尻尾。そして時折炎が零れる凶悪な口。
かつてソーニャが仕留めたドラゴンとは比べるのも申し訳ないほどの威圧を放っている。
噂をすればその横をあまりぱっとしない老いたドラゴンが飛んでいき、建物に激突している。
種類が違うのだろう。同じものとも思えない。しかしそれでもこの世界の生物界の頂点に近いところにいるのは事実。
そして残った人間でこれを仕留めなければいけないのだ。選択肢などそこには存在しない。
殺さなければ殺される。ただそれだけ。
「亀とロゼッタも近くにいるんだっけか」
「はい、上位の狼を討伐中に見つかってなんとか狼は討伐は出来たみたいですけど今は隠れています」
「どのへんにいるんだ?」
「えーっと……あの赤い屋根の建物の中ですかね」
赤いドラゴンがその建物を尻尾で叩き壊した。そこに老いたドラゴンが突撃していく。
あっという間に瓦礫の山が出来た。瓦礫に埋もれた老いたドラゴンがむくりと起き上がったと同時に吹き飛ばされた。
逆側の建物に当たり、再び瓦礫に埋もれる。
「生きてはいるようだな。行くとしよう」
「一応援軍を呼びましたけど……期待はしないでください」
「わかっている」
通りを駆け出す。瓦礫が崩れたせいで少し埃っぽい。だが気にしている場合ではない。
獲物を槍へ。追撃を加えんとしている赤いドラゴンに向かって放つ。狙いは性格ではないし威力もないが気が引ければそれでいい。
槍は思ったよりも飛ばず、足にこつんと当たり、落ちた。ドラゴンの動きが止まり、頭がこちらを向く。
こうしてみると本当にトカゲを大きくしたような生き物だ。羽がなければ大きいトカゲでも通じるかもしれない。
槍を手元に戻す。胸が大きく膨らみ、何かが喉を競りあがってきている。これはまずい。
大きな瓦礫がドラゴンの頭に当たり、口から吐かれた炎は隣の建物を焼いた。
叫び声を上げながらドラゴンが尻尾を振るう。炎上している建物が崩れ、ソーニャの頭上に影を作る。
地面を蹴って前へ。影が消えたと同時に獲物を剣に変え、切り抜ける。
硬い。片手持ちの獲物では浅い傷も与えられない。聞いた通りの硬さではある。
「亀! ロゼッタ!」
広場に出て、ドラゴンに対峙しながら瓦礫の山に呼びかける。
それに答えるように瓦礫が再び宙を舞い、ドラゴンに当たった。
「亀の魔法を撃つので時間を稼いでください」
気づけばロゼッタが隣にいた。服はずいぶんと汚れているようだが怪我はないみたいだ。
瓦礫の山に埋まっていた老いたドラゴンが起き上がり、赤いドラゴンと並ぶ。
「難しい注文だな」
ソーニャが左の赤いドラゴン側に、ロゼッタが右の老いたドラゴン側に走り出す。



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