このページでは『信長の野望 創造』(判定なし)と『信長の野望 創造 with パワーアップキット』(良作)を紹介する。



信長の野望 創造

【のぶながのやぼう そうぞう】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム

対応機種 Windows XP~8
プレイステーション3
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 コーエーテクモゲームス
発売日 【Win/PS3】2013年12月12日
【PS4】2014年2月22日
【PSV】2014年5月29日
定価 【Win】9,800円
【PS3/PS4】8,800円
【PSV】7,800円(各税別)
判定 なし
ポイント 全体的に薄味
ライトユーザーには易しい
外交と人口が鍵
あってしかるべき要素のカット
パワーアップキットで大幅改善
信長の野望シリーズ

概要

信長の野望第14作目。シリーズ30周年を記念して発売された。
本作では8年ぶりにゲームシステムが一新される事となり、プロデューサーの変更もあり、前作、前々作からは大きく作風が変わった。
今まで同様、大名家を選択し天下を統一する事が目的だが、征夷大将軍になり、惣無事令による天下統一という新たなクリア条件も追加された。

本項目では無印版を取り扱う。後に発売されたパワーアップキットに関しては別項目を参照のこと。


特徴

「軍議」と「評定」

  • 前作までと同様に全ての国が同時に進行する形式が採られているが、月に一度、「評定」が行われ進行が一時停止する。
    評定内で、各城の奉行に城下の内政や、武将に城に繋がる道を敷くといった命令を与える。所謂「内政パート」にあたる。
    • 軍事に関することは「軍議」として行うことが可能。「出陣」や「援軍」「停戦」が行える。
  • 評定を終了させると、「進行パート」となり、1ヶ月が進行する。この間に軍隊の移動や領地の発展などがリアルタイムで行われる。
    • 進行パートの途中でも停止して軍議を行う事が可能。敵大名の侵攻に対しては臨機応変に対応することが可能。
  • 基本的には評定と進行の繰り返しでゲームは進行する。

「労力」と「人口」

  • 城下の発展や街道の整備などの多くのコマンドで領民の「労力」が必要となり、勢力の総人口に応じて労力が決まる。
    • その為、城数が多くても労力が不足していれば城に命令を実行できないといった事が発生する。
  • 労力を上げる事が発展の鍵となっており、政策を行ったり、支城を建てたり、城に繋がる街道を整備して、いかに「人口」を増やすかの工夫が必要となる。
    • 街道の整備は手軽に人口の増加を促せ、大名直轄地領域の拡大ほか自軍の行軍速度も向上する。
      • ただし等しく敵軍の進行速度も上がるため、不利な条件下ではデメリットにも。
  • 街道には上限LVが設定されており山岳地帯等の険しい地形では上限が低い等、地域によって人口の増えやすい地域とそうでない地域の差が顕著になっている。
  • 「人口」の概念が今までのシリーズ以上に重要となった。京や濃尾地方は人口が多いが、僻地にあたる九州や東北等は人口に乏しいといった特色が付けられている。
    • その為、今までのシリーズでは日本の端にある故に敵対勢力が少なく、有利だった島津家も、中央との人口の差と後述の織田家との距離の遠さから有利とは言えない状況になった。
    • 逆に人口の多い城を多く抱える織田家が非常に強力であり、武将の質の良さも相まって本作では「シリーズ最強の織田家」「ラスボス*1」と名高い。
    • 人口の多さはそのまま城下の内政値の上限や領民兵の数にも影響する為、小さい城ばかりでは多数の兵を動員できず、大勢力に太刀打ち出来なくなっている。
  • 人口が増加すると新たに未開発の区画に施設を開発する事が可能になる。これにより内政値の上限を上げたり、後述の「創造性」を変化させたりする事が出来る。

「諸勢力」

  • 本作にも「国人」「忍者衆」等の「諸勢力」が登場し、懐柔することで「支持率」を上げ、味方につける事ができる。
    • その諸勢力の影響範囲に他家の城がある場合は支持を取り合う形になる。他家と戦争になった場合、諸勢力は支持率の高い方に味方をする。
      • 支持率が一定の値を超えると、戦闘に参戦してくれたり、「攻城戦の攻撃力アップ」「特定の物資の収入」といった特殊効果が得られる。
      • 通常、敵部隊との戦闘や城の包囲は最大3部隊までという制約があるが、諸勢力の部隊はその3部隊とは別枠となっており、最大4部隊での攻撃が可能となる。おまけに諸勢力部隊には「移動」という概念が無く、戦闘が起これば即座に参戦してくれる。このように諸勢力の部隊は兵力が足りない序盤や中小勢力では非常に頼もしく、彼らの支持を取り付けることが戦略上非常に重要となっている。
      • なお、周辺を支配していると自動的に支持率が100%になる諸勢力も存在する。
    • 支持率を100%にする事で諸勢力の取り込みが可能となり、諸勢力の消滅と引き換えに「人口」が一気に増える。
      • 前線から離れ、必要が無くなった諸勢力を積極的に取り込む事も人口増加の有効手段である。
    • 諸勢力の配置は基本的にランダムだが、「津島衆」「甲賀衆」といった固定配置の諸勢力も多い。中には津田算長(根来衆)や風魔小太郎(風魔衆)といった史実の人物が頭領となっている固定諸勢力もあり、そのような諸勢力を取り込むと頭領を務めていた史実人物を配下に加えることができる。彼ら目当ての取込も十分に考えられる。

「政策」

  • 本城を2つ以上持つ事で*2勢力内で「政策」を行う事が可能。毎月、一定の金額を払う事で何らかのメリットを得られる。
    • 万能な政策はなく、必ず何らかのデメリットが存在するので、デメリットを我慢できるような状況に持ち込んで敷く等の工夫が必要。
    • 例えば「目安箱」ならば、毎月1000金を使用し、メリットとして人口及び民忠*3も増加するが、民忠が下がった際に一揆が発生しやすくなるというデメリットが発生する。
    • 金銭の不足する序盤では毎月の出費もバカにならない為、金銭にある程度の余裕を持たせてから布く必要がある。
  • また、政策には勢力の「主義」や「創造性」によって行えるものと行えないものが存在する。
    • 「創造性」は、大名や所属する武将の「主義(創造、中道、保守の3つ)」及び勢力内施設により上下する数値であり、その値によってその勢力の主義が「創造」「中道」「保守」のいずれかになる。
      「中道」に当てはまった場合は中道以外の政策が行えず、領地の発展などによって創造性が変化すると政策が中止されることもある。
    • 同じ主義の政策であっても、主義を深化させていないと行えない政策もある。例えば「創造」の創造性は700~1000となっているが、金収入を50%上昇させる「楽市楽座」は、創造性を850まで上げないと実行できない。
    • なお、政策には「何らかのデメリットが存在する」と上述したが、実際には各主義に最低1つ、デメリットが無いも同然の政策が存在する。先に挙げた「目安箱(中道)」はその典型で、普通にプレイしていれば一揆などまず起こらないので、実質人口・民忠増のみを享受できる「出し得」の政策となっている。まずはこのような政策を採用できるところまで国力を高めるのが当面の目標となる。
    • 織田信長専用の特性「創造」は、創造性に関係なく全ての政策を実施可能にする。
      これにより有り得ない政策コンボが可能になり、「毎年米を売買するだけで金が勝手に貯まる」「行軍中の兵糧消費が6割減る」等の滅茶苦茶な状況を作れるトンデモ特性と化している。
      • もちろんCOMの織田家も信長が特性を習得次第活用し、他家を凌ぐ速度で国力を増やしてくる。これもまた本作の織田家が最強とされる要因のひとつ。
  • 大名家によって独特の「政策」を持つものがある。武田家の「甲州法度次第」や北条家の「五箇条の訓戒」といった有名大名家の政策が表現されている。
  • 後述の「戦国伝」の達成により征夷大将軍になる事で政策として「惣無事令」を行う事が可能となる。
    • 「惣無事令」は即エンディングとなるので必ずしも全国を武力統一する必要はない(武力統一にも専用のエンディングは存在する)。

戦闘

  • それまでのシリーズからの大きな変更点として「兵士が城に紐付けられている」という点が挙げられる。
    • その為、城を攻め落として入城した場合、武将は城に留まるが、兵士は出陣元の城に帰ってしまうようになった。
    • 一度にすべての兵が帰還するのではなく、ターンをかけて少しずつ戻るという形になっている。
      この表現が説明不足だった為に、発売当初は入城すると兵が即死すると騒がれる事になってしまった。
      • 兵の帰還の速度は本当に死んでいるのではと思うほど遅く、みだりに入城すると戦力の低下を招いてしまう。
    • これにより、最前線の城に30万の兵士が駐屯しているといった不自然な点が改善され、多方面の城から一つの拠点に向けて進撃する様が表現されている。
  • 「常備兵」や「領民兵」という概念が採用されている。「常備兵」は自分で建てる兵舎の数で変動するが、「領民兵」は人口を元に自動で割り出されるため、ここでも人口の多さが重要となる。
  • 部隊の兵数は大まかには決められるものの、全ての城兵を連れ出すといった事は出来ない。
    • 「騎馬」や「鉄砲」も何割かが部隊に混ざるという『覇王伝』に似た仕様が採用されており、部隊のすべてが騎馬隊で編成されるという事はなくなった。
  • 戦闘は部隊同士がぶつかる事で自動で行われる。街道で挟み撃ちにする、陣の上で戦う事で寡兵でも有利に戦う事が出来る。
  • 部隊は120日分「腰兵糧」を持ち、味方拠点を通過することで兵糧を消費して補充することが可能。無くなると兵が逃亡する為、長期戦に渡る場合は重要となる。
    • 攻城戦はオートではあるが「包囲」「強攻」「焼討」の3つの方針を指示し、城の耐久が0になる事で落城となる。
      • 城を攻撃する部隊の総兵力が城の「防御度」を上回れば包囲している内に被害を受けずに落とす事が可能。逆に不足している場合はどれだけ包囲しても城を落とす事は出来ない。
      • 強攻をしかけると兵力に被害を受けるが防御度を落とす事が出来る。兵力が足りない場合には有効だが、落城後の「修復」が必要になる。
      • 焼討は城の施設を破壊し、「民忠」を下げつつ「腰兵糧」を回復する。遠征で補給が出来なくなった時の最終手段だが、落城後は民忠が下がっている為に一揆が発生しやすくなるデメリットがある。

会戦

  • 本作の戦闘のメインとなる仕様。戦闘中の部隊を選択し、「会戦」を行う事で戦闘を直接指揮できる。今までのシリーズにおける「戦争画面」にあたる。
    • 会戦は戦場の兵士一人一人までもを表現した物となり非常に派手な見栄えである。
  • 部隊を前進させる、後退させる、戦意を溜めて技能を使うといった指示を与える事が可能。
    • 前進、後退以外の移動は出来ない為、『蒼天録』の野戦に似ている。
    • 「戦闘中に援軍が到着」「評定を行う」「会戦を終了するコマンドの実行」等で一度中断される。
  • 会戦に勝利する事で多くの敵部隊を一度に消滅させる事が出来る為、不利な戦況からの逆転が可能。

外交

  • 本作の外交は基本的に関係を結びたい勢力に使者を派遣し、毎月少しずつ「信用」をためる。
    • 信用を消費する事で「同盟」や「援軍」を頼む事が出来るようになる。事前に信用されている事からこちらからの頼みは基本的に断られる事はない。
  • 他家の大名は自家に対する印象を持つようになり、自家の影響力が低い場合は「軽悔」されるが、ある程度の力を得ると無関心となり、強大になると「敵視」するといった変化が起こる。
    • 共通する敵を持つ、自分と同じ同盟国を持つなどで利害が一致すると他家が関心を持つ場合もある。
    • 関心を持っている間は信用は上がりやすいが、警戒されると中々上がらなくなる。その為、勢力が大きくなるに連れて他家と関係が結びづらくなる。
    • 「家宝」を贈る事で一定期間、感謝され、信用が上がりやすくなる。本作の家宝は従来のシリーズとは異なり、能力上昇効果はなく外交での使い道が主になる。
      • 何が何でも関係を結びたい強豪は「格付け」の高い有名大名が率いている場合が多く、そのような大名はこちらの勢力が小さいと「軽侮」、大きいと「敵視」する傾向にあり、家宝なしでは信用度を高めるのが困難。時には米を売り飛ばしてでも家宝をかき集める必要もあるほどに、本作の家宝の重要度は高い。
    • 一度でも戦闘を行うと「断絶」になってしまい、一切の交渉が出来なくなる。後述の同盟国を介した「停戦」や歴史イベントに加え、一定期間戦をしない事で解かれる事もあるが、基本的に修復は難しい。
      • このため、一度交戦状態に入ってしまうと、その勢力を滅ぼさない限りは延々と攻撃をしかけられるようになる。特に大勢力と交戦状態になると泥沼になってしまう事も多々ある。
    • 背信行為(婚姻関係を破棄したり、援軍要請を無視し続ける、共同作戦で落とした城を譲らない)を行うと、全国の大名から裏切りを警戒されるようになり、不利になる。
  • 大きな勢力と同盟する事で、交戦中の他勢力との「停戦」を仲介してもらう事が出来るようになった。「断絶」を解く数少ない手段であり、交戦中の相手の足を止めるには不可欠である。
  • 他家を「従属」させると信用が一定の数値以下にならなくなるので、好きなタイミングで援軍を出させる事が可能となる。
    • また、従属させた大名は人質として姫を差し出してくる。姫は婚姻させることで有力家臣を一門に加えることができるため、姫目的で従属させてしまうという手もある。
  • 他家との「信用」が20を超えると定期的に外交収入が得られるようになる為、収入源としても活用できる。
  • このように本作では外交に力が込められており、如何に他家を利用するかが攻略の鍵となる。

戦国伝

  • それまでのシリーズにおける歴史イベントを発展させたものであり、一定の条件を満たす事でいくつかの条件が提示され、達成する事で大掛かりな歴史イベントが発生する。
    • これにより、織田家の家中統一や川中島の戦いといった歴史上の出来事が再現され、史実に近いプレイをする事が可能。
      • 若干やらされ感等があるが、実際に行うかどうかは任意なので、起こしたくなければ無視する事も可能。
      • 達成する事で武将が技能を覚えたり、領土の変化や武将の死亡が発生したりする。
      • 発生したイベントはムービーとして図鑑に登録され、後にいつでも鑑賞することが可能。

武将

  • 武将は命令を実行することで経験を得、最終的には元の能力値+20まで能力値が成長する。CPUの武将はあまり成長しないので、少々能力が微妙な武将でも、使い込めば一線級で活躍する事が出来る。
  • 忠誠度の概念も変更され、「○○家は力をつけてきている」「主君と反りが合わない」「長年仕えてきた」などといった理由から増減し、武将毎に決められた「必要忠誠」を超えていれば満足、超えていなければ不満と感じるようになっている。
    • 敵武将を捕らえると「捕まったのは指揮が悪いせいだ」という理由で忠誠度が下がる為、何度も捕らえて解放する内に義理固い武将や大名の一門衆でも登用に応じるようになる。
    • 忠誠度の低い武将は能力値が下がったり、時折出奔する事がある。滅ぼした直後の大名家の武将は忠誠度が低く、力を出し惜しみされたりと扱い辛くなっている。
    • 不義理な「松永久秀」あたりは15といった高い数値が設定されており、色々と優遇しなければ使いこなす事が出来ない。
  • また、様々な技能も存在する。経験やイベントで取得する他、捕虜を処断する事で所持している技能を奪い、好きな家臣に伝授する事が可能。このように捕虜の処理の選択(登用、解放、処断)に関してはそれぞれメリットがある為、武将に応じた対処をする必要が出てきた。
  • その他の要素として、武将の名前は開始時に「通称」と「本名」から選ぶ事が可能。
    • 例えば通称では「真田幸村」だが、本名にすると「真田信繁」になる。シリーズ初の要素である。
      • 戦国伝のイベントには対応しておらず、本名にしても通称で呼ばれる事がある。

音楽

  • 本作のBGMは9作目の『将星録』から13作目の『天道』までの作曲を務めてきた山下康介氏ではなく、大塚正子氏が担当。
    シリーズの中では2度目の作曲者交代となり、BGMの雰囲気が変わっている*4
    • アップデートにより、ゲーム内BGMを歴代のシリーズのBGMと差し替える事が可能となっている。もっとも大塚氏の曲のクオリティも十分に高いレベルにある。

評価点

  • システムの一新によるマンネリ打破
    • システムが一新され、これまでの常識の多くが通用しなくなり、シリーズ経験者でも新鮮な気持ちでプレイする事が出来る。
    • 「人口」の着目はよく評価点として挙げられる。人口の多い京を目指す事が重要となり上洛の重みが増した他、シリーズにおいて長年言われてきた「端っこ勢力の有利問題」が解消されている。
  • 外交要素の強化
    • 今までのシリーズよりもどこと手を結ぶか、どことは戦うかを明確に決める事が重要となり、とことん他家を利用して有利な状況に持っていく快感がある。
  • 城の数が多い
    • 前作や前々作では中国地方が秘境と化すほどの過疎地だったが、本作では多数の城が登場するようになった。
      任意で支城も作れるので総数は300を超え、シリーズ最大の数になる。
      • 一つ一つの城は簡単に落ちるので、城の数の多さがテンポを阻害する事もない
      • 城を繋ぐ街道の数も豊富、現在にも残る地名がたくさんある。
  • 武将の顔CG
    • 三國志11』でも取り入れられていた加齢による顔CGの変化が一部の武将に取り入れられている*5
      • 出家する前の「武田晴信(武田信玄)」、GA○KT似の「長尾景虎(上杉謙信)」*6岡○准一似の「黒田官兵衛」*7等、これまでのシリーズでは描かれなかった有名武将の若い姿が登場することになった。
    • 新規に描き下ろされた武将CGも史実の鎧を装着している物が多くなり概ね好評。
      • 直江兼続はシリーズで初めて「愛」の字が入った兜をかぶったCGとなり、佐竹義重の特徴的な甲冑も再現されている。
      • 描き下ろされた武将は上半身含めての拡大CGが用意され、イベントで表示される。
    • また、すべての武将で顔CGの変遷が見る事が出来るようになった。『全国版』から本作に至るまでの顔CGの変化を見る事が可能。
      • パワーアップキットで追加されたのに未登場になっている武将といった間違いも散見されるが……。
  • シンプルで解り易くなったシステム
    • 箱庭要素や国人集と言ったこれまでの要素をメリットを解らせながら簡素に取り入れたり、大名の志向によって取るべき政策の方針が異なっていることもあってシンプルながらも幅広い内政が行えるようになった。
    • これまでマスクデータだった忠誠フラグが全て表記されるようになったので「なぜ忠義深いのか」、「なぜこちらを嫌うのか?」と言ったことが解るようになった。
      • 仕官勢力の大きさや年功により忠誠度が変化したり、屈服させた直後の敵将は中々心服しない等、それまでのシリーズでは見られなかった表現が加わった。
      • 今作では登用時に表示される武将は必ず配下にできるようになった(「表記される武将は当家に仕官を望んでいる」という設定)。
    • CPUが意外と賢く、特技も比較的有効に使ってくれるのでしっかりと戦力を整えて攻めれば会戦を使わなくても敵を撃破していける。
  • テンポがよい
    • 会戦を意図的に起こさなければ基本的には多方面の戦闘が一度に進み、サクサクと進行する。
      • 慣れてくると数時間~1日で惣無事令によるクリアも可能、この為に繰り返しプレイしやすく敷居が低い。
  • 委任要素が多い
    • 実行できるコマンドのほとんどを委任することが可能。重要な所だけプレイヤーが選択し、面倒な所はCPUに任せる事が可能。
  • 難易度は骨太
    • 外交の失敗により、複数の大名家を敵に回してしまった時などの領地の奪い合いは面白い。後半のシナリオで織田家を敵に回した時もかなりの難易度にはなる。
      • 特に人口の多い大大名を相手にする場合、兵力の回復速度が早いために部隊を壊滅させてもゾンビの如く湧いてくる絶望がある。

賛否両論

  • 「惣無事令」が投げやり
    • 勢力が大きくなると戦国伝が発生し、日本を半分ほど統一する*8と征夷大将軍に任命されて実行するとエンディングに出来る政策が追加されるというもので、演出も「全国の残存大名に合戦を中止する命令を出して平和になりました」と言う薄い内容で達成感が少ないと言われる。
      • 「実行までに時間がかかる」、又は「伊達政宗のように従わない勢力が現れる」といった要素を用意して欲しかったという声もある。
      • ただし、条件の仕様上この政策が選択できる頃にはあらかたの大勢力はほぼ駆逐しきっている事が大半であり、そのまま続けても消化試合や作業のように合戦を繰り返す展開になりがちなので妥当な仕様とも言える。
        また、条件が簡単そうに見えるものの普通に進めていくと地方を統一できる頃には大勢力と化した織田家が京を含めた近畿一帯を占拠している事が大半であり、大勢力と化した織田家と交戦しなければならないのでそれなりの歯ごたえはあったりする*9
        特に東北勢は織田家だけでなく北条家や徳川家といった関東・東海の強豪も突破しないといけないので更に難易度が上がる。そんな状態で「従わない勢力が現れて惣無事令ができませんでした」と言われても、プレイヤーへの嫌がらせにしかならないであろう。
  • 渋滞が多発する
    • 一度に城に攻撃できるのは兵力に関係なく同盟軍含めて味方3部隊・敵3部隊までと少ない*10。道路上での会戦も同様。また、多方面からくる部隊を一纏めにするといった事は出来ず、そして戦闘している部隊の脇を通り抜ける事もできないため、雑に指示をしていると戦場で渋滞が多発し、腰兵糧を浪費する事が多い。事細かに指示を与えて、少しでも大部隊を攻撃に参加させるようにする必要がある。そもそも例えば10部隊を投入すれば一列縦隊で行軍し、交戦するのは戦闘の数部隊だけで各個撃破の憂き目にあいかねない。
    • これは「一箇所に必要以上の大軍を投入しても兵站がズタボロになるだけ」「兵力の逐次投入は愚策も愚策」と言う意味で全く当たり前であり、リアルである。逆に実際の歴史で見られるように、大攻勢時には複数の経路から侵攻(そして必要なら決戦の地で再集結)するのが効率がよくなっている*11。となると道路の整備の重要性もより注目される事になるのである。
      • 迂回路があれば渋滞を回避して敵の背後に回り退路を断つまたは援軍を食い止めると言った事も可能。
    • だがSLG慣れしていない人にはさすがに難しすぎるのかもしれない。

問題点

アップデートにより改善済み

  • 以下の問題点はアップデートにより修正されたが、以前のシリーズでは出来ていた部分が出来ておらず、問題点が残ったままリリースされていた。
    • 他家に従属できない
      • 発売当初はプレイヤーから他家に従属する事が出来ず、弱小大名によるプレイの場合、労力の差により手数が制限される上に、国力や武将の質の差も如何ともし難く、どうあがいても詰みとして投げ出すプレイヤーが多かった*12
    • 支城しか無い勢力を選択できない
      • シナリオ1の有馬家など、本城を持たない勢力を選択できないことに対する不満も多かった。
    • 同盟の延長が出来ない
      • 同盟期間が切れてから再度結ぶまでの最短1ヶ月の間に、相手や自家の委任城が勝手に戦闘をしかける等の事故が多発した。
      • 基本的に戦いたくない相手と同盟している事が多いので、強制的に戦わざるをえない状況にされるとストレスが溜まる。
    • 交戦状態に入る際の警告がない。
      • 委任城が攻められた時など、手遅れなタイミングで報告が入り、守りきれない。
    • 人材の管理が面倒。どの城にどの武将がいるといった情報を知るのに城を選択して情報を見なければならない為、煩わしい。

本作における問題点

  • 今までのシリーズにあってしかるべき要素がない。以下の要素は戦国SLGとしても実装しない理由が見当たらず、手抜きに見えてしまう。
    • 謀略要素が存在せず、武将の寝返り、暗殺等が一切行われない。
      • 忠誠度の低下の弊害は能力の低下と出奔のみとなり、クリーンな戦国と言われる。謀略で名を馳せた毛利元就や宇喜多直家が涙目である。
    • 朝廷が存在しない。
      • 朝廷から官位をもらう事が出来ない、自家の武将や他家への影響力が重要になる本作において、なぜ採用されなかったのかが不思議である。
    • 軍団の要素も無くなり、ある程度「本拠」から離れた城は自動的に委任状態になる。
      • 厄介なのが委任状態になった城は指示しなければ勝手に他家の城を攻める。出陣する際は報告もなく、突然、予期せぬ大名家と、「断絶」する事故が多発する。
      • 委任城には、攻略の禁止、あるいは攻略する城をいくつか指示する事しか出来ず指示の自由度は非常に低い。史実における「信長の地方への多面作戦」はとても再現できない。
      • 本拠地を移動させることである程度このトラブルは回避できるものの、後半の領土が拡大し本拠地から離れた城が増える状況になるとどうしても避けられないものとなる。
  • 一部の特性に難あり
    • 特に槍玉に上がるのは前田慶次の「傾奇者」であり、進軍時にまれに大幅に能力が上がる代わりに一切の命令を無視して勝手に動くというもの。
      • 突然命令を無視して、大大名にケンカを売りに行くという恐ろしいものであり、多くのプレイヤーが驚愕した。
      • さらにはCPUの前田慶次がケンカを売ってくる事もあり意図せずに彼が所属する(本作最強の)織田家と「断絶」になるといった事も起こる。
      • 操作不能になった場合は兵糧の補給もせず、多方面にケンカを売りながら自分の部隊が壊滅するまで暴れまわる為、非常に使い勝手が悪い。
      • ちなみに「傾奇者」持ちが副将に含まれていても効果が発動するため、うっかり大名の部隊に入れてしまうと、大名が一切、操作できずに暴れまわるという事故も発生する。
      • 特性の説明文こそ「まれに命令を不可」ではあるが、進軍中は絶えず判定が行われるようで、まれによくある事ととして出陣させるとほぼ確実に命令無視状態になってしまう。
  • 全体的に地味
    • 領土が増えてくると内政は委任に任せて進む事が多くなり、戦闘自体も凸△型の部隊が地図上でぶつかり合うという物なので、地味な印象を受ける。
    • 城の内政に関しても、「石高」「商業」「兵舎」のいずれを上げるかを指示するだけであり、非常にシンプル。
    • 兵科適性が再び無くなり、騎馬隊や鉄砲隊等の表現が淡白になってしまった。
    • 施設によって城下のグラフィックが変化することをウリにしているが、最大までアップしなければ見えないので、基本的にはほとんど意味が無い。
    • 後半になると委任城が勝手に領地を増やしていくので、プレイヤーは見ているだけになりがち。
      • 反面戦闘で捕縛する敵武将の数が増え、その処遇も全て手動なので地味に面倒。
  • リアルとは言えない挙動
    • 「士気」の概念がない為、出陣した部隊は兵糧さえ尽きなければ延々と出陣し続ける事が出来る。
    • 出陣元以外の城に入城し辛い仕様も相まってか、一度出陣した部隊は一度に何十もの城を攻め落としつつ何年もの間、行軍する事がある。
      • その間に落とした城の捕虜も何年もの間、部隊に連れ回されていることとなり、不自然に感じる。ある程度士気の概念を存在させても良かったのかもしれない。
      • せっかくの「兵士の城への紐付け」も、城に入城しなければよいという結論に陥ってしまう。
      • 「領民兵」も、人口に対する兵の割合という程度の位置づけなので、農繁期でも動員数が減ったりはしない。
    • 攻城戦も、敵の耐久度以上の兵を城に付けて包囲するだけで一切の反撃もなくそのまま落城するので、非常に味気ない。場合によっては何十もの城を落としても兵力の損害は0だったりする事もある。城兵は何をしているのか。
    • 同盟国が自家に従属している他家を勝手に滅ぼす。
  • UIの問題
    • 街道を拡張する際に、全国に無数ある街道の一つを一回一回、命令しなければならず非常に面倒。
      • パワーアップキットではまとめて複数の街道を一度に拡張できるようになった。……が、この程度は無印の時点でやって欲しい所。
  • 会戦の完成度が低い
    • いつでもキャンセルが可能」という仕様が大幅に評価を落としている。
      • 敵が突撃してきたらキャンセル。開始直後に強力な戦技をぶっ放してキャンセル、といったやり逃げが何度でも行える為、プレイヤー公式チートと揶揄される。
      • 仕様上、一つの合戦でしか適用できずリアルタイムで他方の合戦も進行するので万能チートというわけではないが……
      • 単純に「前進」「後退」「攻撃」と行える事が少なく、それまでのシリーズの戦争と比べても完成度は高くない。
      • また、援軍が来る度に交戦している部隊が律儀に離れて仕切り直しをする為テンポが非常に悪い。
  • CPUの外交チート
    • こちらがせっせと信用を上げなければ行えない外交だが、CPUには信用度という概念が存在しないので、CPU同士ではいつでも行える。
      • 2家の争いの漁夫の利を狙おうと侵攻すると、互いに停戦しあってこちらに攻めてくる。プレイヤー側では絶対に行えないので、理不尽に感じる。
    • CPUからの同盟や援軍の申し出も信用を無視しての物となる(断ったら関係が「困惑」に悪化する)
  • 戦国伝
    • イベントは基本的に武将同士が喋り合うだけで進行するものとなっており、「川中島の戦い」といった合戦でも合戦シーンなどはない。
      • ムービーが入る場合もあるが、基本的に動かない。静止画に若干のエフェクトがかかっているだけの簡素なものとなっている。
      • 内容も、「桶狭間の戦い」で負傷した今川義元をわざわざ信長の前に引き立てるといった史実にそぐわないテキストもあり、評判は高くない。
      • 「○○隊を壊滅させる」といった条件が提示された場合、対象の部隊に触れるとイベントが発生して対象が即死するので、歯ごたえがなくやらされ感が強い。
    • また、戦国伝の難易度にも差があり、長尾(上杉)家の関東出兵は事前に対策を取らなければ甲相駿三国同盟に阻まれ、かなりの難易度になる。
      • 特に、「城の区画を〇〇以上にする」など一定の期限付きで条件を提示された場合、限りある資金・兵糧でやり繰りせねばならず、その他の内政・軍事行動が大きく制限されやすい。
  • 使い回しの顔CGが多い
    • 発売前の公式情報(Facebook等)によると武将の顔CGが変更されるという事だったが、実際は背景が変わっただけで大半の武将の顔CGが前作の使い回しというものであった。
    • マイナーな武将は11作目の『天下創世』から変わっておらず、そろそろ変化がほしい所である。
  • 認証が面倒(Win版パッケージ)
    • 本作はインストールするとディスクなしでも起動できるが、一週間に一度の割合で起動時に12桁ものシリアル番号を入力しなければならない。
      • 当然シリアル番号を無くしてしまえば起動すら出来ず、他のPCにインストールすることも出来ない。久しぶりにプレイしたい時などにはやる気を削ぐ仕様になっている。
      • パソコンのレストア等をしたくとも本作のせいで出来ない、といった弊害がある。
      • 一応、毎日認証しなければならなかった『三國志12(無印版)』に比べるとマシではある…というよりもあちらが問題過ぎる仕様なのだが。

総評

発売された当初はシリーズに新たな試みを行ったという点よりも、上記の問題点が目につき評価が低かった。
特に会戦の完成度の低さ、アップデートによって改善を受ける前の問題点が低評価を呼び、クソゲーの評価を受けることも多い。
外交や人口のやりくりを評価する点も見受けられるが、無印に手を出すのはおすすめできない。色々と要素が足らずにシリーズの中では薄味な印象を受ける。 本無印版はパワーアップキットの改善の多さもあっていつものコーエー商法による未完成な作品という立ち位置になる。
ただし、箱庭内政とコマンド内政、RTSと1月毎の評定(事実上1月毎の擬似ターン制)といった従来のシリーズの特徴を取り入れ破綻させずにシンプルに纏まっていてテンポも良いので、これまで信長の野望シリーズに手を出しづらかったプレイヤーには入門用としてオススメできる作品とも言える。


余談

  • コーエーテクモは2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」への技術提供と監修を行い、本作の「フル3D全国一枚マップ」が戦況説明のシーンで使用された。
  • 2021年4月に大手ニュースサイト『ねとらぼ調査隊』で行われた「信長の野望シリーズであなたが好きなタイトルは?」というアンケートにおいて本作が1位に選ばれた。ランキングはこちら。

信長の野望 創造 with パワーアップキット

【のぶながのやぼう そうぞう うぃず ぱわーあっぷきっと】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム


対応機種 Windows Vista/7/8/8.1
プレイステーション3
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Nintendo Switch
発売・開発元 コーエーテクモゲームス
発売日 【Win/PS3/PS4】2014年12月11日
【PSV】2015年5月28日
【Switch】2017年3月3日
定価 【Win】10,800円
【PS3/PS4/Switch】9,800円
【PSV】8,800円(全て税別)
判定 改善
良作
ポイント シリーズ最大の改善
Win版はSteam参戦
Switch版は追加要素あり

概要(PK)

新たな方向性を見出したものの、色々とボリュームが薄く、問題点も少なくなかった『創造』に大幅にメスを入れ、新たに発売されたシリーズ恒例のパワーアップキット。
当初はディレクターが「『創造2』として売ろうと思った」と発表するほど変更点が多く、これまでの信長の野望シリーズのパワーアップキットとは毛色が全く異なる作品になった。

変更点(PK)

認証方式の変更(Win版のみ)

  • パワーアップキットでは認証システムが変更され、Valveの「Steam」を用いたものに差し替えられた。これに伴い、Win版のwithPK版はSteamのオンラインストアから直接購入することが可能となった。
  • 『創造(以下無印)』では週に一度のペースでシリアル番号の入力を求められていたが、対してパワーアップキットをパッケージで購入した際にはインストール時にSteamに登録をしなければならない程度にまで手間が削減。ゲームディスクや面倒な入力無しで「Steam」から実行する事が可能となり、ユーザーへの負担は大幅に改善された。
  • 当然、アップデートは自動で行われるようになっている。
  • しかも本作はパワーアップキットの起動メニューから無印版を立ち上げることが出来るようになっている。シリアル番号を紛失したがPK版はちょっと…というユーザーへのフォローも行われることになった。

シナリオの追加

  • 新たに数本のシナリオが追加。
    • 無印では信長の「家督相続」から「夢幻の如く」(本能寺の変)までを扱っていたのに対し、「信長誕生」から「関ヶ原の戦い」まで扱われるようになった。
      • それに伴い、従来のシリーズでは登場していなかったマイナー武将(織田信広(信長の兄)や駒井高白斎(武田家の家老)など)が大量に追加された。
        シナリオの年代範囲は従来とそう変わらないが、登場武将数では『蒼天録』を抜き、シリーズ最大となっている。
    • 無印では年代的に登場していなかった一世代前の武将(織田信秀や長尾為景など)は特典武将扱いだったが、生存時のシナリオが追加された事で正式な登場武将に変更され、能力値が新たに見なおされた。
      それまでのシリーズの基準とは異なり、近年の考証が取り入れられている(例えば織田信秀は武勇一辺倒だった従来の作品とは異なり、政治手腕が認められて大幅に政治力が上昇したが、晩年の敗戦が響き武勇がだいぶん控えめになっている)。
    • 「信長誕生」のシナリオでは鉄砲が伝来しておらず使用できないのは従来通りだが、「鉄砲伝来」イベントが発生すると、種子島および紀州から時間をかけて少しずつ全国へ伝来するようになった。
      • そのため、イベント後即座に全国一律で扱えた従来作とは違い、鉄砲を扱える地域と扱えない地域が出てくる。シリーズにおいては初の試みとなる。
    • また、無印で存在した一部の武将のCGの変化にも対応しており、若年の毛利元就や、関ヶ原の戦いの石田三成や晩年の徳川家康のCGが追加された。
      • 家康に至っては幼少時、若年時、中年期、晩年期と実に4つものCGが用意されており(信長でも3つまで)、半ば家康の野望とも言える優遇ぶりである*13

演出の強化

  • 無印では前作(天道)の流用だった一部の武将(上杉景勝や福島正則など)に新たに専用のCGが追加された。
    従来のシリーズではパワーアップキットによって武将CGが変更される事はほとんどない*14ため、異例の処置とも言える。
    • 中でも陶晴賢は従来の威厳を感じる渋い顔立ちからシリーズの中でも異例な耽美系イケメンに変わっており一部で反響を呼んだ*15
  • また、北条家の専用BGMや、武将の専用ボイスも増加しており、サウンドの面でも強化が施されている。

戦国伝の強化

  • 新たに追加されたシナリオにも戦国伝は対応しており、それまでのシリーズでは取り扱われなかった戦(長尾家の三分一ヶ原の戦いや織田家の小豆坂の戦い)がイベントとして取り扱われるようになった。
    また、領土の発展や外交などにも対応し、より史実通りの展開をシミュレートできるようになっている。
  • 「関ヶ原の戦い」や「川中島の戦い」ではイベントの最中に会戦が発生するようになり、ひたすらイベントを見るだけだった無印からプレイヤーが介入できるように変更されている。

内政要素の強化

  • 領内には「資源」が追加され、「資源」を利用する事でより商業向けの土地に出来るなどの変化をもたらす事が出来るようになった。
  • また、城の「改修」要素が追加され、限られた用地を使って拠点の特性をカスタマイズできる。
    • 「櫓」を立てて包囲時に自動的で反撃するか、「曲輪」を改修して「人口」の増加を促すといった戦闘以外の要素にも個性が付けられるようになった。

謀略要素の復活

  • 不満を持つ他国の武将に対し「密談」を仕掛けることで「叛心」を溜め、「叛心」を使う事で「引抜」や「寝返」、「不戦」といった謀略を行う事が出来る。
    • 「不戦」は密約した武将に互いの部隊を攻撃しないようにするという従来のシリーズではない効果を持つ。関ヶ原における「宰相殿の空弁当」を謀略として再現したものとなっている。
    • 「密談」を駆使する事で関ヶ原さながらの展開を起こす事が可能。もちろん他家も自家の武将に対して密談を仕掛けるため、忠誠心の低い武将が思わぬ裏切りをする事も……

朝廷の復活と外交要素の強化

  • 新たに「朝廷」に対して外交工作が行えるようになった。大名同様に「信用」を溜める事で様々な恩恵がえられる。
    • 「官位」を得られるようになり、より高い官位を得る事で自家の武将や、他国からの信頼を得やすくなったり、
      他家に官位を与えるように推挙する事で信頼を得るといった事が可能。征夷大将軍となれば、官位を直接与えて信頼される事も出来る。
    • 「朝廷」を使う事で戦争中の他家と和解したり、他家同士の戦争を仲介して停戦させるといった効果も持ち、利用する事で戦略の幅はより広がった。
  • 外交の追加要素として「連合」を組むことが可能になった。今までのシリーズでは自家に対して連合を組まれる事が多かったが、本作では自分から他家と協力して強大な勢力と争う事が出来るようになった。

会戦の大幅変更

  • 無印から「会戦」が新たに作りなおされた。パワーアップキットによって戦争のシステムが丸々作り直される事は従来のシリーズではなかった為、最も大きな変更点といえる。
    • 内容としては『天下創世』の戦争システムに近いものとなり、「会戦」開始時に周囲の部隊を含んだ戦場マップに切り替わる。
      部隊はリアルタイムにあらゆる方向に移動可能となり、敵を引き寄せる囮といった戦法を取る事も可能。ただし、敵の位置は部隊の視界に入るまで、あやふやにしかわからないので索敵要素が加わった。
  • 会戦中の場所にあらかじめ、部隊を進軍させる事で援軍を参加させる事も可能。援軍は随時戦場に加わる為、無印であった不自然な仕切り直しは無くなった。
  • 部隊は画面縮小時は軍記物などでよくある凸印で表示され、拡大する事で兵の一人一人までをも詳細に表示されるようになる。
  • 拠点を含んだ会戦で勝利すると、拠点の防御を大幅に減らす事が出来るようになる。
    • 戦闘する部隊数が多い場合は「大会戦」となる。総大将を討つことで一気に形成をひっくり返せるので奇襲の重要性が増した。
  • 無印で問題となった「キャンセルによるやり逃げ」は会戦の状態が保存されるようになったので出来なくなった。
  • やる意義が薄かった無印に比べ、短期で多くの損害を与えられる為、ここぞという場面で会戦を行う意義が強まったといえる。

姫武将の追加

  • 姫武将モードが追加され、「お市」や「仙桃院」といった姫を武将として使用する事が出来るようになった。無印に比べ、顔CGが新たに書きなおされた姫も多数。
    • ただ、女性武将専用の特性がバランスブレイカー*16な上、全体的に能力値が過大評価気味になっており、男武将どもが涙目なんて事も…*17
    • 姫武将モードにより、シリーズでは初となる「姫が武将として登場しつつ婚姻する事が可能」となった。
      • 従来の作品では一貫して姫武将にした姫は婚姻できなくなる為、優秀な一門衆を迎えるか、外交の手段にするかの大きな決断だったが、その制限が撤廃された形となる。また、姫武将を他家に嫁がせると嫁ぎ先に仕官するようになった。
      • この仕様により、特に弱小大名プレイの場合は他家から優秀な姫を迎え入れる事によって優秀な武将を増やせるため、難易度を緩和する事が可能となった。
  • ゲームバランスや雰囲気をかなり変化させるものとなる為、気に入らなければ姫武将モードをOFFにする事も可能。

軍団制の復活

  • 無印では本拠から離れた城は自動で委任となり、大雑把な指示しか出せなかったが、本作では『天翔記』に近い軍団のシステムが採用され、配下を軍団長に任命する事で軍団を結成し、支配する城や武将及び、軍団の方針を細かく設定できるようになった。
    • 軍団長により、軍団に所属する武将の能力や忠誠が上がるなど、利点も多い。
    • 軍団長の意志で他家の城の攻略や内政に関して進言する事もあり、より自家を支えてくれる感触が強くなった。

パラメーターの見直し

  • 問題の多かった特性「傾奇者*18」や一部のチート戦法「八咫烏」「詭計百出」*19等の効果が見直され、全体的に変更が加わった。
    • 「傾奇者」は命令無視を行うデメリットが「会戦中のみ」になった上に大将の時に攻撃力と防御力の上昇という特性が加わった為に使い勝手が大きく向上し、「八咫烏」「詭計百出」は行動不能効果が消えて自身の強化および敵の弱体化にとどまった。
      • 武将の増加に伴い、専用の特性及び戦法が大量に追加された。
  • 武将の成長傾向も成長タイプが定められ、特殊な武将以外は「武勇型」、「知略型」といった一定のタイプの特性の習得をするように変更されている。

新規勢力の登場

  • シリーズで初めて登録武将だけを据えた新規勢力が作成可能となった。ただし支城にのみ配置でき、本城には配置できない。
  • 序盤の国力が少なく既存の勢力よりも難易度は上がるが、上手くいけば文字通り自分だけの歴史を「創造」することができる。
    • 不安なら周辺の武将の能力を下げるのも手だろう。

その他の変更点

  • 当主が隠居・死亡したりシナリオ選択時に大名変更をしたりして当主が変わった場合、家名がその武将の苗字に変わるようになった。
    • 例えば伊達家で当主の伊達政宗から家臣の片倉小十郎に当主を後継した場合、家名が「片倉家」となる。

Switch版での追加要素

  • 新シナリオ「井伊に咲く花」が新たに収録
    • 発売当時に大河ドラマなどで話題になっていた、「井伊直虎」にスポットを当てたシナリオが追加された。シナリオ中では井伊直虎を大名として使える。
    • また、それと併せて井伊家のイベントや戦国伝も新たに追加されている。
  • モーションIRカメラを活用した、新武将作成機能が搭載
    • 対象物の形状や質感により、様々な種類の武将が作成できる。
    • ちなみにこの機能は後にコーエーテクモが出したSwitch版『三國志13 with パワーアップキット』などにも搭載されている。
  • タッチスクリーンを活かした直感操作
    • テーブルモードと携帯モードでのみ可能。これにより操作性も上がっている。
  • 他機種版で販売されていた有料DLCの多くが最初から収録されている。

評価点(PK)

  • パワーアップキットにおける変更点の多くがそのまま評価点に繋がる。
    無印で評判の悪かった問題点に徹底的にメスを入れ、追加・復活してほしかった要素を数多く取り入れており、従来のパワーアップキットとは一線を画するほどの改良が施されている。
  • アップデートによる機能の強化も多い。バグの修正以外にも歴史イベントの閲覧機能や顔グラフィックの登録機能の他、尼子家の戦国伝の追加といった機能の追加は無料で行われた。

問題点(PK)

  • セーブデータのコンバートは不可能
    • 変更点があまりにも多いせいか、無印のセーブデータは一切使用できない。それまでに達成した実績*20の引き継ぎにとどまっている。
  • 「謀略」の使い勝手が微妙
    • 「叛心」を煽らなければ実行できないが、叛心を溜めている間に家宝等で忠誠を上げられたり、同様に狙っている他家に引き抜かれたりして無駄になる事が多々ある。
    • そのくせ密談は月600、引抜は支度金2,000と、とにかく費用が嵩むため、引抜に頼りたい弱小国ではかえって使い辛い。
    • そして有力武将は基本的に忠誠が高すぎて密談の対象に選ぶことすらできない。
  • 「戦国伝」の仕様
    • 「病死イベント」が用意されている武将は発生条件(特定の戦国伝の達成、武将の存在の有無)が整うと実際の没年に関係なく死んでしまう。
      • よくある事として「戦国伝」をこなすと対象武将に新たな技能が加えられるなどの効果が得られるが、これによってフラグが整った事により死んでしまうので初見殺しになっている。
        例として北条氏綱の場合、シナリオ開始時に戦国伝「鶴岡八幡宮の再建」が発生するのだが、達成するまでに他の戦国伝を進めていると病死イベントで勝手に氏綱が死んでしまい、失敗になってしまう。
      • 無印でも戦国伝をこなすことで死んでしまう武将はいたが、達成したことによって死亡することが条件に書かれていたので回避できた。
      • その為、戦国伝を有効にしているとこれらの武将は実際の没年よりも遥かに早い時期に退場する事になる。いずれも能力が高い武将ばかりなのでプレイヤーが使用していた場合はかなりの痛手になる。
    • 自家が敗北するイベントだけは採用されていない事が多い。武田家で言えば「上田原の戦い*21」が存在しない為、その時期を境にそれまでイベントに頻繁に登場していた板垣信方と甘利虎泰が一切イベントに絡まなくなるといった不自然な点もみられる。
  • 士気の概念がないので、何年も部隊が出陣しっぱなしといった無印の問題点は一部残っている。

総評(PK)

シリーズ30周年に間に合わせるために様々な要素が未完成の状態で発売された感が否めなかった『創造』に徹底的にメスが入ったことで、無印の評価点はそのままに問題点の多くが解消されており、ようやく従来のシリーズに近い完成度を取り戻すことが出来たといえる。
前作の『天道』は前々作の『革新』のシステムから大きく変わらなかったので、ようやく8年ぶりに新しい『信長の野望』がプレイできるようになったということになる。

シナリオの強化や武将の追加だけではなく、ゲーム性が大きく変化しうるため、近年の同シリーズにありがちだった蛇足的な追加、変更点は実質殆ど無い。
尤もユーザーの声を聞いた上で1年後に完成品を出すというのはいささか問題ではあるのだが、いずれにせよ『信長の野望 創造』をプレイするのならば『パワーアップキット』の導入・もしくは「with パワーアップキット」の選択を前提におすすめしたい。これ次第で作品の評価が大きく変わる事になるはずだ。

余談(PK)

  • 2017年3月3日に、Switch移植版が同ハードのロンチタイトルとして発売。HD振動などのハード独自の仕様を取り入れた内容に仕上がっている。
  • 次回作の『信長の野望 創造 戦国立志伝』が本作と比べて一長一短、さらにその次の最新作である『大志』は「with パワーアップキット」を含め評判が芳しく無いことも影響し、本作の中古価格が軒並み高騰することとなった。特にスイッチ版はプレミア化するほどである。
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最終更新:2023年11月14日 15:00

*1 信長のグラフィックが威厳に溢れたものである他、セリフがやけに尊大な為、主人公というよりはラスボスっぽく見える。

*2 PKでは本城が無くても領内総人口が1万人以上いれば実行可能になった。

*3 各城ごとに設定されている数値で、高いほど人口や領民兵が増え、兵の回復速度が上がる。

*4 大塚氏は『三國志12』のBGMも作曲しており、菅野よう子氏と並んで『信長の野望』と『三國志』の両作品のBGMを作曲した事になる。

*5 前作『天道』でも織田信長にのみ、若い頃のうつけ時のグラフィックが用意されていた。

*6 大河ドラマ『風林火山』で同氏が長尾景虎を演じていた。

*7 男性アイドルグループ「V6」のメンバーで、大河ドラマ『軍師官兵衛』で同氏が主演で黒田官兵衛を演じていた。なお前述の長尾景虎の顔グラ同様、発売時期の大河ドラマ的な要素を取り込むのは近頃のお約束といったところか。

*8 厳密には京(二条城)の支配と最大勢力である事も条件に加わる。

*9 シナリオ1の今川家の様に織田家と隣接し大勢力を要する大名でもない限り織田家が勢力拡大する前に潰す事は(距離や戦力の関係で)かなり難しい

*10 諸勢力の参戦は3部隊枠とは別建てで残存兵力の多い順に1枠

*11 近世については日露戦争、独ソ戦などなど。

*12 シリーズ恒例の弱小大名である蝦夷の蠣崎家は、僻地故にまったく逃げ道がない。

*13 もっとも、戦国時代の三英傑の一人なのに信長や秀吉の様にメインとして登場するシリーズ作品が無かったのでこれくらいは許されると思われる。

*14 天道の今川義元ぐらい

*15 陶晴賢は美男であると伝わっている為、美形化はあながち間違ってもいない。

*16 民忠誠アップや開発促進、男性武将からの被害無効化など。

*17 もっとも、これまでもシリーズでも史実の嫡男より父の素養を受け継いだ架空の姫武将が度々登場していたので今更であるが。

*18 自身を強化する代わりに操作が一切不能になる。

*19 いずれも敵を行動不能にした上で自身を強化したり敵を弱体化させたりする。発動すると一方的に敵を屠る強すぎる戦法だった。

*20 ゲーム内で集めた武将、実行した政策などの情報

*21 武田信玄の最大の敗北と言われる戦。北信濃の戦国武将村上義清によって板垣、甘利といった重臣を失った。村上義清はこの後真田幸隆の調略で衰退しており、真田家の台頭なども含めて武田家に無くてはならないイベントである。