注意:このページでは『俺に働けって言われても』と、そのリメイク『俺に働けって言われても乙』(共に良作)を併せて紹介する。



俺に働けって言われても

【おれにはたらけっていわれても】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル(PlayStation Store)
発売・開発元 イースマイル
発売日 2012年4月24日
定価 1,028円(税込)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント 値段以上のボリューム
やり応えのある難易度

概要

イースマイル開発・販売のダウンロード専売ソフト。
ハック&スラッシュ要素の強いRPGで、戦闘・探索がオートで進むのが特徴。
両親が亡くなり働かざるを得なくなった引きこもり青年が、外に出ずに生活するため大家の提案したシステムでお金を稼ぐというストーリー。

ゲームシステム

  • ゲームの流れ
    • 毎月、月末に来る家賃の支払いを乗り切るのがゲームの目的。家賃を支払えないとゲームオーバー…つまり外に出て働くことになる。
    • お金を稼ぐためには働かなければならない。しかし外には出たくない。そこで大家の経営する宿屋に来る冒険者たちを雇い、自分の代わりに働いてもらう。
    • 具体的には雇った冒険者をダンジョンに派遣、集めてきてもらった植物・鉱石などの素材やモンスターのドロップ品を売って利益を出す。
    • 最初は敵が弱いダンジョンにしか派遣できず雇える冒険者の数も少ないが、余ったお金で村を発展させれば新しいダンジョンへの道が開け、雇える人数も増える。稼げる額もその分アップ。
    • このお金稼ぎ→戦力増強・探索範囲拡大→お金稼ぎ→…のサイクルを繰り返すのが基本的な流れになる。
  • 冒険者
    • 主人公の代わりにダンジョンへ行き、戦ってくれる。
    • 雇用費を払うことで仲間にでき、以後も給料(家賃に上乗せ)さえ払っていれば継続して働いてくれる。
    • 特徴的なのがレベルに応じて給料も上がる点。雇ってからしばらくすると「給料を上げてくれ」とメールで頼んでくる。
      • メールを無視することもできるが、その場合翌月の初めに主人公の元から去ってしまう(ロスト)。
    • 育てれば育てるほどダンジョン攻略は楽になるが、その分家賃の支払も大変になる…という仕組み。

評価点

  • 見た目に反して難易度高め。バランス調整もしっかりされており、歯ごたえのあるプレイを楽しめる。
    • 全体的に敵が強め。同レベルだと全滅するか、大幅に削られてしまい探索終了までもたなくなる。
      • 状態異常が鬼畜で、必ず通る位置に毒の罠が配置されていたり、雑魚敵が即死攻撃を連発してきたりなど容赦がない。
      • ただ理不尽という訳ではなく、装備やスキルで対策したり、十分にレベルを上げてから挑めば突破できるようになっている。
    • また借金(家賃滞納)がある状態でゲームが始まるため、序盤から効率的に稼いでいかないとすぐにゲームオーバーになる。
      • 最初の数ヶ月間は足りなくても見逃してもらえる(その分借金)が、それでも厳しい。
      • 無論こちらも調整が雑な訳ではなく、システムさえ理解していれば最初の月に借金を全部返すこともできる*1
      • 1パーティには5人まで組み込めるが、借金の概念から必ずしも制限いっぱいまで入れることが正解とは限らない。あえて少人数で易しいダンジョンに向かわせるなど、編成にも駆け引きがある。
      • ある程度ゲームが進むと稼ぎが安定するようになり、キャラクター育成や下記やり込みなど次の目標が見えてくる。
  • ダンジョン制覇、冒険者の育成、アイテム収集などやり込み要素が豊富。嵌れば何時間でも遊べる。
    • PSVITAやPS3のトロフィーに該当する「大家のチェックリスト」なるものがあり、やり込みの目安となる。
  • 自由度も高めで、自分の好きな職を使ってプレイできる。前衛+回復役の王道パーティで行っても、全員盗賊という趣味パーティで行ってもよい。
  • キャラクターデザインは男女共に非常に可愛らしい。なお担当者はイラストレーターのなぐも氏。

賛否両論点

  • やり込みが充実している反面、イベントの量はかなり少なめ。必要以上の育成やアイテム収集をしないプレイヤーは途中で飽きてしまう可能性が高い。
    • 会話できる相手も大家だけで、冒険者とはメールでちょっとしたやり取りがあるのみ(それも大半が給料の話)。
    • その会話も最初の一年分しか用意されておらず、二年目からは汎用台詞が淡々と表示されるのみ。

問題点

  • 派遣先を記憶できない、開発の手順が長いなど、ユーザーインターフェースが不便でストレスを感じやすい。
    • 派遣先は厳密には記憶されるが、パーティ編成のたびに全てリセットされるためほとんど意味がない。メンバーを1人追加するたびに、全パーティの派遣先を指定し直す必要がある。
    • 開発手順は「素材をダンジョンから入手→売る(売った分だけストック)→ストックを利用して開発→冒険者に買わせる」。しかもストックは武器、防具、道具で別々なので同じことを3回繰り返すことになる。
  • 図鑑が存在せず、アイテムの収集状況や敵の耐性・弱点などを確認できない。この影響で属性付きの武器・スキルが使いづらくなっている。
  • ユニークキャラ(固有の名前・グラフィックを持ったキャラ)の離脱イベントが理不尽。
    • 基本的に解雇するか給料アップのメールを無視しなければ冒険者は離脱しない。だがユニークキャラのみ例外で、条件を満たすと離脱してしまう。
    • しかもこの条件が「特定のユニークキャラ同士でパーティを組む」「一人で行動させる」と緩め。何も考えずにプレイするといつの間にか条件を満たしていた、ということになりがち。
    • 警告の類が一切ないのも厄介で、何の前触れもなくお別れのメールが来る。丹精込めて鍛え上げたキャラがロストしてしまったときのショックは大きい。

総評

冒険者を雇いダンジョンに派遣することでお金を稼ぐ経営要素と、冒険者育成・アイテム収集のハック&スラッシュ要素を上手くまとめた良作。
眺めるだけのゲーム性・希薄なシナリオなど人を選ぶ要素もあるが、値段を考えれば十分な出来と言える。
やり応えのあるRPGを求めている人には是非おすすめしたいゲームである。


その後の展開

  • 後に、UIやシナリオ面の問題が改善された『俺に働けって言われても乙』も発売。詳細は下記。

俺に働けって言われても乙

【おれにはたらけっていわれてもおつ】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル(PlayStation Store)
発売・開発元 イースマイル
発売日 2013年4月24日
定価 1,470円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作

概要(乙)

『俺に働けって言われても』のリメイク。
システムやゲーム性に大きな変化はないが、大家がボイス付きなど多数の追加要素があり、前作とは別物と言える内容になっている。


評価点(乙)

  • イベントの増量
    • 家賃支払時の大家との会話が二年分になり、それ以外でもイベントが発生するシーンが増えた(ユニークキャラについて話す、クリスマスに八つ当たりなど)。イベント回収目的のプレイでもそれなりに楽しめるように。声優の演技も可愛いと好評。
    • ユニークキャラもただの名前付きだった前作から一転、大家に次ぐメインキャラという立ち位置に。メールでのやり取りも大幅に増え、より愛着が持てるようになった。離脱イベントも一部除き廃止されており、安心してパーティに組み込める。
      • 設定も大きく掘り下げられており、ユニークキャラごとに独自のストーリーが用意されている。彼らの行く末を見届けるのも本作の目的と言える。
  • 増した戦略性
    • 職にポテンシャルの概念が追加。「高ポテンシャルは通常よりステータスが高い」「低ポテンシャルはステータスが低い代わりにレベル上限が高く専用スキルを覚える」という違いがある。
    • 敵のステータス・スキルの凶悪化。「物理ダメージを10割カット」「毎ターン9999回復」など初見殺しとも言える敵が至るところに配置されており、前作以上に歯ごたえのあるプレイを楽しめる。
    • 図鑑実装により敵のスキル・耐性・弱点を確認できる、敵のHPを視認できるなど前作よりも戦略を立てやすくなっている。
  • UIの改善
    • 「ストックは武器・防具・道具屋で共有」「派遣先の記憶」「未返信のメールがあると月末に警告してくれる」など。前作に比べるとかなり快適になっている。

賛否両論点(乙)

  • 終盤の敵ステータスインフレ
    • 終盤の敵の攻撃力・耐久力が極めて高い。最終ダンジョンでは、ほとんどのプレイヤーがパーティ再編を余儀なくされる。
    • 対策として有効とされているのがクリティカル特化構成*2なのだが、向いている職とそうでない職がありそれまでのパーティ構成によっては一からの育て直しを要求される。
  • アイテムコンプリートの難易度
    • 大家のチェックリストに関わる要素なのだが、その数なんと2000種類以上。
    • ダンジョン制覇までに集まるのはせいぜい200~300種類。残りは図鑑と開発画面を見比べながらチマチマ埋めていくことになる。
    • クリアに必須ではないので無視すれば済む話なのだが、拘るプレイヤーにとっては悪夢のような話である。

問題点(乙)

  • 最終ダンジョンの出現条件
    • やり込みの終着点に該当するダンジョンが用意されているが、その出現条件が全ユニークキャラのイベント回収。つまり1人でもイベントを完遂できなかったり解雇してしまうと、そのダンジョンには挑戦できなくなる。
    • 引き継ぎがあるので一応取り返しは付くのだが、この仕様に泣かされたプレイヤーは多い。

総評(乙)

前作の不満点を解消しつつ、踏み込んだ改良を施した良リメイク。
薄かったシナリオ面も大幅に強化され、ライト層にも安心して勧められる作品となった。


その後の展開(乙)

  • 2014年3月に、PSV向けに最適化されたHD版『俺に働けって言われても乙 HD』が配信された。
    • 画質の向上、汎用クラスの画像追加、AR機能追加といった違いがある。それ以外のシステムはPSP版と同一。
  • iOSへの移植版『俺に働けって言われても乙携』が2015年5月、同タイトルのAndroid版も翌月2015年6月に配信された。
    • DLC全部入りで600円と大変お得。ただし大家さんのボイスは実装されていない。
  • 2016年3月に続編『俺に働けって言われても酉』が配信された。

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最終更新:2023年01月15日 23:25
添付ファイル

*1 専用の台詞も用意されている。

*2 クリティカルダメージアップ+クリティカル率アップの組み合わせ。極めて強力。