ストライダー飛竜 (2014)

【すとらいだーひりゅう】

ジャンル ハイスピード探索アクション
対応機種 プレイステーション3
プレイステーション4(PlayStation Store)
Xbox360、XboxOne(Xbox LIVE ARCADE)
Windows VistaSP2/7/8 64Bit(Steam)
メディア 【PS3】BD-ROM/ダウンロードソフト
【PS4/360/One/Win】ダウンロード専売ソフト
発売元 カプコン
開発元 Double Helix Games
カプコン
発売日 【PS3/PS4】2014年2月22日
【360】2014年2月26日
【One/Win】2014年9月4日
定価 【PS3】3,800円
【PS4/360】1,905円
【One】1,900円
【Win】1,852円(全て税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 シリーズファンから不評
ゲームバランスが不安定
ポイント 探索&弾幕ゲー化
全体的に『らしくない』内容
日本語ボイス無し
ストライダー飛竜シリーズ
ストライダー飛竜 / ストライダー飛竜2 / ストライダー飛竜 (2014)


概要

12の設定を再構築(リビルド)して現代に送り出された『“新生”ストライダー飛竜』。10年間隔で展開されるのは何の因果か?
過去作と違って今作は「ハイスピード探索アクション」と銘打たれており、そのジャンル名が示す通りに様々なアイテムを探索して自機をアップグレードによってパワーアップさせていく。
開発は『SILENT HILL:HOMECOMING』や『Killer Instinct(2013):Season 1』、『FRONT MISSION EVOLVED』を手がけたアメリカのDouble Helix Games*1とカプコンの日米共同開発となっている。

特徴

  • 美麗なグラフィック、爽快でダイナミックなアクション、独特の世界観とキャラクターデザインは健在。
  • 収集要素が非常に多く、全要素を開放しようとすると中々歯ごたえのあるボリュームとなっている。
    • アップグレードはそれぞれ、ライフ(体力上限増加)、エネルギー(後述するクナイやオプションなどの一部の技に使用するゲージの増加)、エネルギーチャージ(後述するチャージアタックのタメ時間の削減)、クナイ射程(飛距離が伸びる)、クナイ投射本数(クナイの投げる数が増加)などがある。
    • アップグレードで大量に追加される新アクションが目白押し。サイファーには「属性」が追加された。その他、1から復活した強力な「オプション」、敵を宙に打ち上げて無防備にする「特殊斬り」、サイファーの攻撃力を高めた「チャージアタック」、スライディングに攻撃判定を付属した「アサルトファング」、空中から直下軌道で急降下突きを繰り出す「ダウンストライク」、かゆい所に手が届く万能拡散飛び道具「クナイ」、地上空中の方向を問わずに一定距離を高速で突進する空中ダッシュ「プラズマカタパルト」など。
    • サイファーの属性は夫々、敵の銃弾を反射して弾き返す『リフレクトサイファー』、基本の攻撃力が高い上に敵を燃焼させて一定時間断続的な追加ダメージを与える『バーストサイファー』、基本攻撃力は最低だが敵を凍結させて動きを封じ、一部の凍結させた敵を足場としても利用出来る『コールドサイファー』、刃から一定距離を循環して手元に戻ってくるブーメラン型の飛び道具を放ち、遠距離から敵を仕留める事も可能な『マグネティックサイファー』の4種類が存在。
    • マグネティックサイファーの飛び道具は最大2連射までとなり、2つの飛び道具が画面内に存在している間はサイファーによる攻撃判定が無くなるという仕様。今までのシリーズの飛竜には無かった完全に遠距離ベースの飛び道具となる攻撃で、本作を特徴付ける面白い性能となっている。
  • 世界観に関しては、様々な国を駆け巡っていた過去作と異なりあくまでカザフシティ&その周辺一辺倒。歴史地区、地下世界、プリズン、カーボンチャージエリア、地下寺院、研究施設、カザフシティ上空、冥王の塔といったステージ構成の全てが『新生ストライダー飛竜内のカザフという国』に収まっている。
  • ステージ構成は2寄りで、1の様な目まぐるしい足場の変化や高低差は控えめ。そこにアップグレードや収集要素の探索が加わる事で縦横無尽な移動を展開出来、それらがステージの突破口となっていく。「行動」を飽きさせない趣向は凝っているが、ステージそのものは割と単調で目を引く要素は少ない。
  • アーケード展開の無い家庭用オンリーでのリビルドという点に伴い、残機やスコアの概念は無くなった。加えて、家庭用ならではのサバイバルモード、ファストランナー(タイムアタックモード)といった専用モードも搭載されている。
    • ファストランナーは最初から選べず、ステージの随所に設置されている収集要素の『POWアイテム』を入手する事でそれぞれのファストランナーステージが解禁される仕様。

評価点

  • ボス戦は概ね高評価。各ボスの攻撃のバラエティが多彩でアクションゲームの理に適っており、ある程度のパターンも多くのボス戦で有効なので、意図的な縛りプレイ等で程良い難易度を楽しむ事が出来る。ソロ、トルネード、西王母、ジュロングなどは近年のアクションゲームのボスの中でもかなり多くの攻撃パターンがあり、こちらの現状アップグレードと絶妙に噛み合った強さで何度戦っても飽きが来ない良質なボスである。

賛否両論点

  • キャラクターデザインは「過去作との変更点が世界観と比べてそれらしくない」という意味では人を選ぶかも知れない。
    • やたらとメカニカルなデザインが目立つ上、飛竜が原作漫画やMVCシリーズでトレードマークとして着用していたマフラーは今作では『プラズマ粒子をそれらしく見せている』という設定。
    • 東風の陰陽魚太極図をお団子ヘアで囲んだ髪型や西王母、ジュロングの全体デザインなど、1では時代が時代故に凝ったデザインでなくともキャラ立ちしていたものが、ともすれば最初にデザインありきで設定は二の次…という風な見方も取れてしまう。
      • 設定そのものが未来世界なのでメカニカルデザインの比率が高いのは問題ではないが、生身のキャラはあくまで有機質なシンプルなデザインなのが飛竜シリーズの特色でもあったために、コンセプトアートで各キャラの設定画を見たプレイヤーにとって最初の違和感は物凄いものと思われる。

問題点

  • 敵の弾幕が非常にストレスが溜まる。制作側も避けるよりもゴリ押しを推奨している…と言うよりも調整放棄したとさえ見える不条理な銃弾の嵐。
    • 終盤になると「動きを止める冷凍弾の5WAYホーミング」+「連続被弾で体力5割が一瞬で奪われるレーザーマシンガン」の連携が頻繁に現れる。某スレでは「殺意が湧く」とまで書かれる極悪コンボである。
    • それ以外でも、体力の減り自体はそこまで多くはないものの序盤から弾幕の比率は非常に多く、ステージのいたる所に回復用のライフポッドが設置されているのがゴリ押しに拍車を掛ける始末。
      • 他のサイトでのレビューでも、マイナス点の大多数を占めるのがこの弾幕の仕様である。
  • 敵の弾は、被弾した際に仰け反りを伴わないものと、空中で被弾した際のみ仰け反って問答無用で垂直落下してダウンするものとに分かれている。前者の被弾の仕様によりプレイヤーがこのゲームに対して「被弾前提のゴリ押しを推奨するもの」と印象付けておいて、序盤も過ぎた頃に唐突に後者の仕様の弾が登場し、以降は両者が複合した敵の攻撃配置となる。このためジャンプをするだけでも敵配置によって感覚の切り替えが難しく、適切な行動を把握するまでの敷居が高い。場所によっては縦に非常に長い空間を空中復帰出来ずに地面まで落とされるので、単純なストレスが大きい。
  • ラスボスを務めるグランドマスター、及び第二形態の冥王プライムははっきり言ってただの作業プレイ。
    • 特に冥王プライムはラスボスとしての難易度が「地形効果による操作性の悪さから来る回避行動に対しての混乱」・「カメラワークの悪さ」が大部分を占めており、攻撃パターンは非常に少なく火力も控えめ。
    • そもそも、周囲の設けられた小型グラビトロンが(地形効果による操作性の悪さがあるにしても)重力効果で画面外への落下を防ぐ救済措置になっている上、接触するとプラズマカタパルトで敵の食らい判定の間近へと接近出来るカタパルトリングがある時点で『これを使って余を倒してね!』と言っている様なものである。ラスボスがこれでは拍子抜けにも程がある。デザインのインパクトはあるだけに尚更勿体無い所。ボス戦ではあまり出番の無いリフレクトサイファー&カタパルトが最大限生きるという利点はあるのだが…。
    • バラエティ豊かとは言え、西王母の紫&赤弾の弾幕やメカポンのジャンプ上昇時の常時攻撃判定など、避けるのが非常に厳しかったり一見して攻撃に見えない動作など、チラホラと『萎える』攻撃があるのは残念な所。特にハードモードでのこの2名?は相当な鬼門。
    • 西王母の弾幕はオプションCで速攻沈められるので対策はあるにしても、画面中央から広がる向かい風によって自機の動きが制限される中で攻撃方法そのものへの対策(弾幕に被弾しないパターン)が全く構築出来ない、リフレクトで数回跳ね返す事で攻撃を止める事が出来る赤弾を跳ね返すのがどうやっても無理なパターンがある(=画面中央からの向かい風によって回避がほぼ不可能な紫弾にゆっくりと追い詰められ、何も対策が取れないまま大ダメージを食らうしかない)という、正攻法での攻略を真っ向から否定したゲームバランスとしてあってはならないレベル。
    • メカポンの場合は先のジャンプ上昇時の見えるはずの無い攻撃判定に加え、『垂直ジャンプ→斜め下にロケットパンチを出して急降下プレス×3』の攻撃を画面端で食らった場合は、自機の吹き飛び方向と敵側の攻撃判定の大きさ故に次の同技を回避するのが非常に難しく、最悪の場合(それでも頻繁にある)は立て続けに4割ダメージ×3という地獄が待っている。ボスからの一定の理不尽な攻撃による瞬殺ぶりは、かのドM育成ゲーとして名高い『GOD HAND』並である。
  • 随所で導入されるボスの顔アイコン付きの字幕演出が画面を隠してしまうせいで、敵の銃弾やレーザーが把握出来ずにいきなり食らってしまうという、ゲームにおける演出として導入しているのにゲームバランスを壊しているという本末転倒な自体となっている。
    • 困ったことに、多くのボス戦でも当てはまる仕様。せめて上下の黒画面を活用すべきである。
  • 「テストプログラム」の仕様が酷い。掻い摘んで言えばただの強制戦闘エリアだが、特定のエリアに行くためには必ずこのテストプログラムを経由しなくてはならない。
    • それだけでもかなり面倒な作業プレイなのだが、経由して進んだ先のエリアから「強制的にテストプログラムの少し前のエリアに戻るポイント」が存在する。
      • このポイントは、触れてしまえば勝手に戻されるためにアップグレード探索中には非常に厄介で、再び来ようとすれば当然ながらテストプログラムを経由しなければならない。前述の仕様だけでも非常に面倒にも拘わらず、この組み合わせはひどすぎる。何故ポイント同士を行き来出来る仕様にしなかったのか…。
    • ちなみに、このプリズンにおけるテストプログラムを突破するとライフアップグレードを入手出来るのだが、このUGに限り強制取得となる(設置場所の高低差が狭く、ジャンプで飛び越えられない)。
  • 研究施設や神への道などの一部におけるステージ構成の仕様で、建築物の死角や影に隠れる形となる進行箇所が存在する。
    • この仕様のせいで『敵の存在を把握していない状態でレーザーマシンガンを真正面から大量に食らって、何が何だか分からないまま、気付いたら一瞬で死んでいた』といった理不尽極まりない状況にしばしば陥る。
    • 被弾覚悟でオプションAやカタパルトを駆使すれば、ゴリ押しで正面突破出来ないこともないが、予備知識無しでライフアップグレードも乏しい場合はまず死ぬ。
    • 神への道の場合は、後半になるとせり上がる両端の足場と一段下の足場の境目の壁に張り付いた状態では自機が完全に隠れる形となり、さらに四方八方からの超火力の弾幕(比喩ではない)、壁張り付き時の動きの制限も合わさって、ひどいとしか言い様がない展開になる。
    • 元々フィクション性の強い2Dアクション故に、この様な理不尽なリアリティにする位ならば透過処理を施すなどの対応があってしかるべきである。
  • 翻訳が日本語の会話として変な部分がある。
    • 西王母との戦闘中のセリフなど、あからさまに「英文を中学生レベルで直訳しただけで日本語としてのニュアンスを考えていない」文章がいくらか見受けられる。また、シュランゲの各セリフは状況に応じてのチェックをしっかりとやったのかも怪しく、最後のセリフがメカポンとの戦闘開始前のものと全く同じだったりする。また、飛竜自身も特定の会話にて「知っている事を全て『しゃべれ』」という、ピンポイントで違和感のある妙な言葉を使う。「話せ」ではダメな理由でもあったのか…。
  • 序盤の飛竜の体術がショボい。せめて初期状態で2段ジャンプ位はあってもよかったのではないだろうか?
    • しかしそうすると、2段ジャンプをアップグレードとして残すボスキャラ、南風の存在意義がまるで無くなってしまうのだが…。
  • 相変わらずストーリーは『飛竜がグランドマスターを倒しに行く』の一言で片付けられる、簡素なもの。
    • 過去の2作では、1は言うに及ばず、2では1との2000年の時間の隔たりや様々な設定への解釈もあくまでファンの憶測であり、真実は語られないというのが飛竜シリーズの世界観の表現に一役買っているというものであったが、今作ではいくら『新生』という言葉を掲げたとしても、流石にもう少し別の方向性を見出せたのではないか。
    • 『STRIDER』シリーズではなく、『ストライダー飛竜』シリーズはあくまでも飛竜がグランドマスターを倒しに行くという、それだけで語り終われるものだと言い切れるのだろうか。
  • ゲームクリア時の引継ぎが無い。
    • それ自体はカプコンのアクションゲームのタイトルでは珍しくは無いが、問題はギャラリー要素であるコンセプトアート、環境情報、ファストランナー&サバイバルのNEWステージ等の『POWアイテム』までもがリセットされて再配置されてしまう事にある。
    • 一度解放したギャラリー要素は解放されたままなので、その点は問題無いが、クリア後のニューゲームで残りのギャラリー要素を解放するためにPOWアイテムを探すとなると、再配置されたものによって再度最初から隅々まで調べて漏れを探すハメになる。無論、一度入手したPOWアイテムを再度取る意味は全く無いので、二度手間どころの問題ではない。
  • 『クナイ』に関しては過去作でサイファーとオプションで戦ってきた飛竜のイメージに合わず(忍者と言えばクナイという発想だったと思われるが、そもそも飛竜、転じてストライダーズは忍者を『モチーフとした』諜報組織、特務機関であり、特定の国家に属さないフリーの情報部=エージェントである。何もかも忍者そのもののイメージを壊さずに現在まで存在している設定ではない。だからと言って付けるなとも言えないが…)、『アサルトファング』という洒落たネーミングも何か違う気もするが。
  • また、ゲーム内のギャラリーモードやPS3版の特典「特A級リミテッドエディション」も、「暗躍のイメージがぶち壊し」といったタイトル・キャラクター性のミスマッチぶりに苦言があった。
    • NES版やリターンズ等を知っているプレイヤーからしてみれば、リターンズは流石に抜きにしても、「せっかくザインプロジェクトの設定やNES版のBGMを掘り起こしてくれたのだから、原作のザインの母体を本編終了後の隠しボス辺りに持って来て欲しかった」…などという人もいたと思われる。
  • 登場キャラの前口上がいちいち長い上に頻度も多く、更には過去作と比較して「ちゃち」な台詞ばかり並べるために、飛竜シリーズ特有の『セリフで印象付ける』作用が悉く蛇足と化している。
    • プロパガンダ区域での軍政官ミキエルの演説や南風の警告、研究施設でのシュランゲの語りなど、普通にステージを進行しているだけで何度も表示されるので非常に煩わしい。 ついでに言うと字幕が小さく日本語音声非対応なので、迫力に欠けて没入感を逆に妨げる要素にさえなっている(特にバルログ最深部でのソロ2戦目)。

総評

ひとつの探索ゲームとしての出来は悪くはないものの、ろくにテストプレイをしたのかも怪しい敵兵士の弾幕仕様やステージの構成、『飛竜シリーズ』としてのデザインやUIなど、古参のファンにとっては首を傾げる点も決して少なくはない。文字通りのゲームとして人を選ぶバランスの悪さが目立つ。

プレイしたユーザーからの感想としては「飛竜でメトロイドやってる感じ」「飛竜でやる意味が見受けられない」「でも飛竜じゃないとこの内容ではオリジナルタイトルとしてはリリース出来ないよね」と、言わば「飛竜節」を望むプレイヤーからの声は明るくはなかった。海外のプレイヤーから「飛竜にはクレイジーなキャラとゲーム性を求めている」という感想が上がった事からも、本作は『無難な内容故に飛竜シリーズが持つイメージとの合致感が無い』という評価に落ち着くだろう。

余談

  • プロデューサーのアンドリュー氏のインタビューにおいては、何かにつけてひたすら「飛竜はカッコいい」を連呼するだけでゲーム内容についてはほとんど触れておらず、飛竜をよく知るユーザーにとっては不信感へと繋がる有様であった。
    • 流石にUMVC3で大不評を買った「ストライダー飛竜、参る」「目標を確認、任務を開始する」などといったキャラクターを全く掴んでいないセリフは無かったが…
  • 『MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE』におけるシネマティックストーリーモードのムービーにて本作のデザインでのグランドマスターが登場するのだが、飛竜とガモーラの交差攻撃によって空中に浮遊した状態で何もしないまま無抵抗で葬られるという完全にかませ犬扱いに終わってしまった。対抗しての攻撃はおろか、回避どころか防御さえせずに本当に何もしないままにただただハリボテを壊したかの如くぞんざいな扱いであり、茶番臭溢れる展開となっている。

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最終更新:2022年06月17日 00:18

*1 本作の開発後、Amazon.comの買収を受け、現在は「Amazon Game Studios」として存続