超空間ナイタープロ野球キング2

【ちょうくうかんないたー ぷろやきゅうきんぐつー】

ジャンル スポーツゲーム
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 イマジニア
開発元 元気
発売日 1999年3月19日
定価 6,800円(税別)
判定 良作
バカゲー
ポイント 前作からシステム・おバカさ共に正統進化
リアル野球に即した立体ストライクゾーン
出荷本数が希少で知名度も低い不遇作
甲子園試合中に対戦相手とふざけ合い
超空間ナイター プロ野球キング シリーズ
超空間ナイター プロ野球キング/超空間ナイター プロ野球キング2


概要

ニンテンドウ64発のフルポリゴン野球ゲーム、『プロ野球キング』の続編。

特徴

  • メニュー画面など、野球プレイ時のグラフィックを除くと演出や効果音が前作から大幅に変更されている。
  • 試合中のカメラワークは3D空間であることを活かした多彩なもので、頻繁に挿入されるが非常にテンポがよく、且つプレイを妨げない。
  • 当時実在していた12球団の球場は、今作では許可が下りたのか球場名も実際のものになっている。
    • 選手データは1998年当時のものが使用されている。
  • 前作で好評だった選手の特徴を掴んだ顔表現も、今作で大幅に進化。
    • プロ選手たちは写真と見比べるとその通りではないのに、誰もが見てその選手と分かる似顔絵的な特徴付けがうまい。
    • クリエイト選手でも、目や口をそれぞれ33種類から選べる上、肌の色や顔の形、髪型やメガネなども多様に組み合わせられる。手袋やリストバンドの有無や色、バットの色なども変えられる。
    • しかも今作は体格や身長も変更でき、フォームには有名選手の固有のものから バカゲーらしく 大リーグボール投法、ソフト投げまで選べる。既存選手にはさらに特有のフォームを持つ場合があるが、それが選べないのは惜しい。
  • 今作のオリジナル球団は、「ワイルドアリゲーターズ」「プリティラビッツ」の2球団+2。
    • 「ワイルドアリゲーターズ」は、パワーを中心に能力が高い実力派チーム。
    • 「プリティラビッツ」は、全員女性選手で構成されている。
  • また、条件を満たした上でコマンドを入力する事によって、新たに2つのチームを使えるようになる。
    • その2チームは全員がそれぞれ金色、銀色のメタリックで、顔などはない(体格やフォーム等で個性はある)
    • ゴールドは全体的に能力が高く、アリゲーターズよりも守備は若干低めな分、打撃と投手力はゲーム内最強チーム。
    • シルバーは極端に球速が速い、足が速く他が低いなど、突出した能力を持つ選手が多い、くせ者揃いのチーム。
      • この2チームの出現条件は、生涯成績モードの実績の一つ、ペナント135試合全勝を達成した記録のあるロムでRを押しながらアリゲーターズなどを選ぶというもので、知らない人が聞けばガセネタとしか思えない、ファミコン時代を偲ばせる裏技である。

評価点

  • 現実の野球に即した立体ストライクゾーンシステム。
    • 今作のストライクゾーンは高さ・横幅の他に「奥行き」の概念がある。
      • ベース上に直方体が浮いているイメージと言えばよいだろうか。ボールの軌道がその直方体のどこかにかすってさえいればストライクと判定される。
      • それまでの野球ゲームは2Dが主流だったこともありストライクゾーンを立体化するというのは困難であったため、本作が残した大きな功績のひとつといえる。
      • 前作のストライクゾーンも立体的な形をしていたが、ストライク判定自体は平面であった。
    • 知っている方にとっては当たり前のような話ではあるが、実際の野球でも、ストライクゾーンに上記のような奥行きの概念がある(ホームベースの奥行きの長さ分)。
    • 打者のジャストミートポイントは現実同様にストライクゾーン最前面になるので、ゾーンの一番後方の角へ、かすめるようにギリギリ入るカーブなどは、余程ミートとパワーの高い打者でなければ頑張ってもファールにしかできない。逆に言うと、バットも軌跡上に当たり判定があるため、ファールや当たり損ねも出やすい。
      • 他の野球ゲームでスティック操作だと、投手側が技術を磨いてコーナー一杯に投球しても、打者はスティック全倒しだけで簡単に打てる場合が多いので、貴重と言える。
    • また、対戦中のプレイカメラの種類に、奇抜なものを選べるのも、立体ストライクゾーンの恩恵である。
      • バックネットのかなり高い位置から見下ろす「高い」や、なんとネクストバッターズサークル上空から見たかのような「斜め」などもある。カーソル・プロだと「近い」で練習しないととても打てない。
      • ちなみにカメラは試合中にZ押しっぱなしで瞬時に変えられる。
  • さらにこの立体ストライクゾーン、主審によって大きさが変わる。
    • 審判の種類は3人だが、体感どころか見た目にも分かるほど変わるため、打撃戦or投手戦になりやすさも影響してくる。審判をランダム選択&投球カーソルをなしにすると、投げる方も審判のクセを掴むのに苦労する。
  • これらの点はネット上でも言及されることはほとんど無い。後述の出荷本数や知名度だけに仕方ないことではあるが…。
  • 当時としては異例なほど多く応援歌の種類がある。
    • 場面別テーマ、各チーム固有、また中でも著名選手には専用が設定されていたりする。
    • もちろん原曲とは違うものもあるが、別曲ながらもチームのファンならそれと分かる巧いアレンジ。
  • バカゲー要素は今作も健在…どころかさらに進化している
    • 「見逃し三振で石化」「押し出し四球でコケる」などの前作にもあった要素に加え、選手のモーションなどもバラエティ豊かになっている。
      • 「エイエイオー」のポーズや飛び上がるポーズの他、言葉では言い表せないが笑える・可愛らしいモーションが満載。
    • 「育成」「アタック」のダイヤモンドダッシュもなかなかのおバカさ加減。
      • 「ベース上や走塁ライン上をウロウロしている選手達にぶつからないようにベースランニングする」という内容で、ぶつかると「ゴッ」という低い音と共に双方仰向けに倒れるという、シュールな光景が見られる。
    • 特に後述のクリエイトモードではそのおバカ要素が遺憾なく発揮されている。

新モード

  • 前作から多くのモードが追加された。特に一人用モードが充実している。
    • 内容は「育成」と似通っているが、コントローラパックを通して経験値を賭けることができる「アタック」。
      • 「アタック」ではコントローラパック同士でExp.を賭けてやり取りが可能なので、育成と組み合わせると、特定の選手のミートを伸ばさずパワーだけ上げるなど、かなり自由度の高い能力値変更が可能。
    • 球団ごとに様々なシチュエーションで各6試合プレイし、チームを日本一に導く「シナリオ」。パワプロのシナリオよりも1チーム分が長く、ペナントレースの要所だけピックアップしてプレイし優勝に導く感覚がある。
      • 中にはかなり不利な状況からプレイする試合もあり、簡単に完全制覇はできない。
      • なんとこのシナリオモード、裏技で2P対戦にできる。どうしてもクリアできない場合への全クリアにする裏技は他にあるので、燃えるシチュエーションを二人で戦うモードである。この「出来ることは何でも取り入れてみよう」という姿勢は、このゲーム全般に言える特長だろう。
    • オリジナル選手を2つのタイプで作ることができる「クリエイト」。
      • 甲子園を勝ち抜き能力を成長させていく「新選手誕生」、各種設定と入団会見時の簡単なインタビューに答えるだけで選手が作成できる「新外国人選手獲得」がある。

「新選手誕生」

  • 甲子園出場が決まった状態からストーリーが始まり、ドラフト指名を目指すモード。練習パートなどは無く、サクサク進めることができる。
    • 基本的に対戦相手や監督と会話するADVパートで試合が進み、打席が回ってくるなどターニングポイントで、オリジナル選手を操作するパートが挿入される。
      • ADVパートでは時々選択肢があり、選んだ肢によってその後の試合展開が変化することがある。最悪そのまま敗退することも。
      • 操作パートでは、野手は打撃ミッションと守備ミッションと盗塁ミッション、投手は投球ミッションがある。1試合に数回ミッションが課せられ、1回の失敗で即敗退というわけではないが、自らの活躍で同点に追いついても敗退することがある。特に打撃ミッションの準決や決勝では、及第点の成功では敗退するため、最高に近い結果を出すしかない場合もある。
    • 対戦相手のキャプテンたちは個性に溢れ、試合中にもかかわらず対戦相手同士でふざけ合いや馴れ合いなどもはや何でもアリ。シリアスな場面など皆無で、バカ全開の芝居が展開されていく。
    • また、この相手キャプテンの名前を同モードで始めた時に入力すると、その選手を作成することができる。
      • 顔や体格など一切変えられないが、投手でも野手能力が高い(逆でも然り)なため、球速が低めなことに目を瞑れば、成長させるとプロでもエースで4番を張れる選手たちである。
      • 同様に、ドクロマークを名前先頭に入れると緑肌を選択できたり、COME緑で数パターンの異星人顔ながらアビリティ全持ちの選手で始められたり、 とある放送禁止用語を入力するとその結果で叱責を受けるなど、 バカゲーらしさ満載である。
    • 能力は甲子園を勝ち進むごとにアップし、ドラフトに指名される可能性も上がる。だいたい準決勝まで勝ち進めばほぼ確実にどこかの球団に指名される。
      • ドラフトに指名されれば、オリジナル選手として登録するかどうか訊かれる。「登録する」を選択すると、作成した選手が「おぉ~気に入りましたか!ありがとうございます!!」と思いっきりメタ発言。最後までプロキン節炸裂である。
      • 投手ではまず起きないが、野手では全ミッション成功で甲子園優勝しても、指名が一つも来ないという世知辛いことも起こる。特に選手特徴で[未完]を選ぶと初期能力が低く、そのためHRも打てず能力上昇が小さくなり、それにランダム性の強い上昇が輪を掛けると起こりやすい。プロ指名は優勝校出身かではなく、能力値と運次第と心得よう。
      • その救済措置なのか、勝利後の能力アップにもバカゲーらしさ全開のラッキールームがごく稀に現れることがある。突然ギャンブル好きか小心者かの二択を迫られ、ギャンブルして運が良ければ能力上昇が増える。当たると何と、連続ベットが可能。宝くじ的低確率だが一気に能力を上げることも? もちろん運がなければぎゃああ!ハズレだぁ!と言われ0になってしまう。
    • ミリオタなライバルキャラは、バランスブレイカーともなり得るトンデモ裏技のヒントを教えてくれる。だが、選択肢の片方でしか発生しない・選んでも必ず教えてくれるわけではない・しかも謎解きと試行錯誤が必要である、と長年の所有者であっても知らない人は多い。
      • 誰でもたどり着けるように暗号の解読をしておくと、[し][き]でCキー、[と]は同時押し、[ぴかぴか]は2秒間隔くらいで光っている場合が稀にある、ということ。

「新外国人選手獲得」

  • 実在外国人選手にデータを上書きする形でオリジナル選手を作成する。
    • 入団会見の場面になり、インタビュアーのいくつかの質問に答える。選んだ選択肢によって能力やアビリティ(特殊能力)が変化する。
      • ここでもインタビュアーとの愉快なやり取りがなされ、同席している監督とコミッショナーも時々変な動きをする。
    • 短時間で強力な選手が作れるが、育成で成長させることは一切できない。
    • ランダム性が強いので根気が要るが、球速200km/hオーバーや、コントロールF(0)でどこに球が行くか分からないなどの極端な選手を作れるのが、このモードならではの魅力。
    • 逆に、加速力やキャッチャー〇など新選手誕生では取れる多くのアビリティが取得不可能となっている。
  • バラエティに富んだ球場は今作も健在。
    • ゴージャスな雰囲気の「マジカルスカイパーク」。
    • 地球が見える月面上にあり、フライの滞空時間が妙に長い「スターアリーナ」。
      • この球場で強肩選手の連打送球を行うと面白いことになる。まさにレーザービーム。
    • 前作に引き続き地面が砂浜で、ボールが全く転がらない「ココナッツスタジアム」。
    • その名のごとく地面が氷で、動く氷山やオーロラがある「すべ~る球場」。
      • なおボールは滑るものの、特に足が滑りやすいということは無い。この球場だけボールがオレンジ色。
    • 空気が薄いためか、打球が異常に伸びる「天空の都球場」。
      • この球場で特大のホームラン(だいたい200m以上)を打つと、飛距離が「不明」と表示される
    • また、公式の12球団球場を含めどれも時間経過の概念がある。とくにデイゲームで日が翳り、夕焼け、ブルーモーメントと刻々変化していくのは雰囲気がある。
      • ホームランを打つと花火が上がったり、球場によっては見える飛行船や船や流氷(笑)も動いて行ったりと、ギミックは実は色々作りこまれている。 野球に関係ないじゃんと言われればそれまでだが。
  • 投手、打者ともに得意球種がある。
    • 打者は、カーブ系が得意ならカーブ方向に曲がる変化球を対した時に打撃力が上がる。
    • 投手の場合は、変化球の変化タイミングがより打者寄りになる。このゲームの直球は僅かにホップするが、ストレートが得意球だと手元でホップして見えて分かり易い。
  • 打者の得意コースによる性格付けが強く、個性的な選手たちを生んでいる。
    • 打者には上記の得意球種の他に、得意・不得意コースが設定されている。
    • 高め、低め、外角、内角それぞれに各打者設定されており、×、無地、〇、☆の4段階だが、コーナーは重複する。
    • 例えばアウトローの球には、低めと外角の得意さが両方影響するので、かなり多段階となる。ミートカーソルはスティック操作によりリアルタイムで変化するので、得意・不得意の極端な選手はコースにより打率がまるで違う結果になる。
    • 通常だと四隅はカーソルが小さくなるが、双方☆だと逆に大きくなり、真芯も拡がりとても強力。ミート力が低いパワーヒッターでも得意コースがあれば、そこへ来た球だけは吸い込むようにホームランできる。
      • プロスピのコーナー四隅の得手不得手の拡大版のようなもので、こちらは真ん中低め等も含めてストライクゾーンの大半で変化する。
    • この仕様による打撃力変化は大きく、近い能力値でも得意コースや引っ張り・流しなどのアビリティの種類によって、まったく異なる個性の選手になる。
  • 打撃時にボールの着弾点が表示されるようになった。
    • もちろん設定で非表示にすることもできる。下記参照。
    • ただ変化球でも着弾点表示直後にわずかにズレるだけで非常に捉えやすい仕様になっている。パワプロと比べて、変化のキレ・量が小さいとより打ちやすく、大きいとより打ち難い仕様。これにより他方向に変化球を持っている選手でも強くなり過ぎず、プロ選手たちも持ち玉をほぼ再現されている
      • しかしナックルだけは着弾点ごとユラユラと揺れるので芯に当てづらくなっており、その上滅茶苦茶遅い。対人戦では最強球種といえる。
  • このゲーム特有の投打システムを味わえる「カーソル・プロ
    • 上記の着弾点表示をオフにした状態で前作スタイルだが、大幅に進化している。
    • 着弾点表示アリだと、変化球のズレは「バッターの予想よりどれだけ変化したか」を示すので、レベル4でもなければとらえやすい。
    • しかしカーソル・プロだと、変化球の軌道を目で追って着弾点を予想する、リアル野球と同様の仕様になり、しかもデフォルメキャラ&立体ストライクゾーンと非常に相性がいい
    • 具体的には・球種とそれを投げるコースによってそれぞれ違う軌跡と変化であることを体感しながら打てる。・投手の身長、体格、投球モーションと、球速により、同じ球種でもそれぞれ大きく違う軌跡になるため、基本的に同じ変化球というものが存在しなくなる。
    • これらがデフォルメ頭身によって最大限に増幅されるため、ピッチャーごとの個性が非常に豊かになっている。
      • 例えば山本昌は彼のフォームと身長と変化球レベルあってのスクリューやストレートである。再現するには同じレベルのスクリューというだけではダメで、同じ球速に同じ身長と体格(リリースポイントの位置に影響)、得意球かどうかも揃えなくてはならない、
    • 変化球量が小さいと打ち易く、大きいとより打ち辛くなるため、多方向に未熟な変化球を持つより、少なくても必殺の変化球がある方が強くリアル感がある。また、ボールの軌跡によって到達距離(=ブレーキの掛かり方)が常時変化するため、緩急の影響も大きくなる。
      • 投打の体感球速は遅い(パワプロで言うと4並み?)が、それはこのモードでも一般人の動体視力で球種を見分けて打てるようにという配慮なのかもしれない。また、自作200km/h選手を相手にしても何とか試合にできる様にするためかもしれない。なお、高めの球はリアルに速いので油断すると140そこそこでも振り遅れる。
    • シュートの変化量はスライダーの1/2以下、スライダーは高めでは横に低いと斜めに、縦スラも斜めに落ちるなど、パワプロよりもプロスピで投球ポイント・リアルにした状態に似ている。
      • しかも、プロスピはじめリアル志向野球ゲームでもほぼ、右打者では真正面か打者を避けて逆側から見るカメラになるのに対し、このゲームでは打者本人と同じ方向寄りから投手を見るカメラになる。カメラ位置はモード選択した後それぞれ微調整ができるが、目一杯反対側に調整しても、真正面になれず少し打者側目線になるというコダワリっぷりである。
      • そのため、左バッターは左ピッチャーが実際に打ち辛い。高身長の速球やサイドスローのスライダー等になればより一層攻略は難しい。逆に、左打者で右ピッチャーは球の出どころも軌跡も見易く、角度の関係で見た目の変化量も小さくなる
  • 投手の変化球は、スティックの倒し具合で変化量を変えられる
    • 低いレベルではほぼ意味ないが、レベル4持ちの選手がレベル2や3を自由に使いこなすと真価を発揮する。
    • また、ストレートの球速もスティック倒し具合で変わる。極端には変えられないが、半速球を投げてスライダーと誤認させるくらいは可能。もちろん見破られると棒玉。
    • 特に縦カーブ・シンカーと下方向の変化球が効果的。レベル4なら下に外れてボールになるコースに、それと見せかけてレベル3を投げギリギリストライクで見逃しを取る、なんてことも。
    • ワイルドアリゲーターズの野茂(ノモノモ)は変化球がフォークとレベル1のカーブしかない上に他能力も強いとは言えないが、これらの投げ分けを活用すると、まさにフォークとストレートだけで三振の山を築ける。
  • 前作よりも球種自体かなり増えている。
    • というのも、このゲームでは違う球種でも同じ表記で示され、ステータス画面では分からないものがあるため。
    • 同じスライダー表記でも、マッスラ(カット)や縦スラ、通常のスライダーとカットの中間速な高速スライダーなど。カーブも縦に大きく割れるものと横目に変化するもの、またそれぞれにスピードの遅いバージョンがある。シンカーとスクリューは完全に別球種で、少なくともシンカーにはさらに2種類ある。また、スティックニュートラル状態で投げられる球も選手ごと、(遅めの)スローボール、同表記だがただの棒玉、チェンジアップ(レベル1~4相当)の6種類ある。
    • MFB(ムービングファストボール)がレベル1~4と分けられているのも珍しく、変化もリアルである。SFFやパームボールは特徴が強調されている。
    • 上記の身長や球速などによっても変化が変わるため、実際には累乗で増える。着弾点表示だと全部似たようなものにしか見えないのが惜しい。
  • 実況も進化。
    • 前作は「投げました」「打った!」など、状況を淡々と伝えるという印象が強かったが、今作の実況は「このまま負けてしまうのかぁ!?」「強い、強すぎる!」「どまぁんなかぁ!」「(選手名)、今日2併殺、大ブレーキです!」など、より人間味が増している。
    • 口調もよりコミカル調になり、本作のおバカさを上手く演出している。ペナントモード専用セリフも数多い。また、ランナー二三塁でボール先行での「満塁策のようですねぇ……」など、戦術的なものもありバリエーション豊か。
      • 一応前作にも「わずかに外れてボォォル!」「大砲炸裂ゥ!」など笑える実況はあるにはあったが。
  • 育成モードにおける経験値の溜まり具合、ランクアップの境目が一目で分かるようになった。
    • 前作は内部的に経験地が加算されるのみで、ランクがアップしたときのみ知らせてくれる程度であった。
    • ベテラン選手や外国人選手には初期状態からすでに「成長限界」と表示されるパラメーターもある。
    • なお、ランクアップせずとも段階的に内部能力は上がっていく。日本人投手の場合は育成し切った上で好成績を収めると更に球種が増える場合も。
  • 対戦モードでは野球ゲームとして異例の4人プレイができる。しかも……
    • 操作する選手を4人で、打撃・投球&守備それぞれ、選手全員を自由に決められるため、大変自由度が高い。
    • とくに、一人ずつ完全に自由に4人で割り振れるのは、異例だったファミスタ64でも出来ないことである。
    • そのため、バッター操作は奇数・偶数で交代、守備操作は投手とそれ以外の野手で分ける、といったこともできる。
    • 2人ずつで分かれることはもちろん、人間3人対1人、人間4人対COMといった対戦もできる上に上記の割り振りが自由、しかもプレイ中ならいつでも変更可能なため、集まれる対戦相手さえいればキラーソフト化する場合も。
    • 1人プレイでもCOMとの変更はいつでもできるので、ペナントモードで選手一人以外を全員COM任せにすると、疑似マイライフモードも可能。

問題点

  • 前作の問題点が一部改善されていない。
    • 打球画面から守備画面への切り替えが遅いのは改善されておらず、相変わらず内野手に超反応が要求されてしまっている。正確には前作と違い遅延なしで画面切り替わる(というか打撃画面からシームレスで上空視点へ移行する)のだが、パワプロなど傑作野球ゲームはこの切り替え時、打球が飛んだ同じ数フレームを守備画面で再描写することによって、画面が切り替わっても対応できる環境を作っている。それがないため、速い打球には勘による超反応が必要に……。
      • 特に高LEVELの「守備練習」でその理不尽さを嫌というほど知らされる。多人数プレイだと、切り替わりのラグが異なるため慣れていないと経験者でも対応できない。
    • COMの守備の緩慢さも相変わらず。
      • 明らかに3塁でタッチアウトできるようなタイミングでバックホームする、塁上でランナーをタッチする直前になぜか別の塁に送球することがある。ランナーを挟んだ場合でも守備力が低いと、プレイヤーならほぼ安全に帰塁できてしまうなども。
  • 走塁が全体的に大味。
    • アビリティは加速力・回り込み・ヘッスラともに強力で、有無でセーフ率に大きく影響。
    • 盗塁はキャッチャーの肩次第。弱ければし放題、逆に肩Sや☆では走塁能力に関わらず成功は難しい。
    • COM守備のAIがイマイチなこと、球場がリアルで広いことも大味に拍車を掛け、デフォルト能力ままの対戦でも、HR数の半数くらい強引に三塁打を出す事もできる。
  • 前作の話題の中心であった、「デッドボールで体がバラバラ」が発生しづらくなっている。
    • 今作では中途半端にボールが体に当たっても痛そうにするだけ。かなり勢いよく当たらないとバラバラにならない。 もちろんバラバラにならないのは良いことです。
    • 「石化」や「凍結」などの発生率は前作からさほど変わっていない。本当に「バラバラ」だけが出づらくなっている。
  • 明らかに高めのボールが投手に不利。
    • 強いCPU相手に高めを投げようものなら、いとも簡単にスタンドまで運ばれてしまう。
    • パワーが強い打者相手には低めにボールを集めるのが現実の野球以上に鉄則と化している。
    • その分高めのボールは体感速度が速い(同じ球速でも到達が速い)設定がされているため、対人戦では振り遅れやすくバランスが取れている。強COMは意に介さず、僅かにボールに外さないと空振りすらしないが。
  • 打球の横回転が再現されておらず、風では流れるものの、無風ではライン際の打球が切れていかない。
    • 本作ファンには最も不評な部分。パワプロ5と同年代の作品なので、仕方ないと割り切れるかどうか……。
    • パワプロや他野球ゲームよりもファールが出やすくなっていることもあり、バランス的には取れているかも。
  • エディットモードの「ドラフト」の存在価値。
    • どれかの球団の首脳陣になり、現実のドラフトのようにドラフト候補生を指名しくじ引きも行う。あの松坂大輔や上原、岩瀬など実在の候補生が収録されているのだが…。
      • ドラフトが終わり結果が表示されると、各選手の能力やデータを見ることができるだけで、その選手は対戦モード(オープン戦)以外では使用することができない。育成できないのは強めに設定された能力で相殺できるが、一体何のためのドラフトなのか…。
      • 実際にはオープン戦のみ使用できる。ペナント戦では使用できず、また育成することもできない。
  • 再現性はかなり低いものの、選手能力が一部書き換わるバグが存在する。
    • 野手がなぜか変化球を持っているという笑えるものから、ミートやパワーが一段階下がっている、肩がF(0)になっている、同じ選手が複数いて誰かを上書きしているという笑えないものまで。既存選手でもクリエイト選手でも起こる。
    • 新品ROMで初めて起動した場合や、アタックで多くの経験値を移動させた場合、カセットがずれていた場合などに報告例があるが、狙って起こすのは不可能に近い。
    • いずれも、コントローラパックのデータを新しくして始めれば直るものだが、どうしても消したくないデータで思い入れ選手の能力にFが入ると悲惨。
  • 外野、内野の能力(守備適性)が一括。
    • 外野に関しては他でも当たり前なので気にならないものの、内野に関しては時代を考慮しても大味。
    • 守備のいい遊撃手が二塁でも好守備なのは許せるにしても、遊・二塁手に一塁を守らせれば一塁本職と同等以上の安定感となってしまうのはリアルさを欠く。
      • その分、走力が守備に多大な影響を与えることをパワプロに先駆けて採用し、肩力、アビリティの守備動作への影響もプラス・マイナスともに大きいので、デフォルトの一塁手・三塁手にショートを任せられるかというと、かなり厳しいものになるが。
  • クリエイトモードで作れる選手の上限。
    • パワプロなどと比べて、新しく登録できる選手がかなり少ない。新選手誕生では1パックにつき12人まで、新外国人選手獲得でも40人までしか新選手を登録できない。
      • 同世代のパワプロどころか、最新の野球ゲームと比べても1チーム毎の登録選手数が多いので、余計に新選手の少なさが際立ってしまう。
    • 差し替え可能なコントローラパックごとに上記52人を新登録できる。また、対戦モードでは4人分のブロスからそれぞれチームデータを取り込めるので、パックごとに1チーム分ずつ作れば、一応は全選手が自作のチーム同士での対戦ということも可能。もちろん対戦モード(オープン戦モード)に限られるが。

賛否両論点

  • 選手やボールの動きが前作よりもっさり気味に。
    • 外野、特にセンターからのバックホームがえらい遅く、まるでスローモーションを見ているかのよう。
      • 説明書にある通り、パワプロ風にボタン1回押しだと、弱い送球になる。バックホームなど速い送球はボタン連打で行う。連打送球なら、肩力の影響は大きいが、レーザービームも可能。
    • 相対的にはボールの滞空時間が長めになっており、フライ性の当たりがヒットになりづらくなっている。極端に育成し過ぎて、走力と外野守備力を☆にした選手にセンターを守らせると、岡田幸文選手を超える勢いで何でもアウトにしてしまう。
    • 選手のモーション自体は、前作のシャカシャカした動きがほどよい具合に落ち着いている。
  • 上記の送球でも1回押しと連打で強さが変わる仕様だが、実は打撃でも、短くチョイ押し、押しっぱなし、連打、の押し方で軽打・長打・一発狙いを切り替える仕様
    • 説明書を読まずにプレイすると、パワプロに慣れた人ほど強芯の方法が分からず困惑する。全て長押しでも問題はないのだが。
    • 連打では強い打球を打てるが芯外も増える、力むためか振り始めに僅かな溜めがある。チョイ押しでは粘りやすいだけではなく、見逃した時にスイングを取られないように踏み留まりやすくなるという特徴付けもあり、 バカゲーらしい 野心的だが、使いこなすには熟練が要る。
  • さらに使われない操作法として、打撃・投球の弾き操作を実装。
    • これはスティックを弾くことで、懐かしの野球盤やピンボールの様にゲームをプレイできるという面白機能である。
    • しかもタイミングだけで打球方向を決めずに強引に狙い方向を絞る事もできるなど、リアルのバッティングに近い感覚も持ち得ている。
    • それでもこの操作が長所たりえないのは、独創的かつ難し過ぎてプレイヤー側がついていけない、スティックがヘタレているとマトモに操作できない、上記の切り替え問題のせいで守備対応し辛い、といった根本問題があるため。
      • 分かってくると別ゲーに思えるほどの変化なので、同じゲームでもう一本別形式の野球ゲームができてお得、と言えるようになるかもしれない。
  • 守備シフトは前後とバントシフトの他に左右へ寄るものもあり、この時代の野球ゲームとしては珍しい。
    • 自分で選ぶ場合もボタン1つだが、C↓ボタンを押すだけで、打者の能力やアビリティ、ランナーの状況によって自動で最適シフトを敷いてくれる。
    • 外野と内野は別々に敷けるが、最適シフトでもこれらを組み合わせて、例えば内野は引っ張り警戒だが外野は長打警戒シフトといったものも自動で敷いてくれる。
    • ただ、人によってはシフトが極端と思う場合があるようで、裏をかかれた時のリスクが大きすぎるという声もある。もちろん何も押さなければ定位置のままプレイできる。
  • 他ゲームに比べ、能力値やアビリティによる実際のゲームへの影響が大きい。
    • 通常、野球ゲームでは能力の最高値がプロの一級レベル、最低値でもせいぜい高校野球レベルだが、このゲームだとスーパーマンと中学生である。
    • 例えば肩Cと肩Bでは大きな差があるが、肩がSや☆、または肩Aでも送球・ボールさばきともに☆だと、全く別次元の性能を誇る。また、肩Fだと内野ですぐに球に追いついても送球間に内野安打を量産させられるほど弱い。
    • 育成モードで強くするのは楽しく癖になるため、油断するとミート&パワーがSや☆の選手がスタメンに名を連ね、それで試合すると大変大味なものになってしまう。そういう場合は別のパックで初めからやると、バランスの大切さに気付く。
      • 幸いにデフォルトで極端な選手は極少数なので、育成し過ぎなければバランスブレーカーにはならない。そしてこの影響の振れ幅は、うまく付き合えばこのゲームをハチャメチャで面白いものにしてくれる。
  • クリエイトモード、特にバッター側の難易度が高い。
    • 打撃時にボールの着弾点が表示されず、スピードがやや遅いとはいえ捉えるのが難しい。
      • 中盤までは真ん中あたりに投げてくれることが多いが、準決勝や決勝になるとえげつない変化球を投げてくるなど、バットに当てるだけで精一杯。
      • ただし、COM対戦で言うなら弱いやふつうまでの難易度なので、このゲームの真髄たる「カーソル・プロ」で楽しむための練習とみなすこともできる、かもしれない。

総評

前作よりボリュームが増え、バカゲー要素共々正統進化を遂げた続編。「シナリオ」「クリエイト」など、やりこみ要素も充実している良作である。
しかし出荷本数自体がかなり希少で(3,000本程度ではないかと言われている)、「続編なんてあったの?」と各所で言われるくらい知名度が低く、非常に不遇な作品となってしまった。
野球ゲーム市場がパワプロに席巻されつつあったとはいえ、もっと多く出荷されしっかりした宣伝を行っていれば、前作を上回る評価を獲得できた可能性も充分にあったと思われる。
このソフトならではの特徴が数多くあり、その多くはコナミが実装するのは十余年後というほど先進的だったため、こちらが野球ゲームの覇権を取り年次進化していったら、一体どんな作品を生んだだろうと夢想せずには居られない。
ちなみにN64の野球ゲームとして続編が出たのは、『パワプロ』シリーズを除くと本シリーズだけである。

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最終更新:2023年05月03日 10:21