本項では『鉄道にっぽん! 路線たび』シリーズのうち、UI大幅変更以前の作品である『長良川鉄道編』『鹿島臨海鉄道編』を併せて取り扱います。



鉄道にっぽん! 路線たび 長良川鉄道編

【てつどうにっぽん ろせんたび ながらがわてつどうへん】

ジャンル 鉄道運転シミュレーション
対応機種 ニンテンドー3DS
発売・開発元 ソニックパワード
発売日 パッケージ:2013年9月26日
ダウンロード:2016年1月14日
定価 5,800円 (税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 3DS初の鉄道シミュレーター
解像度の低い前面展望
UIが未成熟で見づらい
鉄道にっぽん! 路線たびシリーズ

概要(長良川)

3DSでは初となる鉄道運転シミュレーター『鉄道にっぽん! 路線たび』シリーズの記念すべき第1作。
携帯機での鉄道シミューレーターとしては、DSの『電車でGO! 特別編 ~復活! 昭和の山手線~』以来となる。

本作は、岐阜県にある第三セクター「長良川鉄道」が舞台。

運転の流れ

  • まずは運転する区間を選択する。初期段階では始発駅とその次の駅との間しか選択できないが、その区間をクリアすることで次の駅までの区間が解放される。
  • 区間を選択すると、区間距離と標準速度が示され、いよいよ運転スタートとなる。上画面には現在時刻と次駅停車時刻、下画面には「持ち時間」「運転ガイド」「マスコンハンドル」「ブレーキハンドル」「速度計」が表示されているので、それを見ながら運転操作を行っていく。運転中は、速度制限や警笛吹鳴指示を守って運転する。
    • なお、前面の展望は窓枠が映る「運転席ビュー」と全面が景色になる「展望ビュー」から切り替えられる。
    • 持ち時間は『電車でGO!』シリーズのものとは異なり、運転開始時点での数百秒の持ち時間がリアルタイムで1秒ごと減少していくというもの。制限速度超過などの異常運転があると、さらに時間が減らされる。逆に、駅の停車を上手く行ったり、隠し警笛を鳴らしたりすると持ち時間が増える。
    • マスコン・ブレーキハンドルは下画面のタッチ操作で動かすことができる。どの段階まで入力されているかは、ハンドル上のゲージで確認できる。なお、ボタンでの操作も可能で、その場合はスライドパッド(十字ボタン)でマスコン、ABXYボタンでブレーキの操作になる。
    • 「運転ガイド」はその名の通り運転操作をサポートするガイド表示。運転する区間の標準速度に合わせ、加速・減速を指示する。なお、OFFに設定することも可能。
  • 停車の際は、線路敷内に設置された停車位置表示と上画面の時刻表示に合わせてブレーキを操作する。上画面右に表示された停車位置表示も参考になる。
  • 駅に停車後は、定時性などの観点から運転評価が行われる。A評価では資料室(詳細は後述)の資料が2つ、B評価では1つ、C評価では資料なしで次区間の運転のみ開放される。クリア条件に満たなかった場合はやり直しとなる。
  • なお、通常プレイで全区間をクリアすると、通過や停車・速度制限のないフリー運転がプレイできる。

資料室について

  • 運転評価で獲得した資料は資料室で閲覧することができる。資料には鉄道に関するものから沿線の名勝まで様々なものが用意されている。1駅につき2つずつ。

評価点(長良川)

  • 路線が起点から終点まで全区間収録されており、『電車でGO!』シリーズのような途中省略が無いので、実際にプレイする時間はその列車の乗車時間と概ね一致する。
    • 本作の収録距離は72.1km。これは現在でもシリーズ最長であり、片道1ダイヤのみの収録ながら薄さを感じさせない。
  • 常にガイドが運転操作をサポートしてくれるので、「今何をすべきなのかわからない」「ペースが正しいかわからない」といったことが起こらない。
  • 資料室の資料は非常に見やすく、実用性も高い。観光案内として十分役に立つレベルである。
  • ガイドは非常に細やかで、鉄道シミュレーターに触れたことのない人にも運転の難しさを感じさせない。
    • 当然、ガイド無しで運転も可能。
  • ラスト付近の長良川沿いに走る区間では、資料室の背景にも採用されている美しい風景が広がる。後述のように解像度が低いのが残念だが、こうした実写の名勝を鑑賞できるゲームは珍しいといえる。
  • 運転できるのは1形式のみだが、それ以外の車両の情報も資料室で閲覧できる。諸元が細かく記されており、鉄道ファンにも十分役立つレベルである。

問題点(長良川)

  • UIが非常に分かり辛い。
    • 上画面右には常に走行する列車の様子がアニメーションで表示されるが、これは停車時の位置ガイドの時のみ機能する。因って、走行中においては完全に不要な表示である。
      何故「必要な時にだけ表示する」方式にしなかったのだろうか…。
    • ガイドも下画面の一部分に表示されるだけなので、表示が切り替わったことに気づけない可能性がある。一応効果音が鳴るが、甲高い音のため走行音にかき消されやすい。
    • 「運転席ビュー」で前面映像を見るときの枠も邪魔である。イラストの上、窓枠の揺れ方が列車のそれと全く合っていない。
  • 3DSの作品としてはかなり実写部分の解像度が低い。常にぼやけていて標識類の確認がほぼ不可能。折角の美しい景観の価値を半減させてしまっている。
  • 路線の特性上仕方ない部分だが、周囲の風景の変化に乏しい。視界のほとんどが山か畑か集落で占められるようになる。
    • 美濃太田駅出発後の街並みや、先述した長良川沿いの区間などは魅力的だが、低解像度が仇となり楽しみ辛い。
  • 性能が異なる車両を多数保有するにもかかわらず、本作で運転できるのはナガラ300形の1形式のみ。
    • 複数形式の運転は4作目の『近江鉄道編』で実現する。
  • 低速域での映像表現が大きくカクつき、停車時の距離感が掴みにくい。コマ送りを使用しているシステム上仕方ない部分ではあるものの、それでも本作はコマの間隔が大きすぎただろう。
    よって、隣接して走る車や踏切警報機の挙動が不自然である。

総評(長良川)

長良川鉄道自体、第三セクターであり、しかも地方の小さな鉄道会社故に毎年赤字である。
そこで「少しでも知ってもらい、地方の鉄道を応援したい」という目的で、シミュレーターとして出すのはひとつの手段であるが…。
しかし、肝心の宣伝意欲がメーカーに無かった為に、ランキングにも載れない程の売上になってしまったことは非常に残念でしかない。
後に本シリーズがSwitchに移植された際に第一弾ではなかったことを考えると、最初に発売された今作品がいかに失敗だったかがよく分かる結果となった。


鉄道にっぽん! 路線たび 鹿島臨海鉄道編

【てつどうにっぽん ろせんたび かしまりんかいてつどうへん】

ジャンル 鉄道運転シミュレーション
対応機種 ニンテンドー3DS
発売・開発元 ソニックパワード
発売日 パッケージ:2014年8月21日
ダウンロード:2016年1月14日
定価 6,264円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 内容が薄くなった割に高価格
誇大広告多し
シリーズで唯一貨物列車が運転できる

概要(鹿島臨海)

前作のほぼ1年後に発売された第2弾。茨城県の「鹿島臨海鉄道」が舞台で、「シリーズ初の2両運転」が謳われている。運転システムと資料室内容はほぼ長良川鉄道編と同じである。

評価点(鹿島臨海)

  • 前作でも路線が完全に収録されていたが、今作ではそれに加えて直通運転するJR鹿島線の鹿島神宮-鹿島サッカースタジアム間の運転もできる。
    • これに伴い通常プレイにおける「駅の通過」が初登場。
  • 前作に比べ低速域での映像表示が改善され、不自然なカクカク感が少なくなった。
  • 運転すると手に入る資料の資料性・実用性がやはり高い。観光要素が増えたのも魅力的。
    • 近郊地域の路線ということもあって景色の変化に富んでいるお陰で飽きにくい。対向列車が多いのも鉄道ファンには嬉しいだろう。
  • 路線の全区間をA判定でクリアすると、「鉄たび」シリーズで唯一の貨物列車が運転できる
    区間は神栖→鹿島サッカースタジアム間で、車両はKRD64形。

問題点(鹿島臨海)

  • 高価格になった割には内容が薄い。
    • 前作の舞台である越美南線は実際に全線乗り通すと3時間以上かかる路線だったが、今回の大洗鹿島線は1時間強である。片道1ダイヤのみの収録であることも相まって、内容はさらに薄くなってしまった。
      • 加えて3DSの「鉄たび」シリーズ他作品が全て5,800円で統一されている中で何故か今作のみが異様に高いため、価格とボリュームのバランスが悪い。
  • 車両のエンジン音が前作に比べ大きく設定されているため、人によってはやかましく感じるかもしれない。
    • そもそも音質があまり良いとは言えないので、わざわざ音量を変える必要があったのか疑問である。
  • 車両の操作性がシリーズ中最低レベル。ブレーキの効きが非常に悪く、停車はかなり難しい。実車の再現といえばそれまでだが、前作をプレイ済みの人でもかなり手こずるだろう。
  • 一部区間では窓ガラスの汚れと思われるぼやけがあり、やきもきさせられる。

総評(鹿島臨海)

前作に比べ進化した要素や独自の内容もあるものの、全体的にほぼ変わらないゲーム性の上、内容は薄くなってしまった。
価格とボリュームのバランスの悪さを看過できるか否かで評価が分かれるだろう。
ここに来てやっと開発側も根本的な問題点に気づいたか、次作以降大幅にゲームデザインが見直されることになる。

余談(鹿島臨海)

  • 誇大広告が多い
    • 公式サイトには「鹿島臨海鉄道編の列車は、シリーズ初の2両編成で…(以下略)」「2両編成ならではの運転挙動や走行音をお楽しみください!」とあるが、プレイ中2両編成である事を実感できるのはガイドグラフィックのみで、走行音に至っては違いが分からない。
    • 「より美麗な映像の再現」がされたとあるが、解像度の進化はほぼ無いといえるほどに分かりにくい。
    • 迫力の3D映像」に至ってはもはや詐欺である。3D表示になるのは「運転席ビュー」の際の窓枠のみで、景色に奥行きがあると思ってプレイすると肩透かしを食らうことになる。
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最終更新:2022年02月07日 17:06