怪盗ルソー

【かいとうるそー】

ジャンル 変装アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
発売・開発元 バンダイナムコゲームス
発売日 2006年6月15日
価格 5,040円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1箇所
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 バカゲー
ポイント 手書きで顔の変装ができる漫画風アドベンチャー
色々と突っ込みどころだらけのストーリー
変装の繰り返しがめんどくさい


概要

  • バンダイナムコゲームスがリリースした、ニンテンドーDS向けの完全オリジナルアドベンチャーゲーム。
    • 後に「小学三年生」や「デンゲキニンテンドーDS」で短編漫画が掲載されており、本作のマルチメディア化を想定していたらしい。
  • 基本はオーソドックスな会話アドベンチャーだが、漫画を読む感覚でゲームが進み、本作独自のゲーム性も取り入れられている。
  • 任意セーブ方式(一部オートセーブあり)。タッチ操作がメインとなるが、大方の操作は十字キーやボタンでも行える。

ストーリー・登場人物

とる街を舞台に、住民の間では「謎の怪盗」の活躍が話題となっていた。
怪盗の名は「ルソー」。悪者から秘密情報や盗品を盗み出し、住民達を助けてくれる正義の泥棒である。

街中にある学校へと通う明るい性格の少年、"海藤流想"は大きな秘密を持っていた。
実は彼の正体こそが、街中を騒がせているルソーその人だったのだ。

学校の帰り道、クラスのアイドル的存在である"河本セーヌ"が、何物かによって誘拐されようとしていた。
犯人の目星が付いていた流想少年だったが、相手が犯人である決定的な証拠がなく、誘拐を阻止する事ができなかった。

その日の真夜中、犯人からセーヌを奪還する為、ルソーへと変身した流想少年はセーヌが監禁されていると思われし屋敷へと侵入する。
果たして怪盗ルソーはセーヌを救い出し、犯人を暴き出す事ができるのだろうか?

  • 登場人物紹介。
    • 海藤 流想(怪盗ルソー)
      • 本作の主人公。普段はやんちゃな小学五年生男子だが、世間を騒がせている怪盗ルソーとしての顔も持つ。
      • 黄色い特殊スーツを着用し、運動神経の良さを活かした機敏な動きと、誰の目をも欺いてしまう変装技を駆使して活躍する。
      • ゲーム中は常時彼の視線でストーリーが進行する。プレイヤーは適任な操作でルソーを操らなければならない。
  • 河本 セーヌ
    • 本作のヒロイン。流想少年も含め、男女を問わない憧れの的の女の子。活発で優しい性格だが、ちょっぴりお茶目でコスプレ好きな一面も持つ。
    • 1話序盤で誘拐され、屋敷に監禁されてしまう。ルソーは彼女を助ける為に屋敷へと進入するが果たして…?
    • 1話のエピローグにてルソーの大きな秘密を知ってしまう。そして、それがきっかけにルソーと親密な関係となっていく…。
  • 新聞 配犬飼 保知
    • 流想少年の同級生男子達。流想少年や(正体を知らない)ルソーに情報提供をしてくれる。
  • 犬飼刑事
    • 犬飼少年の父親で茂寄野(もよりの)警察署勤務の刑事。厳しい性格だが、ルソーには積極的に協力してくれる。
  • 茶葉先生
    • 流想少年達の担任教師。生徒から慕われているが、怒ると「炎のリーゼント」なる必殺技を放つ。
  • ミリオンマスク
    • かつて伝説の怪盗と呼ばれた男で、流想少年の実の祖父。流想少年に怪盗の手ほどきを教えた張本人でもある。既に怪盗業を引退している。
  • 名探偵ポッチャリバニシングケーシー最大の黒幕
    • 名探偵ポッチャリは1話の黒幕として登場。あくどい手口で依頼者から法外な費用を徴収する悪徳探偵。セーヌ誘拐の真犯人でもある。
    • バニシングケーシーは2話の黒幕として登場。インチキによる人を消すマジックを行い、周囲の観客を欺いていた。消えた人々は行方不明となる。
    • ラスボス的存在の最大の黒幕。1~2話に少しだけ登場し、3話で怪盗ルソーと衝突する。犯罪組織の大本であり、ポッチャリやケーシーを影で操っていた。
  • その他、クセもの揃いのキャラが数多く登場する。

主なルール

  • 話の構成について。
    • 本作は全3話で構成されており、各話は4~5の章に分けられている。
      • 現状のゲームデータはいつでも任意セーブが可能。また、章をクリアする事でも任意セーブ表示がされる。
  • 難易度選択について。
    • ゲームを始める前・もしくはゲーム途中において「2段階の難易度選択」の設定が行える。
      • 簡単難易度を選ぶと変装(下記)のパレットに"なぞり線"が付き、普通難易度の場合は"なぞり線"が付かないままのプレイとなる。
      • 難易度以外にもオプションで「変装シーンの長さ(2段階)」と「コマの早送り(2段階)」の設定が可能。
  • ゲームの流れ。
    • 一般的なアドベンチャーゲームと同じスタイルでゲームが進められる。
      • 下画面には現状のコマ(ゲーム画面)が表示されており、次のステップに進むと新たなコマへと進む。コマは4コマ漫画風に「下画面 ⇒ 上画面 ⇒ 消滅」の順で切り替わる。
      • ステップは「自動イベント」「何かの行動(下記)を行う」といった方法を行う事により進められる。
      • ステップを進み続け、すべての進行フラグを達成すれば章のクリアとなる。ステップ最中に一部変装イベント(下記)で失敗してしまうとゲームオーバー。
        ゲームオーバー後は何度でも前のステップからのコンティニューが可能。コンティニューをしたからといって、ゲーム進行に何かの影響が及ぶ事はない。
      • コマ表示中にRボタンを押すと、一時的に前のコマへと戻れる(いわゆるバックログ機能)。再度RボタンかLボタンを押すと、現状のコマ位置を自由に切り替える事も可能。
  • ゲーム中の行動について。
    • ゲーム中は以下の行動を駆使して、コマを順々に進めなければならない。
      • 「調べる」…コマ内にいる怪しい箇所をタッチし、情報収集やアイテム取得などを行っていく。
      • 「会話」…コマ内にいるキャラをタッチし、会話による情報収集を仕入れていく。
      • 「アイテム取得」…コマのタッチやイベントなどでアイテムが取得できる場合がある。
      • 「アイテム使用」…今持っているアイテムを使用する。一部アイテムは使用すると消滅してしまう。
      • 「場所移動」…今いる場所から別の場所へと移動する。
      • 「撮影」…コマ内に特定のキャラ(貼り絵)がいる状態限定で行える行動。対象キャラを極秘裏に撮影し、キャラの情報・及び変装イベントにおける変装の種類を増やしていく。
      • 「変装」…詳細は下記にて。
  • 変装・ゲームオーバー条件について。
    • 次のステップに進む為には、あらかじめ変装を行う必要がある。
      • 撮影で入手したキャラの似顔絵*1を選択し、ルソーをそのキャラへと変装させなければならない。選択キャラ以外の変装は原則として不可*2
      • 変装は「パレット内をスライドタッチで手書きし、似顔絵と同じ絵図を描く」方式で行われる。使用できるカラーは1~2色で、すべての配色を似顔絵通りに描く必要がある。
      • 簡単難易度にしているとパレットの"なぞり線"に沿ってスライドすれば容易に変装可能だが、普通難易度には似顔絵を参照に直感でスライドしなければならない。
      • 手書きの状態によって「"A~C + 論外"の変装ランク」が表示される。獲得したランクはおまけモード(下記)の変装アルバムで一覧の鑑賞が可能。
      • あまりにも変装ランクが低いと、フラグ非成立(変装のやり直し)となってしまう。よって、似顔絵通りの変装を的確に描かなければならない。
    • 特定の章には「疑惑度(ダメージ)ゲージ付き」の強制変装イベント*3が発生する。
      • このイベントでは「適切な変装をしないとゲージが上昇していき、ゲージが100%になってしまうとゲームオーバー」となる過酷な条件が課せられる。
      • ただ単に変装するだけでなく、「制限時間以内に変装」「謎解きを踏まえた変装」といった条件付き変装も多発する。よって、状況によっては悠長な手書きが自殺行為となる恐れがある。
      • 適切な変装ができなかった場合、ゲージが大幅上昇する上に変装のやり直しとなる場合がある。逆に高ランクでの変装を行うと、少しだけゲージが減少するボーナス。
      • イベントによっては変装以外でも「コマ内の怪しい箇所をタッチする」「キャラの質問を選択肢で答えていく」という行動に遭遇する場面もある。
  • おまけモードについて。
    • ゲームをある程度進めていくと「おまけモード」が解放される。モードは全部で後述の4種類。
      • 「チュートリアル」…ゲーム内の行動やイベントに関するチュートリアルが鑑賞できる。なお、ゲーム本編でも必ずチュートリアルが挟まれる。
      • 「変装アルバム」…プレイした章で獲得した変装ランクの一覧が鑑賞できる。但し、あまりにも取得ランクが低いと一覧に掲載されない場合あり。
      • 「ジュークボックス」…ゲームをオールクリアすると出現。ゲームで使用されたBGMを自由に聴ける。
      • 「???」…ゲームをオールクリアすると出現。何のモードかはプレイヤー自身で確かめて頂きたい。

評価点

  • 絶対的なテンポの良さ。
    • ゲーム中のテンポ感は超軽快で、さくさくとストーリーが進められる。
      • 無駄にイベントが引き伸ばされる事もなく、順々に次のコマへと進んでいくスピーディ展開が繰り広げられる。長ったらしい話が苦手なプレイヤーでも苦痛を感じさせない程に…。
      • ゲーム画面を漫画のコマに見立てた手法により、「プレイヤーのペースに合わせてコマを順々に送っていく」というプレイスタイルでゲームが進んでいき、テンポ感の良さを助長している。
  • 見所満載なストーリー。
    • 怪盗ルソーの活躍の見所が多く、次へ次へと先に進みたくなる面白みを持っている。
      • ルソーは(一部例外を除き)物理的な力ではなく、その場しのぎの発想力で難関を乗り越えていく怪盗として描かれている。スパイ映画さながらの活躍が非常に楽しい。
      • 本作は小学生を中心とした児童層をプレイ対象としている為、殺人や暴力といった残酷描写は"ほぼ"なく、ソフトギャグタッチでストーリーが進められる。
        その為、極秘裏に事件現場へと活躍しているにもかかわらず、ルソー活躍のノリは非常に軽く「何でそうなる?」と思える程に突っ込みどころが多発する。
      • 本格趣向のシナリオという意味では決して完成度が高いとはいえないが、「こういうノリだから」と納得させられる程の説得力があり、突っ込みどころの数々も本作の味の一つとして楽しめる。
      • 基本ギャグタッチのノリでシナリオが進行するが、3話中盤の微欝展開や、終盤におけるアクション映画さながらの熱い展開など、ギャグ以外での見所も数多い。
  • 魅力的なキャラクター達。
    • 怪盗ルソーを筆頭とした登場キャラが魅力的に描かれており、彼らに愛着が沸く。
      • 「ちょっと"おっちょこっちょい"だが決めるときはビシッと決めるルソー」「可愛らしさと頼もしさを兼ねたセーヌ嬢」など、各キャラ毎の個性がしっかりと付けられている。
      • 「かっこいいヒーロー」「清純なヒロイン」「多種多様な住民達」「憎たらしい黒幕」と、登場人物全員が分かりやすい役回りとなっており、単純明快なキャラの魅力を持っている。
  • 斬新な変装システム。
    • 本作における大きな特徴といえる点は、この変装システムにあるといっても過言ではないだろう。
      • 変装はプレイヤー自らの手書きで行える故に、明らかに異様すぎる絵図の変装といった行動も可能。この絵図が非常にシュールで独特の雰囲気を醸し出している。
      • 先の話へ進むにつれ、入手できる似顔絵のバリエーションが多くなってくる為、「ちょっとしたお遊び的なお絵かきツール」としての一面も持つ。
  • 見やすいセリフ表示。
    • 児童層のプレイを考慮し、ゲーム中におけるセリフが大きめに表示され、漢字セリフにはすべてルビが付いている。
      • 子供向けの作品故に、こういう親切な配慮は純粋に嬉しい。もちろん、大人層がプレイしても不備はなく、子供大人を問わずにプレイできる。

問題点

  • かなりのボリューム不足感。
    • たったの3話しか収録されておらず、フルプライスのゲームとしては深刻的なまでにボリュームが足りていない
      • 話が進むにつれプレイ時間が伸びていくが、それでもオールクリアまで6~7時間(推定)あたりでクリアできてしまう。あまりにも儚い…。
      • テンポ感の良さを逆に解釈してしまうと、プレイ時間の短さに結びついているという皮肉。せめて現状の倍近くの話数収録はして欲しかった…。
  • かったるい変装イベント。
    • ゲーム最初こそは新鮮味のある変装イベントだが、ゲームを進めていく度に「またかよ…」というマンネリ感を覚えてしまう
      • 話が進む度に変装イベントの割合が高まっていく影響で、"新鮮"から段々と"面倒"という感情へと切り替わる事請け合いといっていい。
      • 特に普通難易度の場合、変装の手書きを終わらせるまでに結構な時間がかかる。それ故に、変装を繰り返すと"手書きをする事自体"がうざく感じてくるだろう。
      • そもそも変装は「あらかじめ選択した似顔絵を頼りに、手書きで変装をして要所を越えていく」という遠回しの選択肢であり、別に変装を通過点にする必然性はない。
        そのうちプレイヤーは「変装じゃなくても普通の選択肢で事足りるのでは?」という事実に気付く。
  • 地味に高い難易度。
    • 特に普通難易度でプレイした場合、唐突な変装イベントの難しさに苦戦を強いられる可能性が高い。
      • というのも、結構正確に似顔絵通りの変装をしないと高ランクとして認識されず、疑惑度(ダメージ)ゲージの変装イベントでゲームオーバーとなりやすい。
      • 特に2話終盤や3話中~終盤あたりの変装イベントは「数十秒で変装しろ」という指示が多発する為、ほとんど覚えゲーの領域でプレイしないと終わってしまう事が多い。
      • ゲームオーバーになっても付近場所から無限コンティニューができるのは助かる。これがなかったら、相当なストレスゲームになっていただろう…。

おバカな点

本作は全編通して非常に突っ込みどころが多い。以下、主人公である怪人ルソーに関する突っ込みどころを示す(見たい方はリージョンをクリック)。

+ 【突っ込みどころだらけの怪盗ルソー】
  • 忍ぶ気が全くない怪盗ルソー
    • 一般的な怪盗といえば「人に姿を見られずに任務を遂行する」のが鉄則なはずだが、ルソーは隠れて行動する気があまりないらしい
      • 怪盗なのに変装していない状態のルソーは顔出し状態。常時目立つスーツを着用している為、一発でルソーとばれてしまうであろう外見である。
        過去の創作物にも、キャッツアイや怪盗キッドのように「顔出しで活動する怪盗」は複数存在するが、ルソーの場合は白昼堂々と顔出しで出歩くという大胆っぷり。
      • 一応大衆の前では「腕で顔を隠す」という仕草を見せるが、全然隠せていない。「バスタオルで胸を隠し、股間をモロ見せしている入浴後の親父」みたいな間抜けさである。
      • そもそもルソーの本名が「海藤流想(かいとうるそう)」というネタバレ全快のネーミングである。しかし、周囲は誰もその事に関して突っ込んでくれない…。
  • 変装という名の同化技
    • 一般的な変装といえば「対象者と全く同じ容姿に化ける」はずだが、ルソーの場合は変装というより同化技といった方が正しい
      • ルソーが変装する箇所は顔のみで、目立つスーツは常時そのままである。しかも、変装した顔は1~2色で描かれたパレットの手書きがそのまま表示される
      • プレイヤーからすれば「顔しか変装してないし、その顔も着色されてないし、顔が常時無表情やん」という突っ込みが入るだろう。それは変装といえない
      • しかし、付近にいたキャラは誰一人としてルソーの変装(?)を疑う事なく騙されていく本作の登場キャラの目は節穴ばかりなのだろうか?
      • さらには、「外壁やエレベーターのスイッチに変装(??)できる」場面がある。顔だけが壁になったルソーが棒立ちになった姿は、どうみてもコントである
      • 強引に解釈すれば「ルソー着用のスーツに何かしらの幻覚装置があり、それを利用して完璧な変装へと見せかけている」ともいえなくもないが、作中でそんな描写はされていない

その他、最初から最後まで「突っ込みどころがない場面の方が少ない」ほどの突っ込みどころオンパレードのストーリーである。詳細は実際にプレイして確かめて頂きたい。


総評

突っ込みどころだらけでありながらも非常に面白いストーリー・変装システムの奇抜さが光るものの、フルプライスソフトとしては相当なボリューム不足感なのが残念な作品。


その後の展開

  • マルチメディア化を想定とした内容だったが、本作自体があまりヒットしなかった為に単発作品として終焉してしまった。

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最終更新:2020年06月27日 10:34

*1 イベントによっては似顔絵ではない対象に変装しなければならない場面もある。

*2 但し、ほんの一部ではあるが「似顔絵なしでプレイヤーの完全任意による変装」が行える場面もある

*3 一部イベントは変装ではなく、「パスコード入力」という意味合いで手書きを課せられる場合もある。