オアシスロード

【おあしすろーど】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション
発売元 アイディアファクトリー
開発元 キライ製作所
発売日 1999年2月25日
定価 5,800円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※ゲームアーカイブスで付加
配信 ゲームアーカイブス:2007年6月28日/600円
判定 なし


概要

緩やかに衰退していく世界を救うというコンセプトの作品。
本作は発売元は異なるが、『メールプラーナ』(ガスト)の続編にあたる*1
全体的に簡素な作りであるが、丁寧に作り上げられた世界観とどこか悲しげなBGMが印象的な作品である。


世界観

オアシスロードの歴史は、生命の木に守られた楽園を失い、ヴリトラの炎と呼ばれる神災より始まった。文明の歴史は3000年を超え、緩やかに寒冷化し砂漠になりつつある。
多くの人々はまだ暖かい南の地に移り住み、牧人は定住し畑を耕す。街には人影が減り、荒廃の度をさらに進めていく。産業は廃れ、その技術も失われ、そして街の交流も遠くなり、自給できない街は砂に埋もれていった。
人類は黄昏の時代を迎えつつある…。 (以上ゲームアーカイブスの紹介ページより)


特徴

  • 土地が荒廃し、人々の交流が絶え、知識の喪失に直面する世界において、主人公は街と街を結ぶ交易路を復活させ、埋もれた遺跡を巡り失われた知識を収集し、その土地に活気を取り戻させることでゲームは進行する。
    上記の目的に沿ってゲームを進めていく中で、世界の歴史や各地の風俗、登場人物の物語が断片的に語られていく。
    • 本作の登場人物は、ゲーム開始当初に名前入力をすることができるプレイヤーの分身たる主人公と、13人のキャラクターである。
      13人の登場人物たちは6つのグループに分かれている。主人公はそのいずれかに参加することになり、参加したグループのメンバーがメインの登場人物となる。
      主となる物語はほぼ一緒であるが、最初に選んだグループにより微妙に変化する。
  • ゲーム開始当初、地図はほとんど空白であるが、主人公たちが探索を繰り返すごとに記載される情報が増えていく。地区内のすべての街と遺跡を発見するとその地区はクリアとなり、物語が進展し舞台が別の地区へ移動する。
    • 街もただ存在しているだけではなく、条件を満たすと発展し、買えるものが増えたりする。条件の中には「ここで売っているものを他の街でいくつか売ってくれ」といったものがあり(逆もある)、それを実際に行うと金が稼げるばかりか、地図中に品物の絵が書き加えられ、これを繰り返すと見た目に地図がにぎやかになっていく。
      地図中には街や遺跡の他、アイテムを拾えたり、戦闘がおこる場所が存在する。
    • 地図の移動中は常に食料が消費され、これが無くなるとゲームオーバーとなってしまう。
    • 交易によって街の技術が復活し、発展してゆく過程は非常にわかりやすい。ある街で一定数の絹糸を売ると絹織物が生産されるようになり、それを買って別の街で染料と共に売ると着物が生産されるようになったりする。
  • 戦闘システムに関しては、多くのRPGで取られているオーソドックスなコマンド選択型のものとなっている。パーティは最大5人であるが、メインとなるキャラクター以外は道中で捕獲することができる動物等がメンバーとなる。
    • 犬のようなよくいる生き物ばかりでなく、盗賊等の人型キャラやドラゴン等の伝説上の生き物、果てはロボットまで仲間にできる。
  • 交易品以外のアイテムは主に生活(生存)のために必要なものであり、あるアイテムを持っていると自動的に物資を入手できる、物資を加工して別のアイテムを作るといった有機的なものとして扱われる。
    • 例えば犬と獣骨を持っていれば狩りをしてきてくれ、いつの間にかアイテム欄に獲物が入っている。それをキャラクターの持つスキルによって解体し肉と毛を手に入れる。肉は調理して食料にし、毛はロープに加工して動物捕獲のための罠を作ることができる。また、ヤギを持っていると自動的にミルクとフンを産出し、ミルクはチーズにして食料に、フンは燃料に加工できる他、毛を刈ることもできる。もちろん時間が経過すればヤギの毛は再び生え揃う。
    • 食料は街で購入することができるのでアイテム加工は必須ではないが、これらを活用することで生活感を味わうことができ、世界観の補強にも一役買っている。

評価点

  • 本作の魅力は、第一に作品の醸し出す雰囲気に有る。作中に充満する人々の退廃的な気分や主人公の働きによってそこから脱出せんと立ち上がる人々、遺跡を巡ることにより知れる過去と現在の乖離、そしてその雰囲気によく合うどこか悲しげな音楽。といった具合に雰囲気という点では非常によく作り込まれている。
    • 物語は意外とあっさりしているが、旅をしている地区や街、遺跡に対する説明がなかなかに興味をそそるものであり面白く、また音楽も曲数こそ少ないながらも物語の雰囲気や地区ごとの特色をよく表すものとなっている。
      また、物語の随所に少しずつ謎がちりばめられており、簡素なゲームながらも続きを気にさせ飽きさせない工夫となっている。
  • 本作の衰退する世界を復活させていくという行為が、地図の作成という行為とうまくリンクしており、徐々に先のマップに行くごとに明るくなっていく音楽も相まって、実感の伴ったものとなっている。
  • これらが相まって、本作はとても印象に残りやすい。

問題点

  • 本作において雰囲気の醸成には手抜かりはないものの、その他の要素に関してはシンプルすぎる戦闘や、交易要素、よく言えば作品の雰囲気を表しているが、SFCレベルのチープなグラフィック等、それほど出来は良くない。
  • 特に全体的な作りこみの甘さやシステム面の不親切さが指摘されている。
    • たとえば、セーブデータを選ぼうにもオアシス1、オアシス2と書かれているだけで他の情報が一切記載されていないため、複数のセーブデータを作る場合に不便である。
      他にも、以前に読んだ街や遺跡に関するテキストを読み返せる機能があるのだが、何々の記録とだけ書かれているだけでどこの情報なのかといった点が欠落しているため選びづらく、使いにくい。
  • 戦闘に関しても、装備を整えることを怠りさえしなければ通常攻撃だけでほぼ勝ててしまうため、いろいろと用意されている特殊効果のある技や魔法をあえて使う動機づけに乏しい。
  • 一応食料の概念が導入されているが、本作では簡単にお金が稼げてしまうため、お金が尽きて食料が買えずゲームオーバーになるといったことはほぼない。
    当然お金を稼がなければならないが、これもかなり簡単な作業であり、ただ面倒なだけである。

その他

  • 本作の面白味は各所に散らばる話の断片を集めて、各自の頭の中でくみ上げながら話を進めることにあるため、物語そのものはかなりあっさりしている。
    そのため、物語を読み解く能力がそれなりに必要である。

総評

本作の特徴を短くまとめるならば、雰囲気や音楽は良いが、作りこみに甘さが見られる作品といったところであろうか。
良作かと聞かれれば"否"と答えざるを得ないが、凡百のゲームには収まらないしっかりとした独自性を持つ作品である。
現在ではゲームアーカイブスで配信されているので、興味を持ったならやってみるといいだろう。


余談

  • 本作の大半は音楽担当を除いてたった2人の人間により制作された。分担はプログラミング担当一人、それ以外担当が一人であったという。

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最終更新:2021年07月20日 08:11

*1 発売元が異なるのは、企画者がガストを退社した後に本作を製作したため。