【ているず おぶ ざ わーるど なりきりだんじょん つー】
ジャンル | コスプレRPG | |
対応機種 | ゲームボーイアドバンス | |
メディア | 64Mbit+64KbitEEPROMカートリッジ | |
発売元 | ナムコ | |
開発元 | アルファ・システム | |
発売日 | 2002年10月25日 | |
定価 | 4,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
セーブデータ | 1個+中断データ1個 ※中断データは再開後自動的に消去 | |
周辺機器 | 通信ケーブル対応(コスチューム交換) | |
判定 | 良作 | |
テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク |
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)のRPG、「テイルズ オブ シリーズ」の各作品のキャラクターが一堂に会するクロスオーバータイトル「テイルズ オブ ザ ワールド」の1作目。「なりダン2」という略称が主に用いられる。
1作目なのに『なりきりダンジョン2』になっているのは「なりきりダンジョンシリーズ」で見た場合に『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン』が存在するため。
前作・『なりきりダンジョン』はあくまで「『テイルズ オブ ファンタジア』の続編」という体だったが、本作からはその他のタイトルのキャラクターも登場する「テイルズ オブ シリーズを内包する作品」として位置付けられた。
本作では本作発売以前に発売されていたタイトル、『ファンタジア』『デスティニー』『エターニア』の3作品のパーティキャラクターが総出演する。
前作のシリーズキャラクターはあくまで主人公を導く役どころであったが、本作では一定の条件を満たすことで共に戦ってくれるようになり、更に彼らのコスチュームも登場する。
また、戦闘システムも前作のほぼターン制と変わらなかった「プチLMBS(-リムス)」からシリーズ伝統の「リニアモーションバトルシステム」を採用し、『エターニア』のそれをベースとしたリアルタイムアクションでの戦闘が実現した。
ユグドラースと呼ばれる世界。
レグニアの町に住む2人の若者、フリオとキャロは大人として認められる年齢に達してはいたが、「成人の儀」を行うまでは正式には認められないために未だ子供扱いされていた。
本来、成人の儀は「アナスイの花」と呼ばれる花が咲く時期に行われるもので、もう花が咲く時期になっているはずであるにもかかわらず未だ咲いていなかったのだ。
2人はアナスイの花を咲かせてもらうべく、世界の中心とも言える「世界樹」の麓にある神殿に祈りを捧げに来ていた。
世界樹の神殿の最奥には女神と呼ばれる存在がおり、フリオとキャロの願いに対して姿を見せるも、「花を咲かせることは出来ない」と答える。
なぜ咲かせることが出来ないのかと訪ねていた2人を、突如迷い込んだ魔物が現れ、襲いかかる。
戦う術を持たず絶体絶命の危機に陥る2人だが、そこに一組の男女が助けに入る。
卓越した剣の腕前を持つ男性と癒しの力でそれを支える女性…彼らの力を借りてどうにか魔物を撃退することに成功する。
男性の名はクレス、女性の名はミント…魔物は彼らが仕留めきれなかったものが潜り込んできてしまったものなのだという。
世界樹の加護を最大限に受けている神殿に邪悪な魔物が迷い込むことなど本来はあり得ないはず。
女神は世界樹が力を失っていること、アナスイの花が咲かないのもそれに起因していること、そしてこのままでは待つのは世界の滅びという末路だと知らせる。
先程のクレスとミントはそれを回避するべく女神が異世界より呼び寄せた勇者の内の1人であるが、異世界の住人である彼らでは本当の意味でユグドラースを救うことは出来ない。
それ故に女神はフリオとキャロに世界を救うために力を貸して欲しいと頼むが、彼らにはクレス達のように戦う力など持ってはいない。
不安がるフリオ達に女神は着替えた服の職業になりきることの出来る不思議な「なりきり」の力を与える。
なりきりの力と勇者達の力、2つの大きな力を借りてフリオとキャロの世界を救うための戦いがこうして幕を開けたのだった。
レグニアの町を拠点に街の人達や歴代シリーズキャラクター達との交流やコスチューム強化などを図りつつ、各地に点在する各シリーズ作品のダンジョンを模したダンジョンに出入りし、レグニアの町で受注したクエストをこなしたりイベントを進めてゆく。
その職業のコスチュームを着ることでその職業になりきる不思議な力。
例えば、剣士の服を着ればシリーズでおなじみの特技「魔神剣」や「虎牙破斬」といった技を駆使して戦うようになる。
また、ダンジョンの攻略や謎解きなどといった要素で特定のコスチュームが必要になることもある(*1)。
その他、通常では特定のアイテムがなければ破壊出来ない岩を破壊したり、同じく特定のアイテムが無いと開けられない鍵を解錠出来たりするコスチュームもある。
前作では基本的に既にマスターしているコスチューム同士を組み合わせて新しい服を作成していたが、本作ではベースとなるコスチュームに「ルーツ」と呼ばれるアイテムを付与することで新しいコスチュームを作成する形となった。
また、ルーツ以外のアイテムを使う事も出来、その場合は使ったアイテムに応じて対象のコスチュームの能力を強化出来る。
勿論、特定のコスチュームに歴代のシリーズに登場したキャラクターに縁のあるルーツを付与することでシリーズキャラクターのコスチュームも作成出来、そのキャラクターになりきることも出来る。この場合、CVもそのなりきったキャラクターのものになる。
その他、前作同様にナムコの他作品のキャラクターのコスチュームも存在しており、同様にルーツと元になるコスチュームがあれば作れる。
また、ステビアの店でコスチュームに素材や特定のアイテムを付与する「ふくへんか」で特定のステータスを上下させる事が出来る。
ただしそのたびに料金がかかり回数に応じて加算されてゆくので、微妙なステータス増強を繰り返すと却ってコストパフォーマンスが悪くなる。
コスチュームに付与出来る追加効果で1つのコスチュームに3つまで追加出来る(*2)。
特定のステータスを高めたりといった基本的な所から、TP(*3)の消費量を抑える事が出来たり、呪文の詠唱速度を速めたりといったものもある。
「なりきり師」など一部を除いたコスチュームにはそれぞれ固有のボーナスアビリティが1つあり、上記の服変化を繰り返していくことでそれぞれの特徴あるコスチュームを作り上げられる。
シリーズお馴染みのシステム。
多くのシリーズ作品ではその場で作った料理を食べて効果を得るが、本作では作った料理を回復アイテムとして保管し、移動時に任意のタイミングで使用して回復する事が出来る。
ただし、「とらふぐ」という食材を使ったレシピ、シリーズお馴染みのある一部のレシピについては「ワンダーシェフ」もしくは特定のシリーズキャラクターの服を着なければ調理できない。
本作を進行させる要のシステム。
ゲーム中において活動拠点となる「レグニアの町」のマップ上でLボタンかRボタンを押すことで様々な噂話を聞くことが出来、たまに「○○が頼みたいことがあるらしい」という噂が出て来る。
これを聞くと、マップ上にフリオ達に依頼したいことがある人物のいる場所に「HELP!」のアイコンが登場する。
その場所に行って該当する人物からクエストの大まかな概要を聞き、その上で受諾することでクエストが開始(*4)。
クエスト受諾後は指定されたダンジョンで目的を果たせばクエスト達成となり、レグニアの町に戻って依頼主に報告するとクエストが完了となる。
報酬としてガルド(テイルズ オブ シリーズ共通の通貨単位。)やアイテムが貰えたり、時には料理のレシピを教えて貰えることもある。
これを繰り返すことでストーリーの根幹に関わる重要なストーリークエストが発生し、これをクリアすることで物語が進んでいく。
基本的にクエストは一部の重要なものを除いて失敗してもゲームオーバーにはならない。
クエスト達成後に全滅しても成功扱いになり、この場合ガルドだけもらえる。
なお、一部のクエストは受諾する際に特定のコスチュームをフリオかキャロのいずれかが着ていなければ依頼してくれない場合もある(*5)。
特定のアイテムを入手するクエストの中には、そのアイテム入手時にアイテムを狙うシリーズキャラクターが割り込んで来て、彼等を倒さないと入手出来ない事もある。
クエスト受諾後もシスター・ミルの教会で休めるが二泊すると期限が迫っていると警告が入り、未達成の状態で三泊すると依頼人は別の人物に依頼してしまうため失敗になる(達成後はメッセージが変わり二泊以上出来ない)。
余談だが、本作においてラストダンジョン内を除いてシリーズキャラクターと共闘するためには、このクエストをこなし続けてフリオ達に対する好感度(*6)を高めていく必要がある。
一部のシリーズキャラクターは好感度がある程度上がっていくと修行に誘ってくることがある。
これはシリーズキャラクターが指定したダンジョンで一定回数の戦闘を積み重ねるものだが、その際に獲得した経験値(*7)に応じてHランクからS+ランクまでの評価があり、その評価に応じてご褒美として貰えるアイテムが変化し、更に修行に誘ったキャラクターに応じて上昇するコスチュームの能力の数値も変動する。
Aランクを獲得すれば修行に誘ったキャラクターのコスチュームを作るためのルーツ、Sランク以上を取れば別の特定キャラクターのコスチュームを作るためのルーツが貰えるが、そのためには相当量の経験値を得た上でコンボも相当数のヒットを決めなければならない。
回数のカウントはあくまで勝利した戦闘の回数なので低い経験値の敵からは逃げ、高い経験値を得られる敵に多くのヒット数を稼いで勝利するなどしなければSランク以上の獲得は難しくなっている。
また、クエスト同様修行に行くためにはフリオかキャロのどちらかが特定のコスチュームである事を要求してくるキャラクターもいる(*8)。このタイプのキャラクターは「途中で着替えたら評価出来ない」旨の発言をするが実際はいくら途中で着替えてもペナルティは無い。
※レグニアの町の住人は多いため、一部のキャラクターにとどめる。
※仲間として共闘出来るキャラクターのみ記載する。
※下記の他にもコスチュームになっているキャラクター、およびボスとして戦えるキャラクターもいる。
ファンタジア | デスティニー | エターニア |
クレス・アルベイン | スタン・エルロン | リッド・ハーシェル |
ミント・アドネード | ルーティ・カトレット | ファラ・エルステッド |
クラース・F・レスター | フィリア・フィリス | キール・ツァイベル |
アーチェ・クライン | ウッドロウ・ケルヴィン | メルディ |
チェスター・バークライト | リオン・マグナス | チャット |
藤林 すず | マリー・エージェント | フォッグ |
チェルシー・トーン | レイス | |
ジョニー・シデン | ||
マイティ・コングマン |
「リニアモーションバトルシステム」の採用
「GBAにしては」という断り無しに質の高いグラフィック・BGM
やり込み甲斐のあるコスチューム育成
露骨な優遇不遇がない
ストーリー性が非常に希薄
「デスティニー」の主人公、スタンの一部イベントでの扱い
一部キャラクターの登場条件
コスチューム間の格差が強烈
自分なりの楽しみ方を見つけないと飽きやすい
該当シリーズ作品プレイ済み推奨な一部イベント
コスチュームごとの定石が固められていて育成幅が狭め
敵が落とすガルドが全体的に非常に少ない
周回プレイの引き継ぎ項目
本作の評価を支えるのはやはり携帯機でようやく実現した、「リニアモーションバトルシステム」によるリアルタイムアクション戦闘によるものが大きい。
そのためにストーリーを重視する人には大ハズレになってしまいかねないが、テイルズ オブ シリーズの特色であるアクションによる戦闘に魅力を感じている人にとっては「携帯機でもここまで出来るのか!」と思わせる程のものとなっている戦闘によって長くのめり込めるものとなっている。
また、クロスオーバー作品として見た場合も最近の作品に当たり前のように存在する優遇不遇の差、著しいキャラクター崩壊、踏み台といった要素が無いため、シリーズファンにとっては夢の共演がRPGでも実現したこととなり、歓迎された(*15)。
そのため、出演作品のファンであれば間違いなく楽しめるものとなっている。
しかしながら、繰り返しになるが、RPGとしてのストーリーの弱さはいかんともし難い所があるのは間違いない所で、この点だけは強い批判を受けることとなった。
逆に言えば、(RPGとしてはある意味邪道だが)アクションゲームとして割り切れればシリーズを知らない人でも楽しめる完成度にはなっていると言える。
2005年1月6日に『テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン3』がGBAに発売され、こちらは本作の3作品は勿論、その後発売された『デスティニー2』・『シンフォニア』の登場キャラクターを網羅し、発売された直後の『リバース』の宣伝を兼ねてか主人公のヴェイグ・リュングベルとヒロインのクレア・ベネットがゲストキャラクターとして登場する。
こちらはジャンルを「コスプレS-RPG」とし、複数のチームを組んでそれぞれを運用する形となったため、一度により多くのシリーズキャラクターを操作して遊べるようになったが、全体的に本作に比べて粗が目立つ出来となってしまっているため、否寄りで賛否が割れている。
なお、『3』でも本作の主人公であるフリオとキャロが設定は変更されたが主人公として登場し、本作の重要キャラクターが「『2』の設定のまま」でゲスト出演、更には『なりきりダンジョン』からディオとメルがなりきりショップ(*16)の店主として登場する。
本作および次作のジャンル名がジャンル名なので、一部でネタとして弄り倒されることになってしまった。
内容的には間違っていないのだが、当時(現在もかもだが…)の「コスプレ」という言葉の持つイメージ故のことなのだろう。
2011年に発売した『マイソロ3』には、今作の住民たちが新規イラストでクエスト依頼人として登場している。
*1 例えば、壊れてしまっている古代機械の装置を直すために学者のコスチュームが必要になる等。
*2 既に3つ付いている場合は新たにボーナスアビリティを付与することは出来ない。
*3 テクニカルポイント(Technical Point)。いわゆる他作品でのMP。
*4 クエストは同時に2つ発生するので概要を聞いて一旦断ることでもう片方のクエストの内容も確認出来る。
*5 例えば、剣士系統のコスチュームを着ていなければ受諾出来ないクエストを依頼しようとしているキャラクターに該当のコスチュームを着ていない状態で話しかけると「頼みたいことがあるのだけど…腕の立つ剣士はいないかな…?」といったような内容の話を聞くだけで終わってしまう。
*6 マスクデータ。公式な呼称ではなく、一般的に好感度や評価と呼ばれている。
*7 コンボによるボーナス経験値も含む。
*8 例としてチェスターと修行に行くためにはいずれかがアーチャー系統の服を着ていなければならない。
*9 パーティーとしては4人まで組めるため、1人は控えメンバーとなる。また、フリオとキャロは控えメンバーに回すことが出来ない。
*10 体力減少時に秘奥義の消費TP以上のTPが残っていれば発動出来るが、発動すると残りHPが強制的に1になる。
*11 前作ではコスチュームの育成と主人公のレベルの2つの概念があり、しかもレベルアップ時のコスチュームが能力成長に影響をおよぼすため、管理が難しかった。
*12 ゴーレム系に次ぐ防御を筆頭に全ステータスや雷以外の全属性耐性を持ち、使用してくる技の多くに敵専用の無敵判定がつ為まとまったダメージを与えるのが難しく、高レベルのパーティーでも一方的に全滅させられかねない。
*13 クレスはあるボス敵から盗めば序盤からでもなれるがこの時点でそれを安定してこなすキャラを育成するのが難しく、それ以降は彼との修行でAランクをとるか中盤以降に特定のクエストを幾つかこなしてようやく入手できる。リッドも特定のクエストを幾つかこなすかクエスト限定の敵から盗むか彼との修行でAランクを取るしかない。
*14 「エターニア」終盤で明かされるファラとラシュアンの悲劇、「デスティニー」のルーティとリオンのしがらみがクリティカルに扱われているが、どれも仄めかす程度にしか扱われないため初見では何の話をしているのかさえわかりかねるレベル。
*15 シリーズの共演だけなら既に『テイルズ オブ ファンダム Vol.1』があるが、こちらはアドベンチャーやパズルといった所謂ファンディスク的な物でありRPG要素はなかった。
*16 本作の「ステビア服飾店」に相当。