SIMPLE DSシリーズ Vol.39 THE 消防隊
【しんぷるでぃーえすしりーず ぼりゅーむさんじゅうきゅう ざ しょうぼうたい】
ジャンル
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消防アクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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256MbitDSカード
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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タムソフト
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発売日
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2008年6月26日
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定価
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2,800円(税込)
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判定
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なし
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ポイント
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見た目は微妙だがアクション自体は良質 ※現実の炎とは異なります バリエーション面でやや厳しい
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SIMPLE DSシリーズ
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概要
消防士となって火を消す、TPS形式のアクションゲーム。低価格ソフトシリーズ『SIMPLE DSシリーズ』のVol.39である。
ゲーム内容
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面クリア型アクションゲーム。十字ボタンとタッチペンを使って道路や建物の内部を動き、火を消す。
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十字ボタン(またはABXYボタン)で消防士を移動させ、タッチペンで放水することで火が消せる。二度押しでダッシュや緊急回避も可能。
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放水すると画面下の放水メーターが減っていき、メーターがゼロになると放水はしばらく止まってしまう。適度に放水を休んで自然回復させる必要がある。
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通常の放水のほか、広範囲の放水や薬剤入りの放水もできる(使用量制限あり)。閉まった扉は、装備を放水から斧に切り替え、壊して入る。
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制限時間があるほか、放っておくと火が延焼してしまう場合があるので、速さや的確性、順番を考える判断力も必要になる。
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プレイ時間は短いミッションで2~3分、後半の長いミッションで10~15分程度。
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操作可能キャラクターは火伏(新人・男)、新門(ベテラン・男)、纏(新人・女)の3人。1人ずつ操作する。
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各隊員にはレベルと、ステータス(体力、スタミナ、耐火、速さ、消火、技術)があり、ミッションをクリアすることで経験値が貯まりレベルアップする。
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各隊員によって、レベルの上がりやすさやステータスの高低に特徴がある。
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同じ隊員を使い続けると体力が減っていくため、違うミッションに挑戦する際に適度に交代しなければならない。
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基本的なクリア条件は、「全ての火を消し消火率を100%にする」か、「施設内にいる救助者を全員助ける」、またはその両方。
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火災の舞台などによって、床から炎が噴き上げる、天井が崩れる、バックドラフトで扉から炎が出るなどといったギミックがプレイヤーを妨害する。
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炎の噴出に巻き込まれるとダメージ。体力がゼロになると強制ミッション失敗になる。
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喰らったダメージやかかった時間、炎の消火率などによって、ミッションごとにランクが判定される。最高位は「S」。
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一度クリアしたミッションは、自由に「訓練」としてやり直すことが可能。
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いわゆる実績にあたる、「表彰」もある。
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クリア後には、隠しミッションとしてボスラッシュのミッションと非常に長い制限時間35分のミッションが追加される。
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ミッションは1レベルごとに6面用意されているのだが、各レベルの最後のミッションには「ボス炎」が出現する。
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ボス炎とは「意志を持った(ように)プレイヤーに襲いかかってくる」炎であり、プレイヤーに攻撃してダメージを発生させる。
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通常の炎と同じように放水を当て、倒すことでクリアとなる。
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中盤以降は、一般の炎でもプレイヤーに向けて炎を飛ばしてきたりする。
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しばしば、ミッションの代わりに「イベント」が挟まれる。
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「木から下りられない」など、困っている人を助ける(レスキュー隊のような役割)。特にアクションはなく、経験値が貰えるボーナスミッション。
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パラメータが高い隊員でクリアするほどクリアランクが高くなり、獲得経験値も上がる。
評価点
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操作感は良く、十字ボタンとタッチペンを併用する形ながら動かしやすい。ABXYボタンにも対応するので左利きでも安心。
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カメラも見やすく、端に寄っても壁のアップになってしまったりすることはあまりない。
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上画面にはレーダー付きマップが表示されていて、ゲームの進行を大きく助けてくれる。
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適度にシビアであり、アクションゲームとしては程良い難易度。
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クリアだけなら初見でも大体なんとかなるが、それなりに苦戦はするはず。
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さらにクリアランクをSにしようとすると、操作の的確さや特殊放水の使いどころなども影響してくる。一筋縄ではいかない。
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クリアランクに応じた実績要素があるので、繰り返しプレイの意義もある。
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現実味を重視せずゲーム的な盛り上がりを高めた結果、妙にシュールになってしまっている演出の数々。
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唐突に足元から異様な火力で炎が噴き上げてきたり、プレイヤーが廊下を進むとちょうど目の前でシャッターが閉まったりとお約束のような演出が多々。
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ボス炎の演出は、もはやファンタジー作品などに出てくる炎のモンスターの様相を示している。
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プレイヤーに炎を飛ばしてくるのは序の口で、プレイヤーを追尾して追いかけてきたり、巨大化して小さい炎を撒き散らしたり。
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挙句の果てには車に憑依して暴走させたり、ドラゴンに変身して地面を這いまわったりする。
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ミッション名も「戦いの記章」「炎の怪鮫」「狂気の鉄扉」など、「何のゲームだっけ?」とツッコみたくなるほど仰々しい。
問題点
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ストーリーと言えるものが殆どなく、ほぼ完全にアクションに徹してしまっている。
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消火前に火災の現場を確認するとか、消火後に助けた住人からお礼を言われるとか、そういったセリフ類が一切ないのが残念。
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イベントについても、一切やりとりなどはなく、「○○していた人を救助しました!」といったメッセージが出て終了。中身が全くない。
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会話と言えるようなものは、ゲーム開始時やレベルクリア時に各消防士のやりとりが2~3言ずつある程度。
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ステージ数はそこそこあるものの、火災の舞台やギミックのパターンは中盤あたりで枯渇してしまう。
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火災の舞台は屋外、倉庫、屋内(2種)の4つのみ。30面以上のミッションがある割にパターンは少ない。
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道や障害物の配置、色合いなどを変えたり、ガスを発生させたりと工夫してはいるが、それでも飽きさせないというには程遠い。
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天井が落ちてきたり床が抜けたりの妨害ギミックも、見慣れてしまうとイライラの要因になりかねない。
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十字ボタンとABXYボタン両方に移動が割り当てられているため、たまに誤動作が起こる。
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右利きなら左手で十字ボタン、右手でタッチペンを操作することになるが、右手がABXYボタンに触れてしまうことがある。
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オプションなどで、十字ボタンとABXYボタンのうち片方の操作を止められるようになっていればよかったのだが。
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ミッション失敗時の、プログラムミスと思われる仕様。
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体力や時間制限が尽きてミッション失敗になった場合にやり直すかどうか訊かれるが、ここで「いいえ」を選ぶとセーブしないままタイトルに戻ってしまう。
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当然、セーブしていない場合は最後のセーブからやり直しである。
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自分でポーズ画面からミッションを中断した場合はメニュー画面に戻ってくれるので、中断するにはこれを使うしかない。
総評
『THE 歩兵』あたりの経験を活かしたのか、消火という行為をTPSとして単純化、うまく完成させている。
操作性が良いためストレスは少なく、炎を放水でひとつずつ消していく爽快感も悪くない。他にも難易度など、アクション作品としては万人向けにまとまっている。
ただし良くも悪くも非常に原始的な造りで、特にギミックのタネが粗方尽きた後の後半は飽きがきやすい。
ボリュームも1周するだけなら10時間もかからず、単純な分戦略性はそれほどではない。
あくまで暇つぶしとして、オーバーな演出をネタにしながら楽しめる人向けの作品だろう。
最終更新:2022年12月22日 19:42