MOTHER2 ギーグの逆襲

【まざーつー ぎーぐのぎゃくしゅう】

ジャンル ロールプレイングゲーム
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対応機種 スーパーファミコン
メディア 24MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 エイプ
パックスソフトニカ
ハル研究所
発売日 1994年8月27日
定価 9,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2013年4月27日/900円(税5%込)
【New3DS】2016年3月4日/926円(税8%込)
書換 ニンテンドウパワー
1997年9月30日/1,000円/F×6・B×4
判定 良作
ポイント グラフィック・音楽・ゲーム性・すべてが高水準の正統続編
ユーモアと切なさが同居する糸井節
MOTHERシリーズ
MOTHER / MOTHER2 / MOTHER1+2 / MOTHER3


ストーリー

西暦199X年のある夜。
イーグルランドの田舎町オネット郊外に住む主人公の少年は、裏山に落ちた隕石から現れた謎の未来人ブンブーンに出会う。
ブンブーンは未来の地球は「侵略者ギーグ」によって惨憺たる有様にある事、その未来を阻止するために10年後の未来からこの時代へとやってきた事、そして主人公が予言に記された「ギーグを倒す4人の子供たち」の一人であることを少年に告げる。

にわかには信じ難い内容だったが、ブンブーンを追って現れたギーグの刺客「スターマンのむすこ」とブンブーンが繰り広げる激闘を目にした少年は、ブンブーンが語った内容は事実なのだと理解する他なかった。

少年はブンブーンの助言に従い、自身の中に眠る力を呼び覚ますカギとなる地球上に8つ存在する『パワースポット』と、共に戦う3人の仲間たちを探すため、住み慣れたわが家を旅立つのだった。


概要

名作『MOTHER』(以下、『1』)から5年の時を経て発売されたシリーズ2作目。現代アメリカ風の世界を舞台に、主人公とその仲間たちによる戦いと冒険の旅を描いたコマンド式RPG。
プラットフォームをSFCに移し、前作の雰囲気を継承しつつ大幅にパワーアップして帰ってきた。

基本的な要素は前作を継承しているが、シナリオや世界観の面では繋がりはない。
これは本作が「(ハードの制約や技術的な面で)『1』でやりたくても出来なかったことを本作でやる」という意図のもとで作られており、初代の続編というより「独立した作品」としての位置づけが強いためである。


シナリオ・演出・作風

  • 糸井重里氏が全てを手がけた抜群のシナリオと演出は本作の大きな魅力。キャラクターのセリフにおける糸井節も健在。
    • 容量が増え、ゲームのテキストに漢字が用いられることが一般的となってきた中で、本作は意図的に漢字を排し、ひらがな・カタカナ表記のテキストにこだわっている。
      • これは、「テキストを目で読むのではなく、1文字1文字の音を大切にして、プレイヤーに音読させたい」という糸井氏の考えによるもの。
    • インパクト抜群のセリフ回し・テキストは『1』から更に大幅パワーアップしている。
      メインシナリオはもちろん、街のモブ・敵・動物、更には看板や注意書き・説明文に至るまで随所に小ネタが仕込まれている。街を歩き回ってモブに話しかけたり調べまわるだけでも楽しい。
      • これらのテキストや小ネタはゲーム進行によっても大幅に変化する。ゲーム進行上まったく行く必要のないタイミングでも変化する場合も少なからずあり、世界観の構築に一役を買っている。
  • 鈴木慶一氏(ムーンライダーズ)と田中宏和氏の手がけたポップでメロディアスな音楽は、シナリオの展開と相まって要所要所でプレイヤーの感動を誘う。
    • 「音楽を大事にする」という前作のコンセプトも継承している。プラットフォームがSFCに移り、「PCM音源の特性を活かせるアイデア」も大幅に増えたことから、「音楽でどこまで遊べるか」にもチャレンジしている。そのため、作中BGMはもちろん、効果音一つとっても遊び心がこもっている。
    • 例として、BGMの中にはアメリカで大ヒットした楽曲のイントロをサンプリングしたものが多く用いられており、現代アメリカ風の世界観にマッチしている。
    • 本作で集めるエイトメロディーズ「SMILES and TEARS」は、作中の演出と相まって非常に評価が高い。
    • ファンサービス的な要素として、前作のBGMが随所にアレンジされて使用されている。
    • サンプリング音もバリエーションが多く、あるボス戦で生々しいゲップの音が鳴ったり、ネーム決定時に「OKすか?」と聞かれたり、自転車のベルの音が鳴らせたりと多種多様。
    • 敵の種類によって変化する戦闘BGMも数が豊富になった。
    • 容量的にも贅沢な使い方をしており、ROM容量の三分の一にあたる8Mbitを音楽に充てている。*1
    • 前作がポップ・ロック寄りなサウンドだったのに対して、こちらはビッグバンドやカントリーミュージックの志向が見られる。毛色の違う音楽性の差を耳でも楽しめるのも特徴である。
  • 前作が比較的クラシックなアメリカンカルチャーを題材に、少年期の冒険やノスタルジーを描いていたのに対し、本作はドラッグムービーやトランステクノなど、「前衛的」なサブカルチャーを前面に押し出している。
    そのため、文法の崩壊したエキセントリックなキャラクターが多数登場したり、意図的に不条理なシナリオ展開を見せるなど、一見牧歌的に見える世界観に混ぜ込まれたサイケデリックな作風が、大きなギャップを醸し出す。
    • 特に、戦闘時はBGMがエフェクトを多用したトランス調であったり、戦闘画面の背景が「オプアート風の鮮やかな絵柄がうごめくアニメーション」*2になった他、PSIや一部アイテム使用時のエフェクトが、抽象的なサウンドと独特な幾何学模様のアニメーションで演出される等、この傾向が顕著。
      • そしてラスボス戦は、この背景実装をかなりユニークな形で活用している。その成果は、ハードが格段に進化した現在のゲームを差し置き、未だに、「最も不快で恐ろしいラスボス戦」と評される事がある程。
    • 西洋圏の文明描写に対し、東洋圏の文明観を意識したスピリチュアル的な要素や、ドラッグカルチャーを思わせる要素が含まれているのも特徴である。
  • 本作は、地球規模の世界を舞台にしたスケールの大きな世界観が特徴で、都会、異国、魔境、地底世界など様々な場所を冒険していく。
    • 王道的な冒険ムードのみならず、シュールかつ不条理で不気味な雰囲気を醸し出すシチュエーションも多い。特に、ムーンサイドの街やラスボス戦の演出は、生理的嫌悪感を煽るトラウマシーンとして、よく名が挙がる。
  • シナリオの骨子は、「世界の救世主として選ばれた少年が仲間を探して旅立つ」というもの。
    • 世界観は、前作同様アメリカンながら、ノスタルジックで現実的な雰囲気が強かった前作に比べると、王道的かつファンタジックなテイストが前面に出ている。

メインキャラクター

+ ...
  • ぼく(デフォルト名:ネス)
    • イーグルランド*3の田舎町オネットに暮らす野球好きの男の子。未来からの来訪者ブンブーンより自分が地球を救う救世主たる存在であることを知らされ、内なる秘められた力を解放する8つのパワースポットと、共に戦ってくれる仲間たちを探しに旅立つ。
      • 素早さはやや低めだが、能力値は全体的に高い。習得するPSIは前作主人公同様に、回復・補助系がメインだが、今作では彼にしか使えない無属性の専用攻撃PSIが追加され、よりオールラウンダーな主人公らしさが確立した。
  • おんなのこ(デフォルト名:ポーラ)
    • オネットの隣町ツーソンで話題の超能力少女。
      予知能力とテレパシー能力を持ち、予知夢で見たネスと運命を共にすべく彼に呼びかけを続け、共に旅立つ。
      • 前作の「おんなのこ」と同様に、HPと物理攻撃力の低さという欠点を持つが、彼女にしか扱えない強力な攻撃PSIの数々と素早さの高さが補っている。
        攻撃力自体も前作の「おんなのこ」より上がっているため、物理攻撃でも十分役立ってくれる。
  • おともだち1(デフォルト名:ジェフ)
    • ネスたちの危機を救うべくウィンターズ*4のスノーウッド寄宿舎から駆け付けてきた科学少年。
      • PSIは使えないが、IQの成長に応じて壊れた機械を修理して武器や戦闘用アイテムに作り変えたり、彼にしか使用できない強力な戦闘用アイテムを扱える。
        また「チェック」コマンドで敵の情報を知ると共にアイテムをくすねることができる。
  • おともだち2(デフォルト名:プー)
    • 東の異国ランマ王国の王子。パーティの最年長。「ム」の修業を終えると共に自身が選ばれし子供の1人であることを知らされ、主人公一行の元へ駆けつけてくる。
      • 「異国出身ゆえに西洋の料理や衣類・道具の類は体質に合わない」という設定があり、回復アイテムや装備品は専用のもの*5が用意されており、通常のアイテムや装備品を使うと逆に回復量やステータスが大幅に低下してしまう*6
      • 攻撃PSIは(味方では)彼にしか使えないスターストーム系を中心に、一部、他のキャラが使えない上位のPSIを扱える。
      • IQが低めなため最大PPが少なく、高威力のPSIを連発するとガス欠を起こしやすいのが欠点。
  • ポーキー・ミンチ
    • 「ぼく」の隣人ミンチ家の長男。「ぼく」の旅立ちのきっかけを作った張本人でもあり、やがてギーグの手下として旅を妨害すべく暗躍するようになる。

新システム

本作の特徴は、前作から引き継がれているものが多い(詳細は『MOTHER』の特徴項を参照)。
一方で、他ではあまり見られない、本作独自の特徴的かつ意欲的な新システムが搭載されている。

ドラムロール式パラメータ

  • ダメージや回復によるHPの増減が一挙になされるのではなく、ドラムロールの回転によって徐々になされる。
    • つまり、HP残量を上回るダメージを受けても、HP表示が完全に0になるまでは行動が可能。0になるまでに回復すれば、力尽きることはなく、さらに体力減少は戦闘終了時にストップする。
    • このシステムを活かして、「敵から致命的なダメージを受けても、あえて回復せず、すばやくコマンドを入力して、HPが尽きる前に敵を全滅させる」・「回復をしたときは、ドラムの回転が止まるまでコマンド入力せずに待ち、致命的なダメージを受けた際に、より多くの時間が稼げるよう備える」・「倒すと爆発して大ダメージを与えてくる敵を最後に倒し、ダメージを最小限に抑える」などの様々な戦略を練ることができる。
      • このシステムのおかげで、素早さが低い=行動順が遅いことにも利点が出ている(ネスは行動順が遅いが、致死ダメージをHP回復で無効化する機会が非常に多い)
    • 下記のパラメータ「ガッツ」が高いと、ごくまれにHPが0になっても気絶せずHP1で踏み留まることがある。
  • 新たなステータス項目「ガッツ」
    • この項目の値が高いと、クリティカルヒット(SMAAAASH!)が出やすくなる他、致命傷を負ってもHP1で踏みとどまる確率が高くなる。

シンボルエンカウント方式

  • フィールド上を主人公と同様に移動している敵シンボルに接触することで戦闘に突入する方式。
    • そのへんを適当に歩いている動物系や道路上をうろつく乗り物系の敵、こちらが近づくまで動かない植物系の敵、不規則な挙動やワープを駆使する宇宙人系の敵など、敵シンボルは種類に応じてそれぞれ特徴的な動きをする。
      • フィールド上の車や動物・植物系のモンスターなどは、近づいてみないと敵かどうか判別し難いが、人間系の敵の場合は、フィールド上の一般人キャラと動きが異なること以外に、「顔色が悪い」という特徴で区別されており、視覚的にわかりやすくなっている。
    • 1つのシンボルは敵1体に対応する。複数の敵シンボルがいる場合、敵シンボルと接触すると付近にいる敵シンボルも吸い寄せられるように近寄ってきて、複数の敵と戦闘することになる(一部、単体でしか出現しない敵もいる)。
    • 敵シンボルとの接触の際に、敵の背後から接触すると先制攻撃を行える。逆にこちらの背後に接触されると敵に先制攻撃される。
    • パーティメンバーのレベルが大幅に高い場合、敵シンボルが逃げていくようになる。
      • また、「パワースポット(おまえのばしょ)」のダンジョンをクリアした場合も、そのダンジョンの雑魚敵限定で逃げるようになる。レベル上げに便利。
    • 敵が弱い場合は、戦闘シーンを省いて一瞬で勝利できる。
      • ただし、敵に背後を取られた場合や、味方の健康なキャラ(状態異常にかかっていないキャラ)よりも敵の数が多い場合は、必ず戦闘画面に入る。

個性的な状態異常

  • 他作品ではあまり見かけないユニークな状態異常が多数存在する。
    • 主人公限定の状態異常「ホームシック」の他、「日射病」・「気持ち悪い」・「変」・「キノコ」・「ゴースト」・「ダイヤモンド」とバリエーション豊かで、その効果も様々。
      • これらの治療法も一風変わっているものが多い。例えば、ホームシックになった場合は、母親に会いに行くか電話をすれば克服でき、頭にキノコが生えた場合は、ヒーラーやキノコ狩りをしている人に買い取ってもらうことで治せる。

味付け小物

  • 食べ物系アイテムの使用時に、自動的に併用されるアイテム。「しお」・「タバスコ」・「コンデンスミルク」などの調味料類である。
    • その食べ物と相性が良ければ、回復量が2倍になる。例えば、ゆでたまごとしお、ピザとタバスコ、バナナとコンデンスミルクなどの組み合わせが相性が良い。
    • 味付け小物は安価なので、高い回復効果を持つアイテム一個を購入するより、低い効果のアイテム+相性のいい味付け小物を買う方がお金の節約になる。また戦闘中に1ターンで大きく回復できる利点がある。
    • PPを回復したり、基礎能力値を上昇させる貴重なアイテムにも適用されるため、上手く使えばゲームを楽に進められる。
    • ただし、味付け小物と回復アイテムの分で、貴重なアイテム欄を二つ占有するというネックもある。また、味付け小物の消費は強制なので、持ち物の組み合わせに気を付けていないと、相性の悪い食べ物に対しても勝手に使用されてしまう。この辺りの駆け引きも含めてユニークな要素ではある。
    • 味付け小物単体で使用することも可能だが、回復量は極めて低い。

どこでもアイテムの管理・売買が行えるシステム

  • 運送屋・ピザ屋
    • 電話で連絡をすると、一定時間後に担当員が駆け付け、運送屋ではアイテムの出し入れ(有料)、ピザ屋では回復アイテムの購入が可能。
      • ストーリー上、一時離脱してしまう仲間キャラにキーアイテムを預けていた場合、離脱と同時に自動的に運送屋に預けられる。その旨は、ちゃんと電話で伝えられるので心配は無用。
    • ピザ屋は、アイテム欄に空きが全くない場合はキャンセル扱いとなり、受け取れない。また、注文可能な数は、1度につき1つのみ。
  • アイテム「道具屋の看板」
    • 看板を見つけた客が全力ダッシュで近付いてきて、不要なアイテムを買い取ってくれる。敵の蔓延るフィールドだろうと、ダンジョンだろうと、お構いなしでおじさんやおばさんが駆けつけては消えていくその流れは、なかなかシュール。
  • 双方ともに、地上フィールドの他、ダンジョン内でも利用可能
    • ただし、一部のダンジョンと、地底大陸のフィールド上では使用不可。使用不可能な場所で連絡したり、連絡後に使用不可能な場所へ移動した場合、苦情の電話がかかってきて、強制的にキャンセルされる。また、連絡後、客・担当員が来るまでの間は、テレポートでの移動ができなくなる。

前作からの改善点

エンカウントの煩わしさの解消

  • 前述のシンボルエンカウント方式の採用に伴い、エンカウントの煩わしさが解消された。
    • マップの広さに対して考えれば、敵シンボルの配置数は比較的少なめで、程よいエンカウントで戦闘が楽しめる。
    • 上記のように状況次第では敵シンボルが逃げていったり、戦闘シーンを省いて一瞬で勝利できる。余計な戦闘を省いてゲーム進行が快適になる他に、自分の成長を実感できる演出的効果もある。
    • 敵シンボルに接触さえしなければ戦闘が起きないため、敵シンボルを回避する手段を使えば戦闘を回避できる。
      • 具体的には、テレポートのダッシュの利用や、フィールドの画面表示範囲の調整による敵シンボル出現判定のやり直しなどがあるが、ややテクニカルで難しい。
      • 後述のアイテム「スキップサンド」を用いて移動速度を上昇させることでも敵シンボルを回避しやすくなる。
    • 戦闘終了後は、一定時間敵シンボルをすり抜けることができる上に、この時は敵が追ってこない。
      • この間に、敵シンボルを通り抜けて先に進んだり、敵の背後を取って先制攻撃を狙うことができる。

戦闘バランスの大幅改善

  • ジェフは、前作で似た役割だったロイドに比べると、武器や専用アイテムの有用性が格段に上がった事で強化された。
    • 中でも、消費型アイテム「ペンシルロケット5」は安価ながら威力が高く、乱用こそ出来ないが、半ばバランスブレイカーな攻撃系アイテムとなっている。
      後半になると、安価ではないが威力が更にエスカレートした「ペンシルロケット20」も買えるようになる。消費アイテムだけあって、その威力はネスやプーが持つ最強PSIさえ凌ぐ攻撃力を持つ。
  • PSI攻撃が得意なポーラは、PKフリーズが対単体で非常に効果的なダメージソースになる。通常攻撃も、他の三人には劣るものの十分使っていけるレベルになっており、すばやさも高い。回復系のPSIを取得せず、基礎体力が低い弱点を継承していることで、バランスが調整されている。
    • 前作のアナは、参入時期が遅いわりに低レベルで入ってくるゆえに足手まといになりがちだったため、参入の早さこそが決定的な改善点という評価もある。
  • 主人公に補助系PSIに加えて強力な専用攻撃PSIが追加され、高いレベルでオールマイティに対応できる主人公らしい能力となった。
  • 敵の強さも、システムを理解すれば目立って理不尽となる部分はなく、問題なく仕上がっている。難所も多いが、初心者でもレベルをしっかり上げればほとんどの場面でゴリ押しが可能。
  • 「にげる」の成功確率が前作に比べ上がっており、実用的になった。
  • PSIの種類が整理された
    • 攻撃系・回復系・アシスト系の3つに体系化され、内容の大幅な整理が行われた。
    • フィールド上で回復・アシスト系のPSIを使う際には、効果の説明を参照することができる。特に、ヒーリング系のPSIの効果がわかるようになったので使いやすくなった。
    • ヒーリングの仕様が、段階を追って治せる状態異常の数が増えていく上位互換式になり、前作のように状態異常毎に使い分ける必要がなくなった。

ゲーム進行の快適さの向上

  • 有料ヒント屋の追加
    • 本シリーズは一般人のセリフが豊富だが、攻略と関係無い「雑談」が多く、一度詰まるとヒントや原因に気付きにくいので、救済措置としての有用性は高い。
    • 前作にも存在はしたが、聞けるのが一部の重要事項に対するヒント3つのみだったのに対し、本作では進行状況に応じて教えてくれる内容が随時変わっていく。ヒント内容も分かりやすく、すべきことをピンポイントで教えてくれることもあったりと利便性が向上している。
      また、総額3000ドルもかかった前作に比べ、値段もお手頃。
    • ただし、このヒント屋も、ヒント以外にユニークな小話を話してくることがある。
  • 「はなす」や「チェック」のコマンドを、ワンボタン&片手で実行できる「便利ボタン」がLボタンに割り当てられた。
  • 移動性能の改善。
    • 前作に比べて、フィールド上での歩行速度が上昇した。マップ自体が前作よりも狭くなっているため、相対的にテンポの遅さはあまり感じずに済むようになった。
    • 「スキップサンド」系の消費アイテムは序盤から購入でき、移動速度が一定時間上昇する。
      また、高速移動できる乗り物として「じてんしゃ」が存在する。ただし当たり判定が大きく、非常に操作し難い上、「2人乗り禁止」ということで乗れるタイミングも限られる*7ため、高速移動手段というよりはお遊びアイテムといった感じのものだが。
    • 発動に助走が必要なPSI「テレポートα」を途中でわざと失敗し、助走を高速移動代わりに使うという小技もある。
  • 1人あたりのアイテム所持可能数が増えた。
    • 前作の8枠から、6枠増えて14枠。ただし前作と異なり装備中の武器・防具(計4枠)はアイテム欄に残るため、実質的に増えたのは一人当たりアイテム2個分。(装備中のアイテムには[E]マークがつく)
    • 回復アイテムも、1人で十分な数を持てるようになり、ドラムロール式戦闘システムの採用もあって、HPが減少しているキャラクターに対するフォローもしやすくなった。
    • 上述のように、アイテムの管理を便利にするシステムも追加されて、管理が楽になった。
  • 前作では、1種類しかなかったPP回復アイテムが、数種類用意された。

グッズの効果について詳細な解説の追加と、遊び心溢れる『説明』

  • キーアイテムから装備品、回復グッズに至る全てのアイテムに「せつめい」が付き、詳細が具体的に解説されるようになった。
    • 繰り返し使えるタイプのアイテムは、使用回数まで教えてくれる。装備品は、装備できるキャラや、耐性まで説明してくれるようになった。
      回復グッズも、数値付きでどれくらいで回復するか教えてくれる上、移動速度アップのスキップサンドも、何秒効果が持続するか丁寧に教えてくれる。
  • やたら長文で凝った説明のついたグッズもある。
    + ...
    • 例えば「サマーズふうパスタ」の解説は……。
      「16せいきの サマーズおう サマーズ3せいが このんだといわれている パスタだ。
      とうじの サマーズきゅうでんには うでにおぼえがある りょうりにんが
      たすうでいりしていた。あるなつのひのこと、サマーズおうのきさき
      アンナ・サマーズが「ああ、おいしいパスタがたべたい!」と…。
      ……………。
      ………せつめいがながくなりそうなのでけつろんをいおう。
      たべるとたいりょくがやく110かいふくする。」
      

    (以上、原文ママ)、とこんな感じである。ゲーム内容とは全く関係のない文章だが、読んでいると楽しくなってくるだろう。

    • 「ブタのはな」も、同様に長い説明文になる。もちろん、長い説明文ばかりではないが、一言コメントが添えられていたりと、よりグッズの特徴を引き立てているため、どんなモノかおもしろおかしく想像しやすくなっているのもポイント。

ストーリー展開の説明不足感の改善

  • 前作では、ゲーム中でストーリーの道筋がキャラクターのセリフから明かされる要素はかなり少なかったが、本作ではテキスト面での説明不足感は解消されている。
    • ゲーム開始冒頭でラスボスの素性や冒険の目的が簡潔に語られる他、シナリオ毎のボス攻略後に次の目的地が示されるなどして、話の筋道や次に向かうべき目的地がわかりやすくなっている。

その他

  • オフェンスとディフェンスが独立したステータスとなったことで、カプセルやキャンディの使用価値が上がった。
  • 当時の他RPGだと死にステータスなことが多かったバイタリティ(体力)はHP上昇率に関わる。
    またIQ(知力)が上がるとPP上昇率が目に見えて上がる他、ジェフのIQは発明品修理可能に関わるなど大きく重要性を持たせている。
  • テキストデータの容量に余裕ができたため、前述の糸井節を前面に出した味わいのあるセリフを口にする脇役が増えた。ゲーム本編とは無関係のメタ発言・パロディ発言をすることも。
  • 回復アイテムは前作と同様に主に食料品だが、主に訪れる土地の名物となっており旅情感溢れるものが多い。
    • 中には前作から引き継がれた「いちごとうふ」や「いのちのうどん」など珍妙なものもある。
  • 戦闘で味方全体が戦闘不能状態に陥るとゲームオーバー。
    • 前作同様、コンティニューすると進行状態やレベル・アイテムなどのステータスは維持された状態で主人公のみ復活し、所持金半減のペナルティを受けた上で、最後にセーブした地点から再スタートとなる。(ATMに預けたお金は減らないため、道中の稼ぎは損なわれない)

賛否両論点

シナリオの作風

  • 前作同様、世界の情勢やキャラクターの心情などの描写が極めて少なく、シナリオの細部をプレイヤーの想像に委ねるスタイルをとっている。
    • 特に、冒頭から登場する主人公の隣人ポーキーが敵として暗躍するようになってしまうまでの経緯が一切語られない。プレイヤーがその動機を推察することすら極めて困難なほど、ポーキーに関する描写は少ない。
    • このように、プレイヤーの感性に委ねる点が多い点などを含め、万人受けし難い要素も比較的多い。上述の行動範囲の狭さや、パーティの自由度の低さも含め、RPGというジャンルに対して「自由度」や「ストーリーの作り込み」を求めるプレイヤーには不向きであり、そういう意味において本作も人を選ぶ作品ではある。
    • ただし、シリーズを通して物語の核心部分は語られない傾向にあり、そこをプレイヤーの想像に委ねる点は良くも悪くも「MOTHERならではのスタイル」と言える。
      設定やストーリーを深く作りこんだ作風を好むユーザーにとっては批判点になりやすいが、この辺りの評価に関しては、やはりプレイヤーの感性や受け取り方次第によるところが大きいだろう。

一部の難所

  • オネットが明るくなるまでストーリーを進めると、ゲームセンターを含めた町などのエリアに行けるようになるが、ゲームセンター周辺にはシャーク団系の敵が徘徊しており、シャーク団系の敵はゲームセンターに行けるようになったばかりの主人公ではまず勝てないほどの強さを持つ。
    • ゲームセンターは町中にあるので、普通に探索してもゲームセンター周辺に来てしまう可能性もあり、ろくな準備もせずにシャーク団系の敵に出くわして倒される事もありえる。
  • ハッピーハッピー村に行く時に通過する事となるグレートフルデッドの谷は、仲間を増やす・回復する・PPを吸い取ったりする敵や、カゼ状態やキノコが生えた状態にする敵、倒すとこちらに大ダメージを与えてくる敵などが出てくる上に、最初は主人公一人で通過しなければならないため難易度が高い。
  • ジェフ一人で攻略する事になるウィンターズのあばれゴートは、ジェフのレベルが低い内は倒せない程でもないがかなり危険であり、ストーンヘンジ周辺にいるビッグフットは攻撃を外す事が多いがその分ステータスが高めであり、戦うと運ゲーになりがち。
    • もっとも、ジェフの初期所持金は少ないため、全滅して所持金が半分になった所でたいしたデメリットは無いが。
  • スリークやその地下通路に「とりつかれている」状態*8にする敵が存在し、「とりつかれている」状態は病院や温泉のような状態異常治療施設でしか治せない。
    • 敵の全体攻撃で幽霊が倒されて回復する事もあるが、この時点では全体攻撃する敵もおらず実用的ではない*9
  • 他にも、ポーラ無しかつ雑魚敵が強敵のフォーサイドの停電しているデパートや、主人公一人で攻略するマジカント深部とエデンの海もスリリング。またマジカントに出現する敵は、レベルを99に上げようと思えばまだ現実的といえるほどには経験値を持っているので、マジカントでレベル上げによるゴリ押しに頼りすぎると、下述の主人公のパワーアップイベントに引っかかる恐れもある。
  • ラスボス戦の第三形態以降は、勝利するのに特別な手順を踏む必要があるが、第三形態時に移行する際のある人物の台詞がヒントになっているものの、それに必ずしも気づけるとは限らない上に、「特別な手順」そのものについても、普段なら実用的ではない行動がキーとなっているため、場合によっては気づけないまま敗北という事態にもなりうる。
  • パーティの強制離脱、敵の火力のインフレ、敵の「ぬすむ」、ラストダンジョン、期間限定のレアアイテムについては問題点を参照。

回復系グッズ関連
本作には数多くの回復系グッズが登場するが、大半のグッズは実用性に乏しく、実用性のある回復系グッズは限られている。

+ ...
  • HP回復グッズ
    • 実用性を重視するなら、序盤のオネット攻略中に購入するHP回復グッズは「ハンバーガー」一択となる。ツーソン以降は後述の「ピザ (Lサイズ)」も購入でき、ピザ系回復グッズに頼らないとしても、サマーズまでに購入する実用性があるのは数個に限られる。そして「ピザ (Lサイズ)」に頼るとサマーズまでは味付け小物と併用した「ほしにく」くらいしか実用性がない。
    • ツーソン以降はマッハピザを利用する事で2種類のピザ系回復グッズを購入できるようになるが、その内の「ピザ (Lサイズ)」が非常に強力。その効果は「プー以外の味方全員のHPをかなり回復」するというもので、それこそラスボス戦まで実用性があるレベルである。味付け小物で強化できない、プーには効果がないに等しいなどの弱点はあるが、それでも強力な事に変わりない。
    • サマーズのご当地HP回復グッズの「クラーケンのスープ」も強力。プー以外の味方1人のHPを全回復させる効果があり、ほかの多くのHP回復グッズが見劣りしてしまう。サマーズでしか購入できない弱点も、サマーズ以前にテレポートを覚えるのでたいして気にならない。
  • 状態異常回復グッズ
    • 状態異常回復グッズの中でもサターンバレーまでは「すっきりハーブ」が強力で、サターンバレー以降は「いのちのつのぶえ」が強力。すっきりハーブはヒーリングβと同じ効果で、毒を回復する「けっせい」の購入の実用性を奪い「ぬれタオル」の購入の実用性を下げている。「うらカンポー」も「いのちのつのぶえ」の完全下位互換なのでストーリーの比較的早い段階などで購入するかしないかとなっている。
    • 「いのちのつのぶえ」はヒーリングΩと同じ効果があり、状態異常回復アイテムとしては最強の性能。「いのちのつのぶえ」以外の全ての状態異常回復グッズの完全上位互換となっている。値段が高くサターンバレーと地底大陸でしか購入できない弱点があるが、ストーリーを進めていく内に値段の高さも気にならなくなっていき、2地点でしか購入できない弱点もテレポートで補える。
      • ただし、下位互換アイテムは相応に値段も安くなっているため、所持金を多く持ち歩かない場合はこれらのアイテムも選択肢に入ってくる。特にドコドコ砂漠やスカラビでは「日射病」にかかる場面が非常に多いため、ピンポイントで日射病を治療できる「ぬれタオル」の需要は高い。
  • PP回復グッズ
    • ランマ以降に購入できる「さとりのべんとう」も非常に強力。かなりのHPとPPを同時に回復する効果を持ち、PPの回復量は購入できるPP回復グッズの中では最強に匹敵する。しかも下述の味付け小物と併用すればHP・PPの回復量を倍にできる。ほとんどの回復アイテムを受け付けないプーにも使用でき、プーだけはHP・PPを全回復できる。ランマでしか購入できないが、ランマより前にテレポートを覚えるのでさほど弱点にはならない。
  • 味付け小物グッズ
    • 多くのHP回復グッズ・PP回復グッズと併用して使用するグッズで、回復グッズとの組み合わせが合致すると回復量を倍にする効果がある。
      • しかし「マンダラふりかけ」以外の味付け小物と回復グッズの併用を活かすには知識が必要であり、「マンダラふりかけ」以外の味付け小物は上級者向け。しかも実用性を重視するならピザ系回復グッズに頼らないとしても「チョコチップ」「タバスコ」は購入する実用性がなく「ピザ (Lサイズ)」に頼ると「あおのり」も購入する実用性がなくなる。
      • また、味付け小物と併用できないHP回復グッズもあり、味付け小物は上記の「ピザ (Lサイズ)」と併用する事ができない。
      • ランマ以降に購入できるようになるランマのご当地味付け小物の「マンダラふりかけ」は他の味付け小物の完全上位互換。「マンダラふりかけ」は味付け小物と併用できる全ての回復グッズに対して効果を発揮する万能調味料である。ランマでしか購入できず、値段が高いという弱点はあるが。
    • とは言っても数多くの回復系グッズは多くの数によって楽しみもあり、ご当地回復グッズはそれを売っている場所やエリアの描写も表しているのは単なる蛇足とも言えないだろう。また縛りプレイをするなら本来は実用性のない一部の回復グッズにも使用機会が生まれ、実用性の薄い一部の回復グッズにも使用機会が増える。
  • 数に限りのある回復系グッズ
    • 回復系グッズの中には数に限りがあるグッズが存在し、コレクションを気にすると使用にためらいが出てくる。その中でも特に有名なのは「ハンドエイド」「マジックトリフ」。
      • 「ハンドエイド」はポーラ救出後にポーラのママに話しかけるともらえるHP回復グッズ。しかも上記の「クラーケンのスープ」と違いプーに使っても効果があるようになっている。しかし作中ではこの1つしか入手できない一品物。
      • 「マジックトリフ」はエリア「魔境」で生えているPP回復グッズで、PPを回復できるグッズの中では最強。しかし全部で6つしか入手できない。
    • 本作では上記2つの代用になるアイテムが存在しないため、もったいないくて使用を躊躇しがち。敵の「ぬすむ」で奪われてしまう(後述)可能性があるため、安易に持ち運べないのも気になる点である。
      • 他にも数に限りのある回復系グッズはあるが、代わりになるグッズや上位のグッズがあるのでコレクションを気にしないなら気軽に使用できる。
  • プーへのHP回復グッズの効果
    • 上記キャラクター説明の通り、ほぼ全てのHP回復グッズはプーに使用しても最低クラスのHP回復グッズの回復量しか回復しない仕様がある。例外は「さとりのべんとう」「ハンドエイド」のみ。
    • 事実上ほぼ全てのHP回復グッズはプーには効果がないに等しく、プーのHP回復は基本的にPSIのライフアップか「さとりのべんとう」に頼る事になる。ランマで売っている「やぎバターがゆ」でも最低クラスのHP回復グッズの回復量しか回復しない。
    • 一方で他の味方が使っても効果が薄い「みず」「たかいみず」、「さとりのべんとう」は他の味方よりも回復量が多く「さとりのべんとう」に至ってはHP・PPを全回復する仕様がある。

一部の厄介な敵

+ ...
  • キノコ系の敵
    • 状態異常の一種である「キノコがはえている」状態にしてくるが、これをくらうと戦闘中では稀に味方を攻撃してしまう他、フィールドでは十字キーでの移動方向が一定時間でたらめになってしまう。
      • 治療可能な場所も限定されており、病院かキノコ狩りの少女でしか治せない。ツーソンやハッピーハッピー村に行く途中ならすぐ病院やキノコ狩りの少女の所まで行けるが、ミルキーウェルに繋がる洞窟でこの状態にされるとサターンバレーに逆戻りすることになる。幸いレイニーサークルに繋がる洞窟のあるくキノコはこの状態異常にはしてこない。
  • 上記のシャーク団系の敵は装備が整っていない内は危険で上記のあばれゴートはレベルの低い内は厄介。ビックフットとの戦いは運ゲーになりがち。
  • スリーク以降では「どく」状態にする敵が出てくるが、ヒーリングβを覚えていないと「けっせい」や「すっきりハーブ」に頼る事になるのもありえる。
  • 上記のスリークやその地下通路に出現する「とりつかれている」状態にする敵も厄介。
    • スリーク周辺を探索している時なら「とりつかれている」状態にされても病院に行きやすいが、サターンバレーに向かう途中で「とりつかれている」状態にされると面倒。
  • PKフラッシュβを使う敵
    • PKフラッシュ系列は主人公が使用した場合も含め、相手に状態異常を付与する効果を持つが、この中に即死効果である「きぜつ」も含まれている。
      • βの場合「きぜつ」を起こす確率は1/8で、回避するには「やみのペンダント」などの防具に頼るしかない。味方を確実に「きぜつ」から回復させるヒーリングΩを覚えるのがプーしかいない上に、プーは装備の制限によりPKフラッシュに対する耐性面で弱点が存在し、PKフラッシュの効果で死亡してしまい易いのがきつい。
  • 終盤のザコ敵「スターマン・センゾ」「さいごのスターマン」
    • この敵のPKスターストームの威力は脅威で問題点の敵の火力のインフレの原因の一つとなっている。

主人公(ネス)の専用攻撃PSI

  • 主人公が覚える攻撃PSIは「PKフラッシュ」と通称「必殺PK(デフォルト名:PKキアイ)」。ここでは後者について記述する(名称に関しては余談を参照)。
    • この必殺PKは基本的には主人公の専用攻撃PSIとされており、この攻撃PSIを使う敵はエデンの海のボス敵とラスボス第一形態のみ。主人公らしさを感じさせるものとなっている。
    • 効果は敵全体に無属性のダメージを与える。4段階(α・β・γ・Ω)存在し、Ωは効果だけを見れば本作の攻撃PSIの中でもトップランクの強さを持つ。
    • しかし、このΩの消費PPは他の攻撃PSI…どころかすべてのPSIの中でダントツの98。ポーラが覚える「PKフリーズΩ(消費PP28)」やプーが覚える「PKスターストームΩ(消費PP42)」の効果はこの必殺PKΩの効果に近い程の強さがある上に消費PPもそれほど多くないため、なおさらΩの使用を躊躇いやすくなっている(というより「PKフリーズΩ」が消費PPの割に万能かつ強力過ぎるというのが正確か)。
      • γの方も上記の「PKフリーズΩ」「PKスターストームΩ」に近い消費PP40となっている。
      • もっとも、主人公はパワーアップイベントで(レベル99に達していなければ)大幅に最大PP量が増加するため、これを見越した調整であるともとれる。またプーの「PKスターストームΩ」も習得時期の関係上ラストダンジョンでしか使用できないため、「PKフリーズΩ」の場所を選ばない強さに目をつむれば一応バランスは保たれていると言えるだろう。
    • 「PKフラッシュ」は上記の通り状態異常を与えるものでダメージを与えるPSIではないが、主人公のダメージを与える攻撃PSIは必殺PKしかない事もあり、「PKフラッシュΩ(消費PP32)」の実用性が全くないとはいえないが疑問符が付く。ただしΩは即死効果の確率が3/8になっている。
  • 『MOTHER3』には必殺PKに近いポジションである主人公専用のPSI(デフォルト名:PKLOVE)が登場するが、消費PPはΩでもそこまで多くなくなっている。
  • 移動テンポそのものは前作より改善されてはいるものの、ダッシュが消費アイテムを利用しないとできない。
    • 敵に背後を取られた場合に振り切り難いのが難点だが、シンボルカウントであることを踏まえた上での調整ともとれる。
  • 全員が装備可能な武器は、命中率が低くスマッシュも出ないが、そのことに関する説明がゲーム中に一切存在しない。
  • エリア「ダンジョン男」の敵の強さ
    • ダンジョン男で出現する敵のほとんどが前のエリアで出現した敵となっており、前後に戦う敵と比較すると相対的に弱い。もっともダンジョン男に訪れる時期はプーが前触れなく強制離脱した直後であるため、その分の戦力低下を考慮した調整であるともとれる。
    • 一応ダンジョン男の深部には、ダンジョン男攻略時に見合った強さの敵も出現する。
  • マジカントで売っている「だいちのペンダント」
    • マジカントでは、ボディ装備の「だいちのペンダント」が売っているのだが、このペンダントは仲間全員が装備する事が可能で、同じペンダント系ボディ装備である「やみのペンダント」、「ほのおのペンダント」、「しずくのペンダント」の完全上位互換となっている。
    • しかし、マジカント攻略中はネスしかいないので、ネスの分しか買わない事もありえる上に、マジカントの前に手に入れられる「うみのペンダント」をネスに装備していたら「だいちのペンダント」を一つも買わない事もありえる。しかも、マジカントは期間限定エリアなので、気づいた時には手遅れになり、仲間の内1人か2人が完全下位互換のペンダントのままクリアまで攻略する事もありえる。
    • ただ、本作にはペンダント系最強の「ほしのペンダント」を低確率でドロップする雑魚敵がいるので、情報を知っており、コレクションに拘りがなく、ドロップするまで粘るつもりなら、「ほしのペンダント」が救済処置になりえる。
    • ちなみに、PPを回復するグッズの「マジックプリン」もマジカントでしか売っていないが、「マジックプリン」の完全上位互換で市販品の「さとりのべんとう」があるので、コレクションに拘りがなければ問題はない。

問題点

シナリオ進行に伴う行動可能範囲の制限

  • フィールドの大部分が広大な一つのマップで形成され地続きであった前作と異なり、本作ではシナリオ毎にフィールドマップが道路やトンネルなどの通路でハッキリと区切られている他、グラフィックの表現力も上がって箱庭的な趣が強くなったため、前作と比べると全体的に狭さを感じさせられる。
    シナリオ進行に関してもシナリオの攻略順が明確に固定化されており、それに伴ってフィールドの行動範囲が制限される。
    • このため、前作や同時代の他のRPGに比べるとシナリオ面・行動範囲両面において自由度は相当低い。
    • 前作は鉄道が利用できるようになった中盤以降の自由度が非常に高かったため、それと比較すると本作の自由度の低さが不満点として挙がる事がままある。
      • ただし、「パワースポット(おまえだけのばしょ)」については、一部攻略順を自由にできる地点もある。
  • シナリオ上ジェフを単独操作するパートのスタート地点であるスノーウッド寄宿舎は、一度寄宿舎の外に出ると二度と入れなくなるため、探索しそびれた部分があっても再度探索することができない。ストーリーが進むと寄宿舎に住んでいるガウスやトニーが寄宿舎の外にいる事もあるので、ジェフの仲間に二度と会えないというわけではないが。

フィールド移動用PSI「テレポート」の欠点

  • ある程度ストーリーを進めるとフィールド移動用のPSI「テレポート」を習得する。
    いままで行ったほとんどのエリアに一瞬で行く事が出来る、いわゆるワープ魔法に当たるものだが「移動先のエリアの入り口に当たる部分に到達するのみで、そこから先に存在するエリアに直接移動できない」というケースが多い。
    • テレポートではハッピーハッピー村とドコドコ砂漠に行く事ができない。このためこれら2エリアは隣接したエリアにまずテレポートしてから訪れることになる。
    • ウィンターズにテレポートするとスノーウッド寄宿舎付近に行く。もしアンドーナッツ研究所付近に行こうとするなら寄宿舎から徒歩で研究所までに行く事になる。しかもストーリー上は最低でも1回は研究所付近まで移動しなければならいため、お金を引き出そうとしたり回復グッズを補充する目的で寄宿舎や別のエリアにテレポートしてしまうと面倒なことになる。
    • 同様に、スカラビにテレポートするとスカラビの北部分、町の中心部に辿り着くため、南部分に行くには徒歩でピラミッドを経由する必要がある。

パーティ編成面での自由度の低さ

  • ポーラ・プーが、それぞれあるイベントで前触れなしに強制離脱してしまう。
    • 特に、プーは前後でセーブできない状態で離脱するため、持たせていたアイテムが暫く取り戻せなくなってしまう。(キーアイテムは除く)
    • 離脱によってこちらは戦力低下する訳だが、敵の強さはほとんど変わらないため相対的にきつくなってしまう。さらに、ここでテレポートを使うと、同じダンジョンのやり直しになってしまい、余計きついことになる。
    • ただ、上記の「ダンジョンおとこ」のほとんどの敵は、プーがいない事を考慮しても弱い。

バランスブレイカーな要素

  • おおむね、バランス良く仕上がっている本作であるが、いくつか強力すぎる要素も少々ある。
    • 特にバランスブレイカーなのが、ジェフだけが使える攻撃アイテムの「ペンシルロケット20」。
      数百ダメージのやり取りが通常のこのゲームで、多ければ2000以上のダメージというこれで一撃で倒れないボスの方が少ないほどの常軌を逸したダメージを叩き出す。使い捨てだが店売り品であり何度でも購入可能かつ、値段も高すぎるほどではないので複数持ち歩くことも容易。救済措置と考えればいいのだが…自重せずに使えばゲーム後半のボスの多くをこれひとつで蹴散らしてしまう。
      • 弱点としては、命中率がジェフと相手のスピード差に影響されるため、相手のスピードが高いとダメージが落ちること*10。とはいえスピードの高いボスは少なく、終盤でダメージが大きく落ちるのはラスボス戦くらいである。
    • 他にも、「スーパーバズーカ」や「ねばねばマシン」など、PP等を一切消費せずに何度でも使える補助効果・大ダメージを与えられるといった強力な便利アイテムが存在し、入手直後にはいささか強力すぎる感が否めない。

ゲーム進行につれて激しくなる敵の火力のインフレ

  • 特に、HPが低いポーラは、一撃で最大HPを上回るダメージを受けることもしばしば。
    • ドラム式スクロールパラメータのおかげで即死はしないものの、半ばそれを前提としたような仕様ともいえる。慣れないプレイヤーは焦りがちで、だんだん煩わしくもなってくる。
  • 「ディフェンススプレー」のような、ステータスを上下させる効果のアイテム・PSI・技は能力上昇幅が非常に小さく有効活用は難しい。特にゲーム後半はこのような能力補強にターンを費やすよりも、初手から攻撃し短期決戦を仕掛ける方が遥かに安全を確保しやすい。

キャラクター専用コマンドの性能差
3人の仲間たちは、それぞれ特殊な専用コマンドを持っているのだが、全体的に性能が微妙であり、加えてその性能差もやや大きい。

  • ポーラの「いのる」
    • ドラクエシリーズの「パルプンテ」のようなランダム性を持つコマンドで、味方側、敵側、敵味方双方のいずれかに、HP回復、状態異常、ステータス低下のいずれかの効果が発生する。
      • 実は、ある局面で重要な役割を果たすことになるのだが、通常戦闘時に限ってはランダム性が強すぎるためお、遊び程度のものでしかなく、ほぼ死にコマンドになっている。
  • プーの「へんしん」
    • 敵に変身するまでに1ターンを要する、対象によって成功確率が異なり変身に失敗することがある、変身後の行動がランダムに決定されてしまうなど、リスクが多い。
    • 変身に成功すると、HP以外のステータスと特技は変身した敵と全く同じになる。そのため、リスクを払った割には必ずしも役に立つとは限らず、使い勝手が悪い。
    • 変身中は、モンスター固有の特技をノーコストで使用するが、PSIを使用した場合はPPを消費してしまう。
  • ジェフの「チェック」
    • 敵の弱点などを調べられるほか、アイテムを盗むこともある。
      • 実際は、ドロップアイテムの先取りであり、その戦闘で敵がアイテムを落とす場合に限り確実にそれを入手できる。例えば、敵Aと敵Bがいて敵Bがアイテムを持っている場合、敵Aと敵Bのどちらをチェックしても、敵Bのアイテムを入手する。
    • 他2人と比べると、有効活用できる場面が多い。
      • ただし、アイテムを盗める確率(=ドロップ率)はさほど高くないので、欲しいグッズがある場合はかなり粘る必要がある。

その他

  • 敵の「ぬすむ」コマンドの凶悪ぶり
    • 前作同様、今作にもこちらのグッズを盗む敵が存在する。序盤に登場する「にくいカラス」とボス敵の「トンチキさん」、中盤以降に登場する「マル・デ・タコ」や「ミタ・メ・タコ」といったいわゆる「タコ系」の敵がそれである。
    • 前作では、盗まれるものは食べ物・飲み物系アイテム(例外的に毒消しも含まれる)のみだったが、今作で盗まれる対象は、買値が300ドル未満、売値が150ドル未満の食べ物・飲み物系アイテム(味付け小物を含む)及び「かぜぐすり」「けっせい」*11、さらにステータスアップ効果がある各種カプセル及びふしぎなキャンディも対象になる。
      • PPを80回復させてくれる「マジックトリフ」は、ゲーム中6個しか入手できない非売品であるにもかかわらず、売値が149ドルに設定されているため、タコ系の敵に盗まれる対象に入ってしまっている。カプセル類も非売品であるにもかかわらず、売値が19ドルに設定されているので、やはり盗まれる対象に入ってしまっている。
      • 盗まれたアイテムは前作同様、二度と戻ってくる事は無い。対策としては、タコ系の敵が出現するエリアでは盗まれると困る非売品アイテムはあらかじめ預けておくか、さっさと使ってしまうかぐらいしかないだろう。
  • ラストダンジョンに行ってしまうと後戻りできない。
    • ラストダンジョンは、構造こそ前作よりも単純で極短いものの、回復アイテムを調達する手段が敵からのドロップしかない上、強力な攻撃やPSIを連発してくる敵に加え、アイテムを盗んでくる敵も多く出現するため、アイテムの消耗が激しい。構造の関係で、上記にあげたエンカウント回避の技が使い辛いのも拍車をかける。
      • ただし、引き返せないことについてはしっかり作中でプレイヤーに伝えられるため、不意打ちにはならない。
  • 終盤のあるイベントにて、主人公のステータスが大幅に強化されるのだが、このイベント以前に主人公のレベルが上限の99に達していた場合、このイベントによるステータス上昇効果が得られない。
    • 特に、HPとPPの2つ(HPはバイタリティ、PPはIQでおおよその数値が決定され、レベルアップに伴ってその数値に調整される仕様になっているため)。
      • 前作に比べると、かなりレベルが上がりやすくなっているので、下記にある期間限定の雑魚敵だけが落とすレアアイテムを狙ったり、大量の経験値を持ったあるレアな敵を狩り続けたりしていると、当該イベント前にレベル99に達してしまうケースが十分起こり得る。
    • レベルの上がり過ぎを防ぐには前述のジェフの「チェック」でアイテムを得る方法が役に立つ。戦闘に入る→チェック→にげる、という方法。
  • 最強装備は、敵が低確率(1/128)でドロップするものが多いが、期間限定のものもあるため、知らずにクリアしてしまうプレイヤーも多い。
    • どちらかといえば、やりこみ要素的な側面が大きく、最強装備が無くても十分にクリアできる難易度に調整されているので、そこまで大きな問題ではない。
    • しかし、プーだけは、唯一装備可能な専用武器がレアアイテム+期間限定なので、よほど運がいいか長く粘らない限りは、最後まで素手で行くはめになり、打撃面ではポーラ以下になってしまう。
    • 運悪く、粘りすぎてレベルを上げすぎてしまうと、上述したネスのパワーアップイベントに引っかかってしまうのもきついところ。
    • また最強武器以外にも機会を逃すと取れなくなるアイテムがある。
  • プー専用装備の穴
    • 装備品によるPK攻撃への耐性効果は、「無効」・「強」・「弱」の3つのランクに分かれており、ランクが上になるほど無効化する確率が高まる(無効=ほぼ100%、強=60%、弱=30%)ようになっている。ネス、ポーラ、ジェフは「うでわ」や「ペンダント」で様々なPK攻撃に対する強い耐性を得ることが可能。
    • 一方のプーの場合、前述の通り専用防具でないとステータスが低下してしまうのだが、彼専用の装備品には、敵が使うPKフラッシュ*12への強耐性が存在していない。
      そのため、専用の装備品で身を固めていた場合、終盤以降の敵が使うPKフラッシュに対する防御面が心もとなく、上位の即死効果で彼だけ頻繁に死亡するという事態も起きやすくなる。
    • 実は、ペンダント系とおうじゃのバンダナを同時に装備することにより、両方の耐性を相乗効果によって強耐性へと強化できるようになっており、「炎/氷/フラッシュ弱耐性」の「王者のバンダナ」と「炎/氷/フラッシュ強耐性」の「大地のペンダント」を装備すると「弱耐性+強耐性」で「無効」の効果が得られ、「海のペンダント」と同等になる。
      • しかしながら、このことに関する説明はゲーム内外双方で皆無であり、攻略情報抜きではまず気付けない。
  • アイテムの所持可能数について
    • "改善点"で述べた通り、前作と比べると多少枠が増えたものの、それでも1人あたり実質10枠というのはやや少なめ。
      • ネスはこれに加え「キャッシュカード」・「おとのいし」・「じゅしんでんわ」の3点のキーアイテムが枠を圧迫する。これらは、他の仲間たちに渡せず、預けることもできない。
        終盤になると、「おとのいし」は無くなるが、それまでの所有期間は長く、装備品を合わせると、グッズの半分のスペースが占有されてしまう。
    • 前作のように、通常の攻略に支障が出るほどカツカツな状況にはあまり陥らないが、移動速度を上げる「スキップサンド」を買い込みたい場合など、プレイスタイルによっては、枠のやりくりに苦労させられる。
      先述の「味付け小物」のように、本作ならではのユニークな効果を持つアイテムや、ご当地ごとに(いい意味で)無駄に種類豊富な回復用の食べ物、「くわがたむし」、「さびのもと」といった戦闘中に使える効果を持つ個性的なアイテム群も、よほど実用的なものでもない限り、枠の圧迫を避けるために切り捨てられがち。
    • 「取捨選択をすれば」問題ない範疇での不便さではあるものの、遊び心に溢れた本作の要素を楽しむほどの余裕があまり無いのは、作風的にやや勿体ない。
  • 預けられるアイテムの総数が少ない
    • 前作では80個預けられたが、本作では36個と大幅に減少しているため、グッズコンプリートは事実上不可能。アイテムを種類別にまとめる(例:〇〇×4)ことも不可能なので、下記のように、何度でも手に入る上に捨てられない物を無意味に集めまくっていると、最終的に預かりものの欄が埋まって困る事態になりかねない。
    • SFC版及びGBA版(『1+2』)の両方とも、欄が埋まった状態でキーアイテムを持ったキャラがイベント離脱した場合は、問題なく預かってもらえることは確認されている。
  • 手放せないアイテムが多い
    • イベント用のキーアイテムが多く、一部の武器も手放すことが出来ない。
    • キーアイテムは、使ったり渡したりすることで無くなることもあるが、イベント後でもそのまま残ってしまうものも少なくない。また、手放せない武器も存在し、上位武器が出ても売ることも捨てることも出来ない。このため、多くは預かり物の肥やしと化し、預かり物のスペースを圧迫しがちとなってしまう。上述のように、預けられるアイテムの総数が限られているため、非常に不便。
    • 特にジェフは、捨てられない武器が他の仲間に比べて多い*13。このため、手放せないジェフの武器(や同様に手放せない一部のジェフ専用の戦闘用アイテム)を取らずに進めるプレイヤーもいる。
      • 手放すことのできない「こわれたパラボラ」「おうじゃのつるぎ」を複数入手してしまうと預かり物欄を圧迫してしまう。ドロップ確率が極めて低い(上記の通り1/128)ため実害はないに等しいのが幸いだが。
  • PKサンダーの使い勝手が悪い
    • 敵に雷を何発(上位のものほど攻撃回数が増える)か落とす攻撃で、敵のサイコシールドを解除しつつ、強制的にダメージを与えるという強力な効果があるが、前作と違い、対象を指定できず、どの敵にヒットするかは攻撃ごとに完全にランダムで、外れる場合もある上、敵の数が少ないほど命中率が低下すると非常に使い勝手が悪いため、ほぼ使われない。
    • 命中率は敵の数×25%で、相手が4体以上だと対象はランダムだが確実に当たる。つまり、パーティが4人の時は敵のPKサンダーが必ず誰かに命中するため、敵に使われると厄介。
  • 前述の、「ガッツの値が高いと致命傷を負ってもHP1で踏みとどまる確率が高くなる」仕様だが、実際に発動する頻度はかなり低い。
    • 実際はダメージを受けたキャラではなく敵側のガッツ値を参照しているという設定ミスが原因である。

総評

当時の標準的なRPG像と大きく異なる前作の特徴は、「MOTHERらしさ」という言葉でよく言い表される。その独自性を保ったままの完全新作が遊べる事を喜んだファンは多かった。
オーソドックスな戦闘システムは、一風変わった緊迫感のある戦闘システムへ洗練され、より広く深く掘り下げられた世界観もたっぷりと楽しめる。
他のRPGでは味わえない独自性と「少年少女の大冒険物語」という王道さを兼ね備えた、まさしく「大人も子供も、おねーさんも」楽しめる作品である。


その後の展開

  • 大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』全作品に、ネスがプレイヤーキャラとして登場。使用するPSIは、他の仲間だけが使うものばかりだが、「仲間から教わった」という設定になっている。
    • X』では、本作の仲間の一人であるジェフがアシストキャラとして、ポーラとプーが『SPECIAL』における最後の切りふだの演出で応援として登場した。
    • オネットが『DX』と『X』、フォーサイドが『DX』、両方が『SP』に登場。オネットは、住宅街が足場で時々車が走ってきて撥ねられる*14ステージ、フォーサイドは、高層ビル群の屋上が足場で、時々足場としてUFOが現れるステージ。『for』『SP』では、ステージとしてマジカントが登場。フライングマンも登場している。
    • 同じく、『DX』以降全てのスマブラで、「どせいさん」がなんと投擲アイテムとして登場している。威力は低いが、シールドを大きく削ったり、放っておくと勝手に歩き出したり、地形や相手にぶつけると「ぷーぷー」と鳴いたり、ファイターの攻撃に当たって吹っ飛んでいくなど、独特な動きをする。
  • 次作の『MOTHER3』が、ニンテンドウ64専用作品として発表されたが、最終的には中止になり、多くのファンを落胆させた。しかし、後に開発再開が発表され、その際に、本作と前作もGBA用ソフト『MOTHER1+2』としてリメイクされた。
    • 2013年3月にはWiiUで、ファン待望だったSFC版のバーチャルコンソールが配信される。ちなみに、かつてはローソンLoppiで行われていたSFCの書き換えサービス・「ニンテンドウパワー」にて書き換えが行われていたが、サービスは既に終了している。
      • のちに、3DSでも本作はバーチャルコンソール化されている。ただし、New3DSまたはNew3DSLLのみ対応で、旧版の3DSでは遊べない。
        また、バーチャルコンソール化に当たり、一部のセリフ回しが新たに変更されている。(主に暴力的な表現や下品な表現)
    • 2022年2月10日のNintendo Directにて、『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』の配信ソフトとして、前作『MOTHER』と共にプレイ出来るようにもなった。
  • 紆余曲折を経て、2006年4月20日に『MOTHER3』がGBAにて無事発売された。作風が本作よりやや重いものの、コミカルさとシリアスさを両立している点は共通しており、こちらも高い評価を得ている。
    • なお、マザー3には最終的にサブタイトルがつけられなかったため、シリーズ内でサブタイトルが付いたのは本作のみとなった。
  • 2010年に、本作のED曲「SMILES and TEARS」が歌手・やくしまるえつこに歌われCD化された。もともと、サウンドトラックの段階で、糸井重里作詞による歌詞がついていたが、16年にわたり、ボーカル版が存在していなかった。

余談

  • 本作を語る上で外せないのが、プログラミングを担当した岩田聡氏に関するエピソード。
    • 開発当時は相当に行き詰っており頓挫しかかるほど難航を極めていたが、これを見た岩田聡氏が「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」と言い、宣言通り半年で完成させたというエピソードは、氏のプログラミングの手腕含め、現在でも語り草になっている。*15
    • 「MOTHER2 ふっかつさい 記念対話」によると、その当時グラフィック、シナリオ、サウンドなどの素材は完成していたものの、ゲームとして動かせる状態には無かったようで、岩田氏がプログラムを手がけると半年で動くようになっていたという。
    • また、4Gamer.netの岩田氏追悼企画インタビューによると、開発の行き詰まりはファミコン時代よりも増加した人員数による分業体制がまだ確立されていなかったためだといい、岩田氏はまず真っ先に開発環境周りの整備に注力したのだという。
      • 当時まだ一般化していなかった電子メールソフトをスタッフ全員のPCに入れて丁寧に使い方を教え、コミュニケーションの円滑化に最初に取り組んだほか、データ更新の情報を共有化するシステムを開発する、開発の進捗状況を視覚化できる内製ツールの開発など、縁の下の力持ち的業務を進んで数多くこなしたという。
    • 余談だが、MOTHER2発売の翌年には地下鉄サリン事件が発生している。もし本作が94年に完成しなかった場合、「ハッピーハッピー教」に関するイベントは開発終盤での変更を余儀なくされていたと考えられるため、岩田氏の見積もり以上に開発が遅れていたと思われる。
      • 最悪、ストイッククラブ関連や「ムのしゅぎょう」をはじめとするランマ関連、マジカントなどのスピリチュアルな要素もしわ寄せを受けていた可能性があり、シナリオ全体に影響が出ていたかもしれない*16
  • そのような困難な過程を経て作られた本作のプログラムだが、ロムの解析が進んだ現在では、凝った作り込みが所々に確認できる。
    • 例えば、データの破損に対して入念な対策が施されている。二重のエラーチェックでセーブデータの故障を防ぐほか、万が一の場合でも復旧できるようバックアップ用に予備データが保存される仕組みを搭載。おかげで、本作はデータが消えにくくなっている。
      • それでも消えてしまった場合のメッセージがさりげなく用意されていたり。
    • 海賊版対策も「強引に起動していた場合エンカウントが異常に増える」「最後の対策がギーグ戦中に発動する」などといった形で5重に仕込まれていることが判明している。
  • 関連として、糸井重里氏が仕事*17について「最も大事な事とは」のインタビューにて「納期」と答えているが、この件について当時各種雑誌の中でも比較的大人の対応をとるファミリーコンピュータマガジンの「隠居の目」というコラムでかなり辛辣なツッコミをされている。
    • いわゆる「おまえが言うな」的なものだがその回のコラムまるまる使ってツッコミ以上の指摘を、大人の対応の外れた強い物で行われたために「あのファミリーコンピュータマガジンが」と話題になった。*18
      • なかでも当時同時進行していた番組「ギミアぶれいく」での徳川埋蔵金を持ち出して糾弾していたが、先述にある様に糸井重里氏の遅れでは無い。
  • 公式攻略本とは別に発売されたノベライズ風味のガイドブック「ひみつのたからばこ」は、『1』の攻略本の「MOTHER百科」程ではないが、オークションなどでそこそこの高値で取り引きされていた時期がある。
  • ゲーム中の楽曲を収録したアルバムが発売された。ただし全曲収録ではなく一部の曲のみで、ゲーム内で訪れる地域ごとに1つのトラックでまとめられている。サントラというよりはゲーム中の足取りをおおまかにたどるイメージアルバムに近い構成になっている。
    • この点を批判的に見る向きもあるが、使われている楽曲の中には著名な洋楽の一部をサンプリングして使っているものやパロディ的な曲が多いため、権利関係上の問題もあるのではないかと言われている(実際、収録曲はサンプリングやパロディが用いられていないものばかりである。)
    • その他『MOTHER1+2』の発売を記念してアレンジアルバム*19が発売された。
      • こちらで上記のアルバムでは未収録だった曲も一部収録されているが、オリジナルの音楽を担当した鈴木氏や田中氏は参加していない。
  • MOTHERシリーズの中でも、アンソロジー・4コマ漫画・楽譜・小説など、攻略本以外で出版された書籍が最も多く、携帯クリーナー(ガシャポン)やフィギュア(コカコーラのオマケやクレーンゲーム)などのキャラグッズも多い。
    • 小説版の作者は前作と同様の久美沙織。ゲーム版では触れられていないポーキーの動向・心情が描写されている一方、「ジェフが義足でやや冷めた性格」などオリジナル設定も前作同様に多い。
  • ゲーム開始時、パーティメンバーの名前のほかに「飼っているイヌの名前」「好きな食べ物」「かっこいいと思うもの」の入力を求められるのだが、初回プレイ時に「かっこいいと思うもの」が何に反映されるか解らずに変なものを入力してしまい後悔した、という失敗談がわりと多かった。*20
  • Wii U バーチャルコンソール 体験キャンペーン」では、30円という格安価格で購入できた。
    • ちなみにこのキャンペーン、MOTHER2が対象なのはなぜか日本のみであり、北米などのWiiUではまったく別のタイトルが割り当てられている。(海外版が存在しないファイアーエムブレム 紋章の謎も同様)
    • これ以前にも海外で発売されたMOTHERシリーズは今作のみで、『1』はもちろん『1+2』や『3』も未発売、海外版スマブラXの名作トライアルからも削除(参考スマブラX公式リンク/)という徹底ぶり。
    • その後、海外のファン*21からの要望に応える形で2013年7月18日より米・欧州でWiiUバーチャルコンソールで「EARTHBOUND(海外版MOTHER2)」の配信が開始された。特に欧州では「EARTHBOUND」が発売自体されていないため、バーチャルコンソールが初のリリースとなるという異例の状況となった。
  • TVCMは当時のSMAPの木村拓哉を起用*22。ゲームの内容はあまり触れられないが、喫茶店の中で幼稚園児と兄役の木村拓哉が掛け合うという演出で、全3種類のパターンがある。中でも店内にいる人すべてが「まーざーつー まーざつー」と口ずさみ、自分たちも口ずさむという演出が印象的。
    • 2つ目は、『兄が見せびらかした本作のソフトを幼稚園児が見せてとせがみ、ソフトを取ろうとした末に飲み物をこぼしてしまう』というもの。
    • 3つ目は発売後のCMとなっており、『店内の人達がMOTHER2の話で囲まれ、その後は二人がじっと見つめあう』というものとなっている。
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最終更新:2024年04月14日 08:09

*1 「ファミリーコンピュータMagazine」の付録ガイドブック内の糸井氏と木村初氏の対談より。木村氏によると「うちは1メガを少し超えた程度」とのこと。

*2 後に「サテラビュー」のダウンロードの待機画面で応用されている他、戦闘の雰囲気は『3』にもややマイルドながら受け継がれた。

*3 西の大陸。現実で言う所のアメリカのような世界観。

*4 イーグルランドから北へ遠く離れた国フォギーランドの一地方。

*5 装備品は非売品でプレゼントの箱に入っており、武器のみ特定の敵からのドロップで入手できるレアアイテム扱い

*6 彼の祖国ランマ王国の村で手に入る回復アイテム「やぎバターがゆ」でもなぜか回復量は低下する

*7 ポーラの加入以降は乗ることができなくなり、仲間が全員気絶していた場合などでも乗れなくなる。また、ポーラ加入以降に借りようとしても断られてしまう。

*8 幽霊がとりつかれ妨害を加えられる状態異常。

*9 終盤の「ファイアスプリング」では全体攻撃する敵が多いため、幽霊が倒されることも珍しくない。

*10 「ペンシルロケット20」は「ペンシルロケット」20発分の攻撃なので、命中した数が少ないとその分ダメージが落ちる。ちなみにペンシルロケットのダメージは120前後で、ペンシルロケット20が全部ヒットすれば2400前後になる。

*11 「かぜぐすり」「けっせい」以外の状態異常回復グッズは対象外で、「すっきりハーブ」や「いのちのうどん」といった食べ物のような名前でも盗まれない。

*12 相手全体をランダムで状態異常にするPK。上位のものになるほど即死効果が発生する確率が増える上に、敵のPKフラッシュで即死効果を引いた場合、ドラムロールによるHPの減算処理をカットし一瞬で戦闘不能になってしまう。

*13 ジェフ以外の武器で手放せないのは、ネスのラストダンジョン前最強装備の「マジカントバット」とラストダンジョンで入手する「でんせつのバット」、プーの唯一の武器「おうじゃのつるぎ」のみなので、まず問題にならない。

*14 一般車両が走り回っているRPGというのは珍しく、それをネタにしている。なお本編では飛び出しをしても車が止まってくれるので大丈夫。

*15 その完成後には更に半年の調整期間を設け、入念なブラッシュアップを行った。

*16 実際、同年にはオウム真理教が引き起こしたテロ事件の影響で不自然な作風転換が行われた特撮番組が存在する。

*17 この場合、本業のコピーライターやゲーム以外

*18 他の雑誌がファミ通やファミコン必勝本等なにかと物議を醸すからで特別善良とか公平というのでは無い。

*19 (ただし、商品名上はサウンドトラックをうたっている。

*20 ネームエントリーで入力した言葉は例外なくそのまま主人公の関連したものになる。「カッコイイと思うもの」は、主人公の必殺技「PK○○」の○○の部分になる。デフォルトは「キアイ」など。

*21 SNES版『EARTHBOUND』は攻略本を同梱するなど、大々的な販売促進キャンペーンが行われたが売上不振だった。しかし上述の魅力に惹かれた熱狂的なファンを獲得し、わざわざ糸井氏に面会するファンまでいる程。

*22 なおSMAP及び木村含むメンバーは本作でデフォルト名一覧としても採用されている。当時SMAPに在籍していた森且行も「好きな食べ物(もりソバ)」として入っており、森の脱退後にリメイクされた『1+2』でもそのままになっている。