餓狼 MARK OF THE WOLVES

【がろう まーく おぶ ざ うるぶす】

ジャンル 対戦格闘アクション
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対応機種 アーケード(MVS)
ネオジオ
ドリームキャスト
プレイステーション2
Xbox 360(XBLA)
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Windows(Steam)
Nintendo Switch
Xbox One
発売・開発元 SNK
稼働開始日 1999年11月26日
発売日 【NG】2000年2月25日
【DC】2001年9月27日
【PS2】2005年6月30日
プレイ人数 1~2人(同時プレイ)
配信(全て税込) 【360】XBLA:2009年6月24日/800MSP
【PS3】ゲームアーカイブス:2015年6月17日/1,000円
【PS4/PSV】PS Store:2016年12月7日/1,000円*1
【Win】Steam:2016年12月7日/980円
【Switch】アーケードアーカイブス:2017年5月11日/823円
【PS4/One】アーケードアーカイブス:2018年8月16日/823円
レーティング CERO:B(12才以上対象)*2
判定 良作
ポイント キャラが世代交代した未来の『餓狼』ストーリー
システムを大幅に刷新して尚高い完成度
古参ファンからは賛否が大きく分かれたが後に再評価
旧SNK倒産により続編がお蔵入りに
餓狼伝説シリーズ
NEOGEOオンラインコレクションシリーズ


概要

SNKの対戦格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズの第10弾。通称『餓狼MOW』『MOW』。
リアルバウト餓狼伝説』から10年後のサウスタウンが舞台となる*3
餓狼伝説シリーズを特徴付けていた「ライン」の廃止、前述の通り10年後が舞台のストーリーに合わせて世代交代が行われて一気に入れ替えられたキャラクターなど、中核となる要素を大胆に変更。タイトル・内容ともに別のゲームへと舵が切られた。
SNKの倒産により続編が出ず、そのまま消えていった悲運の名作。  


特徴・システム

  • キャラクター総入れ替え
    • 新作が出ても変わり映えせず、プレイヤーにマンネリ感を抱かせていた登場キャラクターが一気に差し替えられた。
    • 前作の『リアルバウト』(RB)シリーズから続投しているのは旧主人公テリー・ボガードのみ*4で、全14キャラ中13キャラが完全新規キャラクターである。
      • とはいうものの、同じくキャラクターが一新された『ストリートファイターIII』とは違い、その新規キャラクターの殆どには旧作キャラクターと何らかの関係がある*5
      • さらに『餓狼』シリーズから前の時系列にあたり、繋がりがある『龍虎の拳』シリーズのキャラクターと関係のある新規キャラクターもいる。
      • なお、本作のキャラクターデザインやイラストは長らくSNKに携わってきた森気楼氏ではなく、『月華の剣士』と同じくTONKO(せんのあき)氏が担当している。
    • ボスキャラクターはコマンド入力で使用できる隠しキャラクター扱い。
      • 家庭用移植はアケアカ版を除いてどれもコマンド入力不要で最初から使用可能*6
      • CPUとして登場するボスは、専用の強化や性能の変更が施されている*7
+ 登場キャラクター
  • ロック・ハワード
    • 本作の主人公。テリーの養子で、病死した母を顧みなかった父ギース・ハワードを憎むが、その2人から幾つかの技を受け継いでいる。
    • 必殺技は飛び道具、対空、突進技、コマンド投げ、移動技、そして父譲りの当身技などと一通りの種類こそ揃っているものの、どれもリーチ・判定・発生の速さや全体的な攻撃力が絶妙に乏しい器用貧乏な性能。
    • 超必殺技も頼れるのは「シャインナックル」のみと、どうしてもゲージ溜め能力の割にその依存度の高い戦い方に限られがち。対戦での評価はお世辞にも高いとはいえないが、ビジュアルやロマン性の高さからそれなりの人気を誇る。
    • 中ボス1:テリー・ボガード
  • テリー・ボガード
    • 唯一の続投キャラクター。おなじみの赤いキャップに赤いジャンパーというシンボルアイテムが無くなり、髪型も変更という大胆なリニューアル。
    • ジャンプ攻撃や上段避けなどの小技の性能が悪く0フレーム技が一つもないなど、10年の歳月を経たのか若い頃のような地上戦のキレは無い。
      • しかし、フェイントキャンセルなどを絡めたノーゲージでのラッシュの力強さ・重さは健在で、キャラコンセプトに合致した性能が好評。
    • 中ボス1:ロック・ハワード
  • キム・ドンファン
    • キム・カッファンの長男。稲妻のごとき足技を使う。生真面目で正義を重んじる父・カッファンとは打って変わって、普段は修行をサボってばかりで趣味がナンパな上に多くのガールフレンド達と遊んでばかりで、挙げ句の果てに苦手なものに「父親」を挙げる有様*8という軟派で軽薄だが、実は天才肌で修行も裏でこっそりしてるという身内想いな男。特に弟・ジェイフン想い。また苦手ではあるものの父を尊敬はしている。
    • 唯一大ジャンプと三角飛びが出来るキャラクター。これに加えて地上技の全体的な拒否能力の高さで守勢を寄せ付けない戦いができるうえ、空中超必殺技「スーパードンファン脚」も合わせると立ち回りにスキがない。
    • ポテンシャルこそ非常に高く理論上最強といわれるが、技毎の強さはそれほどでもないため的確な使い分けが必須であり、実戦値では牙刀やグラントとの差が少ないのが難点の上級者向けキャラ。
    • 中ボス1:キム・ジェイフン
  • キム・ジェイフン
    • キム・カッファンの次男でドンファンの弟。烈火のごとき足技と称えられる。こちらは父に似て生真面目で練習熱心、謙虚な好青年。
    • ドンファンのことは「兄貴」と呼び、その兄貴には、修行をサボってばかりで呆れているが良き理解者でもある。SNKと提携している『ファイトフィーバー』で知られるビッコムの社長の子の名前が由来。
    • 通常技は全体的に良性能、「飛燕斬」や0フレーム超必殺技「鳳凰脚」も武器になる。だが、それら以外の必殺技は尽く(本作中では)隙が大きい部類で、気軽にコマンド技を振れないためにゲージ効率が悪い。
      • 先述の通り強力な鳳凰脚を持つため、「ゲージ回転率が並なら5強と並べる」と言われたこともある。
    • 中ボス1:キム・ドンファン
  • 双葉ほたる
    • 太極拳、八卦掌など柔系の中国拳法を操る可憐な少女。母の死と同時に行方不明となった父と兄を捜している。
    • 格ゲー、特に餓狼シリーズとしてはかなり浮いているくらい珍しい可愛らしいキャラクターであり、対空系0フレーム超必殺技「天翔乱姫」がアレな意味で物議を醸したことでも有名。
    • ロック同様一通りの種類の技が揃っており、地上での牽制合戦、空中からの攪乱、どちらでも戦えるオールマイティな技が揃うが、体力とリーチ・判定や超必殺技の汎用性などに劣るのが辛い。
    • 中ボス1:牙刀
  • 牙刀
    • 八極拳や心意六合拳など剛系の中国拳法を操る謎の青年。母を殺して失踪した父に復讐するため旅をしている。実は、ほたるの…
    • 接近戦と起き攻めが強いタイプ。ジャンプから4つの攻撃に派生する「風牙」を軸に立ち回り、要所では小技や相手の着地隙からつながりやすい0フレーム超必「零牙」をブチ込むのが常套手段。
    • 実戦値では5強クラスに入っていたが、明確な切り返し手段がガードキャンセル雷牙や超必殺技「龍牙」しかないなど守りが弱く、理論値では次点レベルへと滑り落ちた。
    • 中ボス1:双葉ほたる
  • マルコ・ロドリゲス(海外版ではKhushnood Butt)
    • 『龍虎の拳』シリーズでおなじみ極限流空手のブラジル支部門下生・師範代。無駄に濃い外見で、カインも認める筋金入りの脳筋で熱血漢。
    • かつて現総帥のリョウ・サカザキ(『龍虎』シリーズの主人公格)に大敗したことより極限流の奥深さに惚れ込み入門、直向きに修行に励み、今となっては師範代にまで登りつめた経歴を持つ。
    • 相手を色々と指摘していながらも側から見たら突っ込みどころが多い天然?な勝利メッセージの数々や、極一部を除けば子育て中の親バカ同然なプロフィールも話題になり、濃い外見や脳筋な性格と相まって、面白くて和む本作の「色物」枠を担当。
    • 超必殺技が全体的に優秀で、ガン攻めしているときがとにかく強いキャラクターとされる。隠し潜在能力「龍虎乱舞」はロック式ではなくボタン連打で強化されるタイプで、強引にガードクラッシュを狙える。
    • 移動する当て身技の「上段払い」「下段払い」も破格の性能だが、反面必殺技の無敵時間や前後のスキ、また「弱攻撃に一切キャンセルがかからない」など小回りが利かないため、いわゆる「波動昇龍」戦法などの牽制が使えない。
    • 中ボス1:グリフォンマスク
  • 北斗丸
    • アンディ・ボガードの弟子にして、不知火流一門の忍者である少年。かつては孤児で、アンディに拾われた過去を持つ。里を抜け出して単身こっそりと大会へ乗り込んだ。
    • 唯一、二段ジャンプが可能。さらに地上空中問わずコンビネーションが豊富で、地上コンボはそこから必殺技までつながるなど、スピードとコンボに長けた1人コンボゲーのような性能。
    • だが、攻撃力と防御力(ガードクラッシュ値含む)が低く、一度捕まるとあっという間にひっくり返されてしまうのが最大の欠点。仕様上、グリフォンマスクやグラント相手では殆どダメージを与えられないのも辛い。
    • 身体の小ささで相手の空中コンビネーションの一部が当たらないのと、特殊技のスライディングが空中投げと使い分けるだけでほとんどの攻撃を封殺できるほど優秀な完全対空技なのが救い。
    • 中ボス1:B・ジェニー
  • B・ジェニー
    • 世界有数の財閥バーン家の一人娘。「リーリンナイツ」という海賊集団のリーダー的な存在でもある。外見も金髪巨乳で露出度が高いドレスを着た美女で、本作の所謂「お色気」枠を担当。
    • 必殺技扱いの空中2B「ハリア・ビー」がとにかく強いが、脇を固める技もジャンプDや空中投げと言った優秀な空中技、地上でもしゃがみBや遠Aといった便利技が揃う。
    • おまけにゲージ技も潜在版「メニメニトーピードゥ」が作中2位の威力を誇ったり、ガードキャンセル専用超必殺*9「アンニュイ・マドモアゼル」など、立ち回りも爆発力も兼ね揃えている。
    • 弱点は体力・ガードクラッシュ値が作中最低な事や他の必殺技の性能が悪いこと(無敵技もあるが当てても不利)、空中の喰らい判定が謎で彼女限定で強攻撃キャンセル必殺技がつながるため的確に潰されると脆いこと。これらの点から対空でごっそり体力を持っていくグラントに不利がある。
    • 中ボス1:フリーマン
  • フリーマン
    • スラム街出身。戦いの中に快楽を求める危険な男で、その欲求を満たせなかった者を数多く殺害してきた。ケビンの親友を殺した張本人でもある。主に爪で引っ掻き、切り裂く技を使う。
      • 引っ掻く各技の見た目が『KOF』シリーズのマチュアのものに似ている*10が、技名もそのマチュアと相方のバイスのものと同様、実在するヘヴィメタル/ハードロックバンドやそのバンドの楽曲タイトルが由来になっている。
    • 通常技は総じて牽制に優れるが、必殺技の発生が遅い上に無敵のついた技もほとんどないため戦力としては低水準。加えて歩きやジャンプなどの移動速度もあまり速くない。
    • 主力は三段入力技「V.O.D」、ダメージソースは超必「フルブラスト」に頼るが、後者はコマンドミスすると死に技暴発で窮地に陥る罠がある。しかも、今作は技が妙に暴発しやすい仕様となっており…(後述)。
    • 中ボス1:ケビン・ライアン
  • グリフォンマスク(The Griffon/海外版ではTizoc)
    • メキシコ出身のプロレスラーで、子供たちの人気者であるベビーフェイス。名前と外見からわかる通り、グリフォンのマスクがトレードマーク。そのマスクは人前では決して外すことはない。
    • 投げキャラタイプであり、コマンド投げ一発の破壊力は抜群。しかし、火力以外の性能が芳しくなく、投げ無敵が簡単に付与出来るなど仕様から逆風な点が多々あり下位扱い。
      とはいえ性能・火力共に高い小技による牽制は侮れない。
    • 中ボス1:マルコ・ロドリゲス
  • ケビン・ライアン
    • 陽気な警察官。同僚だった親友の仇を討つべく、親友の息子「マーキー*11」とともにセカンドサウスに乗り込む。必殺技の爆炎は火薬仕込みによるもの。
      • なお、ブルー・マリーとは遠縁に当たる(これはSNK倒産後に後付の設定として付加されたもの)。
    • 性能の良い小技&必殺技でゴリ押しラッシュがとにかく強力。いざとなったら「ヘルトラップ」BRの固めや射程2位のコマ投げ「ヘルアレスト」もある。
      • 特筆すべきは必殺技「ヘルローター」の溜め中にDでキャンセル+同時に他ボタンで通常技へとキャンセル(通称ヘルキャン)を連発すれば、理論上の連携力やゲージ効率がぶっ壊れレベルで跳ね上がる。
      • そうして得た無尽蔵のゲージを潜在能力(特に追撃がし易い潜在版「ガトリングフリーザー」)にガンガン注ぎ込めるあからさまな強さで、強キャラ筆頭格に輝く。
    • 中ボス1:テリー・ボガード
  • グラント
    • 本作の中ボス(厳密には2人目)。本名はアベル・キャメロン*12。カインの盟友であり、多くの街をゴーストタウンと化したと言われている。暗黒空手という何やら凄そうな流派名を持つが、本名から察せられる通りアメリカ人。
    • 過去に敵対者がカインを狙って撃った銃弾を庇って受けたことがあり、その弾が心臓近くに食い込んで摘出困難なせいで余命幾ばくもない状態にある。カインにはこれを隠してるが、薄々気付かれていた模様。普段は仮面で素顔を隠している。一部では同じく素顔を現さないグリフォンマスクと合わせて有名な某絵本由来の「グリとグラ(ぐりとぐら)」という愛称も
    • 体格通り単発攻撃力と防御力が高いが、通常技に一切キャンセルがかからず*13、前ダッシュが唯一「地上ステップ」で微妙に小回りが利かない。
    • しかし突進技の使い勝手が良く、加えて判定が非常に強い対空技「凶鳥刃」にそこから派生で出せる空中技「滅焼飛刹」でのフォローを合わせた守りと逃げが強い上にゲージ回収も兼ねて使うことが可能で、何より通常技にキャンセルが一切かからない=逆手に取れば複雑なキャンセルを絡めた連続技を覚える必要がないとも言えるお陰で初心者でも安定して使いやすい性能といえる。
    • だが、ダメージソースは0フレーム超必の「魔神円月輪」に依存しやすく、ノーゲージの安さはまだしもリードを取られると攻め手に乏しいのが祟ってか最強クラスからは一歩退いた。
    • 中ボス1:北斗丸
  • カイン・R・ハインライン
    • 暗黒真空拳として紫の炎を操る本作の最終ボス(真ボス)。ロックの叔父にして劇中のKOF主催者。凄惨な幼少期を経て、グラントと共にマフィア社会をのし上がっていった彼は、セカンドサウスを力の支配する街に変えるべくギースの覇業を継ごうとしている。流派名が上述の通り暗黒真空拳なのに必殺技名がドイツ語ということで一部でネタにされたり
    • 必殺技は全てタメ技で、どちらかと言えば守りに向く技が多い。このためSNK格闘ゲームのラスボスにしては良心的なプレイアブルキャラクターと見られていた…が、長年の研究によって「バグなのか仕様なのかよく分からない現象」の恩恵を最も受けているなど、色々な意味で最強クラスの実力を持つことが実証されていった。
      • 超必殺技も2つとも発生保証があり、特に「ヒムリッシュ・ゼーレ」はガードクラッシュ確定の連携*14ができる最大の脅威。
    • ゲージ依存度は高いが、守勢時に必殺技を高頻度で使うので気にならない。また、数少ない0フレーム技(として機能する技)を持っていない一人でもあるが、それであってもなお超必と潜在は高性能なので大した弱点ではない。
    • 中ボス1:ロック・ハワード
  • システムの大幅なテコ入れ
    • ほとんどの『餓狼』シリーズにおける特徴であった、2Dのフィールドに奥行きを持たせる「ライン」が撤廃。『WILD AMBITION*15』『RBS DOMINATED MIND』や携帯機版、他一般的な格闘ゲームと同じ1ライン制に移行。
    • RBシリーズの定番だった「コンビネーションアタック*16」のパターンが大幅に減少。
    • パワーゲージが2段階の永続ストックに変更され、超必殺技で1本~潜在能力は常時使用可能で2本消費というシンプルな形式になった。
    • 「体力が減ると潜在能力が解禁&超必殺技が打ち放題」というシステムは後述のT.O.P.と入れ替わる形で廃止。
    • 超必殺技・潜在能力のコマンドが一部を除いて真空コマンド(236236+ボタン)に統一された。
  • 新システム
    • ブレーキング:キャラクターごとに決まっている「ブレーキング対応技」を出した直後にAB同時押しで後続する追撃を出さないようにし、その技の隙を大きく軽減する。
      • 空振りだとタイミングはかなりシビアだが、ヒットガード問わず相手に当てさえすれば割りと容易にブレーキング可能*17。硬直の大幅軽減は極めて重要な見返りとなる。
      • ヒットさせると浮かせる技が対象となっていることもあるのだが、そういった技をヒットさせた場合はカウンターヒット時のみ2回目のブレーキングが可能、3回目以降のブレーキングは絶対に行えないようになっているので、「ブレーキングし続けて永久コンボ」はできない。
    • ジャストディフェンス(JDF):相手の攻撃が当たる直前にレバーを後ろに入れると発動。相手の攻撃自体に影響は出ないが、こちらのガード硬直が少し短くなってガードキャンセルが使える他、僅かに体力とガード耐久力を回復できる。
      空中JDFも可能だが、通常の空中ガードは不可能になった。
    • T.O.P.(Tactical Offensive Position)システム:試合開始前に体力ゲージの前半・中央・後半のいずれか1/3を指定、指定したゾーンがT.O.P.ゾーンとなる。
      • 残り体力がT.O.P.ゾーンにある間は「攻撃力やパワーゲージ・スコア増加率などの上昇」「徐々に体力がゾーンの上限まで回復」「ガードキャンセル可能&ガードクラッシュさせやすいT.O.P.アタックをCD同時押しで出せる」などのメリットを得られる。
      • また体力ゲージと連動しており、ジャストディフェンスによる回復で再びT.O.P.ゾーンに復帰した場合はT.O.P.状態にも復帰できる。逆に、ジャストディフェンスによる回復でT.O.P.ゾーンを過ぎてしまった場合は逆にT.O.P.状態を失ってしまう。
    • 0フレーム技:ほとんどのキャラクター毎に、特定の超必殺技や潜在能力に設定されている属性*18
      その名の通り実質的な判定の発生がコマンド成立と同時であり、暗転が起こった時点でガードや回避の体勢を取っていないと確実にヒットする部分がある。
    • ガードクラッシュ:相手の攻撃を短時間にガードし続けると体勢を崩して一定時間無防備になる。ガードゲージ表示はないが、ガードクラッシュが近づくとキャラクターが赤く点滅し始める。時間経過やジャストディフェンス成功によりガード耐久力は戻っていく。
  • 旧シリーズから引き継ぎ・発展した要素
    • フェイント動作:2or6+AC同時押しで必殺技の開始動作だけを行うアクション。レバー前と下で各キャラ2種類ずつの動作がある。文字通りフェイントに使うだけでなく、通常技をキャンセルして連続技の中継にも活用できる。
    • 避け攻撃:立ち状態からAB同時押しで下半身無敵の「下段避け攻撃」を、しゃがみ状態からAB同時押しで上半身無敵の「上段避け攻撃」を出せる。
    • 小ジャンプ・大ジャンプ:レバー操作によってはジャンプの軌道が変化するが、使用すると一時的に空中ジャストディフェンス不可。大ジャンプは1キャラしか使えないが、こちらも使用中はジャストディフェンス不可。
    • 受け身:一部のダウンする攻撃を食らったとき、着地する瞬間にボタンを押すことで前方or後方に受け身を取って体勢を立て直す。『KOF』と違い、着地する瞬間と言っても連打入力可能なので判定はシビアではない。
    • ダッシュタイプ:キャラクターごとにステップ、ランが設定されている。基本的に移動距離固定のステップタイプが不利といえば不利だが、そちらは空中判定なので地上コンボに持ち込まれにくいという利点もある。ランタイプはレバー入れっぱなしでどこまでも走れる他、ジャンプに慣性をのせることが可能。
      • グラントのみはランタイプ扱いの特殊なステップダッシュとなっている。ランタイプ準拠で地上判定+ジャンプに慣性を乗せることができるが、ステップタイプと同じく、レバーを入れっぱなしにしても一定距離移動すると止まる。
    • ガードキャンセル:ジャストディフェンス成功直後にしか出せなくなったため入力猶予はかなり短くなったが、その代わりゲージが不要になった。
  • CPU戦について
    • 全8ステージ。『餓狼3』『リアルバウト』シリーズと同様に勝利試合1本(ラウンド)ごとに試合内容に応じてファイティングレベルという評価が下される*19
    • 6人目は中ボス1人目となり、各キャラによって異なる固定されたキャラが登場する*20。このステージのみ、試合前に台詞テキストによる専用のやり取りを行うシーンも挿入される。
      • またこの仕様のためにもか、過去作ではボス以外のCPUの登場順テーブルも固定されていてゲーム開始時にプレイヤーが開始する相手を選ぶことができたが、本作ではこの仕様が廃止され、中ボスまでのCPUは完全にランダム選出となった。
    • 7人目は中ボス2人目としてグラントが登場。
    • そして条件を満たしていると、8人目に最終ボスとしてカインが登場する。満たせていないとグラント戦後に共通スタッフロールが流れてゲームオーバーになってしまうが、見事カインを倒せばキャラ別のエンディングを観ることができる。
      • その条件とは、「グラント撃破までノーコンティニューで進め*21、かつそれまでの全試合のファイティングレベルが平均でAAA以上をキープ」となっている。
      • この条件が必要な制度は『餓狼3』以来の復活で、あちらは条件も難易度もシビアだった為不評だったが、本作はCPU戦の難易度はそこまで難しすぎないレベルに抑えられているため*22、『餓狼3』の二の舞みたいな批判はされていない。

評価点

  • ブレーキングやフェイントキャンセルを絡めた「攻め」の爽快感
    • 通常技をフェイントでキャンセルし、さらに必殺技につなげそれをブレーキングしてラッシュを継続。時には中段技や投げ技を絡めてガード崩しを狙う…といった非常にテクニカルな連係が可能になった。
      • たとえば「強攻撃 → 強攻撃」は通常は連続で出せないのだが、「強攻撃 → フェイント → 強攻撃」という具合に間に素早くフェイントを挟むことによって連発でき*23、ここから発展させればさらに強力な固めや連続技を成立させることができる。
      • ブレーキングの隙消しは連繋の他ガード時のフォローとしても重要な役割を持つ。旧作から一部残ったコンビネーションや避け攻撃も連係・読み合いに幅を持たせている。
      • これらを上手く使いこなせばアイデアひとつで無限の連係を組み立てることができ、パターン化することなく「ガードの上から強引に攻撃を重ねて圧力をかけ」られる。そのままガードクラッシュまで持ち込めれば、大ダメージを奪うチャンスも生まれる。
      • この相手を固めることに重点を置いた攻撃的なスタイル餓狼伝説スペシャル』の再来とも言われ、他の格闘ゲームと一線を画す点である。
      • テクニックに依存する面は大きいが、奥の深い読み合いが成立しており、本作が長らくプレイされることになった大きな要因と言えるだろう。
      • また、下記するジャストディフェンスやT.O.P.による体力回復があることを計算に入れて、本作は全体的に攻撃力がかなり高く設定されている。
      • このため、条件さえ整えばどのキャラクターでもワンチャンスから最低3割、入力難易度の低いコンボでも5割以上を吹き飛ばす爆発的な火力を叩き出すことが可能。この爽快感や逆転要素の高さも対戦が盛り上がる要因になっている。
  • 優れた攻守バランス
    • ガードクラッシュ追加もあり攻撃面で強力な連係が可能になった分、防御側にも「ジャストディフェンス」という要素が追加されたことで、全体的な攻守のバランスが程よくまとまっている。
    • 一方、ジャストディフェンスを使えなくても、バックステップに全キャラ共通で長い無敵が与えられており、緊急回避としてかなりの使い勝手になっている。
    • ガードキャンセルに関してはゲージが不要になったが、代わりにジャストディフェンス成功時しか出せない(入力猶予も短い)ため、的確な読みと正確な操作が必要。
    • つまり「ガーキャンされる=単純に相手が上手」という図式を組んでいることで食らった方も納得のいきやすい形になり、ゲージさえあれば簡単に切り返せる一般的なガーキャンと比べて試合のテンポも損ないにくくなった。
    • また空中ガードもジャストディフェンス限定になった*24ことで、いわゆる「チキンガード」の理不尽感は消滅した。
      • ジャストディフェンスは『ストリートファイターIII』の「ブロッキング」を多分に意識したシステムだが、こちらはレバーを入れる方向が後ろなため、リスクは比較して低い*25
    • とは言ってもタイミングはシビアだし、成功してもガードキャンセルを出せなければ形勢を逆転することは難しいため、基本的にはローリスクローリターン。この辺りのバランスの取り方が絶妙である。
      • 本作の登場以降、『GUILTY GEAR』シリーズや『北斗の拳』『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズなど、様々なアクションゲームでジャストディフェンスとほぼ同様の要素が採用されるようになったことを見ても、非常に扱いやすく優れたシステムであったと言える。
    • T.O.P.の選択と、これをどう生かすかの戦略性も他の格闘ゲームに無い魅力である。
      一般的には先頭配置が最も体力回復と攻撃力上昇の恩恵を受けやすい*26と言われているが、長期戦を睨んで中央に配置したり、最後に配置してRB餓狼さながらの勝負に賭けるといった駆け引きもある。「自分のT.O.P.をいかに活用し、相手のT.O.P.をいかに早く消すか」というのが本作の勝負のポイントとなる。
  • 秀逸なドット絵
    • キャラクターはもちろんデモ画面から背景に至るまで、非常にきめ細かいドット絵による滑らかなアニメーションを実現している。
    • ネオジオ基板の限界を超えた質の高さを誇り、ドット絵の歴史の中でも『ストリートファイターIII』などと並ぶ最高峰のクオリティと言われる。
      • 本作のドット技術の高さが際立つのが、餓狼の看板キャラクター・テリー。フルモデルチェンジが行われたにもかかわらず、一目でテリーであると分かるその動きはお見事の一言。
  • スタイリッシュな演出
    • ホーン系をイメージしたBGMが多く、ゲーム全体の配色や雰囲気も近代アメリカ文化を思わせるもので統一感があり、非常にセンスが良い。
      • アレンジサウンドトラックは残念ながら発売されていないが、ドリームキャスト以降の移植版では高音質なアレンジ音源が収録されている*27
    • 超必殺技でフィニッシュすると大きく立体表示されるK.Oの文字とともにテンポ良く流れる決着BGM、長めの時間停止、丁寧に描き込まれた超必殺技発動時の暗転エフェクトなども特徴的な要素。
    • 地味な部分でも重量感のあるSEやヒットエフェクト、渋みのあるシステムボイスなどメリハリの効いた表現が行われており、総じて演出がハイレベルである。  

賛否両論点

  • 『餓狼』らしくなくなった
    • シリーズの象徴であったラインシステムの廃止をはじめ、シリーズの最終形として定着したリアルバウトシリーズから思い切った方向転換を行ったことが大きい。
    • 操作性もどちらかというとKOFに近いが、ボタン配置は『餓狼伝説2』~『SPECIAL』~『3』時代と同じなので、この点は原点回帰とも言える。
      • ライン移動に関しても餓狼伝説シリーズの伝統だったことは否めないが、それでも『餓狼1』では蛇足、『餓狼SP』『餓狼3』ではバランス崩壊要因になっていた。
    • キャラクターもテリー以外は全員入れ替えになったが、当初はこの点に不満を抱いていた往年のファンも見られた。
    • 一方の新キャラクター達も、マルコのような餓狼と龍虎の橋渡し的キャラもいたものの同人ファン層を意識したかのようなキャラが目立ったせいか、当時は拒否感が強く、特に俗に言う「萌えキャラ」にあたる双葉ほたるは度々槍玉に上げられていた。
      • 同社のゲームを見渡せばは過去にも『サムライスピリッツ』シリーズのナコルル&リムルル姉妹や、『サイコソルジャー』を経て『KOF』シリーズに参戦した麻宮アテナなど、前例がなかった訳ではない。ただ、当時の『餓狼』ファンには「そうしたシリーズと違って餓狼は硬派」と言う点に魅力を感じていた者も少なくなかったので、「『餓狼』もそうなってしまった」事に嘆きの声が上がったのである。
    • 主人公ロックのデザインやテリーとの関係などに関しても当時から「BL向けを狙いすぎ」といった意見も見られ、ゲームの本質とは無関係な部分でも反発を招く事になってしまった。
      • 現在では、思い切ったシステム変更もキャラクター達も再評価されており、特にロックやほたるに関してはSNK全体を見渡しても上位の人気キャラクターとして市民権を得ている。ただ変化が急激過ぎたのも事実であり、 プレイヤーが変化を受け入れて正当に評価出来るようになるまでに、十分な時間が必要だった とも言えるだろう。
  • 入力のクセ
    • ゲームスピードに対し、通常技(ボタン)先行入力の持続時間と、必殺技コマンドの受け付け認識時間が非常に長い。
    • 具体的に言うと、しゃがみガードから前歩きしてパンチ押したらパワーウェイブが出るとか、レバー一回転コマンドなら1秒半かけてレバーを1回転させてもコマンドが成立するとか、キャンセルを使わない目押しコンボや受け身が連打してもOKなど、操作性については恐らくSNK格ゲー中で最もハードルが低い*28
      • おかげで通常技がキャンセル不能というハンデを背負っているはずのグラントですら、ちょっと練習すればすぐに、しゃがみAニ連打に超必殺技を添える簡単な基本コンボが安定する。(通称及び内容はコパンコパンエンゲツリーン)という、目押しがシビアなことで有名なカプコンゲーム出身であればありえないと思わせる事態すら成立している。
    • 裏を返せば、これは「コマンド技がかなり暴発し易い」という欠点でも有る。その最大の被害者がフリーマンで、彼の生命線である超必殺技「フルブラスト」にはコマンドがかぶっている必殺技「ナイトメア」の暴発という致命的なリスクが常に付きまとう。
      • 一応暴発のリスクを減らす手段もある。大抵のSNK格ゲーに存在する「あるボタンの組み合わせで同時押しすると、絶対に必殺技が出ずに対応した通常技が出る」仕様で必殺技の抑制は出来るが、この仕様を逆手に取ると当然操作の複雑化に繋がる。
      • その上で実践的な連続技をできるようになるまでかなり根のいるコンボ練習が必要であり、非常にゆるい入力判定がキャラクターによっては巡り巡ってハードルの高さに拍車をかけている場合もある。
  • ジャストディフェンス(JDF)による体力回復
    • JDFに成功すると若干体力が回復するが、体力がフルでなければ特に制限*29はなく、多段攻撃を全段JDFしようものなら結構な回復量になる。
    • 格ゲーにおいて、試合中の体力回復は非常にデリケートな要素であり、他作品ではたいてい何らかの厳し目の制限が設けられていることが多いので、本作の仕様はかなり緩いと言える。
    • しかしこれは、回復を含めての駆け引きという考えもあるため判断が難しいシステムである。
      • 実際、本作はそれを視野に入れた体力及びダメージ量の調整がされており、全体的に攻撃力は高めとなっている。またガードクラッシュも全体的に誘発させやすい。
    • さらに、指定したT.O.P.ゾーンにもよるが、T.O.P.は体力ゲージとの連動となっている仕様により、回復し過ぎてゾーンを過ぎてしまいせっかくのT.O.P.状態を捨ててしまうケースも起こり得るため、必ずしも回復し続けることが絶対有利とは限らない。

問題点

  • キャラクターバランスの問題について
    • 全14名(隠しキャラを含む)というやや小規模な数にしてはバランスがあまりよろしくなく、上位7名と下位7名には、主に「安定した強み」と言う面で少しながら溝がある。
    • かつては上位キャラの中でも牙刀・ケビン・グラント・ジェニーの「4強」に、仕様をすべて味方につけたカインを加えた「5強」の様相となっていた。時が経ち研究が深まった結果、稼動開始時から長年最強クラスと言われていた牙刀とグラントがやや評価を落とし、代わりに技対応力の理論値によってドンファンが理論上最上位に食い込む「新4強」へと評価が変遷している。
    • とはいえ実際は致命的なバランス崩壊とまではいっておらず*30、下位キャラが上位キャラを食う可能性は充分にある。
      • その理由は「上位キャラの強みは概ねどの相手にも通用しやすいが、プレイヤーテクニックに大きく依存すること」「飛び道具技、または爆発力が目立つ技を持つキャラクターは殆どが現状下位に分類されている」「ゲームの特徴上どんなに上手いプレイヤーでも完全にミスを無くすのが難しい*31」などが挙げられる。
      • 事実、2011年の全国大会では弱キャラの類に入るほたるを使用したプレイヤーが決勝トーナメントを全てストレートで勝ち抜き優勝をかっさらうという番狂わせを演じており、同じく下から数えた方が早いキャラであるテリーも、三大会連続で三強以内に食い込むプレイヤーが出ている。
      • 稼働してしばらく経ってから行われた公式全国大会でも、予選から大量にいたケビン使いが次々と脱落した事で、アルカディアの記事において「君らは一体何をやっているんだ」「強キャラ使ってるのに全然煮詰めていないじゃないか」などと、ケビン使いたちのあまりのふがいなさに、ライターが雑誌上でケビン使いたちに怒りをぶちまけるという一幕もあった。
        ちなみに当時のアルカディアではケビンとグラントが2強として評価されていた*32
    • 逆に特に弱いとされているのはロック、フリーマン、グリフォンマスク。どのキャラクターも通常技または必殺技の性能が全体的に芳しくないので、上級者の対戦で勝つにはチャンスで確実に超必殺技とコンボを決める正確さが求められる。
      • 本作のパワーゲージは通常技をヒットorガードさせるor喰らう、もしくは必殺技の使用(空振りOK)なため、必然的に素振りできる必殺技を持つキャラクターがゲージを貯めやすく、キャラクターの格差として現れやすいのも一因。
      • これが行き過ぎてるのが「立ちCとちょっとのスキで必殺技を2度出せる」ケビンと、「とある必殺技のスキがバグなのかテクニックなのか軽減可能で、2発分の必殺技を1発分のスキで出せる*33」牙刀。
  • ややハードルが高い
    • 格闘ゲームの性質上ある程度は致し方ない部分ではある。本作はただでさえゲーム自体の展開が早めな上、ジャストディフェンスやブレーキングを筆頭に非常にシビアなタイミングを求められるシステムや、フェイント関連など経験や器用さがものを言う高度なアドリブ要素も多い。
      • 上級者にも「このゲームは面白いけど疲れる」と言われることが多いぐらいなので、完全な初心者が手を出すには難しいゲームであると言わざるを得ない。
      • ただこれは上級者目線での話であり、使われるコンボが殆ど無い初心者対初心者は大味だが駆け引きもシンプル。技の暴発しやすいコマンド認識も相まって攻守の切り替えがわかりやすく、それはそれで面白い。
      • 厳しいのがそこからのステップアップで、キャラ対策・ジャストディフェンスからのガーキャン・キャラによってはボタン入力が困難なコマンド*34の3本は格ゲーのプレイスキルが広範囲にわたって反映される。
      • 今となってみればもっと複雑なゲームが増えた関係で相対的にシンプルになってはいるが、それでも上級者クラスのプレイヤーが試合中にコンボや固めをミスしてしまうことは決して珍しくない。
  • ゲームの進行に支障をきたすような致命的なものは少ないが、細かいバグが多いゲームでもある。普通にプレイする分には気にならないものの、極まった対戦…特にカインなどを使う際にはこれらの把握・応用が必須。
    • 代表的なのが「特定の条件下において、0フレーム技が完全にガード不能になる」という謎の現象。
    • バックステップなどで避けられる場合もあるが、一部のキャラの0F技はそれでも避け切れず、「後キャンセル」と呼ばれる高難度の先読みテクニックを駆使しなければ返すことができない。
      しかも、対戦中にその条件を満たすことは案外簡単であり、狙えるシチュエーションが多いのである。
      • この現象の知識の有無で対戦時には雲泥の差が生まれてしまう。中~上級者との対戦では、知らないとそれこそ勝負にならないと言っても良い。

総評

『餓狼』シリーズの原点である「攻め」のDNAを見事に継承しつつ、『リアルバウト』シリーズで陥っていたマンネリ化という問題点を打開することにも成功した本作。
ジャストディフェンスやT.O.P.による独自の熱い駆け引きを交えつつ、フェイントキャンセルやブレーキングを織り交ぜた変幻自在のラッシュで相手を固め、押し込み、崩す――
まさしくかつてSNKが得意とした、爽快感を追求する格闘ゲームの結晶とも言える傑作である。
全体的に高いプレイヤースキルを要求されるゲームではあるが、それによってやり込めばやり込むほど見えてくる奥深さこそが、現在まで本作が愛され続けている所以でもある。


移植

  • アーケード同一互換のNG版の他、DC版が発売。ちなみにDC版『MOW』が、旧SNKが他社プラットフォーム向けに新規で発売した最後のソフト*35である。
    • 後述する変更点はあるものの移植度自体は高かったのだが、なぜかキャラクターのボイス毎にローディングが発生しドライブがギーギーと騒音を立てながら頻繁に駆動するため、本体の寿命を縮めるのではといわれていた。
    • さらに、この仕様のせいで連続技を決めると腹話術の如くセリフが遅れて再生されるという弊害もあった。
      • 2000年に発売された『幕末浪漫第二幕 月華の剣士 Final edition』でも同様の症状が出ていた。
    • DC版以降の移植版では、追加要素としてT.O.P.ゾーンを狭めて攻撃力上昇率を上げることが可能となっている。
    • その一方、天翔乱姫など一部の超必殺技から何故か無敵が完全に消えてしまっているという見過ごせないバグもある。
  • SNKプレイモアからは、2005年に『ネオジオオンラインコレクション』第1弾としてPS2版が発売。ネオジオスティック2付き限定版も同時発売された。
    • 「ネオジオ」と付いているが、この第1弾のみタイトルに反して移植元のベースはDC版である。
  • 2009年にはXbox Live Arcade版も配信されている。
  • 2016年にはPS4/PSV/Win(Steam)版が発売。移植はCode Mysticsが担当。
    • Steam版の発売当初はDotEmu製で効果音が遅れて鳴る、操作遅延が酷いなどの劣化が目立つ移植だったが、2020年1月23日のアップデートでCode Mystics製に丸々差し替えられ、大きく改善された。
  • 『アケアカNEOGEO』シリーズの1つとして2017年にSwitchで、2018年にPS4/One向けに配信が開始された。
    • これに伴い、PS4/Oneでは発売元の異なる完全同一のゲームが2種類配信されていることになる*36
  • 「餓狼」の名を冠したネオジオ作品で、唯一ネオジオCD版が発売されなかった*37

余談

本作は稼動から10年余りが経った今も現在進行中で活発に対戦や研究が行われているので、興味のある方は是非視聴していただきたい。
ニコ動で人気を博している「修羅のゲーセン」こと中野TRFにおける大会をはじめ、『MOW』対戦を再燃させるきっかけとなった「HOWARD ARENA*38」や、『KOF'98』『月華二幕』と合同で行われた全国大会「日月星辰」など最高レベルの対戦を閲覧できる。

  • ダウンタウンの松本人志氏がこの作品のPRをしていたことがあり、エンドロールで名前が載っている。
    • 加えて、同時期に同氏が主演したドラマ『伝説の教師』の1話にて、序盤のゲーセン内のシーンにて同じく主演を務めた中居正広氏(当時SMAP)が『餓狼MOW』をプレイするシーンがある。
    • また、松本氏が同作主人公であるロック・ハワードのジャンパーを所持しているのは有名な話。
  • ロックステージのBGM「Spread The Wings」だが、後半部分がスイスのミュージシャン、ロバート・マイルズの「Chirdren*39」に似ていることが指摘されている。
    • そのため、『KOF XIV』にDLCキャラクターとして参戦したロックのテーマ曲は、他のDLCキャラクターの曲が過去作のアレンジである中唯一の新規曲となっている。
  • かつて過去の『餓狼』シリーズの人気悪役キャラクターである山崎竜二が『KOF』シリーズに登場するや否や、オロチ八傑衆の一員というストーリーの中心に関わる設定が付加された事で波紋を呼んだ。
    • 後に本作初登場のグリフォンマスクも『KOFXIV』にて再登場した際、似たような運命を辿る事になった。
    • と言っても、グリフォンの場合は山崎とは異なりストーリーの中心には関わっておらず、付加された設定自体もライトな内容であるため、批判的な意見は少なめ。
  • 本作で初登場したキャラのうち何人かは後に『KOF』シリーズにも参戦している。
    • 『KOF2003』ではグリフォンマスクと牙刀が登場。初の『MOW』キャラ参戦作となった。
    • 続く『KOFXI』では前述・前作の2人に加えてジェニーも初参戦、さらにその3人がデフォルトチームとなっており、チーム名も『餓狼MOWチーム』と本作のタイトルが冠された。
    • 『KOFXIV』ではナンバリングタイトルでは初めて本作主人公のロックが追加DLCとして参戦した*40
    • 『KOFXV』では追加DLCとして次の3人が参戦。前作から続投したロックに加え、牙刀、ジェニーも復活、チーム自体も『餓狼MotWチーム』として『XI』以来久々に復活した。

続編について

  • 主人公のロックを始め、本作の多くのキャラのエンディングは続編へ続くのを仄めかすような内容になっている。
    • そしてそれが示すように、実は続編の製作が進んでいたようだが、SNKが倒産したため実現していない。
    • 現在も根強い人気があることに加えてストーリーが打ち切り同然の終わり方になってしまっているため、続編を希望するファンは多い。
      • しかし、スタッフの離散や資料の消失により絶望的な状況にあるようだ。
    • 以前から元関係者より話されている内情によると、2000年当時は『餓狼MOW』の続編と『KOF2000』の開発ラインが進んでいたが、倒産間際だったこともあって『KOF2000』に開発リソースを集中させたため、本作の続編は開発中止になったとのこと。
      • その続編では本作では影も形もなかったシリーズの主人公の1人であるジョー・ヒガシの弟子分に当たる女性キャラクターが登場する予定だったと明かされている。
    • ちなみに、本作を含む『餓狼伝説』シリーズや『龍虎の拳』の製作チーム(SNK開発1部)が中心となって設立された会社が、後のディンプスである(設立当時の社名はソキアック)。
    • そのディンプスは紆余曲折を経て、かつてのライバル『ストリートファイター』シリーズの正統作である『ストリートファイターIV』の開発を担うという数奇な運命を辿っている。
      • もっとも、『餓狼』や『龍虎』を手掛けた西山隆志氏(現ディンプス社長)は、元を辿ればカプコンで初代『ストリートファイター』を作ったスタッフの1人であるため、厳密には原点に戻ったということになるのだろうか。
      • ただこうした経緯から考えても、『餓狼』の新作が出る可能性は限りなく低いと言わざるを得なさそうな状況であった。
  • このようにファンからすら続編は諦められていたが、2016年3月に突如として『KOFXIV』のプロデューサーであり、本作の製作スタッフであった小田氏より「なんとか死ぬまでに続編に手を付けたい」という話が上がり、6月にはさらなる続編製作予定の情報が流れる。
    • そして2022年8月8日、格闘ゲーム世界大会イベント「EVO2022」においてロックを中心とした新規イメージイラスト及びティザートレーラーと共に『餓狼』シリーズ最新作が開発中であることを正式に告知し、ファンから歓喜の声が上がった。
    • それから1年後となる2023年8月6日の「EVO2023」では、正式タイトルが『餓狼伝説 City of the Wolves』であることが発表。ティザートレイラーも公開された。
    • さらに翌年の2024年3月に、発売時期が2025年初頭であることが判明。今後の続報に期待したい。

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最終更新:2024年04月17日 16:16

*1 クロスバイダウンロード版/1,500円

*2 PS2版で付与されたレーティングを記載。

*3 厳密には『RB餓狼』と本作との間に、PSオリジナルの『リアルバウト餓狼伝説SPECIAL DOMINATED MIND』(RBDM)のストーリーが時系列に組み込まれる。

*4 そのテリーもデザインや性能が旧作から変更。

*5 主に実の子供や弟子への「世代交代」など。この傾向は3D格闘ゲームだが『鉄拳3』に近い。

*6 画面外にカーソルを移動させるだけで選択できる。

*7 主に無敵時間の延長や威力の増強など。

*8 隠し勝利ポーズにてその父・カッファンも登場し、ドンファンが冷や汗をかくという演出がある。

*9 ジャストディフェンスでなければコマンドは反応しないのでゲージ払い損の心配がない。

*10 後にロックが、マチュアと共演した『KOFXIV』において、彼女に対して「似た技を使う奴を知っている」と言う、フリーマンと思しき人物を例えに出した掛け合いが存在する。

*11 作中ではデモやゲーム中でケビン使用時に背景にて登場。台詞と声もあり、声は北斗丸と同じ竹内順子女史が演じている。

*12 ラスボスであり盟友のカインと合わせると「カインとアベル」になることからわかる通り、2人の名前の元ネタは旧約聖書である。

*13 このためコンボは名目上目押しを使ったものしかない。

*14 '08年になって発見された事象だが、ゼーレガード中にTOPアタックを重ねることでTOPアタックのヒット数が跳ね上がり、ガークラ確定&最低でも8割ダメージを奪える。なお、潜在ゼーレ+TOPアタックだとガードしても即死まである。

*15 代わりに『WILD AMBITION』には3Dグラフィックを活かした「軸移動」が存在していた。

*16 通常技から特定のルートで決まった連続技に派生するシステム。

*17 空振りした際の猶予は数フレームだが、接触させた場合入力猶予がヒットストップ分延長されるため。しかし他の必殺技コマンドとかぶるとブレーキング可能属性まで上書きされてしまうため、マルコの虎砲は623+Cで虎砲を出した後、レーキングまでに6までレバーを入れてしまうと、ブレーキング不可の虎煌拳を出した判定となりブレーキングが行えなくなってしまう。

*18 テリー、フリーマン、カインのみ0フレーム技を持っていない。

*19 最高がMIRACLEでその次点がSSS。最低がCでその次点がB。SとAのみアルファベットが1〜3個連なったものがそれぞれ連続して3つずつ存在する。

*20 主にストーリー上で因縁や関連のあるキャラが登場。

*21 相手にラウンドを取られるだけなら不成立にならない。

*22 それでもグラント、カインはボス相応の難しさで、何よりノーコンティニュー進行がカイン出現条件の1つ故に簡単という訳でもないが。

*23 キャラクターによってはコンボとして繋がる。

*24 ただバックジャンプしていれば攻撃を防げる訳ではなく、きっちりタイミングを合わせる必要が生まれた。

*25 失敗しても通常ガードやバックステップでやり過ごせる可能性があるため。

*26 T.O.P.ゾーンに入った場合短い画面停止があるが、これによってヒット確認キャンセル必殺技がしやすくなる、通称「TOP確認」と呼ばれる現象があるが、先頭に配置した場合ラウンド開始と同時にTOPinするため、この画面停止を回避できるのに加え、3割を超えるダメージが飛び交う本作では、ダメージ量がTOPを通り越す場合も多々あるが、先頭配置ならラウンド中必ずTOPinする利点もある。

*27 残念ながら、以前のアレンジ版のような生楽器による収録ではない模様。

*28 にもかかわらず、ブレーキングやフェイント等の同時押しに関しては同フレームで同時押ししないと反応しない。これも後述する敷居の高さに繋がっている

*29 他作品における白いゲージなどで表示される所謂「ヴァイタルソース」「リカバリアブルダメージ」など。

*30 お手軽な永久・即死連続技などは一切存在しない。一応、いくつかのキャラクターには入力猶予がシビアな永久コンボはあるが、ほとんどはツールアシストでもないと殺しきることは不可能なほどシビア。そのうち1キャラは人間でも何とかなるが、それでもレバーやボタンのメンテナンスに影響されるレベル。

*31 そしてたった一度のミスが致命傷になってしまうことが往々にしてある。

*32 先述通り、ケビンは現在でもキャラランク筆頭である。

*33 しかも、ミスったところで飛び道具として牽制に使うことができる。

*34 例えばテリーの基本コンボである近C → 2AC → しゃがみC → 2AC → しゃがみC → 必殺技などのフェイントキャンセル部分や、ケビンの[214C長押し → A → D → A + D]×αのヘルキャン高速ゲージ貯めなど。

*35 廉価版を含めた場合、DC版『KOF'99 EVO』の廉価版が最後。

*36 One版は上記のLive Arcade版がOneでもそのままプレイ可能。また本作以外にも『餓狼伝説SPECIAL』や『真サムライスピリッツ』もSNKプレイモアの移植版とアケアカ版が配信されている。

*37 既に『KOF'99』をもってネオジオCDへのソフト供給を終了していたため。

*38 ハイレベルな対戦攻略がなされていたホームページ。現在は閉鎖。

*39 TV番組「鉄腕DASH」の番組内企画で、タイムアップ直前に流れる曲……と言えばわかる人も多いかも。

*40 ナンバリングを除けば『KOF MAXIMUM IMPACT』が初参戦。