絶対無敵ライジンオー
【ぜったいむてきらいじんおー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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トミー
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発売日
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1991年12月28日
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定価
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3,200円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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無茶苦茶な難易度 ゴキ ファミ通クロスレビュー13点 「ボクにはこのゲームの楽しさが理解できません」
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概要
当時TVアニメ版が放送されていた人気アニメ作品『絶対無敵ライジンオー』をゲーム化したもの。
十字ボタン+2ボタン(攻撃、ジャンプ)で操作。全8面。セレクトボタンでメニュー画面となり、武装の選択、機体の変更、合体を行う。
ゲームは横スクロールの対戦格闘アクションで、敵である邪悪獣との1対1との対戦となる。
画面下に表示される敵の耐久力をゼロにすればクリアとなり、次の面へ。こちらの機体の耐久力がどれか1つでもゼロになるとゲームオーバー。
コンティニュー、パスワードは存在しない。
問題点
システム
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スタートボタンを押すと、ストーリーらしきものが表示されるが、全てカタカナなので非常に読みづらく、その上全部表示されると3秒ぐらいで画面が切り替わってしまう。
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又、フォントも非常に形が悪く読みづらい。メニュー画面を開くとブキ(武器)がゴキに見えたり、敵キャラの「アブラー」が「アゴラー」に見えてしまい、当時の小学生のネタにされた。
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スコアが一応存在する。武器の攻撃力が高い程、敵に当てた際に高得点。敵を倒せば更に多くの得点をもらえる。ミサイル・バズーカ・フラッシュ・シールドは500点でその他の攻撃は一律100点。
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どうやら攻撃力と比例しているらしく、裏を返せばミサイル・バズーカ・フラッシュ・シールドの攻撃力は他の攻撃方法の5倍の威力があるということ。
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得点を稼いでも特に意味は無い。更に、ステージクリアの度に得点が初期化されるという謎仕様。
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仮に得点を稼いでやり込むと意気込んでも最終面でしか稼ぐ意味は無く、精々10万稼げるかどうかというレベル。また稼ごうにもクリア可能な攻略パターンはほぼ固定(後述)なため、もはや苦行以外の何者でもないだろう。
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クリアするとデモが流れるが、ステージ内で流れた合体デモの使いまわしである。
主人公機
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原作通り、剣王・鳳王・獣王を使い分けられる…のだが、あまりにも出来がお粗末過ぎる。
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こちらの接近攻撃は異様に攻撃判定が小さい上に、本当にダメージを与えているのかと疑いたくなるほど攻撃力が低い(敵体力を1メモリ減らすのに10回程度の攻撃が必要)。当たっているかどうかもわかりにくい。
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鳳王、獣王には、それぞれ2発だけではあるが飛び道具のミサイルが搭載されており、当たればそれなりにダメージを与えられる。対して剣王はケンカキック(にしか見えない)とブレードという接近攻撃しか無いため役立たず。仮にも主人公機なのだが。
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戦闘中に合体してライジンオーになることができる。合体するとフラッシュ(ライジンフラッシュ)、シールド、R.ソード(ライジンソード)、ジュウリョクハ(重力波)と武装が増えるが…。
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フラッシュは2発までしか撃てないし、シールドは敵の攻撃を防ぐ武器かと思いきや、敵に投げつけて使う1回限りの使い捨ての武器である。重力波に至っては、当てた敵の動きを止めるのはいいが、効果中は何故かプレイヤーの体力が減っていく。
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R.ソードはライジンオーの必殺武器であるはずなのに、威力と当たり判定がおかしな事になっているらしく、密着して10回ほどぶち込まないと敵の耐久力が減らない。重力波を当てた敵に密着して使うと一瞬で相手の体力を6割ほど奪えるが失敗すると自分が瀕死になる。
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ただし、R.ソードの仕様に関しては原作再現ともとれる。原作でも敵を重力波で拘束して一刀両断というプロセスである。
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以上のように、飛び道具でないとまるで敵の体力を減らせないので、プレイヤーは「鳳王と獣王の飛び道具を弾数があるだけ当てる」→「ライジンオーに合体」→「飛び道具であるフラッシュとシールドをあるだけ当てる」→「最後は重力波を当てた敵に密着してソード」というパターンを行う事を必然的に要求される。
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このパターンでないと、クリアはおそらく不可能。もはや作業ゲーである。
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なおこんな調子なので飛び道具を外すと苦しくなる。
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6面からは何の説明も無く、ライジンオー、バクリュウ1(バクリュウオー)、バクリュウ2(バクリュウドラゴン)の3機を使い分けて戦うようになる。
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ライジンオーは変わらず、バクリュウオーはドリルとバズーカ(後述)、バクリュウドラゴンはミサイルが使える。
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合体すると原作通り「ゴッドライジンオー」になり、G・ソード(ゴッドライジンソード)、バズーカ(ゴッドライジンバズーカ)、シールド、ジュウリョクハ(重力波)が使用できる。
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機体は変わっても接近攻撃のダメージは雀の涙で飛び道具はそれなりのダメージを与えられるという点は変わらないためやる事は一緒。飛び道具をあるだけ当てる→最後は重力波使ってソード、である。
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バクリュウオーの武器に、腕から出すドリルというものがある。…原作にそんな武器は無い。
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というかエルドランシリーズ全部見回してもドリル付きの味方メカなんて出てこない。
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ついでに言うとバズーカという名の武器も無いが、こちらはバクリュウカノンのことだろう。
敵関係
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原作の邪悪獣は様々な特殊な攻撃でライジンオーを苦しめてきたが、本作ではあまり反映されていない。
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敵キャラは左右に動きつつ、時折ジャンプを交えながら飛び道具を出してくるという思考ルーチンのものが大半である。あまりに脳筋すぎる。
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また特殊な攻撃を仕掛けてくる敵もいない。どんな攻撃を喰らっても耐久力メモリが1減るだけのものである。
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しかし上記の主人公機3体の性能が貧弱なのと合わさり、耐久力メモリを1確実に削ってくる敵の攻撃は驚異以外の何者でもなく、別の意味でライジンオーを苦しめてきてくれる。
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例として、ゴッドライジンオーのパンチ攻撃を接近して約20発喰らわして1メモリを減らせるのに対し、敵の攻撃は1発で1メモリ減るという、敵有利な傾倒なバランス。また、お互いの耐久メモリは8しかないため、こちらは7発までしか敵の攻撃を受けられる猶予がない。結果、敵の攻撃パターンがワンパターンかつ脳筋にもかかわらず上記のパターン以外の勝ち筋が皆無という難易度と化してしまっている。
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敵キャラは8体中4体はゲームオリジナル。しかもスケルトーン・マシュマローン・バイオロンと、名前もデザインも適当。
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キャククターの動きも上半身はほとんど動かず、下半身が3コマぐらいでヘコヘコと動くだけ。劇中にあった重量感や迫力は皆無である。
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画面には段差らしきものがあり、プレイヤーや敵の動きや攻撃を遮る障害物のように見えるが、実際は移動も攻撃も素通りで、意味を成していない。
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背景も適当。ステージ2の背景である校舎はライジンオーより遥かにデカい。
その他
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クソゲー最後の砦とも言えるBGMだが、担当したのは『ミスティックアーク』等の音楽を担当し「夭折の天才」とも称される森彰彦氏である。しかし、残念ながら本作では彼の手腕を必ずしも生かせてはいない。
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タイトル画面の曲は一見かっこよさげ…と思いきや、突然放送禁止用語のごとき耳に痛いピー音が鳴り響く。
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氏は本作の約1年前にもGBのゲーム『バリーファイア』のBGMを担当している。
こちらもこちらでゲーム内容には不満が多いが、BGMについてはまともに評価されている。
評価点
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一部のBGMは良好。
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致命的なバグは特に存在しない。仕様通りに出来ているのにクソだという事だが。
総評
人員不足、予算不足があったであろうことは想像に難くないが、それを差し引いても余りに酷い作品。
残念ながら原作のファンであったとしても楽しむのは難しいであろう。
余談
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スタッフロールから、本作はアドバイザー1人、デザイナー1人、プログラマー1人、音楽担当1人、スペシャルサンクスの2人の僅か6人で制作された事が分かる。
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ファミ通クロスレビューでは13点(4/3/4/2)を獲得。
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レビュー内容も「2時間やって1エリアもクリアーできなかった」「はっきり言って、ボクにはこのゲームの楽しさが理解できません」「はじめに設定されているロボットではダメージをぜんぜん与えられないなんて、ヒドイよね」「格闘技というか、ただロボット同士が1対1で戦っているだけのゲーム」という惨憺たるものであった。
→参考資料
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この作品の翌年、同じトミーから、エルドラン3部作の2作目を題材にした『元気爆発ガンバルガー』が発売。新たな悲劇を生みだしてしまった。
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奇しくもクロスレビューも同作品と同じ点数(13点)である。さらに言えば点数の順番、それも3点を付けたレビュアーのコメントが一番辛辣な点も同じである。
最終更新:2024年04月25日 21:19