ダウンロード2

【だうんろーどつー】

ジャンル シューティング

対応機種 PCエンジン CD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 NECアベニュー
開発元 アルファ・システム
発売日 1991年3月29日
定価 6,800円
判定 なし
ポイント ディスクメディアによる正当進化
前作よりは遊びやすくなった
キャラデザインが濃くなった
(著作権的な意味で)色々アウトな裏モード
ダウンロードシリーズ
ダウンロード / ダウンロード2


概要

前年にリリースされたサイバーパンクシューティング『ダウンロード』の続編にあたる。
主要の登場人物は前作共通だが、ストーリーの繋がりは特に無く、前作を知らなくても楽しむには問題ない。
原案は前作に続いて小説家の中島渉氏が務めており、世界観がやや特殊なのも前作譲りである。
今回の見所はなんといっても、CD-ROM×2の容量を駆使したビジュアルシーンやアニメーションの強化、そして豪華声優陣によるフルボイスによる熱演である。

ストーリー

前作の事件の後、勢力を取り戻した国家民族主義と"会社"の抗争は激化し、地球は第二次統合時代に入った。

あの事件を解決したSAライセンスサイバーダイヴァー「SYD2091」(シド)はニュース番組にて、
通産省のデータライブラリが何者かにハックされた事を知る。
直後、恋人でパートナーの「DEVA3255」(ディーヴァ)が現れ、警視総監からのサイヴィング依頼を告げた。
ライブラリにハッキングした犯人がコンピューターメモリに逃げ込んだ為、
それを追い掛けて捕まえる、或いは盗まれたデータを消去する、という内容だ。
シドは愛機モトローダーに乗り込み、犯人の逃亡先である民族評議会日本支部へと乗り込む。

システム

  • 一人プレイ専用、全9ステージ構成。
    シューティングパートは前作同様の横シューティングだが、システムのほとんどが一新された。
    • ライフ制だった前作とは違い、今回は完全残機制である。ミスすると途中復活で、残機が全部なくなるとゲームオーバー。
  • 以下、自機性能に関する変更点。
    • 使用するボタンはウエポン(以下ショット)ボタンとウエポン切り替えボタンの二つ。前作にあったサブウエポンや自機スピード調整機能は削除された。
    • 自機のショットを4種類から自由に切り替え可能な方式を採用。前作に近い性能の「バルカン」「レーザー」、追尾機能のある「ホーミング」、射程は短いが攻撃力の高い「サーベル」があり、左から右に切り替えが可能。
    • 所々に出現するアイテムを取ると以下の効果がある。
      • パワーアップ:自機のショット4種のパワーランクをすべて上げる。最大二段階までパワーアップが可能。
      • スピードアップ:自機スピードを上げる。
      • ギガファイヤー:自機スピードをとてつもなく速く上げる、いわばマイナスアイテム。
      • 他にも、自機にシールドを張り一定のダメージを防いでくれる「シールド」と、自機上下に補助オプション(ホーミングショットで攻撃)を二つまで付けられる「ビット」がある。

評価点

  • グラフィック面の強化
    • 概要に示した通り、ビジュアルシーンのクオリティが前作以上に増した。
    • 当時のPCエンジンCD-ROM×2の性能を活かした進化であり、ビジュアルの書き込みや、シューティングパートのグラフィックは、さらに豪華になっている。
    • サイヴィングシーンの演出は格段に進化しており、ラストステージ前にはまた違う演出を用意する凝りようである。
  • 声優によるボイス演出が付け加えられた。
    • 主人公シド役のキャストは、アニメ版『北斗の拳』のレイや『機動戦士ガンダム』のマ・クベ、後には『クレヨンしんちゃん』のぶりぶりざえもん(初代)*1などでも知られる塩沢兼人氏が務めている。
    • 当時のゲームらしくムービーに字幕は無いが、前作に比べれば難解な単語の使用頻度は低めで、後述の通りストーリー自体が平坦化したのも幸いして理解は難しくない。
  • CD音源と内蔵音源の二種となったBGMのクオリティももちろん高くてアツい。
    • 裏技にてサウンドテストが可能(但し、内蔵音源BGMのみ)。
  • 前作に比べ、シューティングパートの理不尽さがある程度減少した。
    • 「パワーアップアイテムを二つとれば最強状態になれる」「アイテム出現率が前作よりもやや増えた」「ショット切り替えで不利な状況を回避できやすくなった」などの部分が大きい。

賛否両論点

  • キャラデザインが前作よりも濃いデザインとなり、ビジュアルに独特のクセが強くなってしまった。
    • 今回は前作と違い、キャラクターデザインを板橋しゅうほう氏*2が手がけており、画風が大幅に変化している。
    • 前作のシドは気さくなイケメンといったキャラだったが、今回では直進的な熱血漢といったイメージが強い。
      • ゲーム中ではそれなりに男前に描かれているが、パッケージのイラストはアングルの問題なのか(特に前作と並べると)正直格好良いとは言い難い。この点も損をしてしまっている。
      • 何故か今回はシドの裸体シーンがやたらと多く、ゲーム開始直後からフル○ン状態。
    • ヒロインのディーヴァも前作ではどこか小悪魔的な雰囲気のあるサイドテールの金髪美女だったのが、今作では美人には違いないものの茶髪ストレートで大人の女性っぽく(ついでにシドとは逆に露出が無く)なっており、同一人物には見えづらい。
    • ステージ2クリア後に登場する悪役はかなり癖の強いデザインになっており、声の演技*3も相俟って少々気持ち悪さすら覚えるかもしれない。すぐに退場するが。
  • パターン覚えゲーなのは好みが分かれるところ
    • 初見では厳しい箇所もあるが、ガチガチのパターン攻略を要求される場面は少なく、ある程度覚えてしまえばシューティング初心者でもクリアは不可能ではない。
    • その一方で中上級者にとっては、覚えてしまえばノーミスクリア可能なヌルゲーになってしまう。

問題点

  • 前作よりは復活が容易になったとはいえ、やはりミスするとすべて初期化された状態での復活であるが故に、多少はきついところはある。
    • 自機スピードもアイテム強化制となり、前作のようには自在に調節できなくなった。ミス後は動きが鈍足になってしまう。
  • 前作に比べると、シナリオがやや平坦に収まった感が強い。
    • シドが請けた依頼から大きな事件に発展し、その元凶であるラスボスを突き止めて討伐するという流れは同じだが、前作は劇的な展開に富んでいたのに対し、本作は原則として元凶と対決するという目的だけで、あまり多方面にストーリーが進行しない話となっている。元凶はちょっと意外な存在ではあるものの、結局はありがちなご都合バトルに収まってしまった。
      • ストーリー中盤には早くも元凶の正体が判明し、新たな敵勢力となるはずの民族評議会も前半であっさり壊滅させられて以降はその追跡と撃破に終始するのでどうしても平坦さが否めない。
      • 新たな敵勢力となるはずの民族評議会の過激派も、前半で非常に呆気なく壊滅させられるので非常に印象は薄い。
    • ただ、前作は盛り上がりの割にラスボス戦からエンディングが非常にあっさりしていたのに対し、今作は逆にラスボスが第三形態までの長期戦になっており、エンディングもドラマチックに作られている。
      • 特に自機のモトローダーは前作では単なる乗機扱いだったのが今作ではキャラクター性が与えられ、エンディングでは意外な役どころを見せてくれる。
  • 前作にあったパスワードコンティニュー制は廃止された。
    • 一応、裏技ではあるが好きなステージやビジュアルシーンをセレクトできるので、それを知っていればそこまで困る事はない。

総評

ビジュアルの強化、フルボイス導入、多少は遊びやすくなったシューティングパート、といい意味で続編らしいゲームといった印象。
Huカードでは難しい表現をやってくれたという意味では素晴らしい出来と思える反面、前作ならではの新鮮味が薄くなってしまったのも事実。この辺りは悪い意味で続編らしい。


カオス、というかアウトな裏モード

  • …と、ここまで見ると「極普通のありふれたSTG」という評価の作品ではあるのだが、とある裏技を使用すると出現する隠しモードでは、雑魚敵がまるで素人が殴り書きしたような粗い作風になり、各種キャラデザも著作権的にかなりヤバい事が本作の語り草になっている。
    • はっきり言ってしまうと、既存の漫画やアニメ、特撮などのキャラがそのまんま描かれているのである。似ている、それっぽいかというレベルではなく冗談抜きでそのまんまである。それこそ板橋氏の漫画『ペイルココーン 蒼ざめた繭』*4のノリをSTGでやったような…いや、それを数段悪化させたような節操の無さと言っても良い。
    • 本作がバーチャルコンソール等で配信されていないのも、おそらくこの裏モードのキャラデザが原因だろう。
    • なお既存作品を引用し、そのパロディを作る権利自体は法的に認められている。とは言っても無断使用との境界は曖昧であり、著作権者との争議に発展するリスクがある。
+ タイトルを伏せて詳細を書くと…
  • 1面:飛来する敵が何故かスマイルマークに、高速道路のポールが何故か某光の国からやってきた救世主そっくり。
  • 2面:地を這う雑魚が北欧出身の妖精さんに混じって卵の形をした図体で頭に豆電球みたいなーレーダーが生えているプラモデルが出てくるわ、狭い地形を塞いでいる砲台が自称・天才の親父に。天井と地上には鼻の下に髭が生えたカエルまでいる。
    後半には頭に毛が3本生えているオバケとその弟もひっそりと登場。
    • なお、狭い地形を塞ぐ破壊可能な障害物に表示された文字を読んで、答えに気づいた人は完全にマニアです*5
  • 3面:小型の敵が6つ子の脇役の少年、ジグザグに動く敵がウジ虫のような謎生物、これに混じって昭和40年代にヒットしたギャグ番組に出てくるマスコットキャラフライドチキンで名を馳せたおじさんの顔が描かれた器(破壊すると手羽先(っぽいもの)を吐き出す)が併せて襲ってくる。途中からレレレで掃除のおっさんの首だけ語尾に「ジョー」が付く頭に旗が刺さったヤツも現れる。そして、終盤の砲台はバカモン!のオヤジと瓜二つ。
  • 4面:冒頭からレレレで掃除のおっさんレバー2本で遠隔操作する巨大ロボが平気で襲ってくる。途中の地形には不条理ギャグを確立させた生物が描かれている
  • 5面:前半は米国生まれのキツツキ(の出来損ない)ジャングルの王者元祖巨大ロボが、そして後半では海外出身の黒ネコに追いかけ回されるキュートなヒヨコ北欧の妖精のパパが登場。そして(少々分かり辛いが)背景に「どったのセンセー?」で知られるアメリカ生まれの灰色で長身のウサギが出てくる。
  • 6面:雪山と変な顔の石像が並ぶ背景をバックに、鳥になった自称・天才の親父スナック菓子のマスコットのおじさんの頭が大量に飛来するわ、西遊記をギャグ化した昭和40年代前半のアニメの中ボスに加え、山頂の砲台が何故かいかにもパイルダーオンしているロボットZの頭に変わってしまった。地上からは感激しながら飛び出してくるひし形の口をしたグラサン男やら某星間大戦争の地上戦向け兵員輸送艇までもが現れる。
  • 7面:曼荼羅調の背景に、悪魔の力を身に着けた男に混じってくしゃみで勝手に召喚される壺の魔神が何故か頭を外して攻撃してくる。更に壺の魔神の土台をよく見ると大きな唇がトレードマークの女性言葉を使う40歳が…。他にも悪の秘密結社に人体改造されたバッタのヒーロー二本足で歩き言葉を話す赤い野良猫もポツリと出てくる。
  • 8面:荒野を突っ切る自機に対して、背景には悪役3人組の「このスカポンタン!」が決め台詞の女ボス8番目の男が無数に立ち並び、雑魚敵は国際救助隊の主力メカ達ちゃぶ台返しの親父と魔球を投げそうな息子、空中からは原子の力で戦うアンドロイドが大量に飛来する。
  • 最終面:いきなり雑魚に某科学忍者隊の宿敵やら、白いイルカに乗った海の少年とかは序の口で、海苔佃煮で有名な会社のキャラフーセンガムの包み紙でお馴染みの黒猫「おやつあげないわよ!」のお姉ちゃんとその3兄弟、やたらつきまとうかのように硬い国際救助隊の4号機…と元からある背景のハーケンクロイツ風な模様と相まって非常にカオスな顔ぶれである。

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最終更新:2023年02月13日 20:18

*1 ファン、スタッフ共にあまりにも塩沢氏のイメージが強過ぎて、クレしん自体今も尚続く長寿アニメなのにもかかわらず氏の死去後は16年もの間ぶりぶりざえもんに代役が当てられず声が封印され続けた事でも有名。

*2 本業は漫画家だが、「東映版スパイダーマン」や「バトルフィーバーJ」の怪人デザインに参加したことでも知られている

*3 小物感を出そうとしたのか、所々吃る。

*4 元々はシリアスなハードSF漫画だったが、読者受けが悪かったのでヤケクソでギャグ漫画化したら人気が出たという異色の経緯を持つ作品。作者の悪ノリもあり、序盤と終盤以外は脈絡のない展開や他作品の露骨なパロディがてんこ盛りの怪作となっている。

*5 具体的には昭和50年代に放映されていたバラエティTV番組のタイトル