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光GENJI ローラーパニック

【ひかるげんじ ろーらーぱにっく】

ジャンル アドベンチャー
裏を見る
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 ポニーキャニオン
発売日 1989年3月20日
定価 3,200円
判定 クソゲー
ポイント 「光GENJI」とのタイアップ作品
メンバー全員の顔がほとんど一緒
主人公の設定が無意味
あまりにもふざけているセリフ
手抜きにも程があるエンディング


概要

1980年代後半から90年代前半にかけて凄まじい人気を誇ったジャニーズ事務所所属の男性アイドルグループ「光GENJI」とタイアップしたアドベンチャーゲーム。
発売元のポニーキャニオンは当時光GENJIの楽曲をリリースしていたレーベルでもあるので、まさしく完全公認のゲームである。
光GENJIはローラースケートを履いて歌い踊るパフォーマンスで人気を集めたグループだった。
本作は、そんな光GENJIと一緒にアドベンチャーしたい女性ファンをターゲットとしていた様子。
その為、主人公を設定する際のデフォルト性別が女性だったりパッケージの外観がCDケースと同一だったり、付録に占いカードが付いていたりしている。
パッケージ専売のみで、ディスクソフト恒例の書き換え販売はされなかった。


ゲーム内容

  • オーソドックスな推理もの風アドベンチャーゲーム。
    • 光GENJIのローラースケートが全員分奪われてライブを開催できなくなってしまったため、メンバーと共に犯人を捕まえるという粗筋。
      • ゲーム内容は、下記で説明するアドベンチャーパートをメンバー7人分プレイすると言うもの。全員のローラースケートを取り戻すとエンディング。
      • ちなみに、オープニングで登場するコンサートホール「ビッグボール」は、前年3月に完成した読売ジャイアンツの新本拠地球場「ビッグエッグ」こと東京ドームのパロディと思われる。
    • 本作と同日に光GENJIの東京ドームでのライブコンサート「光GENJI TOKYO DOME CONCERT Hey! Say! 1.15・16」を収録したビデオ(収録日はタイトルの通り1月15・16日)が発売されており、冒頭で語られる「この町で初めて行われるコンサート」はこれを指しているものと思われる。
      • 光GENJIがライブを東京ドームで行ったのもこの時が初めてなので、そういう意味でも現実通りだが、さすがに「東京ドーム」の名称使用権は取得していないと思われる。
  • 光GENJIのメンバーと一緒に12箇所ある街の施設で聞き込みをして犯人を見つける。
    • メンバー側の選択肢は常に「きいてみれば」「あげてみれば」「みせてみれば」の3択。選んだ項目からさらに出る4択を選んで決定する。
    • 他作品の「きく」「わたす」「みせる」に近いが、メンバーが提案し、
      提案を受けたプレイヤーが考えるというシチュエーションで光GENJIのメンバーと密接に関わり合ってお互いに協力して進めているという気分を出そうというものである。
  • 「情報収集→犯人見つける→スケート靴を取り返して感謝の言葉を言われる」と一応ファンへの対応はして貰える。
    • また、一度ローラースケートを回収したメンバーを選んで再度捜索することもできる。

問題点

  • 光GENJI感覚というワード
    • 説明書に「パートナーの光GENJIがいろいろとたずねる内容を聞いてきますから、光GENJI感覚で質問してください」と書かれているが意味がわからない。
      • 選択肢も不真面目な質問や変な行動ばかりが候補の大半ともあれば、ファンは怒るのではないだろうか。
  • 設定、ストーリー周りのご都合主義が極まっている。
    • 何より窃盗事件なのに警察の立場がない。「何故一般人たる主人公ひとりだけが何故光GENJIのメンバーと捜索せざるをえないのか」という部分からはじまり「予備や代わりのローラースケートを用意すればいい」というあたりまで常にツッコミどころが存在する始末。
  • 自分の商売道具が盗まれたのに「きいてみれば」「あげてみれば」「みせてみれば」と他人任せで自身の積極性が感じられないコマンド。
    プレイヤーとの対話という気分を出すという意図にしても「きいてみよう」「あげてみよう」「みせてみよう」など、他に適切な言いまわしはいくらでもあるだろう。
    • 「きいてみれば」は基本的に「てがかり」「はんにんのこと」などが選択肢にあがるが、「しごと」「とし」など、明らかにどうでもいいものが混じっている。
    • 「あげてみれば」は「チケット」「おかね」や「チップ」など賄賂じみたものが混じっている。
      「まごころ」のような形のないものに加えて「てんぷら」「悲鳴」「手」など言葉遊び的な選択肢まで含まれる。
    • 「みせてみれば」も「ポスター」などの証拠を見せる用法の他、「やるき」など形のないもの、中には「舌(を出す)」「おへそ」など奇行も。
    • 項目内の選択肢に「あれ」「それ」「これ」とか、わけがわからない適当な項目が出現することも。
  • 光GENJIのメンバーはおろか、プレイヤーキャラでさえもやる気があるとは到底思えず、ほんとにファン向けゲームとして作ったのか?と疑いたくなる。
  • 同じようなシナリオを7人分繰り返すだけでストーリーのバリエーションがない。
    • ヒントや会話の内容がほんの少しだけ変わっているが誤差。
    • 似たコンセプトの『TM NETWORK LIVE IN POWERBOWL』も世界観の設定的にはかなり無茶苦茶な作品ではあったが、シナリオそのものは筋が通っていて作品としては成立していた。
  • 7人分のローラースケートを盗んだのがそれぞれ別人なのにグラフィックは全部一緒
    • そのうちの1人は「未成年だからスナックに入れてもらえないかなア」などと言っているが、ソリの入った頭にサングラスとどう見てもガラの悪そうな中年のおっさんにしか見えない。
  • 目撃証言を集めて犯人にたどり着くと突然「わたしが、はんにん だよ。スケートを、かえすよ」と犯人が自白して解決する。
    • 事件性あるストーリーもないので手口や事情なども一切ない。
    • 「警察に自首した」「返したらメンバーが寛大に許してくれた」などといったものも語られない。とりあえずコンサートは開催できたというぐらい。
  • 真っ当な会話もするつもりがない選択肢が多すぎる。
    • 事件の事を訪ねてもろくな答えが帰ってこない事も多いため、総当りで答えを見つける他ない。
    • ジングルがなることで正解そのものはわかるが、ヒントの出し方が低レベルである部分を修正してほしかった。
+ 例えば某所で真面目に犯人のことを聞くと

4つのヒント以外はこんなムードブチ壊しのメタ発言や、寒いおやじギャグ(例・「タバコは昨日やめたところジョージ」)のオンパレード。

  • 作品のターゲットは女性のはずだが、一番会話量が多いはずの光GENJIのマネージャーがキツめのセクハラし放題。
    • この時代はいろんな意味でおおらかというか、セクハラは女性が涙を飲むしかない時代だったことを反映しているのだろうか。
  • エンディングは「ガラスの十代」をバックにメンバーが踊る様子が流れるだけ。
    • しかもほとんどOPと映像が変わらず演出も手を振っているのみで身体が一切動かないまま左右に平行移動するだけ。
  • エピローグやスタッフロールもない。
  • 全体的に雑なグラフィック
    • アドベンチャーパートではキャラクターの目が死んでいる。版権ゲーとして致命的。
      • メンバーがローラースケートを取り返してもらって感謝の言葉を述べる際の顔が白目を剥いているようにしか見えない
  • 第二に光GENJIメンバーですらかき分けが上手くできていない。かろうじてバンダナでセンターが諸星和己氏だと判るくらい。
    • 身長に至ってはメンバー全員が見事なまでにピッタリ同じでキャラゲーとは何なのかと言わざるをえない。*1
      + 画像
      諸星くんはどこか分かるだろうか?
  • 一応、服の色の違いで光とGENJIのメンバーを区別しているらしいが、あとの4人は判断できる材料が皆無。
  • 最初に主人公の性別・名前、生年月日・血液型など細かく入力させられるが、途中の簡単な占いのためにしか使われない。
    • 1つでも入力が抜けていると、占い師は「わからない」という答えを返してくる。
  • エンディングで表示されるメッセージの入力が可能なのはファン向けの拘りとして悪くはないのかもしれないが、上記の通りゲームの根幹であるストーリー展開に感情移入できないようでは無意味も同然。
    • 好きなアイドルに任意で甘い言葉をささやいてもらう、と言う恋愛シミュレーション的要素だと思われるがゲームとしてダメな物にそんな要素を追加されたところでという感じである。
    • しかも、そのメッセージも「ア行の拗音」や「長音符(ー)」が使えないなど、こだわりがあるはずの部分なのに中身が明らかに不十分。
      • 「ア行の拗音」はゲーム中でも使われていないので仕方ないとしても長音符は「スケート」「コンサート」などで使われているのに、ここで使えないのはさすがに気が利かない。他に「光GENJI」という単語も特例的に登録されているのに、ここで使えないのはどうかと思われる。

評価点

  • タレントプロデュースゲーは多いが、 「憧れのアイドルと一緒に過ごす」 ゲームとしてはレア。
    • 乙女ゲーに繋がる要素もあり、シナリオさえ全うならばさらなる評価が見込めたはず。
  • BGM
    • ゲーム開始時には「STAR LIGHT」、エンディングには「ガラスの十代」が使用されている。FCとしてはそれなりに聞けるレベルで質が高い。

総評

タレント系のゲームは元々出来にムラがある傾向にあるが「憧れのアイドルと一緒に過ごすシチュエーションを体感できるゲーム」という趣向そのものは悪くはなかった。
だがグラフィックの再現性の低さ、アドベンチャーの中核であるストーリーがあってないようなものでは擁護のしようがない。
ファンならば一応光GENJIのアイテムとしてだけでも嬉しいと思えるかもしれない一方で、逆にファンだからこそ「似てないグラフィック」「気分を害するおふざけに全振りした台詞回し」に怒った可能性も否定できない。

滑り散らかした末が「ダメな物ばかり集めてしまった」この作品の評価である。


余談

  • 外部評価
    • 『ファミリーコンピュータmagazine』の1989年度ファミマガゲーム大賞*2では ワースト を記録し、1985年12月以降の累計でもワースト6位だった。
      • ゲームの発売直後の同誌1989年9号には「ゲーム性は抜きにして光GENJIグッズの1つとして買われたようだ」などと書かれていた。
  • もっとも売上ランキングを見るに、評価の割りにはスマッシュヒット級といえる程度には売上があったと見える。
    1989年のディスクソフトのパッケージ売上本数では本作が約6割を占めるほどで文句なしのトップを記録し、書換を含めても『SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ マップコレクション』に次ぐ2位と評価に反して売上まで最悪ではなかったようだ。
  • しかも当時のディスクの売上は書換えが主力で1989年のパッケージ販売の総売上本数は前年の1/5を切るわずか約45万本(前年の1988年は約237万本)と特に衰退著しく不振だった。それに対して書換は1988年は829万回に対して1989年は454万回と急落したとはいえそこそこの水準は保っていた。
  • そんな中でテレビCMも打たず、パッケージ販売専用であり、ディスクにしては3,200円と高めの価格ながらこれほどの売上を叩き出したことは大金星と言っても差し支えないだろう。
    • 不二家の『アメリカンバー』と、エスキモー社の『クリスピーナ』、大塚食品社の『マイクロマジックポテト』という、光GENJIが広告に出演した商品はゲームに登場するが、このゲーム自体のCMは放映されることはなかった。
  • 上記の通り「STAR LIGHT」「ガラスの十代」がFCとしては質の高いレベルで実装されているのだが、最大のヒットを記録し前年レコード大賞も受賞した「パラダイス銀河」(1988年3月発売)は含まれていない。
  • 上記の占い用に入力する生年月日のうち年は2桁しか入れられないが、当時は「昭和」がデフォルト*3だったので、それを指している。
    • そのため昭和生まれ以外には対応していない。明治・大正生まれのおじいちゃんおばあちゃん、後にプレイする平成・令和生まれの世代は正しい答えが聞けない。
      • 平成生まれの世代がアドベンチャーゲームをする年齢になった頃には解散していたのが幸いか。
  • 同梱の相性占いカードを裏返すとメンバーがヨコに並んだ写真になっている。
    • ゲーム本編そのものはファンにとってはガッカリ間違いなしだがコレが多少は慰めになったかもしれない。
      • このカードの中心がメンバーの中でも一番人気の諸星くんになっているのだが、相性占い盤が回転式になっているせいで彼の脇腹に風穴が開いている。
  • ゲーム中に「ナンノのサイン」というものが出てくる。
    • 「ナンノ」とは南野陽子氏の愛称であり、人気女性アイドルの1人。彼女の所属レーベルはCBSソニーなので公式ではないのだが、大らかな時代ゆえ許された表現というべきか。
  • ジャニーズ事務所は肖像権管理に厳しく、ゲームとは楽曲提供以外殆ど接点を作っていない中、この作品は珍しいものであった。
    • 数少ない出演作としてV6を題材にした『プロジェクトV6』、TOKIOの松岡昌宏氏が主演の『玻璃ノ薔薇』、木村拓哉氏が主演の『JUDGE EYES:死神の遺言』が発売されている。
  • 当事者としての論評も後年にいくつかなされているが、どれも散々なものである。
    • 諸星和己「中身なんて無いですよ」(TBS『ザ・ベストテン』にて)
    • 大沢樹生「売れなかった」(自身の著書『昨夜未明、大沢樹生が死にました…』にて)
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最終更新:2024年02月12日 15:10

*1 佐藤敦啓氏と山本淳一氏は165cm弱、内海光司氏と大沢樹生氏は175cm超、他の3人は170cm程度なので一直線に並べば「大2・中3・小2」になるはず。

*2 前年12月~当年11月までを対象(つまり1989年度なら1988年12月~1989年11月)として「キャラクタ」「音楽」「操作性」「お買い得度」「熱中度」「オリジナリティ」6項目に1~5の評価を付けて、それぞれの平均値の合計を総合評価とする(つまり30点満点)。

*3 前年の1988(昭和63)年の二桁表現なら「88年」より「63年」と言われることが多かった。