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ファイナルファンタジーVIII

【ふぁいなるふぁんたじーえいと】


ジャンル RPG
高解像度で見る 裏を見る


対応機種 プレイステーション
Windows 95/98/Vista/7/8*1
メディア 【PS】CD-ROM 4枚組
【Win】CD-ROM 5枚組
発売・開発元 【PS】スクウェア
【Win】エレクトロニック・アーツ・スクウェア
発売日 【PS】1999年2月11日
【Win】1999年10月3日
定価 【PS】8,190円
【Win】6,800円
プレイ人数 1人
セーブデータ 【PS】1ブロック使用
【Win】60ファイル保存可
周辺機器 【PS】ポケットステーション対応
レーティング CERO:B(12才以上対象)*2
廉価版 【PS】アルティメットヒッツ
 2006年7月20日/2,625円
配信 【PS】ゲームアーカイブス
 2009年9月24日/1,500円
【Win】for PC
 2014年5月8日/1,543円
【G-cluster】for GC*3
 2014年8月28日~2019年10月31日/2,000円*4
判定 賛否両論
ポイント 異質かつ理解が難しい独特なシステム
賛否分かれるシナリオと世界観
じっくり考えないとわからない巧妙すぎる設定
ビジュアル面全般は前作から大幅に進化
「モンスターをたべます」
ファイナルファンタジーシリーズ

ストーリー

精鋭傭兵部隊「 SeeD (シード)」を擁する兵士養成学校「バラム・ガーデン」。
主人公・スコールは幼少の頃からそこに在籍する青年である。
彼は他人を避け、常に一人で生きていこうとする意志を持つ少年であった。
そんな彼の人生は、初のSeeD認定試験を境にして大きく動き出す。

晴れてSeeDとなったスコールは、同じ日に合格した同期のSeeD達と共に、
大国ガルバディアの占領に反発するレジスタンスの支援任務に駆り出される。
時を同じくして、ガルバディア大統領は全世界規模の演説を行い、ガルバディアによる世界統一の意思をほのめかす。
その隣には、15年前の「魔女戦争」で世界に恐怖を振りまいた「魔女」の存在があった。

魔女の目的とは、世界の行末は。そしてスコールの夢の中に度々顔を出す謎の男・ラグナとは一体…?
レジスタンスの少女リノアと出会い、彼女を護衛することになったスコールは様々な出来事を経験し、
次第にそのかたくなな心を変化させていく。


概要

ゲーマーであればその名を知らない者はいないであろうRPGシリーズ『ファイナルファンタジー』の第8作目。プラットフォームをPSに移し、CG・3Dポリゴン化してからの2作目にあたる。
一世を風靡した前作『VII』の影響を受けてか、販売本数はこれまでのシリーズ史上最大を記録し、特定条件下でゲームの進行が不能になるバグの存在がTVニュース等で報道されるほどの凄まじい知名度であった*5


世界観・シナリオ

  • 本作は前作同様の現実的な文明観に近い世界観だが、サイバーパンク・SF色の強かった前作と比べるとより現代的かつ現実的な雰囲気が強い。
    • 魔法や幻獣、「魔女」と「騎士道」などのファンタジックな要素と、「ティーンエイジャーを主役に据えた学園恋愛もの」という現代的な要素に、近未来的なSF要素も絡めた独特の世界設定となっている。

ゲームシステム

本作は他のFFシリーズから見てもかなり異質なシステムを採用している。
本記事で論ずる話題を理解するために必要な、最低限のシステムをここで解説しておく。

ジャンクションシステム、G.F.および魔法

ガーディアンフォース(G.F.)が召喚獣でもあり装備品でもある

  • G.F.とは従来作の「召喚獣」「幻獣」に相当するエネルギー生命体。
    • シヴァ、イフリートなどお馴染みのキャラも多く、従来作と同様なコマンドとしての召喚魔法の役割も果たす。
    • しかし今作では脱着可能な「装備品」としても扱われ、これが後述するジャンクションシステムの中核を成す
      • 今作ではG.F.がいなければアイテムすら使うこともできず、過去作の比にならないほど大きく戦局を左右する非常に重要な存在となっている。
    • G.F.の入手方法は以下の通り。
      • 戦闘:当該G.F.との直接戦闘に勝利することで入手できる。
      • ドロー:後述の通り主に魔法を入手するコマンドだが、特定のボスモンスターはG.F.を所持しており、「ドロー」コマンドでそれぞれ1回だけ入手可能。
      • イベント:戦闘以外でのイベントにより入手する。

魔法が消耗品であり装備品でもある

  • 本作の魔法には個数の概念が存在し、仲間1人につき魔法1種あたり100個までしか所持できず、「まほう」コマンドで使うと残数が減る、味方間での受け渡しもできる、など完全な消耗品扱いとなっている。
    • そのため本作にMPの概念は存在しない。
    • なおシナリオ上、主人公や一般の魔物が使う魔法は厳密には「疑似魔法」と呼ばれ、魔女が使う「本来の "魔法"」とは別物である、という設定。疑似魔法の威力は本物の魔法に到底及ばず*6、魔女や魔法の立ち位置を表現し世界観を構築する要素ともなっている。
  • そして魔法は後述のジャンクションシステムにおいて装備品としての役割も担う
    • 魔法の所持個数は、単に使用回数の制限であるにとどまらず、後述のジャンクションシステムにおいて「装備品」としての効果の強さを意味する数字でもある。
  • 魔法の入手方法は主に以下の2つ。
    • ドロー:戦闘中にこのアビリティ(コマンド)を実行することで敵が保有する魔法を奪うことができる。世界各地に「ドローポイント」なるエリアが存在し、ここからも一定量を入手することが出来る。
    • 精製:特定の素材アイテムを別のアイテムや魔法に変換する。例えば「回復魔法精製」のアビリティを使えば、テント1つからケアルガ10個が精製できる。本作では敵が頻繁にアイテムを落とし、ショップの物価も高くないため、余ったアイテムをどんどん精製することで楽に魔法を集められる。

ジャンクションシステム

  • 本作のキャラクター育成およびカスタマイズは「ジャンクションシステム」という、従来作の「アビリティ」と「装備」を融合させたような独自のシステムで行う。
  • その概要を一言で言えば「『G.F.』という強化パネルを各キャラに装備させると、そのパネルを通して「アビリティ」が使用可能になり、そのアビリティを通して『魔法』という強化アクセサリを装備可能となる」というもの。
  • G.F.は、任意のキャラクターに「ジャンクション(接続)」させることができる。
    • ジャンクションさせると、そのキャラは装備させたG.F.が持つ「アビリティ」を使用可能となる。
      • 各キャラには複数種のG.F.を制限数なくジャンクション可能だが、複数のキャラが同じG.F.を同時に装備することはできない。
    • G.F.のアビリティは大きく以下の6種に分かれる。
      • コマンドアビリティ:「まほう」「アイテム」「カード」など「たたかう」以外のコマンドを使える。
      • キャラアビリティ:「HP+40%」「歩くとHP回復」「オートヘイスト」等の常時発動型の補助効果をキャラに及ぼす。
      • メニューアビリティ:「炎魔法精製」「ショップ呼び出し」といった非戦闘時のメニューで実行可能。
      • パーティアビリティ:「エンカウント半減」「値切り」などパーティ全体に常時発動効果を及ぼす。
      • G.F.アビリティ:「G.F.HP+20%」「召喚魔法+10%」などそのG.F.自身に効果を及ぼす。
      • ジャンクションアビリティ:キャラに魔法をジャンクション可能になる。後述。
  • 「たたかう」以外のコマンドを使うにはG.F.の存在が必須である。何のG.F.もジャンクションさせていないキャラクターは「たたかう」およびピンチ時に出ることがある「特殊技」、逃走の3通りしか行動できず、アイテムや魔法の使用すらできない。
    • その分「アイテムコマンドが特に不要ならつけない」ことも選択できるなど、アビリティの取捨選択の自由度が非常に高いのが特徴。
  • このシステムは、G.F.を使わない人間が弱く、主人公達が強いという理由を合理的に説明する裏付けともなっている。
    • 更にG.F.のジャンクションによる弊害がシナリオでも描かれるなど、システムと世界観の両者を構築する役割を二者合一で担う、本作の顔と言えるシステムである。

ジャンクションアビリティによる魔法の装備

  • 先述のジャンクションアビリティは「力J」「魔力J」のように「~J」(ジャンクション)という名前を持つアビリティ。
    • この「ジャンクションアビリティ」を持ったG.F.を装着することで、「そのキャラクターの該当するステータスに手持ちの魔法をジャンクションさせる」ことが可能となり、これによってキャラのステータスを強化できる。
      • たとえば、「力J」を持つG.F.をジャンクションしたキャラクターは、「力」に手持ちの魔法をジャンクションさせることができる。
      • 同じ魔法なら残個数が多いほど各能力値の上がり方が大きく、たとえばファイアを力にジャンクションさせた場合、10個なら力+1、100個なら力+10の強化効果が得られる。
      • 戦闘中にジャンクションした魔法を使用し個数が減ると、使用個数に比例してジャンクション先ステータスの強化幅は減る。
    • ステータスにはどの魔法でもジャンクションできるが、各魔法ごとに各ステータスへの向き不向きが設定されている。
      • 一般にそのステータスに関連した魔法であるほど、また上級の魔法(威力が高い、レアであるなど)であるほど、ステータスが上がりやすい。
      • たとえば「プロテス」は体力の上昇量が高く「シェル」は精神の上昇量が高い、「レイズ」はHPが上がりやすいが「アレイズ」は更に上がりやすい、究極魔法「アルテマ」はどのステータスの上昇量もトップクラスに高いが、命中の数値だけはレア魔法「トリプル」がアルテマの2.5倍という圧倒的な上昇量を見せる、などといった具合。
  • ステータスと同様に「属性攻撃J」「属性防御J」「ST攻撃J」「ST防御J」などのジャンクションアビリティもある。
    • それらへジャンクションできる魔法は限られているが、関連する魔法をジャンクションすることで属性攻撃や属性防御、ステータス攻撃やステータス防御が可能となる。
      • たとえば「属性攻撃J」に「ホーリー」を、「ST攻撃J」に「ブレイク」を同時に付けると「聖属性を持ち、石化の追加効果を与える通常攻撃」が可能になる、といった具合。属性防御やステータス防御についても同様。

その他のシステム

味方と敵のレベル連動

  • 本作でもレベルアップによるキャラの強化も要素として存在はするが、ジャンクションとアビリティによるステータス補強の方が圧倒的に大きなウエイトを占める。
    • 一方、今作の特徴として味方のレベルが上がると敵のレベルも上昇する*7点がある。
    • そして人間キャラのレベルアップに要求される経験値は全レベル一律1000ポイントで固定*8されており、過去作と比べてもレベル上昇はかなり早い。
    • 敵は当然レベルアップにより強化されるものの、それに応じてドロップアイテムの品質も大幅に上がる。
      • この仕様により、ストーリーの進行状況を問わず育成や制限プレイが柔軟に行いやすくなっている。
  • またG.F.も戦闘によって経験値を獲得し、レベルアップする。
    • 更にG.F.は戦闘で得られる「アビリティポイント(AP)」を蓄積することで新たなアビリティを習得していく。
      • APの蓄積先はプレイヤーが任意で決められるので、欲しいアビリティを優先して選べるため育成自由度は高い。

装備

  • 本作には武器以外の装備品(防具、アクセサリ)は存在しない。
    • 武器も、従来作のような買い替え方式ではなく、集めたアイテムを店に持ち込んで手持ちの武器を「改造」していくというシステム。
    • よって、冒険RPGの王道であった、強い武器と防具を買いそろえるという概念は本作にはなく、防御面は完全にジャンクションシステムに依存する。

特殊技

  • 前々作『VI』における瀕死必殺技、前作『VII』におけるリミットブレイクに代わるシステムとして登場。
    • キャラにターンが回ってきたとき*9、コマンド欄に一定確率でキャラ固有の専用必殺技コマンドが出現し選択可能となる。
      • 残りHP低下や状態異常、味方の戦闘不能などによって高まる「ピンチ度」という隠れステータスが各キャラに存在し、これが高いほどコマンドの出現確率が上がる『VI』に近い仕様があるほか、「ピンチ度」が高いほど各技の効果は高くなる。
      • また、特殊技コマンドが出現しやすくなる「オーラ」という有利ステータス異常も今作で初登場。
  • 『VII』のリミット技のようなゲージやいわゆるクールタイムなどの発動制限はなく、条件さえ維持できれば特殊技を連続で畳みかけることも可能。
    • 新規技の修得手段はキャラ毎に異なり、主人公スコールなら武器の改造、キスティスの青魔法ならアイテムの使用といった具合。

賛否両論点

独特なシステム群

ここまでの記載からも察せられる通り、本作には従来のJRPGの常識とはかけ離れたシステムが多々盛り込まれており、仕様の理解の難度こそが本作最大のハードルであった。
有名タイトルであることと、攻略本・攻略サイトなしでプレイをする場合にプレイヤーの立ち入った努力が必要となるため、Web上でも様々なサイトで考察がなされており、相応の検索ワードで探してみると肯定的意見、否定的意見共にかなりの数を見ることができる。

ジャンクションシステム

  • 「G.F.をジャンクションして始めて各種アビリティを装着可能になる、それを通して魔法を装備する」というきわめて斬新なシステムは、意欲的である一方で人を選ぶものとなってしまった。
    • 「HP+80%」「力ボーナス*10」等の強力なキャラアビリティの取得にも関わる重要な部分であるだけに、ゲーム内で詳しく説明されていない点が惜しまれる。
  • 装備している魔法が減るとステータスが下がる仕様のおかげで、魔法の使用をためらいがちになってしまう。よく使うケアルなどは装備しない、使ったらすぐ精製して補充などの対応が必要になるが、これを「苦痛」ととるか「本作のゲーム性」ととるかで好みが分かれる。
    • 後述の「特殊技」の有用性を理解すると、キャラのHPを常に黄色・赤色に維持し続けることが重要になるため、回復しすぎてしまう高位の回復魔法・回復アイテムでは使い勝手が悪い。そのため、ケアルを消耗品とし上位の回復魔法を装備とするなど使い分けができる。

魔法

  • 本編のバトルにおいて、魔法のコマンドの有用性は限定的である。
    • 大半の魔法はダメージソースとしては貧弱で、魔力最大値の255でガ系魔法(基本三属性の最上位魔法)を使っても弱点無しだと5000ダメージ与えることすら難しいくらいで、過去作に比べても弱いうえ、特殊技の威力や敵のHPがインフレした本作においてはことさら貧相。
    • ここに更に「装備品」としての役割が重なり、「有用な魔法はジャンクション効果が高いうえ再入手にも手間を要する」という問題から、一部の有用な魔法ですら積極的に消費しづらくなっている。
      • 特に有用な魔法は、攻撃なら補助魔法「トリプル」を併用したうえでの「メテオ」「アルテマ」の連射、回復なら「アレイズ」「ケアルガ」、補助なら「オーラ」「ヘイスト」などがある。しかしここで挙げた魔法はすべて装備品としても非常に優秀なうえ入手に労力や金銭を要するものばかりで、頻用するのは現実的ではない。一方、それ以外の魔法は実用的な効果を持つものは少ない。
  • 実際は魔法の消費に依存しない多彩な攻略手段が用意されており、今作のバトルは魔法をあまり使わなくても問題のない設計となってはいる。
    • しかし攻略情報なしではその全貌は把握しづらく、初見で魔法を使いづらく窮屈であると感じたプレイヤーも少なくなかった。
    • また好意的に見れば「魔女以外の使う魔法は『疑似魔法』であり強くない」という設定との整合性が取れた設計だという解釈も可能だが、戦闘におけるコマンドとしての実用価値の希薄さのフォローがないため、せっかく「魔法」が中心にある世界観なのに魔法の使用を消極的にさせる設計に疑問を呈する意見も聞かれた。

ドローと魔法精製

  • ドローを使って魔法を集める作業が、非常に効率が悪いうえ単調で飽きやすい。
    • 前作までのFFで例えるなら「ぬすむ」が基本システムに入り込んできた、という感覚に近い。敵に殴られながらドローで黙々と魔法をかすめ取るのは非常に作業的であり、プレイ画面としても作業内容としてもエレガントとはいえない。
      • ドローの効率が魔力のステータス、及び取ろうとする魔法の内部ランクに依存しているのもネックである。序盤は魔力が補強しづらいので、少量ずつしか取れなかったりドローそのものが失敗したりする可能性が高く、バランス維持のための調整として一定の理解はできるが、だるいと感じるプレイヤーを増やす要因となっている。
  • 一方、「魔法精製」を使うと魔法は非常に簡単に入手できるため、知っていれば快適なプレイが可能である一方、精製を活用しすぎると難易度が過度に下落するとする意見もある。
    • 前述の通り本作では敵からのアイテムドロップ率が高く、1回あたりのドロップ数も多めで、その多くは魔法精製に活用可能。
    • また店売りアイテムにも強力な魔法を精製できる組み合わせが複数ある。
    • 以上より、魔法精製の材料集めは難しくないうえ、1個のアイテムから精製できる魔法の数も10個や20個単位となるものも多い。ごく序盤でガ魔法を100個持つのも苦ではない*11し、中盤以降は欲しいアイテムをくれる敵さえ見つけられればホーリーやフレアなどの高位魔法も100個集めることは容易。
  • つまり端的に言ってしまえば、G.F.や上級魔法などの精製できない(非常に難しい)ものでもなければ、ドローという行為自体の必要性がなくなってくる。その時点で精製できない魔法を必要数だけドローで集める程度で実は問題ない*12
    • しかし、本作発売前から各種雑誌などでドローシステムが強く宣伝され、また本編内でもドローばかりが取り上げられ、精製に関しては積極的なアピールや解説がされていなかった。
    • 発売から長い年月が経ち攻略法も確立した現在はこうした情報不足による不満は聞かれなくなっているが、ドローシステムそのものについては手放しで賛同する意見が主流とは言えない。
  • 先述の通り、一部G.F.についてもドローで入手可能だが、「特定のボスからのドローで入手するG.F.の存在」が完全ノーヒントという点もしばしば批判の対象となる。
    • ボスからドローで得られるG.F.は計6体もいるうえ、いずれも取り逃すと救済措置がなく二度と手に入らない。
      • 入手できなければクリアできないというほどではないが、これらのG.F.はプレイを快適にする有用なアビリティを修得するものが多い。
    • 一方「初見の敵にとりあえずドローを試す」という行動自体は、相手がザコでもボスでもごく普通に行う、本作のプレイにおける基本中の基本ともいえる行動である。「時間をかけ、小まめに探りを入れるプレイヤーが得をする」というRPGの基本的思想にも則ったもので、常識外れな設計とまではいえない。
    • ただしG.F.の存在が今作のシステムの根幹に大きく関わりすぎるため、その存在をうっかり見逃すことでゲーム全体の難易度、快適性を大きく損ないうるのに事後的な救済措置すら一切ない(前作では似た状況に対する救済手段が一部存在した)とする批判もまた一理あるのは事実。
  • 魔法やG.F.、素材アイテムにしろ、ゲーム全体を通して「集める」ことがプレイヤーが有利に繋がるゲームバランスであるため、そういった要素がプレイヤーの好みであるかが本作の評価に色濃く反映されるのは仕方のないことだといえよう。

レベルに応じて強化される敵

  • 本作は上記の通り、味方のレベルに合わせて敵のレベルも上昇するシステムの為、漫然と遊んでいるだけではレベルアップを実感出来ない戦闘バランスになっている。ゲーム後半ともなると、明らかに低レベルの方が対処が楽な敵が目立つ。
    • 高レベルになれば確かに味方キャラの能力値は立派になるが、敵側のレベル上昇の強化度合いはこちらよりも遥かにハイペースであり、高レベルになればなるほど相対的に難度が上昇していく*13
  • 一方、味方キャラの強化はレベルへの依存度が低い為、極端な話経験値獲得を控えてAPを稼ぎ、精製とジャンクションをフル活用すればヌルゲー化する*14
    • 低レベル帯で進めると敵の攻撃によるダメージの大半は最終盤まで3桁前半に収まるため、過去作に比べて敵の攻撃力がかなりデフレになったゲームバランスになる。
    • この仕様を後押しするかの如く、「入手経験値をゼロにしながら雑魚敵にトドメを刺す」コマンドアビリティが序盤から習得可能であり、戦闘のテンポは落ちるもののレベルを上げずにAPだけ稼ぐことは容易である。
      • これにより「理解出来るとサクサク遊べるスルメゲー」とも、「バランス調整が大味な不安定ゲー」とも取れる。
  • 上記のシステムのため、冒険RPGの定番である「レベルが上がれば難易度が下がる」というお約束が、本作では必ずしも当てはまらず、既存のシステムや過去のFFシリーズに慣れた人にとっては戸惑いを感じたであろう。
  • ただし、システムを逆手にとった楽しみ方や育成もできるため、ひとえに問題点という訳ではない。
    • 敵のレベルは味方側PT3人の平均レベルで変化するため、一人だけレベルを上げたり、稼ぎメンバーとストーリー進行メンバーを分けたりするととても楽に進行可能。
    • 一時加入のゲストキャラのみを稼ぎ要員にすれば、主要メンバー全員の低レベルを維持したまま高レベルの恩恵をより気楽に享受でき、かつ「力ボーナス」などレベルアップ時に成長が大きくなるアビリティを揃えてからレベルを上げ素のパラメータを大幅強化できる、というやり込みの余地がある。

G.F.の習得アビリティ関連

  • 今作のアビリティのジャンルは、「コマンドアビリティ」「ジャンクションアビリティ」「キャラアビリティ」「メニューアビリティ」「G.F.アビリティ」と多岐に渡る。
    アビリティ種別 主な効能 代表的な例
    コマンドアビリティ 装着中、戦闘時の人間キャラが
    「たたかう」以外のコマンドを覚える
    「まほう」「G.F.」「アイテム」
    「ドロー」「カード」
    ジャンクション
    アビリティ
    人間キャラのステータス画面で
    指定の部位に魔法を装備できるようになる
    「力J」「体力J」
    「属性防御J」「ST攻撃J」
    キャラアビリティ 装着中の人間キャラに一人用の補助効果が常時発動するアビリティ 「力+40%」「オートプロテス」
    「ぶんどる」「歩くとHP回復」
    パーティアビリティ 装着中、パーティメンバー全員に効果が及ぶキャラアビリティ 「けいかい」「エンカウントなし」
    「隠しポイント発見」
    メニューアビリティ 非戦闘時のメニュー画面で実行する
    魔法精製・アイテム精製などのアビリティ
    「生命魔法精製」「道具精製」
    「カード変化」「ショップ呼び出し」
    G.F.アビリティ G.F.の最大HP・召喚攻撃ダメージ強化アビリティ 「召喚魔法+30%」「GFHP+30%」
    「おうえん」
    • それでもG.F.の多くは、初期状態でも有用なアビリティ(魔法精製、能力ジャンクションなど)を覚えられるようになっているのだが、何も考えずにおまかせでG.F.にアビリティを覚えさせていった場合(特に設定しなかった場合)、「G.F.アビリティ」ばかり優先されて覚えていき、人間キャラ強化用アビリティの習得が遅れに遅れる初心者泣かせの仕様になっている。
    • それに加え、下位アビリティ習得から上位アビリティが派生出現するなどの要素も織り交ざり、システムの理解が追い付かない初見プレイでは、どのアビリティから習得するのが良いかの判断が非常に困難である。

金銭の入手

  • 主人公たちが傭兵という設定に基づき、敵を倒してもギル(お金)は入手できず、一定歩数で「給料」の形で振り込まれるシステムとなっている。
    給料を上げるためには戦闘を多めにこなすか、「筆記試験」と称した本作の世界観やシステムに関する○×クイズを数多く答えなければならない。
    • 「システムがJRPGらしくない」「敵の成長と合わせて戦闘のメリットがアイテム収集以外にない」との批判意見が多い。本作ではレベルが上がりやすいため、適度なレベルを維持したい人間によっては更にストレスがたまる。
      • もっとも、本作では精製を別にすれば店で買い物をする必要性が薄いため、実際はそれほど資金繰りに奔走する必要はない。ある程度アビリティが集まれば「店売りアイテムを"精製"して別のアイテムにしてから売却する」という無限稼ぎもできる(これはこれで問題だが)。
    • 戦闘をこなしていないとSeedランクや給料が下がる仕様をゲーム批評家の白川嘘一郎氏が過剰強調し「RPGなのに情報収集してはいけない(移動を封じられる)」とレビューしたが、実際は街1つ端から端まで回っても1段階下がるか下がらないか、しかも下がったにしても1段階500ギル程度という減給ペースのため、情報収集の阻害要因としては小さいのだが、少しでもそういう要素があれば気になるのが人情である。
      • 筆記試験でランクアップする際に上昇後のランクギリギリの査定になるので、筆記試験を頑張って上げたランクが直後に下がることが多い。そのために減給ペースを実際より速く感じてしまう点も。
    • また、給料という体のためか「SeeDの任務をうまく遂行すると上昇する」「ふさわしくない行動をすると下がる」という点もある。下がるケースは数も少なく、減少も少なくそれほど神経質にならなくてもよく雰囲気の向上に役立っているが、煩わしいという声もある。
  • 「何でモンスターを退治しただけで金が稼げるの?」という冒険RPGのベタな法則の1つに疑問をもつ人にとっては、この給料システムは支持されている面もある。金銭入手にリアル性を持たせたというところは評価してもいいかもしれない。

召喚魔法としてのG.F.

  • 威力や効果は強力なものの、スキップ不可能な30秒~1分程度の召喚ムービーが発動の度に発生するためテンポが悪い。最強のG.F.である「エデン」に至ってはなんと2分強。
  • 今作では待ち時間の緩和策として、ムービー中に□ボタンを連打して威力を上げるアビリティ「おうえん」を覚えることもできる。
    • ただし単純に□ボタンを連打するだけではなく「連打してはいけない時間帯」がところどころ発生し、その時に□ボタンを押してしまうと威力が75%に下がってしまう*15ため、ムービーを見る暇もなく画面上の入力禁止タイミング表示に注意を払いながら連打することになる。特段面白味のある物でもなく、ないよりはマシ程度で根本的な解決にはなっていないという声は多い。
  • G.F.には「相性」が各キャラ間に設定されており、使えば使うほど呼び出すまでの時間が短くなり使いやすくはなっていく。のだが、あるG.F.を使うと別のG.F.との相性が下がるという仕掛けがあるため、回転率を重視した場合特定の一体だけを集中して使い続けるプレイングになりやすい。
  • 本作では攻撃魔法の威力が低く、敵の弱点属性を突きたい場合G.F.を中心に戦うプレイヤーも多かったが、実際は力と早さに強力な魔法をジャンクションして通常攻撃を連発した方が遥かに効率的。
    • 物理攻撃の担当キャラの力と早さを高位魔法とキャラアビリティで補強し、補助魔法「バーサク*16」と「ヘイスト」を併用すれば、G.F.を一回発動する前に数回攻撃できることもザラであり、手慣れたプレイヤーほど攻撃手段としてのG.F.の出番が無くなっていく。
  • G.F.で敵を倒すと、給料システムの査定要素の一つである「敵を倒した数」にカウントが入らないため、給料が下がりやすく感じられる。
    • しかし、召喚攻撃は人間キャラの強化が不十分な状態でも高い威力を叩き出し、本作では前二作と異なり戦闘中の召喚回数の制限も無い。発動待ちの時間こそあるもののリソースを消費せず発動できる仕様であることも手伝い、雑魚戦闘でも気軽に乱用するプレイヤーも非常に多かった。
  • G.F.オーディン(+隠しG.F.)、アンジェロラッシュ
    • オーディンは乱入型G.F.であり、その性能は「戦闘開始時にランダムで雑魚敵を全滅させる」というもの。だが本作は上記の通り経験値を得る事自体に若干の難があり、そうでなくともドロー、ぶんどる、食べる、カード変化と戦闘中にやりたいことが多い本作の仕様と著しく相性が悪い。それでいて乱入型のため、入手してしまうと任意でOFFにできない。
      • またオーディンを所持したうえで、特定の条件を満たすと手に入るとあるG.F.は「戦闘中にランダムで出現し、敵全滅を含む4種の攻撃のどれか一つを行う」というオーディン以上に扱いづらいものとなっている。
      • しかも、G.F.オーディン(+隠しG.F.)のランダム乱入の条件を無理に回避しようとすると、入手が一気に面倒になるG.F.が存在する。
    • また厳密にはG.F.ではないが、リノアの特殊技アンジェロラッシュも同様の問題がある。効果は「リノアが攻撃されるとランダムでアンジェロがカウンターを行う」というもの。
      • こちらはリノアの初期技のため、回避するにはリノアを戦闘不能にしておくか、パーティから外すという本末転倒な方法しか取れない。

武器改造

  • この武器の改造も賛否が分かれるところで、規定の各種素材アイテムを揃える手間を経て完成するため、攻略情報なしでやろうとすると骨が折れる作業になること必至。
    • 最強武器ともなると、入手が困難なレア素材を複数要求される。
      • 例を1つ挙げると、キスティスの最強武器「セイブザクイーン」の作成に必要な「モルボルの触手」の調達には、大抵の場合所持モンスターのモルボルと戦闘する必要がある。 しかしモルボルは非常に危険度が高く*17、攻略情報無しでは恐らく何回もモルボルに返り討ちに遭うだろう。
      • このように超強敵が所有する素材の場合の戦闘難度はもちろんのこと、入手経路が「落とす」か「ぶんどる」かの情報、アイテムのレアリティが通常枠かレア枠か等の運要素。これに加えて上記の「敵の成長による所持アイテム変化」の要素も大いに影響する。
  • しかしそもそも本作は、改造したところで武器の攻撃力はほとんど上がらず、最強武器でも最弱武器でも大した差がないものが大多数であり、上位武器に特殊な効果があるスコールとセルフィ*18を除くと、改造の費用対効果はさほど高くない。本作における攻撃力強化の本分はあくまでジャンクションである。
    • 例えば先に挙げたキスティスの「セイブザクイーン」は攻撃力25、対して最弱の初期装備「チェーンウィップ」は12であり、攻撃力の上昇値はわずか13である。
      • 一方、力に魔法をジャンクションした際の上昇値は、何の変哲もない中位魔法「ファイラ」でさえ100個で15、最強魔法「アルテマ」なら100個で100にもなる。
    • ただし、上述の通り、本作のステータスは魔法個数・ジャンクションに応じて流動的に変化する中、武器改造による分は不変で一定の値を確保できるという意味では改造のメリットを享受できている。

特殊技の性能

  • 一部特殊技が桁外れに強く、バランスブレイカー寸前。条件を満たしていれば連発も容易。
    • 強力な特殊技は概ね、パーティ全体のピンチ度*19が高いほど出やすいため、全滅のリスクが高ければ高いほど一発逆転が狙いやすい…という設計ではあるものの、
      補助魔法「オーラ」の効果や、最大HPを高く増やした上で現在HPを低く保つなどで、意図的に軽いピンチ度で特殊技を誘発することは容易である。
      このように全滅リスクを抑えたピンチ度でも、最強クラスの特殊技は低確率で発動する
    • この仕様のため、前作FF7と同等の「爽快感はあるものの強力すぎる連続攻撃」を前作以上の取り回しで運用することも可能であり、平常時の技の価値が暴落するほどの強さのため否定的に捉える意見も少なくない。

特殊なラストダンジョン

  • ラストダンジョンでは「たたかう」以外のさまざまなコマンド・行動が封印され*20、ダンジョン内のあちこちに潜むボスを倒して少しずつ解放していかなければならない。
    • 仕掛けを見落としたり、解けずに放置して進んだ場合はコマンドが封印されたままラストバトルに突入することになる。エンカウントする敵のレベル変動が完全ランダムになっているのも特徴で、ノーヒントで挑んだ熱心なシリーズファンの間ではシリーズ最難関ダンジョンとして語り継がれている。
    • ジャンクション編集自体は制限無く可能で、更にステータスアビリティは封印されないので「エンカウントなし」を装備していけばじっくり謎を解くことができる。勿論ダンジョンを出れば封印は解除されるので、体勢を立て直すことも十分に可能。

最大の賛否両論が寄せられた、シナリオ面

本作のキャラクター描写やストーリー展開などのシナリオ面は、全体に万人受けしにくい設定や描写が目立ち、その評価は好評と不評とで真っ二つに割れることとなった。

学校を舞台にした「青春物語」的作風

  • 本作のシナリオは「大人になろうとする青年の成長物語」という、いわゆる青春物語的な要素が色濃い。
    • 本作のパーティメンバーはいずれもティーンエイジャーであり、(傭兵学校という特殊な舞台設定を除けば)現実の高校生と同じような学園生活を送る少年少女で、年相応の未熟さで失敗を繰り返す。
      • たとえば主人公のスコールは自分の考えを他人に伝えることが苦手で、当初は辛辣な言動も多く冷淡な性格だと思われながら、中盤になって突然感情を爆発したりするなど、人によっては理解しがたい言動をとる。
    • このような描写はスコールに限らずメインキャラの多くに見られ、稚拙ともとれる青臭い言動の応酬についていけないプレイヤーを少なからず生み出す結果となった。
    • また、登場キャラが実年齢に比して大人びた見た目の頭身の高い美形ばかりである点も、内面の未熟さとのギャップを良くも悪くも際立たせることになった。
  • そもそも学園ドラマは受け止め方が受け手の年代・学生経験・恋愛経験・社会経験に大きく左右され、「学園物である」というだけで強い興味を示す人も拒否反応を示す人も一定数いるジャンルである。
    • シリーズ過去作品も多少なりとも恋愛要素や若者の未熟さなどを扱ってはきたが、あくまで主軸は冒険活劇であった。本作は学園要素があまりに前面に押し出されシリーズ過去作に例のない作風となったため、強烈な賛否両論を生み出すこととなった。
    • 主人公たちに無理に感情移入しようとせず、彼らがどのような人間なのかを考え、その行動の意味を察しながらシナリオを追える余裕があれば、また印象も変わってくる。
      スコール達の年齢を過ぎて「成長物語が一段落した大人」になるとそういった視点で見ることができるようになるためか、「発売当時はクソだと思ったけど、今見直すとそこまで悪いものではなかった」という、他のゲームではあまり聞かないような評価をされることもある。
      • 逆に感情移入して、「学生時代や10代のころを思い出す」という心境に浸りながらプレイしてもそれはそれで面白いかもしれない。

メインヒロイン・リノアのキャラクター性

  • リノアは唯一学園に属さない立場だが、その数々の特徴的な台詞と言動、人間関係の描写などからFF作品の中でもプレイヤーによる好き嫌いが特に激しいキャラである。
    • メインシナリオでは「事態の責任を感じ、思い詰めた末に自力で窮状を打開しようと独断で行動を起こし、その結果事態が更に悪化する」など、典型的な足手まといヒロイン的なキャラ描写が目立ち、プレイヤーを苛立たせる要因となっている。
      • ただしこれはメンバー内で唯一プロの戦闘員でないなど設定を鑑みれば必然的な描写ともいえ、シナリオの作り込みの深さの一環ともいえる。
    • これらはいずれもメインヒロインであるがゆえに必然的に目にすることになり、作品の顔として良くも悪くもプレイヤーに強烈な印象をもたらす結果となった。

難解かつ濃厚な世界設定

  • キャラクターやシナリオデザインに対しては批判も多い一方、ガーデンの設立経緯や魔女の存在、主人公の生い立ち、G.F.に頼り続ける事で主人公たちに襲い掛かる重篤な「副作用」等、シナリオの根幹となる世界設定は非常に良く練りこまれており、その緻密さはシリーズ1、2という意見もあるほど。ストーリーを理解しようとするプレイヤーからは非常に評価が高い。
    • ただし、伏線の張り方が巧妙過ぎて注意しないと気付けない場合も少なくないほか、普通にゲームを進めながらでは示されない背景設定があるなど、描写不足、説明不足を指摘する声も根強い。
    • 逆に注意深く読み解くことさえできれば、ほぼ全ての伏線は投げっぱなしにすることなく回収されているとも言える。発売から数年以上経っても、深読みのしすぎを含めて「あそこの場面のあの行動にはああいう意味があったのか」と驚く声がWebで見られるほど。
  • 実は、世界観を理解するのに重要な設定は作品内のメニューコマンド「チュートリアル」にほぼ全て記載されている。
    • この「チュートリアル」は辞典のような構造で、通読するというよりは必要に応じて開くことを推奨するような「ヘルプ」のような項目であり、すべてに目を通す人ばかりではなく、重要な世界設定が詳述されていること自体に気づかないプレイヤーも少なくなかった。
      • 重要な世界設定の説明をストーリーに組み込まずその把握をプレイヤーの自発的意思にゆだねるというスタイルは、ストーリーの説明的な押しつけがましさを軽減しつつ、設定資料を読み込むのを好む人には設定資料集が無料で作品についてきたともいえる状況で評価に値するが、一方でそもそも情報へアクセスしない、存在自体に気づかないプレイヤーにとっては単に説明不足という印象を与える結果に終わった。
      • 同時期のスクウェアのRPGである『ゼノギアス』『サガ フロンティア2』『クロノ・クロス』などはゲーム外資料に頼らなければ全容を把握しきれないという問題があったため、少々強引とはいえ必要な情報の解説をゲーム内で完結させている点については評価はできる。
      • ただし、チュートリアルでさえもっとも重要な「時間圧縮」に関する解説が「なぞ。どのような状態になるか不明。(中略)それに対して、普通の人間がどうなるのかは分からない」となっている。なるほど、まったくわからん無知の知…。

その他の賛否両論点

  • G-cluster版は名前の変更ができない。

評価点

当時最高レベルの演出

  • グラフィックは、すでに評価の高かった前作FF7から更なる段違いの進化を遂げた。技術的に進歩を遂げたためモンスターやキャラクターの頭身が上がり、身体の各パーツがより精密に作られている。
    • さらに今作では、ポリゴンのキャラクターを背景化したムービーの中で歩かせるという面白い試みも行われている。
    • 世界の各都市はどれも「お国柄」がよく出ており、ちょっとした観光気分が味わえる。スタッフ曰く「7は暗い雰囲気だったので、今作は明るくしようとした」とのこと。
    • スコールの特殊技「連続剣」はボスに応じて専用モーションが作られている。四足兵器に飛び乗ってこれでもかと穿り回したり、ドラゴンの翼を駆けのぼったり、巨大サボテンダーを転がすスコールの雄姿は必見。
    • シリーズで初めてモーションキャプチャーを採用しており、イベントムービーにおける人物の動作もよりリアルなものになった。スコールとリノアのダンスやゼルのバク転は今でも語り草である。
  • 植松伸夫氏が手掛けた音楽も相変わらずの高クオリティ。
    • ラグナ編戦闘BGM「The Man with the Machine Gun」やラストバトルBGM「The Extreme」は特に名曲と名高い。
    • 一部の曲はシリーズで初めての生のオーケストラを使用している。更にやはりシリーズ初のテーマ・ソングも導入され、フェイ・ウォン氏の歌う『Eyes On Me』は1999年の日本ゴールドディスク大賞を獲得した。
    • エンディングの演出は当時話題となった。「メイン・テーマ」を組み入れた音楽と画面構成の相乗効果が素晴らしく、まさに映画のエンディングを見ているような余韻を味わえるだろう。『Eyes On Me』の歌詞が本編のシナリオとリンクしているのもポイント。

充実したミニイベント

  • このためにかの『アルティマニア』が刊行されたのではないかと思えるほど、本筋とは関係のない寄り道イベントが相当数存在する(ちなみに、アルティマニアシリーズは本作から始まった)。
    • 惜しむらくはわざと寄り道をしないと見ることが出来ないことか。中にはキャラの印象を変えるようなイベントもあるため、見ないで終わるのはかなりもったいない。
  • なお、アルティマニアにも記載されていない要素がいくつかあるという事も付言しておく*21

カードゲーム

  • 「『VIII』はカードゲー」とまで評されるほどに中毒性の高いミニゲーム、それがカードゲームであるトリプルトライアドである。
    • 運の要素が極力排され*22、プレイヤーの思考力が試されるシステム。世界各地で異なり、プレイヤーの移動と共に伝播するルール。ゲームを進めるに当たっては何らプレイしなくとも問題ない設定…。ここでは詳しいルールは割愛するが、その完成度は高い。
  • 対戦は一部を除いたNPCへ□ボタンで話し掛ける事で可能。
    • 相手カードプレイヤーにはそれぞれに思考力の高低や、使用するカードのレベル範囲の設定がされている。この点も特筆に値する。
    • 「カード変化」アビリティによって、ゲーム用のカードをアイテムに変換することも可能。
      強力なレアカードをそのまま使うか、アイテムに変えるか、ゲーム用に強力なカードを奪うか、強い魔法を生成できるカードを奪うか…という選択が頭を悩ます。
    • キャラクター(とG.F.)のカードは世界で1枚しかないレアアイテムだが、カードの持ち主と所持カードのキャラにはなんらかの繋がりがあることが多い。例えばゼルのカードはゼルの母と割と分かりやすい人物が所持しているが、スコールのカードは…*23
      • カードプレイヤーの中には非常事態や緊急事態においても勝負に応じてくれるプレイヤーもおり、これはよくネタにされている。
    • レアカード以外のモンスターカードやボスカードも魔法精製や武器改造の材料として有用なアイテムに変化するものが多く、これらを利用すれば序盤から強力な魔法や武器を所持できるようになる。
  • 本作のカードゲームの最大の評価点はバランスの良さ。ルールの簡易さ、どこでも勝負できる手軽さ、戦闘との関連性、やり込み要素、難易度…の各要素において非常にバランスが良い。強要されることもなく、空気要素にもならず、バランスブレイカーにもなっていない。ある種、ミニゲームの理想形とも言える。

自由にキャラの能力値を高められる

  • これまでのシリーズではどちらかといえば「白魔法を使えるのは女性キャラだけ」「男性キャラは攻撃力が上がりやすい仕様」といったように男女差、「○○は攻撃力は上がりやすいが魔法は唱えられない」といった各個人の個性に応じた能力があらかじめ設定されていたため、プレーヤーはその設定に従って操作するしかなかったのであるが、今回はそれらの概念は廃止し、ジャンクション次第で自由にキャラの能力値を強化できる。
    この点は熟練度システムにより育成の自由度を追求した『II』に近い方向性となっている。
    • 例をあげると、小柄なセルフィをジャンクション次第では見た目と裏腹のパワータイプにできる。
      逆に格闘家タイプのゼルを補助魔法でメンバーのサポートに徹するキャラにすることも可能。
    • 上記のように自由度の高いカスタマイズができるようになった背景として、今作でもキャラごとに微妙な能力差があるが、「○○ボーナス」とジャンクションに比べると誤差程度しかないことが挙げられる。
    • それに加えて「属性」「状態異常」周りの調整まで可能なため、場合によっては耐性の無い敵を100%即死させる武器で無双したり、睡眠攻撃による永久ハメ*24で強敵をサンドバッグにしてみたりと酷…もとい、爽快感のあるプレイも可能。
    • ただし、特殊技の使い勝手も考慮してバトルメンバーを選ぶと、メンツは自ずと固まってくる。

その他

  • 多数のアビリティやカード変化の存在
    • 「カード」アビリティを使って敵を倒せば経験値は加算されず、APだけを獲得できる。これを生かせば初期レベルクリアも容易。
    • アビリティの中には「たべる」というものも。その内容は「モンスターをたべます」という奇抜なもので、効果は食べたモンスターの種類やレベルによって異なり、HP全快や大ダメージ、パラメーター上昇など様々。加えて、モンスターの種類によって異なる捕食効果音と食後の感想も用意されており芸が細かい。捕食シーンは残念ながら描写されないが、リアルチックになったキャラクターたちがモンスターに食いつくというインパクトは絶大。ちなみに「たべる」で敵を倒した場合も、「カード」で倒した時と同様に、経験値は加算されずAPだけを獲得できる。
    • 少し頭をひねれば、前述したラストミッションの封印を1つも解かず、「たたかう」アビリティのみでラスボスに勝利することも可能。
  • モンスターはほとんどが固有の高品質な造形を有し、色や微妙な装飾を変えただけの「水増し」が非常に少ない。いわゆる「色違い」は、イベント専用敵とその色違いとなる雑魚モンスターの計3組、制服のためデザインが共通とならざるを得ないガルバディアやエスタの軍人系の敵、色の違いが仕掛けに直結されている「プロパゲーター」というボス級モンスターのみ。
  • 実は、本作はFFシリーズではモンスターにエンカウントボイスが付けられた初の作品である。モンスターごとにイメージの合ったボイスが適用されており、バトルの臨場感の向上にもつながっている。また、使い回しもほぼ無い。
  • モンスターの出現マップのシチュエーションが豊富。特にアウトフィールドは平原・海岸・森林・砂漠・高台・山麓(崖下)のパターンがあり、それぞれに出現するモンスターの種類やパターンが設定されている。
  • 同じモンスターでも、そのレベル範囲により入手アイテムやドローできる魔法などが異なる設定がなされている。また「レベルアップ」「レベルダウン」のコマンドアビリティを使えば、モンスターのレベルをある程度操作することもできる。
  • 魔法「ライブラ」を使うと対象の解説文が表示される他、使用中はCGモデルを拡大したり様々な角度から見る事も可能。それだけでなく、このライブラ、味方に使っても解説が出るようになっている。
    • ちなみに、味方に使った際にもほぼ全員角度を変えていろんな方向から見ることができるが、製品版では唯一セルフィだけは縦方向への角度変更はできない(体験版では可能)。
  • G.F.(召喚獣)にもレベルの概念が導入されたことにより、ストーリー序盤に入手した召喚獣も終盤戦まで活用できるようになった。
  • テンポの悪さは問題だが、道中で適当に魔法をドローしながら、G.F.頼りにゲームを進めても相応の難易度でクリアできる。
  • 飛空艇に自動操縦機能がついた。マップに記載されている施設やダンジョンを指定するとそこまで運んでくれる。

問題点

ディスク4のあれこれ

  • シナリオ進行上、ディスク4になると全ての街に入れなくなる。
    • ショップやカード収集に関しては救済処置があるが、カード収集はストーリーがディスク4に進む前に特定の手順を踏んでおかないとそれも利用不可能となる。
    • 飛空艇に関しても再利用する手順が非常にわかりにくく、2度と使えないと思っていたプレイヤーも少なくない。
    • 幸いアイテムや魔法、G.F.等はディスク3の時点でコンプリートが可能である。そのため、コンプリートを目指すには最終ディスクの1つ前のディスクでやり込みデータを作成する必要がある。
  • ディスク4突入直後にボス戦があるが、そのボスに勝利するまでダンジョンから出られない。
    • ダンジョン外のデータがディスク4に用意されていないための措置とみられるが、パーティの戦力が不十分な場合、激しく消耗した状態でダンジョンに閉じこめられたセーブデータのみが残ってしまい、再起できず詰んでしまう可能性が少なからずある。
      • 本作は後述の通り召喚魔法連発により強引に進めることもできてしまうバランスだが、このディスク4最初のボス戦に限って召喚魔法が事実上使用不能な内容となっている。ジャンクションシステムを理解できないまま、召喚連発でここまで強引に来た人は途方に暮れるしかなかった。
      • 特殊技など抜け道はあるため完全な詰みにはならないとはいえ、それは攻略情報が流布した後だから言えることである。実際、当時の初見の小中学生などには詰んでしまった人が少なからずいた。
    • そもそもディスク4に切り替わるタイミング自体、シナリオ上の区切りとしてもいささか中途半端。仮に容量の都合だとしても、もう少し工夫するだけでもディスク1→2、ディスク2→3の切り替わりを踏襲した自然な流れにすることもできたはずである。そうすれば「ディスク3最後の2連戦→クリアできればディスク4」となり、ディスクの切り替わりの不用意なセーブによる詰みも起こり得なかった。
      • なおその後更に戦闘が連続するイベントに突入することになり、そちらも同様に脱出不能な状態ではあるが、こちらは先述のボスに勝利できるパーティなら基本的に苦戦しないものであり、そこまで批判されていない。
  • 一連の戦闘イベント後、イベントによりあらゆる時空が繋がった異世界にワープするのだが、その異世界の演出面でも問題がある。
    • フィールドマップの地形は完全にディスク3のときのまま。『VI』のように地形や気候が変化することもない。
      • 世界が変わる際のムービーにて「あたりが暗闇に覆われ、黒い雲の中からラストダンジョンが出現する」という演出がなされた後なのに、その後ゲーム内でのフィールドは晴天のままであるため、かなり違和感がある。
      • しかも「街に入れない」ことを示す演出が、「街に青い光の輪っかをかけただけ」という手抜きぶり。過去作であるFF2ですら入れない街は崩壊グラフィックになったのに…

攻略自由度、戦略性の低さ

  • ジャンクションや精製システムによりかなりのキャラ育成自由度を誇る今作だが、基本的にそれらを用いてステータスを強化して攻略していくゲームであり、前後作のように「強力なコマンドアビリティやその組み合わせ」「装備の組み換え」等といった要素に乏しいため戦闘での戦略性はかなり狭い。
    キャラ育成に魅せられ研究を続けたプレイヤーの中にも、最終的にここにたどり着き「やっぱり面白くないゲーム」という結論に達する者も少なくない。
    • 基本の「アイテム」「G.F.」「まほう」を除くと、本作の戦闘でとれる手段は大部分が「ボス戦で全く使えないもの」「アイテム、魔法で代用可能なもの」「入手が困難、個数限定なもの*25」の3カテゴリに分類されてしまう。
      そのため、結局のところ通常プレイにおいても縛りプレイにおいても「(無敵状態を絡めた)たたかうによるゴリ押し*26」か「特殊技を用いた運ゲー」になりがち*27
    • 旧作にあったアビリティ「なげる」「ぜになげ」「Wまほう(れんぞくま)、Wアイテムなど」「れんぞくぎり、みだれうち、ぜんたいぎり」「ジャンプ」等といったおなじみのアビリティは軒並み削除*28。「青魔法」も特殊技化してしまった。また隊列の概念も無くなっている。
    • また召喚魔法としてのG.F.がラスボス戦で突然使えなくなってしまう*29
    • このため今作で縛りプレイのバリエーションは前後作と比べてかなり乏しいものになっている*30

劣悪な仕様の連動ミニゲーム

  • ポケットステーションとの連動ミニゲーム「おでかけチョコボ」は、チョコボを操作してアイテムを発見するゲームで、発見したアイテムは本作本編に持ち込むことが可能である。
    しかし以下のような問題が存在し、純粋なミニゲームとしても難のある仕様になっている。
  • ポケステ本体に左右されるアイテムのランク
    • ポケステのロット番号下3ケタに応じて設定されたレア度に応じて入手アイテムが変動するのだが、一番低いレア度のもの(ポケステ全体の約9割がそうなる)はゴミアイテムしか貰えず*31、一番高いレア度のものはいいアイテム*32がどんどん手に入るという極端なもの。一番いい組み合わせは1つ*33しかなく、その確率は実に1/1000。
      • 通信対戦で、上手くいけばよいロット番号のデータを貰う事が出来るが、元々かなり低い確率なので救済処置としてはあまり意味がない。
    • ただし、あくまでミニゲームであり、ストーリー進行に必須なものでもないので、遊ぼうが無視しようが本編には何ら影響はない。
      また、時間はかかるが設定して完全放置でもチョコボは育つし、レアイアイテム集めも十分可能である。
  • ゲームアーカイブス(PSV)版における仕様上の問題
    • 実機のポケットステーションがゲーム本体を起動していないときに持ち歩いて遊ぶものだったのに対し、『ポケットステーション for PlayStation Vita』は本編起動中にホームメニューからアプリを起動し別画面でプレイするという仕様になっている。それによりプレイ感覚が大幅に異なる他、以下のような問題が発生している。
    • 実機は放置状態でも自動でゲームが進行する『たまごっち』タイプのゲームであったが、PSV版ではPSV本体がスリープするとポケステのゲームも止まってしまうためPSVをポケステに見立てた遊び方は出来ず、育成・収集の効率も極めて悪い。
    • 『ポケステ PSV』には画面表示を切り替えてポケステのゲームを全画面で起動するモードと、本編をプレイしながらワイプのような小画面でポケステのゲームも同時に起動するモードがある。「おでかけチョコボ」のような放置メインのゲームは主に後者でのプレイとなり、「ポケステを持ってリアルおでかけしてアイテム収集、リアルおかえりしてゲームへチョコボを帰す」という実機とは全く反対のプレイ感覚になる。
    • 『ポケステPSV』が起動したままゲーム終了後、再開すると前回の状態に関わらずレベル1チョコボの「おでかけ」状態で再開される。このチョコボは本編のセーブデータとは別データとして認識され「おかえり」させることはできない。
      • 本来のチョコボが「おかえり」状態であればそのレベル1チョコボのデータを削除するだけで済むが、「おでかけ」状態でゲームを終了していると、元のチョコボは二度と戻ってこない。再開するにはチョコボを初期化する必要がある。
      • そのため「ゲームを終了するときは必ずチョコボを "おかえり" させて終了する」というこれまた実機とは逆の習慣でのプレイになる。ソフトリセットもNGなので注意。
      • ジャンクションのミスやカードバトルでの敗北などでリセットした場合も当然こうなるので、逃げられない戦闘やカードバトルに挑む前は必ず「おかえり」して『ポケステforVita』を終了する習慣を付ける必要がある。
  • ゲーム自体をやらなくても本編の進行そのものに支障はないとはいえ、これを利用しないと使用できない要素や入手できないアイテムがいくつか存在するため、外部機器との連動によらなければそれらを享受できないのはやはり問題といえる。持っていない人向けの救済措置があればよかったのだが。
    • 現在でもVitaであれば、ポケットステーションアプリを用いておでかけチョコボがプレイできる。
      • ただし前述のロット番号はVita本体により固定、通信対戦も不可となっているため、一番高いレア度のロット番号の入手は非常に困難である。

バグ

  • DISC3の序盤で「セントラ遺跡」に行き、ある条件を満たすとゲームが一切進行しなくなるバグが存在する。
    • このバグは当時のゲーム雑誌は勿論、大手新聞の社会面にすら掲載される等相当騒がれた。

その他

  • パーティメンバーを入れ替える時にジャンクションしているG.F.を交換する場合、G.F.・魔法・アビリティの全てを設定し直さなければならない。また、さいきょう(自動装備)コマンドもあるが、その前の段階としてメンバー間の魔法の受け渡しは手動でやらなければならない。
    • ジャンクション(装備)箇所が最大で30近くにも及ぶ。その内訳は能力値が9箇所、コマンド・キャラアビリティが3箇所と4箇所、属性・ST攻防がそれぞれ5箇所ずつで、これらのほかにG.F.をジャンクションする分(不定数)も加わってくる。ちなみに前作のそれは最大でも19箇所であった。
  • 飛空艇の移動速度が遅く、これまでのシリーズの爽快感が消えている。
  • アイテムやカードを捨てるコマンドが存在しない。カードについては売却も出来ない。カードはアビリティを覚えていれば変化はできるが、複数枚(カードによっては数十枚)を集めないとアイテムに変えられないものもある。
  • 金銭収集に関する問題。 先述のように主な金銭源を「給与」にするという斬新な設定となったのだが…。
    + 知ってしまうと興ざめする人がいるかもしれないため一応折りたたみ
    • とある精製アビリティによって、材料よりも金銭価値の高い某アイテムを簡単に作れてしまうため。少しの元資金があれば「材料アイテムを購入し、そこから某アイテムを精製、元本より高値で売れるので、それを売った資金で再度材料を購入し……」と、ノーリスクかつ短時間に資金をいくらでも増やせてしまう。
  • 一人が所持できる魔法の数が32種類×100個までで、自動ソート機能もない。この容量は必要最小限としては十分なのだが、廃棄コマンドが分かりにくいので魔法がだぶつきやすい。
    • ちなみに魔法を捨てるには□ボタンを押せばいいのだが、説明書やゲーム中においてその方法が記載されていないため気付かない人が多かった。
  • ライバルキャラとの最終戦で特定の条件を満たしていると、そのライバルが過去作からのゲストキャラに一蹴されるイベントが発生する。
    • サブイベントならともかくメインシナリオで尚且つライバルとの最後の戦いにそれを組み込んだ事は(主に悲鳴が)ネタにされてはいるものの、評価はされていない。発生条件がそこまで難しくないというのも問題である。しかも、この発生条件を無理に回避しようとすると15番目のG.F.の入手が面倒臭くなる。

総評

グラフィックはより美麗になり、(仕様外の)バグも少なく、映像・演出・サウンドは当時の最高水準に仕上がっている。
発売当初はシナリオやシステムを理解することへのハードルがこれまでのシリーズ本編と比較して若干高めである。
そのため、それを理由に敬遠されがちであったが、近年ではそれらを理解した上で高く評価するユーザーも増えた。
とはいえは記述の通りジュブナイル要素の強いシナリオ、キャラ育成にポイントを絞ったシステムは共に深く理解した上で、なお好き嫌いがハッキリ別れる作風であることから、正に「賛否両論」という言葉がぴったりと当てはまる作品であると言える。


余談

  • 発売同年の9月にはPC用のデスクトップアクセサリーが発売された。当時のスクウェアの子会社だったデジキューブからの販売。
    • 本作のミニゲームであるトリプルトライアドのネット対戦対応版も付属していたが、対人だと対戦相手を選べずCPUだとこちらの手札と同レベルのカードしか出さないので、個性的なカードや思考パターンを持っていた本編NPCとのミニゲームほど面白くはならなかった。
    • 結果、ネット対戦は数年もせずに廃れたようだが、次作『IX』のカードゲーム・クアッドミストが2002年頃に『テトラマスター』としてオンラインタイトル化され、『XI』の関連コンテンツのような扱いで長期間遊ばれていた事を考えると、当時はまだネットゲームへの理解が足りなかったのだろう。
    • 後に『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』にもミニゲームとして再録され、さらにiOS/Andoroid向けアプリ『ファイナルファンタジーポータルアプリ』内にも収録された。こちらは概ね好評。
  • 上述した『XIV』のバージョン5『漆黒のヴィランズ』において、本作の最強召喚獣である「エデン」がレイドボスとして実装された。
    • BGMにアレンジされた『Force your way』が用いられているほか、本作におけるエデンの召喚シーンをそのまま抜き出したかのようなアニメーションが展開され、大いに好評を博した。
  • 前作の好評もあり、シリーズ随一の売り上げを記録した。
  • 大のゲーマーとしても知られる小説家の宮部みゆき氏は、「史上最強のクソゲーは?」と質問された際に本作を挙げている。
    • 宮部氏はリノアに対して痛烈な批判発言をしており、氏の描く女性キャラと対照的なキャラ付けがなされた彼女に対する嫌悪感が影響したものと思われる。
  • ソースコードが破棄されていたため、本作だけがPS4/One/Switchに配信されていなかったが、2019年のE3にてHDリマスター版の発売が発表された。
    • 同じくソースコードがなかったFF7で行われた手法と同様に、予算と時間をかけて『for PC』(後述)からリバースエンジニアリングが行われた。
    • そしてベタ移植可能になったが「今見るとちょっとキツいね」ということでさらに期間をかけて一部キャラクターモデルにも手が入った新規リマスターになった。対応機種はPS4/One/Switch/Win(Steam)で、2019年に配信された。(参考)
    • 見比べると一目瞭然だがキャラのモデルは格段に進化している。流石に表情の変化などは無いものの、特にスコール達メインキャラに至ってはPS2かPSP並のクオリティになっている。
      • 本作はイベント、バトル共にキャラの顔がズームされるシーンが多い為、オリジナルのままだと確かにキツイ部分が多かったが、このリマスターによって現在でも十分観賞に耐え得るものになった。
  • 前述したように本作でモーションキャプチャーが導入されたが、ゼルとシドのモーションを担当したのは後に『X』で主人公ティーダの声とモーションを担当する森田成一氏である。
    • 氏のモーションアクターとしてのデビュー作であり、他に採用されたモーションアクターは当時の所属事務所の同期だったと氏のTwitterで述懐している。
    • ちなみに、リノアやイデアを演じた青木麻由子(現・青木まゆこ)氏も『X』でユウナの声とモーションを演じており、『VIII』派生作品ではセルフィの声としても出演している。

ファイナルファンタジーVIII(Win版)

概要(Win)

Windows95・98対応版が1999年に*34、2014年5月にはVista以降対応版が『ファイナルファンタジーVIII for PC』と題し、ダウンロード専売商品として発売された。

どちらの版もストーリー自体はオリジナルと変わらないが、『for PC』版はWIN95・98版に無い各種オプションが実装されている。

Win版での変更点

  • 各キャラのジャンクションをそっくりそのまま入れ替える「ジャンクションいれかえシステム」の実装。
  • 一部の道具、禁断薬精製の材料が変更。一部の精製はG.F.のレベルが上限の100必要だったがそれは不要になった。
  • おでかけチョコボRPGがポケステ不要で遊べる。また、IDもやり直しでいくらでも変更できるしアイテムによるIDによる影響がなくなったらしく、難易度が緩和された。
  • ひとつの魔法を何ヵ所にもジャンクションできる「マルチジャンクション」バグが廃止(『アルティマニア』には載っているが、アルティマニアはバグも載せるスタンスである。想定外の事態の修正であろう)。
  • カードゲームプレイ中、プレイ時間が通常の3倍の速さでカウントされてしまう不具合が生まれてしまった。プレイ時間が影響するイベントは今作にはないが、時間感覚を狂わせられる。
  • バラムガーデンの学生食堂にあるグラビデのドローポイントが、ゲーム開始直後からドロー可になった。
  • 音楽がMIDI音源になっている。
  • その他細かい修正点はこちらを参考されたし。
  • 2014年5月8日に最新OSと高解像度対応のダウンロード販売版『ファイナルファンタジーVIII for PC』が発売された。
    • 『FFVII インターナショナル for PC』同様、公式チートであるゲームブースターを搭載。さらに今作では序盤で入手出来る魔法を即100個入手出来る魔法ブースターが用意され、序盤の魔法集めの苦労が若干軽減されている。
    • 実績/トロフィーにあたるアチーブメントも搭載。前作にもあったが、数が大幅に増えており取得難易度も上がっている。前作は普通にクリアするだけでほぼ取得出来たが、今作は一筋縄ではいかない。
    • 先駆けて、2013年12月6日より海外ではSteam版も配信されている。
      • こちらは日本の公式ストアからは残念ながら購入できない*35。当然ながら日本語表示にも対応していない。
      • 現在はこちらをベースにしたリマスター版が日本からも購入可能となっているため、わざわざ海外版を購入する理由はほぼ無くなっている。
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最終更新:2024年04月30日 15:22
添付ファイル

*1 原作は95/98に、『for PC』はVista/7/8に対応。

*2 アルティメットヒッツ版で付与されたレーティングを記載。

*3 ゲームキューブ…ではなく、テレビにつなぐとできるクラウドゲーム(※for GCは公式表記)ほぼ『for PC』準拠、ただしプレイヤーネームの変更が不可などの違いがあった。

*4 30分間の無料お試しも可能となっている。

*5 当時はまだ(ゲーマー以外には)ゲームやバグ、セーブデータ等に関する知識が少なく、ゲーム機が故障する欠陥ソフトであるかのように捉えられてしまったのだろう。

*6 ごく一部の味方が「本来の "魔法"」を使用できるが、その威力は同種の疑似魔法の数倍に及ぶ。

*7 ストーリー上倒さなければならないボスは上限が設定されている。

*8 LV10 ⇒ 11でも、LV99 ⇒ 100でも経験値1000でレベルアップする。

*9 △ボタンによるターン送りでも良い。

*10 レベルアップするたびに、キャラクターの素のステータスが必ず一定値上昇するというもの。低レベルの内に解放・装備して育成すれば、装備しなかったときとのレベル100でのキャラクターの性能差は非常に大きい物となる。

*11 もっとも、本作におけるガ魔法の価値はさほど高くはないのだが。

*12 サポート魔法精製が手に入るのがディスク2のため、防御魔法のプロテスやシェルは中盤にならないと作れない。が、強敵との戦いでしか使わないであろうこれらの魔法を敵に殴られながら100個も200個も集める必要は無く、一人10~15個もあれば十分。

*13 一応、レベルが上がった雑魚からは強力な魔法がドロー可能になり、よりレアなアイテムを落とすようになる…などの有利要素も発生する。なお敵によっては単純なステータス以外にも扱う技が増える・強化される。一例を挙げると、序盤から出現するケダチクという芋虫型モンスターは、レベル20以上でスロウにしてくる「ねばつく糸」という技を使うようになる(また、同じ技名のままだがレベル30で効果が変更され、より凶悪(効果がスロウ ⇒ ストップに)になる。

*14 慣れたプレイヤーだとDISC1の序盤でガ系魔法やトルネド、クエイクなどを量産できるようになる。特にトルネドとケアルガは終盤まで活用できる性能を誇る。これらを利用すれば初期レベル(Lv10前後)でHP3000越えなども容易にできる。

*15 残り時間があれば再び連打で上昇させることが可能。

*16 本来はデメリットだが、通常攻撃「のみ」をコマンド入力のラグ無しで実行するため、手動より明らかに速く動けるようになる。

*17 複数のステータス異常耐性が無いと、ゲームクリア可能な能力でも優に全滅する。

*18 スコールは上位武器に改造するごとに強力な特殊技が解禁される。セルフィは最強武器のみ命中率がカンストする。

*19 戦闘不能者の数や、全員の状態異常の量、現在HP/最大HPの度合いなどを見て判断される。

*20 ダンジョン内でのセーブや戦闘不能の復活も項目に入る。

*21 例えば、ラスボスに関する情報はアルティマニアでは唯一載っていない。

*22 ランダムハンド、エレメンタルに乱数要素あり。

*23 ちなみにこれはエンディングの盛大なネタバレにもなっている、が勘のいいプレイヤーなら中盤の時点で気づくだろう。

*24 睡眠攻撃で殴った場合、起こした瞬間に眠らせてしまうため起きることが出来ない

*25 このカテゴリのアビリティは通常プレイで活用しづらいのはもちろん縛りプレイでも条件に引っ掛かり入手、利用できないケースが多い。

*26 たたかう以外のコマンドアビリティが封印される最終ダンジョンの仕様もこれに拍車をかけている

*27 もちろん「あんこく」「ぼうぎょ」のように使えるものがないわけではないし「かばう」+「カウンター」といったおなじみの組み合わせも残ってはいる。

*28 ただし連続魔に関しては魔法の連続発動を可能とする補助魔法「ダブル」「トリプル」という形で継続している。

*29 相性がよほど高くないとすぐにG.F.が9999ダメージを受けて戦闘不能に追い込まれる。

*30 ただし運ゲーは動画的には盛り上がるため縛りプレイの動画投稿自体はそこそこにある。

*31 一番上のランクであるAアイテムが絶対に手に入らない。ただしAランク限定のアイテムは設定されてないのでコンプできないといった事がないのが救い。

*32 個数限定品や本編では入手できない物。

*33 ちなみにそれは「211」で、本作の発売日が2/11だからである。この番号のヒントはアルティマニアに記載されていたり、ゲーム雑誌でも研究されていた。

*34 スクウェア・エニックスでは「2000年3月23日発売」としている。

*35 海外プレイヤーからのギフト等で貰うことは可能。