セクシーパロディウス

【せくしーぱろでぃうす】

ジャンル シューティング


対応機種 アーケード(SYSTEM-GX)
販売元 コナミ
開発元 コナミコンピュータエンタテインメント東京
稼動開始日 1996年2月28日
プレイ人数 1人~2人
判定 ゲームバランスが不安定
バカゲー
ポイント グラフィック・音楽・演出共に最高峰
難易度までもシリーズ最高峰
上級者以外お断りの超ランクゲー
グラディウスシリーズ


概要

パロディウスシリーズ通算5作目(アーケードでは3作目)。
極上パロディウス』の主人公(の一人)であったタコスケが探偵事務所を開きギャルにモテモテ…を目指すゲーム。しかしタコスケ自身は戦わずビックバイパーなどの仲間達に戦わせる。

「セクシー」の名前どおりお色気演出が多く、選択できる自機の幅も多くパワーアップするごとに喋る、といった非常ににぎやかなゲームではあったのだが、下記の通りの高難易度のために猛烈にプレイヤーを選ぶことになってしまった。


自機キャラクター

本作の自機のうち『パロディウスだ!』から続投しているのはビックバイパーのみとなっており、他は『極パロ』の4体と新たに追加された3体の計8体となっている。

+ 自機キャラクター紹介
キャラ名
(上段が1P側)
装備
(先頭のスピードアップと6番目の「!?」は共通)
コメント(キャラ解説は1P側)
続投キャラ
ビックバイパー
ロードブリティッシュ
ミサイル・ダブル・レーザー・オプション・
シールド
『パロディウスだ!』から唯一続投。
『極パロ』に比べ耐久力が2以上の敵に対してレーザーの先端以外でもダメージが入るようになる上方修正を受けた。
ひかる
あかね
ホークウインド・スプレッドボム・キャロット・
フォーメーションオプション・スター
『極パロ』で登場。
『極パロ』に比べキャロットが3連射になり微下方修正を受けたがスプレッドボムを装備するとオプションがローリングオプションになるようになった。
マンボ
サンバ
バブルミサイル・コントロールレーザー・
スクリューレーザー・サーチレーザー・バリア
『極パロ』で登場。
ちなみに本作のマンボは「ウ」が無くなっている*1
『極パロ』に比べバブルミサイルは自機本体からも上下に発射されるようになり、スクリューレーザは長さが横画面2つ分まで長さが延長され耐久力が2以上の敵に対して先端以外でもダメージが入るようになり、サーチレーザーはオプションからノーマルショットも2連射で撃てるようになった。
『極パロ』でも強かったが今作ではさらに上方修正が多く強い。
ミカエル
ガブリエル
ストロングミサイル・ラウンドショット・ウェーブレーザー・
グレードアップ・オーラ
『極パロ』で登場。
ミサイルが変更された。パワー0と1と4の時のラウンドショットの発射角度が変更され、ミサイルは手薄になりやすい前方を集中攻撃するものになった。ウェーブは発射速度が速くなった。
こいつ
あいつ
こいつミサイル・こいつショット・こいつウェイ・
こいつパワー・こいつシールド
(※あいつの場合は全て「あいつ~」という名称。)
『極パロ』で登場。
『極パロ』に比べ「こいつレーザー」が削除されて、敵をサーチするバスケットボールを発射する「こいつショット」が実装された。こいつウェイの発射角度は変更されていないがパワーが4以外では当たり判定が強化されなくなり微下方修正となった。
新規キャラ
イワン
トビー
いわとびミサイル・いわとびショット・バウンドショット・
オプション・ペンタロウX
イワトビペンギンの軍人。探偵事務所で(恐らく)事務を行う事となったペン太郎に代わる形で登場。
全ての武器が跳ねたりバウンドしたりする。
オプションは最大4つまで装備可能だが、4つ目の子ペンギンはショットを撃たないため、完全にランクを上げるだけのお荷物。
オプション
マルチプル
こいつもどき・ミカエルもどき・サンダークロスもどき
その場パワー・その場バリア
まさかの自機化。「○○もどき」は別機体に変身する(後述)。
デフォルト状態ではノーマルショット+小型のビックバイパー型のオプションになる。
シューティングスター
ブラックバイパー
オートオプション・ワイドブラスト・スパークレーザー・
ブラックパワー・サイコフィールド
シューティングスターは『ツインビーヤッホー! ふしぎの国で大あばれ!!』で登場したエースの愛機。
ブラックバイパーはビックバイパーの色違いだが性能は別物。
敵をサーチして攻撃する「オートオプション」と2種類のチャージショットを備え、最小限のパワーアップでも戦い易いため今作で最もクリアに近いキャラと言われる。
  • 「オプション」の「○○もどき」は、機体と攻撃がそれぞれ以下のように変化する。
    • こいつもどき:こいつウェイ使用
    • ミカエルもどき:ラウンドショット使用
    • サンダークロスもどき:ブーメランショット使用
      • その名の通り『サンダークロス』の自機「ブルーサンダー45型」に変身し、壁を跳ねるショットを放つ。
      • 逆に言えば、他の形態をメインに使うなら元キャラを使った方が性能は上なので、他のキャラが持っていないブーメランショット一択のキャラである感は否めない。
  • 「シューティングスター」はパイロットのエースもステージ間のデモで登場しているが、原作のシリアスなキャラが完全崩壊している。
    • ちなみにこの2機は、元々はブラックバイパーが1Pとして開発されていたが、それだと「ビックバイパー+ブラックバイパー」というプレイができないので1Pがシューティングスターになったという経緯がある。
    • なおブラックバイパーでのソロプレイでは、空中戦BGMがエースのものとは異なる専用のものに。

ゲームシステム

  • 本作の新システムとして特定の条件での設定された目標を達成することでゲーム中の展開が変化する「ノルマ制度」が採用されている。
    • ステージ毎に「特定の収集用アイテムを○○個集める」「特定の敵を○○体倒す」といったノルマが設定されており、達成の有無でゲームの進行が大きく変わる。
      • ノルマの達成状況でステージクリア後のデモが変化。また、一部ステージはノルマ達成の有無で次に進めるステージも変化する。
    • ステージクリア自体にノルマの影響は無く、ノルマが達成できなかったとしてもクリアさえすれば*2すればそのまま次のステージへ進むことができる。
      • ただし、最終面のみノルマが達成できなかった時点で終了となる。
    • 2~5面クリア時のいずれかに挟まれるボスラッシュステージ*3も含め、すべてのステージでノルマが設定されている。
      • ノルマをすべて達成する事で後述するスペシャルステージへ進出することができる。
  • パワーアップタイプは『極上』と同じく自動でパワーアップが行われる「オート」、オートの効果に加えて任意のパワーアップが可能な「セミオート」、従来と同じく任意で行う「マニュアル」の3つから選択。
    • 本作では「オート」を選択した場合だけミス後の復帰が「その場復活(ミス時にベル放出あり)」に変わる他、ランクの上昇速度が他のタイプよりも穏やかになる。
  • シリーズではお馴染みとなったベルパワーも続投しているが、白ベルのみ本作のノルマシステムに合わせてなのか、「メガホン」から「アレックス」に変更されている。
    • 白ベル取得後と同時に出現するアレックスは自ら動くNPCで、色は違えど四方向に動きノルマとなるアイテムの回収や雑魚敵を食べると言う、どこかで見たことあるようなサポートキャラとして活躍してくれる。
      • ただし、ボス戦では自機の後ろに待機してしまい何もしようとしない。
    • また、HPが設けられており耐久力の高い敵キャラに接触するとダメージを食らう。
      • デフォルトのHPは10。HPが3以下になるとサポートを行わなくなり、0になると消滅する。回復方法は黄色ベルを取ることで10回復する。
    • アレックスがいる状態で白ベルを再度取得するとレベルアップする。レベルアップは最大HP増加の他、アレックスの移動スピードがアップする。
  • 二人同時プレイに限り、前作『極上パロディウス』の怒システムに代わり合体攻撃システムが搭載されている。
    • 自機同士が一定距離まで近づくことで2機の間にエネルギーのような物体が発生し、そこから強力なショットが自動的に発射される。
    • 攻撃には相性が存在し、それぞれ選んだ自機の組み合わせによって発射されるショットが違う。

評価点

  • 過去作を凌ぐほどの派手な演出。背景にも無数のサブキャラが描かれており、せっせとアニメーションしていて見た目が楽しい。
    • 「タコスケが探偵事務所を開いた」というくだりは単なる裏話ではなく、本作の各ステージは依頼人の頼みにより始まるという演出が入っていてストーリー性がある。
      • ステージ終了後、ノルマ成功かノルマ未達かにより、ステージごと異なるフィニッシュ演出が見られる。未達の時の笑えるバッドエンドっぷりはある意味必見。
  • シリーズではお馴染みとなったクラシック音楽や民謡を大胆にアレンジしたBGMが使用されている。
    • 曲数も大盤振る舞い。一つのステージ中に数曲使用されていることが珍しくない。
    • コナミの関連作繋がりのBGMを使用したセルフパロディも見られる。
    • 作曲は優秀なサウンドスタッフが集まった「コナミ矩形波倶楽部」。そのため鉄板のクオリティを誇っている。
  • パワーアップボイスがキャラによって固有のものになった。声優を起用しており、それぞれ個性が出ている。
    • イワン/トビー役に渡辺久美子氏、ひかる/あかね役に中川亜紀子氏、ミカエル/ガブリエル役に檜山修之氏。
    • バイパー/ブリティッシュ役は標準のもの…ではなく、「ハヤクナリマース」「ミサイルウテマース」のように何故か独特すぎる片言。
      • 一方でシューティングスター/ブラックバイパー役が本家シリーズのような英語ナレーション。上記通りブラックバイパーとして作られていた名残か。エースの立場一切無し。
  • 本作は1周エンドだが、先述のノルマを全て成功させると最後にスペシャルステージが追加されるというシューターの挑戦を煽る仕様がある。
    • 『極上パロディウス』のスペシャルステージと同様、歴代コナミSTGのネタを多分に盛り込んだステージ『マニアック・オブ・シューティング』である。
    • 本作は後述の通り、本編の時点で難易度が極悪なため、『極上』と比べるとスペシャルと本編の難易度の格差は縮小されている。そのためスペシャル解禁条件を満たせるならスペシャルでも一応戦えるだけの腕はあるだろう。それでもかなりのえげつなさだが…。
  • 難易度のランクが低いときと高いときで、攻撃パターンを派手に変化させる敵が存在する。
    • 単純に敵弾を増やしたり敵が硬くなるだけの調整に留めていないのは、スタッフがこの仕様をしっかり中核と見据えていたからだろう。
      • ただし調整の方向性は断じて万人受けするものではなかった(後述)。

賛否両論点

  • パロ伝統のセクシー要素にしても、「セクシー」の名を冠しているためか、今作はかなりハメを外している。
    • さすがに局所や乳首は見えないが、裸の女性が画面全体に出てきたりするため、PSP版では CERO:C *4だが15歳以上でもプレイする人を選ぶ。
      • 家庭用版で『パロディウス』はCERO導入後に発売されたソフトに限り CERO:C になっている。
    • 萌え系の可愛いキャラクターというよりは、濃いめのオヤジギャグ路線のモチーフが多くていつも以上に濃ゆい。
  • スペシャルステージクリア時に残機ボーナスが入るのだが、その残機ボーナスが残機×100万点と凄まじく大きい。
    • デフォルト設定(残機3+エクステンド1回)でノーミスクリアすると400万点も入る。
      本編+SPで稼げるスコアはよほど徹底して稼いでも300万到達が限度であり、あまりに本編のスコアバランスを無視しており賛否がある。
    • 本作も基本的には戻り復活なので、ありがちな残機潰し稼ぎを封じるための設定だと思われる。実際、『極上』ではSPステージボス中に自爆して戻り復活して稼ぐ上級者プレイヤーが見受けられていた。
      STGに対するインカムの要求が厳しい時代になりつつあったのは事実なのだが…それでもノーミスがスコアタの入り口に等しい状態となっているのはハードルが高くなりすぎているのは否めない。

問題点

  • バトルガレッガ』もかくやという程の、度の過ぎたランクゲー。
    • 「たとえランクの概念を知らない人でも気付くであろうレベル」で、少しパワーアップしているだけでも目に見えるほどの爆発的な勢いで敵の攻勢が激化する。
      • スピード2速以上やバリアを取ると格段にランクが上がる『だ!』や、ミサイルを取るとランクが上がりやすくなる『極パロ』に対して、本作は何をしてもランクが上がる。「単に生きているだけ」ですらぐんぐんランクが上がっていく。*5
        そのため本作には ランク上昇を回避するためのコツなど全く存在しない。 『パロディウス』シリーズは伝統的に『グラディウス』シリーズを上回るレベルのランクゲーであるが、本作ほど酷い物は無い
      • 『パロディウス』シリーズは低パワーアップ進行を補うためにベルパワーがあったはずなのだが、敵弾を防げるスーパーボム(青ベル)と菊一文字バリア(赤ベル)はストックを抱えているだけでもその時間により急激にランクが上昇していくためおいそれと構えていられない。しかも本作でも相変わらずベルパワーストック中はバリア系装備を付けられないため、かえって不利になってしまう場合すらあり得る。
      • また、折角追加された白ベルお助けキャラの「アレックス」も、やはり付けている時間に応じてランクが跳ね上がる上、青・赤・緑と比べても実用性に乏しいため、使う利点がほとんど見当たらない。実質的に罠装備のようなものである。
      • 挙句の果てに 本作はミスをしても全然ランクが下がらず 、復活時の装備の立て直しで余計にランクが上がる*6
    • その結果、序盤面の時点で雑魚敵一体一体が猛烈な量の撃ち返し弾を放ってくるレベルにまでランクが上がる。特に3面の時点で時間差撃ち返しにまで至っていることもザラである。
  • 殺意全開のステージ難易度。
    • 前述のランクを抜きにしても、そもそもの基本的なステージやボスの難易度が非常に高い。
      • ランクを上げないための低パワーアップ走行ではザコにもボスにも押される、という八方塞がりなゲームバランスとなっている。
    • その中でも最終ステージとスペシャルステージはランクをできるだけ上げないようなプレイをしていても、弾幕STG顔負けの物量を誇り、スタッフからの殺意すら感じる物となっている。
      • ランクが高いと、ここまで来られるプレイヤーですら「本当にクリアできるのかこんなの…」と呟きたくなること請け合い。
      • しかも最終面は時間制限があり、タイムがゼロになってしまうとバッドエンドとなってしまう。一応、タイムを僅かに回復できる敵も道中に出て来るので、それなりに余裕はあるのだが、あまりにも戻り復活が続いてしまうと…。
  • 雑多なステージ構成。
    • ステージとしての難易度が高い理由はもう一つある。それは不条理な難易度カーブとステージ構成
    • ゲーム自体は全6ステージ+ランダムで発生するボスラッシュステージ1ステージの全7ステージ構成。そのうちステージ2とステージ3はそれぞれのステージのノルマ達成状況で次のステージが分岐する。
      • ステージ2でノルマを達成し成功した場合は竜宮城ステージ、失敗した場合はネズミの館ステージがステージ3として現れる。
      • そしてステージ3の各ステージでノルマ達成に成功した場合はコンテナ工場ステージ、失敗した場合は炭坑ステージがステージ4として現れる。
    • 最も問題視されていたのは序盤であるはずのステージ2でいきなり袋小路や水流のギミック満載の高速スクロールステージが出現すること。
      • ステージ1は『だ!』や『極パロ』とほぼ同じ難易度となっていたため、ステージ2でいきなりステージベースから殺しに来る。 おまえはカプコンのベルトスクロールか?
      • スクロールに対応するためにどうしても2速以上を取らされるため、ランク上昇を加速せざるを得ない設計となっている*7
      • この手の高速ステージは『グラディウス』シリーズでは原則的に後半ステージに設定される事が多く、早いタイミングで来る『極パロ』ですら中盤のステージ4*8であった事を考慮すると、この構成が如何に異常かが伝わるだろう。
    • ステージ分岐に関わるステージのノルマは序盤から厳しく、達成しづらい設定となっている。
      • 達成しようとすると「多少無理してでも収集アイテムを最優先で取りに行く」「他の敵を無視してでも対象敵を撃ちまくる」「ベルは白ベル優先」などと自由度が下がってしまう。
    • にもかかわらず「ノルマ失敗ルートのステージの方が難易度が高い」という構成はさすがに疑問を抱かざるを得ない。
      • 失敗ルートのネズミの館ステージと炭坑ステージのノルマは意識してターゲットを倒さないとノルマが達成しづらい設計となっている。その上でボスがどちらも成功ルートよりも難易度が高いという追い打ちも存在する。
      • 成功ルートである竜宮城ステージとコンテナ工場ステージはそこまで意識しなくてもノルマが達成しやすくなっており*9、疑問に拍車をかけている。
      • 隠しステージであるスペシャルステージの達成条件は「ノルマをすべて成功する」が必須条件となるため、この時点で失敗ルートのネズミの館ステージと炭坑ステージは攻略する上では絶対に通ってはいけないステージと、とことん嫌われ者になっている。
    • ステージ5ではボス直前で絶対に通れない一面の壁(隙間、破壊可能箇所一切無し)が設置されており、通る為には緑ベル(巨大化)か青ベル(スーパーボム)、あるいは全方位型バリアが必要。緑ベル以外はランク上昇に繋がる上に消費・消耗せざるを得ない
      • ベル自体は壁の直前に文字通り縦一列に並んで多数現れるので、わかっていれば影響は軽微ですむが…敵の猛攻が飛び交う中でベルを目当ての色に撃ち込み調整をして獲得するのは決して簡単ではない。
      • ちなみにこの壁抜けネタは初代であるMSX版『パロディウス ~タコは地球を救う~』の時点で登場しており、こちらもベルパワーの『ヨコワープ*10』で突破させるものだった。
    • 以上の事から各ステージ単体の難易度もそうだが、通しプレイにてその難易度が乱高下している歪な構成である。
      • 総評すると(アーケードとしての)前作『極パロ』は『だ!』の高難度の反省からか遊びやすい難易度だったのに、『極パロ』どころか『だ!』の1周目をも上回る鬼畜難易度
  • こうして見ると初心者完全お断りのように見えるが、一応初心者への配慮も全くないという訳でもない。
    先述の通り、パワーアップタイプで「オート」を選んだ場合だけは明らかにランク上昇が緩やかになると同時に、ミス時にはベルがいくつか放出された上でその場復活となるので、「マンボ/サンバ」や「シューティングスター/ブラックバイパー」といった少ないパワーアップでも強い機体を使い、スペシャルステージを無視してパワーアップを必要最低限に抑えて進行すれば難易度はそれなりに落ち着く。
    • この調整は恐らく今までのシリーズで根付いていた「オートパワーアップ=罠」*11という状況を少しでも打開したかったものと考えられる。
      が、これはそもそもの問題であるランク加速度の露骨な高さに強引に蓋をしたようなものに過ぎず、そこに今までの感覚で「マニュアル」を選択して地獄絵図のような難易度を味わってしまった悪印象が強かったと思われる。

総評

パロディウスシリーズとしてはグラフィック・音楽・演出共に最高峰、しかしながらゲームの難易度までもが最高峰という極端な代物になってしまった。
アーケードゲームにありがちな高難易度至高派の一部からは好かれている…が、限度というものがある。
あまりの難しさに投げてしまった者も多く、評判も芳しくなかったため、今作が『パロディウス』シリーズにトドメを刺す形となってしまった。


移植版

アーケード稼働から8か月後にセガサターン、プレイステーション版へ1996年11月1日に発売された。
主な特徴は以下の通り。

  • AC版の忠実移植。
    • 前作の『極上パロディウスだ! デラックスパック』では『だ!』・『極上』共に移植の粗さやロード時間の問題が指摘されていたが、本作ではそのような問題は一切発生していない。
    • 忠実移植であるため、家庭用独自の要素は隠しコマンドとオプションぐらいで、前述の問題点もそのまま移植されている。
      • とは言え、コンティニューが無限であることと難易度調整が可能であることから、AC版の雰囲気をそのまま楽しめる、もしくはACの練習用としては十分価値がある。
  • 今までのシリーズでは標準だった、家庭用の隠しコマンドもパワーアップとパワーダウンのみ。
    • 過去作では隠しコマンドが豊富だったが、本作ではこの2コマンドのみ。
    • しかもパワーアップコマンドはノルマを成功させた数だけしか使えない
  • 過去作のデラックスパックと比べると定価が5,280円と若干安い。
    • ある手法で見ることができる開発秘話*12によれば「本作はデラパ(2本立て)ではないので若干安くした」とのこと。
    • 2022年現在は両者ともプレミアが付いており入手困難である。ちなみにPS版はAmazonでは何故か18禁扱いとなっている。

他に『パロディウス PORTABLE』(2007年1月25日発売)に、『初代』のアレンジ版・『だ!』・『極パロ』・PS版『実況』とセットで収録されている。基本はPS版をそのまま収録しているため移植度は高いものの、ライセンスの都合によるBGMの差し替えが問題視されている。詳しくはリンク先にて。


余談

  • 前述の通り、本作は現時点でシューティングとしてのパロディウスシリーズ最終作となっている。
    • 本作と同時期に稼働した『沙羅曼蛇2』の評価も芳しくなかった上に、翌年には『beatmania』をきっかけに音楽ゲームブームが到来。アーケードの開発が後の『BEMANIシリーズ』をメインにシフトしていったことからコナミは横シューティングの製作に消極的になっていった。
    • なお、パロディウスシリーズ自体は外伝作品としてPS用のSLG作品『パロウォーズ』が後に販売されている。
  • 本作の『パロディウスだ!』からの自機が「ビックバイパー」のみになった理由はゲーム中のデモ画面やPS版・SS版の説明書にあるストーリーである程度把握することができる。
    • 「タコスケ」は名目上は探偵事務所の所長ではあるものの、いわば「働きたくないでござる」というイメージがストーリーやゲーム中に溢れており、それがそのまま不参加に繋がっていると思われる。
    • 「ペン太郎」はデモ画面でタコスケの隣に座っており、そろばんを持って仕事をしているシーンがあることから会計に徹している事が把握できる。
    • 「ツインビー」が一切出てこないのはストーリーでタコスケが「噂ではツインビーの奴が何とか王国でひと暴れ*13して稼ぎ、別荘を建ててねーちゃんに囲まれて暮らしている」という話をしており、これがツインビーの不参加に繋がる明確な理由と判断できる。
      • なお、このツインビーに対するタコスケの嫉妬が本作の探偵事務所を立ち上た理由にもなっている。
  • 本作の稼働後、サウンドトラックが発売された。
    • AC版に収録された全曲に加え、海外で稼働する際に権利的な事情で変更された倉庫ステージ用BGM「Help me!」という曲がボーナストラックとして収録されている。
      • 『パロディウス PORTABLE』に本作の移植版が収録された際、倉庫ステージでは海外版のBGMが採用されている。
    • サントラ自体の構成が1面→4面→3面→2面の順にBGMが流れることから、「当初は4面に配置される予定だった高速ステージが、諸事情で2面と入れ替わりになったのでないか」と推測されている。
      • あくまで「サントラのトラック構成がそうなっている」だけで、サントラ以外のソースが無い事からステージ構成に関しては推測の域を抜けられていない。
      • 雑誌等の情報やPS/SS版の開発秘話ですらステージ構成に関する話は触れられておらず、真相は現在もなお不明となっている。
      • 2021年に販売されたコナミシューティングのAC版音源を集めたCDBOX「ミュージック フロム コナミアーケードシューティング」でも本作の楽曲が全て再収録されているのだが、トラック構成はなぜか同じ。

参考動画

+ 百聞は一見に如かず

ちなみにプレイヤーは雑誌『ゲーメスト』の全国集計で様々なシューティングの全一スコアを取った人。凄まじいやり込みと練られたパターンによってここまで昇華されている。


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最終更新:2024年01月01日 07:29

*1 設定上は「極パロにて、猫戦艦に尾ひれを齧られてしまったため」らしい。

*2 ボス戦は攻撃することなく一定時間経つとボスが撤退するシステムになっている。ただし「ボスを倒す」事自体がノルマのステージもあるため、見逃した場合はそのままノルマ失敗となる。

*3 どの段階で来るかは「ステージ2クリア時点でのスコアの100の位の数字」で確率が変わる。数字が大きいほど早い段階でやってくる傾向が強い。

*4 PS版とSS版発売時点ではCEROはなかった。

*5 『だ!』はタイマーランクのみ、『極パロ』は装備ランクのみだが、セクパロはその両方でランクが上がる。

*6 唯一判明しているのは「パワーアップゲージの「Oh!」(パワーアップ初期化)を使用することでランクが大幅に下がる」というものだが、それですら装備の立て直しによるランク上昇をカバーできない。

*7 『パロディウス』シリーズでは2速以上のスピードアップですら『グラディウス』シリーズよりランクが加速されやすいため、スピードアップは極力1速を維持することが攻略の鉄則となっている。

*8 『極パロ』の高速ステージもギミックこそ多いものの袋小路はなく、道幅自体も広めに設定されていた。

*9 どちらのステージもノルマ自体をそこまで稼げていなかったとしても、終盤にどんでん返しと言わんばかりのボーナスが存在する。

*10 画面の左右両端でワープ移動が出来る。

*11 ランク上昇率が多いパワーアップをお構いなしで行ってしまうケースが多く、本シリーズを攻略する上で行うプレイスタイルと相性が悪かった。

*12 ゲームディスクをCD-ROMもしくはDVD-ROMドライブ搭載のPCに入れ中身を調べると開発秘話のテキストファイルが同梱されている。

*13 1995年に稼働したAC作品、『ツインビーヤッホー! ふしぎの国で大あばれ!!』のこと。当時ツインビーシリーズは現代で言うメディアミックス展開を行っており、同時期に放送していたラジオドラマ『ツインビーPARADISE』も相まって大人気だったことからこのような設定になったと思われる。