Call of Duty: Black Ops

【こーるおぶでゅーてぃー ぶらっくおぷす】

ジャンル FPS


対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows XP/Vista/7
発売元 海外 Activision
日本 スクウェア・エニックス
開発元 Treyarch
発売日 海外 2010年10月9日
字幕 2010年11月18日
吹替 2010年12月16日
定価 7,480円
プレイ人数 1~16人
備考 オンライン対応
レーティング 海外 ESRB:M(17歳以上対象)
日本 CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 なし
ポイント 舞台は冷戦下
存命人物の登場
どんでん返しな物語
マルチプレイにシアター導入
マルチプレイの細かな問題点
Call of Dutyシリーズ



歴史には記されなかった戦争
真実を知る男たちの戦い―



概要

コンシューマ機で華々しい変革を起こした『CoD4』から数えて『Call of Duty: World at War』以来のTreyarch作品。
ストーリー的にも前作『WaW』で登場したキャラクターが登場しており、時代も核開発競争が激化していた冷戦下を舞台にした非常にダークな雰囲気を醸し出している。
しかしながら全体を通してみると、架空の兵器や当時存在していない武器が登場するなどファンタジーな要素を含む部分もある。
マルチプレイでは問題視されていたキルストリークからキルストリークに繋がるという一方的な試合展開を考慮した仕様に。
また、武器バランスの変更、新ルールの追加やユニークなキルストリークの登場等、正に正当進化とも言える出来となっている。
特にマルチプレイでのリプレイが出来るシアターモードが今作から導入され、以降のシリーズ作品に導入されているなど、マルチプレイの土台をより強くした作品と言える。


あらすじ(キャンペーンモード)

アレックス・メイソンは、目を覚ますと何者かによって拘束されていた。
ガラスを隔てた隣室からメイソンを監視する尋問官たちは彼に問い掛ける。「“あの数字”は何を意味するのか」と。

激しく抵抗するメイソンだったが、電気ショックによる容赦のない拷問に耐え兼ね、自らの素性とこれまでの行動を白状する。
かつてCIA工作員だった彼は、ベトナム戦争の陰で実行された数々の極秘任務に参加していたのだ。

果たしてメイソンの過去、そして彼の脳内に刻まれた“数字”の正体とは…


特徴・評価点

キャンペーン(シングルプレイ)

  • 冒頭(というよりメニュー画面)から主人公のアレックス・メイソンが拘束されて尋問を受けているという突拍子な展開。そこから尋問官が知りたがっている事実を追い、過去を振り返っていく。
    • 従来同様にミッション毎に操作キャラが異なる方式だが、本作はメイソンという明確な主人公が定められており、他のキャラでの操作は一部のミッションに留められている。
      • また、本作はミッション外では主人公の容姿が描写され、更にミッション中でも主人公が言葉を発するというシリーズでは珍しい構成になっている。
  • 舞台はベトナム戦争でアメリカが四苦八苦していた時代。 キューバのカストロ議長や、あのジョン・F・ケネディ大統領も登場する(しかもそっくり)。
    • 「ブラックオプス」のタイトルの通り、本作の戦いは「極秘裏に行われた、記録に残らない作戦・戦闘」がメインであり、ミッション開始時に表示される時刻や現在地などの詳細情報はすぐに黒塗りで隠されてしまうという演出がある。
  • 事の根源は暗号の「数字」で、この数字をめぐってアメリカのCIA、メイソン達が翻弄する。
    • この数字は実際にも使われた「ワンタイムパッド」と呼ばれる暗号で出来ている。 事実、劇中に出てきた暗号を海外のファンが解読している。
  • 上述した通りストーリーは謎めいた開幕から、過去を追体験する形で真実を紐解いていく形になる。謎が交錯する激戦の中、やがて点と点が繋がり、驚愕の事実が明らかになっていく終盤は怒涛のどんでん返しが待っている。
    • 何故メイソンは尋問を受けているのか?尋問官の正体は?そして「数字」の意味とは?幾重にも絡み合う謎の行き着く先は、是非実際にプレイして確かめて頂きたい。
  • シリーズでは珍しくない隠しアイテムだが、今回はその隠しアイテムを回収することで、メイソン達が行動していた裏で暗躍していた者達の動向を知ることが出来、最終的な結末を想像できるようになっている。
    • ただし、ここから想像される結末は続編『Black Ops 2』で否定される事となる。
  • 声優にエド・ハリス氏やゲイリー・オールドマン氏を起用するなど豪華。 そしてその演技力も高く評価されている。
    • 吹き替え版も散々叩かれた『Modern Warfare 2』の反省からか実力派の有名声優を起用しており、こちらも評価が高い。
      • 主人公メイソンを演じる堀内賢雄氏を始め、井上和彦氏や大塚芳忠氏、小山力也氏、若本規夫氏などなど、正に大手のベテラン揃いである。
      • 『MW2』のようなトンデモ誤訳もほぼ皆無。珍言で水を差される事も無く本作のストーリーに没入させてくれる。

マルチプレイ

  • CPUと対戦できるトレーニングモードが追加された。オンラインに行く前にある程度練習できるため新規プレイヤーにも優しい。
    • さすがにプレイできるルールは限られるが、全ての装備類が最初から使用可能という親切な仕様。
    • 練習どころか、オンラインそっちのけでこちらを本命にしてしまうプレイヤーもいた。
  • 新ルールに、敵を倒すたびに武器が変わっていき先に武器を一通り一順したほうが勝利する「ガンゲーム」が出来た。
  • 爆発物強化PERKの「デンジャークロース」の廃止や「スカベンジャー」でランチャーの弾薬が補給できなくなったため、全体的に爆発物が弱くなった。このため、射撃の色がより強くなった。
  • ラジコン(C4付き)やナパーム爆撃、擬似銃声を鳴らしてレーダーを撹乱させるデコイ、毒ガス入りグレネードや火炎放射器、トマホークに軍用犬といった、時代に沿った要素*1が含まれ、使い方も癖がある。
  • 武器バランスがなるべく平均化され、選択肢は広い。 銃の威力を上げるPERK「ストッピングパワー」が無くなったことにより、PERKの選択肢が広がった。

ゾンビモード

  • 『WaW』に繋がるゾンビモードが今作にもある。物語も繋がっている。
  • ゾンビを倒すことでポイントを獲得し、そのポイントでゾンビが破壊した侵入箇所を修復したり、弾を補給したり、武器を変えたりする。
  • そこらのゾンビゲームよりもジリ貧感を演出出来ているが、主人公のキャラクター性や世界観などで、本編とは違ってダークな印象は薄め。
  • マルチプレイ可能。

ミニゲーム

Dead Ops Arcade

  • 特定条件を満たすとタイトルメニューに追加されるミニゲーム。主観視点でプレイするゾンビモードとは異なり、俯瞰視点でプレイヤーを操りゾンビを倒していくのが目的。
  • 最初からM60を装備しており、弾数は無制限であるため、比較的難易度は低い。
  • ゾンビモードと同様ラウンド制で、ラウンドを経るごとにゾンビの数や敵の種類も増加していく。舞台は海岸や刑務所など様々であり、これもラウンド数に応じて変化する。
  • キャンペーンモード・ゾンビモードとはなんら関係がないが、ナチゾンビやセルゲイ姿のゾンビなど、外見の流用は多々なされている。

問題点

通信ラグが若干悪い

  • マルチプレイ時のラグが比較的頻出し、『MW2』と比べると悪化していると言わざるをえない。
  • 海外の人と遊ぶと酷くなるのは当然だが、日本人同士でも悪くなる場合がある。
  • これについては今作からの「シアター」機能による通信処理にかかる負荷が原因ではないか、と推測されている。余談だが、それを裏付けるかのように、後作の『Ghost』ではシアター機能が取り払われている。

過剰なPT優遇仕様

  • 他者とPTを組むことで同じチームとしてプレイすることが出来るのだが、なぜかPT禁止のルールでも他者を招待することでその人と味方として同じチームになるという意味不明なものに。
  • ゲームのシステム上、倒されれば倒されるほど相手にキルストリークを与えることになるため不利になっていく。 端的に言えば、チーム内に弱いプレイヤー(初心者等)がいると、思っている以上に不利になりやすくなる。
    • PTを組むと連携がとりやすくなるという面は勿論だが、チームの規定人数の内訳を固定させるため、必然的にチームの強さが固定化される。 そのため毎試合のチームメンバーの入れ替えも意味をなさず、負け越しが続くという場面が多くなってしまう。
  • この問題はシリーズ全てに言える。

あまりにも多い時代錯誤要素

  • 今作に登場する半分以上の銃器は今作の舞台である1960年代には存在しないものである。
    • また、フラットトップレシーバーや光学機器といったかなり近代的なものも含まれているため、とても1960年代が舞台のゲームをプレイしているとは言い難い感覚である。
    • キャンペーン中にウッズがベトコンから奪ったSPAS-12*2にドラゴンブレス弾*3が装填されたものをメイソンに渡すシーンは、全てが間違っていることで現在でも語り草になっている。
      • 一応、旧時代に併せてスコープのデザインが旧式の物であったり、ピカティニーレールをモデリングから消したりして外見的な近代要素は消しているので雰囲気は保てている。
    • また、今作の最初のキャンペーンミッションで流れる印象的なスペイン語の曲も本来は1974年の曲である。
    • マルチプレイヤーにおいても一部のギリースーツやアーマーは時代背景を無視したものが使われている。
    • 純粋なベトナム戦争/冷戦モノのゲームとしてプレイするとガッカリではあるが、それらの要素が記録には残らない機密作戦の雰囲気を盛り上げていることは否定できない。

総評

マルチプレイに若干の問題点が存在しているものの、全体的にバランスの良い出来となっている。
ストーリーにもダークな雰囲気かつ思わせぶりな描写を使用し、プレイヤーの没入感をより深める効果に成功している。
『MW2』のマルチプレイが酷かっただけに、今作の出来は、後のシリーズ作品にも影響を与えた大きな作品であると言える。
キャンペーンの若干のムービー演出過多な部分、マルチプレイでの通信障害やゾンビモードのハードルの高さなど、これらを突き詰めれていれば十分に良作になり得たであろう作品で、今でもシリーズ作品ファンからの評価は高い。


余談

  • 本作はギネス世界記録が発表した「最も素晴らしいゲームエンディング TOP50」の2012年ランキングで本作が1位に選ばれた。
  • 作中、実在の人物であるフィデル・カストロ氏の殺害を主人公達が企てるシーンがある事から、キューバ政府から「50年余り前にカストロ前議長を殺害しようとしたアメリカの企てをバーチャルで実現しようとし、美化するものだ(意訳)」という非難を受けた事がある*4

その後の展開

  • 2020年11月13日にシリーズ最新作『Call of Duty: Black Ops Cold War』がPS5/XSX/PS4/One/Winで発売された。舞台はロナルド・レーガン政権下の1980年代中盤*5で、本作と『BO2』を繋ぐ物語が展開される。
    本作にも登場したフランク・ウッズ、アレックス・メイソン、ジェイソン・ハドソンといった面々が再登場し、CIAのエージェントであるラッセル・アドラーと共に、東西のパワーバランスの転覆をはかる伝説的秘密工作員「ペルセウス」を食い止めるべく奔走する。
    • なお、2019年に発売された『Call of Duty: Modern Warfare』は『MW』シリーズのリブートだったのに対し、『Black Ops Cold War』は初代『BO』の正規続編である。
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最終更新:2023年11月16日 19:34

*1 ただし、銃器に関してはベトナム戦争当時は存在しなかったものも多く登場している。

*2 イタリア製で本来は1979年製造の銃。

*3 アメリカで開発された娯楽用の弾薬で、警察や軍での使用例が一切ない。

*4 実際は作中でも殺害はしないが。なお、現実のカストロ氏は本作の発売から6年後の2016年11月25日に亡くなっている。

*5 サブタイトルの「Cold War」にもあるように東西冷戦後期の時代でもある。