鉄拳

【てっけん】

ジャンル 3D格闘アクション
対応機種 アーケード(SYSTEM11)
プレイステーション*1
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1994年12月
発売日 1995年3月31日
定価 5,800円
廉価版 PlayStation the Best
1997年3月28日/2,940円
配信 ゲームアーカイブス
2011年7月6日/600円
判定 なし
ポイント ナムコ初の3D格闘ゲーム
四肢を当て嵌めた攻撃ボタンを始め独特なシステム
濃い&イロモノ&パロディキャラの宝庫
当時は周囲から期待されていなかった
鉄拳シリーズ


概要

3D格闘ゲームを代表する『鉄拳』シリーズの第1作。
今ではアーケードにおける3D格闘ゲームの金字塔にしてナムコ・バンダイナムコの顔とも言うべきシリーズだが、その生い立ちについてはあまり明るい話はない。
当時は『バーチャファイター2』という規格外の怪物が鉄拳デビュー1か月前に稼働開始したばかりであった。
そしてそれは、ACゲーム業界に『ストリートファイターII』以来となる格闘ブームを巻き起こすことになる。

だが、当時セガと同等の3D技術を持っていたナムコの最新基板「SYSTEM22」はコスト面で使えず*2、さらに格闘ゲーム自体のノウハウも無し*3、開発コンセプトも要約すると「バーチャのおこぼれ狙い」という志の低さ*4、そして当の『バーチャ2』の勢いは他メーカーには追随できないほどに強烈であり…。

――と、本作は正に「誰にも期待されていない」中でリリースされた作品であった。
だが、これが後に大人気シリーズとなるまでに発展し、ましてや15年後にはバーチャをも上回る一大勢力を築くシリーズになるとは、この時点では誰も想像し得なかったであろう。


ストーリー

世界に名だたる大財閥「三島財閥」の頭首にして、「鉄拳王」の異名をとる最強の格闘家「三島平八」。
その長男として生まれた「三島一八」は、財閥の後継ぎとなるべく父からスパルタ教育を受けて育った。
幼少期に心の支えとしていた母を失い、さらに平八によって修行の一環として崖から落とされ胸に傷を負わされた一八は
いつか自らの実力で平八に復讐し、全てを奪うという誓いを立てた。

一八が26歳になった時、平八は私設部隊「鉄拳衆」の戦力強化を目的として、
格闘大会「The King of Iron Fist Tournament」を開催。 優勝者には財閥の全ての権利を譲るというもので、多くの腕に覚えのある者たちが集った。
一八はこれを利用し、平八から全てを奪い尽くそうと、主催財閥の御曹司でありながら一人の選手として参加するのであった。


システム

  • 操作系統
    • 8方向レバー+4ボタン制。ボックス状の配置で上に2ボタン、下に2ボタン。上部のボタンが「左パンチ/右パンチ」、下部のボタンが「左キック/右キック」と、四肢に対応したボタン配置になっている。このためガードは2D格闘と同じレバー後ろ入れで行う。
    • 『鉄拳』ならではの目玉要素としては「10連コンボ」がある。その名の通り10連続攻撃を叩き込む大技で、当時はこれを出せるだけで一種のステータスになっていた。
      • 現在では実戦における実用性は殆ど無いものになっているが、シリーズの伝統として今でも残っており、新作の新キャラ・コラボファイターにも何通りかが用意されている。
    • 上中下段の打撃技、上段ガードを崩す投げといった攻撃の属性はバーチャファイターと同じ構成。また、本シリーズにはガード不能の打撃技も存在する。吉光の刀による攻撃などが該当。
      • 鉄拳2以降はほぼ全キャラが一個ずつ高威力の必殺技的な存在として「ガード不能技」を持っているが、発生が非常に遅いため10連コンボ以上に実用性は薄い。

キャラクター

プレイヤー側で8人、敵専用で9人の合計17人。CPU専用キャラは家庭版でプレイアブル解禁が可能。
各デフォルトキャラには対応するライバルキャラクターが設定されており、使用キャラ毎に異なる相手が中ボスとして立ちはだかる。

+ プレイアブルキャラクター
  • 三島 一八(みしま かずや)
    • 本作の主人公。「財閥党首である実の父を追い落とし財閥の乗っ取りを企む」という、格ゲー主人公らしからぬバックストーリーを持つダークヒーロー。
    • 格闘スタイルは平八から教わった「三島流喧嘩空手」。6n23+RP*5で出せる「風神拳」は相手を浮かせる主力のコンボ始動技であると同時に、ボタンを押さずレバー入力のみでは特殊なステップ動作(通称・風神ステップ)が出せるという仕様があり、一八を象徴する技として定着している。
      • 次回作以降、同じ三島流喧嘩空手のキャラにはさまざまな仕様変更をしつつも搭載されており「三島家」という分類で本作のスタンダードとして定着した。
    • 中ボス:李超狼
  • ポール・フェニックス
    • 逆立った金髪と赤い道着が特徴の宇宙一を目指す格闘家。
    • 一八とは過去に一度引き分けて以来再戦を望んでいるという設定で、雑誌記事等でも一八と並んだビジュアルが多用されるなど、中ボスという概念とは別枠において一八のライバルキャラとして位置づけられていた。
    • 純粋に強さを追い求める求道的な姿勢の持ち主という、一八と対照的な「格ゲー主人公のステレオタイプ」に近いキャラクター性の持ち主。以降も全作品に登場し、シリーズの名脇役として認知されている。
    • 格闘スタイルは「柔道をベースとした総合格闘技」。その通りに投げ技を多く持つが、各種日本武道や中国拳法系の打撃技もありバリエーションは幅広い。特に波動拳コマンドと同様の623+RPで繰り出す「崩拳」は、一八の風神拳と同様レバー入力部分で特殊ステップ(通称・崩拳ステップ)が出せ、クリーンヒット時に大きくふっ飛ばしながら大ダメージを与えるというインパクトもあって、風神拳と並ぶ鉄拳の象徴的な固有技として定着している。
    • 中ボス:クマ
  • マーシャル・ロウ
    • 清々しいほどブルース・リーそのものな見た目だが、中国系アメリカ人(アメリカ国籍)であり、職業は格闘家兼料理人でプロフィールの好きなものに「お金」を挙げるなど、ストイックからは程遠いコメディリリーフ。大会参加の目的も中華料理店と道場設立の資金目当てである。ポールとは修行仲間。
    • モーションも一見ジークンドーだが、格闘スタイルは「マーシャルアーツ」となっている。
    • 中ボス:王椋雷
  • キング
    • ジャガーのマスクを被った覆面プロレスラー。ゲーム中の音声は全て獣の鳴き声で人語は発しない。孤児院経営者で、ファイトマネーでは経営できないことから資金調達を求めて参加。彼自身も孤児で、若い頃は非行に走っていたが、慈善家に救われて改心、人との温かい心を知ったという過去を持つ。
    • 格闘スタイルは言うまでもなく「プロレスリング」で、多彩な投げ技を持つ本作の投げキャラ枠。なおメキシコ国籍だが、ルチャリブレの技は使わない。
    • 中ボス:アーマーキング
  • ニーナ・ウィリアムズ
    • 平八の暗殺を目的に出場する、冷酷な女性アサシン。ポール同様彼女も全作品皆勤で、単独主演のアクションゲームも作られているなど、シリーズを代表する女性キャラとして扱われている美女。
    • 格闘スタイルは「骨法・合気道をベースとした暗殺格闘術」。関節技が多く、キングと対をなす投げキャラ枠。
    • 中ボス:アンナ・ウィリアムズ
  • ジャック
    • 一八のクーデター計画を阻止するべく送り込まれた、モヒカン頭がトレードマークのロシア製戦闘用アンドロイド。『鉄拳』シリーズを代表する色物枠その1。
    • 格闘スタイルは「力任せ」。メカ(機械)の特性を活かして既存の格闘技からかけ離れた技も使い、見た目通りのパワフルな戦いを見せるが、ややもすればコミカルに感じられるものも。モーションは本作のコンパチキャラの多くのベースになっている。メカであることを反映して各技や動作のSEも重い機械音や金属音になっている。
    • 中ボス:プロトタイプジャック
  • 吉光(よしみつ)
    • 義賊集団「卍党」の頭で、財閥の金を貧しい人に分け与えるため参加する般若の面を被った忍者。『鉄拳』シリーズを代表する色物枠その2。作品が進むごとに見た目が大きく変わり、現在では人間なのかすら怪しい。
    • 格闘スタイルは「卍忍術」。奇っ怪な動きに加えて格闘大会なのに手に持った刀による斬撃を使うなど、性能面もあからさまな色物キャラ。その刀を使った、威力が低い代わりに発生が早いガード不能技(斬哭剣)をこの時点で持っていた。
    • 中ボス:厳竜
  • ミシェール・チャン
    • 中国人とネイティブアメリカンのハーフの女性。居住区の財宝の収奪を目論む平八にスパイとして送り込まれた男を父に持ち、反旗を翻したために三島財閥に殺害された父の仇討ちのために大会に参加した。
    • 格闘スタイルは「心意六合拳・八極拳を基本とした各種中国拳法」。
    • 中ボス:州光
+ 中ボスキャラ(CPU専用、家庭用で使用可能)
  • 李超狼(リー・チャオラン)
    • 一八のライバルとして平八に養子として迎え入れられた一八の義理の弟。曲者ぞろいの中では珍しい銀髪の美形キャラ。一八同様、三島家を手に入れるべく出場。
    • 格闘スタイルは「三島流喧嘩空手+マーシャルアーツ」だが、平八に教わった技は左踵落としだけという設定のため、技の構成は一八とは全く違い*6、モーションはロウのコンパチ。
  • クマ
    • その名の通り動物のクマそのもの*7で、平八のペットであり親友。『鉄拳』シリーズを代表する色物枠その3。大会の余興としてポールとぶつけられる。
    • 格闘スタイルは「平八流熊真拳」という、平八が独自に編み出したクマ専用格闘術。ゲームのモーション的にはジャックのコンパチ。
    • 正史においては本作でポールに敗れ、それをきっかけに彼をライバル視し、後の作品でも(クマ側は親子に渡っての)両者の因縁が描かれることになる。
  • 王椋雷(ワン・ジンレイ)
    • ロウ使用時の中ボス。中国拳法の達人である老人。平八の父・仁八の親友で、平八の野望を阻止しようとした彼の意志を受け継いで大会に参加。同時にロウに平八を倒しうる実力があるかを確かめようとする。
    • 格闘スタイルは「心意六合拳」。モーションはミシェールのコンパチ。彼独自の投げ技「残月」も語る上で忘れてはならない技(主にカッコいい技動作、即死コンボの始動技になっている性能である点が)。
  • アーマーキング
    • 黒いジャガーの仮面を被り両肩にトゲの付いたアーマーを着込んだヒールレスラー。キングと同門のレスラーだったが練習中に左目を負傷したことで裏社会へ落ち、キングへの復讐のため大会に参加する。
    • 格闘スタイルはキングと同じく「プロレスリング」で、キングのコンパチ。しかしオリジナル技も追加されており、キングとの差別化が図られている。
  • アンナ・ウィリアムズ
    • チャイナドレスが特徴的な、ニーナの妹のアサシン。暗殺術の師匠である父の愛情が姉にばかり向けられたことから、父とニーナ双方に憎悪を抱いており、ニーナを抹殺するべく立ちはだかる。
      • 以降のシリーズではこのウィリアムズ姉妹の戦争(喧嘩)も作品の裏側を彩るサイドストーリーとして定着するようになる。
    • 格闘スタイルは「骨法・合気道をベースとした暗殺格闘術」で、師を同じくするニーナのコンパチ。本作時点ではまだ差別化も薄かった。
  • プロトタイプ・ジャック
    • その名の通りのジャックのプロトタイプ(試作品)。本作ではドリルやクレーンなどメカむき出しな手足でまるで子供のおもちゃのような外観である。平八がジャックへの嫌がらせとして出場させた。
    • 格闘スタイルはジャックと同じく「力任せ」で、モーションはジャックのコンパチ。
  • 州光(くにみつ)
    • 元卍党員の忍者だが、義賊であるにもかかわらず私利私欲のため盗みを働いたことで党を追われた。ミシェールの居住区の財宝を狙って大会に参加。本作では性別不明だが、次回作以降は女性として扱われるようになった。
    • 格闘スタイルは「卍忍術」で、モーションは吉光のコンパチ。
  • 巌竜(がんりゅう)
    • 額に傷を持つ力士。力士としての実力は高かった一方で派手なパフォーマンスなどの素行の悪さが原因で角界を追われ裏社会に堕ちた身で、吉光の使う奇怪な技に興味を持ち参戦。
    • 本作の時点では技や動作こそイロモノに見えるものを有していたものの前述の通り設定は至ってシンプルな悪役サイドだったが、以降の作品では本大会で偶然見かけたミシェールに一目ぼれし、彼女への恋心のあまりに暴走するというイロモノ的なキャラ設定となった。
    • 格闘スタイルは見た目通り「相撲」。ゲーム上はジャックのコンパチながら「歌舞伎張り手」などの力士らしい固有技を有していた。本作のキャラで唯一10連コンボを持っていない。
    • ちなみに巌竜だけ固有技が多いのは、途中までプレイアブルキャラクター枠で作られていたため。ウケ狙いで忍者を出すことになったことから枠から外れて中ボスに回された。
+ 最終ボスおよび隠しキャラ

最終ボス(CPU専用、家庭用で使用可能)

  • 三島 平八(みしま へいはち)
    • 軍需産業を軸に世界のあらゆる分野に手を伸ばす「三島財閥」の総帥で、本大会の主催者。同時に代々伝わる「三島流喧嘩空手」の使い手で「鉄拳王」の異名をとる最強の格闘王。一八の父であり、武術の師匠。
    • 「自らが全世界を支配統治することで世界を平和にする」という歪んだ平和主義を抱いている。その過程で非道な行いも数多く、一八やミシェールを始め多くの人々から恨みを買っている諸悪の根源。
    • 格闘スタイルは一八同様「三島流喧嘩空手」であるが、一八の師匠という設定を反映してか一部の技性能は一八より強く作られている。

隠しキャラ

  • デビル一八
    • 家庭用で平八を使用した際のラスボス。一八の中に眠る忌まわしい力が目覚めたもの。後の作品の「デビル」とは大きく容姿が異なるが、紫の肌に長く伸びた髪の毛などの特徴はこの時点から確立していた。
    • アーケードでも条件を満たせばプレイヤーとして使用可能であるが、低確率でランダム性も強く、バグと誤認したプレイヤーが多かった。家庭用では前述通り平八使用時のラスボスだが、条件を満たせば使用可能(後述)。
    • ゲームキャラとしては一八と同じ*8であり、モーションその他も一八と同様だが、キャラクターモデルの都合からか若干一八よりリーチが長めになっている。

現在のシリーズとの相違点

今でも通じる部分もあるが、現在の感覚ではまともな対戦は出来ない。
主な違いとしては以下のものがあるが、もっと詳しく知りたいのであればこちらのサイト(リンク切れによるネット魚拓)が参考になるだろう。

  • ダウンからの起き上がり行動
    • これが最も驚く部分だろう。今のシリーズと違って、ダウンした状態から立ち上がれるようになるまでの時間が非常に長い。何よりも「ボタン連打&レバガチャで早く起き上がれる」ことを知らないと大変である。
    • 起き上がりの行動は「その場立ち」「前転/後転起き上がり」「起き上がりキック」の3種類*9で、横転起き上がりは無い。
  • コンボ関連
    • まず真っ先に挙げられるのが「空中コンボにおけるダメージ減衰(補正)が一切無い」こと。設定されたダメージを100%与えるので、空中コンボの威力が甚大である。
      • カウンターヒット限定で繋がるといった概念もほとんど無く、一度当たったら最後までフルヒットも珍しくない。全体的に高火力である。
    • 右アッパーのリーチが異様に短い。右アッパーはジャブ以下のリーチのため、相手が突進でもしない限りはまず当たらない。現在で言うところの「吉光ブレード」や「紅返し」くらい短い。
      • 他の浮かせ技として代表的なライジングトゥーキックも入力に慣れが必要で、大ジャンプキックの暴発が多い。
      • コンボよりも、いかに地上戦を制するかの方が重要である。現在の感覚からすると信じられないだろうが、これが初代『鉄拳』である。
    • コンボ中のベクトルも少々独特で、一部の技を除いて「真上に浮き直す」のが基本である。
      • 例えばポールや平八が使う上から下へ腕を振り下ろす「瓦割り」という技があるが、これを当てても相手は垂直に浮き上がる
    • 投げ抜けが無いというのも覚えておきたい。投げキャラであるキングなどが恐ろしいことになると思われがちだが、実際には投げ以外の技が大したことないため、総合的にはそれほど怖くない。
      • 後のシリーズでは不可能になったが、ジャブをカウンターヒットさせて大きなフレーム有利をとってから最速でコマンド投げを出すと、相手は喰らい硬直中でしゃがめずに確定で投げが入り、連続ヒットで地上コンボとして成立させることが出来る…というキャラが一部いる。
  • 各種ステータス技の概念
    • 今のシリーズでは当たり前のように存在する「しゃがみステータス」「ジャンプステータス」といった概念も今とは全然違う。
      • 例えばジャブ(上段攻撃)対しゃがみキック(下段攻撃、ジャブより遅い)で同時に出し合ったとする。現在の感覚では「しゃがみステータスで上段攻撃が無効化するので、しゃがみキックが勝つ」が当たり前だが……
      • この当時のしゃがみステータスは攻撃を出している間は適用されない仕様。つまりは上述のしゃがんでる相手になぜかジャブが当たる、単純な速度勝負になる。

評価点

  • 2Dと3Dの魅力を併せ持つ操作性
    • グラフィックこそ3Dではあるものの、投げ技等で視点が変わるのを除けば2D格闘ゲームと何ら変わらないゲームデザインである。これにより他作品に慣れたプレイヤーもすんなり移行することができ、それが人口拡大へとつながった。
      • 特にガードをレバーで行えるのが大きい。『バーチャ』は専用ボタンでガードを行うのだが、2D格闘ゲームが常識だった当時において、それに慣れないプレイヤーが多かったためである。
    • それでいて3Dだからこそできる、滑らかなステップやしゃがんだり立ち上がる最中といった中間の動作を利用したコマンド技、四肢の使い分けを取り入れるなど、双方の長所を上手く融合した作風となった。
  • 無限フィールドの採用
    • 本シリーズでは2D格闘特有の左右端の壁やバーチャファイターに存在したリングの概念がないステージが採用されている。
    • このため、端に追い詰められてはめられたり、リングアウトして自滅してしまうという理不尽な敗北要因がなくなっている。(起き攻めの理不尽さはまだ残るが)この点もとっつきやすさのひとつとなっている。
      • 互いの距離が離れると視点が引いて、どんどん遠景になる。あまりに離れすぎると見えない壁でそれ以上離れられなくなるが、この状態で当たる攻撃は存在しないので問題にはならない。この状態を経由することでのみ出せる技も存在する。
  • グラフィック
    • 手が大きい独特のモデリングだが、滑らかなポリゴンモデルでキャラクター造形は上手くできており、当時の3Dアクションゲームとしてはレベルが高い。
    • 攻撃がヒットした/ガードされた時には2D格闘ゲームのようなヒットスパークエフェクトが出るので、見た目は結構派手。大ダメージを与えるとキャラ固有のヒットスパークが出るという細かい作りもあり、この点もバーチャとは対照的といえる。
    • 当時の格闘ゲームの同キャラ戦では、1Pと2Pの区別は服の色を変えるだけというのが主流だったが、本作は第1作にして既に「1Pと2Pで全く違う衣装になる」という要素を搭載している。
      • 服装の違いにも設定があり、1Pは試合用の道着(戦闘服)姿、2Pはそのキャラクターの私服(普段着)姿となっている。一例を挙げるとポールの2P衣装である黒いライダースーツ姿は家庭用のOP等でも登場しており、1P衣装の道着共々双方の衣装が公式のメインビジュアルとして扱われている。
  • ストーリー性やキャラクター性の高さ
    • 格闘ゲームでは、キャラクター設定やストーリー性はゲームに彩りを添える程度のものであることが多いが、本作では各キャラクター毎のプロフィールやストーリー背景はもちろん、キャラクター同士の因縁に至るまでしっかりと作りこまれている。
      • 各キャラクター毎にライバルキャラが設定されているのも特徴で、各キャラに対応したライバルキャラが中ボスとして立ちはだかる。
    • 主人公である「三島一八(ミシマ カズヤ)」は、格ゲーに限らず主人公としては設定・バックストーリーともに極めて異色。
      • 財閥の御曹司ながら冷酷な性格で「冷血御曹司」の通り名で呼ばれ、目的のためには手段を択ばず、実の父親である平八を親とも思っていない。
      • 本作における目的も父・平八を蹴落として財閥党首の座を奪い取り、世界規模のクーデターを起こして世界征服するというもので、設定だけ見れば完全な悪人。こうしたダークヒーロー的な造形の主人公もなかなかに珍しかった。
      • 『2』では今作のストーリー上で敗北した平八が主人公、一八がボスに君臨することとなり、「多少のツッコミどころも交えた苛烈な親子喧嘩を主軸とした、身内同士の骨肉の争い」「悪人が主人公、ラスボスも悪人」という色々と「濃い」ストーリー・キャラクター設定がシリーズの持ち味として根付いていくようになる。
    • AC版ではストーリーデモやエンディングが存在しないため、ストーリー・キャラクター性をもう一つ押し出せずにいた*10が、家庭用では後述するように初期プレイアブルキャラにプリレンダCGムービーのEDが作られ、この部分がより強く押し出された。
    • キャラクターごとに設定を踏まえた異なる格闘スタイルを有しており、それぞれがまったく違った感覚で扱える。コンパチも(特にジャックのものは)多かったが、差別化を図るため固有技を変更するなどの工夫が見られる。
      • 一八および平八の「三島流喧嘩空手」は本作オリジナルの架空の格闘スタイルながら、風神拳をはじめとする独特の癖を持った操作感が本作の特徴として根付き、このスタイルの分類も本作の「顔」として定着していくようになる。

賛否両論点

  • 全体的に漂うパチもの臭さ
    • パロディ色の強いキャラクターが多く、B級ゲームっぽさを漂わせている。そして先ほど評価点で上げた通り、兎にも角にも濃い
      + 主なパロディ元のあれこれなど
    • 一八のグローブは、手の甲に三角形に鋲が打ち付けられているというもので彼のトレードマークとして定着するが、当時から漫画『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』の星の白金(スタープラチナ)のグローブそのままのデザインだと指摘されていた。公式にモデルにしたかは不明だが、デビル化すると全体のカラーリング・デザインまでさらに似通う。
    • ポールは髪型が同じく『スターダストクルセイダース』のジャン・ピエール・ポルナレフそのままで、初期の企画書でのラフスケッチにまでそう書かれていた*11
    • ジャックは『バイオレンスジャック』からインスパイアされた力任せキャラで当初はアメリカ軍人のつもりでデザインしたが、出来上がるとロボットにしか見えなかったためロボットにされた。
    • 吉光は最初は普通の忍者の格好をしていたが、インパクトがなかったため鎧を着せたり般若の面を付けたり刀を持たせたりしてあのデザインになった。
      • 今でこそシリーズを代表する皆勤キャラの1人でありイロモノ枠の代表格である彼だが、実は開発末期になって「海外市場を狙って、和風の要素を取り入れつつも奇抜な忍者を出したい」という内部からの要望により急遽作られたという経緯を持つ*12
    • マーシャル・ロウはデザイン・技共にブルース・リーのパロディ*13
    • キングは孤児院経営者の覆面レスラーというバックストーリーまで『タイガーマスク』そのまんまである。ちなみに初期バージョンは虎と言うよりも豹に近い覆面だった。出身地や非行に走っていた過去等の一部プロフィールは、実在する孤児院経営者のルチャドールであるフライ・トルメンタが元ネタと思われる。
    • クマはウィリー・ウィリアムスの「熊殺し」を実現させようということでポールの中ボスとして登場させた。
    • 巌竜の「有望な力士だったが、土俵上で火を吹くなどの奇行を繰り返したために協会から横綱昇進の道を断たれた」は漫画『ああ播磨灘』が元ネタ。
    • 平八は『魁!!男塾』の江田島平八のパロディで名前の由来でもある。
    • 格闘ゲームの界隈で他メディアの作品のパロディキャラや技のパロディが作られることは決して珍しい話ではなく、それを素直に笑い飛ばして楽しめるユーザーも多かったが、「バーチャの2匹目のドジョウ狙い」と激しく嫌う層から本作に対するバッシングの理由の1つにもされていた。
      • キャラクターがこうした作風となったのは、各キャラクター毎の「記号」として特徴が際だつようにデザインされたためである。
        • パロディ色が多いこと自体は賛否点としては当然と言えるが、キャラクターの特徴をわかりやすくするという意図そのものは格ゲーのキャラデザインの観点から見れば正しいと言える。

問題点

  • ゲームバランスの悪さ
    • 対戦ツールとしてどうかとなると、そもそも当時のナムコは3Dはおろか2D格闘ゲームのノウハウすらまともに持っていなかった*14ため、バランスは豪快に壊れている。
      • 強いキャラはとことん強く、弱いキャラだと冗談抜きで手も足も出ないこともあった。リードを奪ってからの逃げ回りに対抗できないなど、内容に関してはまだまだ改良の余地が多い。
      • あまりにもバランスが崩れていたのがマズいと思ったためか、本作のリリースからわずか8ヶ月で『鉄拳2』をリリースした。
  • CPU戦の高めな難易度調整
    • 超反応を始め格闘ゲームのCPU戦の高難易度化が目立つようになった時期の作品らしく、ステージ1から相手がきっちりガードした上で反撃もしてくる。独特の操作性に慣れない初心者はステージ1でゲームオーバーになってしまう確率が結構高い。
    • 次回作以降は少しずつ緩和され、(家庭用のみだが)ストーリーを楽しみたい層にも易しい設計となっていく*15

総評

現在の『鉄拳』シリーズとは全く別物ではあるものの、格闘ゲームの根本である「読み合い」の基礎は十分形になっている*16。アーケード史及び格闘ゲーム史における貢献度は非常に高い。
フレーム計算や軸移動などといった、悪い言い方をすれば小手先のテクが通じにくい、原始的な読み合いの勝負がここには詰まっている。


移植

PS版

アーケード版稼働・PS発売から僅か3か月ほどでスピード移植された。PS用の3D格闘としては既に『闘神伝』が発売されていたが、フルフレーム(60fps)の3D格闘は本作が初となった。
アーケード層では『バーチャ』のパチモノ扱いで終わったが、これによりコンシューマー層での大きな支持を得ることに成功し、以降の基盤となっていく。
家で練習してゲームセンターでデビューするという流れが活発化し始めたのもこの時代からである。
ちなみに、ナムコのCS機用ソフトのブランドである「namcot」が使われた最後の作品でもある*17

  • 家庭用ならではの要素・変更点
    • CPU専用だった中ボス・平八が使用可能になった。
      • アーケードでは使用不能なので確認のしようがないが、実は新技が追加されてパワーアップしている。
      • 中ボスでプレイした際は対応したスタンダードキャラが中ボスとして登場するようになっている。平八でプレイした際は全ステージが中ボスになり、ラスボスとしてデビルカズヤが登場する。
    • CGムービーとして作られた家庭用オリジナルのオープニングと各キャラ固有のエンディングが追加されており、これが当時はなかなか美麗で注目された。以降のシリーズでも家庭用オリジナルムービーの追加が定番となった。
      • アーケードでは存在しないのもシリーズ共通で、これらを見たいがために家庭用を買うというユーザーも多い。内容はシリアスなものから爆笑ものまで様々である。
      • 1でエンディングムービーが収録されているのはスタンダードキャラのみで、全キャラのエンディングムービーが収録されるようになったのは2以降。
    • BGMはアーケード版のものに加え、アレンジ版も収録されている。CD-DA規格なのでCDプレイヤーに入れればそのまま再生する事もできた。
      • ただし、SE・ボイス・アーケード版BGMは何故かオリジナルから音程が少し変わっている*18
    • ゲーム起動時には、ナムコの往年の名作『ギャラガ』を楽しむことができる*19。このミニゲームは主要なデータを先読みするための時間稼ぎとして使われており、ロード終了後のレスポンスは軽快である。
      • これをコンティニュー1回以内でクリアすると隠しキャラのデビル一八が使えるようになる。
      • ロード自体は途中で完了するので、そのままミニゲームを続けることも、スタートボタンを押してスキップすることもできる。
    • 収録されているモードはアーケードモードと体力のハンディキャップが付けられる対戦専用モードのみで、2以降に比べると少々物足りなさは感じる。尤もまだ一作目で開始期だったが故に仕方ないが。

その他の移植

  • 2005年発売のPS2版『鉄拳5』にて、『2』や『3』と共にアーケード版そのままが収録された。
  • 同じく2005年にPS2で発売されたコレクションソフト『ナムコレクション』に、5作品の1つとしてこちらはPS版を移植したものが収録されている。
    • 他のタイトル同様に内容はPS版のほぼベタ移植で、ごく一部のバグが修正されている。
    • ゲーム開始時にタイトル選択が必要なため起動にやや手間が掛かるが、ゲーム開始後はPS2のためロード時間は短く快適。
    • オマケとしてイラストや設定資料が閲覧できるギャラリーが収録されている(収録枚数はあまり多くない)。本作は全キャラクター技表も収録。
    • リッジレーサー』『エースコンバット2』『風のクロノア door to phantomile』『ミスタードリラー』も同時収録されているためお得感はある。
    • 上記の『鉄拳5』と合わせると、PS2上でAC版とPS版の完全移植がどちらも楽しめるという状況であった。

余談

  • 登場キャラのひとり「三島平八」は、漫画『魁!!男塾』の江田島平八がモデルになっている。誤植の多さで有名な『ゲーメスト』では本当に「江田島平八」と書かれてしまったことがある。
    • 「三島」の名字は「三島由紀夫」が由来。一八の「権力を手に入れクーデターを起こす(内容は未定)」という設定もここから来ている。
  • 現在では漫画で有名になったお笑い芸人の「鉄拳(本名:倉科岳文)」の名は本作から採られている。
  • 本作はナムコのPS互換アーケード基板「SYSTEM11」のデビュー作でもある。基板の名の由来は「SYSTEM22の半分程度の性能*20」というところから名付けられた。
    • 互換基板というだけあり、スペックはPS1とほぼ同じである。大きな違いはビデオメモリの容量がPS(1MB)より多く2MBあること、サウンドチップがナムコオリジナル*21であり、PSチップが載ったソニー基板とカスタムチップが載ったナムコ基板の二層構造になっている。
      • PS版はビデオメモリが少ない煽りでアーケード版で二重スクロールだった背景が一枚絵になったり、地面のテクスチャが荒くなったりしている。
    • 当時のナムコは3Dゲームを筆頭に大型・専用筐体の作品で大きな注目を集めていたが、一方で汎用筐体向けの作品は明らかに勢いが衰え始めていた*22。概要の通り、本作の開発にあたっても「SYSTEM22で作ったんじゃ『バーチャ2』と同じ価格になるから絶対に売れない。どうしよう」と困り果てていた。
      • そもそも製作が決まった経緯も「セガのバーチャファイターがこれだけ話題になったんだから、ナムコも何か出さないわけにはいかないよね」とバーチャと格ゲーブームに触発されたことが理由で、バーチャファイターの胸を借りるつもりではいても、真っ向勝負するつもりは毛頭なかったという。
    • そんな中、ナムコはプレイステーションに使われる予定のソニー製チップの情報を目にする。同社へコンタクトを取った末、技術協力と引き換えにアーケードゲームでそのチップを利用するという業務提携の話を取り付けた。
      • ナムコにとっては持ち前の3Dポリゴン技術をローコストで使えるようになり、ソニーにとっては『リッジレーサー』と並んでプレイステーションのソフトラインナップを充実させられる上に、自社製チップを業務用へ普及するきっかけにもなると、両者の利害が一致する形であった。
      • ちなみに、ソニーからは『鉄拳』をPSのローンチタイトルの1つにしたい旨を要望されたが発売時期の都合上無理だった*23
    • こうしてソニーと共同で開発された「SYSTEM11」は、鉄拳のために作られた基板と言っても過言ではない。そのような関係もありスピード&完成度の高い移植が実現、以降もナムコは積極的にPS用ソフトの開発に注力していくこととなった*24
  • 当時、同時期に発売された『バーチャファイター2』の10分の1のコストで導入出来たために*25、特にメーカー直営店の2番手以降に多く導入された。
    • この導入で明らかに不満の声を上げていたのが立地上1番店にはなるのが難しい大学近くのゲーセンで、またそういう店舗がゲーメストやベーマガのハイスコア申請店というジレンマが大きかった*26
    • 逆に1番店は『バーチャファイター2』を複数台導入していたが『鉄拳』を入れてくれないという声もあった*27。このバーチャファイターと鉄拳の関係が短期間で差が縮まり逆転するとは当時微塵も思われなかった。
  • タイトル名はSYSTEM22で製作されたプロトタイプまでは『神威』だったが、製品化の際に商標が取れなかったため同じ漢字2文字でインパクトのある名前ということでブルース・リーの映画『ドラゴン怒りの鉄拳』から拝借して『鉄拳』になった。また海外のゲーム雑誌では『RAVE WAR』というタイトル名で紹介されていた時期があった。詳しくはこの動画を参照。
  • キャラの濃さはシリーズ随一で、かつて本シリーズプロデューサーである原田勝弘氏がロケーションに配属されていた際、キャラクターセレクト画面を見ていた女子高生に「選びたいキャラが無い」と言われたという逸話が残っている。
  • 設定で連勝数表示をフルーツにすると25連勝目でスペシャルフラッグが表示されて、次の対戦のみ規定ラウンド数が1ラウンド追加される。
  • 京都ステージの背景は平等院鳳凰堂、スタジアムステージの背景は千葉マリンスタジアムである。スタジアムステージのステージ名はAC版は「Marine Stadium」と表示されていたが、PS版は大人の事情か「Stadium」に変更された。
  • 第32回AMショー(1994年9月21日~23日)での参考出展が初お披露目となった。この時に展示されたバージョンは製品版と比べて以下の違いがあった*28
    • 使用できるキャラクターは一八、ポール*29、ドラゴン*30、ニーナ、ジャック、キングの6名。キャラ選択画面の枠は8人分あったが両脇の2名が「?」になっていて選べないようになっていた。
      • 固有技も風神拳や崩拳などの特徴的な技以外は殆ど実装されていなかった。
      • 残りの2名はミシェールとワンがイメージボードで顔写真だけ展示されていた。
    • コスチュームが1Pカラーしか入っておらず同キャラ対戦だと同じコスチュームになる。
    • ラウンド開始時のラウンド数が「ROUND x」ではなく「FIGHT x」と表示される。また「READY?」の後に「GO!!」と表示されて対戦が始まる。
    • 体力ゲージの下の名前表示が無い。
    • K.O.されたキャラが吹っ飛ばされずに、タイムアップ時の判定負けの様にその場でひっくり返る。その後リプレイ無しで勝者が勝ちポーズを取る。
    • キャラ選択画面の対戦相手「?」の名前欄が「WILD CARD」ではなく「QUESTION」になっている。
  • King George IslandステージのBGMは、海外では映画『The Wiz』の"Emerald City Sequence"という楽曲に酷似しているとの意見がある。
    • このBGM自体は『鉄拳2』のPS版でアンナステージ(タージマハル)に流用された他、『鉄拳タッグトーナメント2』でも他のBGM共々ダウンロードコンテンツとして配信されたりしており、特に問題にはなっていない模様。
  • ChicagoステージのBGMはPS版『鉄拳2』ではリーステージ(ロケット発射場)にそのまま流用されたが、上記『TT2』のDLCではイントロの"One-Two-Three-Four!"のアナウンスが入る部分がカットされている(AC仕様・PSアレンジ仕様共通)。
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  • 3D格闘
  • 初代

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最終更新:2024年03月30日 20:07

*1 PS2ソフト『ナムコレクション』にもPS版が収録されている。

*2 主に『リッジレーサー』などの大型筐体に使われていた。

*3 実際にはこの点でもセガと同等であった。

*4 その分、見た目は明らかにバーチャと区別がつくように大きく異なるテイストとなっていた。

*5 いわゆる昇龍拳+右パンチコマンドに似ているが、右方向に入れた後一旦ニュートラルに戻さないと成立しない。

*6 このため、プレイヤーからは前述の「三島家」として扱われていない。

*7 なお、英語表記もシリーズ一貫して「KUMA」で、日本語以外で会話するキャラも全員「クマ」と呼称している。

*8 ゲーム中では「デビル」がつかない「一八」である。

*9 正確にはスプリングキックやクロスチョップで攻撃するものがあるのだがキャラクター限定だったりする。

*10 当時の格闘ゲームでは珍しいことでもなく、『バーチャファイター』や『DEAD OR ALIVE』なども、当時のアーケード版ではストーリデモがほとんど存在しなかった。

*11 なおこの髪型は『ストリートファイター』のガイルや『THE KING OF FIGHTERS』の二階堂紅丸など格ゲーキャラ造形の鉄板ネタと化していたが、ポールの場合は顔立ちまでポルナレフそっくりである(次回作以降は髪型以外少しずつかけ離れていった)。

*12 初期のAMショーでは吉光の代役として王(ワン)がイメージボードで紹介されていた。

*13 しかも開発途中の頃は「ロウ・ザ・ドラゴン(AC版サントラのアレンジトラックにキャラクターコールの没ボイスが収録されている)」とあからさまな名前だった。

*14 2D格闘ゲーム『バーニングライバル』を爆死させたセガ同様、ナムコもまた2D格闘ゲーム『ナックルヘッズ』を爆死させている。

*15 その後はむしろ格ゲーのCPU戦の中では強すぎず弱すぎずの絶妙な難易度調整が(一部例外もあれど)シリーズの特徴として定着していった。

*16 この部分で既に破綻していた『ナックルヘッズ』とは大違いであった。

*17 以後は社名と同じ「namco」に統一された。

*18 サウンドトラックや『鉄拳2』での流用など、以降も本作のAC版BGMに関しては家庭用準拠のものが使用されている。

*19 先の『リッジレーサー』でも起動時に『ギャラクシアン』を遊べた要素と同じ方式。この技術はナムコから特許申請されていた。

*20 PSのロンチタイトルである『リッジレーサー』は「縦横の解像度半減」「色深度のビット数半減」「フレーム数半減」と、本当にSYSTEM22の半分のスペックで製作された。

*21 SYSTEM22に搭載されているものと同一のナムコ製カスタムチップ。ただしサウンドプロセッサの性能が異なるためSYSTEM22と同じパフォーマンスは出ない。

*22 尤も、当時の汎用筐体という分野において、格ゲーが一強といえるほど、他ジャンルが追随できないほど市場を掌握していた背景と、その中でナムコは中々格ゲーをリリースに漕ぎ着けることができなかった諸事情もあったが。事実、鉄拳の昨年に稼働開始したイルカなど可愛いキャラが特徴的なパズルの『エメラルディア』や、同年に稼働開始した、ナムコ40周年記念作でもあった『ティンクルピット』など、完成度は高かったものの出た時期が悪かったせいで埋もれてしまった作品も幾つか存在した。

*23 PS本体の発売日は12月3日、鉄拳の稼働開始も12月である。

*24 一方、後にSCEもこのノウハウを活かしたAC向けPS互換基板である「ZN-1」を開発している。

*25 VF2はドル箱商品だったので、色々と抱き合わせにしないと売ってもらえなかった。

*26 特に四国をはじめ、西日本や北日本などの「1番店と大学近くの2番店が何キロも離れている所が顕著。

*27 後に「バーチャ3を入れるから鉄拳TTはいらないでしょ?」的な状態。

*28 「DEMO DEMO プレイステーション 第2号」に収録されている動画はこのバージョンである。

*29 綴りがPAULではなくPOLEだった。

*30 この頃は「ロウ・ザ・ドラゴン」という名前だった。