このページではACゲーム『THE KING OF FIGHTERS XIII』と、家庭用移植のPS3/360版は「判定なし」と、
家庭用のAC逆移植『THE KING OF FIGHTERS XIII CLIMAX』とそのPC版『THE KING OF FIGHTERS XIII STEAM EDITION』を「 良作 」に分類して紹介する。



THE KING OF FIGHTERS XIII

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず さーてぃーん】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(Taito Type X2)
販売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 SNKプレイモア
稼動開始日 2010年7月
判定 なし
ポイント よくも悪くもいつも通りのKOF
前作はほぼ無かった事に
バグだらけのアーケード版
家庭用で汚名返上の秀逸な作り込み
KOFシリーズ関連作品リンク

ストーリー

紫苑の投じた槍に貫かれて禍忌はその命を落とし、次元の裂け目に紫苑は消えた。
だが、ハイデルン率いる調査部隊の活躍をあざ笑うかのように残る眷属たちが姿を現す。
彼らの語る「遙けし彼の地」とは?オロチの力を執拗に求めるのは何故なのか?

一方、八神庵を倒したアッシュ・クリムゾンは、エリザベートの制止を振り切り、
神楽に続いて八神庵の「力」を手に入れる。
八咫が敗れ、八尺瓊が堕ちた。三神器にただひとつ残された草薙の剣。
しかし活性化したオロチの力に支配された八神により、草薙京もまた深手を負い、倒れていた。

時が巡った。
相次ぐアクシデントに見舞われ、開催が危惧されるKOF。
ところが、何者かの強引な推進により、逆にKOFは史上空前の規模で執り行われることになった。
世界各地を舞台とし、空前の規模で開催される異種格闘技大会。
かつて無い絢爛たる彩りに加熱する報道。

そして、実力者たちに招待状が届く。その差出人の名は……[R]

概要

『KOF』シリーズ第13作にしてアッシュ編最終章。前作『XII』の1年後の夏に稼働を開始。

登場キャラクター

+ キャラ一覧

新キャラには * マークを、再登場キャラには * をつけている。

エディット専用 アッシュ・クリムゾン
エリザベートチーム エリザベート・ブラントルシュ シェン・ウー デュオロン
日本チーム 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎
餓狼チーム テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー東
サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎
怒チーム レオナ・ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル
女性格闘家チーム 不知火舞 * ユリ・サカザキ * キング *
八神チーム 八神庵 マチュア バイス *
龍虎チーム リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア タクマ・サカザキ *
キムチーム キム・カッファン ホア・ジャイ * ライデン
K'チーム K' * マキシマ * クーラ・ダイアモンド *
  • 前作(含家庭用)で登場したキャラは全員続投。ちなみに本編で前作から続投した例はシリーズでは本作『XⅢ』が初*1。そして従来のKOFと同じくチーム設定が復活した。
    • '94』からの古参である女性格闘家チームや『'99』からの人気キャラであるK'チーム、チーム人員の穴埋めとしてタクマ・サカザキやバイスなど、シリーズの人気・常連キャラが追加された。
    • これらの新キャラも、前作からのキャラと同じ手法でドットグラフィック、アニメーションが作られている。
      • 基本的に画風や続投キャラのコスチュームは前作を継承しているが(コスに関してはアテナは例外)、前作で批判のあったデフォルメの強いキャラクターデザインについては、前作に比べると抑えめになっており、基本的には過去作からイメージはあまり変わっていない。 ただし、極端なデフォルメが完全になくなったわけではなく、デコが広くなり今までよりも更に胸を強調する構えとなった上に何より背中の布面積が.....一気に減ってガラ空きの素肌となった舞や、腕が異様に細いキング(服装は『龍虎の拳』風のデザインに回帰)、構えが大幅に変更されやたらと太くなったタクマなどは特に賛否が分かれる。
      • また、ユリがショートヘアになったり、バイスの服装がマチュアに合わせてかスーツになったり、K'が本編の戦闘中もサングラスをかけたままという変更もある。
  • 唯一の新キャラとして『餓狼伝説』からホア・ジャイがまさかの登場。CPU専用中ボスとして初代餓狼で初登場した後も、本家の餓狼伝説シリーズや『KOF』において、デモやジョーのストーリーで度々登場はしていたものの、家庭用移植版を除けばプレイアブルキャラとして登場したのは本作が初となる。
    • 過去作ではストーリー上でジョーのセコンドとして描写されていたために、ユーザーからは戸惑いの声が多かった。しかもジョーよりキャラランクが上。本作では元・ギースの配下同士のライデンと共にキムに更生させられるためにチームを組んでいる。
  • 他、アッシュについては現行ストーリーの主人公ながら異例のエディット専用キャラとして参戦している*2
  • キャラを選択した後、10色の中からキャラカラーを選べる。
    • シルエットが変わらない部位を同色の別パレットで書き込む事で、組み合わせによってはマスクで口元を覆っているように見えたり、タイツを履いているように見えたり、服の模様が替わったりと異なるコスチュームに見える手法を取り入れており、バリエーション豊かである。
      • 毎作毎のコスチュームチェンジが恒例だったアテナは前作同様セーラー服姿のままだが、黒セーラーから白セーラーになったことで辛うじて慣例を守っている。
    • 一部のキャラは特殊カラーとしてアナザーコスチュームが使用できる。例えばマスクを脱いで『餓狼伝説2』のビッグ・ベアになるライデン、ハイレグレオタードにニーソックス姿になるユリなど。
  • 他にも伝統だった演出も幾つか復活。今作は『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』のように対戦前後で文字による掛け合いメッセージが全組み合わせで用意されており、また最終ラウンドでのKO後はそのまま画面がホワイトアウトする演出を採用。

システム

  • 前作の新システムは全て廃止され、従来に近い形となっている。
    • 全体的な傾向として、パワーゲージやドライブゲージの充填率は総じて非常に早い。
    • 前作はキャラが異様にズームアップされ見づらい所もあったが改善されている。
  • EX必殺技、EX超必殺技
    • EX必殺技は1ゲージ使用して使える必殺技の強化版。この手の要素としては消費量が高い割に、威力だけは超必殺技に劣る。だが無敵時間追加や追撃可能など威力以外の技性能が非常に高い傾向にあり、追撃を含めれば超必殺技を凌ぐダメージを引き出せるものも多い。
    • EX超必殺技は2ゲージを使用して使える、従来のMAX超必殺技に近い超必殺技の強化版。主にコンボの〆として使われることがほとんどとなる。
  • ドライブゲージ
    • 本作ではパワーゲージに加えドライブゲージ(緑のゲージ)が追加。パワーゲージとほぼ同じ条件で増加するが、使用するのは以下の場合。
    • 「ドライブキャンセル」:ドライブゲージを50%消費することで、必殺技を必殺技でキャンセルする事が可能。使える機会が増えた『2002』のどこでもキャンセルのようなもの。
    • 「スーパーキャンセル」:すっかりシリーズおなじみである必殺技→超必殺技へのコンボ。今回は同じくドライブゲージ50%を追加消費することで可能。
    • 「ハイパードライブモード」:ドライブゲージが100%時に一度使用可能。発動すると徐々にゲージが減り始め、なくなるまでドライブキャンセル+スーパーキャンセルが「HDキャンセル」としてドライブゲージ消費量が大幅に低減される。
      • 通常技・特殊技をキャンセルしてこのモードを発動することも可能。特に追加消費はないどころか、キャンセル時のみ自動でダッシュし相手に近付くため、連続技の難易度軽減と自由度アップに貢献している。
      • これも『2002』のパワーMAXに近い。どこキャンする度に残り時間を消費するという点も同じ。
      • 効果時間中のみ、超必殺技→NEO MAX超必殺技へとつなぐ「MAXキャンセル」が使用可能。『XI』のドリームキャンセルと同様に、投げや当身系のNM超必を打撃属性に変化させる効果があり、全キャラ例外なくコンボに組み込める。
    • 「NEO MAX超必殺技」:パワーゲージ3本とドライブゲージ100%を消費して出せる最上位の超必殺技。単発・補正無しの状態で最大5割ほど持って行ける威力。
      • ハイパードライブモード中にNEO MAX必殺技を使うとハイパードライブが終了するため、なるべく時間の最後に使うべき。
      • 『2002UM』のMAX2や『XI』のリーダー超必殺技と同じ位置づけであり、演出は大味だが非常にド派手。
  • 「ターゲットアクションシステム」と「プラクティスモード」の追加。
    • 前者は一人プレイ/アーケードモード中に、画面中に表示される「ターゲットアクション」という簡単な指令をこなすとパワーゲージとドライブゲージが50~100%増加。
      • 条件はキツくないので、超必殺技やコンボなどがすぐに使えるようになる。技やゲージを使ったコンボを試しやすくなっている他、初心者救済措置としても大きな役目を果たしている。
    • 後者はコイン投入後のタイトル画面時に起動可能。性能おさらいやコンボ練習を気兼ねなくじっくりとできるようになった。

評価点

  • 『KOF』の原点回帰
    • 前作『XII』はチーム制のシステムが変化していた『'99』~『XI』(『2002』以外)以上に大きな仕様変更を行っており戸惑ったプレイヤーが多数いたが、今作は様々な方面で『2002』に回帰したものとなり、やり慣れているプレイヤーならすぐに馴染む事が出来る。
    • なお、本作はゲーム展開の速さや通常技の目押しこそ従来のままだが、コマンドの先行入力やボタン押しっぱなしによる操作の猶予が比較的長めに取られている部類である。この仕様とドライブキャンセルの存在から、コマンド技が絡むコンボは格段につなぎやすくなっている。
  • 前作から引き継いだ美麗なグラフィック
    • 前作よりの続投キャラはもちろんの事、新規キャラもしっかり作りこんである。
    • また、試合中のズームインアウトは基本的に一部状況を除いて発生しなくなり、前作で問題だった「見易さの調整不足」に関しても本作では概ね改善されている。
      • あえて挙げるとするなら、「拳崇やロバートなど一部キャラの超必殺技やNEOMAX超必殺技において、折角のキャラクターのモーションがエフェクトに邪魔されてほとんど見えなくなってしまっている」という点くらいである。
    • EDやボスの出現などといったイベントCGもさらに美麗なものに進化している。影や服のシワ、肉体の造形に至るまでとても綺麗に表現されている。
  • 演出の強化
    • 今作から超必殺技、NEO MAX超必殺技でのKOにいわゆる「あけぼのフィニッシュ」演出が追加。
    • 勝利ポーズや一部超必殺技などに限りズームインが入るなど、試合に直接関与しない部分においてはこれまでのKOFにはなかった演出も積極的に施されている。
    • その他特定の組み合わせのキャラ同士での試合では勝利セリフだけでなく、やられボイスや一部の必殺技のセリフも変化する。
  • キャラや技の復活
    • 明らかに技やキャラが少なかった前作から大量にボリュームが上がり、本作において「新たなドット絵」で「いつもの面子」「いつもの技」が出揃った。
    • K'やクーラ、不知火舞といった人気キャラの復活はファンを喜ばせた。
      • うち舞とK'は、『XII』の移植発表直後に『KOF』シリーズのオフィシャルサイトに『XII』キャラクターセレクト画面テイストで描かれたイラストが掲載されたにもかかわらず家庭用では追加されず、「あのタイミングであのイラストは何だったのか」と物議を醸した。
  • キング、ユリの脱衣KOの復活
    • '95』以来廃止されていた演出が復活。オールドファンへのアピールとして機能した。
  • BGMも好評なものが多い。
    • 特にK'チームの「KD-0063」や八神チームの「嵐のサキソフォン5」は聞く価値あり。

賛否両論点

  • コンボゲー化の加速
    • 上記したドライブゲージによる仕様はシリーズ中でも屈指のものであり、高火力の連続技を様々な状況から決める事が可能。
      各キャラクターの必殺技もドライブキャンセルを活かせる形に調整されており、立ち回りやゲージ数を度外視すれば殆どのキャラで即死コンボが出来る。
      • 格闘ゲームではともすれ悪いイメージのある即死コンボであるが、チーム戦が前提のKOFでは「パワーゲージ使用の高火力コンボを持つキャラを3人目に置き、2人目までにそのためのゲージを溜める」といった戦略性とそれに向けた調整が確立され、そして認められてきているため、一概にマイナスとはいえない(個人の好みは別として)。
        すなわち、この要素もまた開発が意図して世に出したものであり、何よりゲージという制約があり成立し得る永久機関の類も存在しないため、即死コンボが「できてしまう」類のかつての調整不足からは前進が見られる。
    • この一環として、ドライブゲージを使用するか否かで火力が倍程度には変わる。対戦で勝つためにはドライブキャンセルとそれを使ったコンボの習得は必須。
      • 特にタクマ・サカザキはその傾向が最も強い。通常の火力は並かそれ以下だが、ハイパードライブ使用コンボを極めれば、小技から超必殺抜きで即死コンボが決められる。
      • 投げキャラである大門すらコマンド投げをドライブキャンセルして別のコマンド投げという荒業が可能。
    • これは開発者曰く「コンボが最も上達を実感できる要素」であるため、やり込み要素としての側面も兼ねてこのようなゲームデザインとなったとの事(公式サイトのインタビューより)。
      • また、『KOF』シリーズにおけるジャンプ攻撃は共通して立ち回りの重要なパーツとコンボの基点を兼ねる傾向にある。つまり、コンボが上手くなり立ち回りで読み勝った時のリターンが増えると同時に、そのコンボを決めるための立ち回りも自然に磨かれるという相乗効果が期待出来るのである。
      • よって、この着眼点はゲームにマッチしている。しかし必然的に空中での立ち回りや複雑なコンボが苦手なプレイヤーにとっては、ハードルを高くしている側面もある。
  • 「EX必殺技」による立ち回りの急激な変化
    • 一部の必殺技を強化する『EX必殺技』は同じく1ゲージを消費する超必殺技と同等の地位に位置づけるべく、そのどれもが一見するとわからないが、従来の『KOF』シリーズでは考えられないような高性能技になっている。
      • さらに家庭用からはガードによるゲージの増加量がかなり増えたため、攻勢守勢問わずかなり頻繁に出せるものになっている。
    • このため、完全に読んでいなければ対処出来ない、予め練習しておかなければガードや空かしに成功しても反撃すら出来ないという状況が大幅に増え、これらの要素が従来の『KOF』に慣れていたプレイヤーから「ぶっぱゲー」「出し得」「押し付け」と呼ばれる事がある。
    • 同じシステム上での対戦ゲームである以上お互いがEX必殺技を軸にした戦術・立ち回りが可能。キャラ差・相性は全く別の話であり、ゲームの欠点というよりは好みの問題に近いのだが、やはりコンボの問題と同様に長年続いていたシリーズ上での急激な変化であるという事が賛否両論の争点である。
  • アッシュ編最終章なのに、ストーリー面では消化不良な所がある。
    • アーケード版だと細部を端折って詰め過ぎた感があり、展開や説明も駆け足でイマイチ補完しきれない所もあった。それらは大部分が家庭用で補完された。
    • また、基本的に『XI』以前のストーリーを未プレイのプレイヤーに対するフォローはほぼ無いため、今回初プレイというプレイヤーに対してはあまり優しくない。
    • 本家ストーリーとは関係ない件はまったく補完される気配がない。
      • 飛賊関連では「ネスツにいた飛賊の長・龍はネスツを見限り、ネスツ最高幹部のミスティを連れて拳崇の潜在能力『龍の気』を狙っている」「龍は飛賊を自らの手で滅ぼし、堕瓏や麟(本作未登場)はその龍を追っている。しかし麟は『XI』にて龍と共におり、『XII』では多くの飛賊が行方不明」と言うストーリーが存在。
        極限流関連では『2003』EDにて、「在宅していたタクマが襲撃を受けて負傷。意味深な言葉をつぶやいて入院(『XI』にて完治)」と言うストーリーも存在している。
      • これはストーリー担当が何かに使えるかと入れたらしいが引継ぎもしないまま退職したため、永遠に補完されないと思われる(嬉野秋彦氏のツイートより)。
  • キャラ選出に関しては賛否両論。
    • それ自体はいつもの話であり、この手のゲームでは不可避の話題なので本来問題とはいえないのだが、今回の場合は新鮮さの欠如に加えてアッシュ編からの初出キャラが殆ど未出場という事が上記の消化不良の大きな原因となってしまっている。
    • 特に『過去にKOFを主催していた悪役・ルガールの息子』『敵組織に妹のローズが操られてKOFを主催させられた』という重要な設定があるにもかかわらず、『2003』~『XI』にいたアーデルハイドがまたまた不参加な事には言及が目立った。
    • 『XII』『XIII』と併せて見ても、オロチ編からの定番の古参キャラが約2/3を占め、バラエティ豊かだった『XI』までと比べかなり偏り気味である。
      • 内約するとアッシュ編からはアッシュ+1チームで4人、ネスツ編からは1チームで3人、今作の唯一の新キャラもCPU専用(家庭用にて別ver.が追加)、SNK作品からの新規ゲスト出演もホア・ジャイ(+前作含めるならライデン)のみ。『XII』同様庵は炎の力を奪われたため、必殺技が一新されているとはいえ…。
    • 今作の場合は『XII』から一新されたグラフィックにより過去キャラの使用に大きく制限が掛かってしまったことが悪い方向に影響してしまったとも言える。

問題点

バグの多さ(現在は修正済み)

  • 初期AC版ではプレイに深刻な影響を及ぼすバグが多すぎた。
    • ホア・ジャイが「相手に『EXドラゴンキック』を当てた後、「弱ドラゴンテイル」でドライブorHDキャンセル」をすると画面外に消える。操作が簡単な上に再現度も100%。
    • 大門の地雷震、タクマの飛燕疾風脚はパワーゲージが1本未満の状態でもEX必殺技として出す事が可能。リスクこそあるがテクニックの要らない強力なバグ技である。
    • 最も酷く、発生率が高いとされているバグは「バイスの必殺技 "スプラッシュ" と相手の技が相打ちになると、相手がダメージモーションのまま硬直するバグ」である。
      この技は崩しの一択として有用であり、相手も対抗して暴れる事も当然あるため相打ちになる可能性は高い。つまりバイスを使っているというだけで発生率が非常に高い。回避手段はこの技を封印する事だが、暴発する事も無きにしも非ず。
      • 数あるバグの中でも最も発生率が高いため「最良の回避手段はバイスの使用を控える事」という結論まで出される悲しい事態に。
      • このバグ、正規発売してから見つかったのではなく、ロケテストで報告されていたにもかかわらず放置していたのはメーカーにとって大きな失態である。
    • さらにバイスには「空中でダウンしない攻撃をくらい、復帰中にある相手を超必殺技「オーバーキル」で投げようとすると相手がフリーズする」というバグまで存在する事が発覚。ただし、発生させられるキャラは限られている。
    • こちらの最も悪質な点は「相手がバグの発生条件にあるキャラならバイス側が能動的に発生させることが出来、且つバイス側が体力リードしていた場合タイムアップ勝ちが出来る」という悪用の可能性がある点である。
    • この結果、国内最大級の格闘ゲーム大会『闘劇』では「各種フリーズバグが起きた瞬間敗退が確定する」というルールが複数設定される異例の事態に。
    • 意図的に封印できるホア・ジャイはともかく、偶発の危険が高いバイス使いはもちろん涙目である。
      • なお似たようなバグが存在するものの、簡単に解除できるラルフはこの敗退ルールから免れた。
  • これらのバグは当然ながら一応ver1.1へのバージョンアップ&家庭版で修正された。
    • ただ、現在でも「舞がこちらに頭を向けてダウンする投げ技を決められた際、その起き上がり時に何故か一時ガード不能になるフレームが存在する」という舞にとっては割と致命的なバグがある。
    • そのため、コンボの最後にそういった投げ技を持ってくることが出来るキャラによっては、対舞のガード不能永久セットプレイが出来る。しかもよりによってそれが行いやすいのはバイス。もっともこれはバイス自身のバグではないのだが…。
    • その他、画面端でマチュアのデスロウが永久に繋がり続け、ミスしなければその試合は勝ちが確定するという永久コンボも存在した。
      • 高く浮かせる+画面端という簡単な条件下で勝利確定というのは他のゲームであれば問題になるレベルだが、マチュア自身の性能が低いためこのコンボをもってしても最強キャラには到底届かず、稼動初期に騒がれただけというレベルで済んだ。

対戦バランスの問題点

  • 一部のキャラが非常に強く、対戦ツールとしてのバランスが悪い
    • 稼働初期から火力、立ち回り、ゲージ依存が少ない、技バランスも最適のK'が最強とされ、各キャラ研究の進んだ現在ですらほぼ揺るぎないものになり、闘劇でも非常に高い使用率を誇っていた。
    • ライデンは立ち回りこそ弱いものの、無敵時間付きでリスクなし・ヒットすれば追撃コンボで大抵即死に追い込めるスーパードロップキックが凶悪。ついでに闘劇決勝はライデンが暴れていた。
    • 鎮元斎は操作難易度とゲージ依存は高いものの、画面のどこからでも画面端に持っていき小技どころか中段技や画面端限定だが投げからでも余裕で4~5割与えられるほど火力が高く、弾こそ無いものの弾無敵時間の長い突進技を持っていて、これが当たっても画面端まで運ばれて5割。飲酒という攻撃力が上がる技も持っているため待ち対策も完備*3で当身まであるという色々おかしな性能。
  • 逆に投げキャラのクラークや大門など、火力が低い・立ち回りが弱いという本作のシステムとミスマッチした性能であり、明らかに恵まれないキャラもいた。
  • このバランスの難点は先程記した修正版こと1.1でも殆ど修正されず(あくまでもバグ修正のみ)、改善は後述する家庭用移植版以降のバージョンに託されることとなった。

CS機移植

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360


発売・開発元 SNKプレイモア
発売日 2011年12月1日
価格 7,140円
備考 PS3のダウンロード販売版は
発売後の価格改定により税込
2,016円に値下げ+DLCキャラ
3体を無料で開放できるように
判定 なし
ポイント アーケード版から大幅改善
リメイクと言える程の変更あり
後の『CLIMAX』
オンラインはラグ地獄

特徴(CS)

  • ビリー・カーンや前述のサイキといった新キャラ、過去のSNK作品のステージが追加。
    • ビリーはライデンとホアと組ませる事でギースの配下チームが構成可能。専用の一枚絵もある。
    • サイキは設定上やゲーム性のためか、変身前のアッシュと瓜二つの姿で登場。
      • ドット絵はアッシュのコンパチ。ちなみに変身後のグラフィックもアッシュがベースになっている。
  • DLCとして、多くの派生打撃技で戦う『'96』~『XI』間の性能を持つ「ネスツスタイル京」や、従来の性能として「炎を取り戻した庵」、タクマ・サカザキの裏キャラクターでありながら大きく毛色の異なる「Mr.カラテ」が追加された。
  • ゲームバランス、システムなども大幅に見直され、アーケード版で最強とされたK'とライデンの弱体化や不遇気味だった投げキャラの強化、使いにくかったNEO MAXの使用条件緩和*4など、もはやリメイクとも言える程の変更が行われている。
    • その甲斐あって『KOF』シリーズでもかなりバランスが良くなっており、対戦人口は多い。
      • なお、旧アーケード版の設定では(初期版・VER1.1共に)プレイ不可能。この点では完全移植という訳ではないが、バグだらけの旧AC版をベタ移植されても反応に困るので、リメイクとしては良作と言える。
      • この家庭用版の好評を受け、後に家庭用版のゲームバランスを元に後述の『KOFXIII CLIMAX』としてアーケードに逆移植された。
  • ストーリーを補完するストーリーモードが追加された他、おなじみのサバイバルや指定されたコンボを決めていくトライアルモードも追加。
  • オンラインモードは『BLAZBLUE』や『ストリートファイターIV』に比べてかなりラグがあり、パッチも配信されたもののそれでもオフラインと遜色なく遊べるとは言い難く、家庭用オンラインのプレイヤー人口はかなり少ない。
    • 回線相性の悪い相手と対戦拒否が出来ない。3人以上で遊べないなど、機能も寂しい。この辺りは今なお修正が望まれている。
    • せっかくゲームシステムが改善されたのにもかかわらず、このオンラインの仕様により大きく評価を落とすことになった。
      • 現在は後述のAC-CLIMAX版かPC(Steam)版があるため、そちらを推奨。
  • 追加されたカラーエディット機能にPS3版のみ一部反映されないバグがあったが現在は修正済み。
  • 前作の反省からか出荷をやや絞った模様。
  • 前述したバランス調整の結果、格闘ゲームとしての評価はかなり高く、特にこれまでのシリーズがそれほど受け入れられてこなかった欧米など非アジア圏では「一番流行ったKOF」であると言っても過言ではない。
    • 2014年2月現在もじわじわと勢力を広げ、アメリカにおける世界最大規模の格闘ゲーム大会『Evolution Championship Series (通称:EVO)』では2012年から3年連続で種目に選ばれた。KOFは元より、SNK及びSNKプレイモア製のゲームとしても初めての快挙である。
  • アーデルハイドはアーケード版同様に非参戦のままだが、家庭用版のストーリーモードではアッシュ、ハイデルンと共に主役の1人に抜擢され、デモ内の裏方のみながら主役級の活躍を見せた。
    • なお、アーデルハイドについては前作の『XII』における舞・K'のように、「まるでゲーム中で使用するような構図のイラストが家庭用発売前に発表される」という事がなされた。このため、このメーカーのこのような行動は販売戦略の一環であるか、もしくは「明らかにゲーム上メインとして扱われているのに非参戦」という不自然な状況であるためキャラクターの完成が間に合わず断念した可能性が考えられる。

THE KING OF FIGHTERS XIII CLIMAX

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず さーてぃーん くらいまっくす】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード (Taito Type X2)
アーケード (Nesica×Live)
販売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 SNKプレイモア
稼動開始日 2012年4月26日(Taito Type X2)
2013年9月12日(Nesica×Live)
判定 良作
ポイント 改善された家庭用を逆移植

特徴(CLIMAX)

  • 評価の高いコンシューマ版をアーケードへ逆移植したアッパーバージョンであり最終バージョン。
    • システムやキャラクター調整が家庭用準拠になっているほか、家庭用での不具合を修正、家庭用の追加キャラクターやDLCキャラクターも無条件で最初から使用可能になっている。
      • シリーズ最高クラスとも評価されているだけあり、シリーズの面白みを煮詰めた完成度の高いシステムと、好きなキャラを好きに選んでチームを組んでも割と何とかなる良質な対戦バランスが魅力。
      • ワンチャンスを物にしやすいMr.カラテ等の強キャラ、いまいち尖った部分の無いテリー・ボガード等の弱キャラといったキャラ差が無いわけではないが、全キャラ十分なキャラ性能は持っているため、どのキャラを使っても勝ち目はある。
  • 難点は稼働当初設置店舗が非常に少なかった事だが、2013年9月12日からはNESiCAxLive*5にて配信されているため、これが設置されているゲームセンターであればプレイが可能となった。

THE KING OF FIGHTERS XIII STEAM EDITION

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず さーてぃーん すちーむ えでぃしょん】

対応機種 Windows XP以降
発売/開発元 SNKプレイモア
発売日 2013年9月14日
定価 1,980円
判定 良作

特徴(STEAM)

  • 2013年9月にNESiCA配信版と同時期にSteamストアにて販売が開始され、Windows PCでもプレイできるように。
  • システム等はCLIMAX版(現行のNESiCA向け最終版)がベース。ストーリーモードなど家庭用の追加要素も勿論収録されており、完全版XIIIと言える作品。
    • バランスに関しては大元のPS3/Xbox360版から変更は無いが、さらに細かいバグが修正されている。
    • PS3/360版では有料DLCだった3キャラクターもCLIMAX版と同様にデフォルトで収録されており、特に解禁条件は無く使用する事ができる。
  • プログラミングの自由度が高いPCソフトである(ちなみにTaito Type X2およびNESiCAxLiveはPC/Win互換機ベースである)故か、ネットワーク対戦におけるラグが家庭用と比べ大幅に改善されているほか、環境の細かい設定もできるため、快適なオンラインプレイができるようになっている。
  • 値段も比較的安価なので今からKOF13を始めるのであれば最もオススメ。
    • 当初VALVE Steam自体が国内で馴染みのないタイプのサービスだっただけに、購入のハードルは少し高かったが、2014年8月からは日本円換算+コンビニ/Webmoney支払いが可能になったため購入のハードルはかなり下がった。
      Steamは不定期セールを実施しているがそのラインナップに今作が加わっている事もある(夏場や年末年始はほぼ確実)。時々覗いてみるといいだろう。
    • 2015年4月10日からは『KOF'98(UM)FE』『KOF2002UM』とのお得な3本パック『THE KING OF FIGHTERS Triple Pack』も販売開始されている。

総評

ハッキリ言って失敗作どころか未完成品同然だった前作を全て捨て去り、いつもの『KOF』に+αした事で、システムそのものは現在の格闘ゲーム市場でも十分通用する作品として復活した。

しかし、前作に呆れたプレイヤーが警戒していた事に加え、従来の『KOF』プレイヤーも深刻なバグの多さや対戦バランスを始めとする作りこみの甘さに呆れて旧作に帰っていくなどしてインカム率は下がってしまい、結局、客足は遠ざかってしまった。
さらにネット上ではライデンやK'の傍若無人な性能や上記のバグ騒動の動画も広まり、ネガティブなイメージが定着してしまった。

その後にリリースされたCS機移植版では、不人気の決定的な要因だった作りこみの甘さを徹底的に改善し、単なる移植に留まらないクオリティアップを果たした。
これが功を成して対戦人気は上昇し、本作はストーリー作としては初めて*6、『KOF'98』『KOF2002』(及びその2作のリメイク版ことUMシリーズ)に次ぐKOF史上第三(五)の定番対戦ツールとしての地位を得ることとなった。

アーケード版での初動の不評から家庭用移植の際の再調整を経て、前作の汚名を雪ぐに十分な出来にクオリティアップを果たした本作。
家庭用移植版のアーケードへの逆移植も実現しているため、シリーズの今後に期待がかかることになった。
尤も、当時の様々な複雑な社内事情などもあり、次回作『XIV』までは本作のアーケード初期版稼働開始から実に約6年もの年数を待つことになる(経緯については先程リンクした『XⅣ』のページを参照)。


その後の展開

  • 2023年11月16日にSwitch・PS4で『THE KING OF FIGHTERS XIII GLOBAL MATCH』が発売。
    • 上記『STEAM EDITION』をベースとした移植となっており、新たにネットコードに「ロールバック方式」が採用され、最大9名まで入室できる「オンラインロビー」と「観戦モード」も実装。
    • PS4では先行して『'98FE』、『2002UM』も発売及び配信されているため、Steamと同様にシリーズ中でもバランス面で屈指の高評価を得ている3作を同ハードかつオンライン対応で楽しむことができるようになったとも言える。

余談

  • 中ボスである敵組織の首領・サイキは戦闘時に変身した結果、前代未聞の全裸で戦うキャラになっており、ファンからネタにされている。
    • 「局部は隠れているが設定上は全裸」「そもそも服を着る必要のない人外」というキャラならこれまでにもいたが、人間体を取っていながら全く隠す気がないというキャラはさすがに珍しい。
    • 普通に戦うとその超反応に苦しめられるが、実は一度ダウンさえ奪ってしまえば起き上がりにしゃがみ強キックや地雷震などの下段技をほぼ確実にヒットできるので、このループで楽に倒せるというお馴染みの攻略法も。ストーリーを見たい層にとってはありがたい仕様と言える。
  • 他にもアッシュ編のキャラには「過去の作品に遡るほどボスキャラの人気が高い」と言う傾向が見られる。
  • 家庭用移植の際に追加されたビリー・カーンの声は『THE KING OF FIGHTERS 2003』でビリーを演じたせいじろう氏が再度起用されたのだが、『2003』から8年も経ったせいか、話題になるどころかむしろ出てたことを知らなかった人のほうが多くなっている。
  • 次回作『XIV』ではグラフィックがフル3Dモデルへと移行したため、『XII』『XIII』での新画風の2Dグラフィックは2作限りで幕を閉じることになった。
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最終更新:2024年02月16日 12:04

*1 CPU専用、ボスキャラを除けば、『'98』(前作は『'97』)も前作からの全員続投を既に実現している。

*2 ライバルなど、主人公級の主要人物にまで範囲を広げた場合は以前から『'97』の庵や『2000』のクーラがエディット専用として登場した例は存在していた。

*3 そもそも追撃可能な投げと中段技のせいで崩し性能がとんでもなく高く、待たれても負けることはない

*4 オーバードライブモード発動中は2本+オーバードライブ残時間で発動可能となり、中堅からEX超必→MAXキャンセルNEO MAX超必が使えるようになった。

*5 タイトーが運営する汎用筐体向けのゲームのネット配信サービス。基板は本作の単体版と同様にTAITO Type X2を使用。

*6 前々作『XI』も多少は粗があり『'98』『2002』系列には及ばないもののそこそこ良好な部類であった。