戦国無双3 猛将伝

【せんごくむそうすりー もうしょうでん】

ジャンル タクティカルアクション
対応機種 Wii
メディア 12cm光ディスク
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
発売日 2011年2月10日
定価 猛将伝:3,990円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 暴力、セクシャル
判定 なし
無双シリーズ

概要

今回も発売された猛将伝。無印のディスクを読み込ませることで、『猛将伝』のシステムで全キャラクターのシナリオが楽しめるのもいつも通り。
ここでは猛将伝で追加された要素の説明に留める。無印版の内容は『戦国無双3』を参照していただきたい。


評価点

  • プレイアブルキャラクターが3人増え、40人の大台に乗った。
    • 無印でリストラされていたガラシャが復活し、無印ではNPCだった福島正則・綾御前がプレイアブルキャラクターとなり、武器・モーションも固有のものが用意された。
    • この3人と、無印では模擬演武専用武将だった7人を合わせて10人に無双演武が用意された。
  • 追加された10個の無双演武(ストーリーモード)はおおむね好評。
    • 特に風魔小太郎、前田利家の章などは高評価。特に前田利家の章では、無印で批判された一部の武将のキャラ付け*1をフォローしつつも、ドラマチックに展開を進めるというシナリオが光った。
      • しかし無印組の演武と出来がかなり違うため、「無印でもこのクオリティでやればよかったのに」「無印でも最初から出来たのでは」という声があがってしまった。
    • 一方で森蘭丸の章は微妙という意見が多い。
  • 武器・防具に関する改善が為された。
    • 第2レア武器・第3レア防具といった新たな収集要素が追加された。
    • 無印では強化するだけだった武器・防具の技能が、本作では変更することもできるようになった。
      • それによって、無印で批判された武器集めのとてつもない運要素がそれなりに減った。
      • ただし変更にも技能強化回数を消費する。この弊害を特に受けるのは強化回数が0のままの第1レア武器*2。特に第1レア武器の属性が優秀だった武将は、本作では技能の変更できない第1レア武器と属性の変更ができない第2レア武器を持たされるという中途半端な状態になってしまった。
    • 新モードとして追加された創史演武では、全体的に良武器・防具が出やすくなっており、収集もしやすくなった。
  • 戦場にもっていく携帯道具をカスタマイズできるようになった。単なる入れ替えではあるが、攻撃重視・防御重視・無双重視・影技重視など、無印では考えられないほど自由に携帯道具を選ぶことが可能になった。
  • 戦国無双3にはなかった武将鑑賞モードが追加。無双武将たちに関して簡単な史実での説明と、アクション・ボイス鑑賞が可能になった。
  • 無印ではなぜか無くなっていた軍馬の所在地アイコンが復活した事で、「馬を呼んだは良いが、どこに呼んだ馬がいるのか解らない」という事態は起こりにくくなった。
  • 難易度があまりにも高いと批判された村雨城に、オンラインでの協力プレイという救済措置が用意された(猛将伝のみ)。

問題点

  • とってつけたような追加要素。
    • 無印の無双演武を見ると、同じ大名家に所属していたり同じ時代に生きていたりした場合はステージが被ることがかなり多く*3、無印で模擬演武専用とされた武将の無双演武を用意することもそれほど難しくないのではないか。
      • 実際に無双演武が追加された7人のステージを見ると新ステージはほとんどなく、「無印にも入れられたのではないか」というのは当然の疑問と言える。
      • しかしネタにしろシリアスにしろ総じて猛将伝に収録されたシナリオの評価の方が高めであるのは、遅れて出てきたことの数少ない長所であろう。1年待たされたうえに追加ディスクを買わないとストーリーを遊べない武将ファンがそれで納得できるとも思えないが。
    • 武器・防具の技能変更についても、導入自体は高く評価されているのだが、技能の上書きという機能は『戦国無双2 猛将伝』や『戦国無双2 Empires』で既に導入済みであり、3でも再び無印で導入せずに猛将伝で導入するという経緯を踏んだのは意図的に欠陥を用意するためではないかと見る向きもある。
      • この手のやり方はコーエー時代からの悪癖であり、前作の猛将伝(酷いと前作の無印の時点から)で収録されていた要素が無印で何故か削除され、それを猛将伝の追加要素として大々的にアピールしてくる所があるため、「また(あるいは「いつもの」)コーエーか*4」と呆れを持って見ている者*5も少なくなかった。
  • 新モードである創史演武の評価は芳しくない。
    • さすがに細かい違いはあるが、「1人の武将が数人の共闘武将を連れて延々とランダムステージをクリアしていく」という内容が『戦国無双2 猛将伝』の傭兵演武とほとんど同じものであり、新鮮味に欠ける。しかもこの演武でしか取れないレア防具があるため、嫌でもプレイしなければいけない。
    • モードを進めていくためには「連戦」(戦後、体力の回復や道具の買い足しをせずにすぐに別の戦に出陣する)を何度もしなければならないが、 連戦中はセーブ不可 。クリアするには休日をつぶす覚悟でプレイしなければならない。
    • 撃破効果の配置が悪質になって登場。
      • 無印ではステージの進行具合や演武全体における進行具合が考慮された内容だったが、このモードでは完全にランダム配置。1番最初に出会う武将の撃破効果が「撃破数200以上で倒す」などという状況も頻繁に目にする。
    • ミッションもランダムで配置されるため、運次第では理不尽な思いをすることになる
      • 例えば「敵武将が特定の拠点に侵入するのを阻止しろ」というミッションが戦闘開始直後に発動したかと思えば複数の敵武将がその拠点の別々の入口に殺到*6して来たり。酷いものではミッション発動時、つまり{初期配置で対象拠点の中に敵武将が配置されていたりなど*7
    • 飽きやすいモードに新鮮味を足すためか、武将間に友好度を設定、「友誼武将」と「好敵手武将」が設定され、会話イベントが追加された。だがこの会話イベントはボイスが無く、表示される文字を黙々と読むだけ。
      • その文章もキャラ毎に設定された定型文の「友誼武将」と「好敵手武将」で武将名が変わる程度のため本来は主従関係、肉親、近しい味方など特別な関係であろうとテキストが専用のものになったりするわけではない。
    • ただしこのモードは全体的に良武器・良防具・良素材が出やすくなっているため、武器集め・稼ぎプレイと割り切れば、そこまで悪くない。
      • しかし、村雨城モードとは異なり武将の成長がストーリー・フリーモードに反映されないので、序盤では効率の良い作業や収集ができない。
      • また、「良素材が出やすい」とは言っても村雨城モードのように獲得が保証されておらず、武器に関しては無印の説明にあるように厳選がつらい。とはいえ書き換えが可能になったため、ある程度妥協すれば十分な武器は作れる。
  • 味方武将の強さに変更がない。
    • 「共闘感が全くない」「味方武将救援のためにステージ中を走りまわらされる」といったように、味方武将のあまりの弱さはおそらく無印で最も強く批判された要素である。
      • そこから1年も間があいての追加ディスクである以上、流石にその批判は聞き入れられて修正が加えられるだろうと思っていた者が多かったのだが、フタを開けてみればまさかの修正なし。

総評

『戦国無双2 猛将伝』のような目立った改悪点はなく、追加ディスクとしては悪くない内容であろう。
模擬演武専用キャラへの無双演武追加・装備品の技能の変更・更なるレア装備品といった要素を歓迎しないファンはおらず、ファンの要求を上手く叶えているとも言える。
一方、「無印の段階で入れられたのではないか」「『戦国無双2 猛将伝』から内容面でほとんど進歩していないのではないか」という批判も払拭することはできない。
また、最も望まれていたであろう味方武将の強化に対して強化されずにそのまま据え置きと言う回答が示されたことは、新規プレイヤーはもちろんのこと、無印からのプレイヤーにも不評であり、本作の評価を大きく下げる原因となっている。


戦国無双3 Z

【せんごくむそうすりー ぜっと】

ジャンル タクティカルアクション
対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 各1枚
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
発売日 2011年2月10日
定価 Z通常版:7,140円
ZプレミアムBOX:10,290円
プレイ人数 1~2人
HDD必要空き容量 インストール:3200MB以上
セーブデータ:500KB
トロフィー機能:8MB以上の空きが各必要
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 暴力、セクシャル
廉価版 PlayStation3 the Best:2012年12月13日/3,990円
配信 2013年4月18日/3,600円
判定 なし

概要(Z)

『戦国無双3』と『3 猛将伝』のワンパッケージタイトル。ここではWii版との比較に留める。
今回は『猛将伝』と同時発売で、さらに別機種に発売という悪い意味で前代未聞の売り方が為された*8*9


評価点(Z)

  • ハード移行に伴った改善。
    • 基本フレームレート60fps化に対応。
    • ハイビジョン対応
    • 勝利時の口パク復活
  • ワンパッケージタイトルなので、ディスク入れ替えが不要であること。

問題点(Z)

  • 完全なワンパッケージタイトルではない。
    • 著作権の関係上仕方がないのだが、村雨城モードは未収録。
      • この関係上、創史演武で防具をコンプリートする際は最低7周以上する必要がある。
  • 猛将伝と比較して処理落ちが多い。
    • 特に火を使ったステージで顕著で、火計中では武将によっては(特定の技を使うと)ほぼ確実に処理落ちが発生する。
  • 明智光秀の肩当が一部無くなっているバグがある(発売前のゲーム紹介PVの時点で何故か無くなっていた)。

総評(Z)

ハード移行に伴った改善点はあるものの、売り方の悪さ、最適化不足を指摘される処理落ちの多さから、猛将伝の悪評を覆すほどには至らなかった。


発売後の動き

  • ハードを変えたにもかかわらず『3 Z』は約30万本を売り上げ、猛将伝の約6万本を大きく突き放したばかりか無印の約25万本すらも超えた。
    • 「『戦国無双』シリーズを、Wiiを代表するシリーズに育てていきたい」とコーエーは『3』の発表会でコメントしたが、マーケットは結果的にNOを突きつける形となった。
    • これを受けたのか、2011年8月25日に『戦国無双3 Empires』がPS3単独で発売された。
      • 『戦国無双』を目的でWiiを買ったユーザーを泣き寝入りさせないためにも、当初Wii単独での発売であった『3』の派生シリーズくらいは、Wiiしかもっていないプレイヤーにも配慮する必要があったのではないだろうか。

戦国無双3 Z Special

【せんごくむそうすりー ぜっと すぺしゃる】

対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売日 2012年2月16日
定価 6,090円
プレイ人数 1~4人
通信機能 PlayStation Network対応
※ダウンロードコンテンツ配信
セーブデータ 256KB以上*10
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 暴力、セクシャル
廉価版 PSP the Best:2014年1月16日/2,940円
配信 【PSP/PSV】2013年3月14日/5,400円
ポイント 凄絶なロード地獄
ロードを我慢すればPSPでは頑張っている作品
PSP向け無双シリーズ初の有料DLC配信

※上記2作品と異なる個所のみ記載する。


概要(Z Special)

『戦国無双3 Z』のPSP向け移植作品。
基本的にはZを土台に、後述する対戦プレイなどの追加要素を加えた移植となっている。
だが、一部に『戦国無双3 Empires』の仕様に準ずる変更を行われたものがあったり、それ以外にも変更の手が加えられている。

発表直後は『真・三國無双5』もかくやと言わんばかりの度重なる移植に対して批判的な意見も少なくない。
その後、公開されたプロモーションビデオの内容もお世辞にも期待を煽るどころか、不安を煽るに十分な要素*11が目立っていたため、前印象は悪いと言わざるを得ないものであった。


特徴

PSP向け無双シリーズ初の有料DLC

  • 本作では有料DLCとして無双武将の過去作コスチュームや『無双OROCHI』シリーズでの別カラーコスチュームが配信されている。
    • PSP向け無双シリーズでもDLC自体は『真・三國無双5 Empires』で配信されていたが、こちらは全て無料であり、有料でのDLC配信は本作が初となる。

PS3版『3 Z』と『戦国無双3 Empires』との連動要素

  • メモリースティックに上記2作いずれかのセーブデータを入れてプレイすると全ての無双武将が初期状態から使用可能な状態でプレイを始める事が出来る。
    • 通常はプレイを積み重ねて獲得出来る石高(ポイント)を1人当たり100万石消費して購入する必要がある。

最大4人での対戦・協力プレイ

  • アドホック通信を利用して無双演武や模擬演舞では2人での協力プレイが可能で、腕試しでは最大4人での対戦プレイが可能となっている。

その他特徴

  • ロード時間が凄まじく長い。
    • ステージ開始前には30秒程度の読み込みが、途中のイベントムービーや勝利・敗北時のデモシーン前にも10秒程度の読み込みが入る。
      • 恐ろしい事にこれは転送速度が遅いメモリースティックではなく、それなりの転送速度を確保した有名メーカーもののメモリースティックでメディアインストール機能を利用した上での数字である。中には「メディアインストールを使わない方が早かった」という者も。
      • ただ2013年3月14日よりダウンロード版が配信されており、こちらは同様の条件でステージ開始前に10~15秒程度、イベントや勝利・敗北時のデモには3~5秒と半分程のロード時間で済むので、ある程度解消できる。
  • 緊急回避が使用不能になった。
    • ボタン数の制限で緊急回避がプレイヤーのみ使用出来なくなった。NPCはボタンの影響を受けないので、お構いなしに使ってくる。
      • これに伴い、一部の装備品の技能も変更されている。
  • 敵の群がり具合はPSPとしては頑張っており、ステルスも処理落ちも強烈ではない。
    • しかし、頭数としては減少してしまっているので、「撃破数○○以上で撃破」・「○○コンボ以上で撃破」タイプの撃破効果を発動させにくくなってしまっている*12
      • ただし、それを考慮してか一部撃破効果は発動条件が緩くなっている。
    • また敵の数が減った影響か、味方が据え置き版よりは敗走しにくくなっている。
      • さすがに武将数体に囲まれると敗走するが、据え置きよりは粘ってくれる場合も多くなった。とはいえ強くなったわけではないので過信は禁物である。
  • 無双秘奥義、無双奥義・皆伝発動時のカットインはCGイラストに変更。
  • 勝利時のキャラクターモデルは専用のものが作られており、口パクもしっかりするPS2レベルのモデリングで再現されている。
    • そのためか、UMD版のロード時間が長くなってしまっているので一長一短とも言えるが。
  • 一部撃破効果が調整された
    • 悪名高い毛利元就4章の開始30秒で武将撃破について緩和されたのは大きい。

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最終更新:2022年12月27日 10:20

*1 無印では加藤清正が前田利家に対して「貴様」呼ばわりしたことは特に批判意見に晒された。

*2 第2レア武器の強化回数は一律で5である。

*3 これ自体は参加した戦の関係上仕方がないのだが。

*4 そのため、無双シリーズは猛将伝が出た所でMIXJOY用の中古無印と猛将伝を買う(≒無印は様子見する)のが正しい買い方だと言う者も当たり前のようにいる。

*5 ユーザーレビューサイトなどの無双シリーズ作品のページでは当たり前のように「猛将伝を売りたいからってわざと無印を不完全にするな」という意見が見られる所にユーザーがどう見ているかも察することが出来る。

*6 このミッションが発動してしまうと対処の敵武将は味方武将と戦闘中であっても対象の拠点めがけて進軍する、こちらが攻撃しても防御も反撃もせず、とにかく対象拠点に入ることだけを考える。

*7 そのクセ味方武将は侵入を阻止しようとしてくれないので、この手のミッションはクリアできることの方が少ない。

*8 「70万本を目標としていた無印の売り上げが約25万本とあまりにも低かったため」という説が濃厚だが、公式に明言されたことはない。

*9 ワンパッケージタイトルが猛将伝と同時発売されたこと自体は無双シリーズ全体で見ても初めてだが、猛将伝の発売後に無印と猛将伝のワンパッケージタイトルが発売された例自体は『真・三國無双4 Special』(360/Win)・『戦国無双2 with 猛将伝』(360)・『真・三國無双6 with 猛将伝』(Win)と言う例もある。なお、『戦国無双2 with 猛将伝』はPS2版の『戦国無双2 猛将伝』が発売した後で発売されたという意味合いで例に挙げているが、360内だけで見た場合はDLC配信の猛将伝より1ヶ月ほど先行して発売されている。

*10 メディアインストール機能を使用する場合は別途140MB以上必要。

*11 ゲームテンポが無印や『猛将伝』『Z』と比べてももっさりしていた事や、PSP故に仕方ないとは言え、画面内の敵もお世辞にも多いとは言えなかったり等。

*12 逆に「撃破数○○以下で撃破」タイプの撃破効果が幾分かは達成しやすくなっているとも言えるが。