幽☆遊☆白書 闇勝負!!暗黒武術会

【ゆうゆうはくしょ やみしょうぶ あんこくぶじゅつかい】

ジャンル 対戦風シューティング
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 バンプレスト
開発元 アークシステムワークス
TNS
発売日 1993年9月30日
定価 8,800円
判定 なし
ポイント バンプレストのPCE参入ソフト第一弾
幽白ゲー唯一のシューティング
かなり凶悪な難易度
幽☆遊☆白書ゲームリンク


概要

  • 1993年にてバンプレストがPCEにリリースした、アニメ化もされ人気絶頂だった「幽☆遊☆白書」を題材としたゲーム。バンプレストがPCEにてリリースした初参入ソフトでもある。
  • 「幽☆遊☆白書」は他のハードにも色々とゲーム化されているが、原作の題材上、バトル形式のゲーム(主に対戦格闘アクション)になる事が多かった。
    • 本作もまた、その例に漏れずバトル形式なのだが、そのジャンルが数ある幽白ゲーの中でも異色なものとなっている(詳細は下記にて)。
  • 「暗黒武術会にて決勝まで進んだ幽助率いる浦飯チーム5人が、かつて戦った協力者達と一緒に戦闘特訓を行い、決勝戦の相手である戸愚呂チームに戦いを挑む」までのエピソードが収録されている。
    • 既に原作でいうところの「準決勝までの戦い」は終えたという扱いとなっており、本作の収録エピソードは「決勝の為の訓練」と「戸愚呂チームとの決戦」のみである。
  • 一人プレイ専用。

主なルール

  • バトル形式について。
    • 本作におけるバトル形式は「対戦相手と一対一の対戦を行い、相手に勝利すれば次のバトルに進める」というありがちな形式となっている。
      • しかし、本作が他の幽白ゲーと大きく違う点としては「ガンシューティング風のシステムにて相手と戦う」事にある。
      • どういう事かといえば、一般的なガンシューティング視線にて照準を合わせ銃を撃つかの如く相手を攻撃してダメージをあたえるといえば分かりやすいかもしれない。
    • ステージ開始前にて、「幽助」「桑原」「蔵馬」「飛影」「幻海」からキャラを選択できる。
      • 各キャラには性能差があり、使い勝手に若干の差がある。どのキャラを選ぶかによってイベントのやり取りが少し変化するが、エンディングは全員共通である。
    • 以下キャラ性能などの詳細。「カーソル」はキャラのカーソルスピードの速さ、「ライフ」は耐久度を示す。
キャラ カーソル ライフ 通常攻撃 気合攻撃 必殺攻撃
浦飯幽助 標準 標準 鉄拳 霊光弾 霊丸
桑原和真 遅い 多い 霊気の剣 伸びる霊気の剣 霊気の剣二刀流
蔵馬 標準 標準 ローズウィップ ローズショット シマネキ草の種
飛影 速い 少ない 刀攻撃 邪王炎殺剣 邪王炎殺黒龍波
幻海 速い 標準 鉄拳 霊光弾 霊丸
  • 操作系統。
    • 主な操作方法は、方向キーにて攻撃のサイト(照準)のカーソル調整、ボタンは各自、通常攻撃ボタンと必殺攻撃ボタンに使用する。
      • サイトのカーソル調整はガンシューティングのそれを連想しておけば問題ないと思われる。
    • このゲームには主に「通常攻撃」「気合攻撃」「必殺攻撃」の3つの攻撃種類が存在し、状況に応じてそれを使い分ける必要がある。下記詳細。
      • 「通常攻撃」…通常攻撃ボタンを短く押せば出る攻撃。連射が利き、使用回数制限はないが、敵にあたえられるダメージは当然ながら低い。
      • 「気合攻撃」…通常攻撃ボタンを長く押し、画面下に表示された気合ゲージが満タンになった状態でボタンを離せば出る攻撃。溜めを伴うがダメージは通常攻撃よりも高い。
      • 「必殺攻撃」…必殺攻撃ボタンを押せば出る攻撃。すぐに発射でき、気合攻撃をも凌ぐ攻撃力を持つが、使用回数に制限がありストックが尽きるとこの攻撃は出せなくなる。
    • 各攻撃はすべて一点集中型にてサイト側に攻撃するタイプとなっている。自動的に敵を追尾してくれるなどの利便性のある攻撃手段は存在しない。
  • バトル中の画面状態について。
    • バトル中は敵が上下左右斜めの色んな方向に動き回り、その都度カメラワークが自動で動く様になっている。プレイヤー自身がカメラワークを調整する事は一切できない。
      • 敵側もこちら側同様に、様々なショット型の攻撃を定期的に発射してくる。それを対処せずにいると、プレイヤー側がダメージをもらってしまい、負けの危険を伴う。
      • 敵攻撃に対してサイトを合わせ何かの攻撃を行えば、お互いの攻撃を相殺する事が可能。本作における敵攻撃の回避は原則としてこの方法しか存在しない。
    • 必ずしも攻撃を敵に当てれば完全なるダメージをあたえられる訳ではない。
      • 相手側はこちらの攻撃をガードしたり、ダメージを軽減したりする事がある。その為、「ただサイトに合わせて攻撃を当て続ければ勝てる」という安易な攻略は通用しにくい。
      • 敵に効率の良いダメージをあたえたければ、無防備となっている敵の顔~胸付近にサイトを定め、タイミングを見計らって攻撃するのが有効になりやすい。
  • バトル順番について。
    • 本作には総計11人のCPUキャラがおり、そのすべてバトルに勝利すればエンディングとなる。
      • 「上記で述べた5人のプレイヤーキャラ(CPUも兼ねる)」と「CPU専属キャラ6人」がCPUキャラを担当している。
      • CPU専属キャラは「妖狐」「酎」「陣」「鴉」「戸愚呂(兄)」「戸愚呂(弟)」の人選となっている。
    • 対戦相手のバトル順はあらかじめ決まっている。主な順番は以下の通り。
      • 桑原」 ⇒ 「蔵馬」 ⇒ 「」 ⇒ 「」 ⇒ 「飛影」 ⇒ 「幽助」 ⇒ 「妖狐」 ⇒ 「幻海」 ⇒ 「」 ⇒ 「戸愚呂(兄)」 ⇒ 「戸愚呂(弟)
      • 戸愚呂(弟)に関しては、通常形態と100%形態、2バトル分の戦いとなる。
    • 上記順番から、プレイヤーが使用しているキャラを除いたものが、すべての対戦相手となる(本作には同キャラ対戦は存在しない)。
      • 例えば、幽助を使用キャラとした場合は、飛影の次のバトルは妖狐となる。桑原が使用キャラの場合は、初戦バトルの相手は蔵馬となる。
      • 蔵馬と妖狐は同一人物という関係上、蔵馬を使用キャラにした場合は、対戦相手から蔵馬と妖狐を除外した上記順番の対戦相手となる。よって、蔵馬のバトル数は他4人に比べて1バトル少ない。
  • パラメーターゲージ振り分けについて。
    • バトルに勝利すると特定の経験値がもらえ、それを以下の3つのパラメーターゲージに振り分ける事で使用キャラの性能強化を図る事ができる。
      • 「HPゲージ」…これにパラメーターを振り分けると、次ステージ以降における使用キャラの最大ライフが上昇する。
      • 「TSゲージ」…これにパラメーターを振り分けると、次ステージ以降における使用キャラの気合ゲージの溜まり具合が早くなり、気合攻撃を出しやすくなる。
      • 「SPゲージ」…これにパラメーターを振り分けると、次ステージ以降における使用キャラの必殺攻撃ストックを増やせる。
    • 一度振り分けたパラメーターは、そのプレイを終えるまで二度と元に戻すことはできない。よって、ある程度のパラメーター振り分けの計画性は重要となる。
  • 勝利、ゲームオーバー条件について。
    • バトル相手のライフを0にすればそのバトルはクリアとなる。逆にこちらのライフが0になってしまうとコンティニューの選択に移項する。
      • 次バトルでは、前バトルにて消費したライフや必殺攻撃ストックは完全回復されている。
      • 使用キャラはそのプレイを終えるまでは一切の変更ができない(コンティニュー時も例外ではない)。
      • コンティニューは有限で、クレジットがなくなると完全ゲームオーバー。但し、裏技でクレジットを無限にする事は可能。

問題点

  • 操作性が悪い。
    • 明らかにPCEというハード環境に不向きな操作性の問題が真っ先に挙げられる。
      • 本作はガンシューティング風のジャンルだが、それをPCEの通常コントローラーでプレイしなければならない。これが異様なまでにきつい操作となっている。また、PCEにおいてはガンコントローラーやそれに類する周辺機器が存在せず、マウスはあるものの本作は対応されていない。
      • しかも、カーソルの動きが妙に軽いせいで、(特にプレイ初期時では)どこにサイトが合わさっているのかの感覚がかなり把握し辛い。その結果、最初のステージですらまともにクリアできない恐れすらある。
  • 画面の視野も悪い。
    • 敵常時ちょこまかと動き、その都度カメラワークも切り替わるので、上記の操作性の件もあってどのように攻撃すればいいのかも分かり辛い。
      • この辺は実際にプレイすれば嫌でも分かるとしかいい様がないが、例えるならば、常に画面の揺れとのにらめっこするハメとなるというべきか。
      • 画面の揺れが凄まじい影響で、人によっては画面酔いする恐れもあるかもしれない。その位強烈に揺れる。
  • 度の過ぎた難易度の高さ。
    • 操作性や画面の揺れを克服したとしても、確実にクリアできるという保証はない。
      • 前半ステージですら難しいのに、後半ステージの敵はどうあがいても回避(弾かき消し)ができない敵攻撃を連発し、短期に決着を付けないとほぼ確実に負ける。
      • こちらの攻撃はすべて直進一直線しか放てないのに、敵側*1は初回から、多方向に目にも見えぬスピードでばらまいてくる
      • さらには敵の攻撃パターンは原則ランダム*2なので、運の要素も多く絡む。特に戸愚呂(弟)の100%形態では試合開始後数秒でこちら側が即撃沈の可能性すらある。
    • 当時からこのゲームバランスのおかしさはプレイヤーから指摘されており、結構な人は本作をクソゲー呼ばわりする傾向が強かった模様。
      • とはいえ、厄介な操作に慣れ、無駄な攻撃を極力避け、的確に敵にダメージを与えられる位にやり込めば、実のところ意外とさくっとクリアできてしまうのも事実。
      • とにかく何度でも死んで死んで体に刻み込め的なスパルタ式なプレイスタイルで撃破できてしまうあたり、もしかするとバランスは考慮されているのかもしれない。
  • 演出がどうも地味。
    • 同期の幽白ゲーの中でも派手さに欠けるプレイになりがちである。
      • 各CPUの行動パターンはちょこまかと動いて小さい攻撃をばらまくだけであり、「これぞ必殺技」といわんばかりのド派手な演出が皆無である。
      • 実のところ、スーパーファミコン版の初代『幽☆遊☆白書』や、メガドライブ版『幽☆遊☆白書 魔強統一戦』の方が演出面でいえば圧倒的に華やかである。
    • バトルステージが少ない。
      • バトルステージの背景は「訓練の舞台である森林」「武術会会場」「破壊された武術会会場」の3つしかない。特に戸愚呂チーム以外の背景はすべて森林のみで、ひたすらに背景が使い回される。
  • ストーリーが薄い。
    • 戦闘訓練と戸愚呂チームとの決勝戦しかストーリーがない為に、やはりというかボリューム的な不足感は否めない。
      • ストーリー縮小のしわ寄せとして、「凍矢」や「死々若丸」といった原作の人気キャラは姿すら表さない。彼らのファンにとってはあまりにも悲しいリストラである。
      • 実は原作における戸愚呂チームの二番手「武威」やイケメンオーナー「左京」は、本作においては最初からいない事にされている(戸愚呂チームは3人だけ)。*3
      • 幻海は原則として老婆姿のみの出演であり、原作における覆面戦士姿や少女姿は本作未登場*4。特に少女幻海はかなり人気があるだけに残念なところ。
      • エンディングは原作から少々改変されており、「幻海が何事もなく最後まで生き残る(原作では"一時的に"死亡)」「武術会会場が崩壊するシーンがない」といった差異がある。
        これに関して「IFストーリーとしてはあり」と好意的に解釈できるかもしれない。
    • 実はビジュアルシーンの発生率は少ない。
      • ストーリーが短い故に、ビジュアルシーンが導入されるのは「オープニングデモ」「武術会決勝戦の鴉戦前」「戸愚呂(弟)が100%形態になる場面」「エンディング」の各イベントしかない。
      • よって、同期のビジュアル重視のSCDソフトのそれよりもビジュアルシーンの数は少ない部類に入ってしまう。
    • アニメ版の顔であるオープニングテーマ「微笑みの爆弾」は未収録なのも残念。アニメ版OPの一部である、空を飛ぶぼたんのビジュアルシーンは用意されているだけに悲しい。

評価点

  • 幽白ゲー唯一のシューティングである。
    • 完成度の面はともかく、この路線で幽白ゲーを作り上げたその心意気は評価したい。
      • プレイヤー視線で使用キャラになりきって相手と戦え、なかなか新鮮味に溢れたバトルを堪能できる。
  • グラフィックやBGMの出来は良い。
    • PCEのCD-ROM2系のお約束であるビジュアルシーンはもちろん完備されており、キャラゲーとしての作りはちゃんと意識されている。
    • グラフィック自体もしっかり書き込みがなされており、当時の基準でみてもなかなか美麗である。
    • これもお約束として、完全フルボイスで主要キャラ全員にTVアニメと同じ豪華キャストを起用している。
      • バトル開始前と決着後にて、各対戦キャラがフルボイスにて会話のやりとりをするシーンがある。当時の幽白ゲーの中でもキャラのボイス量は本作が最高だと思われる。
      • コンティニューするとバトル開始前の会話のやり取りが再度発生するが、「次こそは倒す」的にセリフが変化しているという芸の細かさ。
      • 戦闘要員ではないが、螢子、ぼたん、コエンマといったアニメ版の主要キャラもイベントシーンにて出演している。もちろん、彼女達も全員TVキャストと同じ声優が担当。
    • BGMもなかなかかっこいい良曲揃い。特に暗黒武術会関係の楽曲はかなり燃える。

総評

異様に難しい難易度とボリューム不足なシナリオ、そしてやる事の地味さ加減など、少なくない問題を抱える作品。
しかし、幽白ゲー唯一のシューティングという奇抜や、PCEの得意技であるビジュアルシーン & フルボイスの豪華さは一部のプレイヤーに評価されている。

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最終更新:2023年07月10日 22:33

*1 使用可能キャラのCPUも例外ではなく。

*2 敵の動きや攻撃方法には規則性があるが、敵攻撃範囲の機軸がプレイの都度変わる場面が多々見られる。この辺はやや曖昧だが、完全なるパターン化はほぼ不可能だと思われる。

*3 ただし、原作でも左京は戦わず「戸愚呂(弟)が勝つ方に自分の命をかけて2戦分をまとめてやる」(戸愚呂が負けたら自害する)という主旨を試合前に言い出し、戸愚呂が倒されたのを見届けると悪あがきなどもせず自爆ボタンを押している。

*4 覆面に関してはイベント限定でちょっとだけ姿を見せる