ゆっくりいじめ系3208 ゆっくり流産してねっ!

「ゆっくり流産してねっ!」

「あっちぃーねぇ。」
「やめてよ、よけいあっつくなるわ。」
「じゃあ、さむ」
「寒いっていえば寒くなるなんてあほなことゆーなよ。」
 二人の少女としえとあきがアイスを食べ、ぶらぶらとだべりながら川沿いの道を歩いている。真夏の太陽の光がさんさんと降り注ぎ、二人の肌からは玉のような汗が噴き出してくる。汗でべったりと張り付くTシャツにとしえは気持ち悪さを感じた。
「……これからどーする?」
「どーって、どうしようか。涼しいとこ、ジョスコかイヲンでも行く?」
「出た、ジョスコ。」あきの言葉にとしえは半ば馬鹿にしたように笑う。
「としちゃん、ひどっ。田舎にとってジョスコは聖地だよ?」
「はいはい。」
 いま二人がいるのはあきの母方の田舎であるS県、T市である。県の中心から西に離れたT市は山に囲まれ、今でも多くの緑が残る自然豊かな場所だ。辺りには田んぼや畑がひろがり、二人の歩いている山間の道のそばを流れるA川の水も美しく澄んでおり、二人の住む街を流れる川と同じとは思えない。夏の陽さしが水面に反射してキラキラと輝いている。帰省するあきの家族に誘われ、としえもここにいる。
「さいしょはめずらしかったけどさ。」二人はサンダルを脱ぎ、足を川にいれてつかの間の涼をとる。
「あきには悪いけどさ、やっぱ田舎だわー。やることねーもん。」
「なんどもひどいなぁー、としちゃん。……でもたしかにやることないねぇ。」
「男子ならなんかあるかもしんないけど、うちら女子だし。」
「虫取りとか死んでもしないし。」
「さんぽするのいいけど、なんもないし、あっちーし。」
「そうだねぇ。」
 ぱしゃぱしゃと水面をけり、水しぶきをあげる。しばらくの間辺りには蝉のうるさいくらいの鳴き声と、田んぼから聞こえるカエルの鳴き声、そしてあきがたてる水音が響いた。
「あっ、ゆっくりだ。」ふと、あきが声をあげた。
「どこ、あぁ、ほんと。」あき見る方向にとしえも目をむけると確かにそこには一匹のゆっくりれいむがいた。
「田舎にもいるんだぁー。」
「どこにでもいるんじゃない?こどもつくることしか能がないからねぇ。」
「……、てかさ、なんかでかくね?」
 そのれいむは二人がいる岸を50メートルほどのぼったところにある木陰にいた。普通のゆっくりの大きさであれば、それだけ離れていればここからでは野球ボール大くらいにしか見えないだろう。しかし、どう見てもそのれいむはそれよりずっと大きい。
「たしかに。」そういうと二人は面白いおもちゃをみつけたようないたずらな顔を合わせた。
「行ってみるかぁー、暇だし。」
 川のほとりから立ち上がり、濡れた足もそのままでサンダルを履き、二人はそのれいむのもとまで駆け出した。二人にとってはただの暇つぶし、れいむにとっては地獄のような苦しみの時間が始まるのだった。
 2
「「でっけぇー!」」二人は意識したわけでもなく、同じ言葉を口にした。
「なにこいつ、ちょーでかいんだけど」
「まじだわ、1メートルはあるんじゃね?」
「たぶん、普通のゆっくりの何倍だ?あぁ、こいつがドスって奴?」
「違うと思うよ。ドスってまりさがなるみたいだし。」
「ふーん、それはいいけど、とにかくでっけーな、こんなでっかいの初めて見た。」
「うぅーん。ゆゆうっ、なんだかうるさいんだよぉ。」
  木漏れ日が優しげにふりそそぐ最高のゆっくりプレイスでお昼寝をしていたゆっくりれいむが、ふわぁぁとあくびをしながら目を覚ます。
 「ゆゆっ、にんげんさんだ。ゆっくりしていってね!」
 寝ぼけまなこに二人のにんげんさんの姿をみとめると、まだ眠いのを我慢してれいむはごあいさつをした。
「「ゆっくりしていってね!!」
 としえとあきも笑顔でゆっくりのあいさつを返す。
「ゆゆぅー、にんげんさんもとってもゆっくりしているね!!」
 嬉しそうにれいむは答えた。よかったわるいにんげんさんじゃあないみたいだ。
「れいむもね。どうあまさまさん、飴しかないけど食べる?」
「ゆっ、あまあまさんくれるの?れいむあまあまさんだいすきだよっ。」
「そっかそっか、はい、じゃーどうぞ。」
「ありがとー、にんげんさん!とってもゆっくりできるよ、ぺーろぺーろ、……し、し、しあわしぇーー。」
 にんげんさんからもらったあまあまさんのおいしさに全身で感動をあらわすれいむの傍らで、としえとあきは何事かを話している。
「…ゲスゆっくりじゃないみたいね。」
「飼いゆっくりでもないみたい。バッジないもん。ねぇ、れいむ」
「しあわしぇーー、ゆゆっ、なぁに、にんげんさん?」
「れいむはどうしてそんなに大きいの?」
「ゆゅ、どうしてかなぁ?」少し考えるように小首をかしげたあと「ゆゅー、たくさんごはんさんをむーしゃむーしゃするからだと思うよ!」と元気に言った。
「それはなに?山にそんなにたべものがおちてるの?」
「それもあるけど、おやさいさんもたべたりするんだよぉ。」
「なに、勝手に畑に生えてる野菜を食べてるわけ?」
「ゆゆぅー、ちがうよ。生えてるのはだめだけど、たべていいよっていうちいさいおやさいさんがあるんだよぉ。それにれいむはいまたくさんむーしゃむーしゃしなきゃいけないんだよ!」
「ふぅーん?そうなんだぁ。」れいむの答えを聞くとひそひそと二人だけで話し始めた。
「つまり、売り物になんないよーな捨てられた野菜をたべてるってわけか。」
「田舎の人はやさしいねぇ。でも積極的に世話してるってわけでもないみたい。むかつくねぇ、ゆっくりのくせに。ゆっくりしすぎだよ。」
「そんなゆっくりはさ…」としえがあきの耳元でぼそぼそつぶやく。「ふふっ、くすぐったい。」ばか、と言ってとしえはそんなあきの頬をつまみながら話を続ける。「こうするのはどう?」、「うわぁ、すっごく面白そう。」、「じゃあ、そういうことで。」、「おっけー。」

「れいむ。」あきがれいむに再び話しかけると同時に、としえはその場所から離れていく。
「なぁに、にんげんさん。もしかしてもっとあまあまさんくれるの?」
「うん、いいよ。でもその前に私たちと遊んでほしいの。」
「ゆっ、いいよぉ、なにしてあそぶのぉ」れいむはぴこぴこを左右のもみあげ震わせ期待に満ちた目であきを見る。
「それはねぇ、ぎゃくたいっていうの。」そんなゆっくりしたれいむの様子を見て、あきは満面の笑みで答える。
「ぎゃくたい?ぎゃくたいさんってなぁに?たのしいの?」
「うん、でもそれは私たちにとってだけね」
「ゆゆぅー?」その言葉になにか不穏なものを、はっきりとした形ではないがれいむは感じた。しかし、一方でもあまあまさんをくれて優しくしてくれたにんげんさんがひどいことはしないはずという気持ちもある。
「れいむぅー!」そんな 大きな自分のを呼ぶ声が聞こえた。声の主は先ほどここから離れたもうひとりのにんげんさんだ。なんだろうと思っていると、そのにんげんさんが叫びながらこっちに走ってくる。
「ゆっ、くっ、りっ、しっ、てっ、いっ、てっ、ねぇー」
「ゆゆゅ?にんげんさんもゆっくりしてい、ゆげぇぇええええええええええええ。」
 ゆっくりのあいさつを言い終えることなくれいむはゆがんだ叫びをあげざるをえなかった。にんげんさんがこっちに走ってくるかと思うと、ぴょんと飛びあがり自分の頭をふみつけたのだ。
「ゆがぁぁぁあぁぁ、にんげんさんなにするのぉ、こんなおあそびれいむゆっくりできないよぉぉ。」
 飛び乗られた衝撃で口から餡子を吐いてしまい、苦しげにれいむはにんげんさんにたづねた。
「へぇー、まだやめろぉーとか、くそにんげんがぁーとかいわないね。」
「ふっーん。田舎だからかな。」
「もぅー、としちゃんさっきから馬鹿にしすぎー」ぷんぷんと少し怒った声色をだすあきに、としえはごめんごめんと謝るしぐさをする。
「にんげんさぁん、きこえてるのぉ、こんなおあそびれいむたのしくないよぉ。」
「ばかだなぁ、さっきいったでしょ、あんたには楽しくないって。楽しいのは私たちだけ。」
「……ゆゆっ?」
「そんなこと話してたん?でも、まっ、ほんとーに楽しいのはこれからなんだけどね。」
 としえはにやりと笑うと、れいむの左右のもみあげをつかみ、れいむを地面にあおむけになるような形で倒した。
「よいしょー。っあぁー、おもてぇー、でっかいだけのことはあるわ、このデブれいむ!」
 すかさずとしえは倒したれいむの上に馬乗りになり、ぱぁんと鋭い平手をれいむの右頬にお見舞いする。
「きぃーてんのかよ、このでぶまんじゅう。」
「ゆゆうっ、きこえてるよぉ、きこえてるからゆっくりしないではやくやめてね!」
「ざんねんでしたー。やめませーん。おらっ。」あきはさらにもう一発今度はれいむの左の頬をうつ。
「ゆんやぁぁぁ、いたいよぉぉぉ、ゆっくりできないよぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
「てめぇー、まんじゅうこのやろー。なんじ右のほっぺたぶんなぐられたら、」今度はあきの履いていたサンダルを手に持ってれいむの頬をうつ。
「さっさと左のほっぺもさしだせや、このくそまんじゅうがぁ!」としえはれいむの頬をぱんぱんぱん滅多打ちにする。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!」
「ゆげぇ、ゆぎゃあぁあ、やめへっ、もう、」
「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
 ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラーッ!」
「ゆへぇ、ゆっ、ゆぎゃぁ、くだっ、さいっ、もうやっ。」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁー」
 ゆっ、ゆゆっ、やべえ、ゆげぇと頬を張られるたびに短い悲鳴をあげ、同時に口から少量の餡子とよだれをはきだす。痛みのせいで目からは涙が流れ続け干からびてしまうかと思うほどだ。その様子を見るあきが笑顔で息きれないのっと笑ってみていた。
3
「おらっ、どうだれいむ?」
 それからもう何十回、いや何百発れいむの頬を張ったのだろうか。今やれいむは頬を叩かれてもびくりと体を震わすだけで、泣き叫ぶこともしなくなった。としえのほうはさすがの体力に自信のある彼女もさすがに息を荒くし、体中から汗がふきだしてTシャツを濡らしている。しかし、先ほどとは違ってその流れる汗も心地よい。一仕事終えたような達成感に包まれているためだろか。ゆっくりいじめに達成感って、とつい自分でも内心苦笑してしまう。
「お疲れ様。」
 ふいにとしえの首筋にヒンヤリとした感覚が走る。あきがはいっと、としえの首にあてたジュースを差し出す。
「おっ、さんきゅー」
「どういたしまして。いやぁ、でもすごいねぇ」
 何百回も打たれ続けたれいむの両頬、いやその体は血が通っていないにも関わらず真っ赤になっている。口には漏れたあんことよだれでぐしょぐしょになり、顔には流した涙の跡がはっきり残っている。としえに馬乗りになられたままのれいむ既に気絶しているのか、それとも痛みで動けないのかぐったりとし荒い呼吸を繰り返している。
「でしょ、体がでっかいからちょー叩きがいがあったわ。」
「そうだね、普通のゆっくりだったら死んでるかも。」
「うん、でもさ、見てみ?」としえはれいむの頬を指差す。
「もし拳固でなぐってたらもう皮から餡子が出てると思うんだけどさっ。」
「うん?」
「平手で打ち続けたからそんなに皮もやぶれてないっしょ?」
「ほんとだー。」
「でも、その割に体の中自体にダメージは与えられたと思うんだけど。…ほら、れいむっ!」
 としえはれいむの口に飲んでいたオレンジジュースを流し込んでやる。
「……ゆぅぅぅ、ゆんやぁぁぁぁぁっぁぁぁ、もうやめてくださぃぃぃぃぃ。」
目を覚ましたれいむは叫び声をあげるが、すぐにうるさいと叩かれた。
「ゆぅつ、ゆぇ、ゆぇえぇ、どうしてぇ……。」
「あん?」
「どぼちてこんなことしたのぉぉぉぉぉ、れいむなにかわるいことしたぁぁぁ?あまあまさんほしがったせいですかぁぁぁぁ?したならあやまりますからぁぁぁ、もうやめてくださぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」
「いやぁ?べつになんもしてないけど?ていうーか、あんたなんかしたっけ?」
「……ゆっ?わからないよぉ、ならどうしてこんなひどいことしたのぉぉ?」予想外の答えにきょとんとするれいむ。
「いや、やることなかったから、暇つぶし、みたいな?あんたみたいなでっかいゆっくりはじめて見たし、なんかたたきがいありそうだなぁーって。」
「ひっどー、まじ鬼だわ。て、見てたわたしもだけど。」あきはクスクスと二人のやりとりを見て笑みをこぼしてしまう。
「でも、もう飽きたわ!」笑顔でそう言い放つと、としえは馬乗りになったままであったれいむから降りた。
「…………。」
「別に殺すつもりはないからさっ、もうどこにでもいけば?」
「ヤリ捨てってやつだぁー、あきちゃんまじレイパーだよ。」
「聞いてる、れいむ?もう視界から消えて、うざいから。」
 うつむいたままで二人の言葉を聞いていたれいむが急にぶるぶると体を震わせたかと思うと、二人に向かい叫んだ。
「このぉぉぉぉぉぉ、くしょにんげんがぁぁぁっぁぁぁ、なにがひまつぶしだぁぁぁぁ、
 こんなくずはせいっさいしてやるぅぅぅぅぅぅ!」
 としえに向かい渾身の力をこめ、体当たりしようとするが、悲しいかなしょせんはゆっくり。ゆっくりの動きが人間の速さを凌駕することはない。ましてこのれいむは1メートルを超すような巨大ゆっくりである。どんなに自身が速く動いているつもりでも決して二人に追いつくことはない。
「にげぇるなぁぁぁ、ゆっくりしないでさっさとせいっさいされろぉぉぉぉぉぉ!」
「うわぁぁ、こわっ、れいむまじおこぷんぷんまるなんだけど。ゲスになったの?おお、怖い怖い。」
「ていうか、ムカ着火ファイアーじゃない?ほらほら、ゆっくりしないで早くこいよ。」二人はおにさんこちらのように手のひらを鳴らしてれいむを挑発する。
「こんのぉぉぉぉぉ、ばかにするなぁぁぁっ!………ゆっ!」
 原住民のような、まるでゆっくりに似つかわしくない叫びをあげて二人を追っていたれいむが急にその動きを止める。
「あれ、どうしたんだろ、急に止まったよ、あいつ。」
「わなじゃね、なにか企んでるとか。」
「かなぁ?いやっ、なんか違うみたい。」
 よく見るとれいむは粘着質な汗をかきながら顔をひきつらせ、自身の体にむかってなにか話している様子だ。
「だめだよぉ、あかちゃん、まだでてきちゃだめだよぉぉぉぉぉおぉ。」
「どうしちゃったの?」
「ゆっ、くそにんげんがぁぁぁぁ、ゆっくりしないではやくきえろぉぉぉぉ。」
「追いかけてきたり消えろって言ったり、忙しいやっちゃな…。れいむー、あかちゃんが産まれそうなのー?」 
「そうだよぉ、赤ちゃんまだおかあさんのなかにいなきゃだめなんだよぉ。まだうまれるのははやいからねぇぇぇぇぇ」
「ふーん、あんたの体のなかに赤ゆっくりがいて、そいつは産まれたらすぐ死んじゃうような未熟児ってわけなんだ?」
 そのあきの言葉を聞き、としえはにんまりと笑う。そして、痛みで動くことのできないれいむに近づき、おもむろにその腹を蹴った。
「ゆっ、やめろぉぉぉ、ばかなのぉぉぉぉ、赤ちゃんがでてきちゃうでしょぉぉぉ。」
「いんだよ、流産しちまえ。」そういうと今度は何度も執拗にれいむの腹を蹴りあげる。
「りゅうざん?」
「そうだよ、予定よりはやくうまれちゃうことを流産っていうんだよ。おまえみたいなくそまんじゅうの子供なんか生きてたってしかたないからさ。」
まるで猫がネズミをいたぶるかのような目をして、それでいてとても優しげな声で言う。
「ゆっくり流産してね!」
 としえに蹴りに合わせるかのように、あきも囃子声をあげる。
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」としえもれいむの腹部を蹴るたびに声をあげ始めた。
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
 そんな声にかこまれたれいむ。
「やめろぉぉぉぉ、だまれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、あかちゃんだめだからね。おかあさんはあかちゃんをりゅーざんしたりしないからね。」
「さっさとながれろよ!おらっ!」続けてれいむの腹を蹴る。
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
「りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん、りゅーっざん。」
 れいむは二人の呪いの言葉をまるで人間が耳をふさぐようにして両方のもみあげを顔に当てる。
「やめろおぉぉぉぉ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ。………ゆっ?」
 叫ぶために力を入れてしまった、まさにその瞬間まむまむから嫌な感触がれいむの体に走った。
「ゆっ、ゆっ、ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ、おちびちゃぁぁぁぁっぁぁぁん、うまれてきちゃだめっていったでしょぉぉぉぉぉぉ。りゅうざんしちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」
「ゆゅ、ゆやぁぁぁ」
 未熟な体で―眼も口もはっきりしない、髪の毛もほとんんど生えておらず、かろうじてお飾りの形からまりさ種とわかる―生まれてしまった赤まりさが苦しげに小さなうめき声をあげる。
「あかちゃぁぁぁん、ゆくっりしていってね、ゆっくりしていってね!……いってね、ゆっくりしてねっていってよぉぉぉぉぉぉ。」
 未熟児赤まりさはれいむのほうを見ようとするが、体を動かすこともまともにできないのだろう、コロンと転がったかとおもうと、そのまま短い間隔で体を震わせる。
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……。」
 始めから小さかった声がまるでろうそくの炎が消えるかのようにどんどん小さくなっていく。そしてついにうめき声もあげなくなり、未熟児赤まりさはゆっくりすることなく―そもそも意識があったかすらわからないが―死んだ。
「いっぇーい、りゅうざん成功―。」
「死んだまりさにかんぱーい!」
その様子を見て、としえとあきはぱんと小気味のよい音をたてハイタッチをする。
「ねぇ、れいむ、いまどんな気持ち?りゅーざんしちゃっていまどんな気持ちぃ?」
「赤ちゃんをりゅーざんするなんて、れいむはさいってーのお母さんだね!赤ちゃんもあんたみたいなくそおやに育てられなくなってよかったね!」
 二人はくるくるとれいむの周りをまわりながら、声をあげる。
「さいてーのくずおや?……れいむはくずなおやなの?」
 自分の子供の死を受け入れられず、呆けていたれいむが二人の声に反応する。
「そうだよっ、自分の子供も守れないなんてさいってーだよ。」
「そうそう、さいってー」
「れいむはさいってー、りゅうざんして、こどももしなせるようなくずゆっくり…。」
「わかってんじゃーん。そうだよ、このク、ズ!!!」
「………ゆへぇぇぇぇぇ、そうです。れいむはくずです、くずなゆっくりです、赤ちゃんをころしたさいってーなゆっくりです……。ごめんねぇ、赤ちゃん。こんなくずからうまれてごめんねぇ。ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ、ごめんねぇ。」
「あらら、壊れっちゃたねぇ。」
「うん壊しちゃったねぇ。メンタル豆腐すぎ。そんなんじゃ、平成の世は生きていけないよー。」
 赤ゆっくりの死骸を前にして、目の焦点もあわずよだれをだらだらと流しながらぶつぶつごめんねごめんねとつぶやくれいむをみて二人は顔を合わせた。
「……でもっ、まっ、ゆっくりがどうなっても知ったこっちゃないかー。むしろこの世からごみが消えたみたいな?」
「そうだねぇ、そろそろ日も暮れてくるし帰ろうっか。」
「帰ろうっか、今日のご飯なんだろうね?」
「お寿司とってくれるっていってたよ。」
「まじで、やったー田舎サイコー!」
「現金だなぁ。」
 としえの変わり身の早さにあきはついつい苦笑してしまう。そして楽しげな様子で二人は家路についた。
 いつの間にか空はオレンジ色の見事な夕焼けに染まっている。その光が壊れたれいむの体ににもオレンジ色に染め上げる。れいむはいつまでもぶつぶつと赤ゆっくりの亡骸のまえで謝り続けていた。


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最終更新:2024年04月05日 13:48
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