ゆっくりいじめ系3062 母性3(前編)

※ゲスれいむいじめ


 母性3


「ゆ~ゆ~ゆゆゆ~ゆゆゆっゆ~ゆ~♪」

今日も、れいむを囲んで赤ゆっくりたちが合唱している。
俺には音程もリズムもなにもないただのうめき声にしか聞こえないが、ゆっくり達は楽しそうだ。

「ゆっぷ……ゆげぇ…………ぺーろ、ぺーろ……」

一方、父親のまりさのほうは妻と子供から離れて辺りのうんうんを掃除している。
母親と子供たちが辺り構わずまき散らす糞尿の掃除に、まりさは日々追われていた。
糞まみれになって這いずる父親に、他の家族は近づこうともしない。


五匹の子供が生まれて七匹家族になったゆっくり達。
その子育ては、明確な役割分担がれいむの独断によって線引きされていた。

母親れいむの仕事は、以下の通り。
子供に歌を歌うこと、子供に歌を教えること、子供にお話を聞かせること、
子供を寝かしつけること、子供と一緒に遊ぶこと、子供にすーりすーりすること、子供をぺーろぺーろすること、
子供が泣いたらあやすこと、子供に挨拶などの知識を教えること、子供を見ていること、子供と一緒にいること、などなど。

父親まりさの仕事は以下の通り。
狩りに行って足りない分の食事を取ってくること、そして家族のうんうんを食べて処理すること。

「れいむはおちびちゃんたちのためにいっぱいいっぱいおしごとをしてるんだよっ!!
だからいっぱいいっぱいたべなきゃいけないんだよ!!
まりさはかりとおそうじしかできないくせにいちにんまえにごはんさんたべようなんておこがましいとおもわないのおぉぉ!!?」

れいむに言わせればそういう事になるらしい。

そういった理屈のもと、れいむは毎日赤ゆっくり達に囲まれて歌い団欒し笑いさざめき、
まりさの方は日がな一日うんうん掃除に追われ、狩りに行っては全身を痣だらけにしていた。


赤ゆっくりが生まれたのを機に、俺が朝晩与える餌はゆっくりの数に合わせて増やしてあった。
しかしどれだけ餌を与えても、まりさがどれだけ盗んできても、まりさの食事が取り分けられることはなく、
赤ゆっくり達が満腹してからの余剰分はすべて母親れいむの腹に収まった。
一切食事を分けていないはずのまりさが生き続けていることにれいむは疑問さえ抱いていないようで、
「まりさがちゃんとはたらけばいいだけだよっ!!はたらいてからすきなだけたべてね!!」の一点張りだった。
結局まりさの食事は、狩りでゆっくりフードを見つけてから、
俺に見つかるまでに必死にかきこむ形で摂られていた。


さて、子供は残酷である。
最初の頃こそ、赤ゆっくり達は父親が母親に怒鳴られるたびに父親を心配してかばう様子を見せていたが、
毎日痛む体を引きずってベランダを這い回り、掃除で全身をうんうんまみれにして悪臭を放つ父親に対して、
少しずつ敬遠し、距離を置くようになっていった。
それどころか、母親の尻馬に乗って父親を罵倒しはじめた。

「なまけもにょのおちょーしゃんはゆっくちできないにぇっ!!」
「うんうんおちょーしゃん、くちゃいくちゃい~♪」

元来、ゆっくりという生物には弱いもの苛めが大好きという特徴があり、
自分より弱い生き物や飾りを失ったゆっくりに対して強い嗜虐性を見せる。
日々虐げられる、母親より小さな父親の姿が、娯楽の少ないゆっくりの嗜虐性を刺激したのだろう。


とはいえ、個体差は見受けられた。
別に生まれた順番を数えたわけではないから俺には不明瞭だが、
五匹の赤ゆっくりのうち、どうやら長女はれいむ種、末っ子はまりさ種らしい。

父親を罵倒する赤ゆっくり達の中で、長女れいむは父親を罵るのに気乗り薄らしく、
姉妹達が父親を罵るたびに、初めのころは諫めていた。

「おちょーしゃんをばきゃにしちゃだめだよっ!!ゆっくちできにゃいよ!!」

そう言われた姉妹は身をすくませて反省するふうだったが、
そのたびに母親のれいむが強い語調で打ち消すのだった。

「ゆっ、れいむはやさしいね!!でもいいんだよ!!
おとうさんがなまけものなのがわるいんだよ!!だめなおとうさんなんかかばわなくてもいいんだからねっ!!」

姉よりも母親の言う事を聞くのは至極当然である。
母親のお墨付きを受けて姉妹たちはますます調子に乗り、父親を言葉を極めて罵った。
長女れいむは母親の機嫌を損ねることを怖れ、今ではそれを止められずにいるようだった。
しかし、自分自身が父親への罵倒に参加することまではしなかった。

末っ子まりさは最初から父親にべったりだった。
どれだけ母親や姉妹たちが罵っても、父親を慕うのをやめようとしなかった。

「おきゃーしゃんもおにぇーちゃんもやめちぇぇぇ!!
にゃんでおちょーしゃんをいじめりゅのおぉぉ!!?ゆっくちできにゃいよおおおぉぉ!!」

家族が父親を罵るたびに、末っ子まりさは泣き喚いた。
そのたびに長女れいむ以外の姉たちや母親に説教されるのだが、
長女れいむと違い、どれだけ説得されても父親への罵倒を看過しようとはしなかった。
父親が母親れいむに体当たりされ、罵られるたびに、末っ子まりさはそのへんをぴょんぴょん跳ねまわって泣き喚いたが、
今ではほとんど無視されていた。

しかし、毎日ベランダの隅に追いやられて排泄物を舐めるまりさにとって、
末っ子まりさのその叫びはいかほどの励みだったろう。
これほど虐げられていながら文句ひとつ言わず耐え忍ぶまりさの動機が、俺にはわかるような気がした。


子供が生まれて数日が経ったころ、どうも雲行きが怪しくなってきた。

「なまけもにょのおちょーしゃんをかばうまりしゃはゆっくちできにゃいよっ!!」
「しょんなにおちょーしゃんがしゅきにゃらいっしょにうんうんなめてにぇ!!」

長女れいむ以外の赤ゆっくり達が、末っ子まりさをいじめるようになってきた。
体当たりをしたり、罵ったり、軽く噛みついたり。
餌皿に向かうとき、ケージに向かうとき、移動中に姉が末っ子まりさにわざと強くぶつかって転がす。
そんな嫌がらせが目立ってきた。

「ゆびゃああぁぁ!!おにぇーしゃんがいじわりゅしゅるううぅぅ!!」
「ゆゆぅぅ!!やめちぇね!!いもうちょをいじめちゃだみぇだよおぉ!!」

長女れいむがそのたびに末っ子まりさを庇うのだが、姉妹たちは素知らぬ顔。

問題は、母親であるあのれいむが、同じく素知らぬ顔をしていることだった。
さすがにいじめを推奨するような言動はしないが、
あの末っ子に対する姉妹のいじめを、明らかに見て見ぬふりをしていた。

おかしい。


赤ゆっくり達が、母親と頬をこすり合わせて声をあげている。

「おきゃーしゃん、しゅーりしゅーり♪」
「ゆふふ、れいむのほっぺはゆっくりしてるね!すーり、すーり!!」
「しゅーり、しゅーり、しあわちぇー☆」
「すーり、すーり、しあわせー☆」
「ゆーん!しゅーり、しゅーり、しあわちぇー♪」
「…………」
「ゆぅ…………?」

頬をこすりつけられるたびにれいむは子供たちにすりすりを返していたが、
末っ子まりさのすりすりには返事を返さなかった。

「おきゃーしゃん!!おきゃーしゃん!!しゅーりしゅーりちてねぇぇ!!」
「れいむはかわいいね!すーり、すーり☆」
「まりしゃをむちちにゃいでよおぉぉ!!ゆわああぁぁん!!」
「ゆはぁ…………ゆっ、きづかなかったよ!ごめんね!ほら、すーりすーり!!」
「ゆーん、しゅーり、しゅーり!!」

明らかに溜息をついてから、れいむは申し訳程度のすりすりを末っ子まりさにしてやる。
末っ子まりさは無邪気に喜んでいたが、はたから見ていれば違和感は明らかだった。


「ゆ~ゆ~ゆぅゆ~♪ゆっゆ~……」
「やめてねっ!ぜんぜんゆっくりしてないよ!!
なんでこんなかんたんなおうたがうたえないのおぉ!?」
「ゆぅぅぅ………」

れいむが末っ子まりさを怒鳴りつけていた。

毎日の日課、歌唱の時間。
母親のれいむが歌を歌い、子供たちがそれを教わる。
しかし今日、れいむは初めて子供を叱りつけた。

「もういっかいうたってみてねっ!!」
「ゆ……ゆ~ゆ~ゆっゆ~♪ゆゆゆゆゆ~~」
「ゆっくりできないよっ!へたくそ!!
こんなにおうたがへたなんて、ほんとうにれいむのこどもなのおおぉ!?」
「ゆぅぅう!!まりしゃはおきゃーしゃんのこどみょだよおぉぉ!!ゆわぁぁ!!」
「なかないでねっ!!うっとうしいよ!!
おうたのうたえないまりさはきょうのむーしゃむーしゃはぬきだよっ!!」
「ゆわあああぁぁ!!ゆわああああぁぁん!!!」

そんな光景を、長女以外の姉妹はにやにやと眺めていた。


末っ子まりさが難詰されるのは歌のときだけではなかった。

「そんなところにねてちゃおねえちゃんのじゃまでしょっ!!」

「なにぼーっとしてるのぉ!?おうちにはいるよ!!さっさとうごいてねっ!!」

「ゆっくちじゃないよ!!ゆっくりしていってね!!なんであいさつひとつまんぞくにできないのぉぉぉ!?」

「いいかげんになきやんでねっ!!おかあさんはおまえだけにかまってられないんだよぉ!!」

もはや明確だった。
このれいむは、教育にかこつけて末っ子まりさをいじめている。
何やかやと理由をつけては、末っ子まりさばかりを怒鳴りつけていた。

母親に怒鳴られるたび、甘ったれた末っ子まりさは大声で泣きわめく。
母親がそっぽを向いた後、そんな末っ子まりさを長女れいむだけが慰めていた。

「ゆっくりなきやんでね………こわかったね……ぺーろぺーろ……」
「ゆぐっ、ゆひぃっ………ゆえええぇぇん…………ゆえええええぇぇぇぇぇん………」

長女れいむが新たにいじめの対象になるまでに時間はかからなかった。


「なんでこんなおうたもうたえないのおぉぉ!?いちばんおねえちゃんでしょおおぉ!!」

「さっさとおふとんをひいてねっ!!おねえちゃんがそっせんしてうごくんだよっ!!」

「いつまでねてるのっ!!まりさっ!!おねえちゃんたちのあんよをひっぱらないでねええ!!」

「ほかのこはちゃんとできてるよっ!!おまえたちはなんなのぉ!?おかあさんへのいやがらせなのおおぉ!!?」

長女れいむと末っ子まりさの二匹が、狙い撃ちでいじめられていた。
何かしようとするたびに怒鳴られて邪魔され、結局何もできないという体だ。
そのぶんゆっくりできる他の赤ゆっくり三匹は、呑気ににやにやして母親の蔭から二匹を罵倒している。

二匹の赤ゆっくりは、なにかと難癖をつけられては食事を削られ、寝る場所を制限され、スキンシップを後回しにされ、
何につけても冷遇されるようになっていった。
泣きじゃくる二匹に味方する者は誰もいなかった。


そんな日々が続き、今日も二匹は食事を抜かされていた。
まりさが狩ってきた食事を、家族でむしゃむしゃ食べるれいむ達。
そこからやや離れた地点で、長女れいむと末っ子まりさは身を寄せあっていた。
ゆぐゆぐ泣きじゃくり、お腹が空いたとむずかる末っ子まりさを、
長女れいむが、自分だって泣きたいだろうに笑ってぺろぺろ舐めて慰めていた。


俺はそんな光景を、苦々しい思いで眺めていた。
こうなったか。
やはりこうなってしまうのか。
俺が見たかったものは、もうちょっと面白いものだったのだが。


母親たちから離れて身を寄せ合う二匹の赤ゆっくりの傍に、おずおずと近づく影があった。

「ぺーろぺーろしてあげるよ……ゆっくりしていってね」

父親のまりさだ。
このまりさが喋るのを聞いたのは何日ぶりだろうか。
全身にへばりつくうんうんを苦労して舐め取り、父親は我が子の元に身を擦り寄せていた。

舐め取ったとはいえゆっくりのやることで、汚れた身体の悪臭は隠しようもないだろう。
それでも父親に慰められた二匹の赤ゆっくりの表情はぱあっと明るくなり、一心に父親に頬を擦り寄せた。

「ゆううううう!!おちょーしゃん!!おちょーしゃああああん!!!」
「ゆっくちしちぇいっちぇね!!ゆっくち!!ゆっくちいいいい!!!」
「ゆゆーん……おちびちゃんたちはとってもゆっくりしてるよ……ゆっくりなかないでね」
「ゆわあああああぁん!!きょわかっちゃよ!!おにゃかしゅいちゃよおおおぉぉ!!」

お腹がすいたと泣く末っ子まりさの口に、まりさは自分の口を寄せると小声で囁いた。

「おちびちゃん……ゆっくりむーしゃむーしゃしてね!」

そう言い、まりさは口の隙間からゆっくりフードを押し出して子供の口になすりつけた。
狩りのとき、口の中に隠して取っておいたものだろう。

「ゆっ!!むーちゃ、むーちゃ……ちあわちぇええええ!!!」
「れいむもゆっくりむーしゃむーしゃしようね!」
「おちょーしゃん、ありがちょおおぉぉ!!」

赤ゆっくりの「しあわせー!!」の唱和は抑えられるものではなく、
それらは離れていたれいむの耳にも届いてしまった。
れいむは顔をしかめ、まりさ達の元に駆け寄って怒鳴った。

「なにをむーしゃむーしゃしてるのっ!!おかあさんにみせてね!!!」
「ゆゆゆっ!!」

しかし、まりさも赤ゆっくり達も口にゆっくりフードをこびりつかせながらそっぽを向いてしらを切った。

「まりちゃはにゃにもたべちぇにゃいよっ!!」
「れいみゅもたべちぇにゃいよ!!」
「ゆがあああぁぁ!!!おかあさんにうそをつかないでねえええぇぇ!!!」

れいむはたちまちのうちに癇癪をおこしてぼんぼん跳ね出した。
そうして赤れいむと赤まりさに駆け寄り、子供たちに体当たりをした。

「ゆびゃぁっ!!」
「ゆぎぃ!!」
「おかあさんになんでうそをつくのおおぉぉ!!?
なんでおかあさんのいうことがきけないのおぉぉ!!!いうことをきかないとゆっくりできないでしょおぉぉ!!!」

成体でもかなり大きいほうのれいむに体当たりをされた二匹の赤ゆっくりは、
痛みのあまりに床に転がって震え、少量の餡子を吐き出していた。
なおも赤ゆっくりに体当たりをしようとするれいむの前に、まりさが立ちはだかった。

「ゆっ!?どいてねっ!!どけえええぇぇ!!!」
「まりさのおちびちゃんをいじめないでねっ!!!」

いまや自分の倍近くはあろうかという妻に向かって、まりさは健気に声を張り上げていた。

「ゆがぁぁ!!うんうんまみれのやくたたずまりさが、れいむのしつけのじゃまをしないでねぇぇ!!」
「おちびちゃんをいじめるれいむはゆっくりできないよ!!
まりさはずっとみてたよっ!!れいむのやってることはしつけじゃないよ!!いじめだよ!!」
「どぼじでぞんなごどいうのおおおぉぉっ!!?
れいむはおちびちゃんのために!!まいにちまいにちがんばってこそだてしてるんだよぉ!!
おうたをおしえてあげて!!あいさつもおしえてあげて!!すーりすーりしてあげてええぇ!!
れいむだってあそびたいのに、がまんしておちびちゃんたちをずっとかまってるんだよ!!
こんないうこともきけないゆっくりできないちびどもだって、がんばってめんどうみてるんだよおぉぉ!!」
「みてないでしょおぉぉ!!?
おちびちゃんはたくさんたべなきゃいけないっていったのはれいむだよっ!!
それなのに、なんでこのれいむとまりさはおなかをすかせてるのぉ!?」
「おしおきなんだからしょうがないでしょおおぉぉぉ!!?やくたたずのくせにくちをはさむなぁぁ!!」
「もういいよっ!!
ゆっくりできないちびどもなんていうなら、このこたちはめんどうみなくていいよ!!
このれいむとまりさはまりさがそだてるよっ!!それならいいでしょ!?」
「やくたたずのまりさにこそだてなんてできるわけないでしょおおおぉぉ!!!」
「ゆーん!!まりちゃ、おちょーしゃんがいいよっ!!」

末っ子まりさが伸びをして叫んでいた。
目をきらきらさせながら、痛む体に鞭打って父親のもとに這い寄り、うんうんのこびりついた頬にすーりすーりをする。

「ゆゆぅ~ん☆きゃわいいまりちゃをゆっくちそだててにぇ!!」

長女れいむの方も、母親を気にしてか末っ子まりさのように声をあげることはしなかったが、
父親のまりさの陰に隠れるようにしてすーりすーりをしはじめた。

「まりさのおちびちゃんたち…………!!」

感涙し、二匹の子供たちに舌を伸ばしてぺーろぺーろをするまりさ。
面白くないのはれいむだった。
顔を真赤にして、涎をまき散らしながら地団太を踏んで怒鳴り散らす。

「ゆがああああああぁぁぁーーーーーーーーっ!!!!
ぞんなうんうんまみれのぐぞまりざがおがあざんよりいいっでいうのおおおおぉぉお!!?
ぞんなにおがあざんがぎらいなのっ!!?おがあざんがわるいのっ!!?
おがあざんはごんなにがんばっでるのに!!がまんじでめんどうみでやっでだのに!!
おばえだぢなんが!!おばえだぢなんがああああああーーーーっ!!!!」
「ゆぎゃあっ!!!」

激昂したれいむが、まりさを突き飛ばしていた。
激しく床に突き倒されたまりさの下敷きになり、長女れいむと末っ子まりさが悶える。

「ゆぎゅぅぅ!!くるちぃいい!!」
「ゆぶぶぶぶぶぶ!!」
「ゆ、ゆゆっ!!おちびちゃんたちごめんねぇえ!!」

まりさが急いで起き上がり、自分のダメージも顧みずに子供たちの心配をする。

「ゆゆーん、れいみゅはだいじょうびゅだよ!!おちょーしゃんこそだいじょうびゅっ?!」
「おちょーしゃあぁん!!」
「おとうさんはだいじょうぶだよっ!!ゆっくりしていってね!!」
「ゆぅぎいいいいいぃぃぃぃ!!!」

互いにかばい合う三匹を前にして、完全に蚊帳の外になった形のれいむは、
ますます激昂して叫び、子供を狙って飛び上がった。

「おかあさんのいうことをきかないげすはゆっくりしね!!!」
「ゆっぐりやめでねっ!!」

父親まりさが子供をかばい、母親の体当たりを受けた。
口の周りを涎まみれにさせて叫び散らしながら、れいむは夫に向かって気がふれたように体当たりを繰り返す。

「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!
なまけもののげすまりさはゆっくりしね!!こそだてをじゃまするくそまりさはゆっくりしね!!
れいむをたいせつにしないげすまりさはゆっくりしね!!うんうんくさいくそまりさはゆっくりしね!!
みんなみんなおまえのせいだよっ!!おちびちゃんたちはおまえのまねをしてげすになったんだよぉ!!!
れいむはわるくないよ!!れいむのせいじゃないよっ!!れいむをいじめるげすまりさはゆっくりしねえぇぇ!!!」
「ゆぐっ!!ゆぎっ!!ゆぶっ!!ぶっ!!ぎゅ!!ゆっ!!ばぁ!!」

ベランダの柵に押し付けられ、自分よりはるかに大きな妻に何度も何度ものしかかられたまりさは、
全身を痣だらけにして間欠的に何度も餡子を吐いていた。

「やべでぇぇぇ!!おちょーしゃんをいじめにゃいでぇぇぇ!!!」

末っ子まりさが泣き叫んで母親にすがりついていた。

「げすちびはゆっくりだまっててねっ!!!」

しかし、れいむが手加減なしの体当たりで末っ子まりさを突き飛ばす。

「これはいじめじゃないよっ!!おしおきだよ!!せいさいなんだよおぉぉ!!
なんでぇぇ!?なんでみんなれいむばっかりいじめるのおおおぉぉ!!
おまえたちがいうことをきかないのがわるいんでしょおおぉぉ!!
おかあさんをゆっくりさせないげすちびはせいさいするよ!!
ゆっくりあやまってね!!ゆっくりあやまってね!!あやまれえぇぇ!!!」

怒りの矛先は末っ子まりさに向けられ、いまやれいむはそちらの方へにじり寄っていた。
恐怖のあまりにおそろしーしーを漏らして泣き叫ぶ末っ子まりさ。

「ゆびゃああああぁぁ!!ゆびゃあああああーーーーっ!!!きょわいよおぉぉ!!!おちょーしゃんたしゅけちぇえええ!!!」
「ゆ………ゆ………ばりざ……ばりざの、おぢびぢゃ………やべでね……やべ………」

まりさは必死に立ち上がろうとするが、外傷がひどくて身動きがとれないようだった。

「おちょーしゃああん!!おちょーしゃああああんんんん!!!」
「なまけもののまりさはかんけいないでしょおおおおぉぉ!!?
なんでおかあさんじゃないのっ!!おまえがゆっくりしてさえいればいくらでもおかあさんがかわいがるんだよぉ!!!」
「ゆっくちちにぇ!!」
「ゆっ?」

一瞬、世界が止まった。

今しも末っ子まりさを潰すべく飛びかかろうとしていたれいむの頬に、長女れいむが噛みついていた。
赤ゆっくりの咬合力では成体れいむの頬に傷をつけることはかなわなかったが、
それでも懸命に歯を噛み合わせている。

「………なにしてるの?」
「いもーちょをいじめりゅおきゃーしゃんはゆっくちできにゃいよ!!
まりちゃ、しんじゃうよっ!!まりちゃをころしゅおきゃーしゃんはゆっくちちにぇえ!!」

その瞬間、長女れいむは壁に叩きつけられていた。
れいむが勢いよく頬をひねり、遠心力ではじき飛ばしたのだった。
餡子を吐いて震える長女れいむに向かって、れいむは般若のような表情でゆっくりとにじり寄った。

「…………おかあさんにむかって、しねなんていうげすちびはゆっくりできないね」
「ゆげっ!!ゆほっ!!げほっ!!」
「せいさいするよっ!!!」

そう叫び、れいむは長女れいむの上にのしかかった。

「ゆぎゅぷううううぅぅぅぅぅ!!!!」
「おかあさんにあやまってね!!ゆっくりあやまってね!!ゆっくりあやまってね!!」

謝罪を要求しながら、れいむは容赦なく長女れいむの後頭部に体重をかけ、押し潰すように身をよじった。
長女れいむの全身の餡子が前面に寄り、顔がぱんぱんに膨れ上がっていく。
眼球が飛び出さんばかりにせり出し、必死にすぼめている口からひっきりなしに餡子を漏らしていた。

「ゆびゅううぅぅ!!ぎゅうううううう!!ぶびゅびゅびゅうううぅ!!」
「やべじぇえええええ!!おにぇーじゃんがゆっぐぢでぎにゃぐなっぢゃうううううぅぅ!!
おにぇーじゃん!!おにぇーじゃん!!れいみゅおねーじゃああああんん!!!」
「やべでねっ……!やべで………でいぶ………おでが………!!
おぢびじゃっ………ばりざの………でいびゅっ………!!」

末っ子まりさが泣き叫びながら母親に体当たりをし、父親が這いずりながら懇願するが、
れいむは家族の制止も全く耳に入らぬ様子で、ひたすら喉も枯れよと叫び、身をよじり続けていた。

「ゆっくりあやまってね!!ゆっくりあやまってね!!ゆっくりあやまってね!!ゆっくりあやまってね!!」
あやまれ!!あやまれ!!あやまれ!!あやまれえええええぇぇぇぇ!!!!」


長女れいむは死んだ。
断末魔を漏らすこともできぬまま、顔面を破裂させ、全身を母親に押しつぶされて永遠にゆっくりした。

「ゆふー☆つまんないいじをはるからだよっ!!
おかあさんはころすつもりなんかなかったけど、れいむがあやまらないのがわるいんだからねっ!!
これはじこだよ!!おかあさんをゆっくりさせないげすはゆっくりしんでねっ!!」

全く悪びれずに顎をそらすれいむ。
まりさと末っ子まりさは、地面に這いつくばりながら長女れいむの亡骸にすがりついて悲嘆に呻いた。

「ゆ゛あ゛………あ゛………あ゛……………
おぢびぢゃ………おぢび…………ばりざの、ゆっぐじじだ………おぢびじゃ……ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「おにぇーじゃん!!おにぇーじゃん!!ゆっぐじ!!ゆっぐじじでぇぇぇ!!
ゆわあああああん!!ゆびゃあああああああーーーーーっ!!おにぇーじゃんがずっどゆっぐぢじじゃっだあああぁぁ!!」
「うるさいよっ!!びーびーなかないでねっ!!
わるいのはげすちびなんだからね!!こんなげすちびはしんでとうぜんだったんだよっ!!ふかこうりょくだよ!!
まりさはないてないでさっさとかりにいってきてねっ!!
おちびちゃんはおうちにもどってね!!おしおきはおわりだよっ!!
ゆかさんがよごれちゃったから、きょうはとくべつにおかあさんがおそうじをしてあげるよ!!」

そう言いながら、れいむは今しがた潰れた我が子の亡骸をちらちらと横目で見ていた。
食べようとしているのはすぐにわかった。
ゆっくりの甘味を知っているこのれいむは、自ら殺した子に舌鼓を打とうというつもりらしい。

しかし、誰も動かなかった。
まりさと末っ子まりさは長女れいむの亡骸にすがりつき、
遠巻きに眺めていた他の三匹の子供たちも、れいむをじっと見つめて動かなかった。

「ゆゆっ!?なにしてるのぉ!?ちゃっちゃとうごいてねええぇ!!」

口から涎を垂らしながら叫び、ばんばん跳ねるれいむ。しかし誰も答えない。
れいむは再び癇癪を起こした。

「ゆがああああぁぁ!!なんなのそのめはあああああぁぁぁ!!!
なにふてくされてるのおおおおぉぉっ!!?
れいむはわるくないんだよっ!!わるいのはみんなげすちびだよ!!
れいむはゆっくりとしてとうぜんのことをしただけだよっ!!
なんでみんなおかあさんをいじめるのおおおおおお!!?
めんどうなことはみんなおかあさんにおしつけてっ!!わるいことはみんなおかあさんのせいにしてぇ!!
どいつもこいつもゆっくりできないげすだよっ!!!せいさいしてやるよぉぉ!!」


俺は、そこでようやく、遅ればせながら結論を出さざるをえなかった。
冒頭の注意書きをご確認のうえ読み進められてきた読者諸兄には最初から自明であったことと思うが、
一介の登場人物にすぎぬ俺は、これほど明確な証拠を見せつけられてようやく認識を固めるに至った次第だ。

こいつはゲスだ。



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最終更新:2011年07月29日 03:12
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