ゆっくりいじめ系3021 母性

今まで書いたもの

ゆっくりいじめ系2831~2832 ツンデレ


※ゲスれいむいじめ
※今回はいじめなし



母性



「おなきゃがすいちゃよ!ゆっくちさせちぇにぇっ!!」
「ゆぅぅ……おちびちゃん、ゆっくりがまんしてね………
きょうのぶんはもうたべちゃったよ………」
「じゃあもっちょもってきちぇにぇ!!ぐじゅはきりゃいになりゅよっ!!」
「ごめんね、おちびちゃん、ごめんね………
もうないんだよ……あしたになるまでゆっくりまとうね」
「はあぁぁ!?にゃにいっちぇるにょおおおぉぉ!!?
にゃんでれいみゅががみゃんしなきゃいけにゃいのおぉぉ!?
れいみゅはきゃわいいこどみょなんだよ!!かわいがらにゃいといけにゃいんだよっ!!」
「ゆっぐ………おちびちゃんはかわいいよ………
かわいいおちびちゃん………でも、でも………」
「きゃわいいれいみゅをゆっくちさせりゅのはあちゃりまえでしょおおぉ!?
こどみょをうんだりゃゆっくちさせりゅのがぎみゅだよぉ!!」
「ゆぅ………ごめんねおちびちゃん……
やくたたずのおかあさんを、ゆるじでね………ゆぐっ……えぐっ」
「ぐずのおきゃあしゃんはゆっくちちにぇ!!」



「おでがいじばず!!あがぢゃんをだずげでぐだざい!!」

庭に転がりこんできたのは、ぼろぼろのれいむ親子だった。

縁側で夕涼みをしていた俺の前に這いずってきたそのれいむは、
口の中に含んでいた自分の娘、赤れいむを吐き出して地べたに置き、
俺を見上げて涙ながらの懇願をしてきた。

泥や雨、涙やしーしーにまみれてまだらに汚れた、傷跡だらけのれいむ。
ゆっくりにとっては過酷な環境である街に、必死にしがみついて這いずる野良ゆっくりの一匹だった。
(そもそも、ゆっくりがゆっくりできる環境は自然界にはまずないが)

吐き出された赤れいむはぐったりとしており、ほとんど動かなかったが、どうやら生きているらしい。

「どっでもがわいい、ゆっぐじじだいいごなんでず!!
でいぶはどうなっでもいいでず!!ゆっぐじでぎなぐじでぼいいでず!!
でも!!おぢびぢゃんをっ!!どうがおぢびじゃんをゆっぐりざぜであげでぐだざいいぃぃ!!」

野良にしては(人間基準で)礼儀正しいゆっくりだった。
「ゆっくりできなくしてもいいです」と言ったことから推して、
人間が、人によってはゆっくりを虐待する者もいると知ってのことらしい。
それでも子供を助けるために賭けに出た。よほど切羽詰まっているようだ。
もっとも、切羽詰まっていない野良ゆっくりなど構造上存在しない。

「だいぜづな、だいぜづな、でいぶのざいごのごどぼなんでずっ!!
でいぶはもうごどぼがうべばぜん!!にんげんざんに、ゆぐっ、まむまむざんをづぶざればじだ!!
だぐざんいだおぢびぢゃんぼっ!!みんなずっどゆっぐじじばじだ!!」

俺が黙っていると、勝手に身の上話を始めだした。
暇を持て余していたところでもあり、少し興味も沸いたので耳を傾けてみる。

「でいぶはがいゆっぐりでじだ!!おにいざんにがっでもらっでばじだ!!
でぼ、でいぶがばりざどずっぎりじぢゃっで、おにいざんがおごっで、まむまむをづぶざればじだ!!
にどど、あがぢゃんをうばだいで、あがぢゃんもごろぜばいいっでいわればじだ!!
だげどでいぶはっ、あがぢゃんをづれでっ、だげど、だげど、
でいぶはあがぢゃんだぢをゆっぐりざぜであげられだぐでっ!!ゆびゃああああぁぁぁ!!!」

よくわからん。
何度も繰り返し説明させているうちに、だいたいの事情は呑み込めてきた。


ゆっくりは性欲が強く多産で、母性愛が強い。
特にれいむ種においてはその傾向が顕著だ。
それゆえ、飼いゆっくりにはみだりに子供を作らせないのが鉄則である。

子供を作ってしまったゆっくりは、子供を溺愛し、すべての行動原理をそこに置く。
飼い主との関係はないがしろにされ、躾けてきた行儀作法も水泡に帰す。
ゆっくりの中で、同居する人間は「家族」から「世話役」、悪くすると「ペット」やら「奴隷」に格下げされ、
そうして人間に対する態度がぞんざいになり横柄になっていったゆっくりは、
人間の生活にうるおいを与えるペットとしての意義を失い、人間にとっては苛立たしいだけの存在になり下がる。
ゆっくりをペットとして飼う際には、ゆっくりショップの店員からこの点を厳重注意されるのが普通だ。


さてこのれいむは、どうやら人間に飼われていたものの、
野良ゆっくりとすっきりをして出産してしまい、それが飼い主の逆鱗に触れたようだ。
そして去勢された。
汚れていてよくわからなかったが、見ると確かに、れいむのまむまむは焼き潰されているらしい。
黒い焦げ跡が残っているあたり、元飼い主は素人、ゆっくりに対する姿勢もいい加減なものだったようだ。
父親の野良まりさは早々に潰されたということだ。

去勢されたれいむは、子供をすべて殺すことを宣告されたか、あるいは強要されたか、
どちらにせよ子を見捨てるのを拒否し、子供たちを連れて家を飛び出し、野良ゆっくりとなることを自ら選んだ。
三つ以上の数が数えられないゆっくりの言うことだから、子供の正確な総数はわからないが、

曰く、車に轢かれた。
曰く、排水溝に吸いこまれていった。
曰く、野良猫にいじめ殺された。
曰く、カラスにつつき殺された。
曰く、迷子になり、見つからなかった。
曰く、レイパーにすっきり殺された。
曰く、餓死した。

以上七通りの死因を述べてきたので、それぞれ一匹ずつ死んだとすると最低八匹、
ぴったり一匹ずつということもないだろうから、恐らくは十匹以上の子供をぞろぞろ引き連れていたのだろう。
それだけの子供を都会で養っていけると考えるあたり、やはりペットショップ生まれの根っからの飼いゆっくりのようだ。

残り二匹になっていた子供の片割れが餓死し、
最後の一匹となったこの赤れいむも、今にも餓死寸前のようだ。
進退極まったれいむは、とうとう人間に助けを求めるしかなくなったというわけだ。

「おぢびぢゃんだげでいいんでずっ!!
どうが、どうが、がっでぐだざい!!おにいざんのぺっどにじであげでぐだざいいい!!」

涙を滂沱と垂れ流し、地面に額をこすりつけてれいむは叫んでいた。

少し悩んだ。
俺自身は、ゆっくりにそれほど関心を持ってはいなかった。
別にとりたててかわいいとも、いじめたいとも思わない。
まして、このれいむの身の上話に心を打たれたわけでもない。

あえて理由をひねり出すなら、退屈しのぎ、だったのだと思う。


「あじがどうございばず!!あじがどうございばず!!あじがどうございばず!!ぼんどうにあじがどうございばずううう!!!」

うるさいので親れいむに黙るよう指示してから、赤れいむの治療を始める。
といっても外傷はとくにないようなので、餌を食わせるだけだが。

定番のオレンジジュースをスプーンで口に運び、流し込んでやる。
ややあってからぴくりと反応し、すぐに目を開けてごくごくと飲みくだしはじめた。

「うみゃっ!あみゃ!あみゃっ!うみぇっ!!めちゃうみぇっ!!」

飲みながら喋り始め、周囲にオレンジジュースの飛沫をまき散らしたので、
その後は皿に注いだジュースを勝手に飲ませる。

「れいみゅのあみゃあみゃだよっ!!もっちょちょうだいにぇ!!」

尻をぶりぶり振りながら皿に頭を突っ込み、べちゃべちゃ舌ですくい上げる赤れいむ。

「おぢびぢゃっ!!おぢびぢゃあああああんっ!!ゆっぐじじでね!!ゆっぐじじでいっでねええええええ!!!」

嬉し涙をまき散らして叫び続ける母れいむに向かって、俺は念を押した。

「言っとくけど、俺はそんなに手をかける気はないからな。
餌ぐらいはやるけど、後は勝手にゆっくりしてろ。俺のゆっくりの邪魔はするなよ」
「ゆっぐじりがいじばじだ!!」

母れいむの方は、今のところ俺に感謝し、服従の意志の表明に余念がないようだ。


「お前らのゆっくりプレイスはここだ」

庭に面したベランダに二匹を放してやり、俺はそう言ってやった。

「雨が降ったらこの中に入れ」

五年前、飼っていた犬が大往生を遂げてからずっと物置で眠っていたケージをベランダに運び込んでやった。
ケージの中には毛布まで敷いてある。

「この窓から内側は俺のゆっくりプレイスだから入ってくるなよ。
勝手に入ってきたり、うるさく騒いだりしたらゆっくりできなくさせるぞ」
「ゆひぃっ………わ、わがりばじだ!」

人間の怖さを知っているゆっくりは扱いやすい。
母れいむは徹頭徹尾、素直に俺の言うことに従う姿勢でいる。

「ゆゆぅ~ん!!ゆっくちできりゅよぉ!!
ゆっ!きめちゃよ!!きょきょをれいみゅのゆっくちぷれいちゅにすりゅよっ!!」

病み上がりの赤れいむのほうは、まるで話を聞いていないらしく、
このベランダでぴょんぴょん跳ねて騒いだあげくにおうち宣言を始めていた。

「ゆうぅぅ!?おちびちゃっ!そんなこといったらゆっくりできないよ!!
おにいさんにおれいをいってねっ!!」
「じゃあな。用があったら呼べよ、話によっちゃ相談に乗ってやるから」

焦る母れいむだったが、俺はそこまでで切り上げてベランダに面した窓を閉めた。
周囲を柵で囲われた幅1メートル、横2メートル程度のベランダ、そして犬用のケージとエサ皿。
これからはこれがこの親子の世界のすべてになる。
これ以上とくに干渉する気はなかったし、家に入れる気もない。
それでも、野良を経験してきた親子にとっては極上のゆっくりプレイスのはずだ。

「ゆ~ん♪ゆんゆん♪ゆゆ~ん♪」
「おきゃーしゃんのおうちゃ、とっちぇもゆっくちしちぇるよっ!!」

飼いゆっくりなりに声量をセーブした歌を歌う母れいむの周りを、赤れいむがぴょんぴょん跳ね回っていた。

夜中にカーテンを開いて覗いてみると、ケージの中で毛布に座り、弛緩して眠っている親子が見えた。
いや、母れいむの方は起きていた。
ゆぴぃゆぴぃと涎をたらして眠っている赤れいむの頬を優しく舐めながら、母れいむはぶつぶつと呟いている。

「おちびちゃんだけは…………おちびちゃんだけは、おかあさんがまもってあげるからね…………!」

それを見ながら、俺は自分の方針は正当なものだったのだろうと確信した。
手間をかけるのが面倒、ということもあったが、
やはり家族を持ってしまったゆっくりに深く関わっても損をするだけなのだ。
こちらが下手に関わりを持とうとしたところで、ゆっくりにとってはせいぜい、
「おちびちゃんを世話してくれる人」「おちびちゃんのためにこの人間さんを怒らせないようにしないと」であり、
すでに閉じた世界の周りでこちらが空回りするだけの結果にしかならない。

ゆっくりにとっては子供のためのゆっくりプレイス。
こちらは、ちょっとした暇つぶしの生き物観察。
その程度の関係であり、それ以上踏み込む気はなかった。


母れいむが連れてきた赤れいむは、どうやら姉妹の中でも末っ子だったらしく、
めいっぱい甘やかされて育ってきたようだ。
毎日我侭を言い、母親を困らせていた。

「おぼうちしゃん!!おぼうちしゃんにのせちぇえええ!
おぼうちしゃんでおしょらとびちゃああい!!」
「ゆうぅ……おかあさんにはおぼうしさんがないんだよ……
おちびちゃん、ゆっくりりかいしてね…………」
「やじゃやじゃやじゃやじゃやじゃ!!おぼうちしゃんやっちぇくれなきゃやじゃああ!!」

転がってじたばたと尻を床に打ちつけ、駄々をこねる赤れいむ。
どうやら、赤れいむが要求しているのは、
成体まりさの帽子の鍔の上に乗って運んでもらう遊びらしい。
生まれた直後、父親のまりさにやってもらっていたのだろう。

「おぼうちしゃんやっちぇくれにゃいおきゃーしゃんはゆっくちできにゃいよっ!!
おちょーしゃんじゃなくちぇおきゃーしゃんがしにぇばよかっちゃんだぁぁ!!」

そう言われた母れいむは目に涙を浮かべ、ついに折れた。

自分の頭の上に赤れいむを乗せ、そろりそろりと這いはじめる。
帽子の鍔のような平面のない球体の上ではバランスがとりにくい。
赤れいむを落とさないように慎重に這いずる母れいむの上で、
赤れいむはぴょんぴょん跳ねながら騒ぎ、母親を叱咤していた。

「ゆっ!!ゆっ!!ゆっくちゆっくちっ!!
もっちょはやきゅはしっちぇにぇ!!おちょーしゃんはもっちょはやくてゆっくちできちゃよっ!!」
「お、おかあさん、ゆっ、くりがん、ばるよ……!」

赤れいむが好き勝手にぴょんぴょん跳ねるたびに、母れいむの頭部が微妙に圧迫されて言葉が途切れる。
落とさないように、同時に早く走ろうとして、ゆっくり相応に不器用な母れいむはついに赤れいむを落としてしまった。
ベランダの上にころんと転がった赤れいむは泣き叫び始めた。

「ゆっびゃああああぁぁぁああ!!!いっぢゃああああぁぁぁいいいいいぃぃぃ~~~!!!」
「お、おちびちゃあああん!!」

思いきりタメを作りながらの、おそろしく大袈裟な泣き声をあげてじたばた暴れる赤れいむを前に、
母れいむはおろおろ涙目になりながら舌を伸ばして舐めようとする。

「いちゃああああい!!いちゃあああああい!!!
おきゃーしゃんがおとしちゃあぁぁ!!おきゃーしゃんがいちゃいいちゃいしちゃあああぁぁ!!!」
「ごめんね!!ごめんね!!おちびちゃんごめんねええぇぇぇ!!!」
「はやきゅぺーりょぺーりょしちぇねえぇぇ!!
ゆっ!!いちゃいよっ!!もっちょやしゃしくぺーりょぺーりょしちぇねぇぇ!!」

何だろうな、こいつは。


毎日朝晩に一回ずつ、餌皿に安価なゆっくりフードを入れてベランダに置いてやる。

「ゆっ!じじい!おそしゅぎりゅよ!!
れいみゅのごひゃんしゃんだきゃらにぇっ!!」

餌皿が置かれるか置かれないかというところで跳ね寄り、ほぼ自分と同程度の体積がある餌にかぶりつく。
母れいむはこちらに向かって申し訳なさそうに詫び、お礼の言葉を口にすると、
あとは自分の目の前で振られるわが子の尻を目を細めて眺めている。

初めのころは、赤れいむが俺に対して暴言を吐くたびに母れいむが狼狽して叱りつけていたが、
俺が気にしていないようだとわかるとそう強くは言わなくなった。
それでも、赤れいむのぶんまで自分が感謝の意を伝えようという誠意は見える。

「むーちゃむーちゃ!!うみぇっ!!めっちゃうみぇっ!!じぇんぶれいみゅのだよっ!!うみぇっ!!ぱねぇ!!」

むしろ、問題は母れいむのほうだった。
毎日、赤れいむが時間をかけて食べるのをただ見ているだけで、自分はほとんど食べようとしない。
せいぜい、舌でひとすくいふたすくい相伴する程度で、それでさえ赤れいむが躍起になって噛みつく。

「ゆっ!!おきゃーしゃんはあちょでたべちぇにぇ!!きゃわいいれいみゅがゆっくちしてきゃらだよっ!!」

残り物を喰えと言うのであるが、赤れいむが食べ残したことはほとんどない。

毎日そんな様子なので、俺はさすがに少々心配になった。
母れいむだけを家に入れ、餌皿にゆっくりフードを入れて差し出してやる。
しかし、母れいむはなかなか口をつけようとしなかった。

「ゆゆぅ………おにいさん、ゆっくりありがとうございます」
「遠慮しないで食っていいんだぞ。今のままじゃお前、飢え死にするんじゃないか?
お前が死んだら子供だってゆっくりできないだろ」
「れいむはまだがまんできるから……」
「いいから食えって」
「ゆぅ………おにいさん、べらんださんでたべてもいい?」
「いや、だってそれじゃお前」
「れいむちゃんとたべるよ。ゆっくりありがとう、おにいさん」

ゆっくりフードの詰まった餌皿をベランダに引きずっていく親れいむに対してそれ以上強くは言えず、
俺は窓を開けてやるほかなかった。

窓を閉めると、背後からキンキンと声が響いてきた。

「ゆっ!!まだかくしちぇたんだにぇっ!!
おきゃーしゃんはくいいじがはりしゅぎだよ!!はやきゅれいみゅによこしちぇにぇっ!!」


「ゆっくちしてにゃいのりゃがいりゅよ!!ばーきゃ♪ばぁ~きゃ♪」

野良ゆっくりが外を通りがかると、赤れいむはぴょんぴょん跳ねて悪罵を浴びせる。

「ここはゆっくちしちぇるよ!!おみゃえたちはいりぇてあげにゃいよっ!!」
「ゆううぅぅ!!むかつくくそちびなんだぜぇぇ!!」

野良ゆっくりが激昂して飛びかかろうとするが、柵に遮られて庭には入ってこれない。
がんがん柵に体当たりする野良に向かって、赤れいむはいよいよ調子づいて挑発を繰り返す。

「おお、きょわいきょわい!!れいみゅはゆっくちぷれいちゅでゆっくちしゅるよ~☆
うみぇっ!!めっちゃうっみぇ!!しこう!!きゅうきょく!!」

わざわざ見せつけるようにゆっくりフードを食べてみせる。

「きゃわいいれいみゅのすーぱーうんうんたいみゅをゆっくちみちぇいっちぇにぇっ!!」

尻を突き出してうんうんをひり出し、べろべろと舌を出してみせる。

「ゆぐがあああああぁぁぁ!!でてこい!!くそちびいいぃぃ!!」

野良生活で心身ともに疲弊しているところに、飼いゆっくり、しかも子供に見下された野良ゆっくりは、
涙さえ流しながら叫び散らし、柵に体当たりし続け、大抵は騒いでいるところを通行人に蹴り飛ばされるか連れていかれる。

「ゆぷぷぅ~☆ゆっくちしてにゃいからしょうなるんだよ!!
おきゃーしゃん!!くちゃいからかたじゅけてにぇっ!!」

今しがたひり出されたわが子のうんうんを、母れいむはぺーろぺーろと口に運びはじめる。
辺り構わず排便するわりに悪臭に神経質な子供のために、母れいむは毎日便を掃除していた。


俺はむしろ感嘆しながら、興味深く見ていた。
母性が強いと言われるゆっくりにしても、異常なほどの甘やかしようだ。
なぜこれほどにずるずると甘やかして育てているのか。
いや、これでは育てているとは言えまい。かしずき、世話しているだけだ。

自分なりにいろいろと考えてみる。

人間なら、子供の将来のために、辛い思いをさせてでも厳しくしつけることもあるが、
生存率が低く、無事に明日を迎えられるかもわからない都会の野良ゆっくりにとっては、
「将来」という概念そのものが希薄で、今日ゆっくりさせることしか考えられないのか。

生殖器を破壊され、二度と妊娠、出産ができなくなった今、
最後の子供となったこの赤れいむに対する思い入れは、俺には思いも及ばないほど強いのだろう。

そのほかにもいろいろと要因はあるようだが、どうやら決定的なのは次の理由らしかった。


「おねーちゃんがしんだのはおきゃーしゃんのしぇいだよっ!!」

赤れいむがきんきん叫び散らしている。

今日は珍しく、行儀の悪い言葉遣いを母れいむが子供にやんわりと注意したのだが、
柔らかい口調にも関わらず、赤れいむはたちまち癇癪を起した。

「やしゃしいおねーちゃんも!ちゅよいおねーちゃんも!かっきょいいおねーちゃんも!
ゆっくちしたおねーちゃんがたくしゃんいちゃのに!!
おきゃーしゃんのいうこちょをきいてちゃからしんじゃったんだよっ!!」
「ゆううぅぅ!!ごべんね!!ごべんねぇぇぇ!!」
「にゃんでおねーちゃんをたしゅけなきゃったのっ!?
おきゃーしゃんはれいみゅたちがきゃわいくにゃいんだねっ!!」
「ちがうの!!ちがうのおぉぉ!!れいむのおちびちゃんたちはせかいいちかわいいよおぉぉ!!」
「こどみょをきゃわいがらにゃいおやのいうこちょにゃんかきけにゃいよ!!」

どうも嫌な具合に頭のいいこの赤れいむは、
自分の姉たちが死んだ責任を全力で母親になすりつけ、ことあるごとに責め立てているらしい。
人のいい、もといゆっくりのいい母れいむの方も心底そう思っているらしく、
言われるたびに委縮し、必死に詫び続けているのだった。

そういう母親の姿を見てとると、赤れいむはすばやく要求に切り替える。

「いいわけはききちゃくにゃいよっ!!わりゅいとおもうにゃらあみゃあみゃよこしちぇにぇっ!!」
「ごべんね、ごべんねぇぇ……あまあまはないんだよぉ……」
「きゃわいいこどみょのためにあみゃあみゃもよういできにゃいにゃんて、ばきゃなの!?ちぬのっ!?
こどみょをうんだんだきゃらゆっくちさしぇるせきにんがありゅよっ!!
できにゃいにゃらなんじぇこどみょをうんだにょっ!?ぐじゅっ!!やくたたじゅっ!!」
「ごべんなざい……ごべんなざいぃ…………だめなおがあざんをゆるじでねえぇ………ゆっぐ、ひぐっ……」
「ないちぇるひみゃがあっちゃらあみゃあみゃもっちぇこいいぃぃ!!!」


最悪の親子関係だった。子もひどければ親もひどい。

とはいえその印象は、人間の俺から見た場合の話。
ゆっくりにとってはどういう親子関係がベストなのかはわからないし、知ったことではない。
とりあえず見ているぶんにはけっこう面白い。俺もなかなか悪趣味だ。


およそ十日ほどが経ち、
毎日自分の体積とほぼ同程度の餌を貪っていた赤れいむが早々に成長して成体近いサイズになった頃、
この親子関係は、あっけなく幕切れを迎えた。

「うみぇっ!!めっちゃうっみぇ!!まじうめぇ!!ぱねぇ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ぺーろぺーろ!!」

昼時、子れいむのけたたましい声が聞こえてきた。
まだ餌の時間じゃないし、ましてあまあまなどはやっていない。
何事かと思ってカーテンを引くと、想像を超えた光景がそこにあった。

「おちびちゃん、ゆっくりしていってね………」
「うるちゃいよっ!!しじゅかにしちぇにぇ!!ぺーろ!!ぺーろ!!うっめぱねぇっ!!」

母れいむがベランダの床に横たわっている。
その顎のあたりに、子れいむが一心不乱に吸いついていた。
その周囲の床には、茶褐色の餡子の跡がこびりついている。

状況はすぐに掴めた。
子供にあまあまを要求されつづけた母れいむが、ついに自分の餡子を差し出したのだ。
自ら噛み千切ったのだろうか、丁度まむまむの辺りが大きく裂けて内部の餡子を露出させており、
子れいむはその餡子をすすっているのだった。

地獄のような光景だった。
俺はベランダに出ると、ぜいぜいと息を切らしている母れいむに話しかけた。

「おい、何やってるんだよ」
「ゆ………おにい、さん………ゆっくり……していって…………ね」
「俺はゆっくりしてるよ。それよりお前、死んじゃうぞ」
「ゆ…………いいんだよ………おちびちゃん、ゆっくり………していってね………」

育児放棄、ということなのかな。
子供にあまあまをあげる、という名目で正当化し、この母れいむは自殺して楽になることを選んだらしい。

「ゆぐっ!………ゆぎぃぃ!!」

母れいむの体がびくん、と震える。
見ると、子れいむが母親の傷口を押し広げて頭を突っ込み、さらに餡子を掻き出そうとしていた。

「じっとしちぇちぇにぇっ!!きゃわいいれいみゅがむーちゃむーちゃできにゃいよっ!!」
「ゆぎいぃぃ!!ゆぐう!!ゆうぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいい!!!」

白目を剥いて歯茎をむき出し、全身に汗のような体液をじんわり滴らせながら母れいむは必死に堪える。
臓腑をえぐり出される苦痛をも耐え忍ぼうとする根性はたいしたものだ。


その物凄い光景を目の当たりにしながら、俺はふと思いついたことがあった。

れいむ種の母性愛を試してみたくなったのだ。

俺は携帯電話を取り出し、カメラを向けた。


「おい、お前」

舌鼓を打ちながら糞尿にまみれた尻をぶんぶん振り、子れいむは俺を見向きもしない。

「おい、ちょっと」

俺は子れいむを掴み、強引にこちらを向かせた。

「ゆぐっ!?にゃにするにょぉぉ!?くちょじじいぃぃ!!
きゃわいいれいみゅのしゅーぱーむちゃむちゃたいみゅをじゃまちにゃいでにぇっ!!
こりぇはめいりぇいだよっ!!!」
「お前、自分が何食ってるのかわかってるのか?」
「ゆっ!?おきゃーしゃんのあみゃあみゃだよっ!!
みちぇわきゃらにゃいにょ!?あっ!ばきゃだきゃらわきゃらにゃいんだにぇっ!!ゆぷぷー☆あわれあわれ!!」
「でも、それ食ってたらお母さんが痛いだろ」
「ゆふんっ!!きゃわいいれいみゅのためにがみゃんすりゅのはとうぜんだよっ!!」

顎を反らし、馬鹿にしたように鼻息を吹く。

「いや、お前のほうがもう少し我慢すれば、お母さんももうちょっとゆっくりできるんじゃないかと思ってさ」
「はああぁぁ!?にゃんでれいみゅががみゃんしゅるにょおおぉ!?
れいみゅはおにゃかぺきょぺきょにゃんだよっ!?
あみゃあみゃをたべにゃいとれいみゅがゆっくちできにゃいんだよおぉ!?にゃにかんがえちぇるにょ!こにょぐじゅっ!!」
「お母さんをゆっくりさせてあげようとか思わないのか?」
「そんなこちょどうでもいいでしょおおぉ!!?
れいみゅはかわいいかわいいおちびちゃんにゃんだよっ!!
こどみょをうんだおやは、じぶんがゆっくちできにゃくてもこどみょをゆっくちさせなくちゃいけにゃいんだよっ!!
こどみょをゆっくちさせられにゃいおやはくじゅだよ!!おきゃーしゃんのこちょだきゃらにぇっ!!」

息も絶え絶えの母親に向かって子れいむは言い捨てた。
母れいむのほうは目の焦点も定まらず、かすかに痙攣していた。

「お母さん、死んじゃうぞ?」
「ゆゆっ!!」

子れいむは親れいむの顔に向きなおり、満面の笑顔で言い放った。

「おきゃーしゃんはきゃわいいれいみゅのためにゆっくちちんでにぇっ!!」
「お…………ちびちゃ………ん………」
「ゆっ?いまごりょいやがっちぇももうおちょいよっ!!
あみゃあみゃをあげりゅっていっちゃのはおきゃーしゃんだきゃらにぇっ!!」
「あ……まあま………ゆっくりでき……る?」
「ゆふぅ~☆れいみゅはぐりゅめだきゃらこんなんじゃじぇんじぇんまんぞきゅできにゃいよっ!!
でみょしかたなきゅたべちぇあげりゅんだきゃらにぇっ!!ゆっくちかんしゃしちぇにぇ!!」
「ごべんね………おちび………ちゃん…………
だめな………おかあさんで……ごべん…………ね…………ゆぎぃ!!!」

母親が言い終わらぬうちに、子れいむが再び傷口をほじり始めた。


想像するに、甘やかされて育てられた野良生活のあいだ、
母親から「おちびちゃんはいちばんかわいいよ」「おちびちゃんがゆっくりできればおかあさんはしあわせだよ」
といった類の睦言を吹き込まれ続け、この子れいむは自意識を肥大させていったのだろう。
子を溺愛しすぎる親は、子には愛されない。
その点は人間と同じらしい。


「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」

母れいむの命は一日もたなかった。
ほじるほどに甘味を増す餡子に夢中で、ひたすら奥へ奥へと掘り進んでいった子れいむは、
母れいむの体内で、早々に中枢餡に噛みついていた。

命を司る中枢餡を貪り食われ、母れいむは最後の痙攣を始めていた。
びくんびくんと全身を激しく波打たせながら、表情は弛緩して涎を垂らしている。

「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ、お゛に゛っ、ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っお゛っ」

しかし、注意深く観察していると、何事か意味のある言葉を発しようとしているらしかった。
俺はその顔に耳を近づけて聞いた。

「何だ?俺に何か言いたいのか?」
「お゛に゛っ、ゆ゛っ、お゛に゛い゛ざっゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っお゛ぢっお゛ぢびぢゃっ、
お゛でゆ゛っゆ゛っ、お゛でがっじばっゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」

まあ予想通りだ。
俺に子れいむを押し付けて死んでいこうというつもりらしい。
わが身を子に食わせる母性愛はたいしたものだが、それ以外の点ではやはりゆっくりだ。
とはいえ、俺の目から見ても、この母親が無理に生きながらえたところで何がどうなるわけでもなさそうだ。
賭けではあるが、意外とこいつなりにベストの選択をしたのかもしれない。

まあ、俺は引き受けてやることにした。

「ああ。あとは俺に任せろ」
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ…………」

母れいむが俺の言葉を認識できたかどうかはわからない。
ともかく、母れいむはほどなくして息を引き取った。


「お前のお母さん、死んだぞ」

死骸の中からもぞもぞ這い出てきた子れいむに向かって、俺は教えてやった。

「ゆっ!?ゆぴゃぴゃぴゃ!!いいきみだよっ!!
きゃわいいれいみゅをきゃわいがらにゃいくじゅおやはゆっくちちんでにぇっ!!」

子れいむはせせら笑い、母親の亡骸の上でぴょんぴょん飛び跳ね始めた。
皮が破れ、餡子が漏れ出し、母親はどんどん原形を失っていく。

母親の餡子はまだまだたっぷりある。しばらくは餌の必要はなさそうだ。


ゆっくり相手に約束などしたつもりはないが、一応は引き取る形になったこの子れいむ。
サイズはすっかり成体に近く、母親を食いつくすころには完全に成体になるだろう。
甘やかされきって育ち、いまだに赤ゆっくり言葉の抜けないこの子れいむを相手に、
俺は少し考えていることがあった。




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最終更新:2011年07月30日 02:11
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