現代モノです。子供が遊びの為に何の悪意も無くゆっくりをポイポイと使い捨てていく話です。
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ゆっくりドラッグ
最近男子小学生の間で注射器を使ったゆっくりドラッグが大流行している。
ゆっくりドラッグのもたらす快楽にとりつかれた男子小学生たちはみな注射器を持ち歩きゆっくりの捕獲に熱中した。
最初は誰もゆっくりがこんな快楽をもたらすとは考えてもいなかった。ゆっくりにはこんな使い道もあったのだ。
大人たちもこの大流行は知っていた。母親たちの一部にはこれを由々しき事態ととらえて禁止を訴えるものも居た。
しかし大抵は父親たちがそれをなだめて男子小学生たちのゆっくりドラッグを認めさせていた。父親達は口々に擁護する。
「男の子っていうのはこういう遊びを通じて大人になるんだよ」
「俺らが小さい頃はゆっくりは居なかったが似たような遊びはしてた」
「スリリングだし頭も使うしこれは教育にいい遊びだな」
「とにかくスカッとするよ。お前も一緒にどうだ?」
何がそんなに男たちを惹きつけるのだろうか?それは男子小学生達がゆっくりドラッグをやる様子を見れば一目瞭然である。
ここ湯栗市立南小学校でもゆっくりドラッグは大流行中だ。彼らがゆっくりドラッグをやる様子をちょっと観察してみよう。
「お~い、ゆっくりドラッグやろうぜ!いいの捕まえたんだよ」
『ゆっ!まりささまをどうするきなんだぜ』ぴょんっ ぴょんっ
「お~、イキも良いしジャンプ力あるなぁ。これ胴回りいくつ?」
「45センチだからライト・ミディアム級だな。お前持ってる?」
「いや~50センチだからギリギリでミディアムだわ」
「俺はいいぜ?このまりさならミディアムよりキテる」
「あぁ?俺のれいむなめてんのか?負けたらシッペだかんな!」
「お前が負けてもシッペだぞ!わかってんだろな!」
「おっしゃー!じゃあやるぞ!」
ひとしきり何やらバトルらしきものの前の煽りあいを済ませると少年達はニヤニヤしながらゆっくりを地面に置いて頭を押さえつけた。
『ゆっ!ゆぐっ!やめるんだぜ!』
『ゆっくりはなしてね!ゆっくりはなしてね!』
ゆっくりの文句には耳も貸さず彼らは集中力を高めて前方を見つめていた。
「あの木でいいな?」
「ちょっと遠くねえか?こっちの電信柱にしようよ」
「別に良いよ。じゃあ電信柱までな」
そして二人は左手でゆっくりを押さえつけ、右手に注射器を持ってカウントダウンを始めた
「3!2!1!・・・」
ゆっくりの尻に注射器が刺され、一気にラー油が注入された。
『『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!』』
ゆっくりが子供達の左手の下で凄まじい痙攣を起こしている。彼らがホイールスピンと呼んでいる現象だ。
「「ゼロ!」」
二人が左手を離すとゆっくりはとてもゆっくりとは思えない凄まじいスピードで電信柱に向かって突進した。
『ゆぎゃぎゃぎゃ!・・・ぎゃぎゃ!・・・ぎゃ!・・・・ごふっ!!!!!!』ゴロゴロゴロ・・・
『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!』ぐしゃっ!
最初にリードしたのはれいむだったが突然失速し電信柱の1メートルほど手前で餡子を吐いて絶命してしまった。
絶命したままそこまでの勢いで少し転がったがゴール手前ギリギリ10センチ程で停止。
まりさは物凄い勢いで一気に電信柱に激突しその勢いで破裂して死んでしまった。まりさの勝ちである。
「イェーイ!勝った勝ったー!シッペな。お前シッペ!」
「くそ~、ぜってー勝てると思ったんだけどなぁ・・・」
負けた少年は悔しそうな顔をして腕を出すと勝者からのシッペを受けた。
そう、ゆっくりドラッグとはゆっくりを使ったドラッグレースの事である。
この「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!」という変わった悲鳴と凄まじい痙攣、そして断末魔の急加速はこの殺し方でないと得られない。
そしてそのスピード感と豪快さが子供達の心を魅了し一気に全国にブームが広がって行った。
子供達はそれぞれの地域ごとに独自のルールを作り、その中でレースを楽しんでいた。
そして子供から大人まで男というものは「高速化のためのカスタマイズ」というものが大好きだ。
この遊びも当然例外ではなくさまざまな工夫がされていた。
「しかしお前のれいむ速かったなぁ。ゴールまで生きてたら俺負けてたぜ。何か改造してるの?」
「してるよ。でも教えてやんない」
「教えてよ~。いやまじあの加速は尊敬した。お前改造の天才だな。」
「ん~?ん~・・・んふふ」
「俺のまりさも速かっただろ?あれ級のジャンプ力ある奴が多い場所見つけたんだよ。そこ教えてやるからさぁ」
「じゃ、じゃあ誰にも言うなよ。俺とお前しか知らないスペシャルカスタムだからな。」
「おう、ぜってーいわねえ!」
口止めの約束を取り付けた少年はポケットから秘密兵器を取り出した。
「これだよ。」
「ね、ねりワサビ・・・?」
「そう。これをラー油に溶かし込むとすげー加速力が増すんだよ。俺はニトロって呼んでる。」
「そっか!考えてみりゃワサビの方がツーンとくるからゆっくりにとっては痛みが強いんだな!」
「多分そうだろね。だから早く死んじゃうんだよ。今回もゴール前に死んじゃったし。」
「あ~、だから最初ゴールを遠い木にしようって言ったのに近い電信柱に変えたのか」
「そう。まだニトロをどれだけ混ぜるのかとか距離によってデータ集めが必要だね」
「んじゃ今からさっき約束した俺の秘密の狩り場でゆっくり沢山捕まえて実験しね?」
「いいね!ただこれチューブもう空っぽだから途中でスーパー寄ってこ。」
「オッケー。じゃあ出発!」
二人は自転車にまたがるとスーパーに向かった。
「調味料売り場・・・調味料売り場っと・・・あ、あった!ここだここだ」
「ハウスとS&Bがあるね。どっちがいいんだろ?」
「ん~俺ハウスしか使った事ないな。ニトロのブランドによって加速力違うのかな?」
「ていうかよ、これ!ちょっと気にならね?」
「ハバ・・ネロ?・・・」
「これって確か世界で一番辛い唐辛子だってテレビで言って奴だよ」
「何か凄そうだな。でもこれ粉だから溶けにくくね?」
「良く振れば溶けるでしょ。ワサビとどっちがニトロ効果高いのかなぁ」
「両方とも買ってみてどっちが速いか調べてみようぜ」
「ハウスとS&Bはどっちが速いんだろ?」
「ハバネロとワサビ比べてワサビの方が速かったらそれも調べよっか」
「いいね!最強のニトロラー油作ろうぜ!」
「おう!俺たち最強のレーシングチームだぜ!」
「負けねえ!最強!俺ら超はええ!」
「ぎゃはははは!」
男の子の会話というのは子供も大人も大差無いものである。
所変わってここは隣の北小学校の学区。
先ほどの彼らの通う南小学校は公団なども多く比較的低所得なエリアを学区にしてるのに対し、高台の北小学校には裕福な子が多い。
そしてここでもゆっくりドラッグは大流行していた。しかしやはりそこは金持ちの子。レースへのアプローチもかなり違う。
捕まえてきたほぼ同サイズの10数匹のゆっくりがひしめく箱を抱えた子供が帰宅した。
「ただいま~」
『ゆー!おうちかえる!もうおうちかえる!』
『だしてね!ここからゆっくりだしてね!』
『ゆえ~ん、せまいよ~、くるしいよ~』
『ゆっくりできないよ!ゆっくりさせて!』
少年は椅子に登るとアクリル板で囲いを作ったランニングマシーンの上でその箱をさかさまにし、囲いの中にゆっくりを落とした。
『ゆ~!いちゃい!』
そして少年は二つのスイッチを入れた。徐々に動き出すランニングマシーン。
『ゆゆ?ゆかがうごいてるよ』
『ゆっくりできないよ!ゆっくりさせて!』
『ふん!もうつかれたからねるんだぜ』
動き出す床を気にせずフテ寝しようとしたまりさが後ろに達したときバチバチッと閃光が走り一瞬にして丸焦げになってしまった。
『ゆぎゃああああ!!』
『ゆゆゆー!?なにがおこったの!?』
『ゆえ~ん!こわいよ~!』
「見て分かんねえのか?後ろの板には高圧電流が流れてるんだよ。ゆっくりしてたら死ぬぞ」
『ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!』
『だずげでぇぇぇぇ!!!じにだぐないぃぃぃぃぃ!!!』
のろのろと這っていたゆっくりたちは力の限りぴょんぴょんと跳ねだした。それを見て少年はマシンの速度を上げた。
『どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!!!』
『づがれだああぁぁぁぁ!!!ゆっぐりじだいぃぃぃぃ!!!』
『おうぢがえるぅぅぅ!!!おうぢがえるぅぅぅ!!!』
『も・・・もう・・ハァハァ・・・づがれだ・・・づがれ・・・ゆぎゃあああ!』バチバチッ
『ゆっぐり・・・ざぜで・・・ゆっぐり・・・・ハァハァ・・じだ・・ゆぎゃあああああ!!!』バチバチバチッ
基礎体力の無いものは最初の10分の定速運動で振り落とされた。ランニングマシンの後端にススがカサカサと動いている。
ここからがセレクションの本番である。ドラッグレースに必要なのは何よりもスピード。少年はグイグイ速度を上げていった。
『もう・・・はしれ・・・ない・・・・ゆぎゃあああああ!!!!』バチバチッ
『ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・じにだぐ・・・・な・・ゆぎゃあああ!!!!』バチバチバチッ
最後の3匹になった。今日のセレクションはこれで終了である。少年は速度を緩めた。
『おにいさん!きかいをとめてね!』
『これじゃゆっくりできないよ!』
「何言ってんだよ。鍛えなきゃ速くなれねえだろ。一晩中走ってろ馬鹿」
『ゆゆゆー!!!』
さすが金持ちである。カスタマイズにも金が掛かってる。
最終更新:2008年11月08日 08:10