ゆっくりいじめ系1209 ことばのろう

そこは外との交流が限りなく少ない村。
外での常識があまり通用しない村。
そして、とってもゆっくり出来る村。
人間とゆっくりが楽しく暮らす素敵な村。
ゆっくりに頑張って作ったお野菜を与える村人達。
村人と一緒に畑で汗を流すゆっくり達。
皆が笑顔の素晴らしい村。

ある日、そんな村にゆっくりまりさ一家がやってきました。
親はゆっくりまりさとゆっくりれいむ。
そして子どもはまりさ種が3匹とれいむ種が4匹。
一家はその村の噂どおりの幸せに満ちた光景を目の当たりにしてにっこり。

「ゆゆっ!すごいよまりさ!みんなすごくゆっくりしてるよ!」
「ほんとだね、れいむ!あんなにやさいさんをいっぱいたべられるんだね!」
「ここならしゅごくゆっくちできしょーだよ!」
「「「「「「ゆっくちできりゅね!」」」」」」

そう言ってゆっくりまりさ一家は喜び勇んで村へと入っていきました。
しかし、彼女達は知りません。
この村では自分たちの常識が通用しないということを。



「いぇっけるすとうっとの!」

意気揚々と村の中を跳ねていたまりさ達を見かけた村のまりさがそんな言葉を投げかけてきました。
けれど、何を言っているのか判らないまりさ達は首をかしげるばかり。
もしかしたら舌をかんだのかもしれないと思った親れいむは柔和な笑みを浮かべ、元気良くお約束の挨拶をしましす。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」」
「れいむ、なにいってるのかわからなかったからもういちどゆっくりしゃべってね!」

れいむ達は最後の最後まで理解できないのだが、その挨拶が全ての歯車を狂わせました。
彼女らの挨拶を聞いた村のまりさはクワッと目を見開き、口も大きく開いたままぶるぶると震え始めます。
そして・・・・・・

「いぇっけるすとにうかぎうれや!!?」

訳の判らない叫びを発しました。
すると、村中から他のゆっくりが集まってきました。
ゆっくりだけではありません。人間や彼らに飼われているほかの動物たちも集まってきました。

「ゆゆっ!みんなあつまってきたよ!」
「「「おきゃーしゃん、きょわいよー!」」」
「だいじょうぶだよ!みんなれいむたちをかんげいしてくれてるんだよ!」
「「「「ゆーっ!じゃあ、まりしゃたちゆっくちできりゅんだね!」」」」

お母さん達の言葉を信じて子ども達は安堵しますが、残念ながら正しいのは怯えていた子ども達。
「いぇっけるどくにうかひあすあくぢや!」とか「いえっけるどくにうなひういぢや!」などと叫びながらにじり寄りゆっくり達に友好的な感情なんて微塵もありません。
けれど、楽観的なものの見方のせいで子どもでもわかるような目の前の危機を両親は見逃してしまい、あっという間に捕まってしまいました。



捕まった一家が連れて行かれた場所はゆっくり用に改造された人家でした。
ゆっくりにとっては豪邸同然の人間の家屋には20匹あまりのゆっくりがいて、広い家の中で普段はのびのびと暮らしています。
でも、それはあくまで普段の話。今日は他所のゆっくりがやって来ているので皆酷く緊張していました。

「いぇっけるすとうっとの!」

その家屋の中心に陣取るのは体高50cmはある大きなゆっくりぱちゅりー。
彼女もまた訳の判らない言葉を話していました。いいえ、彼女だけではありません。

「ほんずすにうにんとうにきまなの!」
「かたびぎうぃきりにうんぢのー、うぃきれやー!」
「かたびぎうぃきりにうにんと、びきにな!すねな!」

その家の中に暮らしている全てのゆっくり達が訳の判らない言葉で会話していました。

「きゃーしゃん、にゃにいってりゅかわきゃらにゃいよ!」
「きょわいよ!ゆっくちできにゃいよ!」
「だいじょうぶだよ!おとびちゃんたちはれいむがまもるよ!」
「そうだよ!まりさたちがいるんだから、あかちゃんはゆっくりすればいいよ!」

異様な言語を用いる村のゆっくりに怯える赤ちゃんを励ます両親。
子どもを自分たちの後ろに隠して、周りを取り囲む村のゆっくり達を威嚇するように頬を膨らませます。
そんな光景をちらちらと伺いながら、ぱちゅりーはいつの間にかそこにいた人間と話しをしていました。
その人間もぱちゅりー達と同じ言葉を話し、ぱちゅりーとコミュニケーションを図りながられいむ達の様子を伺っています。

そして、数分後。
まりさ達はその人間に抱きかかえられ、彼の家へと連れて行かれました。



「ゆっくりしていってね!」

村に到着してからようやくその言葉を聞くことが出来て安堵するまりさ達。
声の主は先ほどぱちゅりーと話していた人間です。

「ねえ、おにいさん!どうしてみんなしゃべらないの!?」
「喋らないんじゃないよ。この村のゆっくりはみんなあの言葉を使うんだよ!」
「ゆぅ・・・?どういうこと?」
「何のことはないよ。あの言葉を話せないとこの村ではゆっくり出来ないってだけのことさ」
「「「「ゆっきちできにゃいのはいやだよー!」」」」
「「「ゆっくちちちゃいよー!」」」

人間の言葉に真っ先に反応したのは赤ちゃんゆっくり達。
両親も動揺していますが、親としての責任感で子ども達をなだめています。
そうして、子ども達が落ち着いた頃合いを見計らって人間に説明を求めました。

「おにいさん、ゆっくりせつめいしてね!」
「う~ん、とにかくこの村ではあの言葉を使う。使えないとゆっくり出来ない」
「それはさっききいたよ!」
「だから、外から来た子には僕があの言葉を教えてあげてるんだよ」
「ゆゆっ!?しゃべれりゅようになったられーみゅたちゆっくちできりゅの?」
「ああ、そうだよ。だから、お兄さんと頑張ってゆっくり勉強しようね!」
「「「「「「ゆっくちちきゃいちたよ!!」」」」」」

こうして、1週間のこの村の言語の学習講座を受けることになりました。



1週間後。

「「「「「「「いぇっけるしゅとうっちょの!」」」」」」」
「「ゆっく・・・いぇっけるしていってね!・・・ゆっ!?」」

現在の使用している言語もまだ不十分だった赤ちゃん達はあっという間にこの村の言葉になじみました。
が、しかし・・・両親は全く言葉を身に付けることができませんでした。
だから、村で催しものがあるときにも、親切な仲間が餌を分けてくれるときにもそのことが理解できませんでした。
そして、子ども達がそれなりに大きくなるまではまりさ一家の子ども達だけがほかの子ども達がもらっているものを貰いそびれてしまうことが何度かありました。

また、言葉が通じないので村で生活していく上で必要な常識を両親は全く習得できず、いつも怒られてばかり。
朝の5時に起きないとか、12時から1時までのご飯を食べ終わらないだとか、些細なことさえ理解できません。
それに、村でゆっくりが餌を得るために必要な人間のお仕事のお手伝いの内容も全く理解できず、お仕置きをされるばかり。
勝手にお野菜を食べてしまったり、農具の使い方が判らず他のゆっくりを怪我させたり・・・。
だから少しずついろんなことを学んで村のゆっくり達に溶け込んでいった子ども達は徐々に両親のことを馬鹿にするようになっていました。

「あきーしん!いぇっけるすとにうどひいけまっとくとの!」
「あきーしんひならみぢの!」
「ぢもにあきーしんひひぜきすうや!」

決して両親にはわからない言葉で、しかし語調から罵っていることだけはわかる言葉で罵声を浴びせる子ども達。
やがて、この村での暮らしに嫌気の差した両親は夜中に子ども達を置いて村から出て行ってしまいました。
彼女達がその後どうなったかは誰も知りません。

けれど、一つだけ確かなことは子ども達は一匹たりとも村から出て行かなかったということ。
散々馬鹿にしてきたもののいなくなると寂しくなって両親を探しに村から出たことは何度かあります。
その度に言葉が通じないということで上手く情報収集が出来ず、あるときは虐められ、またあるときは殺されそうになりました。

そうして散々酷い目に遭った子ども達は二度と村から出ようとはしません。
両親がいないのは少し寂しいけれど、言葉もまともに喋れない親といたって何の得もないのです。
そんな両親を探すためにわざわざ自分たちの言葉を理解してくれる仲間達のいるゆっくりプレイスの外に出る必要があるのでしょうか?



そこは外との交流が限りなく少ない村。
外での常識があまり通用しない村。
そして、とってもゆっくり出来る村。
人間とゆっくりが楽しく暮らす素敵な村。
ゆっくりに頑張って作ったお野菜を与える村人達。
村人と一緒に畑で汗を流すゆっくり達。
皆が笑顔の素晴らしい村。

けれど、彼女達が幸せなのは言葉の牢に閉じこもっているからにすぎません。

‐‐‐あとがき‐‐‐
鳥だろうが何だろうが動物は適応可能な環境の中でしか生きられない
そして、それを「環境の檻」と呼んだ人がいたそうな
そんな話とスレで時々見かける外国人とゆっくりの遭遇を合わせた結果がこれだよ!
まあ、作中で村のゆっくりが話している言葉は母音を一つずらしているだけですが・・・

でも、これは虐待というよりも考察とか思考実験の類じゃね?

byゆっくりボールマン

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最終更新:2008年10月23日 01:40
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