ゆっくりいじめ系2446 対戦型ゆっくりゲーム

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 対戦型ゆっくりゲーム       by [[十京院 典明>”ゆ虐の友”従業員の作品集]]  対戦型ゆっくりゲームというのを買ってきた。最近流行っているらしい。 「おーい、れいむー」  俺は家飼いのれいむを部屋に呼びつけ、PCを起動する。  やがてぺたんぺたんと階段を上る音がして、れいむが俺の部屋のドアを開ける。 「ゆゆっおにーさんゆっくりしていってね!」 「あーはいはいゆっくりゆっくり。ゲーム買ってきたんだが、やるだろ?」 「げーむさん!れいむげーむさんするよ!」  このれいむには時々ゲームの相手をさせているので、ゲームパッドぐらいなら操ることができる。  ピコリーン \ゆっくりしていってね/ 「ゆゆ!ぱそこんさんのなかにもれいむがいるよ!ゆっくりしていってね!」  * * * *  俺はキャラセレ画面で固まった。 「……」  画面には10匹のゆっくりが馬鹿面を晒している。それはいいのだが、  左上から、れいむ、れいむ、れいむ、まりさ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、れみりゃ(胴なし)、れみりゃ(胴あり)。 「おにーさんどうしたの?」 「……れいむ三匹とまりさ二匹の見分けが付かないんだけど」 「ゆゆ!こんなのもわからないなんておにーさんはばかだね!  れいむとれいむとれいむとまりさとまりさだよ!」 「仕方ない、マニュアルでも見るか」  俺はマニュアルを広げた。     = = = =  マニュアル  お買い上げいただきありがとうございます。  本ゲームは、従来の対戦型格闘ゲームとはびみょんに異なったシステムを採用した新感覚ゆっくりゲームです。  勝利条件は自キャラのゆっくりゲージを100%まで溜めることか相手のゆっくりゲージを-100%まで下げることです。  基本動作  A=隙の少ない、ゆっくりする行動をします。  B=隙の少ない、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。  C=効果の大きい、ゆっくりする行動をします。  D=効果の大きい、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。  ←←=バックステップです。後ろにゆっくり跳ねます。  →→=ダッシュです。前にゆっくり急ぎます。 (コマンド)=さまざまな効果を持つゆっくりむーぶを発動します。いわゆる必殺技です。   特殊なルールを紹介します。 ・通常種ルール  通常種のゲージは自動で微量ずつ99%まで増加します。  通常種には当たり判定が無く、各種通常技およびゆっくりむーぶ中のみ当たり判定が発生します。  従来の格闘ゲームのように相手を攻め殺すよりは、自キャラをゆっくりさせつつ、  相手をゆっくりさせない戦い方が基本です。 ・うーぱっく  試合中、うーぱっくが通りかかり様々なアイテムを投下することがあります。  プリンやキノコ、干し草といったゆっくりゲージ増加アイテムから玄翁、ガラス箱といった危険なブツまで種類はさまざま。   *なお、ゲームの性質上ゆっくりのリアルスペックとの乖離が見られる場合があります。  あらかじめご了承ください。 ・キャラ紹介 およびゆっくりむーぶコマンド表  れいむ(れいむA)  ゆっくりしていってね!        A or C連打  ゆっくりはねるよ!          ←→←B or D  ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C 『ゆっくりしていってね!』は全ゆっくり中最高のゲージ溜め性能があり、とくにC版は高効率。  移動の遅いれいむ(れいむC)やれみりゃざうるすと距離が離れたなら、 『ゆっくりはねるよ!』→『ゆっくりしていってね!』でゆっくりゲージを溜め切ってしまうこともあるほど。 『ゆっくりはねるよ!』は移動技。Bは後ろ、Dは前へと移動する。れみりゃ(胴無し)から逃げるほど速くはない。  うーぱっくからのアイテム回収や、ゆっくりしていってね!の布石に。 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!』は、わずかながら無敵判定の存在する攻撃技。ダメージもなかなかで、ゲージ上昇有り。  攻撃重視型のみょん、れみりゃ(胴無し)などへの切り返しやカウンターを狙おう。    れいむ(れいむB)   ゆっくりしていってね!        A or C連打 ゆ~♪ゆ~♪             ←/↓\→A or C ゆゆ~♪               相手の近くで↑\←↓\→B or D    歌の上手なれいむ。『ゆっくりしていってね!』はれいむAの同技に比べてゲージ上昇が少ないものの、二種類の歌技がそれを補う。 『ゆ~♪ゆ~♪』Aは低く、Cは高く飛ぶ飛び道具で、相手に当たると動きを止める。画面端に消える際にもゲージ上昇有り。 『ゆゆ~♪』はいわゆる一回転投げ。歌で相手の動きを止め、相手をゆっくりさせる(わずかに相手のゲージも上昇)とともに  自らのゲージを大幅に上昇させる大技。当たり判定のない状態の通常種をも吸い込むため、常に近接状態で立ち回り  相手をゆっくりさせないことが重要。  れいむ(れいむC)  ゆっくりしていってね!        A or C連打 ゆっくりうまれるよ!         ↓溜め↓  おちびちゃんゆっくりしていってね!  ←/↓\→B or D  ゆっきゅちちていってにぇ!      →←↑ B or D    植物型にんっしん中のれいむ。移動が遅く、特定のキャラには大幅不利ながらもスペックは低くない。  おちびちゃんゲージ(初期値1)の数だけ使える『ゆっくりうまれるよ!』でおちびちゃんを増やしながらゆっくりしよう。  おちびちゃん4匹以上の『ゆっくりしていってね!』には攻撃判定が付属する。 『おちびちゃんゆっくりしていってね!』は赤ゆゲージを溜める技。隙が少ないので暇を見てゲージを補充せよ。 『ゆっきゅちちていってにぇ!』は『ゆっくりしていってね!』の硬直を減少させる専用技。  攻撃判定のあるゆっくりむーぶも移動技も持たないため、攻められると脆く距離を離されても相手に一方的にゆっくりされ終了、  という危険性をも孕む(にんっしん中だけに)テクキャラ。通常技での立ち回りと間合い取りを研究しよう。   まりさ(まりさA)  ゆっくりしていってね!        A or C連打  むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!   →\↓/← B or D  ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C   れいむと同じスタンダードタイプのゆっくり。『むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!』はうーぱっくから食べ物ゲット時にのみ  使えるゲージ大幅上昇技。移動速度が速く食べ物をゲットしやすいため、狙いどころは多い。  まりさ(まりさB)  ゆっくりしていってね!        A or C連打  ゆっくりしていってね!        ↓\→A or C   ゆっくりはねるよ!          ←→←B or D  まりさAよりもさらに移動速度が速いスピード特化型ゆっくり。  二種類の『ゆっくりしていってね!』を持ち、コマンド版は飛び道具。  ワギャ〇イザー、あるいはエコ〇ズAct2風の書き文字が攻撃判定を伴って飛ぶ。発生、速度にすぐれるD版は  相手のゆっくりむーぶを阻止するのに適する。    ありす  ゆっくりしていってね!        A or C連打  しゃんはーい             →↓\A or C  ほーらい               ←↓/A or C   『しゃんはーい』はカチューシャから人形を生み出し前方に配置。相手を押し返す効果がある。最大8つまで配置可能。 『ほーらい』は高速で跳ねる飛び道具。6/1とらんぷる。  通常種の近くにいるとゲージの自動上昇率が高まるキャラ特性を持つ。しかし近接不得手のシューティングキャラ……  おお、つんでれつんでれ。  ちぇん  わかるよー               A or C連打  わからないよー             被ダメージ中に←→↓\B or D らんしゃまぁぁぁぁぁ!!        ←/↓\→B or D 『わかるよー』はその場でゆっくりする、ゆっくりしていってねタイプのゲージ上昇技。  上昇率は低いものの、ゆっくりしていってねに比べ当たり判定が小さいため特定の飛び道具をかわしつつゆっくりし続けられる。 『わからないよー』は被ダメージモーションをキャンセルして高速離脱する。 『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』はゆっくりらんを召喚。らん存在時は通常技が変化しゲージ上昇率が上がったり性能が変化したりする。  長いコンボをことごとく封殺する『わからないよー』は伝家の宝刀。  しかしながら自身のゲージ溜め能力も高くは無いため過信は禁物。  硬直の大きい『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』を余裕を持って発動する位置取りが重要。  みょん  ゆっくりしていってみょん!       A or C連打  ちーんぽ!               ↓溜め↑A or C  でぃーっく!              ↓溜め↑B or D 『ちーんぽ!』は黒くてたくましいもの(餡子製の刀)で相手を突き上げる攻撃判定技。ヒット時は黒くてたくましいもので  さらに相手を突き上げる追加攻撃が2回まで出せる。 『でぃーっく!』は黒くてたくましいものを振り回す攻撃判定技。当たり判定も大きいので被カウンター注意。  通常技も主に、黒くてたくましいもので行う。  れみりゃ(胴無し)  うーうー!                A or C連打  たーべちゃーうぞー!           相手の近くで↑\←↓\→A or C  ぐんぐにる                ↓\→B or D 『たーべちゃーうぞー!』は相手ゆっくりゲージの80%を消し去る大ダメージ技で、当たり判定のない  状態の通常種も捕まえられるが、間合いが狭く発生も遅い。確定状況を作れるかどうかが勝負の分かれ目。 『ぐんぐにる』は槍状の飛び道具。  通常技も弾幕攻撃なので、なぶり殺しと一撃必殺の二段構えで相手をゆっくりさせないよう飛び回れ。  れみりゃ(胴有り)  うー!                  A or C連打  うっうー!                ↓\→A or C  うあうあ♪                ←→←B or D  れみりあうー☆              ←/↓\→A or C  たーべちゃーうどー!           相手の近くで↑\←↓\→A or C  ざうるす進化               ↓溜め↓  捕食種ながら、こちらはゲージ上昇重視タイプのゆっくり。 『うっうー!』、『うあうあ♪』、『れみりあうー☆』は連続入力可能。『うあうあ♪』と『れみりあうー☆』には  攻撃判定があり、ゲージを溜めつつ攻撃できる。 『たーべちゃーうどー!』は『たーべちゃーうぞー!』と代わり映えの無い性能だが、各種ゆっくりむーぶでゲージを溜めつつ、  100%阻止に近づいてきた相手に狙えないこともない。 『ざうるす進化』は、文字通りれみりゃざうるすになる。ざうるす時はゲージ上昇速度が飛躍的に上昇するが移動速度が激減。  対れいむCなどに。同一コマンドで元に戻ることもできる。      = = = = 「なるほどねー。 ……それにしてもれいむまりさの顔の違いがわからん……」  れいむはれいむAを、俺はれみりゃ(胴無し)を選んでゲーム開始。 「どぼじででびりゃえらぶのぉぉぉぉぉぉ!!!???」 「このお兄さん、たとえ貴様がゆっくりといえども容赦せん。  それにもともと、ペットショップ使いなもんでね」  * * * *    かくしてゲームスタート。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪!」 「ゆゆゆ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」   開幕からゆっくりしていってね連呼のれいむ。 ……ああなるほど。  ゆっくりや⑨でもプレイできるように全キャラ連打コマンド持ってるわけね。 「ってやべえ!」  予想以上にゲージの上昇が速い。慌てて弾幕攻撃をするが、すでにれいむのゲージはかなり溜まっている。  少しずつゲージを削るが、通常種ルールの当たり判定消滅とゲージ自動上昇によって開いた差はなかなか縮まらない。 「ゆっぐりじでいっでねっでいっでるでじょぉぉぉどぼじでゆっぐりじないのぉぉぉぉ!!!」  俺は一向に当たる気配のない弾幕攻撃を諦め、れみりゃ持ち前の素早い飛行でれいむに近づく。 「てめーこそ喰らって死ねぇぇぇぇぇぇ!!!『たーべちゃーうぞー!』」 「『ゆっくりはねるよ!』」  すかり。  起死回生の一発は(たぶん暴発した)移動技にかわされ―― 「っ―――!?」 \うぃなー いず れいむ/ 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」  俺は、ゆっくりに負けた男となった。  * * * *  俺はこのゲームを舐めていた。それは認めよう。  俺はれいむの餌を七日分用意して、俺自身の身支度を整えた。  玄関に出た俺をれいむが呼び止める。 「ゆゆゆ!おにーさんどこいくの!?」 「旅に出る。  一週間後に、貴様との再戦を申し込む。それまでこの家には帰らん」 「どぼじでぞんなこというのぉぉぉぉ!!??おにーさんならとくべつにゆっくりしていっていいよぉぉぉ!?」 「もともと俺の家なんだが。  まあそれはいい。PCは置いていくから、せいぜい腕を……腕はないか。  せいぜいあんよを磨いておけ」 「いやだよ!!おにーざんといっじょにいだいよぉぉぉぉ!!!」 「俺も一週間後にもっと強くなって帰って来る。その時まで首を……首はないか。  あんよを洗って待っていろ」 「ゆゆぅぅぅーーーん!!」  * * * *      それから、格ゲー仲間の友人に電話をかけ、メシを作ってやるかわりに一週間の格ゲー強化合宿を取り付けた。  言うまでもないが、飼いれいむに対戦で負けた話をしたらたっぷり三十分ほど笑われた。  こうして、友人との対戦に明け暮れる日々が幕を開けた。 「これぶっちゃけ、無しれみ弱いぞ……詰んでるマッチアップが多すぎる」  友人の指摘はもっともだった。  当初は気にも留めていなかった通常種ルールが、実は馬鹿にならない強さで設定されている。  あの日の初プレイでれいむが見せた、れいむAの高火力な開幕『ゆっくりしていってね!』が  ゲームエンドに直結するほどにだ。一度奪われたリードはそうそう奪い返せない。 「うーむ……」 「胴れみはどうよ。俺も使ってないけど」 「そういや試してなかったな」  俺はれみりゃ(胴有り)を選び、友人はれいむA。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪ぃ……」 「やっぱそう思うよな」 「うっうー!」 「うあうあ♪」 「れみりあうー☆」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」  開幕『ゆっくりしていってね!に対して、『うあうあ♪』の先端に発生する攻撃判定がぎりぎり届かない。  単発の『うあうあ♪』も試したが、そもそもリーチが短く届かない。  そしてやはり逃げ切られる。 「なぁ……れいむAって強キャラじゃね?」 「まごうことなき強キャラだな……むしろ厨キャラまであるな。んで捕食種弱い」 「このサークル、れみりゃになんか恨みでもあるのか……?」 「マイルド調整の結果じゃねーの……それにしてもれみりゃ弱い」   「だけどさぁ、れいむA使う気ないんだろ?お前の性格からして」 「わかってんじゃねーか」  下手の横好きといわれても、俺は勝つためにキャラ換えしたことは一度も無い。  それは誇れることなんかじゃなく、くだらないこだわりに過ぎないのだがどうしてかキャラ換えできない。  それはきっと、俺そのものと強く癒着してしまっているのだ。  たとえば、ゆっくりがゆっくりを求めずにはいられないのと同じようにそれは当たり前のことなのだ。 「……次、行こうか」 「ああ」  俺はれみりゃを選び、再び対戦を始めた――    そして、またたく間に一週間が過ぎる。  俺は友人に礼を言って、帰途に就く。 「じゃあ、行ってくるぜ」 「頑張れよ」  * * * * 「ゆゆゆ!おにーさんまってたよ!ゆっくりしていってね!」 「だから俺の家だと言うに……  まあいい、勝負だ!れいむ!」 「ゆふふ……れいむはかなりあんよをあげたよ。せいぜいゆっくりしていってね」 「あんよ……?ああ、腕を上げたって事な。  俺だってそうさ。一週間前までのみじめな俺には二度と戻らない」  れいむはれいむA、俺はれみりゃ(胴付き)を選んだ。  \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ -0.60- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」  れいむは開幕ゆっくりしていってねを放つ。単純だが効果的な戦法だ。対して俺も手を打つ。  ボワン 「ゆゆ?」  ざうるす進化だ。これにより、俺のれみりゃはれいむに負けないゲージ上昇率を得る。  友人との合宿で、れいむAの火力に対抗するべく俺が考え出した、たった一つのソリューション――  俺達は発想を転換しなければならなかった。  相手を倒すことより、自分がゆっくりすること。  それがこのゲームシステムにおいて、もっとも効率よく勝利条件を満たす手段なのだ。  格闘ゲームの常識に捕らわれていた俺と友人が、使えない技として無意識に除外していたざうるす進化。  それこそが勝利への鍵だったのだ。 -4.42- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!……」 「うーうー!ぎゃおー!うっうー!」  Cゆっくりしていってねの連打よりも、ざうるすれみりゃと化したれみりゃの技の方がわずかにゲージ上昇率が高い。  その微細な積み重なりは、やがて目に見える値となってゲージに表れる。現在れいむ57%、れみりゃ65%だ。 -5.21- 「ゆゆっれみりゃはゆっくりしないでね!ゆっくりするのはれいむだよ!」  ついにれいむが痺れを切らせた。 「『ゆっくりはねるよ!』」 ――予想通りだ。 「『うーうー!もとにもどるどぉ~』」  ボワン  こちらへ素早く跳ねてくるれいむのモーションに辛うじて反応し、れみりゃを通常形態へと戻すことに成功する。  ジャンプからのぼでぃぷれすをガードし、続く通常技を頭を抱えてやり過ごす。 「ぷんぷん!もうおこったよ!  『ここはれいむの……」  微妙な状況だ。 ――発生前に潰せるか(↓Aでカウンターを狙える) ――ガード(削られる/ゲージ2%減) ――喰らえば仕切り直し(ゲージ増減れいむ+7%れみりゃ-5%/それより距離が離れるのはまずい/Cゆっくりしていってねで死ぬ) 「……ゆっくりぷれいすだよ!』」  読み違えれば ――潰せる(無理だ)  負ける。  高速で流れる思考とは裏腹に、反射的に指が動いていた。 「――っ!」  俺の親指はAボタンを外してパッドを掴み、れいむのふくれっ面攻撃をガードする。 ――まだ行ける(ゲージはまだリード/進化or↓AB踊りコンボor投げ) -7.33-  れいむが小さく一歩退がった。一瞬間が空く。 「うー!うー!」  それは俺のれみりゃのボイスではない。  画面の左上部から飛来する小さな影。その位置はれみりゃよりれいむに近い―― 「うーぱっく!れいむにあまあまちょうだいね!」  その瞬間、なにもかもがスローモーションに見えた。  俺は指を滑らせ←Cを繰り出す。  ←Cは攻撃判定は無く、前方に踏み出しながらゲージを溜める踊り技だ。  もしもれいむが攻撃を繰り出したらカウンターとなってしまう。  しかし俺には確信があった。 ――次に貴様は『ゆっくりはねるよ』と言う  れいむは一生懸命にあんよで十字キーを操作している。  間違いない。れいむにとっては複雑な技コマンドを出すために、常時よりも丁寧にあんよを動かしている。 「『ゆっくり……」 ――逃がさん(投げ)(投げ)(投げ)  すでに←Cの硬直を利用しコマンドは完成している。 「……はねるよ!』」 ――ここからなら ←Cで踏み出したこの位置からなら、ぎりぎり届く。  しゅばっ 「うー!」  れみりゃの手が伸びて、今まさに後方へと移動しようとしたれいむを捉える。 「ゆゆぅぅぅぅぅーーー!!??」 「つかまえたどぉ~。『たーべちゃーうどぉー!』」  画面がブラックアウトし、れいむの絶叫が響き渡った。  * * * * \うぃなー いず れみりゃー/ 「うっうー!」 「ゆゆん……さすがはおにーさんだよ!」 「いやーれいむこそなかなかだったぞ。レバガチャかと思ったら意外にコマンド正確だったしな」  だからこそキャラ差を読みでカバーすることができたわけでもあるのだが。 「もういっかい!もういっかいだよ!」 「よーし、やろうか」  俺は快く承諾する。 「さぁーて、”リベンジも果たしたことだし”俺もれいむA使っちゃおうかな~」  俺は勝つためにキャラ換えはしないが、その他の理由でキャラ換えすることは結構あるのだ。 「ゆゆっ!まけないよ!れいむがいちばんうまくれいむをつかえるんだよ!」 「俺だって負けないぞー。何せ、六日間もゆっくり練習してきたからな」    俺はこの時のために練習してきたれいむAで、れいむを完膚なきまでに叩きのめした。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりはねる(キャンセル)ぷくー!  ゆっくりしていってね!ぷくー!ここはれいむのゆっくりぷれ(キャンセル)ゆっくりしていってね!  ゆっくりしていってね!ゆっくりしていっ(キャンセル)ばかなの?ゆっくりしていってね!ばかなの?しぬの?  ゆっくりしていってね!ばかなの?ばかなの?ばかなの?しぬの?ゆっくりしていってね!」 「ゆあああああああ!!!!!おにーざんばっがりずるいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!  でいぶもゆっぐじじだい゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」  俺は軽快にコンボを継続し、れいむを空中に浮かせ続けながら言ってやった。 「おそらをとんでるみたいだろ?れいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!!!!」    END  ■ □ ■ □  ちなみにこの二ヶ月後、れいむA、れいむC、ちぇん、みょんに10割コンボが発見され――  世界は、核の炎に包まれた。

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