創作発表板@wiki

「Chenge The world」  第七話

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

第7話 Gun With Wing~翼ある銃~







地下での戦いののち、淳子とセフィロスは帰り道を歩いていた。
やはり暗いので、淳子は掌に炎を起こしていた。
淳子を中心として、半径5メートルを照らせる。その炎を見て、セフィロスが口を開く。

「ファイアが使えるのか。これから炎を必要とする機会は多そうだからな。頼りにしているぞ」
「私も。これからどんな怪物が出てくるかわからないもの。あなたのその剣の技、頼りにしてるわ」

苦笑するセフィロス。これから病院に戻り、あの二人と合流したとしても戦う力があるのは自分たち二人だけだ。
大勢の敵に囲まれたとき、あの二人を守りながら戦うのは至難の業だ。
自分だって無限に炎を起こせるわけじゃない。
自分がもし力を使い切ってしまったとき、あの二人を人質に取られたとしたら?正直、万事休すだ。

「どうした。不安そうな顔をしているが…考えていても何も始まらんぞ?あまり深く思いつめないことだ」
「ええ、大丈夫よ。ありがとう、セフィロスさん。おかげですこし気が楽になったわ。そうね、考えていても始まらない」

その時、片道の一つから二人の前に何者かが現れた。
とっさに刀を構えるセフィロス。だがそれを制する淳子。
その人影の正体は…目のあたりまで伸びた前髪と長髪、白い無地の長そでのシャツ、ジーンズに素足という出で立ちの男だった。
つまり、闇人でも屍人でもなくれっきとした人間だった。その男が口を開いた。妙に特徴的なしゃべり方で。

「ああ、あの世にも人間がいたんですね
僕と同じように亡くなられた方たちですか?三途の川まではどうやっていけばいいんでしょうか?」

「あの、あなたが何を言っているのかがわからないんですけど…
ここはあの世じゃなくて、私たち人間が住む世界と平行に存在する異世界です」

「異世界ですか興味深い話ですが私はもう死んでいるはずなんです
自らそうするように仕向けましたから。死んでも異世界に来れるとでも?」

「けど私たちは死んでないですし、元の世界に戻るにはこの砂漠化した世界を変えるしかなさそうなので、その方法を今摸索中なんです」

「つまり私もあなたたちと同じようにこの世界を変えるために
召喚されたというわけですかしかも蘇生までされて。信じられない話ですが事実のようです」

「やっと理解したか…それで、お前はこれからどうするつもりなのだ?私たちとともにこの世界を変えるつもりはないのか?」

「ええ、もちろんあなたたちと一緒にこの世界を変えますよ。
『どんな天才でも、一人では世界を変えられませんから』。それがいいところでもありますが」

「なら決まりね。この上の病院に私の仲間がいるの。
彼女たちと合流して、これからどうするかを話し合いましょう。それがこの世界を変えるための第一歩」
うなずく二人。そして再び地上への道を歩き始めるのだった。



謎の青年と合流したのち、三人は再び地下道を歩き続けていた。
3人ともどちらかというと無口なタイプなので淳子・セフィロス・謎の青年3人とも何もしゃべらずにただ歩き続けた。
淳子が炎を起こし続けるには結構精神力を要求されるので、それを途切れさせないように沈黙を保っているというのも理由の一つである。
というかこれが主な理由である。

その時、三人の前に階段が現れた。先刻淳子が降りてきたあの階段だ。
その階段を昇る3人。そして廃墟を抜け、地上へと舞戻る。

「ここが異世界か。思っていたより殺伐としているな。
見たところ砂漠の町のようだが…さて、お前の言う病院というのはどこにある?」

「こっちよ。わたしについてきて。
ところであなた、素足のようだけど大丈夫?石ころとか落ちてたら痛いでしょう?靴とかあったかしら」

「いえ私は靴が嫌いなんですよついでにいうと靴下も。
それに素足のほうが落ち着きますしなにより大地とじかに接しているわけですから」

「ふぅん…初めて見た時から思ってたけどずいぶん変わった人ね。まあいいわ。さて、二人とも待ってるわ。病院に行きましょう」



そして3人は病院への道を歩き出した。
すでにあたりはうす暗くなっている。昼間でもあまり変わらないが。腕時計を確認する淳子。17時。
曇天の雲に覆われているとはいえ、自分たちの世界ではもっと明るいはずだ。
改めてここが異世界だということを実感する淳子。
そんなことを考えていたらもう病院の前へとたどり着いていた。500mしかないのだから当たり前ではあるが。

「さあついたわ。ここが『病院』よ。
ところでセフィロスさん。その刀どうにかならないの?ここには敵はいないから大丈夫よ?」

「…だろうな。それに病院内をこんなものをぶら下げて歩くわけにもいくまい。しまっておくとしよう」
そう言って刀を一振りすると、刀は消えた。どうやら自分の意思で消したり現わしたりすることができるようだ。

「ありがとう。それでさっき話した闇人だけど、
まあ…姿かたちはあれだけど…いい人たちだから刀とか抜いたりしないでね?」

「ふん…奇妙なものなら今まででもさんざん見てきたさ。
さっきの機械人形のようにな。いまさら何をみて驚けというのだ?」

「私もセフィロスさんに同意ですそういう類のものなら
私もこれまでさんざん見てきましたから問題ありませんさあなかに入りましょう」

病院内に入る三人。
ロビーには相変わらず誰もいない…と思いきや、奥からとことこと今朝話した暗井安子が歩いてきた。
言葉を交わした淳子は問題ないが、あとの二人はというと…目が点になっている。
ちなみに女神転生とは何の関係もない。

「…さすがにこれは予想外だったな・・・
怪物や化けものの類ならこれまでさんざんみてきたつもりだったが、さすが異世界、侮れんな」

「そうですね私も同感ですこの世界ではまだまだ新しい発見がたくさんありそうで期待できそうです」

「あらあら淳子さんおかえりなさい。
そちらの二人は新しいお仲間ですか?世界を変えるためには一人でも多いほうがいいですからねぇ」

「まったくですね。二人ともすごい頼りになってくれるんですけど…まだまだこの人数じゃ世界を変えるなんてとてもできそうには…」

「それはそうよねぇ…まあ、そのうちに人も集まってくるわよ。現にこうして新しいお仲間も増えたことだしねぇ」

「そうですね…気楽…にはいかないでしょうけど、がんばってみます。私たちが元の世界に変えるためにも」

「うん、その意気よ。がんばってねぇあなたたち。遠くから応援してるわ。あなたたちに闇のご加護があらんことを」
ずっこける3人。それを見て微笑み、去っていく暗井。起き上がり、病室へと歩を進める3人。
2階への階段を上り、『204号室』の前に立つ3人。淳子が扉を開ける。
椅子に腰かけていた美伽が立ち上がりこちらへと歩いてくる。

「遅いよ青木さん!どこ行ってたんだよ!
遅いから心配したんだよ?あの化け物クジラみたいのにやられちゃったって想像したら…」

「心配掛けたみたいね…ごめんね美伽ちゃん…でもこの通り私は無事よ。この人たちが助けてくれたから」
「青木さんを助けてくれてありがとう。ああ、私は秋山美伽。
この名前は青木さんにつけてもらったんだ。元の世界ではあたし、名前がなかったから」

「名前がなかった?どういうこと?美伽ちゃん」
淳子が驚いた顔をして聞く。目を閉じ答える美伽。その表情はどこかさびしげだ。


「あたしね、生まれつき両親がいないんだ。
父さんはあたしが生まれる前に事故で死んだそうだし、
母さんはあたしが生まれた直後に…それであたしは孤児院に引き取られて育てられたんだけど、
あたしだけ生まれつき両親がいないじゃん。だから当然名前もなくて…
孤児院の大人たちもあたしに名前をつけようとしたんだけど、年取ったらどうするんだっていう名前ばっかでさ。
それでまだちっちゃかったのにかたくなに拒んでてさ、仕方がないから『あーちゃん』で手を打ってもらった。
秋に山梨で生まれたから秋山ってのは淳子さんには話したね。
そんなこんなで10数年をその孤児院で過ごしながらこれまで生きてきたんだ。
けど小さい頃はよくいじめられたなぁ…
まあそれはどうでもいいとして、これがあたしの名前がないいきさつ。それで名前なんだけど、あなたたち二人の名前は?」

「セフィロスだ。これからよろしく頼む」
「私は…そうですね『竜崎』と呼んでください元の世界でもそう呼ばれていました。これからよろしくお願いします秋山さん」
そう言って右手をのばす竜崎。握手の姿勢だ。
それを見て美伽が握手に応じる。続いてセフィロスとも握手する。

「さて、淳子のいう『先生』だが…まだ目覚めないようだな。ひどい怪我を負っていたそうだから無理もないが」
「ええ、あのロボットにやられたのよ。間違いなく。あいつさえいなければこの人がこんな目にあうこともなかっのに…」
「ロボット?何の話だよ淳子さん」
淳子は美伽に地下道での出来事を話した。



「そんなことがあったんだ…でもまあ、
セフィロスと竜崎のおかげで無事なわけだし、問題ないよ。あとは先生さえ目覚めれば万事解決!」

「おい、淳子には『さん』付なのになんで俺と竜崎に対しては呼び捨てなんだ?
それに万事解決と言ったがそれは元の世界に戻って初めて言えるセリフだと思うが」

「その通りですまあ私は呼び捨てにされたことについては特に言いたいことはありませんが。それに私は青木さんを助けてはいませんよ」

「いいじゃん二人とも。固いことはお互い言いっこなし!
細かいこといちいち気にしてたら世界なんて変えられないよ?そう思うでしょ?淳子さん」

「え?ええ…まあ、そうね。まあ二人とも、
美伽ちゃんはこういう性格だし、あまり深く追求しないであげてね。私からもお願いするわ」
しぶしぶ納得するセフィロス。素直にうなずく竜崎。



その時、廊下から足音が聞こえてきた。コツコツという音だ。
甲型のドタドタという音でも、乙型のシャカシャカという音でもない。
零式の可能性もあるがこの足音のピッチは速い。零式はこんなに早くは歩かない。
ということはすなわち…人間だ。そしてその足音は『204号室』のドアの前あたりで止まった。
扉は閉じられている。ノックの音が聞こえる。ゴクリと唾をのむ一同。
その時竜崎が
「私がでてみますよここでこうしていても始まりませんし、
なにより怪物に『ノック』するという知能があるとは思えませんし。いってきます」

そして扉のほうへと歩き少しだけ扉を開き顔だけ外にのぞかせる竜崎。
扉の向こうの人物と何か話している。そしてこちらを振り向き、言った。
「どうやら私たちと同じようにこの世界に飛ばされた方のようです。よってこの部屋に招きます、よろしいですね」
返事も聞かずに竜崎はその人物を部屋の中へと招き入れた。
ものすごい美少年だった。美伽の顔が赤くなる。一目ぼれしてしまったらしい。

「お初にお目にかかりますみなさん。僕はカノン・ヒルベルト。
ある人物に殺されたと思ったら、なぜか砂漠の真ん中にいてしばらく歩いていたら…」

「この街にたどり着いたというわけか。
そしてこの街でもひときわ目立つこの病院にやってきた。おおかた暗井にでもあって俺たちの居場所を聞いたのだろう」

「御察しが早く助かります。ところであなたたちも僕と同じように元の世界から飛ばされてきたとお見受けしますが」
うなずく一同。そして自己紹介、自分がどういう経緯でこの世界に飛ばされたのか、これまでのこの世界でのいきさつをカノンに話した。



「この世界を変える…そうすれば僕たちは元の世界へと帰れる。
そういうことですね。わかりました。僕もあなたたちと一緒に行きますよ」

「ありがとう、そうしてくれると助かるわ。カノンくん。
彼女、美伽さんもそれを望んでいるようだし。ね、美伽さん?」
うなずく美伽。相も変わらず顔は真っ赤っかだ。それを見て苦笑するカノン。

「でも『先生』が目覚めないと僕たちは動けそうにないですね。目覚めるまで待つしかないんですね…」

「そういうことですとりあえず今日はもう遅いですしこのあたりで休みませんか?」
竜崎が提案する。


同意する一同。そしてみんなは眠りに就くのだった。
この世界を変えるための鋭気を養うために。元の世界へと帰還するために。




第7話 GUN With Wing~翼ある銃~ FIN

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー