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「Chenge The world」  第五話

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これまでの登場人物の紹介。

青木淳子 20代前半女性。超能力「パイロキネシス」を使い、自在に炎を操る。出典「宮部みゆき著 クロスファイアより」
秋山美伽 17歳。普通の高校生。ただ運動能力は抜群だが、気が強いのが玉に瑕。
闇人   本文参照。出典「SIREN2」より



第5話 邂逅




店で出会った闇人の言葉どおりに進むと、なるほど確かに病院があった。
が、土を木で補強してあるという作りは同じだ。
二人は病院内に入り受付の看護婦らしき黒ずくめの人物に声をかける。言うまでもないが闇人零式だ。


「あのすいません。こちらに金色の髪をした眼鏡をかけた若い女性が運び込まれた、って聞いてきたんですけど」
すると『看護婦』が答える。
「ああ、その女の人ならなんとか一命を取り留めてついさっき集中治療室から出たところよ。
今は一般病棟の204号室にいるはずだけど。でもまだ意識が戻らないらしいわぁ。大丈夫かしら」
「一般病棟の204号室だね。ありがと。いこ、青木さん」美伽はそう言って走り出した。あわてて後を追う淳子。

さして時間もかからず、二人は『204号室』の前にたどり着いた。
ただ、扉の隣に何やら文字らしきものが書いてあるのだが、二人にはそれが解読できない。
幸いなことに204は数字だったためここが『204号室』だということはわかった。
淳子が静かに扉を開き、病室にはいる。個室ではなかったが、床に伏せっているのが『先生』一人のため同じようなものだった。
なるほど確かに包帯で全身を包まれた女性らしき人物がベッドの上に横たわっている。

「先生!」美伽が駆け寄る。
『先生』の両肩を鷲掴みにし、揺さぶりながら叫ぶ。
「先生!私だよ!お願いだから目を開けてよ!先生!」その刹那、誰かが扉を開き病室にはいってきた。
振り返る二人。

その姿を見て二人は戦慄した。おぞましい―。
それが二人の共通の第一印象だった。
まず頭というと、確かに頭らしきものはあるのだが、顔がない。
その顔はというと…人間でいうところの腹にあった。
しかもその顔から下にあるのは…5本の指だ。人間の脚部に当たる部分だろう。

『そいつ』が口を開く。
「あのねお嬢さん。ここは病院なんだからお静かに願えますか?」
―バタン。美伽が卒倒した。『そいつ』があわてた様子で駆け寄る。
「貧血ですか?いけませんね。とりあえずそこのベッドに寝かせましょう。お姉さん、手伝ってもらえますかな?」
何も言わずに淳子は言われたとおりにした。「先生」の隣のベッドに寝かせる。
貧血じゃなくてあんたのあまりのおぞましさに気絶したんじゃないの、と淳子は心の中でつぶやいた。
まあそう思っていても仕方ない。淳子はここでも情報収集に余念がなかった。

「あなたを医師と見込みますが違いますか?」
「ええ、まさしく私は医師ですがそれが何か?」
「先生を治療したのはあなたね?」「ええ、私ですよ」
「先生はどんな傷を負っていたの?」
「そうですね、全身をかなり鋭利な爪で引っ掻かれていましたね。出血多量で運び込まれるのがあと少し遅かったら命はなかったでしょう」
「そんな重傷を負いながらなぜ先生はこの街の入り口までたどり着けたと思う?」
「この傷を負わせた怪物の詰めが甘く、怪物は死んだと思って立ち去るも実は生きて命からがらたどり着いたのでしょうね」

「それにしてもよく輸血用の血液製剤があったわね?」
「昔ここで暮らしていた人間たちが、血液製剤を冷凍保存していたのが救いでした。解凍してすぐに輸血することができました」
「なるほどね…それで彼女はいつになったら目を覚ますと思う?」
「それは神のみぞ知るところ、といったところです」
「医者にもそれはわからない…か。わかったわ。ありがとう」

「いえいえ。ところで今日はもう遅いので泊って行かれるといいでしょう。ここは宿屋も兼ねていますので」
「でも私たち、お金を持ってないけど?」
「この世界に通貨はないんですよ。だから基本的に商業をはじめとしたものはすべて無料なんです」
「それであなたたちはどうやって生計を立てるというの?」
「私たち闇人は食事を必要としませんからね」
都合のいい世界だな、と淳子は思った。そういえば、この世界に来てから結構時間がたつが一向に腹が空かない。

「なるほどね…それじゃお言葉に甘えさせてもらうわ。明日はこの街をいろいろ散策してみたいんだけど、いいかしら?」
「かまいませんよ?ただ地下に潜む『屍人』たちには気を付けてください」「屍人?」

「あなたたちの世界では『ゾンビ』と言ったほうがわかりやすいですか
毎日昼間ところどころに出没するんです。私たち闇人には何もしてきませんが、あなたたち人間を見つけると襲いかかってくるようですから」
「ちょっと待って。ということは彼女を襲ったのもその『屍人』なんじゃないかしら」
「その可能性も否めませんね」
「わかったわ。とりあえず明日、いろいろ探ってみるから」
「わかりました。しつこいようですがくれぐれもお気をつけて」
「ええ、ありがとう。ああそれと最後に一つ聞いていい?」「なんでしょうか?」
「あなたのような姿をした闇人は何て呼ばれているの?」
「闇人甲型、と呼ばれています」
「甲型、ね。わかったわ。ありがとう」
「それでは今度こそこれで失礼します」

「おやすみなさい」
そして闇人は部屋をあとにした。
「さて、明日に備えて私ももう寝よう…」


そして淳子もベッドに横たわり眠りについたのだった。


第5話 邂逅 FIN

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