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てながあしなが
あるところにテナガとアシナガという、ふたりのようかいがいました。
テナガはひとより腕がながく、いつもずるずるとひきずっていました。
アシナガは足がながく、人をまたぐことなど朝めしまえでした。
ふたりはたいそうイタズラが好きで、人間をこまらせていましたがあるとき、
えらい坊さんにふじこめられてしまいした。
それはそれはながいあいだ、せまいところにとじこめられていたのですがある日のこと、
ぐらりぐらりとじめんがゆれて、ポンととびだすことができました。
テナガはひとより腕がながく、いつもずるずるとひきずっていました。
アシナガは足がながく、人をまたぐことなど朝めしまえでした。
ふたりはたいそうイタズラが好きで、人間をこまらせていましたがあるとき、
えらい坊さんにふじこめられてしまいした。
それはそれはながいあいだ、せまいところにとじこめられていたのですがある日のこと、
ぐらりぐらりとじめんがゆれて、ポンととびだすことができました。
「やあきょうだい。でられることができたぞ」
「そうだなきょうだい。やれうれしや」
「そうだなきょうだい。やれうれしや」
ふたりはとてもよろこびました。
ひさびさにみたまわりのけしきは、とじこめられるまえとはだいぶちがいます。
ひさびさにみたまわりのけしきは、とじこめられるまえとはだいぶちがいます。
「きょうだい、なんだかようすがおかしいぞ」
「そうだなきょうだい、まあまずは、はらごしらえをしよう」
「そうだなきょうだい、まあまずは、はらごしらえをしよう」
そうです、ふたりはながいあいだとじこめられていたので、おなかがすいてしかたがなかったのです。
さっそく、ふたりは食べものをさがしにいきました。
さっそく、ふたりは食べものをさがしにいきました。
てな づち あし づち
てな づち あし づち
おててのばせば おひさまかくす
あしをなばして どこいこか
てな づち あし づち
てな づち あし づち
ずんずん、ずんずんとあるいていくとふたりは畑をみつけました。
野菜がおいしそうにみのっています。
野菜がおいしそうにみのっています。
「これはこれはうまそうなやさいだ、にるがいいかやくがいいか」
「きょうだい、ここはやはり、なまだろう」
「きょうだい、ここはやはり、なまだろう」
ばらりばっさりむっしゃむしゃ。
くちゃくちゃ ごくり むしゃごくり。
ふたりはてあたりしだいに畑ののさくもつをほおばりました。
はらがへっているときはなにをたべてもおいしいです。
あっというまに畑にあったものはなくなりました。
ふたりはごろんとよこになって楽になります。
そんなふたりに、こえをかける人がいました。
くちゃくちゃ ごくり むしゃごくり。
ふたりはてあたりしだいに畑ののさくもつをほおばりました。
はらがへっているときはなにをたべてもおいしいです。
あっというまに畑にあったものはなくなりました。
ふたりはごろんとよこになって楽になります。
そんなふたりに、こえをかける人がいました。
「あ、あなたたちはだれですか?」
みると、ひとりの女の子がテナガとアシナガをにらんでいます。
その服のはしから、しっぽがふるふるとゆれています。
その服のはしから、しっぽがふるふるとゆれています。
「やあべっぴんさんだ。オレたちテナガアシナガ」
「え? わ、わたしはクズハともうします」
「え? わ、わたしはクズハともうします」
クズハとなのった女の子は、いぶかしげにふたりをみつめています。
どうやらこの畑は、クズハのものだったようです。
でもそんなことは、テナガとアシナガは気にしません。
どうやらこの畑は、クズハのものだったようです。
でもそんなことは、テナガとアシナガは気にしません。
「やあひさしぶりだ、人間のにおいをかぐのはひさしぶりだ」
「いやいや兄弟、コイツオレたちと同じにおいがするぞ」
「いやいや兄弟、コイツオレたちと同じにおいがするぞ」
ぐるりぐるりとクズハをみて、ふたりはいいます。
「きょうだい、コイツは人間だろ」
「いやいや、ようかいだろ」
「にんげん」
「ようかい」
「にんげん」
「ようかい」
「いやいや、ようかいだろ」
「にんげん」
「ようかい」
「にんげん」
「ようかい」
クズハはすっかりおびえてしまいました。
くるりくるりとテナガとアシナガはまわります。
くるりくるりとテナガとアシナガはまわります。
「ふうむこまったな、人のようでオレたちのよう」
「どっちだどっちだわからない」
「なめてみようか」
「そうしよう」
「どっちだどっちだわからない」
「なめてみようか」
「そうしよう」
ふたりは舌をのばして、べろんとクズハをなめました。
「やあめずらしい、人とようかいの味がするぞ」
「やあそうだな、めずらしいめずらしい」
「え……きゃあああーーーーーーーーっっ!」
「やあそうだな、めずらしいめずらしい」
「え……きゃあああーーーーーーーーっっ!」
クズハのさけびをきいて、人間たちがぞろぞろとあらわれました。
人間はふたりをみてさけびます。
人間はふたりをみてさけびます。
「あ、アイツラは!」
「みろ、クズハたんが!」
「ゆるさねえ、とっちめろ!」」
「みろ、クズハたんが!」
「ゆるさねえ、とっちめろ!」」
人間たちは、おこってふたりにおそいかかってきました。
手から火や氷をだしてぶつけてきます。
手から火や氷をだしてぶつけてきます。
「あっちっち、あっちち。きょうだい、こいつら坊さんとおなじことをしやがるぞ」
「そうだなきょうだい、オレにつかまれ」
「そうだなきょうだい、オレにつかまれ」
アシナガのかたにテナガがまたがりました。
かたぐるまをしたそのすがたは、まるでひとりの人間です。
りょうてをのばしたテナガをかついだまま、アシナガはくるりくるりとまわりました。
かたぐるまをしたそのすがたは、まるでひとりの人間です。
りょうてをのばしたテナガをかついだまま、アシナガはくるりくるりとまわりました。
ごうごうごう
すうとどうでしょう、ふたりがまわるとすごい風がうまれ、たつまきがおこりました。
まわりの人間たちはたまらずにふきとばされてしまいます。
まるで台風がきたときのようです。
しばらくして風がおさまったときには、テナガとアシナガのすがたはありませんでした。
まわりの人間たちはたまらずにふきとばされてしまいます。
まるで台風がきたときのようです。
しばらくして風がおさまったときには、テナガとアシナガのすがたはありませんでした。
「なんだったんだ……」
「……わかりません」
「……わかりません」
あとには人間たちがのこされるばかりです。
テナガとアシナガは、どこへいったのでしょう。
もしかしたら風にのって、こんどはあなたのまちにくるかもしれません。
テナガとアシナガは、どこへいったのでしょう。
もしかしたら風にのって、こんどはあなたのまちにくるかもしれません。